(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5771722
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】模型
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
A63H3/46 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-94866(P2014-94866)
(22)【出願日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】脇田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】松岡 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳
【審査官】
松下 公一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−157783(JP,A)
【文献】
実公平06−047505(JP,Y2)
【文献】
特開平05−208077(JP,A)
【文献】
特開2004−222935(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/035910(WO,A1)
【文献】
米国特許第06287166(US,B1)
【文献】
米国特許第06439952(US,B1)
【文献】
マジンガーZ エクストラヘビーバージョン 説明書,日本,バンダイ,2001年10月,p.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/00− A63H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分及び第2部分と、前記第1部分に対し前記第2部分を回動可能に連結する関節部と備え、
前記関節部は、一端が自由端とされた回動軸部を有し、
前記第2部分は、前記回動軸部の外周を回動可能に包持する包持部が設けられたインナー部材と、前記インナー部材が挿入されるアウター部材とを有し、
前記アウター部材は、該アウター部材に挿入された前記インナー部材の前記包持部に包持されている前記回動軸部の軸方向に該回動軸部を挟み込む一対の障壁部を有し、
前記第2部分は、前記アウター部材の外側を覆う外装部材をさらに有し、
前記インナー部材及び前記外装部材は、前記アウター部材を貫通して互いに係合する模型。
【請求項2】
請求項1記載の模型であって、
前記インナー部材には係合凸部が設けられ、前記アウター部材には前記係合凸部を露出させる切り欠き部が設けられており、
前記切り欠き部は、前記インナー部材の前記アウター部材からの抜去方向に前記係合凸部と対向する側面を有し、
前記外装部材は、前記係合凸部と前記切り欠き部の前記側面との間に介在する係止片を有する模型。
【請求項3】
請求項1記載の模型であって、
前記インナー部材及び前記アウター部材には、前記インナー部材が前記アウター部材に挿入された状態で連通する孔が設けられており、
前記外装部材は、前記インナー部材及び前記アウター部材の各々の前記孔に挿通される係合凸部を有する模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型に関する。
【背景技術】
【0002】
第1部分及び第2部分と、第1部分に対し第2部分を回動可能に連結する関節部と備えた模型が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7に示す特許文献1に記載された人形の模型において、例えば膝関節を例に、下脚部16は、上脚部15に対して回動可能に、膝関節部材5を介して上脚部15に連結されている。
【0004】
上脚部15は二分割されており、一方の分割体の内面に設けられたピン(不図示)と、他方の分割体の内面に設けられたボス25bとが嵌合されて組み立てられる。下脚部16もまた上脚部15同様に二分割されており、一方の分割体の内面に設けられたピン(不図示)と、他方の分割体の内面に設けられたボス26aとが嵌合されて組み立てられる。そして、膝関節部材5には、ボス25bが挿通される孔51a、及びボス26aが挿通される孔52aが設けられている。
【0005】
ボス25bが膝関節部材5の孔51aに、ボス26aが膝関節部材5の孔52aにそれぞれ挿通され、上脚部15及び下脚部16がそれぞれ組み立てられることにより、下脚部16は、上脚部15に対して回動可能に、膝関節部材5を介して上脚部15に連結される。下脚部16の回動軸となるボス26aは、下脚部16を構成する二つの分割体によって両端を支持され、膝関節部材5は、これら二つの分割体によって挟まれてボス26aから抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−47505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された模型において、膝関節部材5は、下脚部16を構成する二つの分割体によって挟まれてボス26aから抜け止めされており、下脚部16を構成する二つの分割体の接合には強度が要求される。下脚部16を構成する二つの分割体は、一方の分割体に設けられたボス26aと他方の分割体に設けられたピンとの嵌合によって接合されており、二つの分割体の接合強度を高めるとなると、ボス26a及びピンに相応の大きさが必要となる。そのため、関節の小型化が困難となる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、模型の関節の耐久性を維持し且つ小型化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る模型は、第1部分及び第2部分と、前記第1部分に対し前記第2部分を回動可能に連結する関節部と備え、前記関節部は、一端が自由端とされた回動軸部を有し、前記第2部分は、前記回動軸部の外周を回動可能に包持する包持部が設けられたインナー部材と、前記インナー部材が挿入されるアウター部材とを有し、前記アウター部材は、該アウター部材に挿入された前記インナー部材の前記包持部に包持されている前記回動軸部の軸方向に該回動軸部を挟み込む一対の障壁部を有
し、前記第2部分は、前記アウター部材の外側を覆う外装部材をさらに有し、前記インナー部材及び前記外装部材は、前記アウター部材を貫通して互いに係合する。
【0011】
また、本発明に係る模型においては、前記インナー部材には係合凸部が設けられ、前記アウター部材には前記係合凸部を露出させる切り欠き部が設けられており、前記切り欠き部は、前記インナー部材の前記アウター部材からの抜去方向に前記係合凸部と対向する側面を有し、前記外装部材は、前記係合凸部と前記切り欠き部の前記側面との間に介在する係止片を有してもよい。
【0012】
また、本発明に係る模型においては、前記インナー部材及び前記アウター部材には、前記インナー部材が前記アウター部材に挿入された状態で連通する孔が設けられており、前記外装部材は、前記インナー部材及び前記アウター部材の各々の前記孔に挿通される係合凸部を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、模型の関節の耐久性を維持し且つ小型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、模型の一例の外観を示す正面図である。
【
図2】
図1の模型の腕部の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1の模型の腕部の構成を示す分解図である。
【
図4】
図1の模型の腕部の構成を示す背面図である。
【
図5】
図1の模型の腕部の構成を示す側面図である。
【
図6】
図1の模型の腕部の変形例の構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、模型の一例の外観を示す。
【0016】
図1に示す模型101は、全体として人形を呈し、頭部102、胴部103、腰部104、左右一対の腕部105、左右一対の脚部106を備えている。頭部102は、首関節部120を介して胴部103に連結されており、胴部103は、腹部関節部121を介して腰部104に連結されている。腕部105は、肩関節部122を介して胴部103に連結され、脚部106は、股関節部123を介して腰部104に連結されている。
【0017】
腕部105は、上腕部110、下腕部111、手部112を有している。上腕部110は、肩関節部122に接続されている。下腕部111は、肘関節部124を介して上腕部110に連結されている。手部112は、下腕部111に連結されている。肘関節部124を介して上腕部110に連結された下腕部111は、回転1自由度を有し、上腕部110に対して屈伸可能に構成されている。
【0018】
脚部106は、大腿部113、脛部114、足部115を有している。大腿部113は、股関節部123に接続されている。脛部114は、膝関節部125を介して大腿部113に連結されている。足部115は、足首関節部126を介して脛部114に連結されている。膝関節部125を介して大腿部113に連結された脛部114は、回転1自由度を有し、大腿部113に対して屈伸可能に構成されている。足首関節部126を介して脛部114に連結された足部115もまた、回転1自由度を有し、脛部114に対して屈伸可能に構成されている。
【0019】
以下、腕部105の肘関節を例に、本発明を詳細に説明する。
【0020】
図2は腕部105の外観を示す。また、
図3から
図5は腕部105の構成をそれぞれ示す。
【0021】
腕部105は、上記のとおり上腕部110(第1部分)及び下腕部111(第2部分)並びに手部112と、上腕部110に対し下腕部111を回動可能に連結する肘関節部124と備えている。
【0022】
肘関節部124は、基部130と、回動軸部131,132とを有している。回動軸部131,132は基部130に突出してそれぞれ設けられており、回動軸部131,132の各々の先端は自由端とされている。
【0023】
上腕部110は、上腕インナー部材133及び上腕アウター部材134で構成されている。上腕インナー部材133は、包持部140と、包持部140から延びて設けられた軸部141とを有している。包持部140は、肘関節部124の回動軸部131が挿通可能な略環状に形成されており、回動軸部131が挿通された包持部140は回動軸部131の外周を回動可能に包持する。
【0024】
上腕アウター部材134には、上腕インナー部材133の軸部141が挿入される収容孔142が設けられている。収容孔142の内周面には、収容孔142に挿入された軸部141を係止する係合部143が設けられており、軸部141の外周面には、係合部143によって係止される被係合部144が設けられている。図示の例では、係合部143は環状の凸部として形成され、被係合部144は、係合部143が嵌り込む環状の凹部として形成されている。被係合部144が係合部143によって係止されることにより、軸部141は収容孔142から抜け止めされる。
【0025】
なお、本例では、回動軸部131が包持部140に回動可能に包持され、肘関節部124は上腕部110に対して回動可能に構成されているが、肘関節部124の上腕部110に対する回動は必須ではく、肘関節部124は上腕部110と一体に形成されていてもよい。
【0026】
下腕部111は、下腕インナー部材135及び下腕アウター部材136と、下腕アウター部材136の外側を覆う外装部材137とで構成されている。
【0027】
下腕インナー部材135は、包持部150と、包持部150から延びて設けられた軸部151を有している。包持部150は、肘関節部124の回動軸部132が挿通可能な略環状に形成されており、回動軸部132が挿通された包持部150は回動軸部132の外周を回動可能に包持する。
【0028】
下腕アウター部材136には、下腕インナー部材135の軸部151が挿入される収容孔152が設けられている。軸部151の収容孔152からの抜け止めにおいて、上腕部110の軸部141及び収容孔142と同様に、互いに係合する係合及び被係合部を軸部151及び収容孔152に設けてもよいが、図示の例では、軸部151は、下腕アウター部材136を貫通して外装部材137と係合することによって収容孔152から抜け止めされる。
【0029】
軸部151には、外装部材137と係合する係合凸部154が設けられている。下腕アウター部材136の外周面には、収容孔152に達する切り欠き部155が設けられており、軸部151が収容孔152に挿入された状態で、係合凸部154は切り欠き部155を通して露出する。切り欠き部155には、軸部151の収容孔152からの抜去方向に係合凸部154と対向する側面156が設けられており、係合凸部154と側面156との間には隙間がおかれている。
【0030】
外装部材137は、一対の保持部157,158を有し、両保持部157,158によって下腕アウター部材136を挟持し、下腕アウター部材136に装着される。そして、一方の保持部157には、切り欠き部155に露出した係合凸部154に係合する係止片159が設けられている。
【0031】
図4に示すように、係止片159は、外装部材137が下腕アウター部材136に装着されるのに伴い、係合凸部154と切り欠き部155の側面156との間におかれた隙間に差し込まれる。軸部151の収容孔152からの抜去方向への移動に対し、係合凸部154が係合凸部154と切り欠き部155の側面156との間に介在する係止片159によって係止され、それにより軸部151は収容孔152から抜け止めされる。そして、このとき、係止片159が係合凸部154と切り欠き部155の側面156との間で挟持されるので、外装部材137は下腕アウター部材136に強固に固定される。それにより、下腕部111の回動操作において、下腕アウター部材136の下腕インナー部材135からの脱落を防止することに加え、外装部材137の下腕アウター部材136からの脱落を防止することができる。
【0032】
そして、
図5に示すように、下腕アウター部材136は、一対の障壁部160をさらに有している。一対の障壁部160は、軸部151が収容孔152に挿入された状態で、包持部150に包持されている肘関節部124の回動軸部132の軸方向に回動軸部132及び基部130を挟み込む。それにより、包持部150は回動軸部132から抜け止めされる。
【0033】
下腕アウター部材136は、一対の障壁部160を含めて一部材で構成されている。よって、一対の障壁部160の間隔を保ち、包持部150の抜け止めを維持するうえで、障壁部160をそれぞれ含むように下腕アウター部材136が二分割されて互いに接合される場合に比べて、下腕アウター部材136の強度が得られやすい。それにより、肘関節の耐久性を維持しつつ小型化が可能となる。
【0034】
なお、上述のとおり、肘関節部124の回動軸部131が上腕インナー部材133の包持部140によって回動可能に包持され、肘関節部124が上腕部110に対して回動可能に構成されている図示の例では、上腕アウター部材134もまた、一対の障壁部161を有しており、包持部140に包持されている回動軸部131の軸方向に回動軸部131及び基部130が一対の障壁部161によって挟み込まれることにより、包持部140は回動軸部131から抜け止めされる。
【0035】
図6は、腕部105の変形例の構成を示す。
【0036】
図6に示す例において、下腕アウター部材136には、収容孔152に達する貫通孔163が設けられている。また、下腕インナー部材135の軸部151には、軸部151が収容孔152に挿入された状態で、貫通孔163に連通する孔164が設けられている。そして、貫通孔163及び孔164に挿通される係合凸部162が外装部材137に設けられている。係合凸部162が貫通孔163を通して孔164に挿通され、軸部151は、下腕アウター部材136を貫通して外装部材137と係合し、収容孔152から抜け止めされる。
【0037】
図6に示した例においても、軸部151の収容孔152からの抜去方向への移動に対し、係合凸部162が貫通孔163の内周面と孔164の内周面とによってせん断方向に挟まれるので、外装部材137は下腕アウター部材136に強固に固定され、外装部材137の下腕アウター部材136からの脱落が防止される。
【0038】
なお、人形の模型101の肘関節を例に説明したが、上述した構成は、例えば膝関節や足首関節など肘関節と同様に回転1自由度を有する関節にも適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
101 模型
102 頭部
103 胴部
104 腰部
105 腕部
106 脚部
110 上腕部
111 下腕部
112 手部
113 大腿部
114 脛部
115 足部
120 首関節部
121 腹部関節部
122 肩関節部
123 股関節部
124 肘関節部
125 膝関節部
126 足首関節部
130 基部
131 回動軸部
132 回動軸部
133 上腕インナー部材
134 上腕アウター部材
135 下腕インナー部材
136 下腕アウター部材
137 外装部材
140 包持部
141 軸部
142 収容孔
143 係合部
144 被係合部
150 包持部
151 軸部
152 収容孔
154 係合凸部
155 切り欠き部
157 保持部
158 保持部
159 係止片
160 障壁部
161 障壁部
162 係合凸部
163 貫通孔
164 孔
【要約】
【課題】模型の関節の耐久性を維持し且つ小型化を可能とする。
【解決手段】模型101は、上腕部110及び下腕部111と、上腕部110に対し下腕部111を回動可能に連結する肘関節部124と備え、肘関節部124は、一端が自由端とされた回動軸部132を有し、下腕部111は、回動軸部132の外周を回動可能に包持する包持部150が設けられた下腕インナー部材135と、下腕インナー部材135が挿入される下腕アウター部材136とを有し、下腕アウター部材136は、下腕アウター部材136に挿入された下腕インナー部材135の包持部150に包持されている回動軸部132の軸方向に回動軸部132を挟み込む一対の障壁部160を有する。
【選択図】
図5