【実施例】
【0074】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」はそれぞれ「重量部」「重量%」を意味する。
【0075】
(第一の本発明)
(固体脂含量測定)
対象となる油脂組成物をその融点以上に加温して完全に溶融させた後に、所定温度(25℃または37℃)で1週間保持し、その後、該所定温度における固体脂含量を、核磁気共鳴装置ミニスペックmq20(ブルカー・オプティクス株式会社製)を使用し、基準油脂分析試験法(日本油化学会編)2.2.9−2003に準拠して測定した。
【0076】
(腸内崩壊試験)
粒子状組成物の崩壊試験は、胆汁およびリパーゼを含む人工腸液を用いて評価した。pH6.8の崩壊試験第2液(関東化学株式会社製)に胆汁粉末(和光純薬工業株式会社製)とブタ膵臓由来リパーゼ(シグマ社製)をそれぞれ0.5重量%となるように溶解し、人工腸液を調製した。該人工腸液に、親水性物質として食用赤色102号(和光純薬工業株式会社製)を内包した粒子状組成物を添加し、37℃で1時間振とう後、50%トリクロロ酢酸(和光純薬工業株式会社製)水溶液を加え、37℃で12000rpm、5分間の遠心分離(MX−200、株式会社トミー精工製)を行なった。分光光度計(U−2000A形、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて遠心後の上清溶液中の510nmにおける吸収を測定することにより、上清中の親水性物質の濃度を算出した。粒子状組成物中に含有されている親水性物質が全て放出されたときの放出率を100%とし、37℃で1時間、人工腸液で処理した場合の親水性物質の放出率を算出した。
【0077】
(粒子状組成物の平均粒子径の測定)
粒子径測定装置(LA−950、堀場製作所製)を使用して測定した。
【0078】
(粒子状組成物中の親水性物質の含量)
得られた粒子状組成物を、使用した固体脂の融点以上の温度に加温して液状にした上で、水と混合し、粒子状組成物中に封入した親水性物質を水相中に抽出した。抽出した水相中の親水性物質濃度をHPLCにより測定し、粒子状組成物中の正味の親水性物質の含量を算出した。
【0079】
(粒子状組成物への親水性物質の封入収率)
製造過程で使用した親水性物質の重量と、上記方法により算出した粒子状組成物中の親水性物質の含量より、封入収率を算出した。
【0080】
(製造例1:魚油低融点画分の調製)
常法により脱酸脱色した魚油100部を40℃で溶解し、10℃まで緩やかに撹拌しながら冷却し、10℃で12時間保持して結晶を析出させた。次いで、得られた結晶を吸引濾過により濾別して、25℃で液状の魚油低融点画分を得た。
【0081】
(製造例2:パーム分別油の調製)
パーム硬質部100部にヘキサン200部を加え、45℃で完全に溶解後、20℃に20時間保持して高融点画分を析出させた。次いで、得られた高融点画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、250℃で水蒸気蒸留を行い、パーム分別油(融点52℃)を得た。
【0082】
(実施例1)
パーム極度硬化油(商品名「RHPL」、太陽油脂株式会社製、融点57℃)90gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製、融点−12℃)10gを加熱混合し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の固体脂含量を上記の方法により測定した。
【0083】
あらかじめ温度70℃に加熱して、溶融させておいた油脂組成物20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン株式会社製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス株式会社製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度70℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ70℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン株式会社製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥して粒子状組成物を得た。得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験を上記の方法により実施した。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0084】
また、得られた粒子状組成物の平均粒子径は351μmであり、本実施例における食用赤色102号の粒子状組成物への封入収率は93.5%であった。さらに、得られた粒子状組成物を走査型電子顕微鏡(S−4800、日立製作所製、以下SEM)で観察したところ、
図1に示したような滑らかな表面構造を有する粒子形状が観察された。また、粒子状組成物の崩壊試験後の表面構造をSEMにより観察したところ、
図2に示したような細孔が観察された。細孔を通じて内包物質である食用赤色102号が放出されたと考えられる。
【0085】
(実施例2)
油脂組成物として、製造例2で調製したパーム分別油70g、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製、融点67℃)20gおよび中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(商品名「アクターM1」、理研ビタミン株式会社製、融点−6℃)10gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0086】
(実施例3)
油脂組成物として、製造例2で調製したパーム分別油95gと、製造例1で調製した魚油低融点画分5gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0087】
(実施例4)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)80gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)20gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0088】
(実施例5)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)60gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)40gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0089】
(実施例6)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびオリーブ油(日清オイリオグループ株式会社製)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0090】
(実施例7)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびヒマワリ油(昭和産業株式会社製)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0091】
(実施例8)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびシソ油(太田油脂株式会社製)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0092】
(実施例9)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびジグリセリド(商品名「エコナ」、花王株式会社製)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0093】
(実施例10)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびオレイン酸(和光純薬工業株式会社製)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0094】
(実施例11)
油脂組成物として、トリラウリン(和光純薬工業株式会社製、融点45℃)85gおよびパーム核油(株式会社カネカ製、融点27℃)15gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0095】
(実施例12)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびナタネ油(株式会社カネカ製)15gを加熱混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0096】
(実施例13)
ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)85gおよびナタネ油(株式会社カネカ製)15gを加熱混合し、油脂組成物を得た。あらかじめ温度70℃に加熱して、溶融させておいた油脂組成物20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン株式会社製)1.0gからなる油性成分に、30重量%のアンセリン(焼津水産化学株式会社製)を含有する水溶液5mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス株式会社製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度70℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ70℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン株式会社製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥して粒子状組成物を得た。得られた粒子状組成物の平均粒子径は285μmであり、本実施例におけるアンセリンの粒子状組成物への封入収率は89.0%であった。
【0097】
(実施例14)
油脂組成物として、製造例2で調製したパーム分別油90gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドを加熱混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0098】
(実施例15)
製造例2で調製したパーム分別油90gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)10gを加熱混合し、油脂組成物を得た。次に、エタノール200mL中に、ラクトフェリン(和光純薬工業株式会社製)5gとショ糖エルカ酸エステル(商品名「ER−290」、三菱化学フーズ株式会社製)1.5gを添加し、40℃に加温しながらホモジナイザーにて分散し、混合液を調製した。該混合液を、45℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながらエタノールを除去し、ラクトフェリンとショ糖エルカ酸エステルの複合体を得た。ここで得た複合体を、あらかじめ温度55℃に加熱して溶融させておいた油脂組成物18gに添加し、ホモジナイザーにて分散し、ラクトフェリン複合体の分散したS/Oサスペンションを得た。次に該S/Oサスペンションをあらかじめ55℃に加熱しておいた、0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)および0.01重量%デカグリセリンモノラウリン酸エステル(商品名「ML−750」、阪本薬品工業株式会社製)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて10分間撹拌し、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ15℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガムおよび0.01重量%デカグリセリンモノラウリン酸エステル含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥して粒子状組成物を得た。
【0099】
得られた粒子状組成物は、人工胃液に添加しても崩壊せず、添加して120分後に粒子状組成物を人工胃液から取り出して内包しているラクトフェリンを分析した結果、粒子状組成物中のラクトフェリンは分解されることなく存在していることが確認された。すなわち、本実施例の粒子状組成物中に多分散されたラクトフェリンは、胃内での消化酵素耐性が付与されたことが実証された。
【0100】
(実施例16)
油脂組成物として、製造例2で調製したパーム分別油18g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)2gおよびコエンザイムQ10(株式会社カネカ製)10gを加熱混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物を得た。使用した油脂組成物の固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0101】
(実施例17)
製造例2で調製したパーム分別油18g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)2gおよびコエンザイムQ10(株式会社カネカ製)10gを加熱混合し、油脂組成物を得た。次に、エタノール200mL中に、ラクトフェリン(和光純薬工業株式会社製)4.2gとショ糖エルカ酸エステル(商品名「ER−290」、三菱化学フーズ株式会社製)0.9gを添加し、40℃に加温しながらホモジナイザーにて分散し、混合液を調製した。該混合液を、45℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながらエタノールを除去し、ラクトフェリンとショ糖エルカ酸エステルの複合体を得た。該複合体を、あらかじめ温度58℃に加熱して、溶融させておいた油脂組成物15gに添加し、ホモジナイザーにて分散し、ラクトフェリン複合体の分散したS/Oサスペンションを得た。次に該S/Oサスペンションをあらかじめ55℃に加熱しておいた、0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)および0.01重量%デカグリセリンモノラウリン酸エステル(商品名「ML−750」、阪本薬品工業株式会社製)含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて10分間撹拌し、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ15℃に冷却しておいた0.5重量部%アラビアガムおよび0.01重量%デカグリセリンモノラウリン酸エステル含有水溶液300mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥して粒子状組成物を得た。 得られた粒子状組成物の平均粒子径は374μmであり、本実施例におけるラクトフェリンの粒子状組成物への封入収率は94.8%であった。
【0102】
(比較例1)
あらかじめ温度80℃に加熱して、溶融させておいたトリパルミチン(和光純薬工業株式会社製)20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン株式会社製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号を含有する水溶液10mLを添加し、ホモジナイザーで乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度80℃、圧力13kPaの減圧条件で撹拌しながら水分除去を20分間行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ70℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、0.05重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ML−750」、阪本薬品工業株式会社製)含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥して粒子状組成物を得た。トリパルミチンの固体脂含量と得られた粒子状組成物の腸内崩壊試験の結果を表1に示した。
【0103】
(比較例2)
油脂組成物として、ナタネ極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)50gおよび中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン株式会社製)50gを加熱混合して調製したものを用いた以外は実施例1と同様にして粒子状組成物の作製を試みた。しかしながら、S/O/Wエマルションを、5℃に冷却したアラビアガムとデカグリセリンモノオレイン酸エステルの水溶液に添加しても油相部分が固化せず、所望する粒子状組成物を得ることはできなかった。使用した油脂組成物の固体脂含量を表1に示した。
【0104】
【表1】
【0105】
表1より明らかなように、固体脂含量が50%以上90%以下の油脂組成物をマトリクスとして使用した実施例の粒子状組成物は、親水性物質が高含有量で封入された微細な粒子状組成物であり、かつ、人工腸液中での親水性物質の放出率が20%以上と、良好な腸溶性を示す粒子状組成物であることがわかる。
【0106】
(第二の本発明)
<構成脂肪酸組成の分析法>
分析対象の油脂50mgをイソオクタン5mlに溶解し、0.2mol/Lのナトリウムメチラート/メタノール溶液1mlを加えて70℃で15分間反応させることにより油脂中の構成脂肪酸をメチルエステル化し、酢酸により反応液を中和した後に適量の水を加え、得られた有機相中の脂肪酸メチルエステルをガスクロマトグラフ(型番:6890N、Agilent製)により検出することで、分析対象油脂中の構成脂肪酸組成を分析した。
【0107】
<各トリグリセライド含量の測定>
分析対象油脂中の各トリグリセライド組成とそれぞれの含有量は、キャピラリーカラムを装備した水素炎イオン検出器付きのガスクロマトグラフィーにて分析し、得られたチャートのリテンションタイムおよびピークエリア比より求めた。測定条件は以下の通りである。
カラム:TAP−CB(ジーエルサイエンス株式会社製)、内径0.2mm、長さ25m
温度条件:開始温度100℃、昇温速度10℃/分で320℃まで上昇させた後、320℃で8分間保持
<崩壊試験法>
上述した方法と同様にして、37℃で20分、40分、1時間、3時間処理後の親水性物質の放出率を評価した。
【0108】
(実施例18)
中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)500gおよびナタネ極度硬化油(太陽油脂製)500gを80℃で加熱混合した。そこへ固定化リパーゼ(商品名「Lipozime TL IM」、ノボザイムズ製)10gを添加し、80℃で撹拌しながら24時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。その後、該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ過画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0109】
上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度35℃に加熱して、溶融させておいた中融点画分20gとテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度35℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ70℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してS/O型マイクロカプセルを得た。該マイクロカプセルを用いて崩壊試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0110】
(実施例19)
ナタネ極度硬化油(太陽油脂製)900gにラウリン酸(和光純薬製)を400gとヘキサン(和光純薬製)2600gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM 」、ノボザイムズ製)15gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂を70℃まで加熱した後、撹拌しながら46℃まで冷却した。46℃で300分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去し、分別油脂を得た。得られた分別油脂のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0111】
上記エステル交換油脂の分別油脂をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた分別油脂20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、25%アンセリン水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度70℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ40℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してアンセリンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0112】
(実施例20)
ナタネ極度硬化油(太陽油脂製)450gにラウリン酸(和光純薬製)を500gとヘキサン(和光純薬製)1900gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM 」、ノボザイムズ製)15gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0113】
上記エステル交換油脂をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた分別油脂20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、25%アンセリン水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度40℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ40℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してアンセリンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0114】
(実施例21)
トリパルミチン(和光純薬製)900gにラウリン酸(和光純薬製)を400gとヘキサン(和光純薬製)2400gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM」、ノボザイムズ製)13gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。その後、該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ液画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0115】
上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた中融点画分20gおよびショ糖エルカ酸エステル(商品名「ER290」、三菱化学フーズ製)1.0gからなる油性成分に、ラクトフェリン1gを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス株式会製)で分散してS/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、2流体ノズル(空円錐スプレーノズル、株式会社いけうち製)に0.3MPaの圧力でポンプ送液し、10℃の冷却場に噴霧することでラクトフェリンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0116】
(実施例22)
トリパルミチン900gにカプリン酸(和光純薬製)を400gとヘキサン(和光純薬製)2400gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM 」、ノボザイムズ製)13gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した。その後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去した。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ過画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0117】
上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた分別油脂20gおよびショ糖エルカ酸エステル(商品名「ER290」、三菱化学フーズ製)1.0gからなる油性成分に、ラクトフェリン1gを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス株式会社製)で分散してS/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、2流体ノズル(空円錐スプレーノズル、株式会社いけうち製)に0.3MPaの圧力でポンプ送液し、10℃の冷却場に噴霧することでラクトフェリンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0118】
(実施例23)
中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)500gおよびナタネ極度硬化油(太陽油脂製)500gを混合し、90℃、真空度4.0kPaで加熱脱水後、ナトリウムメチラート1gを添加し、90℃、真空度4.0kPaで20分間エステル交換反応を行なった。反応後、十分な水を加え反応を停止させると同時に発生した石鹸分を取り除いた。その後、90℃、真空度4.0kPaで加熱脱水し、白土(水澤化学製)を20g加え、10分保持し、ろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用い、吸引濾過により白土を濾別してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ過画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0119】
上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度60℃に加熱して、溶融させておいた分別油脂20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、30%グルタチオン水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度35℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ35℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してグルタチオンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0120】
(実施例24)
ナタネ極度硬化油(太陽油脂製)900gにカプリン酸(和光純薬製)を400gとヘキサン(和光純薬製)2400gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM」、ノボザイムズ製)13gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した。その後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去してエステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。その後、該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ過画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0121】
上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた分別油脂20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、30%グルタチオン水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度40℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ40℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してグルタチオンを内包するS/O型マイクロカプセルを得た。
【0122】
(実施例25)
ナタネ極度硬化油(太陽油脂製)450gにラウリン酸(和光純薬製)を500gとヘキサン(和光純薬製)1900gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM」、ノボザイムズ製)15gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した。その後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去し、エステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂20gに、中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)10gを40℃で添加混合し、混合油脂を調製した。得られた混合油脂のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0123】
上記エステル交換油脂の中鎖脂肪酸トリグリセライドとの混合油脂をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを、下記のようにして作成した。
【0124】
あらかじめ温度40℃に加熱して、溶融させておいた上記混合油脂にテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号を含有する水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度40℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ40℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してS/O型マイクロカプセルを得た。
【0125】
(実施例26)
中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)300gにステアリン酸(和光純薬製)を700gとヘキサン(和光純薬製)2000gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名Lipozyme RMIM (ノボザイムズ製))13gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した。その後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去した。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。その後、該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ液画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。得られた中融点画分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。上記エステル交換油脂の中融点画分をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度50℃に加熱して、溶融させておいた中融点画分20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号を含有する水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度50℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ50℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してS/O型マイクロカプセルを得た。該マイクロカプセルを用いて崩壊試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0126】
(実施例27)
中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)300gにステアリン酸(和光純薬製)を700gとヘキサン(和光純薬製)2000gを加え55℃まで加熱した。そこへ固定化1,3位特異リパーゼ(商品名「Lipozyme RMIM」、ノボザイムズ製)13gを添加し、55℃で撹拌しながら8時間エステル交換反応を行なった。反応終了後、80℃でろ紙(アドバンテック東洋製;No.1)を用いて吸引濾過により固定化リパーゼを濾別除去した。その後、薄膜蒸留装置(柴田科学製)によって流速100mL/h、蒸留温度200℃、真空度6.7Paにてヘキサンと脂肪酸を除去した。得られたエステル交換油脂300gにn−ヘキサン900gを加え、45℃に加温し、エステル交換油脂を完全に溶解させた。その後、該エステル交換油脂のヘキサン溶液を撹拌しながら0.5℃/分の速度で20℃に冷却した。20℃で40分間保持後、吸引濾過により濾別して結晶画分を除去した。得られたろ過画分を35℃に加温し、10分間保持後、撹拌しながら0.5℃/分の速度で0℃に冷却した。0℃で30分間保持後、得られた結晶画分を吸引濾過により濾別して回収し、ヘキサンをエバポレーターで留去後、210℃で水蒸気蒸留を行い、中融点画分を得た。該中融点画分20gに液油として中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)2.0gを45℃で添加混合して混合油脂を作成した。得られた混合油脂のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0127】
上記エステル交換油脂の中融点画分と液油の混合油脂をマトリクスとするS/O型マイクロカプセルを下記のようにして作成した。あらかじめ温度45℃に加熱して、溶融させておいた上記混合油脂とテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号を含有する水溶液10mLを添加し、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度45℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ45℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してS/O型マイクロカプセルを得た。該マイクロカプセルを用いて崩壊試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0128】
(実施例28)
錠剤コーティング結晶セルロース50g、ステアリン酸マグネシウム0.5g、ラクトフェリン50gを混合し、打錠機(WPM−5、岡田精工製)にて直径12.0mmの杵を用い、打錠圧0.5ton/cm
2で打錠し、錠剤を得た。次に実施例26にて作製したエステル交換油脂の中融点画分を55℃に加温して溶融し、コーティング用油脂とした。作製した錠剤を転動させながら、1流体ノズル(空円錐スプレーノズル、株式会社いけうち製)より該コーティング用油脂を噴霧して錠剤表面にコーティング処理を行ない、錠剤表面に厚さ約0.5mmの被覆用油脂層を有するコーティング錠剤を得た。
【0129】
(比較例3)
あらかじめ温度80℃に加熱して、溶融させておいたトリパルミチン(和光純薬製、トリパルミチン酸含量98.2重量%)20gおよびテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gからなる油性成分に、10重量%食用赤色102号を含有する水溶液10mLを添加し、ホモジナイザーで乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度80℃、圧力13kPaの減圧条件で撹拌しながら水分除去を20分間行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションを、あらかじめ70℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム、0.05重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液300mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションに調製した以外は実施例18と同様にしてS/O型マイクロカプセルを得た。該マイクロカプセルを用いて崩壊試験を行なった。その結果を表3に示す。
【0130】
(比較例4)
中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名「アクターM2」、理研ビタミン製)20gとテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名「ポエムPR−100」、理研ビタミン製)1.0gに、45℃で温調しておいた実施例20の油脂30gを混合し、油性成分を調製した。得られた油性成分のトリグリセライド組成とそれぞれの含有量、及び、炭素数14以上の飽和脂肪酸割合を表2に示す。
【0131】
上記油性成分に、10重量%食用赤色102号水溶液10mLを添加し35℃で温調後、ホモジナイザー(T.K.ホモミキサー MARKII20型、プライミクス製)で乳化分散してW/Oエマルションを調製した。つづいて、該W/Oエマルションを、温度70℃、圧力13kPaの減圧条件で30分間撹拌しながら水分除去を行い、S/Oサスペンションを得た。該S/Oサスペンションに、あらかじめ45℃に加熱しておいた0.5重量%アラビアガム(商品名「ガムアラビックSD」、三栄源エフ・エフ・アイ製)、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名「ポエムJ−0381V」、理研ビタミン製)含有水溶液200mLに添加し、ディスクタービン翼を用いて撹拌して、S/O/Wエマルションを調製した。その後、該S/O/Wエマルションを、あらかじめ5℃に冷却しておいた0.5重量%アラビアガム、0.03重量%デカグリセリンモノオレイン酸エステル含有水溶液400mLに一度に添加して急冷させた後、吸引濾過、真空乾燥してS/O型マイクロカプセルを得た。得られたマイクロカプセルは非常に軟質で、ベタツキがあり、粒子同士が固着して取扱いができなかった。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
上記結果より、構成脂肪酸として、少なくとも炭素数6〜12の飽和脂肪酸と炭素数14以上の飽和脂肪酸の両方を有するトリグリセライドを45重量%以上含有し、且つ全油脂の構成脂肪酸中の炭素数14以上の飽和脂肪酸の割合が50重量%を超える油脂組成物をマトリクス成分として使用したS/O型マイクロカプセル製剤は、良好な腸溶性を示すことがわかる。