(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛蓄電池用の活物質を含む電極であって、電極表面には、複合カーボン粒子を複数含有するカーボン合剤を含む被覆層が形成され、前記複数の複合カーボン粒子のそれぞれは、第2導電性カーボン材料の複数粒子で被覆されている第1キャパシタカーボン材料の粒子を含み、前記第1キャパシタカーボン材料の粒子における前記第2導電性カーボン材料の表面被覆率が少なくとも20%である、電極。
前記第2導電性カーボン材料が、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン及びナノカーボン繊維の少なくとも1種から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電極。
前記第3導電性カーボン材料が、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン及びナノカーボン繊維の少なくとも1種から選択される、請求項11に記載の電極。
前記カーボン合剤の前記被覆層は、100重量部の前記第1キャパシタカーボン材料に対して4〜100重量部の前記第2導電性カーボン材料を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電極。
前記カーボン合剤の前記被覆層はさらに、100重量部の前記第1キャパシタカーボン材料に対して2〜30重量部の結着剤を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電極。
前記カーボン合剤の前記被覆層は、100重量部の前記第1キャパシタカーボン材料に対して4〜100重量部の前記第2導電性カーボン材料と、100重量部の前記第1キャパシタカーボン材料に対して50重量部以下の前記第3導電性カーボン材料、2〜30重量部の結着剤、20重量部以下の増粘剤及び20重量部以下の短繊維とを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の電極。
複合カーボン粒子を複数含有する前記カーボン合剤は、前記第1キャパシタカーボン材料の複数粒子を第2導電性カーボン材料の複数粒子とともに粉砕すること、造粒すること及び一体化することの少なくとも1つによって製造される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の電極。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態を参照しつつ本発明が具体例としてさらに記載される。
【0030】
本発明の態様及び実施形態では、既知又は従来の鉛蓄電池システムよりも多くの利点が提供される。好ましい実施形態の少なくともいくつかによって提供される利点は下記の通り記載される。
【0031】
改善された電極又は「複合」電極は、本明細書中に記載されるように、複合カーボン粒子を複数含有するカーボン合剤を含む被覆層を形成することによって製造される。電極は一般的には、活物質を具備する金属板を使用して形成されてなる。この場合、使用される活物質は、鉛蓄電池系システム用の負極又は正極向けに供されるものから選択することができる。鉛蓄電池系システム用の一般的な蓄電装置は、少なくとも1つの正極と少なくとも1つ負極とを硫酸電解質溶液中に含む鉛蓄電池を具備する。
【0032】
複合カーボン粒子を複数含む被覆層を含有する電極を具備する蓄電装置又は鉛蓄電池は、特にPSOCで急速充放電を繰り返す場合においてサイクル寿命を延長することができる。
【0033】
<複合カーボン粒子>
上記電極の被覆層に使用される複数の複合カーボン粒子のそれぞれは、第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料で被覆されている第1キャパシタカーボン材料の粒子を含む。
【0034】
第2カーボン材料の複数粒子は第1カーボン材料の粒子の表面を被覆する。当該被覆は、第1及び第2カーボン粒子が互いに覆い、又は一体化し、又は結着するとみなされるように行われ得る。複合カーボン粒子は一般的には、改善された電極(これはまた、「複合」電極として示されてもよい)を製造するために、電極の表面にペースト(これは他の物質を含む)として被覆される。本発明の複合電極を備える鉛蓄電池においては、充放電を繰り返す場合でも、第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面が第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料の複数粒子によって保護される。第2導電性カーボン材料(及び、存在するならば、第3導電性カーボン材料)の複数粒子で第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面を覆うと、析出したPb又はPbSO
4による第1キャパシタカーボン材料の粒子の細孔の閉塞が低減するか、又は抑制される。したがって、従来の鉛蓄電池に比し、第2導電性カーボン材料(及び、存在するならば、第3導電性カーボン材料)の複数粒子で被覆される第1キャパシタカーボン材料からなる複合カーボン粒子を複数含むカーボン合剤の被覆層が形成される電極(これはまた、「複合」電極又は「複合」電極板として示される)を備える鉛蓄電池のサイクル寿命は驚くほど改善される。
【0035】
複合カーボン粒子は、第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料の複数粒子で粒子のそれぞれが被覆されている第1キャパシタカーボン材料の粒子を1以上含有していてもよいし、又は、第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料の複数粒子で粒子のそれぞれが被覆されている第1キャパシタカーボン材料の粒子の1以上の粒子からなるものでもよい。例えば、第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料の複数粒子は第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面の少なくとも実質的な一部を覆って結着されていてもよい。第2カーボン材料及び必要に応じて使用される第3カーボン材料の粒径としては、第1キャパシタカーボン材料の粒子を被覆可能に、第1キャパシタカーボン材料の粒子径よりも小さいものを選択することができ、第1キャパシタカーボン材料の粒子と比較して複合カーボン粒子についての導電性及び表面積が改善されるように選択することができる。第2及び第3カーボン材料の粒径がより小さいと、粒子同士を効果的に面接触させることができ、しかも当該粒子間の電気伝導を良好にし得る。また、第1キャパシタカーボン材料自体の粒子と比較すると、複合カーボン粒子の表面積はより大きいので(これは第2及び第3カーボン材料の粒径がより小さいことによってもたらされる)、その使用時のPb及びPbSO
4による第1キャパシタカーボン材料の閉塞を軽減する。
【0036】
第1キャパシタカーボン材料の表面への第2(及び必要に応じて追加される第3)導電性カーボン材料の被覆物の接着は一般的には、分子間の表面相互作用、例えば、ファン・デル・ワールス相互作用やロンドン分散力などの双極子−双極子相互作用、π結合相互作用などを伴うことが理解されるであろう。
【0037】
ある1つの実施形態において、第2導電性カーボン材料の複数粒子及び必要に応じて追加される第3導電性カーボン材料の複数粒子は第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面の少なくとも実質的な一部を被覆し得る。
【0038】
別の実施形態において、複数の複合カーボン粒子のそれぞれは、第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面に第2導電性カーボン材料の複数粒子(及び必要に応じて追加される第3導電性材料)が被覆されているものを含むか、または、第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面に第2導電性カーボン材料の複数粒子(及び必要に応じて追加される第3導電性材料)が被覆されているものからなる。
【0039】
第1キャパシタカーボン材料の粒子における第2導電性カーボン材料(及び必要に応じて追加される第3導電性材料)の表面被覆率は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%であってもよい。第1キャパシタカーボン材料の粒子における第2導電性カーボン材料(及び必要に応じて追加される第3導電性材料)の表面被覆率は、20%〜99%の範囲、40%〜98%の範囲、60%〜95%の範囲、70%〜95%の範囲、又は80%〜95%の範囲であってもよい。
【0040】
第1カーボン材料の粒子における第2カーボン材料の表面被覆率は、複合カーボン粒子の代表的なサンプルにおける外側表面の被覆率の平均で表わされることが理解されるであろう。複合カーボン粒子の外側表面の代表的な部分を、例えば走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して特定し、第2カーボン材料の複数粒子で被覆される第1キャパシタカーボン材料の粒子の平均表面積を、例えば視覚分析やコンピューター分析などによって測定することができる。より大きな粒子を被覆するより小さな粒子の表面被覆率を求めるのに他の様々な分析技術が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0041】
別の実施形態において、複合カーボン粒子における第1キャパシタカーボン材料対第2導電性カーボン材料の重量%比率は、25:1〜1:1、20:1〜10:9、15:1〜10:8、10:1〜10:7、又は5:1〜10:6の範囲であってもよい。別の実施形態では、複合カーボン粒子における第1キャパシタカーボン材料の含有量の最小値は、複合カーボン粒子における第1キャパシタカーボン材料対第2導電性カーボン材料の重量%比率が2:1、3:1、又は4:1のときの第1キャパシタカーボン材料の含有量である。。必要に応じて使用される第3導電性カーボン材料が存在するならば、複合カーボン粒子における第1キャパシタカーボン材料の含有量は、複合カーボン粒子における第1キャパシタカーボン材料対第3導電性カーボン材料の重量%比率が1:2、1:3、1:4、又は1:5のときの第1キャパシタカーボン材料の含有量未満の含有量であってよい。複合カーボン粒子がもらたす利点の1つは、カーボン合剤に使用される導電性カーボンブラック材料の量が相対的に少なくても、使用時に高性能を実現できることである。
【0042】
第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面に(第1カーボン材料の粒子径よりも)小さい粒径を有する第2導電性カーボン材料の複数粒子が一体化してなる複合カーボン粒子を製造するために、ビーズミルやボールミルなどの粉砕装置、造粒装置、メカノフュージョンやハイブリダイザーなどの一体化装置を使用することができる。ハイブリッドカーボン粒子又は複合カーボン粒子は、高価ではあるが、レーザー、アーク放電、電子線などを使用して製造してもよい。第1カーボン材料の粒子に第2カーボン材料の複数粒子を他の方法で被覆し若しくは表面接着して複合カーボン材料を製造してもよい。
【0043】
粒子の一体化処理においては、第1キャパシタカーボン材料の粒子径の10分の1以下の粒径を有する第2導電性カーボン材料を使用することによって効果的に被覆できることが示されている。
【0044】
図1(a)及び
図1(b)の走査型電子顕微鏡写真を参照すると、第1キャパシタカーボン材料としての
図1(a)の活性炭と、第2導電性カーボン材料としての
図1(b)のアセチレンブラックとでは形態とサイズに差異がみられる。画像(i)、画像(ii)及び画像(iii)に見られるように第1キャパシタカーボン材料は単一の粒子が複数示されている一方、画像(iv)、画像(v)及び画像(vi)に見られるように第2導電性カーボン材料は微小粒子の凝集体が示されている。第1キャパシタカーボン材料の細孔は走査型電子顕微鏡で観察することができないが、透過型電子顕微鏡法や原子間力顕微鏡法を使用して分析できることに留意すべきである。第1キャパシタカーボン材料の粒子のサイズが第2導電性カーボン材料の粒子のサイズよりも実質的に大きいことが
図1(a)及び
図1(b)から理解される。
図1(a)及び
図1(b)に見られるある実施形態では、第1キャパシタカーボン材料の粒子の平均粒径は約8μmであり、第2導電性カーボン材料の平均粒径は約0.1μmである。
【0045】
図2(a)及び
図2(b)は、複合カーボン粒子を含有するカーボン合剤(
図2(a)及び下記の実施例1を参照のこと)と、第1キャパシタカーボン材料と第2キャパシタカーボン材料との単純混合物を含むカーボン合剤(
図2(b)及び下記の比較例1を参照のこと)との差異を示している。
図2(a)には、
図2(b)の混合材料とは対照的に、第1カーボン材料の表面の実質的な一部が比較的小さな第2導電性カーボン材料で被覆されている複合カーボン粒子が示されている。例えば、第1キャパシタカーボン材料の表面の少なくとも20%、最大で約95%が第2導電性カーボン材料で被覆されている。
【0046】
図2(a)の複合カーボン粒子とは対照的に
図2(b)の混合材料の第1カーボン材料の表面には、第2カーボン材料による、相対的に弱く若しくは小さな表面被覆、接着又は被覆率がみられる。
図2(b)では、第2カーボン材料の粒子は主に第1カーボン材料の粒子間に存在している。このことは、第2カーボン材料による表面被覆、接着又は表面被覆率が劣っていることを示しており、第1カーボン材料の表面の第2カーボン材料の被覆率が上記混合材料では約5%未満であるかもしれない。複合カーボン粒子での第2カーボン材料による第1カーボン材料の表面被覆は、このような複合カーボン粒子を含有するカーボン合剤から製造されるペースト合剤又は被覆物とすることによって単純混合物のものと比較して良好な性能特性を実現し得る。
【0047】
被覆層は、液体電解質を透過可能な程度の気孔率を具備することが理解されるであろう。例えば、好適な気孔率は40%〜85%の範囲であってもよい。ある1つの実施形態では、被覆層の気孔率は約75%である。
【0048】
<第1キャパシタカーボン材料>
第1キャパシタカーボン材料はキャパシタ容量及び/又は擬似キャパシタ容量を有するカーボン材料から選択され、例えば活性炭である。第1キャパシタカーボン材料は硫酸電解質溶液などの鉛蓄電池電解質溶液中において適切に安定していなければならないことが理解されるであろう。
【0049】
第1キャパシタカーボン材料は「高率の電気活性材料」であってよい。これは、一般的にはキャパシタの特性が高率(又は高仕事率)の炭素系材料であってもよい。このような材料としては高表面積カーボンがこの技術分野では当業者に広く知られている。このような材料は一般的には短期間で初期高率出力又は初期高仕事率出力をもたらす。しかしながら、高エネルギー材料(例えば、一般的には低率であるが高容量でありエネルギーを維持できる活物質など)と比較した場合、エネルギー密度が低い。高表面積カーボン材料の具体例としては、活性炭、カーボンブラック、非晶質カーボン、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブ、カーボン繊維及びそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
ある1つの好ましい実施形態においては、第1キャパシタカーボン材料は活性炭及びカーボンブラックの少なくとも1種から選択される。別の実施形態では、第1カーボン材料は活性炭である。
【0051】
第1キャパシタカーボン材料として使用することができる活性炭のタイプには、活性炭の様々なタイプが含まれる。例えば、合成樹脂由来のもの、ヤシ殻、木材、おがくず、木炭、リグニンなどの木質の天然材由来のもの、亜炭、泥炭などの炭素系由来のもの、及び、石油由来のものなどが含まれる。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック及びケッチェンブラックが含まれる。
【0052】
第1キャパシタカーボン材料は高表面積又は高比表面積の炭素質材料であってよい。用語「高比表面積の炭素質材料」はこの技術分野ではよく知られており、また一般的に使用されている。比表面積は単位質量あたりの総表面積を示す。一般的にはBET等温式を使用して吸着によって測定される。従って、BET表面積を参照することは比表面積を参照することである。加えて、m
2/gの単位で測定される特性を参照することは比表面積を参照することである。用語「高」に関して、電気化学デバイスの構成要素として使用されるある材料の種類が「高表面積」又は「高比表面積」の材料として知られるカテゴリーに分類されることが、本発明の技術分野では一般に理解される。高比表面積は、約500m
2/gを越えてもよい表面積を示し、より典型的には約1000m
2/gを越えてもよい表面積を示す。
【0053】
第1キャパシタカーボン材料の表面積は少なくとも500m
2/gとすることができ、より典型的には約1000m
2/g〜3500m
2/gの範囲とすることができる。様々な実施形態においては、第1キャパシタカーボン材料の表面積は、少なくとも1000m
2/g、少なくとも1500m
2/g、少なくとも2000m
2/g、或いは、500〜8000m
2/gの範囲、800〜5000m
2/gの範囲、1000〜3500m
2/gの範囲、又は、1500〜3000m
2/gの範囲であってもよい。
【0054】
第2導電性カーボン材料の粒径が第1キャパシタカーボン材料の粒径よりも小さいと、例えばPb又はPbSO
4の析出によって生じることがある第1カーボン材料の粒子の表面の閉塞を使用時に抑制又は低減可能に、第1カーボン材料の表面を第2カーボン材料で被覆することができる。その上、第2導電性カーボン材料は複合カーボン粒子間の導電性を高める。
【0055】
第2導電性カーボン材料は、第1カーボン材料の粒子径の5分の1以下、10分の1以下、20分の1以下、又は50分の1以下の粒径を有することができる。ある1つの好ましい実施形態では、第2カーボン材料は第1カーボン材料の粒子径の10分の1以下の粒径を有する。例えば、第1カーボン材料が3〜30μmの粒径を有するとき、第2カーボン材料は0.3〜3μmの粒径を有することができる。
【0056】
第1キャパシタカーボン材料の粒子径は、500μm未満、300μm未満、100μm未満、50μm未満、30μm未満、10μm未満、又は5μm未満であってもよい。第1キャパシタカーボン材料の粒子径は、少なくとも0.1μm、少なくとも1μm、少なくとも3μm、少なくとも5μm、又は少なくとも10μmであってもよい。第1キャパシタカーボン材料の粒子径は、0.1〜500μmの範囲、1〜100μmの範囲、1〜50μmの範囲、又は3〜30μmの範囲であってもよい。
【0057】
複合カーボン粒子の存在や性質を含めてカーボン合剤の形態や組成を特定するために当業者によって様々な技術が使用されてよい。例えば、電子エネルギー損失分光法(EELS)、X線光電子分光法(XPS)、走査型電子顕微鏡法(SEM)などの方法であってよい。参照材料が使用されてもよいし、また、観測/相関試験或いは性能比較又は形態比較が行われてもよい。非晶質カーボン材料は粒径、気孔率、比表面積に基づいて識別されてもよいが、他の局面に基づいて、例えば、材料のグラファイト/ダイヤモンドの程度/性向のタイプ(sp2/sp3)(これは、例えばラマン分光法を使用して測定され得る)などに基づいてもまた識別され得ることが理解されるであろう。
【0058】
<第2導電性カーボン材料>
第2導電性カーボン材料は導電性を有するカーボン材料から選択される。第2カーボン材料は硫酸電解質溶液などの鉛蓄電池電解質溶液中で適切に安定していなければならないことが理解されるであろう。
【0059】
ある1つの実施形態においては、第2導電性カーボン材料は、「高導電性の炭素質材料」として示される材料など、高導電性を有する材料から選択されてよい。粒径がより小さいと一般的には、所与の重量及び気孔率あたり大きい表面積をもたらすことが理解されるであろう。
【0060】
第2カーボン材料の電気伝導率は一般的には、500kPaで少なくとも0.6Scm
−1、1000kPaで少なくとも0.19Scm
−1、1500kPaで少なくとも3.0Scm
−1であってもよい。これらの電気伝導率はは室温(20℃)で測定される。材料の電気伝導率は下記の電気伝導率試験法により測定することができる:
i.被試験材料から20gのサンプルを採取する。
【0061】
ii.断面積1cm
2の管状の電気伝導率試験セルを金属セル基部に置く。粒子が大きい場合、下記で記載されるように、より大きな断面積を有する管状の試験セルが使用され得ることに留意すること。電気伝導率試験セルにおよそ2gのサンプルを慎重に詰める。電気伝導率試験セルの上部を金属プランジャーにより封止する。サンプルが1cmの高さにセルを十分に満たすまで軽くたたく。
【0062】
iii.サンプルを詰めたセルをボール盤に設置し、力が加えられるとプランジャーがサンプルを押し付けることができるようにする。
【0063】
iv.セルに負荷を加える。その負荷について測定される圧縮力における電気伝導率をマルチメーターで読み取る。
【0064】
v.試験後、試験セルからサンプルのすべての痕跡を除く(これは、ボトル洗浄用ブラシや細粒サンドペーパーを使用することによって成し得る)。
【0065】
上記工程iv.と上記工程v.との間に下記の工程vi及び工程viiを実施して、複数の圧縮力下におけるサンプルの電気伝導率を測定してもよいことに留意する:
vi.必要ならば、試験セルにカーボン粉を1cmの高さになるまで加える。
【0066】
vii.圧縮力を高めた状態で、次回の、サンプルの電気伝導率の測定に必要な負荷を加える。必要な回数繰り返す。
【0067】
第2導電性カーボン材料は、カーボンブラック、グラッシーカーボン、グラファイト及びナノカーボン繊維の少なくとも1種から選択することができる。ナノカーボン繊維は、カーボンナノチューブ、カーボンホイスカー又はカーボンナノワイヤーから選択されてもよい。これらの材料のそれぞれは電導性をもたらすことができる。また、これらの材料のそれぞれは第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面に加圧下(例えば、粉砕によって)で結着されてもよい。
【0068】
第2導電性カーボン材料の粒径が第1キャパシタカーボン材料の粒径よりも小さいと、上述したが、例えばPb又はPbSO
4の析出によって生じることがある第1カーボン材料の粒子の表面の閉塞を使用時に抑制又は低減可能に、また、複合カーボン粒子間の導電性を促進可能に、第1キャパシタカーボン材料の表面を第2カーボン材料で被覆することができる。例えば、複合カーボン粒子は、第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面に第2導電性カーボン材料の複数粒子が結着されているものを含むか、又は、第1キャパシタカーボン材料の粒子の表面の少なくとも実質的な一部に第2導電性カーボン材料の複数粒子が結着されているものを含む。
【0069】
第2導電性カーボン材料の粒子径は、100μm未満、50μm未満、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.1μm未満又は0.01μm未満、或いは、0.01〜50μm、0.01〜10μm、0.01〜5μm、又は0.3〜3μmの範囲であってもよい。
【0070】
ナノカーボン繊維について、例えばカーボンナノワイヤー材料などは0.005μm〜100μm、0.005μm〜50μm、0.01μm〜20μm、又は0.01μm〜10μmの範囲の直径を有することができる。ある1つの好ましい実施形態では、直径は0.01μm〜10μmである。そのナノワイヤーの長さは、1μm〜3000μm、10μm〜2000μm、20μm〜1000μm、30μm〜500μm、又は50μm〜100μmとすることができる。ある1つの好ましい実施形態では、長さは50μm〜100μmである。
【0071】
カーボンナノチューブ材料は、0.005μm〜100μm、0.01μm〜50μm、又は0.01μm〜30μmの範囲の直径を有することができる。ある1つの好ましい実施形態では、直径は0.01μm〜30μmである。そのナノチューブの長さは、1μm〜3000μm、10μm〜2000μm、20μm〜1000μm、30μm〜500μm又は、50μm〜100μmとすることができる。ある1つの好ましい実施形態では、長さは50μm〜100μmである。
【0072】
第2導電性カーボン材料の好適な表面積は約200m
2/g〜1500m
2/gの範囲とすることができる。様々な実施形態では、第2カーボン材料の表面積は、少なくとも100m
2/g、少なくとも200m
2/g、少なくとも500m
2/g、或いは、100〜2000m
2/gの範囲、200〜1500m
2/gの範囲、300〜1200m
2/gの範囲、又は500〜1000m
2/gの範囲であってもよい。
【0073】
第1キャパシタカーボン材料と第2導電性カーボン材料との混合比は、好ましくは、第1カーボン材料100重量部に対して第2カーボン材料4〜100重量部である。しかしながら、その混合比が本明細書中に記載される範囲の範囲外であってもある利点がもたらされ得ることが理解されるであろう。例えば、第1カーボン材料と第2カーボン材料との混合比が、第1カーボン材料100重量部に対して第2カーボン材料が重量比で10〜90部、10〜80部、又は20〜70部であってもよい。
【0074】
上述の複合カーボン粒子を製造するための第1キャパシタカーボン材料と第2導電性カーボン材料との混合比に関して、第2カーボン材料は、第1カーボン材料100重量部に対して4〜100重量部の範囲で使用されてもよい。第2カーボン材料の配合量が4重量部未満の場合、サイクル寿命について満足すべき改善効果が得られない場合がある。第2カーボン材料の配合量が100重量部を超える場合、導電効果が飽和してしまう場合がある。好ましくは、第1カーボン材料100重量部に対して第2カーボン材料を10〜80重量部の配合量で混合し、その混合物を一体化して複合カーボン粒子を得ることが望ましい。
【0075】
<第3導電性カーボン材料>
複合カーボン粒子は、複合カーボン粒子とその被覆層の導電性(及び電気接続)をさらに改善するために第3導電性カーボン材料を含んでいてもよい。第3導電性カーボン材料は、硫酸電解質溶液などの鉛蓄電池電解質溶液中で適切に安定していなければならないことが理解されるであろう。第3導電性カーボン材料の電気伝導率は、第2導電性カーボン材料について上記した電気伝導率と類似してもよいし、第2導電性カーボン材料の電気伝導率よりも導電性が良好であってもよい。
【0076】
ある1つの実施形態においては、第3導電性カーボン材料は、「高導電性の炭素質材料」として示される材料など、高導電性を有する材料から選択されてよい。
【0077】
第3導電性カーボン材料は、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン及びナノカーボン繊維の少なくとも1種から選択されてもよい。ナノカーボン繊維は、カーボンナノワイヤー、カーボンナノチューブ又はカーボンホイスカーから選択されてもよい。第3導電性カーボン材料として他の材料が使用され得ることが理解されるであろう。
【0078】
第3導電性カーボン材料の寸法に関して、第3カーボン材料が粒状である場合、ある1つの実施形態では、第3カーボン材料の粒子径は第1キャパシタカーボン材料の粒子径よりも小さくてもよい。第3導電性カーボン材料の粒子径は上記で記載されるような第2カーボン材料と類似していてもよい。好ましくは、第3導電性カーボン材料の粒子径は第1カーボン材料の粒子径の10分の1以下である。
【0079】
ある1つの実施形態において、第3導電性カーボン材料の粒子径は第1キャパシタカーボン材料の粒子径よりも小さく、100μm未満、50μm未満、10μm未満、5μm未満、1μm未満、0.1μm未満、又は0.01μm未満、或いは、0.01μm〜50μm、0.01μm〜10μm、0.01μm〜5μm、又は、0.3μm〜3μmの範囲であってもよい。
【0080】
複合カーボン粒子間の導電性をさらに高めるために、第3導電性カーボン材料の配合量は、100重量部の第1キャパシタカーボン材料に対して50重量部以下であることが好ましい。第3カーボン材料の配合量が50重量部を超える場合、導電効果が飽和する場合がある。従って、第3カーボン材料の配合量は経済的観点から50重量部以下が望ましいが、40重量部以下がより望ましい。
【0081】
<被覆層>
負極板の表面へのカーボン合剤の結着を高めると同時に複合カーボン粒子相互の結着を高めるために、また、第3カーボン材料が存在するならば該複合カーボン粒子との結着及び第3カーボン材料相互の結着を高めるために、結着させる物質、いわゆる「結着剤(バインダー)」を使用することができる。
【0082】
結着剤の種類としては、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが含まれる。結着剤の添加量は一般的には、100重量部の第1カーボン材料に対して2〜30重量部の範囲である。結着剤の添加量が2重量部未満の場合、結着効果が達成されない場合がある。また、結着剤の添加量が30重量部を超える場合、結着効果が飽和する場合がある。一般に、被覆層の結着剤の量は5〜15重量部が好ましい。
【0083】
カーボン合剤をペースト状とし電極板に塗布するために、カーボン合剤には一般的には増粘剤が添加される。増粘剤としては、水性のカーボン合剤ペーストとするにはCMC又はMCなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコールなどが好ましい。有機系のカーボン合剤ペーストには、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの増粘剤が好ましい。増粘剤を用いる場合、乾燥残分が第1キャパシタカーボン材料100重量%に対し20重量部を越えるとカーボン合剤被覆層の導電性を損なう場合があるので、20重量%以下が好ましい。
【0084】
短繊維強化材がカーボン合剤に添加されてもよい。短繊維強化材は、硫酸中で安定であるものが選択され、カーボン、ガラス又はポリエステルなどの少なくとも1種から選択されてもよい。短繊維強化材は20μm以下の直径及び0.1mm〜4mmの長さを有するものとすることができる。短繊維強化材の添加量は、第1カーボン材料100重量部に対して20重量部を超えるとカーボン合剤被覆層の導電性が低下する場合があるので、20重量部以下が好ましい。
【0085】
第1カーボン材料と第2カーボン材料とを上記の配合量で一体化した複合カーボン粒子と結着剤2〜30重量部と適量の分散媒とを混合して成るカーボン合剤をペースト状として電極の負極板又は正極板(これは一般的には活物質を含有する)の表面に塗布し、乾燥してポーラスなカーボン合剤被覆層を形成して複合電極板を製造するに当たり、負極板又は正極板に充填されている活物質の重量に対して該カーボン合剤を1〜15重量%を添加することが好ましい。カーボン合剤の添加量が1重量%未満では被覆効果が得られない場合あり、15重量%を超えると被覆層の厚みが厚くなりすぎる場合があるし、分極を生じさせる場合がある。カーボン合剤の添加量は好ましくは3〜10重量%の範囲である。
【0086】
電極の被覆層(複合カーボン粒子を含有するカーボン合剤を含む被覆層)の厚みは一般的には、0.1〜0.5mmの範囲であってもよい。ある1つの実施形態では、被覆の厚みは0.05〜2mm、0.08〜1mm、又は0.1〜0.5mmの範囲であり、或いは、約0.2mmである。
【0087】
カーボン合剤被覆層は、電極の片面又は両面に形成することができる。
【0088】
<蓄電装置>
蓄電装置は、正極と負極との組を少なくとも1組(但し、少なくとも1つの電極が本発明の電極である)を具備することが理解されるであろう。
【0089】
蓄電装置(例えば、鉛蓄電池)は一般的には、アノード及びカソード(又は、負極及び正極)とともに組み立てられる。電極は一般的には、活物質で被覆されてなる金属集電体から形成される。蓄電装置が鉛蓄電池の場合、該蓄電装置は一般的には、硫酸を含有する電解質溶液中で互いに結合されてなる、少なくとも1つの二酸化鉛系正極とポーラスな非電導性セパレータと少なくとも1つのスポンジ状鉛系負極とを含むであろう。蓄電装置は制御弁式装置とすることができる。
【0090】
電極は一般的には、集電体(一般的には格子又はプレート)を具備し、その集電体は活物質が塗布されている。活物質は最も一般的には、集電体のある領域にペーストの形態で塗布される。このペーストは、様々な添加物、すなわち、活物質以外の物質を含有してもよい。電極は適切な形状であればいかなるものでもよいが、柱状セルや渦巻き状セルを形成するために、一般的には平板(格子)形状や渦巻き板の形状とされる。構造を単純化するために、平板や格子が一般的に好ましい。集電体は、通常、電極の基礎を構成し、一般的には電導性材料から形成される。例えば、鉛蓄電池の集電体として一般的的には鉛合金が使用される。さらに、集電体用に使用される材料は電解質環境下で安定でなければならない。
【0091】
用語「活物質」又はそれに類似する用語は、電子を受け取り、貯蔵し、又は電子供給源を提供する機能を有する材料を意図しており、エネルギーを電気化学的に蓄えることができる電池電極材料を含む。例えば、鉛蓄電池タイプの蓄電池では、負極材料としてスポンジ状鉛を使用することができ、正極材料として二酸化鉛を使用することができる。活物質は、電極に塗布された後、電池システム内に置かれた後に作用し得ることが理解されるであろう。
【0092】
蓄電装置は、本明細書中に記載されるように、1つ又は2つ以上の負極、又は1つ又は2つ以上の正極、又は1つ又は2つ以上の正極と負極との組を具備することができる。電極とその電極上の材料はまた、エネルギー貯蔵セル内において対イオンを供給し電気回路を成し得る電解質に接触される。化学的適合性もまた考慮しなければならない。例えば、2つの材料が共通の電解質を共有するならば、これら2つの材料はともにその電解質中で安定でなければならない。
【0093】
活物質と複合カーボン粒子を含む被覆層は一般的には、電気的に接続するように同じ集電体上に配置される。この配置例として、両面配置、層状配置、並列配置又は被覆配置を含む。
【0094】
ある1つの実施形態においては、正極は二酸化鉛正極であり、負極はスポンジ状鉛負極である。電解質は好ましくは硫酸電解質溶液である。ある好ましい実施形態では、負極の少なくとも一部に複合カーボン粒子の被覆層が形成される。
【0095】
別の実施形態においては、少なくとも1つの二酸化鉛系正極と少なくとも1つのスポンジ状鉛系負極とを硫酸電解質溶液中に含む蓄電装置であって、前記負極が、
集電体と、
前記集電体に被着されてなり、スポンジ状鉛の活物質を含んでなる第1層と、
前記第1層の少なくとも一部と接触している第2層とを具備し、
前記第2層は、複合カーボン粒子を複数含み、該複数の複合カーボン粒子のそれぞれは第2導電性カーボン材料の複数粒子で被覆されている第1キャパシタカーボン材料の粒子を含む、
蓄電装置が提供される。
【0096】
上記実施形態において、第1層の少なくとも一部に第2層を接触させるにあたり、第1層を第2層で被覆してもよい。他の配置によっても様々な利点が得られるかもしれないことが理解されるであろう。
【0097】
蓄電装置は一般的にはさらに、上記少なくとも1つの二酸化鉛系正極と上記少なくとも1つのスポンジ状鉛系負極とを分離するポーラスな非導電性セパレータを具備する。
【0098】
上記した実施形態の蓄電装置は、例えば、高率部分充電状態で作動させる高性能鉛蓄電池にみられるサルフェーションの問題をを低減したり抑制したりすることができる。ある1つの実施形態では、本明細書中に記載される実施形態の蓄電装置は部分充電状態(PSOC)で使用される。部分充電状態は、例えば電気自動車で約20〜100%の範囲、例えばハイブリッド電気自動車で約40〜60%の範囲、マイルドハイブリッド電気自動車で約70〜90%の範囲である。
【0099】
<電解質>
鉛蓄電池の場合、適切な酸電解質であればいかなるものも使用することができる。鉛蓄電池の電解質としては一般的には硫酸電解質である。
【0100】
<母線又は導体>
鉛蓄電池の母線は適切な構造であればいかなるものであってもよく、また、この技術分野で知られている適切な導電性材料であればいかなるものから作製することができる。
【0101】
<蓄電池の他の特徴>
一般に、蓄電池の構成部品は、用いられる蓄電池のタイプに適合したさらなる特徴を有する蓄電池ケース内に収容される。例えば、鉛蓄電池の場合、鉛蓄電池は注液式電解質設計のもの又は制御弁式設計のものどちらであってもよい。鉛蓄電池が制御弁式鉛蓄電池である場合、蓄電池は適切な設計であればいかなるものであってもよく、例えば、ゲル電解質を含有してもよい。そのような設計に適した蓄電池ユニットの具体的な特徴は本発明の技術分野では広く知られている。
【0102】
鉛蓄電池に加えられ得る圧力は、注液式電解質設計では5〜20kPaの範囲であってよく、制御弁式鉛蓄電池設計では20〜80kPaの範囲であってよい。
【0103】
<セパレータ>
一般に、正極及び負極のそれぞれがポーラスなセパレータによって隣接する電極から分離されている。セパレータは、隣接する電極間に適切な分離距離を保持する。直接に隣接する鉛系負極と二酸化鉛系正極との間に配置されるセパレータは、この技術分野で一般に知られている適切な多孔質材料であればいかなるものから作製することができる。例えば、ポーラスなポリマー材料や吸収性ガラスマイクロファイバー(「AGM」)などから作製することができる。分離距離(これはセパレータの厚さに対応する)は一般に、これらのセパレータでは1〜2.5ミリメートルである。蓄電池部分を形成する正極と負極との間のセパレータを形成するのに有用な好適なポリマー材料はポリエチレン及びAGMである。ポリエチレンのセパレータは1〜1.5ミリメートルの厚さが好適であり、AGMのセパレータはおよそ1.2〜2.5ミリメートルの厚さが好適である。
【0104】
<鉛蓄電池の形成>
適切な構成部品を蓄電池ケース内に組み立てた後、一般的には、鉛蓄電池を形成する必要がある。その形成作業はこの分野では広く知られている。「鉛系」材料及び「二酸化鉛系」材料は、鉛そのもの又は二酸化鉛そのもの、当該金属/金属二酸化物を含有する材料、或いは、場合によっては、所与の電極において、鉛又は二酸化鉛に転化される材料をいうのに使用されることを理解しなければならない。
【0105】
上記で使用された用語によって示されるように、鉛蓄電池は各々のタイプの電極の少なくとも1つを含有する。蓄電池の個々のセル(これは負極板及び正極板で構成される)の数は各々の蓄電池の所望の電圧によって決まる。マイルドハイブリッド電気自動車の蓄電池として使用するのに適した36ボルトの蓄電池(これは42ボルトまで充電することができる)では、18個のセルを使用するであろう。
【0106】
<電極配置>
一般に、正極及び負極は交互に配置され、その結果、それぞれの正極がその片側に1つの負極を有する。しかしながら、想定される用途によっては他の電極の配置が利用されてもよいことが理解されるであろう。
【0107】
<電極の具体的な添加物>
電極の1つの電位窓又は電位作動範囲に不釣り合いがあると、水素及び/又は酸素のガス発生が生じる場合がある。水素ガス発生を抑制するために、電極は、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの、酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩又はそれらの混合物を含む添加物又は添加物混合物を含むことができる。一般に、添加物は、鉛若しくは亜鉛の、酸化物、水酸化物又は硫酸塩を少なくとも1つ含むことが好ましい。便宜上、添加物は、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化銀及び酸化ビスマスから選択される1つ又は2つ以上の酸化物であることが適当である。
【0108】
具体的な実施形態に示されるような発明に対して、幅広く記載されるように本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく数多くのバリエーション及び/又は改変がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。従って、本発明の実施形態は、すべての点で限定的ではなく例示的であるべきである。
【0109】
何らかの先行技術刊行物を本明細書中で参照するとしても、当該刊行物がオーストラリア又は他の国においてこの技術分野における通常の一般的知識の一部を形成していることを認めて参照するものでないことを理解しなければならない。
【0110】
下記の請求項では、また、本発明の上記の説明では、その文脈が特別な言葉又は必然的な言外の意味のためにそうでないことを必要としている場合を除き、用語“comprise”(含む、具備する、有する、)又は“comprises”又は“comprising”などの変化形は包含的意味で使用される。すなわち、規定された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在又は付加を排除しないように使用される。
【0111】
次に、本発明が下記の実施例及び比較例によってより詳細に記載される。
【0112】
<実施例1>
複合カーボン粒子を下記のように製造した。第1キャパシタカーボン材料として平均粒径が8μmの活性炭(
図1(a)を参照のこと)100重量部と、第2導電性カーボン材料として平均粒径が0.1μmのアセチレンブラック(
図1(b)を参照のこと)60重量部とを、5mmのメディア径を有するビーズミルによって1時間ミリングして複合カーボン粒子を複数得た。これら複数の複合カーボン粒子のそれぞれは、その表面にアセチレンブラックの微細粒子が一体に結着被覆してなる活性炭粒子を含む(
図2(a)を参照のこと)。このようにして得られたハイブリッドカーボン粒子又は複合カーボン粒子に、結着剤としてSBR、増粘剤としてCMC、短繊維強化材としてポリエチレンテレフタレート(PET)、及び、分散媒として水を加え、その後、ミキサーで混合してカーボン合剤ペーストを調製した。このカーボン合剤ペーストの配合組成を表1に示す。
【0113】
一方、制御弁式鉛蓄電池に用いる正極板と負極板を公知の方法によって製造した後、タンク化成処理に供した正極板と負極板をそれぞれ多数用意した。
【0114】
各負極板については、上記で調製したカーボン合剤ペーストを集電体基板に充填されている負極活物質の表面全体に均一に塗布し、次いで、60℃で1時間乾燥し、気孔率が75%であるポーラスなカーボン合剤被覆層が負極板の両面に形成された複合負極板を製造した。こうして製造された複合負極板は、ポーラスなカーボン合剤被覆層が片面あたり0.2mmの厚さを有し、その重量が負極活物質の重量に対して5重量%有するものであった。
【0116】
次に、上記で製造された複合負極板の5枚と、正極板4枚とを、AGM(吸収性ガラスマット)セパレータを介して交互に積層し極板群を組み立て、この極板群を使用して、正極容量規制で5時間率容量10Ahの2Vセルの鉛蓄電池を公知の方法によって製造し、制御弁式鉛蓄電池を得た。その製造過程において、極板群を電槽内に収容したとき、群の圧迫度が50kPaに成るように、極板群の両端と電槽との間にスペーサーを介入した。硫酸電解液としては、硫酸アルミニウム・18水塩を30g/l溶解した比重1.30の硫酸水溶液130mlをセル内に注入した。その後、セルを活性化させるために、1Aで15時間充電、セル電圧が1.75Vに達するまで2Aで放電、再び1Aで15時間の充電を行った。そして、2Aでセル電圧1.75Vに達するまで放電した。得られたセルの5時間率容量を測定したところ10Ahであった。
【0117】
<実施例2>
下記の表2に示されるような配合組成を有するカーボン合剤ペースト(これは、優れた導電性を有するアセチレンブラックを第3カーボン材料として実施例1におけるカーボン合剤ペーストに添加することによって調製された)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして複合負極板を製造した。このようにして製造された複合負極板を使用して、5時間率容量が10Ahである2Vセルの鉛蓄電池を実施例1と同様にして製造した。
【0119】
<実施例3>
下記の表3に示されるような配合組成を有するカーボン合剤ペースト(これは、20重量部の気相成長ナノカーボン繊維(VGCF)が20重量部のアセチレンブラックの粒子の代わりに第3カーボン材料として使用された)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして複合負極板を製造した。このようにして製造された複合負極板を使用して、5時間率容量が10Ahである2Vセルの鉛蓄電池を実施例1と同様にして製造した。
【0121】
<比較例1>
使用された混合粉が、第1カーボン材料として100重量部の活性炭の粒子と、第2カーボン材料として60重量部のアセチレンブラックの粒子とを、それらを一緒に一体化させて複合体(
図2(a)を参照のこと)にすることなく単に混合して調製した混合粉(
図2(b)を参照のこと)を用いたこと以外は、表1の配合組成と同じ配合組成を有する下記の表4に示されるような配合組成を有するカーボン合剤ペーストを使用することによって実施例1と同様にして複合負極板を製造した。このようにして製造された複合負極板を使用して、5時間率容量が10Ahである2Vセルの鉛蓄電池を実施例1と同様にして製造した。
【0123】
<比較例2>
カーボン合剤ペーストを塗布する前の実施例1で用いた負極板5枚と実施例1で用いたと同じ正極板4枚とセパレータにより極板群を組み立てた以外は、実施例1と同様にして、5時間率容量10Ahの2Vセルの鉛蓄電池を製造した。
【0124】
<寿命試験>
実施例1〜3、比較例1及び比較例2の各鉛蓄電池について、HEVによる走行を模擬してPSOCで急速充放電を繰り返すことにより、寿命試験を行った。具体的には、それぞれの蓄電池を2Aで1時間放電してSOC80%とした後、50Aでの1秒放電と20Aでの1秒充電を500回繰り返した後、30Aでの1秒充電と1秒休止を510回繰り返した。これを1サイクルとした。このサイクルを繰り返し、蓄電池の放電電圧が0Vに達した時点を寿命とした。その結果を下記の表5に示す。
【0126】
上記の表5から明らかなように、実施例1、実施例2及び実施例3に記載される本発明の複合負極板をそれぞれ具備する鉛蓄電池は、比較例1に記載される従来の複合負極板を具備する鉛蓄電池、又は、比較例2に記載される通常の負極板を具備する鉛蓄電池と比較して、サイクル寿命の著しい向上をもたらすことが認められる。
【0127】
<実施例4>
次に、表1のカーボン合剤ペーストと、幅102mm、高さ108.5mm及び厚さ1.5mmの負極板とを使用して、実施例1と同様にして複合負極板を多数製造した。一方で、幅102mm、高さ107.5mm及び厚さ1.7mmの正極板を多数製造した。
【0128】
幅126mm、長さ236mm及び高さ200mmの6セルからなるJIS D5301のB24サイズの液式鉛蓄電池の各セル室内に上記の複合負極板7枚と上記の正極6枚とをポリエチレンの表面にガラス繊維不織布を重ね合わされた厚さ1.0mmのラミネートセパレータを介し交互に積層して成る極板群を、実施例1と同様にスペーサーを介入して群圧が20kPaになるように収容し、次いで、常法により各セルを直列に接続し、施蓋し、次いで、各セル室内に硫酸電解液450mlを注入した後、電槽化成後の電解液の比重が1.285となるように調製した。こうして、5時間率容量42Ahの液式鉛蓄電池を製造した。
【0129】
この液式鉛蓄電池を用い、25℃の周囲温度下で下記するアイドルストップ車条件の寿命試験を行った。即ち、45Aで59秒放電、引き続き300Aで1秒放電を行い、次いで、14.0Vの定電圧で100Aで60秒充電する。この充放電を3600回行い、その後、48時間放置し、再び上記の充放電を繰り返し、蓄電池電圧が7.2Vとなった時点を寿命とし、このときのサイクル数をサイクル寿命とした。その結果を下記表6に示す。
【0131】
<実施例5>
表2のカーボン合剤ペーストを用いた以外は、実施例4と同様にして複合負極板を多数製造し、これを用いて実施例4と同様にして5時間率容量42Ahの液式鉛蓄電池を製造した。
【0132】
この電池を用いて、実施例4と同じサイクル寿命試験を行った。その結果を表6に示す。
【0133】
<実施例6>
表3のカーボン合剤ペーストを用いた以外は、実施例4と同様にして複合負極板を多数製造し、これを用いて実施例4と同様にして5時間率容量42Ahの液式鉛蓄電池を製造した。
【0134】
この電池を用いて、実施例4と同じサイクル寿命試験を行った。その結果を表6に示す。
【0135】
<比較例3>
表4に示す従来のカーボン合剤ペーストを用いた以外は、実施例4と同様にして複合負極板を多数製造し、これを用いて実施例4と同様にして5時間率容量42Ahの液式鉛蓄電池を製造した。
【0136】
この電池を用いて、実施例4と同じサイクル寿命試験を行った。その結果を表6に示す。
【0137】
<比較例4>
カーボン合剤ペーストを塗布しない実施例4に記載の負極板を用い、実施例4と同様にして5時間率容量42Ahの液式鉛蓄電池を製造し、この電池を用いて、実施例4と同じサイクル寿命試験を行った。その結果を表6に示す。
【0138】
表6から明らかなように、実施例4,5,6に記載の複合負極板を具備した液式鉛蓄電池は、比較例3に記載の従来の複合負極板を具備した液式鉛蓄電池及び比較例4に記載の通常の負極板を具備した液式鉛蓄電池に比べて、サイクル寿命の著しい向上をもたらすことが認められた。