(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1〜8は、本発明の第1実施形態を示している。
図1〜3は、本発明の基本的な構成を示している。最初に、
図1〜3に基づいて、本発明の4点式シートベルト装置の基本的な構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。
本発明に係る4点式シートベルト装置1のシートは、車体に対して水平に置かれた四角形状のクッションからなる、乗員が着座するシートクッション2と、このシートクッション2に対してほぼ垂直に設けられ、乗員によってその角度を調節できるように長方形状に設けられた乗員の背面に位置するシートバック3と、このシートバック3の上部であって、四角形状のクッションからなる乗員の頭部にあたるヘッドクッション4と、から構成される。
4点式シートベルト装置1のシートの座部であるシートクッション2の右側面部には、駆動手段としての右リトラクタ21Rが設けられ、右リトラクタ21Rに右腰ベルト51Rが、巻き取り、保持可能に取り付けられている。右腰ベルト51Rは、右ワイヤ55R(
図1では図示せず)と右ガイド56R(
図1では図示せず)により固定されている。右ワイヤ55R(
図1では図示せず)には、曲げモーメント検出手段である右曲げモーメントセンサ55RS(
図1では図示せず)が取り付けられており、右ワイヤ55R(
図1では図示せず)の角度を測ることができる。なお、右リトラクタ21Rは、シートクッション2の右側面よりシートクッション2の中心側に設けられてもよい。
4点式シートベルト装置1のシートの座部であるシートクッション2の左側面部には、駆動手段としての左リトラクタ21Lが設けられ、左リトラクタ21Lに左腰ベルト51Lが、巻き取り、保持可能に取り付けられている。左腰ベルト51Lは、左ワイヤ55Lと左ガイド56Lにより固定されている。右曲げモーメントセンサ55RSは、後述する制御部40に電気的に接続する。曲げモーメント検出手段である左ワイヤ55Lには、左曲げモーメントセンサ55LSが取り付けられており、左ワイヤ55Lの角度を測ることができる。左曲げモーメントセンサ55LSは、後述する制御部40に電気的に接続する。なお、左リトラクタ21Lは、シートクッション2の左側面より、シートクッション2の中心側に設けられてもよい。なお、曲げモーメント検出手段は、角度によって乗員と腰ベルトとが離間していることを検知する検知手段としても作用する。
【0017】
右リトラクタ21Rから引き出される右腰ベルト51Rは、シートに着座している乗員の右側の腰骨部を押え、引き出し可能に設けられている。右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部には、タングプレート52が設けられる。左リトラクタ21Lから引き出される左腰ベルト51Lは、シートに着座している乗員の左側の腰骨部を押え、引き出し可能に設けられている。左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部には、バックル53が設けられる。
バックル53は、バックル53とタングプレート52とが接合された状態を検知する接合検知手段としての、接合検知部54が備える。接合検知部54は、後述する制御部40に電気的に接続する。
【0018】
シートバック3の前面上部には、左右に並べて、駆動手段としての右上リトラクタ31Rと左上リトラクタ31Lとが設けられている。右上リトラクタ31Rは、乗員が着座したときの乗員の肩と略同じ高さ位置に設けられる。右上リトラクタ31Rから引き出される右ショルダーベルト61Rは、シートに着座している乗員の右肩を押え、引き出し可能に設けられている。右ショルダーベルト61Rの引き出し方向の先端部は右腰ベルト51Rと接続されている。
左上リトラクタ31Lは、乗員が着座したときの乗員の肩と略同じ高さ位置に設けられる。左上リトラクタ31Lから引き出される左ショルダーベルト61Lは、シートに着座している乗員の左肩を押え、引き出し可能に設けられている。左ショルダーベルト61Lの引き出し方向の先端部は左腰ベルト51Lと接続されている。
なお、右ショルダーベルト61Rの引き出し方向の先端部をタングプレート52に接続し、左ショルダーベルト61Lの引き出し方向の先端部をバックル53に接続する構成としてもよい。また、右上リトラクタ31Rは、ルーフまたはピラーに設けられていてもよい。左上リトラクタ31Lは、ルーフまたはピラーに設けられていてもよい。
【0019】
制御部40は、右腰ベルト51Rの巻き取りを行う駆動手段である右リトラクタ21Rと、左腰ベルト51Lの巻き取りを行う駆動手段である左リトラクタ21Lと、右ショルダーベルト61Rの巻き取りを行う駆動手段である右上リトラクタ31Rと、左ショルダーベルト61Lの巻き取りを行う駆動手段である左上リトラクタ31Lと、を制御する。
制御部40は、例えば、シートクッション2の下部または座部などに備えられる。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1に乗員Aが乗った状態の全体斜視図である。
【0021】
乗員Aは、シートクッション2に着座し、背面がシートバック3に当たる状態で座る。乗員Aの頭が、ヘッドクッション4に当たる。
図2において、右ショルダーベルト61Rは、乗員Aの右肩の肩部から掛け下げられる。左ショルダーベルト61Lは、乗員Aの左肩の肩部から掛け下げられる。右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lは、タングプレート52とバックル53により接合され、腰骨部の周囲に渡される。これが、適切なシートベルトの装着状態である。
【0022】
次に、
図3に基づいて4点式シートベルト装置1の各構成について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1の全体正面図である。
4点式シートベルト装置1のシートは、上から乗員の頭部にあたるヘッドクッション4、乗員の背面に位置するシートバック3、乗員が着座するシートクッション2から構成される。
シートクッション2の右側面部には、右リトラクタ21Rが設けられている。駆動手段としての右リトラクタ21Rは、右腰ベルト51Rを巻き取る右プーリ22Rと右モータ25Rとから構成される。右腰ベルト51Rは、右ワイヤ55Rと右ガイド56Rにより固定されている。右ワイヤ55Rには、右曲げモーメントセンサ55RSが取り付けられており、右ワイヤ55Rの角度を測ることができる。
シートクッション2の左側面部には、左リトラクタ21Lが設けられている。駆動手段としての左リトラクタ21Lは、左腰ベルト51Lを巻き取る左プーリ22Lと、左モータ25Lとから構成される。左腰ベルト51Lは、左ワイヤ55Lと左ガイド56Lにより固定されている。左ワイヤ55Lには、左曲げモーメントセンサ55LSが取り付けられており、左ワイヤ55Lの角度を測ることができる。
【0023】
右リトラクタ21Rは、右腰ベルト51Rを巻き取る右プーリ22R、右プーリ22Rの端部に設けられた右回転ギヤ23R、右回転ギヤ23Rと嵌め合う右モータギヤ24R、右モータギヤ24Rを回転する右モータ25R、右腰ベルト51Rの引き出し長さや張力を検知する右センサ26R、を有する。
具体的には、シートクッション2の右側面部の右リトラクタ21Rは、右プーリ22Rの端部に設けられた右回転ギヤ23Rが、右モータ25Rの右モータギヤ24Rと嵌め合うように構成され、右腰ベルト51Rの巻き取りや引き出しを行う。
また、右腰ベルト51Rの引き出し長さや張力を検知する右センサ26Rが設けられる。これにより、右センサ26Rの情報に基づいて、右モータ25Rを作動させ、右プーリ22Rを回転できる。従って右腰ベルト51Rの張力や引き出し長さを制御できる。
これにより右リトラクタ21Rは、右腰ベルト51Rを引き入れる方向での引入力を緩める又は長さを長くする、または長さを長くできる状態にする駆動手段として動作する。右リトラクタ21Rは、右腰ベルト51Rの巻き取り、保持も行う。なお、無制御状態のときは、右腰ベルト51Rの巻き取り、保持を行わない状態となる。
【0024】
左リトラクタ21Lは、左腰ベルト51Lを巻き取る左プーリ22L、左プーリ22Lの端部に設けられた左回転ギヤ23L、左回転ギヤ23Lと嵌め合う左モータギヤ24L、左モータギヤ24Lを回転する左モータ25L、左腰ベルト51Lの引き出し長さや張力を検知する左センサ26L、を有する。
具体的には、シートクッション2の左側面部の左リトラクタ21Lは、左プーリ22Lの端部に設けられた左回転ギヤ23Lが、左モータ25Lの左モータギヤ24Lと嵌め合うように構成され、左腰ベルト51Lの巻き取りや引き出しを行う。
また、左腰ベルト51Lの引き出し長さや張力を検知する左センサ26Lが設けられる。
これにより、左センサ26Lの情報に基づいて、左モータ25Lを作動させ、左プーリ22Lを回転できる。従って左腰ベルト51Lの張力や引き出し長さを制御できる。
これにより左リトラクタ21Lは、左腰ベルト51Lを引き入れる方向で引入力を緩める又は長さを長くする、または長さを長くできる状態にする駆動手段として動作する。左リトラクタ21Lは、左腰ベルト51Lの巻き取り、保持も行う。なお、無制御状態のときは、左腰ベルト51Lの巻き取り、保持を行わない状態となる。
【0025】
シートバック3の前面上部側には左右に並べて、右上リトラクタ31Rと左上リトラクタ31Lが設けられている。右上リトラクタ31Rは、右ショルダーベルト61Rを巻き取る右上プーリ32R、右上プーリ32Rの端部に設けられた右上回転ギヤ33R、右上回転ギヤ33Rと嵌め合う右上モータギヤ34R、右上モータギヤ34Rを回転する右上モータ35R、右ショルダーベルト61Rの引き出し長さや張力を検知する右上センサ36Rから構成される。具体的には、シートバック3の前面上部右側の右上リトラクタ31Rは、右上プーリ32Rの端部に設けられた右上回転ギヤ33Rが、右上モータ35Rの右上モータギヤ34Rと嵌め合うように構成され、右ショルダーベルト61Rの巻き取りや引き出しを行う。また、右ショルダーベルト61Rの引き出し長さや張力を検知する右上センサ36Rが設けられる。これにより、右上センサ36Rの情報に基づいて、右上モータ35Rを作動させ右上プーリ32Rを回転させることで、右ショルダーベルト61Rの張力や長さを制御することができる。これにより右上リトラクタ31Rは、右ショルダーベルト61Rの引き入れ方向への引入力を緩める又は長さを長くする、または長さを長くできる状態にする駆動手段として動作する。右上リトラクタ31Rは、右ショルダーベルト61Rの巻き取り、保持も行う。なお、無制御状態のときは、右ショルダーベルト61Rの巻き取り、保持を行わない状態となる。
【0026】
左上リトラクタ31Lは、左ショルダーベルト61Lを巻き取る左上プーリ32L、左上プーリ32Lの端部に設けられた左上回転ギヤ33L、左上回転ギヤ33Lと嵌め合う左上モータギヤ34L、左上モータギヤ34Lを回転する左上モータ35L、左ショルダーベルト61Lの引き出し長さや張力を検知する左上センサ36Lから構成される。具体的には、シートバック3の前面上部左側の左上リトラクタ31Lは、左上プーリ32Lの端部に設けられた左上回転ギヤ33Lが、左上モータ35Lの左上モータギヤ34Lと嵌め合うように構成され、左ショルダーベルト61Lの巻き取りや引き出しを行う。また、左ショルダーベルト61Lの引き出し長さや張力を検知する左上センサ36Lが設けられる。これにより左上リトラクタ31Lは、左ショルダーベルト61Lの引き入れ方向への引入力を緩める又は長さを長くする、または長さを長くできる状態にする駆動手段として動作する。左上リトラクタ31Lは、左ショルダーベルト61Lの巻き取り、保持も行う。なお、無制御状態のときは、左ショルダーベルト61Lの巻き取り、保持を行わない状態となる。
【0027】
右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部にタングプレート52が設けられ、左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部にバックル53が設けられている。バックル53は、バックル53とタングプレート52が接合されたことを検知する接合検知部54を備えている。制御部40が、接合検知部54からの信号に応じて、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L及び駆動手段である右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lの少なくともいずれか1つを制御し、右腰ベルト51R、左腰ベルト51L及び右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの少なくともいずれか1つを、引き入れ方向への引入力を緩める又は長さを長くする、または長さを長くできる状態にして、右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lを一時的に緩める。
【0028】
制御部40は、シートクッション2の下部または座部に備えられている。制御部40は、駆動手段である右リトラクタ21Rの右モータ25Rおよび右センサ26Rと、駆動手段である左リトラクタ21Lの左モータ25Lおよび左センサ26Lと、駆動手段である右上リトラクタ31Rの右上モータ35Rおよび右上センサ36Rと、駆動手段である左上リトラクタ31Lの左上モータ35Lおよび左上センサ36Lと、接合検知部54と、右曲げモーメントセンサ55RSと、左曲げモーメントセンサ55LSとそれぞれ電気的に接続されて、信号の受送信を行っている。なお、電気的接続は有線、無線を問わない。
【0029】
図3中、右リトラクタ21Rから制御部40への2本の点線は、それぞれ右モータ25Rおよび右センサ26Rと制御部40を電気的に接続していることを示し、左リトラクタ21Lから制御部40への2本の点線は、それぞれ左モータ25Lおよび左センサ26Lと制御部40を電気的に接続していることを示す。また、右上リトラクタ31Rから制御部40への2本の点線は、それぞれ右上モータ35Rおよび右上センサ36Rと制御部40を電気的に接続していることを示し、左上リトラクタ31Lから制御部40への2本の点線は、それぞれ左上モータ35Lおよび左上センサ36Lと制御部40を電気的に接続していることを示す。
【0030】
次に
図4〜8を参照して、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1の動作について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1のブロック構成図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1のフローチャートである。
図6〜
図8は、本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1における側面から見た動作状態の図である。
図6〜8において、
図1〜3と同じ構成については、
図1〜3で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0031】
まず、
図4に基づいて制御部40を中心として、制御部40に接続される各構成について説明する。制御部40は、メモリ41と計算部42と通信部43から構成される。制御部40は車両のバッテリーなどの電源100から電力の供給を受け稼働している。また、制御部40は車両のECU(Electronic Control Unit)101と電気的に接続され、車両の他の被制御部の情報を得て、それに応じた4点式シートベルト装置の制御を行ったり、また、車両の他の被制御部に対して4点式シートベルト装置1の情報をECU101に送ることができる。例えば、衝突検知信号に応じて4点式シートベルト装置1の制御を行う。
【0032】
メモリ41は、右腰ベルト51R、左腰ベルト51L、右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの長さや張力に応じて体型を推測するための情報や、乗員Bの体型情報などの情報を記憶している。計算部42は、右腰ベルト51R、左腰ベルト51L、右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの長さや張力の情報に基づいて計算を行う。通信部43は、右モータ25R、左モータ25Lおよび右センサ26R、左センサ26Lと、右上モータ35R、左上モータ35Lおよび右上センサ36R、左上センサ36Lと、接合検知部54と、右曲げモーメントセンサ55RSと、左曲げモーメントセンサ55LSと、EUC101と通信を行う。
【0033】
まず、4点式シートベルト装置1の動作の概要について説明する。シートベルトを固定するタングプレートとバックルが結合され、シートベルトが固定状態にあることを通電センサ、または圧迫スイッチで認識する。このとき、例えばアクチュエータ(ピストンなど)を用いて、腰ベルトを車両の前方方向へ移動し、腰ベルトと乗員の接触をなくす。この乗員との接触は、ワイヤに引っ張りと曲げモーメントを計測する曲げモーメントセンサを設け、この検出値によって、検知する。このとき、作業の邪魔にならないように、シートベルト巻き取り装置は、逆回転をする。乗員との接触がないように下方向へ移動する。このときも下降状態において、乗員と腰ベルトとの接触がないことを、曲げモーメントセンサにより検知する。ここで、腰ベルトが乗員と接触したことを検知した場合には、アクチュエータ(ピストンなど)の動作により、乗員との接触を回避させる。腰ベルトが、腰骨の位置まで移動したことの確認は、曲げモーメントセンサにより腰ベルトと乗員の太ももが接触したことを検知することによって行われる。腰ベルトと乗員の太ももが接触したことを検知した場合、アクチュエータ(ピストンなど)が腰骨まで腰ベルトを移動させる。アクチュエータ(ピストンなど)の引張力センサなどで腰骨と腰ベルトが接触したことを確認する。腰骨に腰ベルトが接触したことを確認した場合、シートベルト巻き取り装置を用いて、ベルトの緩みがないように弛みをなくす(例えばアクチュエータ(ピストンなど)を用いる)。シートベルトの適度な引っ張り力は、シートベルトの巻き取り装置のセンサで計測する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときと衝突時の引き出しを判別できるように、衝突センサと連動する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときは、繰り出しを阻害しないようにする。また、乗員が一定時間以上、同一の姿勢の場合は、改めてシートベルトの緩みをなくす制御を行う。これにより、個々の体型にあったベルト装着位置にでき、シートベルト装着後、乗員によるベルトの手直しが必要なくなる。また、ベルトに必要以上の緩みがなくなり、衝突時の拘束性能を向上させる。
【0034】
次に
図5の本発明の第1実施形態に係る4点式シートベルト装置1のフローチャートに基づいて、4点式シートベルト装置1の動作の一例を説明する。腹部が前に張り出した乗員Bがシートクッション2に着座し、シート右側から右腰ベルト51Rを右リトラクタ21Rから引き出す。乗員Bは、シート左側から左腰ベルト51Lを左リトラクタ21Lから引き出す。乗員Bは、右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部に設けられたタングプレート52と左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部に設けられたバックル53を接合する。接合検知部54がタングプレート52とバックル53の接合を検知し、制御部40へ信号を出力する(ステップST10)。なお、接合検知部54による検知前においては、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L、右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lは、巻き取り、保持、無制御状態のいずれかの状態となっている。
【0035】
腹部が前に張り出した乗員Bがタングプレート52とバックル53を接合したとき、
図6で示すように、乗員Bの腹部の上側にタングプレート52とバックル53が接合された状態の右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lがきてしまう。この状態では、乗員Bの腰骨部を拘束していない。
【0036】
通信部43が右腰ベルト51Rの右モータ25Rにある右センサ26Rと、左腰ベルト51Lの左モータ25Lにある左センサ26Lと、右ショルダーベルト61Rの右上モータ35Rにある右上センサ36Rと、左ショルダーベルト61Lの左上モータ35Lにある左上センサ36Lから、それぞれの引き出し長さやそれぞれのベルトにかかる張力の情報を受信する(ステップST11)。
【0037】
制御部40の計算部42が、引き出し長さや張力の情報に基づいて計算を行う(ステップST12)。次に、制御部40は、通信部43を介して、右腰ベルト51Rの引き出し長さや張力を駆動により制御する右モータ25Rと、左腰ベルト51Lの引き出し長さや張力を駆動により制御する左モータ25Lと、右ショルダーベルト61Rの引き出し長さや張力を駆動により制御する右上モータ35Rと、左ショルダーベルト61Lの引き出し長さや張力を駆動により制御する左上モータ35Lの少なくともいずれか1つに信号を送り、その長さや張力を制御する(ステップST13)。
【0038】
例えば、
図7で示すように、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lに対して、引き入れ方向への引入力を緩める又は長さを長くするように、右モータ25Rおよび左モータ25Lに制御信号を出力する。さらに、右ショルダーベルト61Rおよび左ショルダーベルト61Lに対して、引き入れ方向への引入力を緩める又は長さを長くするように、右上モータ35Rおよび左上モータ35Lに制御信号を出力することで、無制御状態にする。これにより、シートベルト(右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lと、右ショルダーベルト61Rおよび左ショルダーベルト61L)の長さを容易に長くできる状態または、長くする。従って、シートベルトを容易に乗員Bの腹部の前方に位置させることができる。また、シートベルトが長くなり、緩んだことで、バックル53の自重によって、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが下方に落下する。
【0039】
次に、右曲げモーメントセンサ55RSと、左曲げモーメントセンサ55LSからの信号に応じて、計算部42が右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度を計算する(ステップST14)。制御部40が、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内か否かを判断する(ステップST15)。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲外の場合、ステップST14に戻り、再度、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が計算される。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内の場合、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lが乗員Bの腰部を拘束するのに適度な位置にきたこととし、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lを巻き取るための巻き取り制御信号を出力する(ステップST16)。
【0040】
制御部40は、右モータ25R、左モータ25L及び右上モータ35R、左上モータ35Lの少なくともいずれか1つに制御信号を出力する。これにより、右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lまたは、右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lを巻き取り、
図8で示すように右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが、乗員Bの腹部の下方であって、腰骨部を押さえるように拘束する。
【0041】
[第2実施形態]
図9〜11は、本発明の第2実施形態を示している。
図9〜11に基づいて、本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
【0042】
図9は、本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置のブロック構成図である。
図10は、本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置のフローチャートである。
図11は、本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置における側面から見た動作状態の図である。なお、基本構成については、第1実施形態の
図1〜3を使用し、第1実施形態で使用した同じ符号を適宜、使用する。
【0043】
図9において、
図4と同じ構成については、
図4で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
図11において、
図6〜8と同じ構成については、
図6〜8で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0044】
本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置1’は、右腰ベルト51Rをシートから離した状態で保持をする右ガイド部材71Rを備え、その下端部72Rは右腰ベルト51Rの端部であって、右リトラクタ21Rに取り付けられている。また、右ガイド部材71Rの上端部73Rは、右腰ベルト51Rのタングプレート52側の端部に近い部分において、右腰ベルト51Rを乗員Bの前方へ引き出すようにガイドするため、右腰ベルト51Rを支持している。右ガイド部材71Rは、伸び縮み可能な構成となっており、タングプレート52とバックル53の接合に応じて動作する。第2実施形態では右ガイド部材71Rのみとなっているが、ガイド部材は、4点式シートベルト装置1’の左右両側に設けられていてもよい。
【0045】
まず、4点式シートベルト装置1’の動作の概要について説明する。シートベルトを固定するタングプレートとバックルが結合され、シートベルトが固定状態にあることを通電センサ、または圧迫スイッチで認識する。通電センサ、または圧迫スイッチのオン信号に応じて、腰ベルトを強制的に下方向へ移動させる制御を行う。例えば、ガイド部材によって、強制的に腰ベルトを下方向へ移動させる。このとき、シートベルト巻き取り装置は、逆回転をしてシートベルトを繰り出し、強制的な移動作業の妨げにならないようにする。腰ベルトが、乗員の腰骨の位置まで移動したことの確認は、曲げモーメントセンサによって腰ベルトと乗員の太ももの接触が検知されることによって行われる。太ももの直上にある腰骨の位置まで腰ベルトが移動したことを確認した場合、シートベルト巻き取り装置を用いて、ベルトの緩みがないように弛みをなくす(例えばアクチュエータ(ピストンなど)を用いる)。シートベルトの適度な引っ張り力は、シートベルトの巻き取り装置のセンサで計測する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときと衝突時の引き出しを判別できるように、衝突センサと連動する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときは、繰り出しを阻害しないようにする。また、乗員が一定時間以上、同一の姿勢の場合は、改めてシートベルトの緩みをなくす制御を行う。
【0046】
次に
図10のフローチャートに基づいて、本発明の第2実施形態に係る4点式シートベルト装置1’の動作の一例について説明する。腹部が前に張り出した乗員Bがシートクッション2に着座し、シート右側から右腰ベルト51Rを右リトラクタ21Rから引き出す。乗員Bは、シート左側から左腰ベルト51Lを左リトラクタ21Lから引き出す。乗員Bは、右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部に設けられたタングプレート52と左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部に設けられたバックル53を接合する。接合検知部54がタングプレート52とバックル53の接合を検知し、制御部40へ信号を出力する(ステップST10)。なお、接合検知部54による検知前においては、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L、右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lは、巻き取り、保持、無制御状態のいずれかの状態となっている。
【0047】
腹部が前に張り出した乗員Bがタングプレート52とバックル53を接合したとき、
図6で示すように、乗員Bの腹部の上側にタングプレート52とバックル53が接合された状態の右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lがきてしまう。この状態では、乗員Bの身体を拘束していない。
【0048】
通信部43が右腰ベルト51Rの右モータ25Rにある右センサ26Rと、左腰ベルト51Lの左モータ25Lにある左センサ26Lと、右ショルダーベルト61Rの右上モータ35Rにある右上センサ36Rと、左ショルダーベルト61Lの左上モータ35Lにある左上センサ36Lから、それぞれの引き出し長さやそれぞれのベルトにかかる張力の情報を受信する(ステップST11)。
【0049】
制御部40の計算部42が、引き出し長さや張力の情報に基づいて計算を行う(ステップST12)。制御部40は、計算部42による情報に基づいて、ガイド部材駆動部70に制御信号を送信する(ステップST20)。
【0050】
例えば、
図11で示すように、右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部に設けられたタングプレート52と左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部に設けられたバックル53が接合された状態で、右ガイド部材71Rが延び、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lを乗員Bの腹部の前方又は下方に位置させることができる。
【0051】
次に、右曲げモーメントセンサ55RSと、左曲げモーメントセンサ55LSからの信号に応じて、計算部42が右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度を計算する(ステップST21)。制御部40が、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内か否かを判断する(ステップST22)。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲外の場合、ステップST14に戻り、再度、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が計算される。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内の場合、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lが乗員Bの腰部を拘束するのに適度な位置にきたこととし、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lを巻き取るための巻き取り制御信号を出力する(ステップST23)。
【0052】
制御部40は、右モータ25R、左モータ25L及び右上モータ35R、左上モータ35Lの少なくともいずれか1つに制御信号を出力する。これにより、右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lまたは、右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lを巻き取り、
図8で示すように右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが乗員Bの腹部の下方であって、腰骨部を押さえるように拘束する。
【0053】
[第3実施形態]
図12〜16は、本発明の第3実施形態を示している。
図12〜16に基づいて、本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
【0054】
図12は、本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置のブロック構成図である。
図13は、本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置のフローチャートである。
図14〜16は、本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置における側面から見た動作状態の図である。なお、基本構成については、第1実施形態の
図1〜3を使用し、第1実施形態で使用した同じ符号を適宜、使用する。
【0055】
図12において、
図4と同じ構成については、
図4で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
図14〜16において、
図6〜8と同じ構成については、
図6〜8で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0056】
本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置1”は、シートクッション2の側面部の右側に車両前後方向に対して、駆動手段である右リトラクタ21Rを右腰ベルト51Rとともに移動させる右腰ベルト移動レール81Rを備えている。さらに、4点式シートベルト装置1”は、シートクッション2の側面部の左側に車両前後方向に対して、駆動手段である左リトラクタ21Lを左腰ベルト51Lとともに移動させる左腰ベルト移動レールを備えている。右腰ベルト移動レール81Rと左腰ベルト移動レールは同期して駆動してもいいし、同期させずに駆動してもよい。本実施形態では、右腰ベルト移動レール81Rと左腰ベルト移動レールは、右リトラクタ21Rおよび左リトラクタ21Lとともに右腰ベルト回動部55Rおよび左腰ベルト回動部55Lも、同期して前後に移動する。
【0057】
まず、4点式シートベルト装置1”の動作の概要について説明する。シートベルトを固定するタングプレートとバックルが結合され、シートベルトが固定状態にあることを通電センサ、または圧迫スイッチで認識する。通電センサ、または圧迫スイッチのオン信号に応じて、腰ベルトを緩める制御を行う。例えば、腰ベルト移動部によって、腰ベルトを腰ベルト移動レールに沿って前方に移動させることで、腰ベルトを緩める。シートベルト巻き取り装置は、シートベルトの引っ張り力を検知するセンサを備える。このセンサが、タングプレートとバックル、または腰ベルトが自重により落下することを監視する。乗員の太ももに腰ベルトが達したことを、シートベルトの引っ張り力が急激に緩んだことにより検知する。次に、シートベルト巻き取り装置を用いて、ベルトの緩みがないように弛みをなくす(例えばアクチュエータ(ピストンなど)を用いる)。シートベルトの適度な引っ張り力は、シートベルトの巻き取り装置のセンサで計測する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときと衝突時の引き出しを判別できるように、衝突センサと連動する。乗員の室内の動きでシートベルトが繰り出されるときは、繰り出しを阻害しないようにする。また、乗員が一定時間以上、同一の姿勢の場合は、改めてシートベルトの緩みをなくす制御を行う。
【0058】
次に
図13のフローチャートに基づいて、本発明の第3実施形態に係る4点式シートベルト装置1”の動作の一例について説明する。腹部が前に張り出した乗員Bがシートクッション2に着座し、シート右側から右腰ベルト51Rを右リトラクタ21Rから引き出す。乗員Bは、シート左側から左腰ベルト51Lを左リトラクタ21Lから引き出す。乗員Bは、右腰ベルト51Rの引き出し方向の先端部に設けられたタングプレート52と左腰ベルト51Lの引き出し方向の先端部に設けられたバックル53を接合する。接合検知部54がタングプレート52とバックル53の接合を検知し、制御部40へ信号を出力する(ステップST10)。なお、接合検知部54による検知前においては、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L、右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lは、巻き取り、保持、無制御状態のいずれかの状態となっている。
【0059】
腹部が前に張り出した乗員Bがタングプレート52とバックル53を接合したとき、
図6で示すように、乗員Bの腹部の上側にタングプレート52とバックル53が接合された状態の右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lがきてしまう。この状態では、乗員Bの体を拘束していない。
【0060】
通信部43が右腰ベルト51Rの右モータ25Rにある右センサ26Rと、左腰ベルト51Lの左モータ25Lにある左センサ26Lと、右ショルダーベルト61Rの右上モータ35Rにある右上センサ36Rと、左ショルダーベルト61Lの左上モータ35Lにある左上センサ36Lから、それぞれの引き出し長さやそれぞれのベルトにかかる張力の情報を受信する(ステップST11)。
【0061】
制御部40の計算部42が、引き出し長さや張力の情報に基づいて計算を行う(ステップST12)。次に、制御部40は、通信部43を介して、右腰ベルト51Rの引き出し長さや張力を駆動により制御する右モータ25Rおよび、左腰ベルト51Lの引き出し長さや張力を駆動により制御する左モータ25Lと、右ショルダーベルト61Rの引き出し長さや張力を駆動により制御する右上モータ35Rおよび、左ショルダーベルト61Lの引き出し長さや張力を駆動により制御する左上モータ35Lの少なくともいずれか1つに信号を送り、その長さや張力を制御する(ステップST13)。これにより、右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lと右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの長さを長くできる状態にする。
【0062】
次に制御部40は、駆動手段である右リトラクタ21Rおよび左リトラクタ21Lを車両の前後方向に設けられた右腰ベルト移動レール81Rおよび左腰ベルト移動レールに沿って移動させる腰ベルト移動部80に対して制御信号を送る。これにより、右リトラクタ21Rおよび左リトラクタ21Lを移動させることで、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lを、右腰ベルト移動レール81Rおよび左腰ベルト移動レールに沿って移動できる(ステップST30)。
図15で示すように、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが接合している部分が乗員Bの腹部前方に位置する。このように、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが乗員Bの腹部前方に位置したことで、バックル53の自重によって、右腰ベルト51Rおよび左腰ベルト51Lが下方に落下する。
【0063】
次に、右曲げモーメントセンサ55RSと、左曲げモーメントセンサ55LSからの信号に応じて、計算部42が右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度を計算する(ステップST31)。制御部40が、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内か否かを判断する(ステップST32)。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲外の場合、ステップST14に戻り、再度、右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が計算される。右ワイヤ55Rの角度及び左ワイヤ55Lの角度が所定範囲内の場合、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lが乗員Bの腰部を拘束するのに適度な位置にきたこととし、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lを巻き取るための巻き取り制御信号を出力する(ステップST33)。
【0064】
制御部40は、右モータ25R、左モータ25L及び右上モータ35R、左上モータ35Lの少なくともいずれか1つを制御することで、右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lまたは、右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lを巻き取り、
図16で示したように右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lが乗員Bの腹部の下方であって、腰骨部を押さえるように拘束する。
【0065】
以上のように、制御部40が、接合検知部54からの信号に応じて、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L及び駆動手段である右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lの少なくともいずれか1つを制御し、右腰ベルト51R、左腰ベルト51L及び右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの少なくともいずれか1つの引き入れ方向への引入力を緩める。さらに、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lの角度が所定範囲内である場合、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21Lを制御し、右腰ベルト51R、左腰ベルト51Lを巻き取り、緩みを減らす。
または、制御部40が、接合検知部54からの信号に応じて、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21L及び右上リトラクタ31R、左上リトラクタ31Lの少なくともいずれか1つを制御し、右腰ベルト51R、左腰ベルト51L及び右ショルダーベルト61R、左ショルダーベルト61Lの少なくともいずれか1つの長さを長くし、右腰ベルト51Rと左腰ベルト51Lを一時的に緩める。さらに、右腰ベルト51R及び左腰ベルト51Lの角度が所定範囲内である場合、駆動手段である右リトラクタ21R、左リトラクタ21Lを制御し、右腰ベルト51R左腰ベルト51Lを巻き取り、緩みを減らす。
【0066】
[第4実施形態]
図17,18は、本発明の第4実施形態を示している。
図17,18に基づいて、本発明の第4実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
【0067】
図17,18は、本発明の第4実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。
本実施形態に係る4点式シートベルト装置101のシートは、車体に対して水平に置かれた四角形状のクッションからなる、乗員が着座するシートクッション102と、このシートクッション102に対してほぼ垂直に設けられ、乗員によってその角度を調節できるように長方形状に設けられた乗員の背面に位置するシートバック103と、このシートバック103の上部であって、四角形状のクッションからなる乗員の頭部にあたるヘッドクッション104から構成される。
また、4点式シートベルト装置101のシートの座部であるシートクッション102の右側面部に、右リトラクタ121Rを介して右ショルダーベルト151Rが回動自在に取り付けられている。4点式シートベルト装置101のシートの座部であるシートクッション102の左側面部に、左リトラクタ121Lを介して左ショルダーベルト151Lが回動自在に取り付けられている。右リトラクタ121Rは、シートクッション102の右側面よりシートクッション102の中心側に設けられてもよい。左リトラクタ121Lは、シートクッション102の左側面より、シートクッション102の中心側に設けられてもよい。右リトラクタ121Rから引き出される右ショルダーベルト151Rは、シートに着座している乗員の腰骨部を押え、引き出し可能に設けられている。左リトラクタ121Lから引き出される左ショルダーベルト151Lは、シートに着座している乗員の腰骨部を押え、引き出し可能に設けられている。
【0068】
右ショルダーベルト151Rの引き出し方向の先端部にはタングプレート152Rを設ける。左ショルダーベルト151Lの引き出し方向の先端部にはタングプレート152Lを設ける。タングプレート152Rとタングプレート152Lの間には、腰ベルト151Cを設ける。タングプレート152Rとタングプレート152Lは、それぞれ、右前リトラクタ131R、左前リトラクタ131Lに接続されている右前ベルト161R、左前ベルト161Lの引き出し方向の先端部に設けられた右前バックル153R、左前バックル153Lと接合する。
【0069】
右ショルダーベルト151R、左ショルダーベルト151Lには、エプロンのような形状のベスト170が付けられる。ベスト170は、右ショルダーベルト151Rおよび左ショルダーベルト151Lの長辺部分に設ける。ベスト170は柔らかい素材から構成されることが好ましい。
図17で示すように、右ショルダーベルト151Rおよび左ショルダーベルト151Lは、柔らかい素材であるベスト170が自立するように構成する。また、胸部を圧迫しないようにバネ機構が設けられている。
【0070】
ベスト170の肩側の端部では、乗員の肩幅に合わせる構成となっている。また、腰ベルト151Cは乗員の腰幅に合わせる構成となっている。
【0071】
図17では、ベスト170が自立した状態を示し、
図18は、4点式シートベルト装置101乗員がシートに着座し、装着するときの状態を示している。装着時には、
図18で示すように、自立するベスト170を前側に倒すように下ろし、ベスト170を乗員の胸部に密着するようにする。
【0072】
[第5実施形態]
図19〜21は、本発明の第5実施形態を示している。
図19〜21に基づいて、本発明の第5実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
図19において、
図17,18と同じ構成については、
図17,18で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0073】
図19は、本発明の第5実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。
図20,21は、本発明の第5実施形態に係る4点式シートベルト装置の要部拡大図である。
【0074】
4点式シートベルト装置1は、ベスト170を自立した状態にするヒンジ部171を備える。ヒンジ部171により、ベスト170が自立した状態で支持される。
【0075】
図20で示すように、乗車前には、ヒンジ部171のタング部と右ショルダーベルト151Rのインナーベルトの接合を確認してホックが外れてヒンジ部171が格納される。ヒンジ部171のタング部と右ショルダーベルト151Rのインナーベルトの分離を確認してヒンジ部が迫り出しホックを掴み取る。
【0076】
図21で示すように、乗員がベルトを装着するときには、右リトラクタ121Rに右ショルダーベルト151Rが巻き取られるテンションを利用して、ベスト170が撓んでヒンジ機構に合体する。このように構成することで、乗員がシートベルトを装着する前には、ベスト170を邪魔にならないように自立させておき、乗員がベルトを装着する際には、適切にベスト170が乗員の胸部を覆うようにサポートすることができる。
【0077】
[第6実施形態]
図22は、本発明の第6実施形態を示している。
図22に基づいて、本発明の第6実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
図22において、
図17,18と同じ構成については、
図17,18で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0078】
図22は、本発明の第6実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。ベスト170において、乗員の胸部が当たる部位170Cを捩れる素材で構成する。このように構成することで、運転中の乗員の動きを阻害しないようにできる。また、同じ部位170Cに伸縮性がある素材で構成するとよい。このように構成することで、胸部変位を悪化させないようにできる。乗員の主な拘束は、鎖骨と腰骨を抑える右ショルダーベルト151R、左ショルダーベルト151Lで行われる。ベスト170は、乗員の捩れ挙動を柔らかな拘束で、かつ加速力や変位を与えずに拘束する効果がある。
【0079】
[第7実施形態]
図23は、本発明の第7実施形態を示している。
図23に基づいて、本発明の第7実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
図23において、
図17,18と同じ構成については、
図17,18で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0080】
図23は、本発明の第7実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。シートバック103には、乗員の肩甲骨の位置を検出する圧力分布検出部103Aが備えられる。ヘッドクッション104には、右ショルダーベルト151R左ショルダーベルト151Lにおける乗員の肩位置に相当する部位を調整する肩幅用アクチュエータ104Aが備えられる。乗員が4点式シートベルト装置101シートに着座すると、圧力分布検出部103Aが、乗員の肩甲骨の位置を検出する。次に、肩幅用アクチュエータ104Aが右ショルダーベルト151R左ショルダーベルト151Lにおける乗員の肩位置に相当する部位を調整する。これにより自動的に右ショルダーベルト151R左ショルダーベルト151Lを乗員の肩幅に応じて調整可能となる。なお、
図23で示すようにベスト170は取り外しができ、乗員の胸部を拘束する際に用いることができる。乗員の胸部が当たる部位170Cを捩れる素材で構成する。
【0081】
[第8実施形態]
図24は、本発明の第8実施形態を示している。
図24に基づいて、本発明の第8実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
図24において、
図17,18と同じ構成については、
図17,18で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0082】
図24は、本発明の第8実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。シートバック103には、乗員の肩甲骨により可動する右パドル103PR、左パドル103PLが左右に設けられる。この右パドル103PR、左パドル103PLは、乗員の肩甲骨の広さに応じて広がり、パドルの先端が右ショルダーベルト151R、左ショルダーベルト151Lに接することで、右ショルダーベルト151R、左ショルダーベルト151Lの幅を、乗員の肩幅に応じて調整可能となる。なお、
図24で示すようにベスト170は取り外しができ、乗員の胸部を拘束する際に用いることができる。乗員の胸部が当たる部位170Cを捩れる素材で構成する。
【0083】
[第9実施形態]
図25,26は、本発明の第9実施形態を示している。
図25,26に基づいて、本発明の第9実施形態に係る4点式シートベルト装置について説明する。
図25において、
図17,18と同じ構成については、
図17,18で使用した符号を用い、説明は適宜省略する。
【0084】
図25は、本発明の第9実施形態に係る4点式シートベルト装置の全体斜視図である。
図26は、本発明の第9実施形態に係る4点式シートベルト装置の要部拡大図である。右ショルダーベルト151Rの引き出し方向の先端部には右タングプレート152Rが設けられ、左ショルダーベルト151Lの引き出し方向の先端部には左タングプレート152Lが設けられ、右タングプレート152Rと左タングプレート152Lの間には、腰ベルト151CSが設けられている。右タングプレート152Rと左タングプレート152Lは、それぞれ、右前リトラクタ131R左前リトラクタ131Lに接続されている右前ベルト161R、左前ベルト161Lの引き出し方向の先端部に設けられた右前バックル153R左前バックル153Lと接合する。
【0085】
図26で示すように腰ベルト151CSは伸縮性のある素材からなる。車両の衝突が検知された際には、右前リトラクタ131R、左前リトラクタ131Lによって、右前ベルト161R、左前ベルト161Lが巻き取られ、右リトラクタ121R、左リトラクタ121Lによって、右ショルダーベルト151R、左ショルダーベルト151Lが巻き取られると同時に、腰ベルト151CSは伸縮性により乗員を受け止める。
【0086】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態における4点式シートベルト装置は、シートに着座している乗員の腰骨部を押える腰ベルトおよび乗員の両肩を押える2本のショルダーベルトからなる4点式シートベルト装置であって、腰ベルトの巻き取りを行う駆動手段と、腰ベルトとショルダーベルトがバックルを介して接合された状態を検知する接合検知手段と、腰ベルトと乗員とが離間していることを検知する検知手段を備え、接合検知手段が接合を検知し、検知手段により腰ベルトの離間を検出した場合、腰ベルトを巻き取り駆動する。
【0087】
上記のように構成したことで、腰ベルトが乗員から離れたことを検知でき、腰ベルトで乗員の腰骨部を拘束できる。
【0088】
本実施形態における4点式シートベルト装置は、検知手段が、腰ベルトの離間を角度により検出する曲げモーメント検出手段であり、接合検知手段が接合を検知した後に、曲げモーメント検出手段による腰ベルトの角度が所定範囲内であることを示す信号に応じて、腰ベルトを巻き取り駆動する
【0089】
上記のように構成したことで、腰ベルトが乗員の腰部を拘束するのに適度な位置にきたことを検知でき、腰ベルトで乗員の腰骨部を拘束できる。
【0090】
本実施形態における4点式シートベルト装置は、駆動手段は、接合検知手段が接合を検知した場合、腰ベルト及びショルダーベルトの少なくともいずれか1つを無制御状態にし、その後、曲げモーメント検出手段による腰ベルトの角度が所定範囲内であるとことを示す信号に応じて、腰ベルトを巻き取り駆動する。
【0091】
上記のように構成したことで、乗員の腰部を腰ベルトで拘束できる。
【0092】
本実施形態における4点式シートベルト装置は、駆動手段が、ベルトを巻き取るプーリとモータである。
【0093】
上記のように構成したことで、ベルトを巻き取ることができ、乗員の腰部を腰ベルトで拘束できる。
【0094】
本実施形態における4点式シートベルト装置は、接合検知手段が接合を検知した場合、腰ベルト及びショルダーベルトの少なくともいずれか1つのモータのベルトに与える駆動力を緩めた後に、曲げモーメント検出手段による腰ベルトの角度が所定範囲内であるとことを示す信号に応じて、腰ベルトを巻き取り駆動する。
【0095】
上記のように構成したことで、腰ベルトが乗員の腰部を拘束するのに適度な位置にきたことを検知し、ベルトを巻き取ることができ、乗員の腰部を腰ベルトで拘束できる。
【0096】
本実施形態における4点式シートベルト装置は、接合検知手段が接合を検知する前において、駆動手段は、巻き取り、保持、無制御状態のいずれかの状態で動作を行い、駆動手段は、接合検知手段が接合を検知した後、曲げモーメント検出手段による腰ベルトの角度が所定範囲内であるとことを示す信号に応じて、腰ベルト及びショルダーベルトの少なくともいずれか1つを巻き取り駆動する。
【0097】
上記のように構成したことで、腰ベルトが乗員の腰部を拘束するのに適度な位置にきたことを検知し、乗員の腰部を腰ベルトで拘束できる。