(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
その前側の打球フェース部分と、前側とは反対の後端側と、トップ部分と、ソール部分とを含むウッドタイプゴルフクラブヘッドボディを備えるゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフクラブヘッドボディが、
打球フェース部分の最前点から後側の最後点まで延びる最大幅、
トップ部分の最上点からソール部分の最下点まで延びる最大深さ、
トップ部分からソール部分まで延び、かつゴルフクラブヘッドボディの第一の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第一の部分、
トップ部分からソール部分まで延び、かつ第一の深さよりも小さい第二の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第二の部分
を含み、
ゴルフクラブヘッドボディのソール部分が、第一の部分のソール領域を第二の部分のソール領域から分ける傾斜した境界部分を含むように構成され、傾斜した境界部分が、少なくとも2mmの高さを有しかつ第一の部分のソール領域から第二の部分のソール領域まで延び、それによって、ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分と第二の部分との間に深さ移行部を画定し、
さらに、打球フェース部分の最前点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、クラブヘッドボディのヒール縁上またはそれに近接する点から、後側の最後点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、クラブヘッドボディのトウ縁上またはそれに近接する点まで、傾斜した境界部分がソール部分を横切って延び、かつ
さらに、ゴルフクラブヘッドボディの重心がトウ縁よりもヒール縁の近くに配置されるように、第一の部分および第二の部分が構成されている、
ゴルフクラブヘッド。
第一の部分が、打球フェース部分に沿ってヒール縁からトウ縁に向かう方向に延び、かつヒール縁の少なくとも70%に沿っても延びる、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
ゴルフクラブヘッドボディの体積の大部分およびゴルフクラブヘッドボディの質量の大部分がゴルフクラブヘッドボディのトウ側よりもヒール側の近くに配置されている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
第一の部分のソール領域の面積が、ゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の少なくとも50%であり、かつ第二の部分のソール領域の面積が、ゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の50%またはそれ未満である、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
その前側の打球フェース部分と、前側とは反対の後側と、トップ部分と、ソール部分とを含むウッドタイプゴルフクラブヘッドボディを備えるゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフクラブヘッドボディが、
打球フェース部分の最前点から後側の最後点まで延びる最大幅、
トップ部分の最上点からソール部分の最下点まで延びる最大深さ、
トップ部分からソール部分まで延び、かつゴルフクラブヘッドボディの第一の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第一の部分、
トップ部分からソール部分まで延び、かつ第一の深さよりも小さい第二の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第二の部分
を含み、
ゴルフクラブヘッドボディのソール部分が、第一の部分のソール領域を第二の部分のソール領域から分ける傾斜した境界部分を含むように構成され、傾斜した境界部分が、少なくとも2mmの高さを有しかつ第一の部分のソール領域から第二の部分のソール領域まで延び、それによって、ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分と第二の部分との間に深さ移行部を画定し、
さらに、打球フェース部分の最前点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、クラブヘッドボディのトウ縁上またはそれに近接する点から、後側の最後点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、クラブヘッドボディのヒール縁上またはそれに近接する点まで、傾斜した境界部分がソール部分を横切って延び、かつ
さらに、ゴルフクラブヘッドボディの重心がヒール縁よりもトウ縁の近くに配置されるように、第一の部分および第二の部分が構成されている、
ゴルフクラブヘッド。
その前側の打球フェース部分と、前側とは反対の後側と、トップ部分と、ソール部分とを含むウッドタイプゴルフクラブヘッドボディを備えるゴルフクラブヘッドであって、
ゴルフクラブヘッドボディが、
打球フェース部分の最前点から後側の最後点まで延びる最大幅、
トップ部分の最上点からソール部分の最下点まで延びる最大深さ、
トップ部分からソール部分まで延び、かつゴルフクラブヘッドボディの第一の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第一の部分、
トップ部分からソール部分まで延び、かつ第一の深さよりも小さい第二の深さを含むゴルフクラブヘッドボディの第二の部分
を含み、
ゴルフクラブヘッドボディのトップ部分が、第一の部分のトップ領域を第二の部分のトップ領域から分ける傾斜した境界部分を含むように構成され、傾斜した境界部分が、少なくとも2mmの高さを有しかつ第一の部分のトップ領域から第二の部分のトップ領域まで延び、それによって、ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分と第二の部分との間に深さ移行部を画定する、
さらに、打球フェース部分の最前点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、ゴルフクラブボディのヒール縁上またはそれに近接する点から、後側の最後点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも70%となる、ゴルフクラブヘッドボディのトウ縁上またはそれに近接する点まで、傾斜した境界部分がトップ部分を横切って延び、かつ
さらに、ゴルフクラブヘッドボディの重心がトウ縁よりもヒール縁の近くに配置されるように、第一の部分および第二の部分が構成されている、
ゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
以下の詳細な説明および添付図面が本開示の例のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブの特徴を開示する。
【0027】
I. 本発明の例示的ゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよび方法の概説
上記のように、一部のプレーヤは、ゴルフボールを所期および所望の方向に、および/または所期および所望の弾道で確実に打つことに困難を感じている。したがって、本開示の局面は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および体積が、プレーヤがボールを所期および所望の方向に、および/または所期および所望の弾道で確実にボールを打つのを支援するように配分された状態で構成されたゴルフクラブヘッドに関する。本開示の特定の局面は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積が、その重心の位置を従来のゴルフクラブヘッドボディと比べて変化させるように配分されているゴルフクラブヘッドボディに関する。本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積の配分は、ボールとの衝突時にゴルフクラブヘッドを直角に向ける、および/またはゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打つとき特定の弾道および/またはスピンをゴルフボールに付与するのを支援する。
【0028】
たとえば、本開示の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積のより多くがゴルフクラブヘッドのヒール側寄りに配分されるように配置されている。そのような構成は、「スライス」傾向のあるゴルファーに役立ち得る。「スライス」とは、ボールが打たれた側から離れる方向にボールをカーブさせる逸脱したゴルフショットである。たとえば、右利きのゴルファーの場合、スライスはゴルフボールを右にカーブさせる。ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをクラブヘッドボディのヒール側寄りに配置すると、スイング時、ゴルフクラブヘッドのトウと比べてヒールを減速させるのに役立つことができる。これは、ゴルファーがスイング時にクラブヘッドをより直角に向けることを可能にし、それが、より少ない「スライス」(すなわち、よりまっすぐな弾道)を生じさせ得る。したがって、本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、クラブヘッドの質量および/または体積の少なくとも半分よりも多くがクラブヘッドのヒール側(クラブヘッドの幾何学的中心を前後方向に通過する中心軸に対して)にあるように配分される。
【0029】
本開示の別の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積のより多くがゴルフクラブヘッドの後側寄り(かつ場合によってはボトム寄りに)に配分されるように配置されている。そのような構成は、ゴルファーがボールを浮かせるのに役立ち得る。多くのゴルファー、特に初心者が経験する共通の問題は、ボールを確実に浮かせる(すなわち、高く上がる弾道)ことができないことである。ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをゴルフクラブヘッドの後部中および/またはボトム寄りに配置することは、ゴルフクラブヘッドボディの重量のより多くを後方に、かつ低く維持する。これは、ゴルファーがボールをクラブヘッドで打ったのちボールを浮かせるのを支援する(すなわち、より高く上がる弾道を提供する)。
【0030】
本開示の別の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積のより多くがゴルフクラブヘッドボディの後側寄りに、かつゴルフクラブヘッドボディのヒール側寄りに配分されるように配置されている。そのような構成は、ゴルファーがボールを浮かせ、かつ「スライス」を補正する、いずれにも役立ち得る。したがって、本開示の他の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積の少なくとも半分よりも多くがゴルフクラブヘッドボディの後ヒール側(クラブヘッドの幾何学的中心を前ヒール−後トウ方向に通過する対角線に対して)にあるように配分される。さらに、本開示の他の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積の少なくとも4分の1よりも多くがゴルフクラブヘッドボディの後ヒール四半分(クラブヘッドの幾何学的中心に位置する中央座標系に対して)中にあるように配分される。
【0031】
本開示の他の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積のより多くがゴルフクラブヘッドの他の異なる区域に配分されるように配置されている(たとえば、「フック」するゴルフショットを補正するためにはトウ側寄りに配置されている、より突き抜けるような、かつあまり高く上がらないショットの場合にはトップ寄りに配置されている、など)。
【0032】
本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、クラブヘッドボディの構成が、増大した深さまたは厚さ(ゴルフクラブヘッドの他の部分および/または従来のゴルフクラブヘッドと比べて)を有する第一の部分を含むように配分される。たとえば、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフクラブヘッド(上記のような)のヒール側において増大した厚さまたは深さを有する。本開示の他の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、クラブヘッド(上記のような)の後ヒール側において増大した厚さまたは深さを有する。本開示のいくつかの他の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、クラブヘッド(上記のような)の後ヒール四半分において増大した厚さまたは深さを有する。
【0033】
本開示のいくつかの例示的構造において、増大した深さまたは厚さを有する第一の部分に加えて、ゴルフクラブヘッドは、減少した深さまたは厚さ(ゴルフクラブヘッドの他の部分および/または従来のゴルフクラブヘッドと比べて)を有する第二の部分を含み得る。第二の部分は、上記第一の部分に比較して、より薄い部分(たとえば、凹んだ、または下がった部分)を含み得る。第一および第二の部分は境界部分によって分けられ得る。たとえば、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、ヒール側において増大した厚さまたは深さを有し(上記のように)、トウ側において減少した厚さまたは深さを有する。本開示の少なくともいくつかの局面の別の例は、クラブヘッドの後ヒール側において増大した深さまたは厚さを有し(上記のように)、ゴルフクラブヘッドの残り部分において減少した深さまたは厚さを有するゴルフクラブヘッドボディである。本開示の少なくともいくつかの局面の別の例は、クラブヘッドの後ヒール四半分において増大した深さまたは厚さを有し(上記のように)、ゴルフクラブヘッドの残り部分において減少した深さまたは厚さを有するゴルフクラブヘッドボディである。
【0034】
本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、クラブヘッドボディの構成が「隆起」部分および「窪み」部分を含むように配分される。「隆起」および「窪み」部分は互いに別個であり得る。たとえば、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフクラブヘッドボディ(上記のような)のヒール側においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分、およびゴルフクラブヘッドボディのトウ側においてゴルフクラブヘッドボディの中に陥没する(クラブヘッドのクラウン、ソールまたは他の特徴のベース面レベルに対して)「窪み」部分を有する。本開示の少なくともいくつかの局面の別の例は、ゴルフクラブヘッドボディ(上記のような)の後ヒール側においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分、およびゴルフクラブヘッドボディの残り部分の少なくともいくらかにおいてゴルフクラブヘッドボディの中に陥没する「窪み」部分を有するゴルフクラブヘッドボディである。本開示の少なくともいくつかの局面の別の例は、クラブヘッド(上記のような)の後ヒール四半分においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分およびゴルフクラブヘッドボディの残り部分の少なくともいくらかにおいて減少した深さまたは厚さを有するゴルフクラブヘッドボディである。
【0035】
上記のようなゴルフクラブヘッドボディの構成は、ゴルフクラブヘッドボディのより薄いまたは「窪み」部分と比べてより多くの質量および/または体積をゴルフクラブヘッドボディのより厚いまたは「隆起」部分に提供し得る。したがって、そのような構成は、ゴルフクラブヘッドボディの重心を、より薄いまたは「窪み」部分から、より厚いまたは「隆起」部分に移動させる。このようにして、ゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたときのゴルフボールの弾道を偏らせるように構成されることができる。たとえば、ドロー、フェード、高く上がる、突き抜けるなどの偏った弾道を達成することができる。「フェード」とは、ボールが打たれた側から離れる方向にボールを軽くカーブさせるゴルフショットである。逆に、「ドロー」とは、ボールが打たれた側に向かう方向にボールを軽くカーブさせるゴルフショットである。
【0036】
本開示の局面はウッドタイプまたはアイアンタイプゴルフクラブヘッドに関する。本開示の少なくともいくつかの例示的局面のウッドタイプゴルフクラブヘッドは、(a)ウッドタイプゴルフクラブヘッドボディと、(b)クラブヘッドボディの前側の打球フェース部分と、(c)前側とは反対の後側と、(d)トウ側と、(e)ヒール側とを含み得る。本開示の少なくともいくつかの例示的局面のアイアンタイプゴルフクラブヘッドは、(a)アイアンタイプゴルフクラブヘッドボディと、(b)クラブヘッドボディの前側の打球フェース部分と、(c)前側とは反対の後側と、(d)トウ側と、(e)ヒール側とを含み得る。ゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき所望の偏った弾道をゴルフボールに付与するために上記のように質量および/または体積がクラブヘッドボディの各部分に配分された状態で構成されている。
【0037】
本開示を逸脱することなく、クラブヘッドボディそのものはまた、当技術分野において公知であり、かつ使用されている従来の材料および/または従来のやり方を含む任意の適切なまたは所望のやり方および/または任意の適切なまたは所望の材料で構成し得る。たとえば、クラブヘッドボディは、打球フェース部分(フェースプレートとフレーム部分とがいっしょになって打球フェース部分全体を構成するように打球フェース部分と一体に形成された、またはフレーム部材に取り付けられた打球フェースプレートを含む)を含み得る。
【0038】
本開示を逸脱することなく、多種多様なクラブヘッド全体構成が可能である。たとえば、必要に応じて、上記クラブヘッドボディの様々な個々のパーツのいくつかまたはすべては、一体に接続される(たとえば接着剤またはセメントによって、溶接、はんだ付け、ろう付けまたは他の融着技術によって、機械的コネクタなどによって)多数のピースから作り得る。様々なパーツ(たとえばトップ部分、ソール部分、カップフェース、アフトボディ、クラウン部材、ボディリボン部材など)は、当技術分野において従来から公知であり、かつ使用されている材料、たとえば軽金属材料を含む金属材料(たとえばチタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金など)、複合材料、ポリマー材料などを含む任意の所望の材料および異なる材料の組み合わせから作り得る。クラブヘッドボディおよび/またはその様々なパーツは、鍛造、鋳造、成形、機械加工によって、および/または当技術分野において一般的であり、かつ公知である技術およびプロセスを含む他の技術およびプロセスを使用して作り得る。
【0039】
本開示のゴルフクラブ構造に関して、ゴルフクラブ構造(ウッドまたはアイアン)全体は、ホーゼル領域、ホーゼル領域に受けられた、および/または挿入された、および/または通されたシャフト部材およびシャフト部材に取り付けられたグリップまたはハンドル部材を含み得る。場合によっては、必要に応じて、外部ホーゼル領域をなくし得、そしてシャフト部材をヘッド部材に直接挿入する、および/または他のやり方で取り付けられ得る(たとえば、クラブヘッドのトップに設けられた開口に通して、内部ホーゼル部材(たとえば、クラブヘッドによって画定された内部チャンバ内に提供された)を介して、など)。ホーゼル部材は、クラブヘッド構造の一部として一体に形成されてもよく、または別個に形成し、それと係合されてもよい(たとえば、接着剤またはセメントによって、溶接、ろう付け、はんだ付けまたは他の融着技術によって、機械的コネクタなどによって)。本開示を逸脱することなく、従来のホーゼルおよびアイアンまたはウッドタイプクラブヘッド構造へのその組み込みを使用することができる。
【0040】
本開示を逸脱することなく、シャフト部材は、当技術分野において公知であり、かつ使用されている従来のやり方を含む任意の適切なまたは所望のやり方でクラブヘッドに受ける、それと係合させる、および/またはそれに取り付け得る。より具体的な例として、シャフト部材は、ホーゼル部材を介して、および/またはクラブヘッド構造に直接、たとえば接着剤、セメント、溶接、はんだ付け、機械的コネクタ(たとえばねじ、保定要素など)などによって、クラブヘッドボディ中に延びるシャフト受けスリーブまたは要素を介してなど、クラブヘッドと係合させ得る。必要に応じて、シャフトは、ヘッド上で一つのシャフトと別のシャフトとの容易な交換を可能にするために、機械的コネクタを使用して解放可能なやり方でヘッドに接続され得る。
【0041】
シャフト部材はまた、当技術分野において公知であり、かつ使用されている従来の材料を含む任意の適切なまたは所望の材料、たとえばグラファイト系材料、複合材または他の非金属材料、鋼材料(ステンレス鋼を含む)、アルミニウム材料、他の金属合金材料、ポリマー材料、種々の材料の組み合わせなどから作られ得る。また、グリップまたはハンドル部材は、当技術分野において公知であり、かつ使用されている従来のやり方を含む任意の適切なまたは所望のやり方で、たとえば、接着剤またはセメントを使用して、溶接、はんだ付け、ろう付けなどによって、機械的コネクタ(たとえばねじ、保定要素など)を介してなど、シャフト部材に取り付ける、それと係合させる、および/またはそれから延ばし得る。別の例として、必要に応じて、グリップまたはハンドル部材は、シャフト部材と一体の1ピース構造として一体に形成され得る。さらには、本開示を逸脱することなく、任意の所望のグリップまたはハンドル部材材料、たとえばゴム材料、皮革材料、その中に埋め込まれたコードまたは他の布材料を含むゴムまたは他の材料、ポリマー材料、コルク材料などを使用され得る。
【0042】
本開示のさらに他のさらなる局面は、本開示の例のアイアンまたはウッドタイプゴルフクラブヘッドおよびアイアンまたはウッドタイプゴルフクラブ構造を製造する方法に関する。このような方法は、たとえば、以下の工程、すなわち(a)上記様々なタイプのウッドタイプまたはアイアンタイプゴルフクラブヘッドボディおよび/またはゴルフクラブヘッド(上記様々な構造、特徴および/または配設のいずれかまたはすべてを含む)を、たとえばゴルフクラブヘッドボディまたはゴルフクラブヘッドを製造または他のやり方で構築すること、第三者供給源から得ることなどによって提供する工程、(b)シャフト部材をゴルフクラブヘッドと係合させる工程、(c)グリップ部材をシャフト部材と係合させる工程などの一つまたは複数を任意の所望の順序および/または組み合わせで含み得る。
【0043】
上記で提供された本開示の様々な例示的局面の概説を提供したところで、以下、本開示のゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド構造の様々な具体例のより詳細な説明を提供する。
【0044】
II. 本発明の例示的ゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブ構造および方法の詳細な説明
以下の詳細な説明および添付図面が本開示の様々な例示的ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド構造を説明する。同じ参照番号が一つより多い図面に見られる場合、その参照番号は、本明細書および図面を通して同じまたは類似パーツを指すために一貫して使用される。
【0045】
本開示の一つまたは複数の局面の例示的態様が
図1A〜3Eに示されている。
図1Aは概して、本開示のウッドタイプゴルフクラブヘッドの例を示す。本開示のいくつかの局面にしたがって、クラブヘッドボディ102の寸法は、200〜500立方センチメートルの体積を含み得る。
図1Aおよび2に見られるように、この図示される例のクラブヘッドボディ102は、その前側の打球フェース部分108と、前側とは反対の後側110と、クラウン(またはトップ)部分112と、ソール部分114と、トウ側およびトウ縁116と、ヒール側およびヒール縁118とを含む。
図1Aおよび2にさらに見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ102は、概ね長方形または正方形の形状を有し得る(しかしそれが求められるわけではない)。さらに、ゴルフクラブヘッドボディ102は、打球フェース部分108の最前点Pから後側110の最後点Pまで延びる最大幅、およびクラウン部分112の最上点からソール部分114の最下点まで延びる最大深さを含む。さらには、
図1Aに見られるように、ゴルフクラブヘッド102の幾何学的中心が参照番号101によってシンボル的に示されている。また、
図1Bに見られるように、ゴルフクラブヘッドボディのヒール側(打球フェースからクラブヘッドの幾何学的中心101を前後方向に通過する中心線に対して)が参照番号103によって示されている。
【0046】
本開示の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッドボディ102のヒール側103寄りおよびヒール縁118寄りに配分されるように配置されている。たとえば、本開示の特定の局面にしたがって、クラブヘッドボディの質量の少なくとも51%および/または体積の少なくとも51%がゴルフクラブヘッドボディのヒール側103に配置されている。本開示の他の局面においては、質量の少なくとも55%および/または体積の少なくとも55%、質量の少なくとも60%および/または体積の少なくとも60%、質量の少なくとも65%および/または体積の少なくとも65%がヒール側103に配置され得る。本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディ102の構成(たとえば形状および/または外形)こそが、上記質量、体積および幾何学的特徴を提供するものである。
【0047】
たとえば、本開示の一つの局面にしたがって上記質量、体積および幾何学的特徴を提供するために、ゴルフクラブヘッドボディ102は第一の部分120および第二の部分122を含む。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分120は、クラウン部分112からソール部分114まで延び、ゴルフクラブヘッドボディ102の最大深さを含み得る。ゴルフクラブヘッドボディの第二の部分122もまた、クラウン部分112からソール部分114まで延びている。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分120は、第二の部分122よりも大きい深さを有する。換言するならば、クラウンからソールまで計測される第一の部分120の最大の全高または全厚は、クラウンからソールまで計測される第二の部分122の最大の全高または全厚よりも大きい。たとえば、本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分120の最大深さまたは最大の全高もしくは全厚は、第二の部分120の最大深さまたは最大の全高もしくは全厚よりも2〜50mm大きい場合がある。換言するならば、高さの差(たとえば、一つの部分から次の部分までの段の全高)は2〜50mmの範囲であり得る。したがって、クラブがアドレス位置にあるとき(たとえば
図1Aを参照)、第一の部分120の少なくともいくらかの部分は第二の部分122よりも2〜50mm低い。他の例示的態様は、この厚さの差を4〜45mm、6〜40mm、8〜35mmおよび12〜30mmの範囲にするであろう。他の態様において、二つの部分の間の最大深さまたは最大の全高もしくは全厚の差は50mmを超え得る。この例示的態様における第二の部分122はゴルフクラブヘッドボディ102のより薄い領域である。換言するならば、第二の部分122は、ゴルフクラブヘッドボディ102の凹んだ、または下がった部分であり得る。たとえば、
図2に示すように、第二の部分122のソール領域122aは第一の部分120のソール領域120aに対して沈み得る(たとえば2〜50mmまたはより大きく)。
【0048】
図2に見られるように、第一の部分120および第二の部分122は、クラブヘッドボディ102の厚さ/深さが変化する傾斜した境界部分124において分けられている。図示するように、傾斜した境界部分124は、第一の部分120のソール領域120aを第二の部分122のソール領域122aから分け、第一の部分120と第二の部分122との間に深さ移行部を画定している。境界124のサイズ(たとえば高さ、幅)および傾斜は、第一および第二の部分120、122の間の深さの差に依存する。たとえば、本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分と第二の部分との間で計測される境界の高さ/幅は、たとえば2〜50mmまたはより大きい範囲であり得る。さらには、境界の傾斜は、クラブがアドレス位置にあるときの水平面から10〜90°の範囲であり得る。傾斜した境界部分124は、最初の二つの部分のいずれのソール領域の曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜を有し得るということが留意される。換言するならば、従来のゴルフクラブは、傾斜を有する(たとえば凸形の)ソールを有し、したがって、その傾斜または凸形によって画定される、ソールに沿った曲率勾配を有し得る。本開示のゴルフクラブにおいては、第一の部分のソール領域および第二の部分のソール領域の両方にそのような傾斜または曲率勾配があり得る。しかし、傾斜した境界部分124は、第一または第二のソール領域のいずれのそのような曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜を有する(すなわち、傾斜した境界部分124は、曲率または傾斜における突然の変化を構成し得る)。事実、傾斜した境界部分124の急峻さは、切り欠き、窪み、沈み込みなどがある構成または形状をソール部分114に提供し得る。
【0049】
図示される態様において、傾斜した境界部分124は、ゴルフクラブヘッドボディ102のソール部分114に沿って概ね直線状に延びている。たとえば、傾斜した境界部分124は、後側110における、またはそれに近接する点から打球フェース部分108における、またはそれに近接する点までソール部分を横切って延び得る。いくつかの態様にしたがって、傾斜した境界部分124は、
図1Bに示すようにゴルフクラブヘッドボディのヒール側およびゴルフクラブヘッドボディのトウ側を画定する、クラブヘッドの幾何学的中心を前後方向に通過する中心線に沿って延び得る。図示される態様に見られるように、傾斜した境界部分124は、ゴルフクラブヘッドボディのソール全体を横切って延びることができる(または、他の態様においては、ゴルフクラブヘッドボディ102のソールに沿って部分的に延びてもよく、または前および後側と滑らかに変形するように構成されてもよい)。したがって、第一の部分120および第二の部分122は、概ね長方形の区域を有し得るが、第一および第二の部分は長方形でなくてもよいということが留意される。円形またはL字形のような他の形状を使用し得る。当然、傾斜した境界部分124は、そのようないかなる形状にも変形させることができる。
【0050】
本開示のいくつかの態様にしたがって、第一の部分120のソール領域120aの面積は第二の部分122のソール領域122aの面積に実質的に等しくあり得る。たとえば、第一の部分のソール領域の面積は、第二の部分のソール領域の面積の80%〜120%の範囲内であり得る。他の態様において、範囲はより狭くてもよいし、さらに他の態様において、面積の差はより大きくてもよい。いくつかの態様にしたがって、第一の部分120のソール領域120aの面積は第二の部分122のソール領域122aの面積よりも大きい場合がある。たとえば、第一の部分のソール領域の面積はゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の少なくとも50%であり得、第二の部分のソール領域の面積はゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の50%またはそれ未満であり得る。
【0051】
さらには、第二の部分122のソール領域122aが第一の部分120のソール領域120aによって包囲されてもよく(すなわち、第二の部分122のソール領域122aは、第一の部分120のソール領域120a内の「切り抜き」として構成され得る)、または、第一の部分120のソール領域120aが第二の部分122のソール領域122aによって包囲されてもよいことが留意される。以下、ソール部分の特徴の様々な例をさらに詳細に説明する。
【0052】
ゴルフクラブヘッドボディ102において、第一の部分120および第二の部分122は、ゴルフクラブヘッドボディ102の重心がトウ縁116よりもヒール縁118の近くに配置されるように構成され、ウェイト付けされている。さらに、第一の部分120および第二の部分122は、ゴルフクラブヘッドボディ102の体積の大部分およびゴルフクラブヘッドボディ102の質量の大部分がトウ縁116よりもヒール縁118の近くに配置されるように構成されている。重心が移動する距離は、第一の部分と第二の部分との間の質量および/または体積の量の差に依存する。たとえば、本開示のクラブヘッド構造の体積、ウェイト付けおよび質量特徴により、クラブヘッドの重心を、前後に延びる幾何学的中心線からヒール方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはより少なくとも1インチ移動し得る。重心移動の結果として、ゴルフクラブヘッドボディのこの構成は、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローに偏る弾道をゴルフボールに提供し得る(そして、スライスする弾道を軽減するのに役立ち得る)。
【0053】
図3Aは、
図2に示す3−3線から見たゴルフクラブヘッドボディ102の断面図である。
図3Aの断面図は、第一の部分120と第二の部分122との間の高さの変化Eを示す。高さの変化は、第一および第二の部分120、122の間の深さの差に依存する。上記のように、深さのこの差は2〜50mmまたはより大きい範囲であり得る。
図3Aは、高さの変化Eがある一つの例示的態様を示すが、
図3BおよびCは、高さの変化Eがそれぞれより小さいものおよびより劇的なものである他の例示的態様を示す。
【0054】
さらに、
図3Aに見られるように、第一および第二の部分120および122のソール領域120aおよび122aにおける実際のクラブヘッドボディの壁の断面厚さはわずかである。たとえば、第一の部分の壁厚さは0.05〜10mm、0.5〜8mm、1〜5mmまたは1.5〜2mmであり得、第二の部分の壁厚さは0.025〜9mm、0.5〜8mm、1〜5mmまたは1.5〜2mmであり得る。
図3Dおよび3Eに示す代替態様において、第一の部分120のソール領域120aにおける実際のクラブヘッドボディの壁の断面厚さは、第二の部分122のソール領域122aにおける実際のクラブヘッドボディの壁の断面厚さよりも大きい。それぞれのソール領域の壁厚さにおけるこの差が、さらに多くの質量をゴルフクラブヘッド102のヒール端部分118の近くに集中させることを可能にして、それにより、重心をトウ端部分116よりもヒール端部分118の近くに移動させる。
【0055】
上記のように、ゴルフクラブヘッドボディ102の第二の部分122は、ゴルフクラブヘッドボディ102の第一の部分120に対して凹んだ、または下がった部分であり得る。さらに、下がった部分の体積は、第一の部分120が、凹んだ、または下がった部分のレベルでソール部分114に沿う平面を越えて延びる体積と同じであり得る。換言するならば、第二の部分122におけるクラブヘッドボディ102の「切り欠き」の体積の量を第一の部分120に「加算」して、第一の部分120の深さを増すことができる。したがって、第一の部分の深さは、第二の部分の深さが下げられる同じ量だけ増すことができる一方、クラブヘッドボディの総体積は同じままである。
【0056】
いくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分120は増大した深さを有し(従来のゴルフクラブヘッドと比べて)、クラブヘッドボディの第二の部分122は減少した深さを有するが、クラブヘッドボディの第一および第二の部分は等しい量だけ拡大するか、または凹む必要がないことが留意されよう。たとえば、第一の部分120は、第二の部分122の「切り欠き」の体積よりも多いまたは少ない量だけ増大し得る。したがって、特定のスイングタイプまたはゴルファーの傾向に適合するように偏りの量を制御またはカスタマイズすることができる。
【0057】
また、本開示のいくつかの局面にしたがって、第一の部分120は全く増大させなくてもよいということが留意されよう。その代わりとして、第一の部分120が単に通常の深さであることができ、第二の部分122が特定の量だけ凹んでいることができる。したがって、本開示のいくつかの局面にしたがって、クラブヘッドボディは、第一の部分120が、従来のゴルフクラブヘッドボディと実質的に同じである深さを有し、クラブヘッドボディの第二の部分122が減少した深さまたは厚さを有するように構成され得る。それでもなお、この構成は、その凹み部分が、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くが第一の部分120に配分されることを保証するので、ゴルフクラブヘッドによって打たれたゴルフボールにドローに偏る弾道を生じさせる。
【0058】
図4は、シャフト106およびグリップ107が上に延びるアドレス位置にあるクラブ100を示す。いくつかの態様において、ゴルフクラブヘッドボディ102の打球フェース108のすぐ後の領域は、クラブがアドレス位置に配されたときクラブが地面と接触するときゴルフクラブヘッドボディ102の打球フェース108のすぐ後の領域が安定で平らな面を提供するように均一な深さ(たとえば、ゴルフクラブヘッドボディの最大深さ)にすることができる。換言するならば、ゴルフクラブヘッドボディ102の打球フェース108のすぐ後の領域に沿って(ヒール−トウ方向に)延びるゴルフクラブヘッドの部分は、地面と接触する主要部分であることもでき、したがって、そのような構成は、ゴルフクラブ100がヒール端部分とトウ部分との間で揺動することを防ぐため、ゴルフクラブがアドレス位置にあるとき安定性を提供することもできる。したがって、この構成は、ゴルフクラブ100がアドレス位置にあるとき安定な環境を提供するために、傾斜した境界部分124、ひいては第一の部分120と第二の部分122との間の高さの変化Eを打球フェースのすぐ後の区域からいくぶん離れた位置に配する。
【0059】
図5および6は本発明のゴルフクラブヘッドの代替態様を示す。この態様は、
図2〜3Eに示す態様に類似しており、ゴルフクラブヘッドボディの質量の少なくとも51%をクラブヘッドボディのヒール側に配置することによって同様な質量配分を提供することができるが(たとえば、クラブヘッドボディソールのボディ部分の断面壁厚さに依存する)、しかし傾斜した境界部分は、異なるふうに構成されたゴルフクラブヘッドを形成する。この態様において、傾斜した境界部分524は、ゴルフクラブヘッドボディ502のソール部分514に沿っていくぶん斜めに延びている。たとえば、傾斜した境界部分524は、ヒール縁(後ヒール区域)518における、またはそれに近接する点からトウ縁516(前トウ区域)における、またはそれに近接する点まで、またはそれに向かってソール部分を横切って延び得る。さらに、
図5および6に見られるように、境界524は、ソール部分514に沿ってヒール縁518からトウ縁516に向かって延びるとき概ねS字形のカーブを示し得る。いくつかの態様にしたがって、打球フェース部分508の最前点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも60%となる、ヒール縁518沿いの点から、後側510の最後点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも60%となるトウ縁516沿いの点まで、傾斜した境界部分524はソール部分を横切って延び得る。
図5に見ることができるように、第一の部分520は、打球フェース部分508に沿ってヒール縁518からトウ縁516まで延びている。第一の部分520はまた、ヒール縁518の少なくとも60%に沿って延びている。したがって、第一の部分520は、ゴルフクラブヘッドボディ502のヒール縁518および打球フェース部分508に沿って延びる概ね三角形の区域を有し得る。さらに、
図5に見ることができるように、第二の部分522は、ヒール縁518からトウ縁516まで後側510に沿って延びている。第二の部分522はまた、トウ縁516の少なくとも60%に沿って延びている。したがって、第二の部分522は、ゴルフクラブヘッドボディ502のトウ縁516および後側510に沿って延びる概ね三角形の区域を有し得る。第一および第二の部分は三角形でなくてもよいということが留意されよう。円形またはL字形のような他の形状を使用し得る。当然、傾斜した境界部分524は、そのようないかなる形状にも変形させることができる。
【0060】
本開示のいくつかの態様にしたがって、第一の部分520のソール領域520aの面積は第二の部分522のソール領域522aの面積に実質的に等しくてもよい。たとえば、第一の部分520のソール領域520aの面積は、第二の部分522のソール領域522aの面積の80%〜120%の範囲内であり得る。他の態様において、範囲はより狭くてもよいし、さらに他の態様において、面積の差はより大きくてもよい。いくつかの態様にしたがって、第一の部分520のソール領域520aの面積は第二の部分522のソール領域522aの面積よりも大きい場合がある。たとえば、第一の部分520のソール領域520aの面積は、ゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の少なくとも50%であり得、第二の部分522のソール領域522aの面積は、ゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の50%またはそれ未満であり得る。
【0061】
さらには、第二の部分522のソール領域522aが第一の部分520のソール領域520aによって包囲されてもよく(すなわち、第二の部分522のソール領域522aは、第一の部分520のソール領域520a内の「切り抜き」として構成される)、または、第一の部分520のソール領域520aが第二の部分522のソール領域522aによって包囲されてもよいことに留意されたい。
【0062】
ゴルフクラブヘッドボディ502において、第一の部分520および第二の部分522は、ゴルフクラブヘッドボディ502の重心がトウ縁516よりもヒール縁518の近くに配置されるように構成され、ウェイト付けされている。さらに、第一の部分520および第二の部分522は、ゴルフクラブヘッドボディ502の体積の大部分およびゴルフクラブヘッドボディ502の質量の大部分がトウ縁516よりもヒール縁518の近くに配置されるように構成され、ウェイト付けされている。重心が移動する距離は、第一の部分と第二の部分との間の質量および/または体積の量の差に依存する。たとえば、本開示のクラブヘッド構造の体積、ウェイト付けおよび質量特徴により、クラブヘッドの重心を、前後に延びる幾何学的中心線からヒール方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはさらに少なくとも1インチ移動させ得る。重心移動の結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。
【0063】
本開示の他の局面の例示的態様が
図7〜8に示されている。
図7は概して、本開示のウッドタイプゴルフクラブヘッド702の例を示す。ウッドタイプゴルフクラブヘッド702は、
図8に見られるように、この図示される例のクラブヘッドボディ702が、クラブヘッドボディの前側の打球フェース部分708と、前側とは反対の後側710と、クラウン(またはトップ)部分712と、ソール部分714と、トウ側およびトウ縁716と、ヒール側およびヒール縁718とを含むという点で、前記態様に類似している。さらに、ゴルフクラブヘッドボディ702は、打球フェース部分708の最前点から後側710の最後点まで延びる最大幅、およびクラウン部分712の最上点からソール部分714の最下点まで延びる最大深さを含む。さらには、
図7に見られるように、ゴルフクラブヘッドの幾何学的中心が参照番号701によって示されている。また、
図7に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディの後ヒール側(クラブヘッドの幾何学的中心を前ヒール−後トウ方向に通過する対角中心線に対して)が参照番号703によって示されている。
【0064】
本開示の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッド構造の質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッドボディ702の質量および/または体積のより多くがゴルフクラブヘッドボディの後側710およびゴルフクラブヘッドボディのヒール側寄りの双方に配分されるように配置されている。たとえば、本開示の特定の局面にしたがって、クラブヘッドボディの質量の少なくとも51%および/または体積の少なくとも51%がゴルフクラブヘッドボディの後ヒール側703に配置されている。本開示の他の局面においては、質量の少なくとも55%および/または体積の少なくとも55%、質量の少なくとも60%および/または体積の少なくとも60%、質量の少なくとも65%および/または体積の少なくとも65%が後ヒール側703に配置され得る。本開示のいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドの特異的な構成が上記質量、体積および幾何学的特徴を提供する。
【0065】
図8にさらに示すように、ゴルフクラブヘッドボディ702は第一の部分720および第二の部分722を含む。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分720は、クラウン部分712からソール部分714まで延び、ゴルフクラブヘッドボディ702の最大深さを含み得る。ゴルフクラブヘッドボディの第二の部分722もまた、クラウン部分712からソール部分714まで延びている。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分720は、ゴルフクラブヘッドボディの第二の部分722よりも大きい深さを有する。換言するならば、クラウンからソールまで計測される第一の部分720のクラブヘッド全高または全厚は、クラウンからソールまで計測される第二の部分722のクラブヘッド全高または全厚よりも大きい。本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分の深さは第二の部分の深さよりも2〜50mm大きい場合がある。換言するならば、高さの差(たとえば、一つの部分から次の部分までの段の全高)は2〜50mmの範囲になる。したがって、クラブがアドレス位置にあるとき(たとえば
図4を参照)、第一の部分720の少なくともいくらかの部分は第二の部分722よりも2〜50mm低い。他の例示的態様は、4〜45mm、6〜40mm、8〜35mmおよび12〜30mmの範囲の段の高さを有するであろう。他の態様において、二つの部分の間の深さの差は50mmを超える場合がある。この例示的態様における第二の部分722はゴルフクラブヘッドボディ702のより薄い全体領域である。換言するならば、第二の部分722は、ゴルフクラブヘッドボディ702の凹んだ、または下がった部分であり得る。たとえば、
図8に示すように、第二の部分722のソール領域722aは第一の部分720のソール領域720aに対して沈んでいる(たとえば2〜50mmまたはより大きく)。
【0066】
図8に見られるように、第一の部分720および第二の部分722は、クラブヘッドボディ702の厚さ/深さが変化する傾斜した境界部分724において分けられている。図示するように、傾斜した境界部分724は、第一の部分720のソール領域720aを第二の部分722のソール領域722aから分ける。さらに、傾斜した境界部分724は、第一の部分720の第一のソール領域720aから第二の部分722のソール領域722aまで陥没して、第一の部分720と第二の部分722との間に深さ移行部を画定している。この深さの変化は、傾斜した境界部分724が第一の部分720と第二の部分722との間で傾斜している
図8に見ることができる。境界部分724のサイズ(たとえば高さ、幅)および傾斜は、第一および第二の部分720、722の間の深さの差に依存する。たとえば、本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分と第二の部分との間で計測される境界の高さ/幅は2〜50mmまたはより大きい範囲であることができる。さらに、境界の傾斜は、クラブがアドレス位置にあるときの水平面から10〜90°の範囲であることができる。傾斜した境界部分724は、最初の二つの部分のいずれのソール領域の曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜を有し得ることが留意されよう。換言するならば、従来のゴルフクラブは、傾斜を有する(たとえば凸形の)ソールを有し得、したがって、その傾斜または凸形によって画定される、ソールに沿った曲率勾配を有し得る。本開示のゴルフクラブにおいては、第一の部分のソール領域および第二の部分のソール領域の両方にそのような傾斜または曲率勾配があり得る。しかし、傾斜した境界部分724は、第一または第二のソール領域のいずれのそのような曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜を有する(たとえば、曲率および/または傾斜の変化が突然であり得る)。事実、傾斜した境界部分の急峻さは、切り欠き、窪み、沈み込みなどがある構成または形状をソール部分714に提供し得る。
【0067】
図示される態様において、傾斜した境界部分724は、ゴルフクラブヘッドボディ702のソール部分714に沿って概ね斜めに延びている。たとえば、傾斜した境界部分724は、ヒール縁718における、またはそれに近接する点からトウ縁716における、またはそれに近接する点までソール部分を横切って延び得る。さらに、
図8に見られるように、境界724は、ソール部分714に沿ってヒール縁718からトウ縁716まで延びるとき概ねS字形のカーブを示し得る。いくつかの態様にしたがって、打球フェース部分708の最前点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも60%となる、トウ縁716沿いの点から、後側710の最後点から離れゴルフクラブヘッドボディの最大幅の少なくとも60%となる、ヒール縁718沿いの点まで、傾斜した境界部分724はソール部分714を横切って延び得る。
図8に見ることができるように、第一の部分720は、後側710に沿ってヒール縁718からトウ縁716まで延びている。第一の部分720はまた、ヒール縁718の少なくとも60%に沿って延びている。したがって、第一の部分720は、ゴルフクラブヘッドボディ702のヒール縁718および後側710に沿って延びる概ね三角形の区域を有し得る。さらに、
図8に見ることができるように、第二の部分722は、打球フェース710に対して平行な方向にヒール縁718からトウ縁716まで延びている。第二の部分722はまた、トウ縁716の少なくとも60%に沿って延びている。したがって、第二の部分722は、ゴルフクラブヘッドボディ702のトウ縁716および打球フェース部分708に沿って延びる概ね三角形の区域を有し得る。第一および第二の部分は三角形でなくてもよいということが留意されよう。円形またはL字形のような他の形状を使用し得る。当然、傾斜した境界部分724は、そのよう形状を画定するように変形させることができる。
【0068】
さらに、本開示のいくつかの局面にしたがって、必要に応じて、第二の傾斜した境界部分を提供して、打球フェース部分708のすぐ後に、打球フェース部分708のすぐ後の領域がゴルフクラブヘッドボディの最大深さを含み得るような領域を画定することもできる。このようにして、上記のように、ゴルフクラブがアドレス位置に配されたときの揺動を防ぐことによってさらに安定性を達成することもできる。
【0069】
本開示のいくつかの態様にしたがって、第一の部分720のソール領域720aの面積は第二の部分722のソール領域722aの面積に実質的に等しくあり得る。たとえば、第一の部分のソール領域の面積は第二の部分のソール領域の面積の80%〜120%の範囲内であり得る。他の態様において、面積はより狭くてもよいし、さらに他の態様において、面積の差はより大きくてもよい。いくつかの態様にしたがって、第一の部分720のソール領域720aの面積は第二の部分722のソール領域722aの面積よりも大きい場合がある。たとえば、第一の部分のソール領域720aの面積はゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の少なくとも50%であり得、第二の部分のソール領域722aの面積はゴルフクラブヘッドボディのソール部分の総面積の50%またはそれ未満であり得る。
【0070】
さらには、第二の部分722のソール領域722aが第一の部分720のソール領域720aによって包囲されてもよく(すなわち、第二の部分722のソール領域722aは第一の部分720のソール領域720a内の「切り抜き」として構成される)、または代替的に、第一の部分720のソール領域720aが第二の部分722のソール領域722aによって包囲されてもよいことが留意されよう。
【0071】
ゴルフクラブヘッドボディ702において、第一の部分720および第二の部分722は、ゴルフクラブヘッドボディ702の重心が、トウ縁716よりもヒール縁718の近くに、かつ打球フェース部分708よりも後側710の近くに配置されるように構成され、ウェイト付けされている。さらに、第一の部分720および第二の部分722は、ゴルフクラブヘッドボディ702の体積の大部分およびゴルフクラブヘッドボディ702の質量の大部分が、トウ縁716よりもヒール縁718の近くに、かつ打球フェース部分708よりも後側710の近くに配置されるように構成され、ウェイト付けされている。重心が移動する距離は、第一の部分と第二の部分との間の質量および/または体積の量の差に依存する。たとえば、本開示のクラブヘッド構造の体積、ウェイト付けおよび質量特徴により、クラブヘッドの重心を、前後に延びる幾何学的中心線からヒール方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはさらに少なくとも1インチ移動させ得る。さらには、クラブヘッドの重心を、ヒール−トウに延びる幾何学的中心線から後方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはさらに少なくとも1インチ移動させ得る。重心移動の結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローかつ打ち上げに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。
【0072】
本開示の他の局面の例示的態様が
図9〜10に示されている。
図9は概して、本開示のウッドタイプゴルフクラブヘッド902の例を示す。ウッドタイプゴルフクラブヘッド902は、同じく
図10に示すように、この図示される例のクラブヘッドボディ902が、前側の打球フェース部分908と、前側とは反対の後側910と、クラウン(すなわちトップ)部分912と、ソール部分914と、トウ側およびトウ縁916と、ヒール側およびヒール縁918とを含むという点で、前記態様に類似している。さらに、ゴルフクラブヘッドボディ902は、打球フェース部分908の最前点から後側910の最後点まで延びる最大幅、およびクラウン部分912の最上点からソール部分914の最下点まで延びる最大深さを含む。さらには、
図9に見られるように、ゴルフクラブヘッドの幾何学的中心が参照番号901によってシンボル的に示されている。また、
図9に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディの後ヒール四半分(クラブヘッドの幾何学的中心に位置する中心座標系に対して)が参照番号903によって示されている。
【0073】
本開示の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディ902の質量および/または体積は、クラブヘッドの質量の少なくとも4分の1よりも多くがクラブヘッドの後ヒール四半分(クラブヘッドの幾何学的中心に位置する中心座標系に対して)に位置するように配分されている。たとえば、本開示の特定の局面にしたがって、クラブヘッドボディの質量の少なくとも26%および/または体積の少なくとも26%がゴルフクラブヘッドボディの後ヒール四半分に位置する。本開示の他の局面においては、質量の少なくとも28%および/または体積の少なくとも28%、質量の少なくとも30%および/または体積の少なくとも30%、質量の少なくとも33%および/または体積の少なくとも33%ならびにさらに質量の少なくとも36%および/または体積の少なくとも36%が後ヒール四半分903に配置され得る。本開示のいくつかの局面にしたがって、このゴルフクラブヘッドの構成こそが、上記質量、体積および幾何学的特徴を提供するものである。
【0074】
図10にさらに示すように、ゴルフクラブヘッドボディ902は第一の部分920および第二の部分922を含む。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分920は、クラウン部分912からソール部分914まで延び、ゴルフクラブヘッドボディ902の最大深さを含み得る。ゴルフクラブヘッドボディの第二の部分922もまた、クラウン部分912からソール部分914まで延びている。ゴルフクラブヘッドボディの第一の部分920は、ゴルフクラブヘッドボディの第二の部分922よりも大きい深さを有する。換言するならば、クラウンからソールまで計測される第一の部分920のクラブヘッド全高または全厚は、クラウンからソールまで計測される第二の部分922のクラブヘッド全高または全厚よりも大きい。本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分の深さは第二の部分の深さよりも2〜50mm大きい場合がある。換言するならば、高さの差(たとえば、クラブヘッドボディの一つの部分から次の部分までの段の全高)は2〜50mmの範囲内であり得る。したがって、クラブがアドレス位置にあるとき(たとえば
図4を参照)、第一の部分の少なくともいくらかの部分は第二の部分よりも2〜50mm低い。他の例示的態様において、この高さの差は、4〜45mm、6〜40mm、8〜35mmおよび12〜30mmの範囲内であり得る。他の態様において、二つの部分の間の深さの差は50mmを超える場合がある。この例示的態様における第二の部分922はゴルフクラブヘッドボディ902のより薄い領域である。換言するならば、第二の部分922は、ゴルフクラブヘッドボディ902の凹んだ、または下がった部分であり得る。たとえば、
図10に示すように、第二の部分922のソール領域922aは、第一の部分920のソール領域920aに対して沈んでいる場合がある(たとえば2〜50mmまたはより大きく)。
【0075】
図10に見られるように、第一の部分920および第二の部分922は、クラブヘッドボディ902の厚さ/深さが突然に変化する傾斜した境界部分924において分けられている。図示するように、傾斜した境界部分924は、第一の部分920のソール領域920aを第二の部分922のソール領域922aから分ける。さらに、傾斜した境界部分924は、第一の部分920の第一のソール領域920aから第二の部分922のソール領域922aまで陥没して、第一の部分920と第二の部分922との間に深さ移行部を画定している。境界924のサイズ(たとえば高さ、幅)および傾斜は、第一および第二の部分920、922の間の深さの差に依存する。たとえば、本開示のいくつかの例示的態様にしたがって、第一の部分と第二の部分との間で計測される境界の高さ/幅は2〜50mmまたはより大きい範囲であることができる。さらに、境界の傾斜は、クラブがアドレス位置にあるときの水平場所から10〜90°の範囲であることができる。傾斜した境界部分924は、クラブヘッドがアドレス位置に向けられたときの水平に対して、最初の二つの部分のいずれのソール領域の曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜を有し得ることが留意されよう。換言するならば、従来のゴルフクラブは、傾斜を有する(たとえば凸形の)ソールを有し、したがって、その傾斜または凸形によって画定される、ソールに沿った曲率勾配を有し得る。本開示のゴルフクラブにおいては、第一の部分のソール領域および第二の部分のソール領域の両方にそのような傾斜または曲率勾配があり得る。しかし、傾斜した境界部分924は、第一または第二のソール領域のいずれのそのような曲率勾配または傾斜よりも急である傾斜(たとえば、これらの傾斜のより突然の変化)を有する。事実、傾斜した境界部分の急峻さは、切り欠き、窪み、沈み込みなどがある構成または形状をソール部分914に提供し得る。
【0076】
図示される態様において、傾斜した境界部分924は、ゴルフクラブヘッドボディ902のソール部分914に沿って延びている。たとえば、傾斜した境界部分924は、ゴルフクラブヘッドボディの後ヒール四半分を画定するように延びる場合がある。
図10に見ることができるように、第一の部分920は、後ヒール四半分903に沿って延び、それを実質的に満たしている。したがって、第一の部分920は、ゴルフクラブヘッドボディ902のヒール縁918および後側910に沿って延びる四辺形区域を有し得る。さらに、
図10に見ることができるように、第二の部分922は、クラブヘッドボディ902のソール部分914の残り部分に沿って延びている。したがって、第二の部分922は、トウ縁916に沿って、かつゴルフクラブヘッドボディ902の打球フェース部分908に対して平行な方向に延びるL字形区域を有し得る。円形、扇形などの他の形状を使用し得る。傾斜した境界部分924は、任意の所望の形状を画定するように変形させることができる。
【0077】
さらに、本開示のいくつかの局面にしたがって、必要に応じて、第二の傾斜した境界部分を提供して、打球フェース部分908のすぐ後に、打球フェース部分908のすぐ後の領域がゴルフクラブヘッドボディの最大深さを含み得るような領域を画定することもできる。このようにして、上記のように、ゴルフクラブがアドレス位置に配されたときの揺動を防ぐことによってさらに安定性を達成することもできる。
【0078】
ゴルフクラブヘッドボディ902において、第一の部分920および第二の部分922は、ゴルフクラブヘッドボディ902の重心が、トウ縁916よりもヒール縁918の近くに、かつ打球フェース部分908よりも後側910の近くに配置されるように構成されている。さらに、第一の部分920および第二の部分922は、ゴルフクラブヘッドボディ902の体積の大部分およびゴルフクラブヘッドボディ902の質量の大部分が、トウ縁916よりもヒール縁918の近くに、かつ打球フェース部分908よりも後側910の近くに配置されるように構成されている。重心が移動する距離は、第一の部分と第二の部分との間の質量および/または体積の量の差に依存する。たとえば、本開示のクラブヘッド構造の体積、ウェイト付けおよび質量特徴により、クラブヘッドの重心を、前後に延びる幾何学的中心線からヒール方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはさらに少なくとも1インチ移動し得る。さらには、クラブヘッドの重心を、ヒール−トウに延びる幾何学的中心線から後方向に少なくとも0.25インチ、いくつかの例においては少なくとも0.5インチ、少なくとも0.75インチまたはさらに少なくとも1インチ移動し得る。重心移動の結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローかつ打ち上げに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。
【0079】
本開示のいくつかの局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをトウ縁と比べてヒール縁寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをヒール縁と比べてトウ縁寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関する。このような構成は、ゴルフクラブヘッドボディの重心をヒール縁と比べてトウ縁の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、フェードに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる(そして、フックタイプの弾道の補正を提供するのに役立ち得る)。
【0080】
図11Aは、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積のより多くがヒール縁1118Aと比べてトウ縁1116A寄りに配分されているゴルフクラブヘッドボディ1102Aの例示的態様である。このゴルフクラブヘッドボディ1102Aの各部分は上記態様に類似しており、したがって、簡潔さのため、ここでは詳細に説明しない。
【0081】
さらに、本開示のいくつかの局面は、ゴルフクラブヘッドボディのソール部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール縁または後側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドボディのクラウン部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール縁または後側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関する。クラウン(ソールではなく)をそのように構成する利点は、同じフェードまたはドローの偏りを達成することができるが、しかしソールを従来のやり方で形成して、アドレス位置にあるときクラブヘッドボディが載ることができる安定な面を提供することができることである。
【0082】
図11Bは、ゴルフクラブヘッドボディ1102Bのクラウン部分1112Bが、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをトウ縁1116Bと比べてヒール縁1118B寄りに配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディ1102Bの例示的態様である。
【0083】
同様に、
図11Cは、ゴルフクラブヘッドボディ1102Cのクラウン部分1112Cが、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをヒール縁1118Cと比べてトウ縁1116C寄りに配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディ1102Cの例示的態様である。
【0084】
さらに、上記のように、ソールが異なるボール飛び弾道の偏りを付与するように構成されている場合、クラブがアドレス位置にあるときの安定性を保証するための構成を考慮するべきである。しかし、クラウン(ソールではなく)が構成されている場合、安定性の問題を気にせずに他の態様を実現することができる。したがって、
図11Dに示すような他の態様を実現することもできる。
図11Dに示す態様は、傾斜した境界部分1124Dならびに第一および第二の部分1120Dおよび1122Dの配置を除く大部分の点において
図11Cに示す態様に類似している。
【0085】
上述したように、図示し、説明した態様は、正方形または長方形のゴルフクラブヘッドボディに関して成されたものであるが、これは単に一つの可能性であり、本開示の範囲内の他のゴルフクラブヘッドボディは異なるふうに形成されることもできる。たとえば、
図11Eは、ゴルフクラブヘッドボディ1102Eがより従来的な丸みのある形状である本開示の態様を示す。さらに、本開示の例のゴルフクラブヘッド構造の寸法および/または他の特徴は、本開示を逸脱することなく有意に異なり得る。たとえば、たとえばウッドタイプハイブリッドクラブ、フェアウェイウッド、ドライバなどを含む任意のウッドタイプクラブヘッドが提供され得る。たとえば、
図11Fは、本開示の局面のハイブリッドまたはフェアウェイウッドゴルフクラブヘッド1102Fを示す。
【0086】
上記のように、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積が、クラブヘッドボディの構成が「隆起」部分および「窪み」部分を含むように配分されているゴルフクラブヘッド構造に関する。ゴルフクラブヘッドのこの構成は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くが、隆起部分を有するクラブヘッドの部分に向けて移動し、窪み部分を有するクラブヘッドの部分から離れることを保証する。換言するならば、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積は、ゴルフクラブヘッドの重心を特定の位置に配し、それにより、特定のボール飛び弾道の偏りを生じさせるように配分される。
【0087】
図12〜15は概して、本開示の局面の別のウッドタイプゴルフクラブヘッド1202の例を示す。この図示される例のクラブヘッドボディ1202は、その前側の打球フェース部分1208と、前側とは反対の後側1210と、クラウン(またはトップ)部分1212と、ソール部分1214と、トウ側およびトウ縁1216と、ヒール側およびヒール縁1218とを含む。
図12〜13に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ1202は従来的な形状を有し得る(それが求められるわけではない)。
図14は、
図12に示すゴルフクラブヘッドボディ1202のヒール側図であり、
図15は、このゴルフクラブヘッドボディ1202のトウ側図である。
図14および15は、ゴルフクラブヘッドボディ1202の輪郭およびクラウン部分1212をより明確に示す。
【0088】
さらに、
図12に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ1202は、それが「隆起」部分1220と、「窪み」部分1222とを含むように構成されたソール部分1214を有する。隆起部分1220はソール部分1214から突出するが、窪み部分1222は、ソール部分1214の中に陥没し、ソール部分1214中に凹みを形成する。したがって、隆起部分1220は、増大した深さまたは厚さを有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/またはソール1214のベース面と比べて)ゴルフクラブの部分を形成するが、クラブヘッドボディの窪み部分1222は、減少した深さまたは厚さを有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/またはソール1214のベース面と比べて)ゴルフクラブの部分を形成する。本開示の少なくともいくつかの態様にしたがって、隆起部分1220は、クラブヘッドボディのソール1214から2〜50mm突出し得る。同様に、窪み部分1222は、ソール部分の中に2〜50mm陥没し得る。したがって、クラブがアドレス位置にあるとき(たとえば
図4を参照)、第一の部分の少なくともいくらかの部分が第二の部分よりも4〜100mm低い場合がある。他の例示的態様において、この差は8〜90mm、12〜80mm、16〜70mmおよび24〜60mmの範囲であり得る。さらには、本開示の少なくともいくつかの態様にしたがって、隆起部分1220は、クラブヘッドボディの水平断面積の25〜75%を構成することができる。さらに、いくつかの例において、隆起部分1220は、クラブヘッドボディの水平断面積の30〜70%、35〜65%またはさらに40〜60%を構成することができる。窪み部分1222は、同様な範囲に入る寸法を有することができる。
【0089】
隆起部分1220および窪み部分1222は、クラブヘッドボディの重心がクラブヘッドボディのヒール縁1218またはクラブヘッドボディのトウ縁1216の一方により近くなるように構成されている。たとえば、
図12に見られるように、クラブヘッドボディの体積の大部分および質量の大部分がトウ縁1216よりもヒール縁1218に近くなるよう、隆起部分1220はトウ縁1216よりもヒール縁1218に近く、窪み部分1222はヒール縁1218よりもトウ縁1216に近い。したがって、この構成は、ゴルフクラブヘッドボディ1202の重心をトウ縁よりもヒール縁の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。
【0090】
隆起および窪み部分1220、1222の寸法および他の特徴が、重心が移動する距離、ひいてはゴルフクラブがゴルフボールに付与する偏りの量に影響する。たとえば、隆起および窪み部分1220、1222の寸法が大きければ大きいほど、重心はより多く移動する。逆に、隆起および窪み部分1220、1222の寸法が小さければ小さいほど、重心はより小さく移動する。したがって、特定のスイングタイプまたはゴルファーの傾向に適合するように偏りの量を制御またはカスタマイズすることができる。たとえば、ひどいスライスのあるゴルファーの場合、隆起部分1220および窪み部分1222は、クラブヘッドボディ1202の残り部分に対して大きな寸法(たとえば、相対的に大きな面積、厚さなど)を有し得る。このより大きな隆起および窪み部分1220、1222は重心を劇的に移動させ、ひいては、スライスのひどさを補正する。逆に、ゴルファーのスライスがただ相対的に小さいだけであるまたはドロータイプのボール飛びをより強めることを望む一般的にストレートな打ち手の場合、隆起および窪み部分1220、1222が小さめの寸法を有するゴルフクラブがより適切であろう。
【0091】
隆起部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。窪み部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。
【0092】
本開示のいくつかの態様にしたがって、窪み部分1222の凹みの容積は隆起部分1220の体積と実質的に同じであるか、またはそれに等しい。したがって、窪み部分が凹む容積の同じ量だけ隆起部分の深さ/厚さが増すことができる一方、クラブヘッドボディの総体積は同じままである。たとえば、窪み部分1222がX立方センチメートルの容積だけ凹んでいるならば、隆起部分1220は、X立方センチメートルの体積だけ増し得るが、ゴルフクラブヘッドの総体積は同じままである。しかし、隆起および窪み部分1220、1222は、等しい量だけ拡大するか、または凹むか、または他のやり方で概ね同じサイズに作られる必要がないということが留意されよう。たとえば、隆起部分1220は、窪み部分1222の容積よりも多いまたは少ない量だけ増大し得る。
【0093】
本開示のいくつかの局面にしたがって、「隆起」および「窪み」部分は互いに別個であり得る。たとえば、
図12〜15に示される態様において、隆起部分1220および窪み部分1222は、隆起部分1220および窪み部分1222が互いから距離をおいて配置されるように、ソール領域1214のベース面によって互いから分けられている。図示するように、この例示的構造における隆起および窪み部分1220および1222は長方形であり、ソール部分1214の区分を介して互いから分けられている。特定の態様において、隆起および窪み部分1220および1222は少なくとも5〜50mm離して配置され得る。他の態様において、ゴルフクラブヘッドの重心および偏りにさらに影響するために、隆起および窪み部分1220および1222は、それらがソール部分1214の縁に位置するように、100mmまたはそれ以上離して配置されることもできる。隆起および窪み部分1220および1222はまた、クラブヘッドの側面および/またはクラウン面に沿って延びる場合がある。
【0094】
いくつかの態様において、隆起および窪み部分1220および1222は、
図12に示すように互いから正反対に配置され得る。たとえば、窪み部分1222および隆起部分1220は、クラブヘッドの幾何学的中心を通過するゴルフクラブヘッドボディのソール部分の中心線に対して互いに対称であり得る。他の態様において、これらの部分は、互いに位置をずらして配置されることもできるし、および/または異なる向きに配置されることもできる。換言するならば、隆起部分1220または窪み部分1222の一方がより打球フェースに近くなり得、隆起部分1220または窪み部分1222の他方がより後側に近くなり得る。隆起および窪み部分1220および1222は、互いから正反対に配置されているのか、または互いから位置をずらされているのかにかかわらず、それらはクラブヘッドボディ1202のソール部分1214沿いの任意の点に配置され得る。たとえば、隆起および窪み部分1220および1222は、打球フェース部分1208または後側1210の近くに配置されることができる。隆起および窪み部分1220、1222のこのような配置は、ゴルフボールがゴルフクラブ1202によって打たれたときのゴルフボールの弾道に影響し得る。したがって、そのような配置は、ゴルフクラブをカスタマイズして特定のスイングタイプおよびゴルファーの傾向に適合させることを可能にする。たとえば、隆起および窪み部分1220および1222がクラブ1210の後側に隣接して配置されるならば、隆起および窪み部分1220および1222がクラブ1208のフェースに隣接して配置される場合とは異なる弾道が提供され得る。したがって、上記ドローの偏りに加えて、様々な異なる弾道をゴルフボールに提供することもできることがわかる。
【0095】
また、隆起および窪み部分の形状が、ゴルフクラブによって打たれたときゴルフボールに付与される偏りに影響し得ることが留意されよう。図に示す隆起および窪み部分1220および1222の形状は長方形であるが、そのような形状が求められるわけではない。逆に、任意の適切なまたは所望の形状、たとえば円形、三角形、らせん形、不規則形などが適切であろう。事実、隆起部分および窪み部分1220、1222は同じ形状を有しなくてもよいことが留意されよう。たとえば、隆起および窪み部分1220、1222の形状は、隆起および窪み部分がゴルフクラブヘッドの周囲に配置されるようにゴルフクラブの周囲の線をたどり得る。たとえば、隆起および窪み部分1220、1222がソール部分1214の周囲に線として延びるならば、特定のクラブヘッドウェイト付け構成を提供するために、隆起および窪み部分1220、1222のL字形または湾曲形状(クラブヘッドボディの形状に依存する)は、幅5〜25mmであり、ソール部分1214から5〜25mm突出するか、またはその中に5〜25mm陥没してもよい。これらの寸法は単に例示的であり、所望のウェイト付け構成(およびボール飛び弾道の偏り)に依存して他の寸法がより適切であり得る。したがって、特定の弾道をゴルフボールに付与することに役立つ特定のゴルフクラブヘッドを形成するために、隆起および窪み部分1220、1222のサイズ、形状および配置を互いに組み合わせて使用することができることがわかる。
【0096】
図16Aは、隆起部分と窪み部分との間の断面壁厚さがわずかな変化しか有しない態様を示す。たとえば、隆起部分1220の壁の厚さは0.05〜10mm、0.5〜9mm、0.8〜5mmまたは1〜2mmであり得、一方、窪み部分1222の壁の厚さは0.025〜9mm、0.05〜8mm、0.75〜4mmまたは0.5〜1.5mmであり得る。
図16Bは、隆起部分1220の断面壁厚さが窪み部分1222の断面壁厚さよりも大きい代替態様を示す。隆起および窪み部分の断面厚さのこの差が、さらに多くの質量をゴルフクラブヘッド1202のヒール端部分1218の近くに集中させることを可能にする。
【0097】
さらに、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、隆起部分1220は、ゴルフクラブヘッドボディ1202の残り部分と同じ材料でできている。そのような態様において、ゴルフクラブヘッドボディは、上記のような従来のやり方で形成される。そのような態様が
図16Aに示されている。他の態様において、隆起部分1220は、ゴルフクラブヘッドボディ1202の他の部分に比較して高密度の材料で製造され、および/またはそれを含み得る。たとえば、隆起部分1220は、ゴルフクラブヘッドボディと一体であり、より高密度の材料で構成され得る。たとえば、隆起部分1220を作るためには、複合材、ポリマーまたは各種金属のような様々な材料を使用することができるが、ゴルフクラブヘッドボディ1202の残り部分は、概してより軽量である異なる複合材、ポリマーまたは金属でできていることができる。
【0098】
または、隆起部分1220は、たとえば
図16Cに示すように、より高密度の材料1230で満たされるか、またはそれを含み得る。この例示的構造において、隆起部分1220は、より高密度の材料1230で満たされる別個のキャビティをもって形成され得る。そのような態様において、キャビティを包囲する隆起部分は、ゴルフクラブの残り部分と同じ材料から作られてもよく、または異なる材料から形成されてもよい。
【0099】
いくつかの態様にしたがって、隆起部分1220中のキャビティを満たす、より高密度の材料1230は取り外し可能であり得る。ウェイトのような、より高密度の材料1230を隆起部分にスナップ式に嵌め得るか、または他のやり方で取り付け得る。そのような配設においては、様々なウェイトを使用してゴルフクラブにおける様々な偏りを調節することもできる。したがって、スライスが補正されるとき、補正されたスイングを考慮して様々なウェイトを取り換えることもできる。換言するならば、時とともにスライスが軽減する(そしてユーザのスイングが改善する)ならば、より軽いウェイトを使用することもできる。望むならば、より高密度の材料またはウェイト1230は、たとえば容易な相互作用、取り付け、取り外しなどを可能にするために、クラブヘッドボディの外部に露呈され得る。
【0100】
本開示のいくつかの局面は、ソール部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、後部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関する。さらに、上記のように、本開示の局面は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積が、クラブヘッドボディの構成が「隆起」部分および「窪み」部分を含むように配分されているゴルフクラブヘッド構造に関する。したがって、本開示の特定の態様にしたがって、隆起または窪み部分は、ゴルフクラブヘッドのソールまたはクラウン部分とは対照的に、ゴルフクラブの後部分に配置され得る。後部分(ソールではなく)の隆起または窪み部分をこのように構成する利点は、同じドロー偏り(または他の偏り)を達成することができながらも、ソールの大部分(全部ではないにしても)を従来のやり方で形成して、アドレス位置にあるとき、および/またはスイング中に地面と接触するとき、クラブヘッドボディが載ることができる安定な面を提供することができることである。
【0101】
図17〜18は概して、本開示のそのようなウッドタイプゴルフクラブヘッド1702の例を示す。この図示される例のクラブヘッドボディ1702は、その前側の打球フェース部分1708と、前側とは反対の後側1710と、クラウン(またはトップ)部分1712と、ソール部分1714と、トウ側およびトウ縁1716と、ヒール側およびヒール縁1718とを含む。
図17に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ1702は概ね長方形または正方形であり得る(それが求められるわけではない)。
【0102】
さらに、
図17に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ1702は、「隆起」部分1720および「窪み」部分1722を含むように構成された後側1710を有する。隆起部分1720は後側1710から突出するが、窪み部分1722は、後側1710の中に陥没し、後側部分1710中に凹みを形成する。したがって、隆起部分1720は、増大した幅を有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/または後側1710のベース面と比べて)ゴルフクラブの部分を形成するが、クラブヘッドボディの窪み部分1722は、減少した幅を有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/または後側1710のベース面と比べて)ゴルフクラブの部分を形成する。換言するならば、打球フェース部分1708から後部分1710まで計測される隆起部分1720の幅は、打球フェース部分1708から後部分1710まで計測される窪み部分1722の幅よりも大きい。
【0103】
本開示の少なくともいくつかの態様にしたがって、隆起部分1720は、クラブヘッドボディの後から2〜50mm突出し得る。同様に、窪み部分1722は、後部分の中に2〜50mm陥没し得る。隆起部分および窪み部分は、クラブヘッドボディの重心がクラブヘッドボディのヒール縁1718またはクラブヘッドボディのトウ縁1716の一方により近くなるように構成されている。この図示される例において、クラブヘッドボディの体積の大部分および/または質量の大部分がトウ縁よりもヒール縁に近くなるよう、隆起部分1720はトウ縁1716よりもヒール縁1718に近く、窪み部分1722はヒール縁1718よりもトウ縁1716に近い。したがって、この構成は、ゴルフクラブヘッドボディ1702の重心をトウ縁と比べてヒール縁の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローに偏る弾道をゴルフボールに提供することを助け得る。
【0104】
隆起および窪み部分1720、1722の寸法が、重心が移動する距離に影響する。たとえば、隆起および窪み部分1720、1722の寸法が大きければ大きいほど、重心はより多く移動する。逆に、隆起および窪み部分1720、1722の寸法が小さければ小さいほど、重心はより少なく移動する。したがって、特定のスイングタイプまたはゴルファーの傾向に適合するようにクラブヘッドの重心の位置を制御またはカスタマイズすることができる。たとえば、ひどいスライスのあるゴルファーの場合、隆起部分1720および窪み部分1722は、クラブヘッドボディ1702の残り部分に対して大きな寸法(たとえば面積、厚さなど)を有し得る。このより大きな隆起および窪み部分1720、1722は重心を劇的に移動させ、ひいては、スライスのひどさを補正するのに役立つ。逆に、ゴルファーのスライスがただ相対的に小さいだけである場合および/またはストレートに打つ人がドロー気味のボール飛びを強めることを望む場合、隆起および窪み部分1720、1722がより小さい寸法を有するゴルフクラブがより適切であろう。本開示のいくつかの態様にしたがって、窪み部分1722の凹みの容積は隆起部分1720の体積と実質的に同じであるか、またはそれに等しい。したがって、窪み部分が凹む容積の概ね同じ量だけ隆起部分の深さ/厚さが増すことができる一方、クラブヘッドボディの総体積は同じままである。たとえば、窪み部分1722がX立方センチメートルの容積だけ凹んでいるならば、隆起部分1720は、X立方センチメートルの体積だけ増し得、ゴルフクラブヘッドの総体積は同じままである。しかし、隆起および窪み部分1720、1722は、等しい量だけ拡大するか、または凹む必要がないということが留意されよう。たとえば、隆起部分1720は、窪み部分1722の容積よりも多いまたは少ない量だけ増大させ得る。
【0105】
隆起部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。窪み部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。
【0106】
本開示のいくつかの局面にしたがって、「隆起」および「窪み」部分は互いに別個であり得る。たとえば、図示される態様において、隆起部分1720および窪み部分1722は、隆起部分1720および窪み部分1722が互いから距離をおいて配置されるように、後部分1710の面によって互いから分けられている。図示するように、隆起および窪み部分1720および1722は長方形であり、後部分1710の区分を介して互いから分けられている。特定の態様において、隆起および窪み部分1720および1722は少なくとも10〜50mm離して配置され得る。他の態様において、ゴルフクラブヘッドの重心および偏りにさらに影響するために、隆起および窪み部分1720および1722は100mmまたはそれ以上離して配置されて、それらが後側1710の縁に位置することもできる(またさらには、クラブヘッドのヒールおよび/またはトウ側にまでわたって延びることもできる)。
【0107】
いくつかの態様において、隆起および窪み部分1720および1722は、
図17に示すように互いから正反対に配置され得る。たとえば、窪み部分および隆起部分は、ゴルフクラブヘッドボディの後部分の幾何学的中心線に対して互いに対称であり得る。他の態様において、これらの部分は、互いから位置をずらして配置されることもできる。隆起および窪み部分1720および1722は、互いから正反対に配置されているのか、または互いから位置をずらされているのかにかかわらず、クラブヘッドボディ1702のクラウン部分1712またはソール部分1714を少なくとも部分的に含む後部分1710沿いの任意の点に配置され得る。隆起および窪み部分1720、1722のこのような配置は、ゴルフボールがゴルフクラブ1702によって打たれたときのゴルフボールの弾道(たとえばゴルフボールの飛び)にさらに影響し得る。したがって、そのような配置は、ゴルフクラブを構成およびカスタマイズして特定のスイングタイプおよびゴルファーの傾向に適合させることを可能にする。
【0108】
また、隆起および窪み部分の形状が、ゴルフクラブによって打たれたときゴルフボールに付与される偏りに影響し得ることが留意されよう。図に示す隆起および窪み部分1720および1722の形状は長方形であるが、そのような形状が求められるわけではない。その代わりとして、任意の適切なまたは所望の形状、たとえば円形、三角形、らせん形、不規則形などが適切であろう。事実、隆起部分および窪み部分1720、1722は同じ形状でなくてもよいことが留意されよう。したがって、特定の弾道をゴルフボールに付与することに役立つ特定のゴルフクラブヘッドを形成するために、隆起および窪み部分1720、1722のサイズ、形状および配置を互いに組み合わせて使用することができることがわかる。
【0109】
本開示の一つの態様にしたがって、隆起および窪み部分1720、1722の間の断面壁厚さはわずかな変化しか有しない。たとえば、隆起部分1720の壁の厚さは0.05〜10mm、0.5〜9mm、0.8〜5mmまたは1〜2mmであり得るが、第二の部分の壁の厚さは0.025〜9mm、0.05〜8mm、0.75〜4mmまたは0.5〜1.5mmであり得る。代替態様において、隆起部分1720の後領域の断面厚さは、窪み部分1722の後領域の壁の断面厚さよりも大きい場合がある。それぞれの後領域の壁の断面壁厚さのこの差が、さらに多くの質量をゴルフクラブヘッド1702のヒール縁1718の近くに集中させることを可能にする。
【0110】
さらに、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、隆起部分1720は、ゴルフクラブヘッドボディ1702の残り部分と同じ材料でできている。そのような態様において、ゴルフクラブヘッドボディは、上記のような従来のやり方で形成されるであろう。他の態様において、隆起部分1720には、ゴルフクラブヘッドボディ1702の他の部分に比較して高密度の材料を含み得る。たとえば、隆起部分1720は、ゴルフクラブヘッドボディと一体であり、より高密度の材料で構成され得る。たとえば、隆起部分1720を作るためには、複合材、ポリマーまたは各種金属のような様々な材料を使用することができるが、ゴルフクラブヘッドボディ1702の残り部分は、異なる複合材、ポリマーまたはより軽量の金属材料で作られ得る。
【0111】
または、隆起部分1720は、より高密度の材料で満たされ得るか、またはそれを含み得る。たとえば、本開示のいくつかの局面にしたがって、隆起部分1720は、
図16Cに示すやり方と同様なやり方で、より高密度の材料で満たされる別個のキャビティをもって形成され得る。そのような態様において、キャビティを包囲する隆起部分は、ゴルフクラブの残り部分と同じ材料から作られてもよく、異なる材料で形成されてもよい。
【0112】
いくつかの態様にしたがって、隆起部分中のキャビティを満たすより高密度の材料は取り外し可能であり得る。たとえば、ウェイトのようなより高密度の材料を隆起部分にスナップ式に嵌め得るか、または他のやり方で取り付け得る。そのような配設においては、様々なウェイトを使用してゴルフクラブにおける様々な偏りを調節することもできる。したがって、スライスが補正されるとき、補正されたスイングを考慮して様々なウェイトを取り換えることもできる。換言するならば、時とともにスライスが軽減する(そしてユーザのスイングが改善する)ならば、より軽いウェイトを使用することもでき。望むならば、より高密度の材料またはウェイトは、たとえば相互作用、取り付け、取り外しなどを可能にするために、クラブヘッドボディの外部に露呈され得る。
【0113】
本開示のいくつかの局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをトウ縁と比べてヒール縁寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをヒール縁と比べてトウ縁寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関する。このような構成は、ゴルフクラブヘッドボディの重心をヒール縁と比べてトウ縁の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、フェードに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。したがって、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、そのトウ側においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分およびそのヒール側においてゴルフクラブヘッドボディの中に陥没する「窪み」部分を有する。この構成は、ゴルフクラブヘッドボディによって打たれたゴルフボールに関してフェードに偏る弾道を生じさせるのに役立つ。
図19は概して、本開示のこの例のそのようなウッドタイプゴルフクラブヘッド1902Aの例を示す。このゴルフクラブヘッドボディ1902Aの各部分は上記態様に類似しており、したがって、簡潔さのため、ここでは詳細に説明しない。
【0114】
さらに、本開示のいくつかの局面は、ソール部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側または後側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、クラウン部分が、ゴルフクラブヘッドボディがゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側または後側寄り)に配置するように構成されているゴルフクラブヘッドボディに関する。換言するならば、隆起および窪み部分は、ゴルフクラブヘッドのソール部分とは対照的に、ゴルフクラブのクラウン部分に配置され得る。クラウン(ソールではなく)をそのように構成する利点は、同じフェードまたはドローの偏りを達成することができながらも、ソールを従来のやり方で形成して、アドレス位置にあるとき、および/またはスイング中に地面と接触するとき、クラブヘッドボディが載ることができる安定な面を提供することができることである。
図19Bおよび19Cは概して、本開示のこれらの例のそのようなウッドタイプゴルフクラブヘッド1902Bおよび1902Cの例を示す。
【0115】
本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフクラブヘッドボディのトウ側においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分およびそのヒール側においてゴルフクラブヘッドボディの中に陥没する「窪み」部分を有する。したがって、この構成は、ゴルフクラブヘッドボディによって打たれたゴルフボールに関してフェードに偏る弾道を生じさせるのに役立つ。
図19D〜19Eは概して、本開示のこの例のそのようなウッドタイプゴルフクラブヘッド1902Dの例を示す。そのような構造1902Dは、
図17および18に関して上述したものに類似した特徴および特性を有し得る。
【0116】
上述したように、上記態様の多くは、従来の形状のゴルフクラブヘッドボディを参照して説明したが、これは単に一つの態様であり、本開示の範囲内の他のゴルフクラブヘッドボディは異なるふうに形成されることもできる。たとえば、
図20は、クラブヘッドボディ2002が概ね長方形である本開示の隆起ソール構造の態様を示す。さらに、本開示の例のゴルフクラブヘッドボディ構造の寸法および/または他の特徴は、本開示を逸脱することなく有意に異なり得る。たとえばウッドタイプハイブリッドクラブ、フェアウェイウッド、ドライバなどを含む、たとえば任意のウッドタイプクラブヘッドが提供され得る。有利には、本発明の局面は、現行のUSGA制限(たとえば、少なくとも4.5インチのクラブヘッドヒール−トウ長さ、少なくとも4.5インチのクラブヘッド前後全幅および少なくとも1.5のクラブヘッド上下全深さ)の、またはそれに近い寸法を有するドライバタイプゴルフクラブヘッド構造で実現することができる。
【0117】
本開示のいくつかの局面は、ゴルフクラブヘッドボディのソール、クラウンおよび/または後部分が、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側または後側寄り)に配置するように構成されているウッドタイプゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドボディの後部分が、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くを特定の位置(たとえばヒール側寄り)に配置するように構成されているアイアンタイプゴルフクラブヘッドボディに関する。さらに、上記のように、本開示の少なくともいくつかの例示的局面は、ゴルフクラブヘッドボディの質量および/または体積が、クラブヘッドボディの構成が「隆起」部分および「窪み」部分を含むように配分されているゴルフクラブヘッド構造に関する。したがって、本開示の特定の態様にしたがって、隆起または窪み部分は、ウッドタイプゴルフクラブヘッドとは対照的に、アイアンタイプゴルフクラブの後部分に配置され得る。
【0118】
図21〜22は概して、本開示のこの局面のそのようなアイアンタイプゴルフクラブヘッド2102の例を示す。この図示される例のクラブヘッドボディ2102は、その前側の打球フェース部分2108、前側とは反対の後側2110、クラウン(またはトップ)部分2112、ソール部分2114、トウ側およびトウ縁2116ならびにヒール側およびヒール縁2118を含む。
【0119】
さらに、
図21に見られるように、ゴルフクラブヘッドボディ2102は、それが「隆起」部分2120および「窪み」部分2122を含むように構成されたその後側2110を有する。隆起部分2120は後側2110から突出するが、窪み部分2122は、後側2110の中に陥没し、後側2110中に凹み(たとえば、ゴルフクラブヘッドの周囲ウェイト付け構造および/またはキャビティバック構造の部分に相当し得る)を形成する。したがって、隆起部分2120は、増大した前後厚さを有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/またはクラブヘッド構造のベース厚さと比べて)ゴルフクラブの部分を形成するが、クラブヘッドボディの窪み部分2122は、減少した前後厚さを有する(従来のゴルフクラブヘッドおよび/またはクラブヘッド構造のベース厚さと比べて)ゴルフクラブの部分を形成する。換言するならば、打球フェース部分2108から後側2110まで計測される隆起部分2120の厚さは、打球フェース部分2108から後側2110まで計測される窪み部分2122の厚さよりも大きい(少なくとも、水平方向に平坦な場所で計測した場合)。
【0120】
本開示の少なくともいくつかの態様にしたがって、隆起部分2120は、クラブヘッドボディの後のベース面から1〜30mm突出し得る。同様に、窪み部分2122は、ベース面から後側の中に1〜30mm陥没し得る。隆起部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。窪み部分は、少なくとも0.5平方インチ、少なくとも0.75平方インチ、少なくとも1.0平方インチ、少なくとも1.25平方インチ、少なくとも1.5平方インチまたはより大きな面積を有し得る。
【0121】
隆起部分および窪み部分は、クラブヘッドボディの重心がクラブヘッドボディのヒール縁2118またはクラブヘッドボディのトウ縁2116のいずれかにより近くなるように構成されている。たとえば、ゴルフクラブヘッドボディの体積の大部分および/または質量の大部分がトウ縁2116よりもヒール縁2118に近くなるよう、隆起部分2120はトウ縁2116よりもヒール縁2118に近くなり得、窪み部分2122はヒール縁2118よりもトウ縁2116に近くなり得る。この構成は、ゴルフクラブヘッドボディ2102の重心をトウ縁2116と比べてヒール縁2118の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、ドローに偏る弾道をゴルフボールに提供し得る。
【0122】
隆起および窪み部分2120、2122の寸法が、重心が移動する距離に影響し得る。たとえば、隆起および窪み部分2120、2122の寸法が大きければ大きいほど、重心はより多く移動する。逆に、隆起および窪み部分2120、2122の寸法が小さければ小さいほど、重心はより少なく移動する。したがって、特定のスイングタイプまたはゴルファーの傾向に適合するように重心位置をカスタマイズすることができる。たとえば、ひどいスライスを打つゴルファーの場合、隆起部分2120および窪み部分2120は、クラブヘッドボディ2102の残り部分に対して大きな寸法(たとえば面積、厚さなど)を有し得る。これらのより大きな隆起および窪み部分2120、2122は重心を劇的に移動させ、ひいては、スライスのひどさを補正する。逆に、ゴルファーのスライスがただ相対的に小さいだけであるおよび/または相対的にストレートに打つ人がドロー気味のボール飛び弾道を強めることを望む場合、隆起および窪み部分2120、2122がより小さな寸法を有するゴルフクラブがより適切であろう。
【0123】
本開示のいくつかの態様にしたがって、窪み部分2122の凹みの容積は隆起部分2120の体積と実質的に同じであるか、またはそれに等しくなり得る。したがって、窪み部分が凹む容積の同じ量だけ隆起部分の深さ/厚さが増すことができる一方、クラブヘッドボディの総体積は同じままである。たとえば、窪み部分2122がX立方センチメートルの容積だけ凹んでいるならば、隆起部分2120は、X立方センチメートルの体積だけ増し得、ゴルフクラブヘッドの総体積は同じままである。しかし、隆起および窪み部分2120、2122は、等しい量だけ拡大するか、または凹む必要がないということが留意されよう。たとえば、隆起部分2120は、窪み部分2122の容積よりも多いまたは少ない量だけ増大させ得る。
【0124】
本開示のいくつかの局面にしたがって、「隆起」および「窪み」部分は互いに別個であり得る。たとえば、図示される態様において、隆起部分2120および窪み部分2122は、隆起部分および窪み部分が互いから距離をおいて配置されるように、後側2110のベース面によって互いから分けられている。この図示される例に示すように、隆起および窪み部分2120および2122は概ね長方形であり、後側2110の区分を介して互いから分けられている。特定の態様において、隆起および窪み部分2120および2122は少なくとも0.5〜50mm離して配置され得る。他の態様において、ゴルフクラブヘッドの重心および偏りにさらに影響するために、隆起および窪み部分2120および2122は55mmまたはそれ以上離して配置されて、後部分2110の縁に位置することもできる。
【0125】
いくつかの態様において、隆起および窪み部分2120および2122は、
図21に示すように互いから正反対に配置され得る。他の態様において、これらの部分は、互いから位置をずらして配置されることもできる。換言するならば、隆起部分または窪み部分の一方がよりトップ部分に近くなり得、隆起部分または窪み部分の他方がよりソール部分に近くなり得る。隆起および窪み部分2120および2122は、互いから正反対に配置されているのか、互いから位置をずらされているのかにかかわらず、クラブヘッドボディ2102のトップ部分2112またはソール部分2114上を少なくとも部分的に含む後部分2110沿いの任意の点に配置され得る。隆起および窪み部分2120、2122のこのような配置は、ゴルフクラブ2102によって打たれたときのゴルフボールの弾道にさらに影響し得る。したがって、そのような配置は、ゴルフクラブを構成およびカスタマイズして特定のスイングタイプおよびゴルファーの傾向に適合させることを可能にする。
【0126】
また、隆起および窪み部分の形状が、ゴルフクラブによって打たれたときゴルフボールに付与される偏りに影響し得ることが留意されよう。図に示す隆起および窪み部分2120および2122の形状は概ね長方形であるが、そのような形状が求められるわけではない。その代わりとして、任意の適切な形状、たとえば円形、三角形、多角形、らせん形、不規則形などが適切であろう。事実、隆起部分および窪み部分2120、2122は同じ形状でなくてもよいことが留意されよう。たとえば、隆起および窪み部分2120、2122の形状は、隆起および窪み部分がゴルフクラブヘッドの周囲に配置されるようにゴルフクラブの周囲の線をたどり得る。たとえば、隆起および窪み部分2120、2122がトップ部分2112の周囲に線として延びるならば、特定の重心構成を提供するために、隆起および窪み部分2120、2122のL字形またはリング形(クラブヘッドボディの形状に依存する)は、幅5〜10mmであり得、後側2110から5〜10mm突出する、またはその中に5〜10mm陥没し得る。これらの寸法は単に例示的であり、所望の重心特性に依存して他の寸法がより適切であり得る。したがって、特定の弾道をゴルフボールに付与することに役立つ特定のゴルフクラブヘッドを形成するために、隆起および窪み部分2120、2122のサイズ、形状および配置を互いに組み合わせて使用することができることがわかる。
【0127】
本開示の一つの態様にしたがって、隆起および窪み部分2120、2122の間の厚さはわずかな変化しか有しない。たとえば、隆起部分2120の厚さは1〜30mmであり得るが、第二の部分の厚さは0.025〜29mmであり得る。いくつかのさらなる例として、隆起部分2120の厚さは0.05〜10mm、0.5〜9mm、0.8〜5mmまたは1〜2mmであり得るが、窪み部分の厚さは0.025〜9mm、0.05〜8mm、0.75〜4mmまたは0.5〜1.5mmであり得る。代替態様において、隆起部分2120の厚さは窪み部分2122の厚さよりも大きい場合がある。それぞれの領域の厚さのこの差が、さらに多くの質量をゴルフクラブヘッド2102のヒール端部分2118の近くに集中させることを可能にする。
【0128】
さらに、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、隆起部分2120は、ゴルフクラブヘッドボディ2102の残り部分と同じ材料で作られ得る。そのような態様において、ゴルフクラブヘッドボディは、上記のような従来のやり方で形成されるであろう。他の態様において、隆起部分2120は、ゴルフクラブヘッドボディ2102の他の部分に比較して高密度の材料で作られ得る、および/またはそれを含み得る。たとえば、隆起部分2120は、ゴルフクラブヘッドボディと一体であり得、より高密度の材料で構成され得る。さらなる例として、隆起部分2120を作るためには、複合材、ポリマーまたは各種金属のような様々な材料を使用することができるが、ゴルフクラブヘッドボディ2102の残り部分は、異なる複合材、ポリマーまたは他の金属材料(たとえばより軽量の金属)でできていることができる。別の例として、望むならば、隆起部分2120および/または窪み部分2122は、周囲ウェイト付けされたキャビティバッククラブヘッドの後キャビティの中に固着される一つまたは複数のインサートから作られ得る。
【0129】
または、隆起部分2120は、より高密度の材料1230で満たされ得るか、またはそれを含むように製造され得る。たとえば、本開示のいくつかの局面にしたがって、隆起部分2120は、より高密度の材料で満たされ得る別個のキャビティをもって形成され得る(たとえば上記
図16Cに示すように)。そのような態様において、キャビティを包囲する隆起部分は、ゴルフクラブの残り部分と同じ材料から作られてもよく、または異なる材料から形成されてもよい。望むならば、より高密度の材料は、より容易なアクセス、取り外し、交換などを可能にするために、クラブヘッドボディの外部からアクセス可能であり得る。
【0130】
いくつかの態様にしたがって、隆起部分中のキャビティを満たすより高密度の材料は取り外し可能であり得る。たとえば、ウェイトのようなより高密度の材料を隆起部分にスナップ式に嵌め得るか、または他のやり方で取り付け得る。そのような配設においては、様々なウェイトを使用してゴルフクラブにおける様々な偏りを生じさせることもできる。したがって、スライスが補正されるとき、補正されたスイングを考慮して様々なウェイトを取り換えることもできる。換言するならば、時とともにスライスが軽減するならば、より軽いウェイトを使用することもできる。
【0131】
本開示のいくつかの局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをトウ側と比べてヒール側寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関するが、本開示の他の局面は、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くをヒール側と比べてトウ側寄りに配置するゴルフクラブヘッドボディに関する。このような構成は、ゴルフクラブヘッドボディの重心をヒール側と比べてトウ側の近くに移動させる。結果として、この構成のゴルフクラブヘッドボディは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッドによって打たれたとき、フェードに偏る弾道をゴルフボールに提供することができる。したがって、本開示の少なくともいくつかの局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドボディは、そのトウ側においてゴルフクラブヘッドボディから延びるか、または突出する「隆起」部分およびそのヒール側においてゴルフクラブヘッドボディの中に陥没する「窪み」部分を有する。
図23〜24は概して、本開示のこの例のそのようなアイアンタイプゴルフクラブヘッド2302の例を示す。
【0132】
III.結び
本発明は、上記および添付図面において、多様な例示的構造、特徴、要素ならびに構造、特徴および要素の組み合わせを参照して説明されている。しかし、本開示によって果たされる目的は、本発明の範囲を限定することではなく、本発明に関連する様々な特徴および概念の例を提供することである。当業者は、特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲を逸脱することなく、上記態様に対して数多くの変形および改変を加え得ることを理解するであろう。
【0133】
たとえば、本開示のいくつかの局面にしたがって、アイアンおよびウッドの両タイプのクラブヘッドにおける隆起部分を全く増大させなくてもよいことが留意されよう。その代わりとして、隆起部分は、単に、従来の深さ/厚さを超えるわずかな量だけ増大させることができ、窪み部分は同様に凹ませることができる。さらには、本発明のいくつかの局面にしたがって、隆起部分は全く存在しなくてもよいことが留意されよう。その代わりとして、ゴルフクラブヘッドボディは、特定の量だけ凹んでいる窪み部分のみを有し得る。それでもなお、この構成は、窪み部分が、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くが窪み部分とは反対の部分寄りに配分されることを保証するのになおも役立つため、ゴルフクラブヘッドによって打たれたゴルフボールに関して偏りのある弾道を生じさせるのに役立つ。
【0134】
同様に、本発明のいくつかの局面にしたがって、クラブヘッドボディは、窪み部分なしで構成され得る。その代わりとして、ゴルフクラブは、特定の量だけ突出する隆起部分のみを有し得る。それでもなお、この構成は、隆起部分が、ゴルフクラブヘッドの質量および/または体積のより多くが隆起部分寄りに配分されることをなおも保証するため、ゴルフクラブヘッドによって打たれたゴルフボールに関して偏りのある弾道を生じさせる。
【0135】
また、上記特徴(たとえば隆起および窪み部分)をゴルフクラブヘッドボディの内部に配置して、ゴルフクラブヘッドの外部(たとえばソール部分)は従来のままであるが、しかしゴルフクラブヘッドがなおも上記ウェイト付け特性を提供するようにすることもできることが留意されよう。たとえば、クラブヘッドボディの外壁は従来の形状のままであるが、しかし壁の内部分が、ゴルフクラブヘッドボディの質量を調節し、それにより、ゴルフクラブヘッドボディの重量および重心を所望の位置に配するための隆起部分を含むこともできる。
【0136】
さらには、本開示を逸脱することなく、
図1A〜24に関連して上述した様々な特徴および概念を個々におよび/または任意の組み合わせまたは小組み合わせで使用し得る。