(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル周囲を囲み、少なくとも前記ホール領域の一部を被覆する被覆層を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のインクジェット記録装置について
図1乃至
図11を参照して説明する。
図1はインクジェット記録装置であるインクジェットプリンタ10の一例を示す。
図1に示すインクジェットプリンタ10は、記録媒体である記録紙Pを搬送しながら画像形成等の各種処理を行う。インクジェットプリンタ10は、筐体10a、給紙カセット11、排紙トレイ12、保持ローラ13、搬送部である給紙搬送部14、反転部16及び排紙搬送部17を備える。インクジェットプリンタ10は、保持ローラ13の周囲に保持部18、画像形成部20、剥離部21及びクリーニング部22を備える。
【0010】
給紙カセット11は、プリント前の記録紙Pを収容する。排紙トレイ12は画像形成後に筐体10aから排紙される記録紙Pを収容する。給紙搬送部14は、給紙カセット11から取り出した記録紙Pを保持ローラ13に給紙する。
【0011】
保持ローラ13は、導体であるたとえばアルミニウムの円筒フレーム13aの表面に、薄い絶縁層13bを供える。円筒フレーム13aは接地される。保持ローラ13は、表面に記録紙Pを保持した状態で矢印s方向に回転して、記録紙Pを搬送する。保持部18は、記録紙Pを保持ローラ13に押圧する押圧ローラ18aと、帯電による静電気力で記録紙Pを保持ローラ13に吸着させる帯電ローラ18bを備える。
【0012】
画像形成部20は、例えばインクジェットヘッド100C、100M、100Y、100Kを備える。インクジェットヘッド100C、100M、100Y、100Kは、それぞれシアン、マゼンダ、イエロ、ブラックのインクを吐出して、保持ローラ13表面に保持される記録紙Pに、所望の画像をプリントする。
【0013】
剥離部21は、除電チャージャ21aと剥離爪21bを備える。剥離チャージャ21aは、記録紙Pに電荷を供給して記録紙Pを除電する。剥離爪21bは、記録紙Pを保持ローラ13の表面から剥離する。プリントを終了していれば、剥離部21は、保持ローラ13から剥離した記録紙Pを、排紙搬送部17により排紙トレイ12に排紙する。両面プリントする場合は、剥離部21は、保持ローラ13から剥離した記録紙Pを、反転部16で反転し、再び保持ローラ13に供給する。反転部16は、例えば記録紙Pの前後方向を逆にスイッチバックさせる反転経路16aを備え、保持ローラ13から剥離した記録紙Pを反転する。クリーニング部22は、保持ローラ13表面をクリーニングする。
【0014】
画像形成部20のインクジェットヘッド100C、100M、100Y、100Kについて述べる。インクジェットヘッド100C、100M、100Y、100Kはそれぞれ使用するインクが異なるものの同じ構成である。したがって共通の符号を用いて説明する。
【0015】
図2に圧電MEMS(Micro Electro Mechanical System)型のインクジェットヘッド100の一例を示す。インクジェットヘッド100は、圧力室構造体50、バックプレート52、ノズルプレート30及びインク流路構造体54を備える。インクジェットヘッド100は、インクタンク101、制御部102に接続する。
【0016】
ノズルプレート30は、圧力室構造体50の第1の面に形成され、バックプレート52は、圧力室構造体50のノズルプレート30と対向する面に配置される。
【0017】
インクジェットヘッド100は、インクタンク101から供給されるインクを、インク流路構造体54を介して、圧力室構造体50に形成される圧力室である直径αの円形の圧力発生室51に充填する。インクジェットヘッド100は、圧力発生室51に充填されるインクを、ノズルプレート30に形成される複数のノズル31から、インク滴としてそれぞれ吐出する。複数のノズル31は、ノズルプレート30に例えば二列に配列される。
【0018】
インク流路構造体54は、インク流入口56、インク流路57及びインク排出口58を備える。インク流路構造体54は、インク流入口56からインク流路57に供給されるインクを、バックプレート52のインク孔53から圧力発生室51に流入する。インク流路57内のインクはインク排出口58からインクタンク101に排出する。インクジェットヘッド100は、インクタンク101とインク流路57との間でインクを循環する。
【0019】
図3及び
図4に示すように、ノズルプレート30は、ノズル31周囲に駆動部である面状の圧電素子40を備える。ノズルプレート30は、面状の圧電素子40の動作により厚み方向に変動する。インクジェットヘッド100は、ノズルプレート30の変動により圧力発生室51内に発生するエネルギ変化によって、ノズル31からインクを吐出する。
【0020】
圧力発生室51は、例えばシリコン基板(Si基板)からなる圧力室構造体50に平面形状が円形となるように形成される。シリコン基板の厚さは、例えば100〜600μm程度であれば良い。隣接する圧力発生室51間の隔壁50aの剛性を保ち、且つ円形状の内周51aを有する圧力発生室51の配列密度を高めるには、シリコン基板の厚さを、150〜250μm程度とするのがより望ましい。圧力発生室51は、ノズルプレート30、隔壁50a及びバックプレート52に囲まれて構成される。
【0021】
ノズルプレート30は、例えば圧力室構造体50と一体に形成される二酸化シリコン膜(SiO
2膜)からなり、圧力室構造体50の隔壁50aと一体に形成される。ノズルプレート30の厚さは、例えば1〜5μmとされる。
【0022】
二酸化シリコン膜は非晶質であることにより均等な変形を実現出来きるという観点から、ノズルプレート30として望ましい。また安定した組成及び特性を備える膜の製造が容易という観点からも、ノズルプレート30として非晶質である二酸化シリコン膜を使用するのが望ましい。更に従来の半導体製造プロセスとの整合性が良いという観点からも、ノズルプレート30として非晶質である二酸化シリコン膜を使用するのが望ましい。ノズルプレート30の材料は二酸化シリコン膜に限定されない。均等な変形を実現するために、ノズルプレートとして非晶質のシリコン窒化膜(SiN膜)を用いることも望ましい。
【0023】
ノズル31は、例えばエッチングによりノズルプレート30に形成される。圧力発生室51の大きさとノズル31の大きさは、ノズル31から吐出するインク滴の量、インク吐出スピード、インク吐出周波数に応じて最適化する。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合には、ノズル31を、数十μmの溝幅で精度良く形成する必要がある。
【0024】
圧電素子40は、各ノズル31の周囲に配置され、圧電体である圧電膜42をはさんで下部電極41及び上部電極43が積層される。下部電極41の一部41aは延長されて外部配線141の一部とされている。外部配線141は、2つの端子部141aに接続する。また、上部電極43の一部43aは、下層にある圧電膜42及び下部電極41とともに延長されて延長されて外部配線143の一部とされている。外部配線143は、下部電極41の2つの端子部141aの間に並んで配置される複数の端子部143aに接続する。
【0025】
制御部102は、端子部143aへの電圧のオン/オフを制御して、圧電素子40に電気信号を供給する。圧電素子40は、圧力発生室51の周囲領域32の上方においてノズルプレート30に形成される。ノズルプレート30のノズル31周囲のホール領域である直径βの円形の中央部33には、圧電素子40は形成されない。圧電素子40は、ノズルプレート30の隔壁50aの上方から、ノズル31に向かって圧力発生室51領域上方まで延在する円環形状である。円環形状の圧電素子40が形成されないノズルプレート30の中央部33は、厚み方向に自由に変動可能となる。
【0026】
ノズルプレート30の中央部33の幅は、圧電素子40の動作によりノズルプレート30が変動可能な範囲であれば限定されない。
【0027】
圧電素子40の圧電膜42として、チタン酸ジルコン酸鉛((Pb(Zr,Ti)O
3、PZT)等の電歪定数の大きな圧電材料が適している。圧電膜42にPZTを使用した場合、下部電極41或いは上部電極43の材料として、Pt(白金)、Au(金)、Ir(イリジウム)等の貴金属、或いはSrRuO
3(ルテニウム酸ストロンチウム)等の導電性の酸化物が適している。
【0028】
圧電膜42は、窒化アルミニウム(AlN)或いは二酸化亜鉛(ZnO
2)等のシリコンプロセスに適した圧電材料を使用することも可能である。圧電膜42として窒化アルミニウム或いは二酸化亜鉛等を使用する場合には、下部電極41或いは上部電極43として、Al(アルミニウム)或いはCu(銅)等の、一般の電極材料や配線材料を使用できる。
【0029】
インクジェットヘッド100の製造方法の一例について述べる。圧力室構造体50の第1の面の上にCVD法(化学的気相成膜法)により二酸化シリコン膜(SiO
2膜)を形成して、ノズルプレート30とする(
図5a)。
【0030】
次にノズルプレート30上に圧電素子40を形成する。圧電素子40の形成のため、成膜工程と、パターニング工程を繰り返す。成膜工程は、スパッタリング法或いはCVD法等により行う。パターニング工程は、例えばフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより行う。例えば感光性レジストを用いて膜上にエッチングマスクを形成し、膜材料をエッチングした後、エッチングマスクを除去することでパターニングする。
【0031】
ノズルプレート30上に、例えばスパッタリング法により、下部電極41の材料としてPt(白金)膜を成膜し、圧電膜42の材料としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)
膜を成膜後、上部電極43の材料としてPt(白金)膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより、上方のPt(白金)膜及びPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)
膜をパターニングして上部電極43及び圧電膜42を形成する。更にフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより、下方のPt(白金)膜をパターニングして下部電極41を形成する(
図5b)。下部電極41或いは上部電極43は、例えばTi(チタン)膜とPt(白金)膜等を用いた多層構造であっても良い。
【0032】
次にフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより、ノズルプレート30をパターニングしてノズル31を形成する(
図5c)。
【0033】
次にフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより、ノズルプレート30と対向する側から圧力室構造体50をノズルプレート30に当接する位置迄パターニングして、隔壁50aを形成する(
図5d)。
【0034】
次に、ノズルプレート30と対向する側の隔壁50aに、バックプレート52を接着して圧力発生室51を形成する(
図5e)。
【0035】
この後、バックプレート52を挟んで圧力室構造体50にインク流路構造体54を接着して、インクジェットヘッド100を形成する。圧力室構造体50の圧力発生室51は、バックプレート52のインク孔53を介して、インク流路構造体54のインク流路57に連通する。
【0036】
上記一連のインクジェットヘッド100の製造は、例えば1枚のシリコンウエハ上に多数のインクジェットヘッドのチップを同時に形成後、1つのインクジェットヘッドのチップに分離する。多数のインクジェットヘッドのチップを同時に形成して、インクジェットヘッド100の量産を得る。
【0037】
(実施例1)
(実施例1)として、第1の実施形態のインクジェットヘッド100について有限要素法によるシミュレーションを行った。(実施例1)は、圧電素子40の下部電極41と上部電極43により、圧電膜42に駆動電圧を印加した場合の、インクジェットヘッド100の特性をシミュレーションした実施例である。
【0038】
1例としてシミュレーションに用いたインクジェットヘッド100の主要部の寸法を
図6の(表1)に示す。インクジェットヘッド100のシリコン製の圧力室構造体50の圧力発生室51の直径αを200μmとした。圧力室構造体50の表面にCVD法で形成した二酸化シリコン(SiO
2)製のノズルプレート30の厚さを4μmとした。ノズルプレート30上のノズル31の直径を20μmとした。
【0039】
ノズルプレート30上の圧電素子40の中央部33を直径100μmとした。圧電素子40の、下部電極41の厚さを0.1μm、圧電膜42の厚さを2μm、上部電極43の厚さを0,1μmとした。下部電極41及び上部電極43として白金(Pt)を用い、圧電膜42としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた。圧電膜42の圧電定数d31を−100pm/Vとした。ノズルプレート30の成膜残留応力を0MPa、圧電膜42の成膜残留応力を56MPaとした。
【0040】
図7に、下部電極41と上部電極43の間に30Vの電圧を印加した場合に、シミュレータで計算されたノズルプレート30の変形を模式的に示す。電圧印加により圧電膜42は、矢印qで示す面方向に収縮する。圧電膜42の収縮により、ノズルプレート33の周囲領域32はバイモルフ効果により凹状に変形する。ノズルプレート30の圧電膜42が形成されていない中央部33は、周囲領域32の変形に伴い面方向に対して垂直に凸状に変形する。
【0041】
下部電極41と上部電極43の間に30Vの電圧を印加した場合のシミュレーションによる計算の結果、ノズル31位置(圧力発生室51の中心)でのノズルプレート30の垂直方向の変位は0.48μmである。
図7の斜線(A)で示す、ノズルプレート30全体での駆動体積は5.1pl(ピコリットル)である。
【0042】
圧力発生室51の中心でノズルプレート30を0.48μm変位させるために必要な駆動圧力は0.28MPaであり、(実施例1)のインクジェットヘッド100のトータルの駆動エネルギは0.71nJと算出された。
【0043】
例えば、体積5pl(ピコリットル)の有機溶媒や水溶液からなるインク滴を、10m/sの速度で吐出する場合に、インク滴の表面エネルギと運動エネルギの和は、0.1〜0.3nJ程度である。したがって、(実施例1)のインクジェットヘッド100は、圧力発生室51内のインクからなる体積5pl(ピコリットル)程度のインク滴を、10m/sの速度でノズル31から吐出するのに十分な駆動エネルギを有していることが分かる。
【0044】
次に、(実施例1)において、ノズルプレート30の中央部33の直径βを変動した場合の、インクジェットヘッド100の駆動体積及びトータルの駆動エネルギの変動について述べる。(実施例1)において中央部33の直径βを変動して、有限要素法によるシミュレーションを行った。中央部33の直径βを変動すると、インクジェットヘッド100の駆動体積は
図8に示すように変動する。ノズルプレート30の中央部33の直径βが100〜120μmであれば、駆動体積は最大値を示す。
【0045】
(実施例1)において中央部33の直径βを変動すると、インクジェットヘッド100の駆動エネルギは
図9に示すように変動する。ノズルプレート30の中央部33の直径βが120μmであれば、トータルの駆動エネルギは最大値を示す。
【0046】
インクジェットヘッド100のトータルの駆動エネルギは、最大値駆動エネルギの1/2以上であれば、ノズル31からインク滴を良好に吐出可能である。従って、
図9から、ノズルプレート30の中央部33の直径βが70μm以上、160μm以下の範囲であれば、インクジェットヘッド100は、インク滴を良好に吐出可能である。
【0047】
インクジェットヘッド100の駆動体積について、圧力発生室51の内径αを1とした場合の、中央部33の直径βの割合のシミュレーション結果を示す。直径βが0.5〜0.6であれば、ノズルプレート30全体でのインクジェットヘッド100の駆動体積は最大値となる。直径βが0.25〜0.85であれば、最大駆動体積の1/2を得られる。
【0048】
インクジェットヘッド100のトータルの駆動エネルギについて、圧力発生室51の内径αを1とした場合の、中央部33の直径βの割合のシミュレーション結果を示す。直径βが0.6であれば、インクジェットヘッド100のトータルの駆動エネルギは最大値となる。直径βが0.35〜0.8であれば、最大駆動エネルギの1/2を得られる。直径βが0.25〜0.9であれば、最大駆動エネルギの1/4以上を得られる。
【0049】
従って少なくとも直径βが0.25〜0.9の範囲であれば、インクジェットヘッド100は、インク滴をノズル31から吐出するのに必要な駆動エネルギを得られる。但しインク滴を良好に吐出するには直径βが0.35〜0.8の範囲であることがより望ましい。
【0050】
第1の実施形態によれば、円環形状の圧電素子40は、圧力発生室51の周囲領域32の上方で、ノズルプレート30上に形成される。外部配線141、143となる下部電極41及び上部電極43の一部41a、43aは、圧力発生室51の隔壁50a領域上方のノズルプレート30の固定領域に形成される。したがって、外部配線141、143の割れ、あるいは、下部電極41あるいは上部電極43と外部配線141の接続部の剥がれを抑制できる。第1の実施形態によれば、下部電極41及び上部電極43に確実に電気信号を供給してインクジェットヘッド100の信頼性を向上できる。また圧力発生室51上方において、圧電素子40はノズル31を中心に対称形状であり、良好なインクの吐出特性を得られる。
【0051】
第1の実施形態によれば、圧電素子40は、ノズル31周囲に円形の中央部33を備える円環形状であり、圧電素子40の内周40aは、ノズル31に近接しない。したがって製造時に、圧電素子40のパターニング位置が多少ずれても、ノズル31の形状に影響を及ぼさない。圧電素子40あるいは外部配線等の製造プロセスの簡素化を得られ、ノズル31の形状が変形するのを原因とする、歩留まりの低下を抑制できる。
【0052】
(第1の実施形態の第1の変形例)
第1の実施形態のインクジェットヘッドの構造は限定されず、例えば、
図10及び
図11に示す第1の変形例のように、ノズルプレート30及び圧電素子40上を絶縁膜60で被覆しても良い。ノズルプレート30及び圧電素子40を絶縁膜60で被覆した第1の変形例のインクジェットヘッド200では、絶縁膜60に第1のコンタクトホール61及び第2のコンタクトホール62を設ける。第1のコンタクトホール61及び第2のコンタクトホール62は、圧力発生室51の隔壁50aの上方にある。
【0053】
第1のコンタクトホール61にて、圧電素子40の下部電極41は外部配線63に接続する。第2のコンタクトホール62にて、圧電素子40の上部電極43は外部配線64に接続する。
【0054】
絶縁膜60は、例えば二酸化シリコン膜(SiO
2膜)或いはシリコン窒化膜(SiN膜)等を圧電素子40上からノズルプレート30にスピンコートして成膜する。成膜後、絶縁膜60をパターニングして、隔壁50aの上方にて第1のコンタクトホール61及び第2のコンタクトホール62を形成する。第1のコンタクトホール61位置で下部電極41の一部41aを露出する。第2のコンタクトホール62位置で上部電極43の一部43aを露出する。絶縁膜60の材料は限定されないが、撥インク性を備えていればより好ましい。
【0055】
第1のコンタクトホール61及び第2のコンタクトホール62が形成された保護膜60上から、例えばスパッタリング法により、外部配線63、64の材料として、例えばAl(アルミニウム)、Cu(銅)或いはAu(金)等を成膜する。次いで、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングにより、外部配線63、64の材料を
パターニングして外部配線63、64を形成する。
【0056】
第1の変形例においても、第1のコンタクトホール61及び第2のコンタクトホール62を、ノズルプレート30が変動する領域では無く、隔壁50aの上方のノズルプレート30が固定される領域に配置する。従って、外部配線63、64の割れを抑制でき、また第1のコンタクトホール61あるいは第2のコンタクトホール62での、下部電極41あるいは上部電極43と外部配線63、64とを確実に接続できる。第1の変形例においても下部電極41及び上部電極43に電気信号を確実に供給して、インクジェットヘッド200の信頼性を向上できる。また圧力発生室51上方において、圧電素子40はノズル31を中心に対称形状であり、ノズルプレート30を、ノズル31を中心に均等に駆動出来、良好なインクの吐出特性を得られる。更に、圧電素子40のパターニングの位置ずれが、ノズル31の形状に影響を及ぼさないことから、ノズルプレート30の歩留まりの低下を抑制できる。
【0057】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のインクジェットヘッド300を、
図12乃至
図16を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態において、ノズルプレートの中央部に円環状の保護膜を設けるものである。第2の実施形態にあって、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
図12及び
図13に示すように、インクジェットヘッド300は、ノズルプレート30の中央部33の一部を被覆する被覆層である、ノズル31を中心とする円環状の保護膜70を備える。第2の実施形態にあっては、ノズルプレート30として、圧縮残留応力の大きいシリコンの熱酸化膜(二酸化シリコン膜(SiO
2膜))を使用する。製造時に、圧力室構造体50を構成するシリコン基板を、酸素雰囲気で加熱処理する熱酸化法で表面処理して、圧力室構造体50の第1の面にシリコンの熱酸化膜を形成して、ノズルプレート30とする。
【0059】
保護膜70として例えば撥インク性を備えるポリイミドを用いる。保護膜70は、ノズル31周囲にインクが固着するのを軽減する。保護膜70の製造は、例えば、圧電素子40を備えるノズルプレート30に、ポリイミド前駆体を含む溶液をスピンコーティング法により塗布し、ベークにより熱重合し、溶剤を除去してポリイミド膜を成膜する。成膜したポリイミド膜を、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングによりパターニングして、保護膜70を円環状に形成する。
【0060】
保護膜70の内径δは、ノズル31の内径と等しいか、或いはノズル31の内径より少し大きい程度が望ましい。保護膜70の直径θは、ノズルプレート30の中央部33の直径βより小さいことが望ましい。但し保護膜70の直径θは、中央部33の直径βより大きくて、保護膜70が、ノズルプレート30の周囲領域32迄延在しても良い。保護膜70の形状及びサイズは、圧電素子40による駆動時にノズルプレート30の変形を妨げない範囲で任意である。
【0061】
保護膜70の材料は、ポリイミドに限定されない。保護膜70は、有機材料等の他の絶縁性材料を使用することも出来る。保護膜70は、撥インク性を備えることがより好ましい。
【0062】
(実施例2)
実施例2として、第2の実施形態のインクジェットヘッド300について有限要素法によるシミュレーションを行った。実施例2は、圧電素子40の下部電極41と上部電極43により、圧電膜42に駆動電圧を発生した場合の、インクジェットヘッド300の特性をシミュレーションした実施例である。
【0063】
1例としてシミュレーションに用いたインクジェットヘッド300の主要部の寸法を
図14の(表2)に示す。インクジェットヘッド300のシリコン製の圧力室構造体50の圧力発生室51の直径αを200μmとした。ノズルプレート30は、圧力室構造体50の表面に熱酸化法で形成した二酸化シリコン(SiO
2)で形成し、厚さを4μmとした。ノズルプレート30上のノズル31の直径を20μmとした。
【0064】
ノズルプレート30上の圧電素子40の中央部33を直径120μmとした。圧電素子40の、下部電極41の厚さを0.1μm、圧電膜42の厚さを2μm、上部電極43の厚さを0.1μmとした。
【0065】
ノズルプレート30の中央部33に形成する保護膜70の直径θを40μmとした。下部電極41及び上部電極43として白金(Pt)を用い、圧電膜42としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた。保護膜70としてポリイミドを用いた。圧電膜42の圧電定数d31を−100pm/Vとした。ノズルプレート30の成膜残留応力を−270MPa、圧電膜42の成膜残留応力を56MPa、保護膜70の成膜残留応力を84MPaとした。
【0066】
下部電極41と上部電極43の間に30Vの電圧を印加した場合のシミュレーションによる計算の結果、ノズル31位置(圧力発生室51の中心)でのノズルプレート30の垂直方向の変位は2.43μmである。ノズルプレート30全体での駆動体積は25.7pl(ピコリットル)である。
【0067】
圧力発生室51の中心でノズルプレート30を2.43μm変形させるために必要な駆動圧力は0.20MPaであり、(実施例2)のインクジェットヘッド300のトータルの駆動エネルギは2.54nJと算出された。
【0068】
例えば、体積25pl(ピコリットル)の有機溶媒や水溶液からなるインク滴を、10m/sの速度で吐出する場合に、インク滴の表面エネルギと運動エネルギの和は、0.5〜1.5nJ程度である。したがって、(実施例2)のインクジェットヘッド300は、圧力発生室51内のインクからなる体積25pl(ピコリットル)程度のインク滴を、10m/sの速度でノズル31から吐出する、十分な駆動エネルギを有していることが分かる。
【0069】
次に、(実施例2)において、ノズルプレート30の中央部33の直径βを100μm及び120μmに変動した場合において、それぞれに保護膜70の直径θを40〜80μmに変動したシミュレーション結果を述べる。
【0070】
保護膜70の直径θが、インクジェットヘッド300の駆動体積に及ぼす影響を
図15に示す。保護膜70の直径θが、インクジェットヘッド300のトータルの駆動エネルギに及ぼす影響を
図16に示す。保護膜70のサイズにかかわらず、(実施例2)のインクジェットヘッド300は、保護膜70を備えることにより、(実施例1)のインクジェットヘッド200と比べて駆動体積及び駆動エネルギが共に増加する。
【0071】
インクジェットヘッド300の駆動体積は、保護膜70の直径θが40μmの場合に、最大値を示す。インクジェットヘッド300の駆動エネルギは、保護膜70の直径θが60μmの場合に、最大値を示す。
【0072】
(実施例1)のインクジェットヘッド200と比べて、(実施例2)のインクジェットヘッド300の熱酸化法で形成したノズルプレート30は、成膜残留応力が大きい。(実施例2)のインクジェットヘッド300は、ノズルプレート30の成膜残留応力と保護膜70との相乗効果により、駆動エネルギが向上する。この結果、下部電極41と上部電極43の間に同じ電圧を印加して(実施例1)と(実施例2)の駆動効率を比較した場合に、(実施例2)のインクジェットヘッド300は、より高い駆動効率を得る。
【0073】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、外部配線141、143となる下部電極41及び上部電極43の一部41a、43aは、圧力発生室51の隔壁50aの上方のノズルプレート30の固定領域に形成される。したがって、外部配線141、143の割れ、あるいは、下部電極41あるいは上部電極43と外部配線141の接続部の剥がれを抑制できる。第2の実施形態によれば、下部電極41及び上部電極43に確実に電気信号を供給してインクジェットヘッド300の信頼性を向上できる。また圧力発生室51上方において、圧電素子はノズル31を中心に対称であり、良好なインクの吐出特性を得られる。更に圧電素子40の内周40aがノズル31に近接しないことから、圧電素子40のパターニング位置が多少ずれても、ノズル31の形状に影響を及ぼさない。圧電素子40あるいは外部配線等の製造プロセスの簡素化を得られ、ノズル31の形状が変形するのを原因とする、歩留まりの低下を抑制できる。
【0074】
更に第2の実施形態によれば、成膜残留応力の大きいノズルプレート30の中央部33に、撥インク性を有するポリイミドからなる円環形状の保護膜70を設ける。これにより、ノズル31周囲にインクが固着するのを軽減して、インクジェットヘッド300からのインクの吐出不良を軽減する。更にインクジェットヘッド300の駆動効率を向上して、インクの吐出力を向上する。
【0075】
(第3の実施形態)
第3の実施形態のインクジェットヘッド400を、
図17乃至
図21を参照して説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態において、圧力発生室の平面形状を長方形とするものである。第3の実施形態にあって、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
図17及び
図18に示すように、インクジェットヘッド400は、圧力室構造体50に幅λ、長さπの平面形状が長方形の圧力発生室80を備える。ノズルプレート30は、圧力室構造体50の隔壁50bと一体に形成される。ノズルプレート30は、圧力発生室80の中心(例えば圧力発生室80の対角線の交点)にノズル35を備える。
【0077】
ノズルプレート30は、圧力発生室80と相似形の長方形の圧電素子81を備える。圧電素子81は、ノズル35周囲に圧力発生室80と相似形の長方形の中央部82を備える。中央部82には、圧電素子81が形成されない。圧電素子81は、圧電膜86をはさんで下部電極87及び上部電極88が積層される。下部電極87の一部87aは延長されて外部配線141の一部とされている。上部電極88の一部88aは下層にある圧電膜86及び下部電極87とともに延長されて外部配線143の一部とされている。
【0078】
圧電素子81は、ノズルプレート30の隔壁50bの上方から、ノズル35に向かって圧力発生室80の上方まで延在し、圧力発生室80の周囲領域83の上方に形成される。圧電素子81が形成されないノズルプレート30の中央部82は、厚み方向に自由に変動可能となる。
【0079】
ノズルプレート30の中央部82の大きさは、圧電素子81の動作によりノズルプレート30が変動可能な範囲であれば限定されない。
【0080】
(実施例3)
(実施例3)として、第3の実施形態のインクジェットヘッド400について有限要素法によるシミュレーションを行った。(実施例3)は、圧電素子80の下部電極87と上部電極88により、圧電膜86に駆動電圧を発生した場合の、インクジェットヘッド400の特性をシミュレーションした実施例である。
【0081】
1例としてシミュレーションに用いたインクジェットヘッド400の主要部の寸法を
図19の(表3)に示す。インクジェットヘッド400のシリコン製の圧力室構造体50の圧力発生室80の幅λを100μmとし、長さπを400μmとした。圧力発生室80の面積100×400(μm)
2を、(実施例1)の圧力発生室51の面積100×100×π(μm)
2に近づけた。
【0082】
圧力室構造体50の表面にCVD法で形成した二酸化シリコン(SiO
2)製のノズルプレート30の厚さを4μmとした。ノズルプレート30上のノズル35の直径を20μmとした。ノズルプレート30上の圧電素子81の中央部82の幅φを直径30μmとした。圧電素子81の、下部電極87の厚さを0.1μm、圧電膜86の厚さを2μm、上部電極88の厚さを0,1μmとした。
【0083】
下部電極87及び上部電極88として白金(Pt)を用い、圧電膜86としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた。圧電膜86の圧電定数d31を−100pm/Vとした。ノズルプレート30の成膜残留応力を0MPa、圧電膜42の成膜残留応力を56MPaとした。
【0084】
下部電極87と上部電極88の間に30Vの電圧を印加した場合のシミュレーションによる計算の結果、ノズル35位置(ノズルプレート30の中心)でのノズルプレート30の垂直方向の変位は0.23μmである。ノズルプレート30全体での駆動体積は3.7pl(ピコリットル)である。
【0085】
ノズルプレート30の中心を0.23μm変形させるために必要な駆動圧力は0.69MPaであり、(実施例3)のインクジェットヘッド400のトータルの駆動エネルギは1.29nJと算出された。
【0086】
(実施例3)のインクジェットヘッド400は、(実施例1)のインクジェットヘッド200と比較すると、長さπ方向にある圧電素子80によるノズルプレート30の駆動力が小さい。一方、(実施例3)のインクジェットヘッド400は、圧電素子40によりノズル31周囲を均等に規制される(実施例1)のインクジェットヘッド200と比較すると、ノズルプレート30が変動しやすい。
【0087】
従って、(実施例3)のインクジェットヘッド400は、(実施例1)のインクジェットヘッド200と比較すると、駆動体積が小さい一方、トータルの駆動エネルギが大きい。すなわち(実施例3)のインクジェットヘッド400は、(実施例1)のインクジェットヘッド200と比較するとインクの吐出量は、70%程度とすくない一方、インクの吐出エネルギは1.7倍有る。このことから、(実施例3)のインクジェットヘッド400は、(実施例1)のインクジェットヘッド200に比べて、より粘度の高いインクの吐出に適していることが分かる。
【0088】
次に、(実施例3)において、ノズルプレート30の中央部82の幅φを変動した場合の、インクジェットヘッド400の駆動体積及びトータルの駆動エネルギの変動について述べる。(実施例3)において中央部82の幅φを変動して、有限要素法によるシミュレーションを行った。中央部82の幅φを変動すると、インクジェットヘッド400の駆動体積は
図20に示すように変動する。ノズルプレート30の中央部82の幅φが30μm程度で、駆動体積は最大値を示す。
【0089】
(実施例3)において中央部82の幅φを変動すると、インクジェットヘッド400の駆動エネルギは
図21に示すように変動する。ノズルプレート30の中央部82の幅φが30μmであれば、トータルの駆動エネルギは最大値を示す。
【0090】
インクジェットヘッド400のトータルの駆動エネルギは、最大値駆動エネルギの1/2以上であれば、圧力発生室51内のインクからなるインク滴をノズル35から良好に吐出可能である。
図21から、ノズルプレート30の中央部82の幅φが10μm以上、60μm以下の範囲であれば、インクジェットヘッド400は、インク滴を良好に吐出可能である。すなわちインクジェットヘッド400において、圧力発生室80の幅λを1とした場合、ノズルプレート30の中央部82の幅φは、0.1以上、0.6以下の範囲であれば、インクジェットヘッド400は、インク滴を良好に吐出可能である。
【0091】
インクジェットヘッド400のトータルの駆動エネルギについて、圧力発生室80の最小幅である幅λを1とした場合の、中央部82のノズル35を通る最小幅である幅φの割合のシミュレーション結果を示す。幅φが0.3であれば、インクジェットヘッド400のトータルの駆動エネルギは最大値となる。幅φが0.1〜0.6であれば、最大駆動エネルギの1/2を得られる。幅φが0.05〜0.75であれば、最大駆動エネルギの1/4以上を得られる。
【0092】
従って少なくとも幅φが0.05〜0.75の範囲であれば、インクジェットヘッド400は、インク滴をノズル35から吐出するのに必要な駆動エネルギを得られる。但しインク滴を良好に吐出するには幅φが0.1〜0.6の範囲であることがより望ましい。
【0093】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、外部配線141、143となる下部電極87及び上部電極88の一部87a、88aは、圧力発生室80の隔壁50b上方のノズルプレート30の固定領域に形成される。したがって、外部配線141、143の割れ、あるいは、下部電極87あるいは上部電極88と外部配線141あるいは外部配線143の接続部の剥がれを抑制できる。第3の実施形態によれば、下部電極87及び上部電極88に確実に電気信号を供給してインクジェットヘッド400の信頼性を向上できる。また圧力発生室80上方において、圧電素子はノズル35の両側で対称形状であり、良好なインクの吐出特性を得られる。更に圧電素子81の内周81aがノズル35に近接しないことから、圧電素子81のパターニング位置が多少ずれても、ノズル35の形状に影響を及ぼさない。圧電素子81あるいは外部配線等の製造プロセスの簡素化を得られ、ノズル35の形状が変形するのを原因とする、歩留まりの低下を抑制できる。
【0094】
更に第3の実施形態によれば、圧力発生室の平面形状が円形のインクジェットヘッドに比べてインクの吐出量が少ないものの、インクを吐出するエネルギを大きく出来る。したがって第3の実施形態は、圧力発生室が円形のインクジェットヘッドに比べてより粘度の高いインクの使用に適している。
【0095】
第3の実施形態における、インクジェットヘッド400の構造は限定されない。インクジェットヘッド400は圧電素子81の上面に絶縁膜を備え、絶縁膜に形成されるコンタクトホールを介して、下部電極87あるいは上部電極88と外部配線を接続しても良い。更にインクジェットヘッド400の駆動効率を高めるために、インクジェットヘッド400の中央部82に、第2の実施形態の保護膜70に相当する、ポリイミド等の保護膜を形成しても良い。
【0096】
以上説明した実施形態において、圧力発生室の材料、形状あるいはサイズ等限定されない。圧力室構造体は、シリコン単結晶基板に限らず、その他の半導体単結晶基板等を使用しても良い。圧力発生室の平面形状は、円形あるいは長方形に限らず、例えばひし形或いは楕円、更には多角形状等用途に応じて任意である。また、圧力発生室の幅に対するノズルプレートの中央部の幅も限定されず、圧力発生室の幅1に対して中央部の幅は、少なくても0.1以上、0.8以下であれば良い。圧電素子の形状あるいは材料等、限定されないし、圧電体の圧電特性等も任意である。
【0097】
更にインクジェットヘッドの構造は限定されない。例えば、インクジェットヘッドは、圧力発生室とインク流路との間に圧力発生室より穴径の小さいインク供給孔が形成されるバックプレートを備えなくても良い。但し圧力発生室とインク流路との間にバックプレートを配置しない場合には、圧力発生室の深さ方向のサイズを大きく取ることが好ましい。圧力発生室の深さ方向のサイズを大きく取ることにより、ノズルプレートの変形により、圧力発生室内に発生するエネルギ変化が、インク流路に逃げるのを遅らせる。
【0098】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ノズルプレート上の駆動部は、圧力室の周囲領域である、圧力室の隔壁の上方から圧力室上方にかかる領域に延在する。駆動部に電気信号を供給する配線は、圧力室の隔壁上方のノズルプレートが固定される領域に形成される。したがって、外部配線の損傷あるいは、圧電素子の電極と外部配線との接続部の剥がれを抑制出来、インクジェットヘッドの信頼性を向上出来る。また圧力発生室上方において、駆動部はノズルを中心に対称であり、良好なインクの吐出特性を得られる。またノズルプレートのノズル周囲に中央部を設けることから、駆動部のパターニングがノズル形状に影響するのを防止でき、製造プロセスの簡素化更には、ノズルの変形を原因とする、歩留まりの低下を防止できる。
【0099】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。