(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被塗物に塗料を噴霧する塗装機(1)と、電源電圧を昇圧して高電圧を発生し、該高電圧を前記塗装機(1)に出力する高電圧発生器(14)と、該高電圧発生器(14)に電源電圧を供給する電源電圧制御装置(17)と、該電源電圧制御装置(17)に対して電源電圧を設定するための設定信号を出力し、前記高電圧発生器(14)から出力する高電圧を制御する高電圧制御装置(22)とを備えてなる静電塗装装置において、
前記高電圧発生器(14)と前記塗装機(1)との間には電流検出用抵抗(15)を接続し、
該電流検出用抵抗(15)の両端に生じる電位差(ΔV)に基づいて、前記塗装機(1)に供給される塗装機電流(IB)を検出する塗装機電流検出器(24)を設け、
前記塗装機電流検出器(24)は、
前記電流検出用抵抗(15)の入力端に作用する電圧を分圧する入力側分圧回路(25)と、
直列接続された2つの分圧抵抗(26A,26B)を備え、前記電流検出用抵抗(15)の出力端に作用する電圧を分圧する出力側分圧回路(26)と、
前記入力側分圧回路(25)によって検出した入力側電圧検出値(VMi)と前記出力側分圧回路(26)によって検出した出力側電圧検出値(VMo)とに基づいて、前記電流検出用抵抗(15)に流れる電流(Irf)から前記出力側分圧回路(26)に流れる電流(Iro)を減算して、前記塗装機電流(IB)を演算する塗装機電流演算器とを備え、
前記塗装機電流演算器は、前記出力側電圧検出値(VMo)と、前記出力側分圧回路(26)の2つの分圧抵抗(26A,26B)のうちアース側の分圧抵抗(26B)の抵抗値(Rdo)とに基づいて、前記出力側分圧回路(26)に流れる電流(Iro)を演算し、
前記高電圧制御装置(22)は、前記塗装機電流検出器(24)によって検出した塗装機電流(IB)を用いて前記塗装機(1)が被塗物に接近したと判別したときには、前記電源電圧制御装置(17)に対して電源電圧の供給を遮断する遮断信号を出力する構成としたことを特徴とする静電塗装装置。
前記高電圧制御装置(22)は、前記塗装機電流検出器(24)によって検出した塗装機電流(IB)の絶対値が所定の遮断しきい電流値(IB0)を超えたとき、または塗装機電流の変化量(ΔIB)が所定の遮断しきい変化量(ΔIB0)を超えたときに、前記電源電圧制御装置(17)に対して電源電圧の供給を遮断する遮断信号を出力する塗装機電流異常処理器を備える構成としてなる請求項1または2に記載の静電塗装装置。
前記高電圧制御装置(22)は、前記漏洩電流検出器(31)によって検出した漏洩電流(ILa〜ILe)を用いて初期段階の絶縁低下が生じたと判別したときには、前記塗装機(1)に生じている絶縁低下を報知する絶縁低下警報処理器をさらに備える構成としてなる請求項4に記載の静電塗装装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態による静電塗装装置として回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて添付図面に従って詳細に説明する。
【0026】
図1ないし
図4は第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置を示している。図において、塗装機1は、後述するカバー2、エアモータ3、回転霧化頭5を含んで構成されている。この塗装機1は、アース電位にある被塗物Aに向けて塗料を噴霧する。
【0027】
カバー2は、絶縁性樹脂材料によって円筒状に形成されている。このカバー2は、エアモータ3、高電圧発生器14等を覆っている。
【0028】
エアモータ3は、カバー2の内周側に収容され、導電性金属材料によって形成されている。このエアモータ3は、モータハウジング3Aと、モータハウジング3A内に静圧エア軸受3Bを介して回転可能に支持された中空の回転軸3Cと、回転軸3Cの基端側に固定されたエアタービン3Dとを備えている。エアモータ3には、塗装機1内に設けられた駆動エア通路4が接続されている。エアモータ3は、エアタービン3Dに対して駆動エア通路4を通じて駆動エアを供給することにより、回転軸3Cと回転霧化頭5を、例えば3000〜150000rpmで高速回転させる。
【0029】
回転霧化頭5は、エアモータ3の回転軸3Cの先端側に取付けられている。この回転霧化頭5は、例えば金属材料または導電性の樹脂材料によって形成される。回転霧化頭5は、エアモータ3によって高速回転された状態で後述のフィードチューブ8を通じて塗料を供給することにより、その塗料を遠心力によって周縁から噴霧する。一方、回転霧化頭5にはエアモータ3等を介して後述の高電圧発生器14が接続されている。これにより、静電塗装を行う場合に、回転霧化頭5全体に高電圧を印加することができ、これらの表面を流れる塗料を直接的に高電圧に帯電させることができる。
【0030】
シェーピングエアリング6は、回転霧化頭5の外周側を囲繞するようにカバー2の先端側に設けられている。このシェーピングエアリング6には複数個のエア吐出孔6Aが穿設され、エア吐出孔6Aは塗装機1内に設けられたシェーピングエア通路7が連通している。エア吐出孔6Aにはシェーピングエア通路7を通じてシェーピングエアが供給され、エア吐出孔6Aは、シェーピングエアを回転霧化頭5から噴霧される塗料に向けて噴出する。これにより、シェーピングエアは、回転霧化頭5から噴霧された塗料粒子の噴霧パターンを成形する。
【0031】
フィードチューブ8は、回転軸3C内に挿通して設けられている。このフィードチューブ8の先端側は、回転軸3Cの先端から突出して回転霧化頭5内に延在している。
図1および
図2に示すように、フィードチューブ8内には塗料通路9が設けられると共に、塗料通路9は例えば色替弁装置(図示せず)を介して塗料供給源10および洗浄流体供給源(図示せず)に接続されている。これにより、フィードチューブ8は、塗装時には塗料通路9を通じて回転霧化頭5に向けて塗料供給源10からの塗料を供給すると共に、洗浄時、色替時には洗浄流体供給源からの洗浄流体(例えばシンナ、水等の溶剤、空気等)を供給する。
【0032】
なお、フィードチューブ8は、第1の実施の形態に限らず、例えば内筒に塗料通路が形成され、外筒に洗浄流体通路が配置された二重筒状に形成してもよい。また、塗料通路9は、第1の実施の形態のようにフィードチューブ8内を通るものに限らず、塗装機1の種類に応じて種々の通路形態が採用可能である。
【0033】
さらに、塗料供給源10として塗装機1に交換可能なカートリッジを用いる場合には、カートリッジを交換することによって、色替えを行うことができる。この場合、色替弁装置は不要である。
【0034】
塗料供給弁11は、塗料通路9の途中に設けられ、例えば常閉型の開閉弁によって構成されている。この塗料供給弁11は、塗料通路9内を延びる弁体11Aと、弁体11Aの基端側に位置してシリンダ11B内に設けられたピストン11Cと、シリンダ11B内に設けられ弁体11Aを閉弁方向に付勢する弁ばね11Dと、シリンダ11B内で弁ばね11Dと反対側に設けられた受圧室11Eとから構成されている。受圧室11Eには、カバー2内を延びる供給弁駆動エア通路12が接続されている。塗料供給弁11は、供給弁駆動エア通路12を通じて受圧室11Eに供給弁駆動エア(パイロットエア)が供給されることによって、弁ばね11Dに抗して弁体11Aが開弁し、塗料通路9内の塗料の流通を許可する。
【0035】
エア源13は、駆動エア通路4、シェーピングエア通路7および供給弁駆動エア通路12に接続されている。このエア源13は、フィルタを通じて外気を吸引、圧縮した後に、ドライヤ(いずれも図示せず)を用いて圧縮空気を乾燥させて吐出する。エア源13から吐出される圧縮空気は、例えば駆動エア通路4の途中に設けられた空電変換器(図示せず)を介してエアモータ3に供給され、この空電変換器を用いてエアモータ3の回転数が制御されている。一方、エア源13から吐出される圧縮空気は、シェーピングエア通路7に供給されて塗料粒子の噴霧パターンを成形すると共に、供給弁駆動エア通路12に供給されて塗料供給弁11の開閉駆動に使用される。
【0036】
高電圧発生器14は、カバー2の基端側に内蔵されている。この高電圧発生器14は、DC/AC変換器14A、昇圧トランス14B、および多段倍電圧整流回路14Cによって構成されている。
図3に示すように、DC/AC変換器14Aは、後述の電源電圧制御装置17から出力された直流の電源電圧Vdcを、例えば数十kHz程度の周波数を有する交流の一次電圧Vacに変換する。一次電圧Vacは、昇圧トランス14Bによって昇圧される。即ち、一次電圧Vacが昇圧トランス14Bの一次側コイルに入力されることによって、二次側コイルには、一次電圧Vacが上昇した二次電圧が励起される。
【0037】
多段倍電圧整流回路14Cは、複数のコンデンサ、ダイオード(いずれも図示せず)からなる所謂コッククロフト回路によって構成されている。多段倍電圧整流回路14Cは、昇圧トランス14Bから供給される二次電圧をさらに昇圧して、例えば−30〜−150kVの高電圧を発生させる。そして、高電圧発生器14は、エアモータ3、回転霧化頭5を通じて塗料を直接的に高電圧に帯電させている。
【0038】
ここで、高電圧発生器14の出力側は、電流検出用抵抗15およびスパーク防止用抵抗16を介してエアモータ3に接続されている。
図3に示すように、電流検出用抵抗15およびスパーク防止用抵抗16は、高電圧発生器14とエアモータ3との間に直列接続されている。電流検出用抵抗15は、スパーク防止用抵抗16よりも高電圧発生器14側に接続されている。このため、電流検出用抵抗15の入力端は、高電圧発生器14に出力端に接続され、電流検出用抵抗15の出力端は、スパーク防止用抵抗16に接続されている。
【0039】
電流検出用抵抗15の抵抗値Rfは、例えば数十〜数百μA程度の塗装機電流IBが流れたときに、両端間で十分な電位差が生じる値に設定されている。具体的には、電流検出用抵抗15の抵抗値は、数十MΩ〜数百MΩ(例えば30MΩ〜500MΩ)程度の値に設定されている。
【0040】
スパーク防止用抵抗16は、回転霧化頭5と被塗物Aとの間でスパークが発生するのを防止するものである。このため、スパーク防止用抵抗16の抵抗値は、回転霧化頭5と被塗物Aとが接近し過ぎて、塗装機電流IBが増加したときに、塗装機電流IBによって十分な電圧降下が生じる値(例えば30MΩ〜500MΩ程度の値)に設定されている。
【0041】
なお、第1の実施の形態では、スパーク防止用抵抗16は、電流検出用抵抗15と別個に設けられている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば電流検出用抵抗15の抵抗値Rfを適宜設定することによって、電流検出用抵抗15がスパーク防止用抵抗16を兼用してもよい。この場合、スパーク防止用抵抗16を省くことができる。
【0042】
電源電圧制御装置17は、高電圧発生器14から出力される出力電圧(高電圧)を制御するために高電圧発生器14に供給する直流の電源電圧Vdcを制御する。この電源電圧制御装置17は、その入力側がAC/DC変換器18を介して商用電源19に接続され、出力側が高電圧発生器14に接続されている。
【0043】
ここで、AC/DC変換器18は、例えば商用電源19から給電されるAC100Vを例えばDC24Vの直流の電源電圧Vdcに変換し、電源電圧Vdcを電源電圧制御装置17に出力している。
【0044】
電源電圧制御装置17は、高電圧発生器14に電源電圧Vdcを供給する。この電源電圧制御装置17は、例えばNPN型のパワートランジスタ20と、パワートランジスタ20を制御するトランジスタ制御回路21とによって構成されている。パワートランジスタ20のコレクタはAC/DC変換器18に接続され、パワートランジスタ20のエミッタは高電圧発生器14の入力側に接続されると共に、パワートランジスタ20のベースはトランジスタ制御回路21に接続されている。
【0045】
トランジスタ制御回路21は、後述する高電圧制御装置22から出力される信号に応じてパワートランジスタ20のベース電圧を変化させ、エミッタから高電圧発生器14の入力側に印加される電源電圧Vdcを可変に制御している。
【0046】
高電圧制御装置22は、処理装置(CPU)を含んで構成されている。この高電圧制御装置22は、電源電圧制御装置17に対して電源電圧Vdcを設定するために電圧設定器23から出力される設定電圧に応じた信号(設定信号)を出力する。高電圧制御装置22の入力側には、電圧設定器23、塗装機電流検出器24、電流センサ27が接続される。高電圧制御装置22の出力側には、電源電圧制御装置17が接続されると共に、後述の警報ブザー28、警報ランプ29が接続されている。
【0047】
高電圧制御装置22は、例えば塗装機電流検出器24の入力側分圧回路25による電圧検出値VMiに基づいて、高電圧発生器14から出力される出力電圧を演算する。そして、高電圧制御装置22は、電圧設定器23から出力される設定電圧と、例えば電圧検出値VMiから算出した出力電圧とを比較して高電圧発生器14から出力される出力電圧をフィードバック制御する。これにより、高電圧制御装置22は、トランジスタ制御回路21に設定信号を出力し、パワートランジスタ20の駆動を制御して高電圧発生器14から出力する高電圧を制御する。
【0048】
なお、高電圧制御装置22は、入力側分圧回路25による電圧検出値VMiに基づいて高電圧発生器14の出力電圧を演算するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、出力側分圧回路26による電圧検出値VMoを用いて高電圧発生器14の出力電圧を演算してもよい。
【0049】
また、高電圧制御装置22は、後述の
図4に示す高電圧発生制御処理のプログラムに従って作動する。即ち、高電圧制御装置22は、入力側分圧回路25と出力側分圧回路26の電圧検出値VMi,VMoを用いて、エアモータ3に供給される塗装機電流IBを演算する機能と、塗装機電流IBと全帰路電流ITを用いて、塗装機1の絶縁状態を判別する機能とを有する。高電圧制御装置22は、絶縁性が損なわれた状態と判別したときには、電源電圧制御装置17に対して遮断信号を出力し、高電圧発生器14に対する電源電圧Vdcの供給を遮断する。
【0050】
これにより、高電圧制御装置22は、塗装機電流IBを用いて塗装機1が被塗物Aに異常接近したと判別したときに、電源電圧制御装置17に対して電源電圧Vdcの供給を遮断する遮断信号を出力する電源遮断装置を備える。
【0051】
なお、電圧設定器23から出力される設定電圧は、塗料の性質、塗装条件等に応じて例えば−30〜−150kVの範囲内で適宜設定されるものである。
【0052】
塗装機電流検出器24は、電流検出用抵抗15の両端に生じる電位差ΔVに基づいて、塗装機1に供給される塗装機電流IBを検出する。この塗装機電流検出器24は、入力側分圧回路25および出力側分圧回路26を備える。これに加え、塗装機電流検出器24は、後述するように、
図4中のステップ4に示す高電圧制御装置22による演算処理によって塗装機電流IBを検出する。このとき、ステップ4の演算処理は、塗装機電流演算器に相当している。
【0053】
入力側分圧回路25は、電流検出用抵抗15の入力端に接続されている。即ち、入力側分圧回路25は、電流検出用抵抗15の両端のうち高電圧発生器14側に接続されている。入力側分圧回路25は分圧抵抗25A,25Bを備え、分圧抵抗25A,25Bは電流検出用抵抗15の入力端とアースとの間に直列接続されている。これにより、入力側分圧回路25は、電流検出用抵抗15の入力端に印加される高電圧を、分圧抵抗25A,25Bの抵抗値Rhi,Rdiに応じた比率で分圧し、電圧検出値VMiを検出する。
【0054】
ここで、電圧検出値VMiを低下させるために、アース側の分圧抵抗25Bの抵抗値Rdiは、電流検出用抵抗15側の分圧抵抗25Aの抵抗値Rhiに比べて、十分に小さい値(例えば数千〜1万分の1)に設定されている。また、分圧抵抗25A,25Bの抵抗値Rhi,Rdiの合計値は、これらに流れる電流をできるだけ小さくするために、十分に大きな値(例えば数百MΩ〜数GΩ)に設定されている。
【0055】
出力側分圧回路26は、電流検出用抵抗15の出力端に接続されている。即ち、出力側分圧回路26は、電流検出用抵抗15の両端のうちエアモータ3側に接続されている。出力側分圧回路26は、分圧抵抗26A,26Bを備えている。分圧抵抗26A,26Bは、電流検出用抵抗15の出力端とアースとの間に直列接続されている。これにより、出力側分圧回路26は、電流検出用抵抗15の出力端に印加される高電圧を、分圧抵抗26A,26Bの抵抗値Rho,Rdoに応じた比率で分圧し、電圧検出値VMoを検出する。
【0056】
ここで、電圧検出値VMoを低下させるために、アース側の分圧抵抗26Bの抵抗値Rdoは、電流検出用抵抗15側の分圧抵抗26Aの抵抗値Rhoに比べて、十分に小さい値(例えば数千〜1万分の1)に設定されている。また、分圧抵抗26A,26Bの抵抗値Rho,Rdoの合計値は、これらに流れる電流をできるだけ小さくするために、十分に大きな値(例えば数百MΩ〜数GΩ)に設定されている。
【0057】
電流センサ27は、高電圧発生器14に接続され、全帰路電流検出器を構成している。この電流センサ27は、例えば多段倍電圧整流回路14Cの入力側に位置して、昇圧トランス14Bの二次側コイルに接続され、二次側コイルに流れる電流を検出する。これにより、電流センサ27は、高電圧発生器14を含む高電圧発生経路内を流れる全帰路電流ITを検出し、検出した全帰路電流ITの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力している。
【0058】
警報ブザー28および警報ランプ29は、警報手段を構成すると共に、高電圧制御装置22の出力側に接続されている。警報ブザー28、警報ランプ29は、高電圧制御装置22から出力される警報信号に基づいて駆動し、作業者に対して塗装機1の絶縁性が低下したこと等を報知する。
【0059】
第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述のような構成を有するもので、次に、塗装装置としての作動について説明する。
【0060】
塗装機1は、エアモータ3によって回転霧化頭5を高速回転させ、この状態でフィードチューブ8を通じて回転霧化頭5に塗料を供給する。これにより、塗装機1は、回転霧化頭5が回転するときの遠心力によって塗料を微粒化して噴霧すると共に、シェーピングエアリング6を通じてシェーピングエアを供給することによって噴霧パターンを制御しつつ塗料粒子を被塗物Aに塗着させる。
【0061】
また、回転霧化頭5にはエアモータ3を介して高電圧発生器14による高電圧が印加されている。これにより、塗料粒子は、回転霧化頭5を通じて直接的に高電圧に帯電すると共に、回転霧化頭5と被塗物Aとの間に形成された静電界に沿って飛行し、被塗物に塗着する。
【0062】
次に、高電圧制御装置22による高電圧発生制御処理について
図4を参照しつつ説明する。
【0063】
なお、遮断しきい電流値IB0は、回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近した状態で、高電圧発生器14の出力端を流れる塗装機電流IBの電流値である。この遮断しきい電流値IB0は、例えば数μA〜数十μA程度に設定されている。
【0064】
また、遮断しきい電流値IT0は、回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近した状態で高電圧発生器14を含む高電圧発生経路内を流れる全帰路電流ITの電流値である。この遮断しきい電流値IT0は、数百μA(例えば200μA)程度に設定されている。
【0065】
ここで、遮断しきい電流値IT0は、分圧回路25,26を流れる漏洩電流や高電圧発生器14内を流れる漏洩電流を考慮して、遮断しきい電流値IB0よりも大きな値に設定されている。
【0066】
ステップ1では、予め高電圧制御装置22のメモリ(図示せず)に格納しておいた絶対値検出用の遮断しきい電流値IB0,IT0を読込む。続くステップ2では、入力側分圧回路25によって検出した電圧検出値VMiと、出力側分圧回路26によって検出した電圧検出値VMoとを読込む。ステップ3では、電流センサ27によって検出した全帰路電流ITの電流値を読込む。
【0067】
次に、ステップ4では、以下の数1の式に、電圧検出値VMi,VMo、分圧抵抗25A,25B,26A,26Bの抵抗値Rhi,Rdi,Rho,Rdoおよび電流検出用抵抗15の抵抗値Rfを代入して、塗装機1に供給される塗装機電流IBを演算する。
【0069】
但し、数2の式に示すように、数1の式の中で、Ki,Koは、分圧回路25,26の分圧比を示している。分圧比Ki,Koは、異なる値でもよく、同じ値でもよい。なお、数3の式に示すように、数1の式の右辺第1項の分子は、電流検出用抵抗15の両端に生じる電位差ΔVに対応する。数4の式に示すように、数1の式の右辺第1項は、電流検出用抵抗15を流れる電流Irfに対応する。数5の式に示すように、数1の式の右辺第2項は、出力側分圧回路26に流れる電流Iroに対応する。
【0074】
次に、ステップ5では、ステップ4で算出した塗装機電流IBの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IB0よりも大きい(|IB|>IB0)か否かを判定する。このステップ5で「YES」と判定したときには、例えば回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近して絶縁性が損なわれた状態となり、塗装機1と被塗物Aとの間に流れる電流が絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ6に移って塗装機電流IBの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。この異常停止表示は、例えば高電圧制御装置22のモニタ(図示せず)に出力すると共に、警報ブザー28、警報ランプ29を用いてその旨を作業者に報知することにより行われる。
【0075】
その後、ステップ9に移行して、高電圧制御装置22は電源電圧制御装置17に対して遮断信号を出力し、トランジスタ制御回路21を駆動して高電圧発生器14とAC/DC変換器18との間を遮断し、高電圧の供給を停止する。最後に、ステップ10では、塗装機1の駆動を停止させる処理を行い、処理を終了する。
【0076】
一方、ステップ5で「NO」と判定したときには、ステップ7に移行する。ステップ7では、高電圧発生器14を含む高電圧印加経路内に流れる全帰路電流ITの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IT0よりも大きい(|IT|>IT0)か否かを判定する。ステップ7で「YES」と判定したときには、全帰路電流ITが絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ8に移って全帰路電流ITの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ9に移行する。
【0077】
一方、ステップ7で「NO」と判定したときには、ステップ5,7のいずれでも「NO」と判定されたから、塗装機電流IBの絶対値と全帰路電流ITの絶対値は、いずれも遮断しきい電流値IB0,IT0以下となる。このため、塗装機電流IBの絶対値と全帰路電流ITの絶対値は、塗装が継続可能な程度に小さいものと考えられるから、ステップ2以降の処理を繰返す。
【0078】
以上により、第1の実施の形態では、高電圧制御装置22は、塗装機電流IBの絶対値が遮断しきい電流値IB0を超えたときに遮断信号を出力する塗装機電流異常処理器と、全帰路電流ITの絶対値が遮断しきい電流値IT0を超えたときに遮断信号を出力する全帰路電流異常処理器とを備える。このとき、塗装機電流異常処理器および塗装機電流異常処理器は、電源遮断装置を構成している。
【0079】
第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装装置は上述の如き高電圧発生制御処理に基づき作動するものである。
【0080】
然るに、第1の実施の形態では、高電圧発生器14と塗装機1との間には電流検出用抵抗15を接続し、電流検出用抵抗15の両端に生じる電位差ΔVに基づいて、塗装機1に供給される塗装機電流IBを検出する塗装機電流検出器24を設けた。このとき、塗装機電流IBは、高電圧発生器14の内部で生じる漏洩電流を含まない。このような漏洩電流を含む全帰路電流ITに比べて、塗装機電流IBは塗装機1と被塗物Aとの間で流れる被塗物電流IXが反映され易いから、塗装機電流IBに基づいて被塗物電流IXの増加を適切に検出することができる。このため、高電圧制御装置22は、塗装機電流検出器24による塗装機電流IBを用いて塗装機1が被塗物Aに過剰に接近したか否かを適切に判別することができるから、塗装機1と被塗物Aとの距離が小さくなっても、例えばスパークが発生しない範囲では、高電圧の供給を継続することができる。この結果、狭い場所で塗装を行う場合でも、塗装機1の可動範囲を広げることができ、塗装の作業性を高めることができる。
【0081】
一方、入力側分圧回路25と出力側分圧回路26とによって電流検出用抵抗15の両端に作用する電圧を検出することができる。このとき、入力側分圧回路25によって検出した入力側電圧検出値VMiと、出力側分圧回路26によって検出した出力側電圧検出値VMoとは、電流検出用抵抗15の両端に作用する電圧に対応した値になる。このため、電圧検出値VMi,VMoによって電流検出用抵抗15の両端に生じる電位差ΔVを演算し、電流検出用抵抗15に流れる電流Irfを演算することができる。
【0082】
また、一般的に高電圧発生器14の出力側には出力電圧を検出する電圧センサが設けられるが、全帰路電流ITは、この電圧センサを流れる漏洩電流を含む。このため、塗装機1が被塗物Aに近付いても、漏洩電流に比べて被塗物電流IXの変化量が少ないため、全帰路電流ITでは、被塗物電流IXの増加を検出するのが難しい傾向がある。
【0083】
これに対し、第1の実施の形態では、数1の式に示すように、電流検出用抵抗15に流れる電流Irfから出力側分圧回路26に流れる電流Iroを減算することによって、塗装機電流IBを演算する。この結果、塗装機電流IBが遮断しきい電流値IB0を超えたか否かを判定することによって、出力側分圧回路26に流れる電流Iroの影響を受けることなく、被塗物電流IXの増加を検出することができる。
【0084】
また、高電圧発生器14を含む高電圧印加経路内に流れる全帰路電流ITを検出する電流センサ27を備えるから、高電圧制御装置22は、電流センサ27による全帰路電流ITが所定の遮断しきい電流値IT0を超えたか否かを判別することによって、塗装機1の絶縁性が損なわれたか否かを判別することができる。これに加え、全帰路電流ITは高電圧発生器14の内部で生じる漏洩電流を含むから、全帰路電流ITに基づいて、高電圧発生器14の内部で生じる漏洩電流が増加したか否かを判別することができる。これにより、高電圧制御装置22は、全帰路電流ITを用いて塗装機1が被塗物Aに異常接近して塗装機の絶縁性が損なわれたことを判別することができるのに加え、高電圧発生器14の絶縁劣化も判別することができる。
【0085】
次に、
図5および
図6は第2の実施の形態による高電圧発生制御処理を示している。第2の実施の形態では、高電圧制御装置が備える塗装機電流異常処理器は、塗装機電流の絶対値が所定の遮断しきい電流値を超えたとき、または塗装機電流の変化量が所定の遮断しきい変化量を超えたときに、電源電圧制御装置に対して電源電圧の供給を遮断する遮断信号を出力する。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0086】
ここで、遮断しきい電流値IB0,IT0は、第1の実施の形態と同様に設定され、高電圧制御装置22のメモリ等(図示せず)に予め格納されているものである。
【0087】
スロープ検出に用いる所定の時間毎(例えば170ms毎)の塗装機電流IB′は、高電圧制御装置22のメモリ(図示せず)に格納されているものとする。遮断しきい変化量ΔIB0は、回転霧化頭5が被塗物に異常接近するときの塗装機電流の変化量ΔIBである。この遮断しきい変化量ΔIB0は、4〜40μA程度の値(例えば15μA程度)に設定され、高電圧制御装置22のメモリに格納されている。
【0088】
ステップ11では、予めメモリに格納しておいた絶対値検出用の遮断しきい電流値IB0,IT0、遮断しきい変化量ΔIB0を読込む。続くステップ12では、入力側分圧回路25によって検出した電圧検出値VMiと、出力側分圧回路26によって検出した電圧検出値VMoとを読込む。ステップ13では、電流センサ27によって検出した全帰路電流ITの電流値を読込む。
【0089】
次に、ステップ14では、第1の実施の形態によるステップ4と同様の処理を行う。即ち、ステップ14では、前述した数1の式に、電圧検出値VMi,VMo、分圧抵抗25A,25B,26A,26Bの抵抗値Rhi,Rdi,Rho,Rdoおよび電流検出用抵抗15の抵抗値Rfを代入して、塗装機電流IBを演算する。
【0090】
次に、ステップ15では、後述するスロープ検出処理を行い、予め決められた一定時間T1毎の塗装機電流の変化量ΔIBを演算し、ステップ16に移行する。
【0091】
ステップ16では、塗装機電流の変化量ΔIBが予め決められた遮断しきい変化量ΔIB0よりも大きい(ΔIB>ΔIB0)か否かを判定する。ステップ16で「YES」と判定したときには、例えば回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近する傾向があり、塗装機1と被塗物Aとの間に流れる電流が短時間で大きく増大していると考えられる。このため、ステップ17に移って塗装機電流の変化量ΔIBが過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ22に移行する。
【0092】
ステップ22では、トランジスタ制御回路21を駆動し、高電圧発生器14とAC/DC変換器18との間を遮断して高電圧の供給を停止する。続くステップ23では、塗装機1の駆動を停止させる処理を行い、処理を終了する。
【0093】
一方、ステップ16で「NO」と判定したときには、ステップ18に移行する。ステップ18では、塗装機電流IBの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IB0よりも大きい(|IB|>IB0)か否かを判定する。ステップ18で「YES」と判定したときには、ステップ19に移って塗装機電流IBの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ22に移行する。
【0094】
一方、ステップ18で「NO」と判定したときには、ステップ20に移行する。ステップ20では、高電圧発生器14を含む高電圧印加経路内に流れる全帰路電流ITの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IT0よりも大きい(|IT|>IT0)か否かを判定する。そして、ステップ20で「YES」と判定したときには、ステップ21に移って全帰路電流ITの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ22に移行する。
【0095】
一方、ステップ20で「NO」と判定したときには、ステップ16,18,20のいずれでも「NO」と判定されたから、塗装機電流の変化量ΔIBは遮断しきい変化量ΔIB0以下であると共に、塗装機電流IBの絶対値と全帰路電流ITの絶対値はいずれも遮断しきい電流値IB0,IT0以下である。このため、塗装機電流の変化量ΔIB、塗装機電流IBの絶対値、全帰路電流ITの絶対値は、いずれも塗装が継続可能な程度に小さいものと考えられるから、ステップ12以降の処理を繰返す。
【0096】
次に、ステップ15のスロープ検出処理について、
図6を参照しつつ説明する。ステップ31では、電流の時間変化を検出するために予め設定された時間T1として例えば170ms程度の設定時間T1を経過したか否かを判定する。ステップ31で「NO」と判定したときには、ステップ34に移ってそのままリターンする。なお、設定時間T1は、170msに限らず、塗装条件等に応じて適宜設定されるものである。
【0097】
一方、ステップ31で「YES」と判定したときには、ステップ32に移って今回の塗装機電流IBと前回(170ms前)の塗装機電流IB′との差を以下の数6の式に基づいて演算し、この差をスロープ検出用の塗装機電流の変化量ΔIBとして算出する。その後、ステップ33に移って、メモリ内に格納された前回の塗装機電流IB′を今回の塗装機電流IBに更新(IB′=IB)し、ステップ34に移ってリターンする。これにより、設定時間T1毎の塗装機電流の変化量ΔIBを演算するものである。なお、塗装機電流IB,IB′は通常は同じ極性になる。このため、塗装機電流の変化量ΔIBとして塗装機電流IBの絶対値の増加分を演算してもよい。
【0099】
かくして、第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。第2の実施の形態では、塗装機電流の変化量ΔIBが所定の遮断しきい変化量ΔIB0を超えたときに電源電圧制御装置17に対して電源電圧Vdcの供給を遮断する遮断信号を出力する構成とした。このため、塗装機電流の変化量ΔIBを用いて塗装機1が被塗物Aに異常接近したか否かを判別することができ、異常接近したときには高電圧発生器14に対する電源電圧Vdcの供給を遮断することができる。
【0100】
さらに、従来技術のように全帰路電流の変化量を用いて被塗物Aに異常接近したか否かを判別する場合には、次の問題がある。即ち、塗装機1が被塗物Aに接近して被塗物電流IXが変化しても、被塗物電流IXの変化が高電圧発生器14内で発生する漏洩電流、または高電圧発生器14の出力電圧を測定する回路を流れる漏洩電流に基づいて緩和され、精度が低下し易いという問題がある。
【0101】
これに対し、第2の実施の形態では、このような漏洩電流を除いた塗装機電流の変化量ΔIBを用いて塗装機1が被塗物Aに異常接近したか否かを判別するから、被塗物Aの接近状況を高い精度で把握することができる。このため、不必要な塗装の中断を回避することができ、塗装の生産性を高めることができる。
【0102】
次に、
図7ないし
図9は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態では、塗装装置は、塗装機で生じる漏洩電流を検出する漏洩電流検出器をさらに備えると共に、高電圧制御装置は、被塗物電流演算器、被塗物電流異常処理器、絶縁低下警報処理器を備える。なお、第3の実施の形態では、高電圧制御装置は、塗装機電流異常処理器に代えて、被塗物電流異常処理器を備える。この被塗物電流異常処理器は電源遮断装置を構成する。また、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0103】
漏洩電流検出器31は、被塗物Aを通らずに流れる漏洩電流を検出する。この漏洩電流検出器31は、後述する電流センサ32〜36によって構成され、その出力側が高電圧制御装置22に接続されている。
【0104】
電流センサ32は、外面電流検出器を構成している。この電流センサ32は、例えばカバー2の表面に設けられた導電性金属材料等からなる環状の導体端子32Aに接続されている。電流センサ32は、導体端子32Aを通じて塗装機1の外面(カバー2の表面)を流れる漏洩電流ILaを検出し、検出した漏洩電流ILaの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力する。
【0105】
電流センサ33は、駆動エア通路電流検出器を構成している。この電流センサ33は、例えば駆動エア通路4の途中に設けられた導電性金属材料等からなる環状の導体端子33Aに接続されている。電流センサ33は、導体端子33Aを通じて塗装機1内の駆動エア通路4を流れる漏洩電流ILbを検出し、検出した漏洩電流ILbの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力する。
【0106】
電流センサ34は、シェーピングエア通路電流検出器を構成している。この電流センサ34は、例えばシェーピングエア通路7の途中に設けられた導電性金属材料等からなる環状の導体端子34Aに接続されている。電流センサ34は、導体端子34Aを通じて塗装機1内のシェーピングエア通路7を流れる漏洩電流ILcを検出し、検出した漏洩電流ILcの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力する。
【0107】
電流センサ35は、供給弁駆動エア通路電流検出器を構成している。この電流センサ35は、例えば供給弁駆動エア通路12の途中に設けられた導電性金属材料等からなる環状の導体端子35Aに接続されている。電流センサ35は、導体端子35Aを通じて塗装機1内の供給弁駆動エア通路12を流れる漏洩電流ILdを検出し、検出した漏洩電流ILdの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力する。
【0108】
電流センサ36は、塗料通路電流検出器を構成している。この電流センサ36は、例えば塗料供給弁11よりも上流側(塗料供給源10側)に位置して塗料通路9の途中に設けられた導電性金属材料等からなる環状の導体端子36Aに接続されている。電流センサ36は、導体端子36Aを通じて塗装機1内の塗料通路9を流れる漏洩電流ILeを検出し、検出した漏洩電流ILeの電流値を高電圧制御装置22に向けて出力する。
【0109】
次に、第3の実施の形態による高電圧発生制御処理について
図8および
図9を参照しつつ説明する。
【0110】
なお、遮断しきい電流値IX0,IT0,ILa0〜ILe0、警報しきい電流値ILa1〜ILe1は、高電圧制御装置22のメモリ等(図示せず)に予め格納されている。
【0111】
ここで、遮断しきい電流値IX0は、回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近して絶縁性が損なわれた状態で塗装機1と被塗物Aとの間に流れる被塗物電流値である。この遮断しきい電流値IX0は、例えば80μA程度に設定されている。
【0112】
遮断しきい電流値ILa0は、カバー2の絶縁性が損なわれた状態でカバー2の外面を流れる電流値である。この遮断しきい電流値ILa0は、例えば60μA程度に設定されている。
【0113】
遮断しきい電流値ILb0〜ILd0は、各エア通路4,7,12の絶縁性が損なわれた状態で各エア通路4,7,12内に流れる電流値である。これらの遮断しきい電流値ILb0〜ILd0は、例えば10μA程度に設定されている。
【0114】
遮断しきい電流値ILe0は、塗料通路9の絶縁性が損なわれた状態で塗料通路9内に流れる電流値である。この遮断しきい電流値ILe0は、例えば15μA程度に設定されている。
【0115】
また、警報しきい電流値ILa1は、カバー2の絶縁性が低下した初期段階の状態でカバー2の外面を流れる電流値である。この警報しきい電流値ILa1は、遮断しきい電流値ILa0よりも小さい値として例えば40μA程度に設定されている。
【0116】
警報しきい電流値ILb1〜ILd1は、各エア通路4,7,12の絶縁性が低下した初期段階の状態で各エア通路4,7,12内に流れる電流値である。これらの警報しきい電流値ILb1〜ILd1は、遮断しきい電流値ILb0〜ILd0よりも小さい値として例えば6μA程度に設定されている。
【0117】
警報しきい電流値ILe1は、塗料通路9の絶縁性が低下した初期段階の状態で塗料通路9内に流れる電流値である。この警報しきい電流値ILe1は、遮断しきい電流値ILe0よりも小さい値として例えば10μA程度に設定されている。このように、警報しきい電流値ILa1〜ILe1は、例えば遮断しきい電流値ILa1〜ILe1の60%〜80%程度の値に設定されている。
【0118】
図8において、ステップ41では、予めメモリに格納しておいた絶対値検出用の遮断しきい電流値IX0,IT0,ILa0〜ILe0を読込む。ステップ42では、予めメモリに格納しておいた絶対値検出用の警報しきい電流値ILa1〜ILe1を読込む。続くステップ43では、入力側分圧回路25によって検出した電圧検出値VMiと、出力側分圧回路26によって検出した電圧検出値VMoとを読込み、ステップ44では、電流センサ27,32〜36によって検出した全帰路電流ITと漏洩電流ILa〜ILeを読込む。
【0119】
次に、ステップ45では、第1の実施の形態によるステップ4と同様の処理を行う。即ち、ステップ45では、前述した数1の式に、電圧検出値VMi,VMo、分圧抵抗25A,25B,26A,26Bの抵抗値Rhi,Rdi,Rho,Rdoおよび電流検出用抵抗15の抵抗値Rfを代入して、塗装機電流IBを演算する。
【0120】
次に、ステップ46では、以下の数7の式に基づいて、塗装機1と被塗物Aとの間に流れている被塗物電流IXを演算する。具体的には、塗装機電流IBから漏洩電流ILa〜ILeを減算して、被塗物電流IXを演算する。
【0122】
次に、ステップ47では、ステップ46で算出した被塗物電流IXの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IX0よりも大きい(|IX|>IX0)か否かを判定する。ステップ47で「YES」と判定したときには、例えば回転霧化頭5が被塗物Aに異常接近して絶縁性が損なわれた状態となり、塗装機1と被塗物Aとの間に流れる電流が絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ48に移って被塗物電流IXの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ59に移行する。
【0123】
ステップ59では、トランジスタ制御回路21を駆動し、高電圧発生器14とAC/DC変換器18との間を遮断して高電圧の供給を停止する。続くステップ60では、塗装機1の駆動を停止させる処理を行い、処理を終了する。
【0124】
一方、ステップ47で「NO」と判定したときには、ステップ49に移行する。ステップ49では、カバー2等の表面を流れる漏洩電流ILaの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値ILa0よりも大きい(|ILa|>ILa0)か否かを判定する。ステップ49で「YES」と判定したときには、例えばカバー2等に付着した吸着物によって沿面放電が生じて絶縁性が損なわれた状態となり、カバー2の表面を流れる電流が絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ50に移って、カバー2の表面で検出した漏洩電流ILaの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ59に移行する。
【0125】
一方、ステップ49で「NO」と判定したときには、ステップ51に移行する。ステップ51では、エア通路4,7,12内を流れる漏洩電流ILb〜ILdの絶対値と塗料通路9内を流れる漏洩電流ILeの絶対値がそれぞれ予め決められた遮断しきい電流値ILb0〜ILe0よりも大きい(|ILb|>ILb0,|ILc|>ILc0,|ILd|>ILd0,|ILe|>ILe0)か否かを判定する。ステップ51で「YES」と判定したときには、例えばエア通路4,7,12内に付着した水分、塵埃等によって沿面放電が生じて絶縁性が失われた状態、または塗料通路9内に付着した顔料等によって沿面放電が生じて絶縁性が損なわれた状態となり、いずれかの電流が絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ52に移って、漏洩電流ILb〜ILeのうち過大となった漏洩電流ILb〜ILeの通路を特定する異常停止表示を行う。その後、ステップ59に移行する。
【0126】
一方、ステップ51で「NO」と判定したときには、ステップ53に移行する。ステップ53では、高電圧発生器14を含む高電圧印加経路内に流れる全帰路電流ITの絶対値が予め決められた遮断しきい電流値IT0よりも大きい(|IT|>IT0)か否かを判定する。ステップ53で「YES」と判定したときには、全帰路電流ITが絶縁破壊を生じ得る程度に増大していると考えられる。このため、ステップ54に移って、全帰路電流ITの絶対値が過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ59に移行する。
【0127】
一方、ステップ53で「NO」と判定したときには、ステップ47,49,51,53のいずれでも「NO」と判定されたから、電流ILa〜ILe,ITの絶対値、被塗物電流IXの絶対値はいずれも遮断しきい電流値ILa0〜ILe0,IT0,IX0以下となる。このため、電流ILa〜ILe,IT、被塗物電流IXは塗装が継続可能な程度に小さいものと考えられるから、ステップ55に移行する。
【0128】
次に、ステップ55では、カバー2等の表面を流れる漏洩電流ILaの絶対値が予め決められた警報しきい電流値ILa1よりも大きい(|ILa|>ILa1)か否かを判定する。ステップ55で「YES」と判定したときには、塗装の継続は可能であるものの、例えばカバー2に付着した吸着物によって沿面放電が生じ、絶縁性が低下していると考えられる。このため、ステップ56に移って、警報ブザー28、警報ランプ29に警報信号を出力する。これに加えて、例えば高電圧制御装置22のモニタ等(図示せず)に漏洩電流ILaが増大してカバー2の絶縁性が低下していることを表示する。これらの警報処理により、作業者に対してカバー2の表面の保守(点検、清掃等)を促す。その後、ステップ43以降の処理を繰返す。
【0129】
一方、ステップ55で「NO」と判定したときには、ステップ57に移行する。ステップ57では、エア通路4,7,12内を流れる漏洩電流ILb〜ILdの絶対値と塗料通路9内を流れる漏洩電流ILeの絶対値がそれぞれ予め決められた警報しきい電流値ILb1〜ILe1よりも大きい(|ILb|>ILb1,|ILc|>ILc1,|ILd|>ILd1,|ILe|>ILe1)か否かを判定する。
【0130】
ステップ57で「YES」と判定したときには、塗装の継続は可能であるものの、例えばエア通路4,7,12内に付着した水分、塵埃等によって沿面放電が生じて絶縁性が低下した状態、または塗料通路9内に付着した顔料等によって沿面放電が生じて絶縁性が低下した状態となっていると考えられる。このため、ステップ58に移って、警報ブザー28、警報ランプ29に警報信号を出力する。これに加えて、例えば高電圧制御装置22のモニタ等(図示せず)にエア通路4,7,12と塗料通路9のうち絶縁性が低下した通路を表示する。これらの警報処理により、作業者に対してエア通路4,7,12と塗料通路9のうち絶縁性が低下した通路を知らせると共に、その通路等の保守を促す。その後、ステップ43以降の処理を繰返す。
【0131】
一方、ステップ57で「NO」と判定したときには、いずれの漏洩電流ILa〜ILeも警報しきい電流値ILa1〜ILe1よりも小さく、通常の塗装状態に保たれていると考えられる。このため、そのままの状態を保持して、ステップ43に移行し、ステップ43以降の処理を繰返す。
【0132】
かくして、このように構成された第3の実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。第3の実施の形態では、被塗物Aを通らずに流れる漏洩電流を検出する漏洩電流検出器31を備えたから、塗装機電流IBから漏洩電流ILa〜ILeを減算し、塗装機1と被塗物Aとの間に流れる被塗物電流IXを演算することができる。このため、被塗物電流IXの絶対値が所定の遮断しきい電流値IX0を超えたか否かを判別することによって、塗装機1が被塗物Aに接近したか否かを判別することができる。この結果、被塗物Aを通らない漏洩電流が増加したときでも、塗装機1と被塗物Aとの間に流れる被塗物電流IXを正確に把握することができ、被塗物電流IXを用いて塗装機1が被塗物Aに異常接近して塗装機1の絶縁性が損なわれたことを、より正確に判別することができる。
【0133】
また、高電圧制御装置22は、漏洩電流検出器31による漏洩電流ILa〜ILeの絶対値が所定の遮断しきい電流値ILa0〜ILe0よりも小さい所定の警報しきい電流値ILa1〜ILe1を超えたか否かを判別することによって、絶縁破壊が生じ得る程度に塗装機の絶縁性が損なわれたか否かを判別することができる。これにより、高電圧制御装置22は、漏洩電流ILa〜ILeを用いて塗装機1と被塗物Aとの間以外の箇所(例えば塗装機1のカバー2の表面、塗料通路9の内面、エア通路4,7,12の内面等)における絶縁破壊の進行状況を把握することができる。このため、これら各箇所での沿面放電による損傷が進行する前に、例えば警報の発生等によって絶縁低下を報知し、作業者に対して塗装機1の保守(点検、清掃等)を促すことができ、塗装機1の損傷を防ぎ、信頼性、耐久性を高めることができる。
【0134】
次に、
図10および
図11は第4の実施の形態による高電圧発生制御処理を示している。第4の実施の形態では、高電圧制御装置が備える全帰路電流異常処理器は、全帰路電流の絶対値が所定の遮断しきい電流値を超えたとき、または全帰路電流の変化量が所定の遮断しきい変化量を超えたときに、電源電圧制御装置に対して電源電圧の供給を遮断する遮断信号を出力する。なお、第4の実施の形態では、第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0135】
ここで、遮断しきい電流値IB0,IT0は、第1の実施の形態と同様に設定され、高電圧制御装置22のメモリ等(図示せず)に予め格納されているものである。
【0136】
スロープ検出に用いる所定の時間毎(例えば170ms毎)の全帰路電流IT′および塗装機電流IB′は、高電圧制御装置22のメモリ(図示せず)に格納されているものとする。
【0137】
遮断しきい変化量ΔIT0は、回転霧化頭5が被塗物に異常接近するときの全帰路電流の変化量ΔITである。この遮断しきい変化量ΔIT0は、4〜40μA程度の値(例えば15μA程度)に設定され、高電圧制御装置22のメモリに格納されている。遮断しきい変化量ΔIB0は、回転霧化頭5が被塗物に異常接近するときの塗装機電流の変化量ΔIBである。この遮断しきい変化量ΔIB0は、4〜40μA程度の値(例えば15μA程度)に設定され、高電圧制御装置22のメモリに格納されている。遮断しきい変化量ΔIT0,ΔIB0は、互いに同じ値でもよく、異なる値でもよい。
【0138】
ステップ61では、予めメモリに格納しておいた絶対値検出用の遮断しきい電流値IB0,IT0、遮断しきい変化量ΔIB0,ΔIT0を読込む。その後、ステップ12で、電圧検出値VMiおよび電圧検出値VMoを読込み、ステップ13で、全帰路電流ITの電流値を読込む。続く、ステップ14では、電圧検出値VMi,VMo等に基づいて、塗装機電流IBを演算する。
【0139】
次に、ステップ62では、後述するスロープ検出処理を行い、予め決められた一定時間T1毎の塗装機電流の変化量ΔIBと全帰路電流の変化量ΔITとを演算し、ステップ16に移行する。
【0140】
ステップ16では、塗装機電流の変化量ΔIBが予め決められた遮断しきい変化量ΔIB0よりも大きい(ΔIB>ΔIB0)か否かを判定する。ステップ16で「YES」と判定したときには、ステップ17に移って塗装機電流の変化量ΔIBが過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ22,23の処理を行う。
【0141】
一方、ステップ16で「NO」と判定したときには、ステップ63に移行する。ステップ63では、全帰路電流の変化量ΔITが予め決められた遮断しきい変化量ΔIT0よりも大きい(ΔIT>ΔIT0)か否かを判定する。ステップ63で「YES」と判定したときには、ステップ64に移って全帰路電流の変化量ΔITが過大であることを示す異常停止表示を行う。その後、ステップ22,23の処理を行う。
【0142】
一方、ステップ63で「NO」と判定したときには、ステップ18に移行する。ステップ18〜23の処理は、第2の実施の形態と同様である。
【0143】
次に、ステップ62のスロープ検出処理について、
図11を参照しつつ説明する。ステップ71では、電流の時間変化を検出するために予め設定された時間T1として例えば170ms程度の設定時間T1を経過したか否かを判定する。ステップ71で「NO」と判定したときには、ステップ76に移ってそのままリターンする。なお、設定時間T1は、170msに限らず、塗装条件等に応じて適宜設定されるものである。
【0144】
一方、ステップ71で「YES」と判定したときには、ステップ72に移って今回の塗装機電流IBと前回(170ms前)の塗装機電流IB′との差を前述の数6の式に基づいて演算し、この差をスロープ検出用の塗装機電流の変化量ΔIBとして算出する。その後、ステップ73に移って、メモリ内に格納された前回の塗装機電流IB′を今回の塗装機電流IBに更新(IB′=IB)する。
【0145】
続くステップ74では、今回の全帰路電流ITと前回(170ms前)の全帰路電流IT′との差を以下の数8の式に基づいて演算し、この差をスロープ検出用の全帰路電流の変化量ΔITとして算出する。その後、ステップ75に移って、メモリ内に格納された前回の全帰路電流IT′を今回の全帰路電流ITに更新(IT′=IT)し、ステップ76に移ってリターンする。これにより、設定時間T1毎の塗装機電流の変化量ΔIBと全帰路電流の変化量ΔITを演算するものである。なお、全帰路電流IT,IT′は通常は同じ極性になる。このため、全帰路電流の変化量ΔITとして全帰路電流ITの絶対値の増加分を演算してもよい。
【0147】
かくして、第4の実施の形態でも第1,第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。第4の実施の形態では、全帰路電流ITの絶対値が所定の遮断しきい電流値IT0を超えたとき、または全帰路電流の変化量ΔITが所定の遮断しきい変化量ΔIT0を超えたときに、電源電圧制御装置17に対して電源電圧Vdcの供給を遮断する遮断信号を出力する構成とした。このため、全帰路電流ITの絶対値に限らず、塗装機電流の変化量ΔITを用いて塗装機1の絶縁性が損なわれたか否かを判別することができる。
【0148】
なお、第4の実施の形態は、第2の実施の形態に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1または第3の実施の形態に適用してもよい。
【0149】
第1ないし第4の実施の形態では、ステップ5〜10,16〜23,47〜54,59,60,63,64は電源遮断装置の具体例、ステップ4,14,45は塗装機電流演算器の具体例、ステップ5,6,9,10,16〜19,22,23は塗装機電流異常処理器の具体例、ステップ7〜10,20〜23,53,54,59,60,63,64は全帰路電流異常処理器の具体例、ステップ46は被塗物電流演算器の具体例、ステップ47,48,59,60は被塗物電流異常処理器の具体例、ステップ55〜58は絶縁低下警報処理器の具体例をそれぞれ示している。
【0150】
遮断しきい電流値IB0,IT0,IX0,ILa0〜ILe0、遮断しきい変化量ΔIB0,ΔIT0、警報しきい電流値ILa1〜ILe1等は、前記各実施の形態に例示した値に限らず、塗装機の種類、塗装条件等に応じて適宜設定されるものである。
【0151】
前記第2および第4の実施の形態では、塗装機電流の変化量ΔIBおよび全帰路電流の変化量ΔITは、電圧の供給を遮断する遮断処理に用いるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば塗装機電流の変化量または全帰路電流の変化量を用いて警報を発生させる警報処理に用いる構成としてもよい。
【0152】
第3の実施の形態では、被塗物電流IXが遮断しきい電流値IX0を超えたか否かによって、塗装機1が被塗物Aに接近したか否かを判別する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の実施の形態によるスロープ検出処理と同様な処理によって、被塗物電流IXの変化量ΔIXを演算し、変化量ΔIXが所定の遮断しきい変化量ΔIX0を超えたか否かによって、塗装機1が被塗物Aに接近したか否かを判別する構成としてもよい。また、第3の実施の形態に、第2の実施の形態による塗装機電流の変化量ΔIBに基づく判定処理を組み合わせる構成としてもよい。
【0153】
第3の実施の形態では、電流センサ33〜35によってエア通路4,7,12に流れる漏洩電流をそれぞれ別個に検出するものとしたが、例えば単一の全エア通路電流によってエア通路4,7,12に流れる漏洩電流を合計して一緒に検出する構成としてもよい。
【0154】
第1ないし第4の実施の形態では、回転霧化頭5を金属材料または導電性の樹脂材料によって形成し、回転霧化頭5を介して直接的に塗料を高電圧に帯電させる直接帯電式の回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転霧化頭型塗装装置のカバーの外周側に外部電極を設け、この外部電極によって回転霧化頭から噴霧された塗料を間接的に高電圧に帯電させる間接帯電式の回転霧化頭型塗装装置に適用してもよい。
【0155】
さらに、第1ないし第4の実施の形態では静電塗装装置として回転霧化頭5を用いて塗料を噴霧する回転霧化頭型塗装装置(回転霧化式静電塗装装置)に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気霧化式静電塗装装置、液圧霧化式静電塗装装置等の回転霧化以外の霧化方式を用いた静電塗装装置に適用してもよい。