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特許5771690外科用クリップを除去するための外科用器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771690
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】外科用クリップを除去するための外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/10 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   A61B17/10
【請求項の数】60
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-521051(P2013-521051)
(86)(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公表番号】特表2013-532535(P2013-532535A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】EP2011061898
(87)【国際公開番号】WO2012013494
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2013年3月19日
(31)【優先権主張番号】102010036713.3
(32)【優先日】2010年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ モラーレス
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−501570(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0044363(US,A1)
【文献】 米国特許第5312420(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空器官に適用された外科用クリップ(12)を除去するための外科用器具(10)であって、
前記クリップ(12)が、2つの自由端(16)と、互いに接続されて接続領域(18)を規定する2つの端部(20)とを有する2つの緊締アーム(14)を含み、
前記器具(10)が近位端(22)及び遠位端(24)を有する、
外科用器具において、
適用クリップ(12)を把持して適用位置から解放位置へ離れ離れに展開するための展開装置(52)が、前記遠位端(24)に配置されること、
前記展開装置(52)がクリップ容器(112)を含むこと、
前記クリップ容器(112)が最小断面積を規定する挿入位置から、除去されるべき前記クリップ(12)を収容するように前記クリップ容器(112)が開いているクリップ収容位置へと、前記クリップ容器(112)が転移可能であること、及び
前記展開装置(52)が、少なくとも1つの近位クリップ収容止め(72)と、少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)とを含み、該クリップ収容止めが、前記クリップ容器(112)を近位側及び遠位側にて限定すること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項2】
請求項1に記載の外科用器具であって、
前記展開装置(52)がクリップ容器(112)を含むこと、及び
除去されるべき前記クリップ(12)を収容するように前記クリップ容器(112)が開いているクリップ収容位置から、除去されるべき前記クリップ(12)を前記クリップ容器(112)内で離れ離れに展開して保持することができるクリップ展開位置へと、前記クリップ容器(112)が転移可能であること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項3】
請求項に記載の外科用器具であって、
前記展開装置(52)がクリップ容器(112)を含むこと、及び
除去されるべき前記クリップ(12)が前記クリップ容器(112)内で離れ離れに展開されて保持されるクリップ展開位置から、除去されるべき前記クリップ(12)を前記クリップ容器(112)内で閉鎖して保持することができるクリップ除去位置へと、前記クリップ容器(112)が転移可能であること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項4】
請求項3に記載の外科用器具であって、前記クリップ除去位置と前記挿入位置とが同一であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の外科用器具であって、2つのクリップ収容止め(118)が遠位側に設けられること、を特徴とする外科用器具。
【請求項6】
請求項に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止め(72)及び前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)が、互いに対して移動可能であるように配置されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止め(72)と前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)との長手方向(30)での間隔(120)が変更可能であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項8】
請求項7に記載の外科用器具であって、前記間隔(120)が、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、減少すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の外科用器具であって、遠位側にある2つのクリップ収容止め(118)の交差方向間隔(122)が、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、長手方向(30)に対して交差する方向に増加すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項10】
請求項〜9のいずれか1項に記載の外科用器具であって、その遠位端に前記展開装置(52)が配置される長尺シャフト(28)を特徴とする外科用器具。
【請求項11】
請求項10に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止め(72)と前記シャフトとが、互いに対して不動であるように配置されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項12】
請求項11に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)と前記シャフト(28)とが、互いに対して移動可能であるように配置されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)が、前記シャフト(28)に対して枢動軸(56)の周りで枢動可能であるように配置されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項14】
請求項13に記載の外科用器具であって、前記枢動軸(56)が、前記シャフト(28)により規定される長手方向軸(30)に対して交差する方向に延びること、を特徴とする外科用器具。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の外科用器具であって、2つの遠位クリップ収容止め(118)が、共通の枢動軸(56)の周りで互いに対して枢動可能であるように装着されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載の外科用器具であって、
前記展開装置(52)が、互いに対して移動可能である2つのツール要素(50)を含むこと、及び
前記2つのツール要素(50)上に、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)が配置又は形成されること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項17】
請求項16に記載の外科用器具であって、各ツール要素(50)が遠位クリップ収容止め(118)を含むこと、を特徴とする外科用器具。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の外科用器具であって、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止め(118)が、前記ツール要素(50)の遠位端の領域に配置又は形成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記2つのツール要素(50)が、前記シャフト(28)に対して移動可能であるように装着されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記2つのツール要素(50)が、前記シャフト(28)に対して変位可能及び/又は枢動可能であるように装着されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項21】
請求項16〜20のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記2つのツール要素(50)が、前記シャフト(28)内又は上で移動可能であるように装着された力伝達部材(48)に移動可能に結合され、前記力伝達部材(48)が移動する結果として、前記ツール要素(50)が互いに対して移動すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項22】
請求項21に記載の外科用器具であって、前記展開装置(52)を作動させるための作動装置(34)を特徴とする外科用器具。
【請求項23】
請求項22に記載の外科用器具であって、前記作動装置(34)が、前記2つのツール要素(50)を互いに対して移動させるように構成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の外科用器具であって、前記作動装置(34)と前記力伝達部材(48)とが互いに移動可能に結合され、前記作動装置(34)から前記力伝達部材(48)へ作動力が伝達されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記作動装置(34)が、前記器具(10)の前記近位端(22)に配置又は形成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記挿入位置及び/又は前記クリップ除去位置にある前記2つのツール要素(50)が閉鎖位置を占めること、を特徴とする外科用器具。
【請求項27】
請求項26に記載の外科用器具であって、前記閉鎖位置にある前記2つのツール要素(50)が、少なくとも幾つかの区域において互いに対接すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項28】
請求項22〜27のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記力伝達部材(48)が長手方向(30)に変位する結果としての、前記2つのツール要素(50)の互いに対する枢動運動を規定するための接続リンク案内部(89)を特徴とする外科用器具。
【請求項29】
請求項28に記載の外科用器具であって、前記接続リンク案内部(89)が、案内溝(86)と、前記案内溝(86)内で保持及び案内されるカム(76)とを備えた溝カム案内部(88)の形態に構成され、前記案内溝(86)が前記シャフト(28)上又はツール要素(50)上に配置又は形成され、対応する前記カム(76)が他方の部品(28)上に配置又は形成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項30】
請求項29に記載の外科用器具であって、
各ツール要素(50)が案内溝(86)を含むこと、及び
前記シャフト(28)上で保持されるカム(76)が、2つの前記案内溝(86)内で案内されること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項31】
請求項22〜30のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記クリップ収容位置にある前記ツール要素(50)が開放位置を占めること、を特徴とする外科用器具。
【請求項32】
請求項22〜31のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記クリップ展開位置にある前記ツール要素(50)が開放位置を占めること、を特徴とする外科用器具。
【請求項33】
請求項22〜32のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、前記ツール要素(50)が、前記シャフト(28)に対して近位方向に変位すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項34】
請求項22〜33のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、前記ツール要素(50)が前記シャフト(28)に対してその周りで枢動可能である枢動軸(56)が、近位方向に変位すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項35】
請求項22〜34のいずれか1項に記載の外科用器具であって、除去されるべき前記クリップ(12)の自由端(16)が部分的に挿入可能である凹部(74)の形態に、前記近位クリップ収容止め(72)が構成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項36】
請求項35に記載の外科用器具であって、前記凹部(74)が遠位方向を向いて開いていること、を特徴とする外科用器具。
【請求項37】
請求項22〜36のいずれか1項に記載の外科用器具であって、除去されるべき前記クリップ(12)の接続領域(18)が部分的に挿入可能である緊締顎凹部(104)の形態に、前記遠位クリップ収容止め(118)が構成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項38】
請求項37に記載の外科用器具であって、前記緊締顎凹部(104)が近位方向を向いて開いていること、を特徴とする外科用器具。
【請求項39】
請求項22〜38のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記展開装置(52)が、近位方向を向く展開部材(100)を含み、前記展開部材(100)が、除去されるべき前記クリップ(12)の前記緊締アーム(14)の2つの接続領域(18)間に挿入可能であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項40】
請求項39に記載の外科用器具であって、前記展開部材(100)が、楔形であり、かつ、近位方向を向く展開縁(98)を有すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項41】
請求項39又は40に記載の外科用器具であって、
前記2つのツール要素(50)が各々、展開部材部分(102)を含むこと、及び
前記展開部材部分(102)が前記展開部材(100)を形成すること、
を特徴とする外科用器具。
【請求項42】
請求項41に記載の外科用器具であって、前記挿入位置及び/又は前記クリップ除去位置にある前記展開部材部分(102)が、前記展開部材(100)を形成するように互いに対接すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項43】
請求項22〜42のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記挿入位置を規定するための第1止め装置(124)を特徴とする外科用器具。
【請求項44】
請求項43に記載の外科用器具であって、前記クリップ除去位置を規定するための第2止め装置(126)を特徴とする外科用器具。
【請求項45】
請求項44に記載の外科用器具であって、前記第1止め装置(124)及び/又は前記第2止め装置(126)が、前記作動装置(34)上に配置又は形成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項46】
請求項44又は45に記載の外科用器具であって、前記第1止め装置(124)及び/又は 前記第2止め装置(126)が、互いに対して移動可能である、前記作動装置(34)の作動部材(36、42)の移動を限定するように構成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項47】
請求項46に記載の外科用器具であって、互いからできるだけ遠い位置にある前記作動部材(36、42)が、前記クリップ収容位置を規定すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項48】
請求項46又は47に記載の外科用器具であって、互いにできるだけ近い位置にある前記作動部材(36、42)が、前記クリップ展開位置を規定すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項49】
請求項46〜48のいずれか1項に記載の外科用器具であって、互いからできるだけ遠い位置から互いにできるだけ近い位置に転移する時に、前記ツール要素(50)が閉鎖される規定の中間位置を前記作動部材(36、42)が占めるよう、前記第1止め装置(124)が配置又は形成されること、を特徴とする外科用器具。
【請求項50】
請求項46〜49のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記第1止め装置(124)が中間止め(128)を含み、前記中間止め(128)が、前記作動部材(42)のうちの一方の上に配置され、他方の前記作動部材(36)と相互作用して前記挿入位置を規定すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項51】
請求項50に記載の外科用器具であって、前記挿入位置から前記クリップ展開位置へ転移するために、前記中間止め(128)が一時的に解除可能であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項52】
請求項50又は51に記載の外科用器具であって、前記中間止め(128)が、遠位方向を向く中間止め面(136)を含むこと、を特徴とする外科用器具。
【請求項53】
請求項52に記載の外科用器具であって、前記第2止め装置(126)が端部止め(138)を含み、前記端部止め(138)が、前記作動部材(42)のうちの一方の上に配置され、他方の前記作動部材(36)と相互作用して前記クリップ除去位置を規定すること、を特徴とする外科用器具。
【請求項54】
請求項53に記載の外科用器具であって、前記クリップ除去位置から前記挿入位置へ転移するために、前記端部止め(138)が一時的に解除可能であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項55】
請求項53又は54に記載の外科用器具であって、前記端部止め(138)が、近位方向を向く端部止め面(142)を含むこと、を特徴とする外科用器具。
【請求項56】
請求項55に記載の外科用器具であって、前記第1止め装置(124)及び前記第2止め装置(126)が、前記中間止め面(136)及び/又は前記端部止め面(142)を含む突起(140)を含むこと、を特徴とする外科用器具。
【請求項57】
請求項44〜56のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記器具(10)を前記クリップ除去位置に固定するための固定装置(146)を特徴とする外科用器具。
【請求項58】
請求項57に記載の外科用器具であって、前記固定装置(146)が前記第2止め装置(126)を含むこと、を特徴とする外科用器具。
【請求項59】
請求項22〜58のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記作動装置(34)と前記シャフト(28)とが、該シャフト(28)の長手方向軸(30)の周りで互いに対して回転可能であること、を特徴とする外科用器具。
【請求項60】
請求項22〜59のいずれか1項に記載の外科用器具であって、前記シャフト(28)に解放可能に接続可能であり、かつ、前記作動装置(34)を含む器具ハンドル(26)を特徴とする外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空器官に適用された外科用クリップを除去するための外科用器具であって、前記クリップが、2つの自由端と、互いに接続されて接続領域を規定する2つの端部とを有する2つの緊締アームを含み、前記器具が近位端及び遠位端を有する、外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科治療において、血管を止血し、他の中空器官を緊締して遮断するために、特にいわゆる結紮クリップの形態の外科用クリップがますます使用されている。クリップは、略平行に延びる、及び、2つの自由端と、互いに接続されて接続領域を有する2つの端部とを有する、2つの緊締アームを含むことができる。例えば、いわゆるダブルシャンク式クリップも使用される。これらのダブルシャンク式クリップは、対になって接続される4つの自由端と、これも対になって接続されて2つの接続領域を規定する4つの端部とを備えた、合計で4つの緊締アームを含む。このようなダブルシャンク式クリップは自らの内側で閉鎖されたワイヤ環から形成することができ、このクリップを用いて、脈管又は中空器官を、互いから離れた2つの場所でさえ容易に遮断することができる。
【0003】
現在まで使用される縫合技術よりも、クリップを設置することのほうがかなり容易かつ短時間である。クリップは、通常はインプラントとして身体内に留まるので、生体適合性材料、特に純チタン又はチタン合金から製造される。
【0004】
手術中、血管又は中空器官が切断できるようになる前に、普通、少なくとも2つのクリップを用いて、一層良好には3つのクリップを用いて、この血管又は中空器官が遮断されるので、設置された2つのクリップ間にある中空器官は、血液又はその他の体液が流出することなく外科医が切断することができる。
【0005】
例えば、時々、1つ以上のクリップが、誤った脈管又は中空器官に、誤って位置決めされる。このような状況が起こった場合、脈管又は中空器官の元の機能性を回復できるようにするために、クリップは再び除去されねばならない。いわゆる切開手術において、誤って位置決めされたクリップを、例えば持針器、鉗子、又はその他の器具を使用して除去することは、普通、可能であるとはいえ、非常に大きな努力を伴う。内視鏡的処置では、クリップを誤って位置決めすることは極めて重大である。クリップは普通、非常に小さいものであり、アンダーカット又はその他の出っ張る部品をもたないようにも構築される。ただしこのアンダーカット又はその他の出っ張る部品は、クリップを把持し易くするであろうものである。クリップ脚部とも称されるクリップの2つの緊締アーム、又は、ダブルシャンク式クリップ内の各対の2つの緊締アームが、任意の間隙なしに上下で一致して載り合う理想的な事例においてもまた、このことは望ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 94 06 926 U1
【特許文献2】US 2004/0044363 A1
【特許文献3】US 439,994 A
【特許文献4】US 2005/0119677 A1
【特許文献5】US 5,752,973 A
【特許文献6】WO 2007/009099 A2
【特許文献7】WO 96/16602 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、外科用クリップが適用された後にこの外科用クリップを再び容易に除去できるように、冒頭で記載した種類の外科用器具を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、冒頭で記載した種類の外科用器具に関して、適用クリップを把持して適用位置から解放位置へ離れ離れに展開するための展開装置が、前記遠位端に配置されるという点で達成される。
【0009】
例えば、前記器具が内視鏡の形態に構成される場合、除去されるべきクリップを、例えば、特に誤って設置された血管又は中空器官から注意深くかつ安全に除去するために、このクリップが、患者の身体内への小さいアクセスを通して、前記展開装置を用いて容易に把持され、離れ離れに展開されることも可能である。前記展開装置は特に、前記クリップを除去するための更なる器具を要しないように構築される。前記クリップは、好ましくは、前記展開装置を用いて自動的に除去可能である。このクリップは、好ましくは、離れ離れに展開した後に前記器具を用いて安全に保持されるので、特に、例えば套管針により作製される、ヒトの身体内への最小侵襲のアクセスを通して、再び除去することができる。
【0010】
前記展開装置がクリップ容器を含み、このクリップ容器が最小断面積を規定する挿入位置から、除去されるべき前記クリップを収容するように前記クリップ容器が開いているクリップ収容位置へと、前記クリップ容器が転移可能であると有利である。前記クリップ容器は、前記クリップを安全に把持できるようにする。前記挿入位置のとき、前記展開装置が必要とする空間は非常に僅かでしかないので、この展開装置は、小さい、特に最小侵襲のアクセスを通して、患者の身体内に挿入することもできる。前記クリップ収容位置のとき、前記クリップは、前記クリップ容器内に導入し、このクリップ容器内で収容することができる。
【0011】
前記展開装置がクリップ容器を含み、除去されるべき前記クリップを収容するように前記クリップ容器が開いているクリップ収容位置から、除去されるべき前記クリップを前記クリップ容器内で離れ離れに展開して保持することができるクリップ展開位置へと、前記クリップ容器が転移可能であることも有利である。このような構造の展開装置は、クリップが前記クリップ容器内で保持される限りにおいて、このクリップを収容し離れ離れに展開できるようにする。クリップは、離れ離れに展開されるおかげで、特に、前記緊締アームが、ただしこれらの緊締アームは単純な適用クリップの場合、基本的に互いに対接するものであるが、互いから離れる方に枢動することにより前記接続領域の変形が引き起こされることに起因して、離れ離れに展開されることにより、脈管又は中空器官から再び解放することができる。ダブルシャンク式クリップの場合は、特に、適用位置又は閉鎖位置のとき互いに対接する2つの前記接続領域を、離れ離れに展開することができる。
【0012】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記展開装置がクリップ容器を含み、除去されるべき前記クリップが前記クリップ容器内で離れ離れに展開されて保持されるクリップ展開位置から、除去されるべき前記クリップを前記クリップ容器内で閉鎖して保持することができるクリップ除去位置へと、前記クリップ容器が転移可能であることを実現することができる。このような構造の前記展開装置により、特に、離れ離れに展開される前記クリップを保持し、例えば、前記クリップが前記脈管又は中空器官から離れる方に移動した後に、このクリップを再び閉鎖し、前記閉鎖位置に保持することが可能になる。このことは、特に、前記クリップを、患者の身体から最小侵襲のアクセスを通して引き抜くことを促進する。原則として、前記クリップを、離れ離れの前記展開位置にして患者の身体から移動させることも考えられる。しかし、こうするには、アクセスの断面をかなり大きくする必要があろう。
【0013】
前記クリップ除去位置と前記挿入位置とが同一である場合、前記器具の構造は特に単純である。このことにより、前記器具を前記挿入位置から前記クリップ収容位置へと転移して前記クリップを収容し、前記器具を前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置へと転移することにより前記クリップを離れ離れに展開し、最終的に、前記器具を前記クリップ展開位置から前記挿入位置に対応する前記クリップ除去位置へと転移した後に、前記クリップを患者の身体から引き抜くことができる。
【0014】
前記クリップが前記展開装置に対して移動しないようにし、このクリップを展開装置によりしっかりと把持し保持できるようにするために、前記展開装置が、少なくとも1つの近位クリップ収容止めと、少なくとも1つの遠位クリップ収容止めとを含み、これらのクリップ収容止めが、前記クリップ容器を近位側及び遠位側にて限定すると有利である。特に、前記クリップ収容止めはどちらも、近位クリップ収容止めと遠位クリップ収容止めとの間の接続方向に対して交差する方向に移動することが不可能であるような構造とすることができる。このことにより、前記クリップは、それぞれの近位クリップ収容止め及び遠位クリップ収容止めに近位側及び遠位側にて対接する際に、前記クリップ容器から落下できないようになる。
【0015】
2つのクリップ収容止めが遠位側に設けられることが有利である。特に、遠位側にある前記2つのクリップ収容止めの各々を、その形状において、単純なクリップであれば前記緊締アームの前記2つの自由端のうちの1つに、又は、ダブルシャンク式クリップであれば2つの前記接続領域のうちの1つに適合させることができる。
【0016】
前記少なくとも1つの近位クリップ収容止め及び前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めは、好ましくは、互いに対して移動可能であるように配置される。前記クリップを離れ離れに展開し、場合によってこのクリップを再び閉鎖するには、例えば、前記クリップ容器内に収容された前記クリップの前記緊締アームの前記自由端を、1つ以上の前記接続領域に対して移動させるために、例えば、これらのクリップ収容止めを、互いの方に又は互いから離れる方に移動可能であるように、構築することができる。
【0017】
クリップが離れ離れに展開されることを促進するために、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めと前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めとの長手方向での間隔が変更可能であると有利である。このようにして、特に、除去されるべき前記クリップの前記緊締アームの自由端と、その1つ以上の接続領域との間隔を変更することも可能である。この1つ以上の接続領域は、例えば、前記クリップを離れ離れに展開するように使用することができるものである。
【0018】
前記間隔は、有利なことに、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、減少する。このようにして、脈管又は中空器官を解放するために、除去されるべき前記クリップに長手方向で展開力を加え、単純なクリップの前記緊締アームの自由端を、又は、適用位置のとき互いに対接する接続領域を、互いから離れる方に移動させることが可能である。
【0019】
遠位側にある2つのクリップ収容止めの交差方向間隔が、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、長手方向に対して交差する方向に増加すると有利である。遠位側にある前記クリップ収容止めが互いから離れる方に移動するおかげで、単純なクリップの前記緊締アームの自由端、又は、ダブルシャンク式クリップの、適用位置のとき互いに対接する接続領域がそれぞれの遠位クリップ収容止めに対接する場合、前記クリップが脈管又は中空器官を解放できるように、これらの自由端又は接続領域を、互いから離れる方に容易に移動させることができる。
【0020】
特に内視鏡を形成するために、その遠位端に前記展開装置が配置される長尺シャフトを前記器具が含むと有利である。
【0021】
前記少なくとも1つの近位の止めと前記シャフトとが、互いに対して不動であるように配置される場合、前記器具の構造は特に単純になる。このようにして、特に、前記近位の止めが、単純なクリップの前記接続領域に向かって、又はダブルシャンク式クリップの自由端に向かって進められ、この接続領域又はこれらの自由端に適用されることにより、特に、規定されるやり方で前記クリップ容器内にクリップを収容することができる。
【0022】
前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めと前記シャフトとが、互いに対して移動可能であるように配置されると有利である。このことにより、外科医は、前記シャフトを、前記近位クリップ収容止めを用いて、例えば前記クリップの前記接続領域に位置決めし、このシャフトをそこで保持することができる。その際、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めのその他の移動は全て、前記シャフトに対して生じる。そうすれば、外科医が、前記器具シャフトを前記クリップに対して調整する必要がない。それでもやはり、例えば、前記遠位クリップ収容止めを前記シャフトに対して不動であるように配置し、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めを前記シャフトに対して移動可能であるように構築することも可能であることに留意すべきである。
【0023】
前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めが、前記シャフトに対して枢動軸の周りで枢動可能であるように配置される場合、クリップを、特に容易に、離れ離れに展開することができる。従って、例えば、緊締アームの自由端が、前記接続領域に対して枢動することが可能であり、又は、2つの接続領域が、前記緊締アームの前記自由端に対して枢動することが可能である。
【0024】
前記枢動軸は、有利なことに、前記シャフトにより規定される長手方向軸に対して交差する方向に延びる。従って、クリップが、収容され、特に、シャフトにより規定される長手方向軸に対して平行に、前記展開装置により離れ離れに展開されることが可能であるので、このことは前記器具の取り扱いを促進する。
【0025】
前記した2つの遠位クリップ収容止めが、共通の枢動軸の周りで互いに対して枢動可能であるように装着される場合、前記展開装置は、特にコンパクトな構造にすることができる。例えば、前記2つの遠位クリップ収容止めのうちの1つが前記シャフトに対して静止して配置され、1つのみが前記シャフトに対して移動可能、特に枢動可能であるように構築されることも可能である。
【0026】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記展開装置が、互いに対して移動可能である2つのツール要素を含み、前記2つのツール要素上に、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めが配置又は形成されることを実現することができる。特に、前記2つのツール要素のうちの1つのみを遠位クリップ収容止めと嵌合させることができる。前記ツール要素は、特に、前記クリップ収容止めの配向を規定し、前記挿入位置のとき、前記シャフトの長手方向に対して平行に、又は交差方向にも配向することができる。
【0027】
各ツール要素は、好ましくは、遠位クリップ収容止めを含む。例えば、各遠位クリップ収容止めは、前記クリップアームの自由端に、又は前記クリップの接続領域に適用し、その後、前記ツール要素が互いに対して移動する結果として、除去されるべき前記クリップを離れ離れに展開することができる。
【0028】
除去されるべき前記クリップの周りで剥き出しにされねばならない組織を極力少なくするために、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めが、前記ツール要素の遠位端の領域に配置又は形成されると有利である。
【0029】
除去されるべきクリップを前記クリップ収容位置で収容するための極力大きい開口を提供するために、前記2つのツール要素が、前記シャフトに対して移動可能であるように装着されると有利である。特に、その際、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めが、前記シャフトに対して移動できずに済ますことも可能である。
【0030】
前記2つのツール要素が、前記シャフトに対して変位可能及び/又は枢動可能であるように装着される場合、前記器具は、特に単純な構造とすることができる。例えば、前記2つのツール要素用の枢動軸を、前記シャフトの長手方向に対して交差する方向に、特に垂直に配向することができる。
【0031】
更なる好適な実施形態によれば、前記2つのツール要素が、前記シャフト内又は上で移動可能であるように装着された力伝達部材に移動可能に結合され、前記力伝達部材が移動する結果として、前記ツール要素が互いに対して移動することを実現することができる。従って、特に、前記力伝達部材、例えばプッシュ・プル棒の形態のプッシュ・プル部材を移動させることにより、前記2つのツール要素の互いに対する移動、例えばこれらのツール要素の、互いに対する変位及び/又は枢動運動を、場合によって前記シャフトに対する変位及び/又は枢動運動をも、実施されることが容易に可能である。
【0032】
原則として、シャフト又は短いシャフト部分とのみ接続状態にある前記展開装置を提供することが可能である。一方、前記器具は、有利なことに、前記展開装置を作動させるための作動装置をも含む。特に、この作動装置は、前記力伝達部材に結合することができる。
【0033】
前記作動装置は、有利なことに、前記2つのツール要素を互いに対して移動させるように構成される。このことにより、前記器具を簡単に取り扱いできるようになる。というのも、特に、外科医が、前記作動装置を作動させることにより、例えば、互いに対して移動可能であるようにシャフトの遠位端に装着されるツール要素を移動させることができるからである。
【0034】
前記作動装置と前記力伝達部材とが互いに移動可能に結合され、前記作動装置から前記力伝達部材へ作動力が伝達されると特に有利である。この構成は、外科医が、単に前記作動装置を取り扱うことにより前記力伝達部材を移動できるようにし、作動装置が前記ツール要素のうちの一方又は双方に結合されれば、これらのツール要素を互いに対して前記所望の仕方で位置決めできるようにもする。
【0035】
前記作動装置が前記器具の前記近位端に配置又は形成される場合、外科医にとって、前記器具の取り扱いは特に簡単である。例えば、その際、外科医は、患者の身体の内側から除去されるべきクリップを、目的にされたやり方で患者の身体の外側から把持し、このクリップを離れ離れに展開し、特に、このクリップを、患者の身体から最小侵襲のアクセスを通して除去することができる。
【0036】
前記挿入位置及び/又は前記クリップ除去位置にある前記2つのツール要素が閉鎖位置を占めると有利である。この構成は、特に、前記器具を最小侵襲のアクセスを通して患者の身体の内外へ簡単に挿入したり引き出したりすることができるようにする。
【0037】
前記閉鎖位置のとき、前記2つのツール要素は、有利なことに、少なくとも幾つかの区域において互いに対接する。従って、これらのツール要素は、互いの方への移動を限定するための止めを共通して形成する。従って、除去されるべきクリップを規定された所望の仕方で確実に把持し保持することもできるように、前記クリップ容器も単純な仕方で規定することができる。
【0038】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記力伝達部材が長手方向に変位する結果としての、前記2つのツール要素の互いに対する枢動運動を規定するために、接続リンク案内部を設けることができる。特に、顎部とも称される前記ツール要素を開放及び閉鎖するための規定された移動を、前記接続リンク案内部を相応に設計することにより確実にすることが可能である。前記接続リンク案内部は、特に、線形運動を、枢動運動又は前記長手方向軸に対して垂直な移動に変換できるようにする。
【0039】
前記接続リンク案内部が、案内溝と、前記案内溝内で保持及び案内されるカムとを備えた溝カム案内部の形態に構成され、前記案内溝が前記シャフト上又はツール要素上に配置又は形成され、対応する前記カムが他方の部品上に配置又は形成されている場合、前記器具は、その構造が特に単純になる。従って、特に、カムと案内溝との相対的な移動により、前記ツール要素間の相対的な移動を、場合によって前記シャフトに対する相対的な移動をも達成することができる。
【0040】
各ツール要素が案内溝を含み、前記シャフト上で保持されるカムが、2つの前記案内溝内で案内されると有利である。従って、例えば、案内要素が前記シャフトの長手方向で相対的に移動する結果として、前記カムが前記案内溝内で案内されることにより、長手方向に対する交差方向での移動を実施することができる。前記カムは、特に、前記案内溝内を通過するか又は前記案内溝内で係合するピンの形態に構成することができる。前記案内溝は、直線状の及び/又は湾曲した構成とすることができる。
【0041】
前記クリップ容器内にクリップを収容できるようにするために、前記クリップ収容位置にある前記ツール要素が開放位置を占めると有利である。
【0042】
前記クリップ展開位置にある前記ツール要素が開放位置を占めることも有利である。このようにして、特に、前記緊締アームの自由端、又は、適用位置のときに互いに対接する前記クリップの接続領域が、前記クリップ展開位置のときに互いから距離を置いて保持されることが可能である。
【0043】
前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、前記ツール要素が、前記シャフトに対して近位方向に変位すると有利なこともある。従って、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めと、前記少なくとも1つの遠位クリップ収容止めとの間の間隔を、特に、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、単純な仕方で低減することができる。
【0044】
更に、前記クリップ収容位置から前記クリップ展開位置への転移中、前記ツール要素が前記シャフトに対してその周りで枢動可能である枢動軸が、近位方向に変位すると有利なことがある。このようにして、前記ツール要素が、互いに対する、場合によって前記シャフトに対する、重ね合わされた並進枢動運動を実行することが可能である。
【0045】
前記クリップが、特にその接続領域が、前記クリップ容器から簡単には落下しないことを確実にするために、除去されるべき前記クリップの前記接続領域が部分的に挿入可能である凹部の形態に前記近位クリップ収容止めが構成されると有利である。従って、特に、前記展開装置により規定される長手方向に対して交差する方向で移動することが、単純かつ安全な仕方で防止されることが可能である。
【0046】
前記クリップを単純な仕方で収容できるようにするために、前記凹部が遠位方向を向いて開いていると有利である。従って、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めを備えた前記展開装置は、遠位方向に、特に、単純なクリップの前記接続領域に向かって、又は、ダブルシャンク式クリップの自由端に向かって移動させることにより、進めることができる。
【0047】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、特に、除去されるべき前記クリップの接続領域が部分的に挿入可能である緊締顎凹部の形態に、前記遠位クリップ収容止めが構成されることを実現することができる。従って、特に、規定された安全なやり方で前記クリップ容器内で前記クリップを保持できるように、前記クリップが、特にその緊締アームの前記自由端が、又はその接続領域が、前記展開装置に対して移動することを単純かつ安全に防止することが可能である。従って、特に、前記クリップは、規定されたやり方において、一方で前記凹部内で、他方で1つ以上の前記緊締顎凹部内で、保持することができる。
【0048】
前記緊締顎凹部は、好ましくは、近位方向を向いて開いている。従って、この緊締顎凹部は、特に、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めを規定する前記凹部に向かう方向を向くことができる。従って、クリップを代わりにそこで保持することができるであろうアンダーカット又は出っ張る突起を一切有することなく、クリップが、一方でその1つ以上の接続領域にて、他方でその緊締アームの自由端の前記領域において、しっかりと把持されて保持されることが可能である。
【0049】
前記展開装置が、近位方向を向く展開部材を含むと有利である。この展開部材は特に、除去されるべき前記クリップの前記緊締アームの2つの接続領域間に挿入可能である。従って、前記展開部材は、特に、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めに向かう前記方向を向くことができる。特に、前記展開部材は、前記少なくとも1つの近位クリップ収容止めに対して、好ましくはこの近位クリップ収容止めに向かう方向で、移動可能であるように構築し、このような移動の結果として、前記クリップの前記緊締アームを離れ離れに展開させることができる。
【0050】
前記展開部材が、楔形であり、かつ、近位方向を向く展開縁を有する場合、外科用クリップを、特に容易にかつ安全に離れ離れに展開することができる。従って、例えば、前記展開部材が、互いに対接する2つの緊締アーム間にそれらの自由端から押し込まれるか、又は、互いに対接する2つの接続領域間に押し込まれることが可能であり、その際、前記自由端又は前記接続領域は楔形の前記展開部材に沿って摺動するので、前記自由端又は前記接続領域を離れ離れに展開することができる。
【0051】
前記2つのツール要素が各々、展開部材部分を含み、前記展開部材部分が前記展開部材を形成する場合、前記展開装置は、特にコンパクトなやり方で構築することができる。従って、換言すれば、前記展開部材は、二部分構造であるか、又は少なくとも二部分構造である。特に、前記2つの展開部材部分は各々、遠位クリップ収容止めを含むことができ、又は、このようなクリップ収容止めに隣接して形成することができる。
【0052】
前記挿入位置のとき、前記展開装置が極力コンパクトな構造になるようにするために、前記挿入位置及び/又は前記クリップ除去位置にある前記展開部材部分が、前記展開部材を形成するように互いに対接すると有利である。従って、特に、前記器具を患者の身体内に最小侵襲のアクセスを通して挿入し、この器具を患者の身体から再び引き出すことができるようにするために、前記展開装置の極力小さい断面を規定することが可能である。
【0053】
前記器具の触知性を改良するために、この器具が、前記挿入位置を規定するための第1止め装置を含むと有利である。前記第1止め装置は特に、前記器具が前記挿入位置を占める際に、外科医が、触知できるフィードバックを受けるように構築することができる。外科医はその際、前記展開装置を用いて視認しなくても、例えば、前記2つのツール要素が閉鎖位置を占めることを確実にすることができる。
【0054】
前記器具が、改良された更なる触知性を有するようにするために、この器具が、前記クリップ除去位置を規定するための第2止め装置を含むと有利である。従って、前記クリップが収容されて離れ離れに展開された後、外科医が、前記展開装置を目視する必要なく、前記器具を前記クリップ除去位置へと転移することが可能である。前記第2止め装置のおかげで、前記構造に応じて、特に、器具がいったん前記クリップ除去位置を占めてしまえば、前記器具を他のいかなる位置にも転移できないことを確実にすることも可能である。特に、これによって、前記クリップ容器内で保持されるクリップが、前記クリップ容器から意図せずには落下できないことを確実にすることができる。前記クリップ容器は、前記クリップがそこに収容されて離れ離れに展開されてから、例えば脈管又は中空器官から除去された後に、前記クリップ容器は再び閉鎖される。
【0055】
前記第1及び/又は前記第2止め装置が、前記作動装置上に配置又は形成されると有利である。このことは、特に、前記展開装置の非常にコンパクトな構造が可能であるという利点を有する。更に、前記止め装置は前記作動装置上に、特に前記クリップ除去位置にいつ到達するかを、外科医が感知するだけでなく目視することも可能であるように形成することができる。代案として、当然ながら、前記第1及び/又は第2止め装置を前記シャフト上に、特に前記展開装置の前記領域上又は内にも配置又は形成することも考えられる。
【0056】
前記第1及び/又は前記第2止め装置は、好ましくは、互いに対して移動可能である、前記作動装置の作動部材の移動を限定するように構成される。特に、2つ又は場合によって3つ以上の作動部材をも含む作動装置では、例えば、前記作動部材の互いに対する前記移動を単純に限定することにより、前記挿入位置及び/又は前記クリップ除去位置が規定されることも可能である。前記作動部材は、特に、一方で前記シャフトに、他方で前記ツール要素のうちの一方又は双方に結合することができるため、前記作動部材が互いに対して移動する結果として、前記ツール要素を、従って前記クリップ収容止めを、互いに対して移動させることもできるようになる。
【0057】
互いからできるだけ遠い位置にある前記作動部材が、前記クリップ収容位置を規定すると有利である。従って、外科医は、前記作動部材を互いから離れる方に移動させることにより、前記器具を前記クリップ収容位置に容易に転移することが可能である。
【0058】
更に、互いにできるだけ近い位置にある前記作動部材が、前記クリップ展開位置を規定すると有利なことがある。このようにして、特に、外科医は単に、作動部材が互いの方にそれ以上移動できなくなるまで作動部材を互いの方に移動させればよいので、前記器具の取り扱いが改良される。その際、外科医は、前記クリップが最大限まで離れ離れに展開され、このクリップを前記脈管又は中空器官から容易に除去できることを確信することができる。
【0059】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、互いからできるだけ遠い位置から互いにできるだけ近い位置に転移する時に、前記ツール要素が閉鎖される規定の中間位置を前記作動部材が占めるよう、前記第1止め装置が配置又は形成されることを実現することができる。従って、前記器具が前記挿入位置を占めるように前記第1止め装置を設計することが容易に可能である。特に、外科医は、前記展開装置を直接目視することができなくても、前記器具が前記挿入位置を占めていることを、前記作動部材の規定された前記中間位置から判断することができる。
【0060】
前記第1止め装置が中間止めを含む場合、前記器具の構造は特に単純である。前記中間止めは、前記作動部材のうちの一方の上に配置され、他方の前記作動部材と相互作用して前記挿入位置を規定する。前記中間止めは特に、一方の前記作動部材上で静止状態に配置することができ、又は別法として、移動可能であるようにも配置することができる。例えば、前記器具を前記挿入位置から前記クリップ展開位置へ転移するために、前記中間止めは、特に、規定された復元力を備えた復元部材、例えば圧縮ばねの作用に逆らって移動できるように構築することができる。代案として、前記中間止めが変形可能な構造であり、この中間止めを変形させるために特定の力が求められることも可能である。
【0061】
前記挿入位置から前記クリップ展開位置へ転移するために、前記中間止めが一時的に解除可能であることが有利である。先行する段落において説明したように、例えば、前記挿入位置から前記クリップ展開位置へ前記作動部材を、従って前記器具をも移動できるようにするために、前記中間止めを、この中間止めがその上に配置又は形成される前記作動部材に対して移動させることができるという点で、前記中間止めは解除し又は無効にすることができる。特に、前記止めは、他方の作動部材の対応する突起が、復元部材の前記作用に逆らって前記中間止めをそれに沿って摺動させ変位させることができる摺動面を備えて形成することができる。外科医は前記復元部材の効果を感知することができるので、前記作動部材を例えば互いの方に移動させる力がいったん増加すると、外科医は、前記器具が前記挿入位置を占めるときを感知することができる。
【0062】
前記中間止めが、遠位方向を向く中間止め面を含むと有利である。従って、規定の止めを容易に形成することができる。前記挿入位置を解放するために、例えば、前記中間止め面は、特に、他方の前記作動部材の一部がこの中間止め面に沿って摺動するときに前記中間止めを移動させるための摺動面として、記載したやり方で形成することができる。
【0063】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記第2止め装置が端部止めを含むと有利なことがある。前記端部止めは、前記作動部材のうちの一方の上に配置され、他方の前記作動部材と相互作用して前記クリップ除去位置を規定する。特に、前記端部止めは、前記器具をもはや前記クリップ展開位置又は前記クリップ収容位置へ転移できないような仕方で形成することができる。従って、特に、前記器具が患者の身体から引っ張り出される際に、脈管又は中空器官から除去されたクリップを前記クリップ容器内でしっかりと保持できることを確実にすることができる。
【0064】
前記クリップ除去位置から前記挿入位置へ転移するために、前記端部止めが一時的に解除可能であることが有利である。このことは特に、前記器具が、再利用可能な器具の形態に構成される際に有利である。例えばその端部止めを備えた前記第2止め装置により永久的に封鎖された前記器具は、例えば、相応に手動で介入することによって初めて前記挿入位置へ再び転移可能であるように構成することができる。このようにして、例えば、前記クリップを患者の身体から安全に除去し、前記クリップを前記クリップ容器から除去した後に初めて、前記器具は更なるクリップを除去する用意が再びできることを確実にすることができる。例えば、手術者が前記中間止め面を手で押さえ付けることにより、一時的に解除することができる。前記中間止め面は、復元部材によりその位置において事前緊張させることができる。
【0065】
前記端部止めが、近位方向を向く端部止め面を含むと有利である。従って、前記作動部材が、例えば互いから離れる方に移動すること、又は別法として、互いの方に移動することも、単純かつ規定された仕方で防止することができる。
【0066】
前記第1及び第2止め装置が、前記中間止め面及び/又は前記端部止め面を含む突起を含む場合、前記器具の構造は特に単純である。従って、前記突起は特に、前記中間止めと前記端部止めの双方を形成することができるので、前記器具を形成するには最小限の数の部品だけあればよい。
【0067】
脈管又は中空器官から除去されるクリップが前記クリップ容器から落下できないようにするために、前記器具が、前記器具を前記クリップ除去位置に固定するための固定装置を含むと有利である。特に、クリップがいったん前記クリップ除去位置に到達すると、前記固定装置により、他のいかなる位置へももはや転移可能ではないような仕方での前記器具の構成を可能にすることができる。
【0068】
このようにして、特に、前記クリップ容器内に収容されるクリップがクリップ容器から意図せず落下しないようにすることが可能である。
【0069】
特に、前記固定装置が前記第2止め装置を含むことにより、前記器具の特にコンパクトな構造を達成することができる。
【0070】
特に、前記作動装置と前記シャフトとが、前記シャフトの長手方向軸の周りで互いに対して回転可能であることにより、前記器具の取り扱いを更に改良することができる。このことにより、外科医は、前記作動装置の位置が外科医にとって生体工学的であるときにクリップを容易にかつ安全に収容できるような仕方で前記展開装置を配向できるように、前記シャフトと前記ハンドルとを互いに対して移動させることが可能になる。
【0071】
洗浄可能性を改良するために、更に、複数のクリップを除去すべく、前記器具をより迅速に再び利用可能にするために、前記器具が、前記シャフトに解放可能に接続可能であり、かつ、前記作動装置を含む器具ハンドルを含むと有利である。従って、例えば、前記器具ハンドル及び前記シャフトが互いとは別に洗浄されることが可能である。更に、前記シャフトは任意で、クリップが前記器具により除去されると、前記器具ハンドルから解放することができる。それから、前記器具ハンドルは更なるシャフトに接続することができる。前記更なるシャフトはクリップを収容する用意が既に再びできおり、その一方、クリップをちょうど除去した前記シャフトは、特に、前記クリップ容器から前記クリップを除去することにより、更なるクリップを収容する用意ができているようにすることができる。
【0072】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と合わせると、より詳細に説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】中空器官に適用された外科用クリップを除去するための外科用器具の、概略的な部分透視側面図。
図2図1の器具の展開装置の分解図。
図3】展開装置の、挿入位置のときの部分切欠き長手方向断面図。
図4】器具ハンドルの、挿入位置のときの部分切欠き長手方向断面図。
図5図3と同様の展開装置の、クリップ収容位置のときの図。
図6図4と同様の器具ハンドルの、クリップ収容位置のときの図。
図7図3と同様の展開装置の、クリップ展開位置のときの図。
図8図4と同様の器具ハンドルの、クリップ展開位置のときの図。
図9図3と同様の展開装置の、クリップ除去位置のときの図。
図10図4と同様の器具ハンドルの、クリップ除去位置のときの図。
図11】外科用クリップを除去する際の処置の模式図。
図12】クリップを除去するための、代わりの異形の模式図。
図13】クリップを圧搾開放することにより除去する前の、閉鎖されたクリップの模式図。
図14】圧搾開放されたクリップの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1に、中空器官に適用された外科用クリップ12を除去するための、全体として参照符号10により表す外科用器具を概略的に描く。特に、クリップ12は、図2に示すダブルシャンク式クリップの形態に構成することができる。ただしこのダブルシャンク式クリップは、対になって互いに対接する4つの緊締アーム14を含むものである。これらの緊締アームは、対になって接続される4つの自由端16と、これも互いに対になって接続されて各々が接続領域18を規定する4つの端部20とを有する。器具10は近位端22及び遠位端24を有する。
【0075】
器具10は、長尺管状シャフト28に解放可能に接続可能である器具ハンドル26を含む。器具ハンドル26とシャフト28とは、シャフト28により規定される長手方向軸30の周りで互いに対して回転可能である。器具ハンドル26上で移動可能であるように保持される結合部32により、器具ハンドル26とシャフト28との間の接続が確立される。
【0076】
器具ハンドル26は、器具ハンドル基部本体38に固定して接続されて長手方向軸30に対して略交差方向に突出するアームの形態の第1作動部材36と、長手方向軸30に対して垂直に延びる枢動軸40の周りで器具ハンドル基部本体38上にて枢動可能であるアーム形の第2作動部材42とを有する作動装置34を含む。ただし第2作動部材42は、近位方向へやや遠めに突出するように装着されるものである。第1作動部材36、及び第2作動部材42の自由端は、それぞれ指輪部44及び46の形態に構成される。
【0077】
作動装置34は、適用クリップ12を把持し適用位置から解放位置へと離れ離れに展開するための作動力を、力伝達部材48を介して展開装置52の2つのツール要素50上へと伝達するように働く。ただし力伝達部材48は、第2作動部材42に移動可能に結合され、シャフト28内で変位可能かつ回転可能であるように装着されるプッシュ・プル棒の形態であるものである。これらのツール要素は、シャフトの遠位端にて移動可能に装着され、同一構造ではあるが、長手方向軸30の周りで互いに対して180°旋回するように配置されるものである。力伝達部材48の遠位端は、中で支承ピン58が保持される交差方向穴を有する支承顎54の形態に構成される。ただし支承ピン58は、長手方向軸30に対して垂直に延びる枢動軸56と同軸にして挿入されるものである。
【0078】
支承顎54は、遠位方向を向き、略U形のツール要素容器62の底部60を越えて突出する。ただしツール要素容器62は、長手方向軸30を包含する鏡面に対して鏡像対称に構築され、互いに対して平行な内壁66を有する、対向する2つの側方脚部64を含むものである。脚部64の、遠位方向を向く端面68の各々の中に、略立方体状の近位クリップ収容止め72が中に挿入される交差方向溝70が形成される。ただし近位クリップ収容止め72は、遠位方向を向く凹部74を有するものである。交差方向溝70のやや近位では、脚部64の交差方向穴内に円い棒状のカム76が挿入される。
【0079】
ツール要素50は、その近位端78から始まって、近位方向、及び、長手方向軸30に向かう方向を向く略半円の凹部80を有する。ただし、凹部80には、付加的に交差方向穴82が設けられるものである。2つのツール要素は更に、中心からやや遠位で、略半円の構成になって湾曲した、長手方向軸30に対して交差する方向に延びる貫通開口84を含む。ただしこれらの貫通開口84は、全体として参照符号88で表す、溝カム案内部の形態の、接続リンク案内部89の案内溝86を形成するものである。2つのツール要素50は、内面90同士が互いに対接し、これらの内面90に対して平行に延びる外面92が脚部64の内壁66に対接する。支承顎54を越えて両側で突出する支承ピン58は、交差方向穴82に係合し、従って、ツール要素50を力伝達部材48に移動可能に結合させる。カム76が案内溝86内を案内されるので、力伝達部材48が近位方向又は遠位方向に移動することにより、ツール要素50が共通の枢動軸56の周りで枢動運動させられる。力伝達部材48が近位方向に移動する結果として、枢動軸56も近位方向に移動する。力伝達部材48が遠位方向に移動すると、支承ピン58が、従って枢動軸56も自動的に遠位方向に移動する。
【0080】
ツール要素50の遠位端区域94は、互いを向く接触面96が互いに対接する閉鎖位置のとき、近位方向を向く展開縁98を有する展開部材100を規定する。展開部材100は、各々が2つのツール要素50のうちの1つの上に形成される2つの部分にして、具体的には2つの展開部材部分102により、形成される。特に、展開部材部分102は、側が接触面96により限定される。各ツール要素50は、展開縁98から始まって、近位方向を向く緊締顎凹部104を規定する。緊締顎凹部104は、遠位方向へ互いから離れる方に開く中心面106を規定する。展開縁98のやや近位では、ツール要素50は、互いを向く、ただし互いから離間する側面108を有する。ただしこれらの側面は各々、一方の側に、長手方向軸30に対して平行に延びる縁110を有するものである。縁110の高さは、接触面96同士が互いに対接する際の、側面108間の距離の半分にほぼ対応する。側面108と凹部74と緊締顎凹部104とにより、展開装置52のクリップ容器112が規定される。縁110は、クリップ容器112をこれらの側にて少なくとも部分的に閉鎖する。
【0081】
脚部64の近位で長手方向軸30と同軸に、案内スリーブ114が配置される。ただし案内スリーブ114は、近位方向に突出し、力伝達部材48がそれを通って延びる長手方向穴を有するものである。展開装置52がそれにより任意でシャフト28に解放可能に接続可能である結合区域116が、案内スリーブ114に近位で隣接する。
【0082】
例えば図2に示すように、クリップ12はダブルシャンク式クリップの形態であり、緊締アーム14の自由端16は、更なる2つの緊締アーム14の自由端16に接続され、これらの自由端の反対側の自由端同士は接続領域18により互いに接続される。平面図において、クリップ12は略U形の構成であり、緊締アーム14が、ただし緊締アーム14は接続領域18により互いに接続されるものであるが、互いに対して平行に延び、互いから離間する。緊締アーム14は、その自由端16が互いに接続され、クリップ12が適用位置のとき、接続領域18がそうであるように、面‐面接触で互いに対接する。クリップ12は、基本的に針金の形状にして形成される組み込み式の材料製である。平面図において、クリップ12は、自由端16に向かう方向に開いている。側面図において、クリップ12は、接続領域18に向かう方向を向いて開いており、上述のように、側面図では、自由端16により接続される緊締アーム14は、面‐面接触で互いに対接する。
【0083】
クリップ容器12は、自由端16が凹部74に係合できるように、及び、接続領域18が各々、緊締顎凹部104により規定される遠位クリップ収容止め118のうちの1つに係合できるように構成される。近位クリップ収容止め72、及び遠位クリップ収容止め118は、クリップ容器112を近位及び遠位でそれぞれ限定する。近位クリップ収容止め72、及び遠位クリップ収容止め118は、これらのクリップ収容止め間で間隔120を規定する。2つの遠位クリップ収容止め118は、これらの遠位クリップ収容止め間で交差方向間隔122を規定する。
【0084】
器具10は更に、全体として参照符号124で表す第1止め装置と、全体として参照符号126で表す第2止め装置とを含む。双方の止め装置124及び126は、作動装置34上に配置又は形成される。これらの止め装置は、作動部材36及び42が互いに対して移動するのを限定するように働く。
【0085】
第1止め装置124は、枢動軸40に対して同軸に湾曲したレバーアーム130上に、枢動軸40に向かう方向に突出するように配置される中間止め128を含む。レバーアーム130は、第2作動部材42から第1作動部材36に向かう方向に突出するように配置され、作動部材36内に形成された貫通開口132を通過する。従って、中間止め128が、第1作動部材36と、つまり作動部材36の側面134と相互作用する。ただし側面134は、近位方向を向き、貫通開口132と同程度に遠く延びるものである。中間止め128は略遠位方向を向く中間止め面136を含む。ただし中間止め面136は、長手方向軸30に向かう方向にやや傾いているものである。中間止め面は、側面134用の摺動面を形成する。好ましくは、側面134が中間止め面136に沿って摺動すると、中間止め128は、図示されないやり方で、復元部材、例えば螺旋ばねの作用に逆らって、レバーアーム30に向かう方向へ、そしてレバーアーム内へと変位可能である。従って、中間止め128は、手術者により感知することができる圧力点を規定する。
【0086】
第2止め装置126は、中間止め128をも形成する突起140により規定される端部止め138を含む。端部止め138は、近位方向を向く端部止め面142を含む。ただし端部止め面142は、レバーアーム130から略垂直に突出するように形成されるものである。端部止め面は、第1作動部材36の、遠位方向を向く側面144と相互作用する。
【0087】
端部止め138は一時的に解除可能である。このためには、端部止めを、例えば、レバーアーム130に向かう方向へ、そしてレバーアーム内に手動で、記載した復元部材の作用に逆らって移動せねばならない。側面134が中間止め面136に沿って摺動し、この側面が中間止め128を、復元部材の作用に逆らってレバーアーム130に向かう方向に移動させる際、第2作動部材42を第1作動部材36に向かう方向に移動させると、中間止め128は自動的に、一時的に解除される。
【0088】
第2止め装置126が特別な構成であるおかげで、第2止め装置は固定装置146をも含む。ただし固定装置146は、側面144が端部止め面142に衝突する際に第2作動部材42を第1作動部材36に向かう方向に更には移動できないようにするものである。
【0089】
器具が動作する仕方を、以下で特に図3図10と合わせて、より詳細に説明する。
【0090】
脈管又は中空器官に適用されたクリップ12を除去するために、器具10はまず、その展開装置52と共に、例えば最小侵襲のアクセスを通して患者の身体へ挿入され、除去されるべきクリップ12に向かって進められねばならない。この目的で、器具10は、図3及び図4に概略的に示す挿入位置に転移される。そうするために、第2作動部材42は、図5に示すような、ツール要素50が最大程度に開いているその位置から始まって、第1作動部材36に向かう方向に、側面134が中間止め面136に衝突するまで移動する。外科医は、これを上述の圧力点として感知することができる。この挿入位置のとき、接触面96は、面‐面接触で互いに対接する。図3に概略的に示すように、カム76は2つの案内溝86内で中間位置を占める。
【0091】
展開装置52は、クリップ容器112が最小断面積を規定する挿入位置から、図5及び図6に概略的に示す、除去されるべきクリップ12を収容するようにクリップ容器112が開いているクリップ収容位置まで、転移可能である。このために、第2作動部材42は、第1作動部材36から離れるように枢動する。クリップ収容位置のとき、作動部材36及び42は、互いから極力遠く離間する。近位クリップ収容止め72については、図2の分解図において概略的にはっきりと認識可能であるように、自由端16が凹部74に係合できるように、展開装置52がクリップ12に向かって進められる。
【0092】
次のステップでは、器具10はクリップ収容位置からクリップ展開位置へ転移される。このクリップ展開位置を、図7及び図8に概略的に示す。このために、自由端16を凹部74に向かって進めた後、第2作動部材42は、第1作動部材36に向かう方向に、具体的には第1止め装置124により規定される上述の圧力点を越えて、作動部材36及び42が極力近いそれらの位置まで移動する。作動部材36と作動部材42とが互いの方に移動する結果として、力伝達部材48も近位方向に移動し、カム76は、図7に概略的に示すように、案内溝86内を近位端位置から遠位端位置へ動く。
【0093】
クリップ展開位置のとき、ツール要素50は、クリップ収容位置のときほど離れ離れにならないように展開される。クリップ収容位置からクリップ展開位置への転移中、展開装置52は挿入位置を通過する。クリップ収容位置からクリップ展開位置への転移中、遠位クリップ収容止め118が、近位クリップ収容止め72に向かう方向に移動するので、間隔120はますます小さくなる。これによって、接続領域18は各々、緊締顎凹部104に係合し、挿入位置からクリップ展開位置へと前進する際に交差方向間隔122が引き続き大きくなるにつれて、互いから離れる方に移動させられる。離れ離れに展開することは、特に展開部材100により促進される。ただし展開部材100は、接続領域18間で係合し、これらの接続領域を緊締顎凹部104内へ案内するものである。
【0094】
図7に示すように、クリップ容器112内で離れ離れに展開されて保持されるクリップ12は、今度は脈管又は中空器官から、この脈管又は中空器官を損傷することなく除去することができる。
【0095】
特に、器具10の最小侵襲の使用の場合、離れ離れに展開されたツール要素50が、小さい断面のアクセスを通して除去されることは不可能たり得ることから、器具10は、図9及び図10に示すクリップ除去位置へ転移することができる。そうするには、第2作動部材42が、クリップ展開位置から始まって、再び第1作動部材36から離れるように、具体的には側面144が端部止め面142に衝突するまで枢動する。その際、カム76は再び、案内溝86内で中間位置を占め、接触面96は面‐面接触で互いに対接する。クリップ除去位置への転移中、クリップ12は再び閉鎖される。即ち、その緊締アームが、再び対になって面‐面接触で互いに対接する。クリップ容器112は、近位クリップ収容止め72及び遠位クリップ収容止め118によりそれぞれ近位側及び遠位側にて閉鎖される。縁110のおかげで、クリップ12が側にてクリップ容器112から出て行くことは不可能であるので、クリップ12は、クリップ容器112から落下できることなく患者の身体から引き抜くことができる。
【0096】
器具10を更なるクリップ12の除去用に準備するために、具体的には端部止め138を一時的に無効にすることにより、第2止め装置126が一時的に解除されねばならないので、作動部材36及び42は、図5に概略的に描くように、これらの作動部材が離れ離れに展開されるか又は互いから極力遠く離間するそれらの位置へ、再び移動することができる。その際、ツール要素50が互いから離れる方に枢動することに起因してクリップ容器112が開くので、患者の身体から除去されたクリップ12は、クリップ容器112から取り出すことができる。
【0097】
図11に、展開装置52と、除去されるべき適用クリップ12との相互作用を概略的に描く。図12の平面図に示すクリップ12は、近位クリップ収容止め72を矢印150の方向へ、即ち遠位方向へ移動させることにより、及び、遠位クリップ収容止め118を矢印148の方向へ、即ち近位方向へ移動させることにより、記載したやり方で離れ離れに展開することができる。
【0098】
一方、別法として、クリップ12が、その自由端16とクリップ容器112内の接続領域18との間ではなく、対になって互いに対接する、対向する2つの緊締アーム14間で保持されるような仕方で展開装置52を構成することも考えられる。このことを、ここでもクリップ12を平面図で示す図12に、概略的に描く。
【0099】
特に、互いを向くとともに構造が展開部材100と同様である、そして、互いに対接する緊締アーム14間で直接係合してこれらの緊締アームを離れ離れに展開させる2つの展開部材を、矢印152及び154の方向に互いの方へ導入することにより、離れ離れに展開することができる。
【0100】
図13及び図14に、クリップ12を脈管又は中空器官から解放するための代わりの手動の処置を概略的に描く。クリップ12は、その自由端16を緊締顎156に向けて、及び、接続領域18を緊締顎158に向けて進められる。互いに対して平行に延びる緊締顎面を有する緊締顎156及び158が互いの方に移動し、従って、クリップ12が、具体的には緊締アーム14が変形することにより強制的に圧搾開放されるので、これらの緊締アームは、部分的に離れ離れに移動し、これによって、元々これらの緊締アーム間で緊締された中空器官又は脈管160を解放する。
【0101】
器具10は、具体的には器具ハンドル26がシャフト28から分離されることにより、容易に洗浄することができる。任意で、シャフト28は展開装置52からも解放することができる。
【0102】
更に、クリップ12が手術部位から除去される際、患者の身体の外側ではなくその内側にある、脈管から除去した後のクリップ12を、別の適切な器具に転移することが考えられる。クリップ収容位置のとき、クリップ12は、別のこの器具を用いてクリップ容器112から除去することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14