【実施例】
【0013】
本発明の医薬組成物及びその使用を、以下の実施例によってより詳細に説明する。しかし、かかる実施例は例示のために示すものであって、限定のためではないことに留意すべきである。
【0014】
(実施例1)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)システイン酸リシンカルボキシメチル
1 5.00%
2)ポリグリセリル−3蜜ろう
2 7.50%
3)甘扁桃油(Prunus amygdalus var. dulcis)
3 12.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸
4 0.05%
5)ワセリン
5 15.00%
6)水素化ヒマシ油
6 2.00%
7)鉱物油
7 100.00%まで適量
1Elastocell(登録商標);
2Cera Bellina(遊離脂肪酸がポリグリセロールエステルに変換された蜜ろうの親水性誘導体);
3スイートアーモンド油(約65%のオレイン酸由来のグリセリドを含有する);
4Aperoxid TLA;
5白色軟パラフィン;
6Cutina(登録商標)HR粉末(ヒドロキシステアリン酸(C18)のトリグリセリドから主に構成される);
7Pharma 55
鉱物油、ポリグリセリル−3蜜ろう、甘扁桃油、Aperoxid TLA及びワセリンをターボエマルサー(turboemulsor)で混合し、70℃で加熱した。塊が溶融したときに、完全に分散するまで穏やかに撹拌しながら水素化ヒマシ油を加えた。次いで、溶融した塊を45℃に冷却し、均一なゲルが得られるまで撹拌しながらシステイン酸リシンカルボキシメチルを加えた。
【0015】
得られたゲルは、本発明による21.50%のエステルを含有する。これは、象牙色で、外観が均一である。
【0016】
(実施例2)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)システイン酸リシンカルボキシメチル 7.50%
2)ポリグリセリル−3蜜ろう 5.00%
3)アセチル化ラノリン
* 2.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.05%
5)ワセリン 38.50%
6)鉱物油 14.00%
7)水素化ヒマシ油 3.00%
8)ダイズ油
** 100.00%まで適量
*Modulan(商標)ラノリン誘導体(Noveon)アセチル化ラノリンアルコール;
**リノール酸(50〜57%)、リノレン酸(5〜10%)、オレイン酸(17〜26%)、パルミチン酸(9〜13%)及びステアリン酸(3〜6%)のグリセリドからなる。
【0017】
得られたゲルは、本発明による39.95%のエステルを含有する。
【0018】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0019】
(実施例3)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)システイン酸リシンカルボキシメチル 5.00%
2)ポリグリセリル−3蜜ろう 5.00%
3)甘扁桃油 12.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.10%
5)ワセリン 15.00%
6)フィトステロールエステル
* 15.00%
7)水素化ヒマシ油 3.50%
8)シリカ 1.50%
9)鉱物油 100.00%まで適量
*Vegapure(Cognis)
得られたゲルは、本発明による35.5%のエステルを含有する。
【0020】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0021】
(実施例4)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)システイン酸リシンカルボキシメチル 5.00%
2)ポリグリセリル−3蜜ろう 7.50%
3)甘扁桃油 7.00%
4)ミリスチン酸イソプロピル
* 5.00%
5)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.10%
6)ワセリン 15.00%
7)水素化ヒマシ油 4.50%
8)シリカ 1.50%
9)鉱物油 100.00%まで適量
*Crodamol IPM(Croda、イソプロピルアルコールと飽和脂肪酸であるミリスチン酸とのエステル)
得られたゲルは、本発明による24.00%のエステルを含有する。
【0022】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0023】
(実施例5)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)L−メチオニン 5.00%
2)合成蜜ろう
* 8.50%
3)甘扁桃油 12.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.05%
5)ワセリン 15.00%
6)水素化ヒマシ油 4.00%
7)シリカ 2.50%
8)ニーム油
** 1.00%
9)ゴマ油
*** 2.00%
10)鉱物油 100.00%まで適量
*Syncrowax BB4(Croda)
**リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のトリグリセリドの混合物を含有
***アラキドン酸(0.8%)、リノール酸(40.4%)、オレイン酸(45.4%)、パルミチン酸(9.1%)及びステアリン酸(4.3%)のグリセリドを含有
得られたゲルは、本発明による27.50%のエステルを含有する。
【0024】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0025】
(実施例6)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)メチルスルホニルメタン 5.00%
2)合成蜜ろう 5.00%
3)甘扁桃油 12.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.10%
5)ワセリン 15.00%
6)水素化植物油
* 3.50%
7)シリカ 1.50%
8)鉱物油 100.00%まで適量
*CEGESOFT(登録商標)HF62(Cognis、C16〜C24トリグリセリドの混合物を含有)
得られたゲルは、本発明による20.50%のエステルを含有する。
【0026】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0027】
(実施例7)
以下のw/w%組成を有するリポゲル(=均一な疎水性軟膏)製剤を調製した。
1)システイン酸リシンカルボキシメチル 5.00%
2)合成蜜ろう 5.00%
3)甘扁桃油 6.00%
4)トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸 0.10%
5)ワセリン 15.00%
6)ラノリンアルコール
* 3.50%
7)ラノリンUSP
** 6.00%
8)シリカ 1.50%
9)鉱物油 100.00%まで適量
*Super Hartolan(Croda、医薬品等級のラノリンのコレステロールに富む固体画分);
**Medilan(商標)(Croda、コレステロールと数種の脂肪酸のエステルとの混合物を含有)
得られたゲルは、本発明による20.50%のエステルを含有する。
【0028】
製剤は、実施例1で記載した同じ方法を用いて調製した。
【0029】
(実施例8)
比較臨床試験
白色軟パラフィンからなる標準対照製品と比較して、急性試験において3種の組成物の皮膚弾性化活性を調査することを目的とした健常志願者に対する臨床試験を実施した。本試験の目的は、カルボキシメチルシステイン酸塩等のチオール化化合物及び脂肪酸とグリセロールとのエステルの混合物を含有する製剤の活性を、チオール化化合物のみ又はエステル混合物のみを含有する異なる製剤の活性と比較することであった。
【0030】
志願者は、24から55歳(平均45歳)の21人の女性であった。各製品を、前腕の掌側表面に軽いマッサージにより無作為に1回適用した。可塑弾性(Plastoelasticity)の測定は、ベースライン時及び各製品の適用の30分後に、非特許文献5に記載されている皮膚トルクメーター(Dia−Stron LTD)により測定されるねじれ測定法(torsiometry)により実施した。
【0031】
この方法は、両面粘着テープにより皮膚に付着させる2つの同心円からなる装置により皮膚部位においてin vivoで行われるねじれの原理を用いる。2つの円の間の距離(1mm)がねじれを受ける部位を制限する。内側の円は、外側の円に対して回転することによって皮膚に一定のねじれを加え、皮膚の拮抗する作用力が、加えられるねじれモーメント(9mNm)と釣り合ったときに停止する。ねじれの持続時間は、1秒である。装置は、機械の動作により要求される段階とまたその停止時に得られるねじれ角θを測定する。
【0032】
a.m.技術により測定されるパラメーターは、以下のような測定される弾性回復及び皮膚弾性であった。
U
e:即時伸展性
U
f:最大伸展性
U
v:粘弾性
U
r:即時弾性回復
U
r/U
e:弾性回復
U
r/U
f:皮膚弾性
U
v/U
c:粘性
τ
on及びτ
offは「前進」及び「戻り」曲線上の時定数
【0033】
用いた組成物は以下のとおりであった。
製品1:実施例1による組成を有するリポゲルLPOL514
製品2:以下のw/w%組成を有するヒドロゲルLPOL513
1)システイン酸リシンカルボキシメチル
1 7.50%
2)プロピルパラベンナトリウム 0.04%
3)メチルパラベンナトリウム 0.37%
4)イミダゾリジニルウレア
2 0.20%
5)EDTA二ナトリウム 0.10%
6)ヒドロキシエチルセルロース
3 1.50%
7)カラゲニンゲル
4 5.00%
8)クエン酸 pH5.5まで適量
9)水 100.00%まで適量
1Elastocell(登録商標);
2Gram 1;
3Natrosol 250M;
4Seamollient
製品3:以下のw/w%組成を有するヒドロゲルLPOL520
1)水素化ダイズホスファチジルコリン
1 1.03%
2)コレステロールUSP 0.26%
3)ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA) 0.10%
4)アスコルビン酸 7.10%
5)グリセロール 5.00%
6)EDTA二ナトリウム
2 0.10%
7)メチルパラベンナトリウム
3 0.37%
8)プロピルパラベンナトリウム
4 0.04%
9)イミダゾリジニルウレア
5 0.21%
10)ヒドロキシエチルセルロース
6 0.70%
11)キサンタンゴム
7 1.00%
12)水 100.00%まで適量
1Lipoid S 100−3;
2Dissolvine NA−2;
3Nipagin M ナトリウム;
4Nipasol M ナトリウム;
5Gram 1;
6Natrosol 250M;
7Rhodigel Ultra
製品4:以下の組成を有する対照標準
1)ワセリン(=白色軟パラフィン)CAS番号8009−03−8 100%
結果を以下の表1に要約する。
【0034】
表1:21人の健常志願者の前腕皮膚に異なる治験製品又は対照の適用30分後のねじれ測定パラメーターのベースラインに対する変化率(スチューデントのt検定)
【0035】
【表1】
【0036】
* ベースラインに対してP<0.05
** ベースラインに対してP<0.01
***: ベースラインに対してP<0.001
【0037】
結果は、製品1及び2に含まれているチオール化化合物と製品1、3及び4に含有されているエステルの相乗活性を示している。実際のところ、2つの主成分であるチオール化化合物及びエステルは、製品2(活性なし)若しくは製品3(活性なし)、又は製品4(穏やかな活性を有する対照の白色軟パラフィン)のように単独で存在する場合には、弾性付与活性はないか、又は穏やか(13%以下)であった。これに対して、製品1のように、チオール化化合物とエステルとが同じ製剤中に組み合わされている場合、得られた弾性付与活性は強く(弾性について+24%、弾性回復について+23%)、エステル単独の活性より優位であった。結果として得られた効果は、相乗的であり、組合せが、2つの成分の単独の合計よりも優っていた。
【0038】
(実施例9)
比較臨床試験
妊娠の最後の2ヵ月間に実施例3による製剤を定期的に適用することにより、会陰組織における弾性付与活性及び分娩時の会陰の外傷を予防する能力を調査することを目的として、妊娠女性における臨床試験を実施した。試験は、既存群と比較した、オープンラベルであった。
【0039】
全体として、36人の妊娠女性を試験に含めた。すべての女性が初産婦(初回妊娠)であり、その女性のうちのいずれも帝王切開分娩の危険にさらされていなかった。製品を、第30週の初めから自然分娩まで毎日規則的に会陰のマッサージを実施することによって適用した。製品(2〜5g)の適用は、会陰を製剤で湿らせ、次いで、陰唇及び膣の遠位部上に円運動による緩やかなマッサージを約15分間実施することによって行った。
【0040】
分娩時に評価したパラメーターは、婦人科医の判断による0(なし)から100(最大)までの視覚的アナログ尺度(VAS)における伸展性及び弾性回復、会陰切開術のパーセント、裂傷の割合及びグレード、有害事象並びに効能の総合評価であった。
【0041】
結果は次のとおりであった。伸展性は平均値±SDが78.81±8.59であり、弾性回復は78.04±12.4であり、会陰切開術は施行されず、グレードIの裂傷は8.3%であり、グレードII及びIIIの裂傷はなかった。会陰切開術及び/又は会陰裂傷に関する結果を、2004年の1年間に同じ治験実施施設で起こった全ての分娩を含む425例の自然分娩の既存群と比較した。データを以下の表2に要約する。
【0042】
表2:女性の既存群と比較した試験群における自然分娩時の会陰切開術及び裂傷の割合
【0043】
【表2】
【0044】
製品は、会陰の弾性の改善及び分娩時の会陰組織における外傷性合併症の予防に非常に有効であったと結論付けられた。