(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の可動ステージは、前記固定基台の上方において、該固定基台の左右方向で位置をずらして配置された前記一対のV溝台の各々と離間するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ融着接続器。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの融着接続を行う際には、光ファイバ融着接続装置を用い、一般に、下記のような作業手順で行われる。
(1)光ファイバケーブルから光ファイバ心線を取り出す。
(2)取り出された光ファイバ心線を覆う樹脂被覆(先端)を光ファイバ被覆除去工具によって除去する。
(3)先端の被覆が除去された光ファイバ心線のガラス(裸光ファイバ)表面に残る樹脂被覆屑をアルコールで湿らせた布や紙で除去する。
(4)清掃された光ファイバ心線を光ファイバ切断機によって切断する。
(5)切断された光ファイバ心線を光ファイバ融着接続装置によって融着接続する。
(6)融着接続された光ファイバ心線に熱収縮性の補強スリーブを被せ、融着接続装置の加熱器によって加熱補強する。
(7)加熱補強された光ファイバ心線を接続部収納ケースの収納トレイに収納する。
【0003】
上記(5)工程において用いられる光ファイバ融着接続器としては、例えば、一対の単心光ファイバを一対の電極棒間での放電加熱によって融着接続する装置(単心機)、あるいは、一対の多心光ファイバ(テープファイバ)の端部を一対の電極棒間の放電加熱によって一括融着接続する装置(多心機)が提供されている。
【0004】
従来、単心光ファイバ用に用いられる光ファイバ融着接続器としては、例えば、
図8に示すとともに、以下に説明するような機能、構成を有するものが広く用いられている。
(a)一対の光ファイバ(図示略)を1つあるいは2つの観察用照明で1方向あるいは2方向から照らし、1つあるいは2つの観察用レンズ109と、1つあるいは2つのカメラ(図示略)で、それぞれの方向から光ファイバを1軸あるいは2軸で観察する。
(b)被覆除去された一対の光ファイバのガラス部(心線)は、一対のV溝121,121上に配置されるとともに、一対の光ファイバを上方からV溝121,121に押しつけるための一対のファイバクランプ106A,106Bによって把持される。
(c)左右一対の光ファイバの被覆部分を把持するための、一対の光ファイバの長手方向に可動するファイバクランプ106A,106B、又は、容易に取り外し可能な図示略のファイバホルダが、左右にそれぞれ1つずつ配置される。
(d)風防カバー111が、一対の電極棒115A,115B、V溝121,121、ファイバクランプ106A,106B又は容易に取り外し可能な図示略のファイバホルダを覆い、外部からの風が電極周辺に到達しない構造とされている。
【0005】
図8に示すような従来の光ファイバ融着接続装置100を用いて、対をなす左右の光ファイバを融着接続する際には、接続部の伝送損失を小さくすることを目的として、これらの光ファイバの軸心を精密に一致させるように調心した後、光ファイバを前進させて融着している。この際、光ファイバの軸心を調心させる操作は、
図3に示すように、一対の光ファイバ90A,90Bの心線91,91の先端91a,91aを所定の端面間隔で対向させた後、光ファイバ90A,90BをX軸方向、Y軸方向に微小移動させることによって行うことができる。
【0006】
上述のような、光ファイバの調心に用いる機構としては、例えば、
図9及び
図10に示すような、弾性変形可能な弾性部材を有する弾性調心機構を備える融着接続器101が提案されている。
図9及び
図10に示す融着接続器101は、
図9中における固定基台104の右側から2枚の板状の弾性部材103Aが斜め上方に延びるように配置され、その先端が、V溝121が設けられたV溝台102Aに連結されている。また、上記同様に、
図9中の固定基台104の左側から2枚の弾性部材103Bが斜め上方に延びるように配置され、その先端が、V溝121が設けられたV溝台102Bに連結されている。また、上記の弾性部材103A,103Bは、固定基台104の長さ方向(
図8に示す光ファイバ融着接続装置100の前側から見て左右方向)の前後から、固定基台104の幅方向中央に向かうように傾斜して延びるように構成されている。これにより、
図9及び
図10に示す融着接続器101は、左右の調心構造が固定基台104を介して一体化された構造とされている。
【0007】
また、
図9及び
図10中に示す弾性部材103A,103Bは、それぞれ2枚が互いに平行とされ、弾性部材103Aと弾性部材103Bとが直交するように配置されている。このように、弾性部材103A,103Bは、それぞれ2枚が互いに平行であるため、弾性変形した際、先端に連結された一対のV溝台102A,102BのV溝121,121にガイドされた一対の光ファイバが、ほぼ平行に移動する。また、左右の弾性部材103A,103Bが直交するように配置されているので、
図3中に示すような、一対の光ファイバ90A,90BのX方向及びY方向の動きも直交する。
【0008】
そして、
図9及び
図10に示す融着接続器101においては、一対のマイクロメータ105A,105Bによって一対のV溝台102A,102Bをそれぞれ押圧することにより、一対の弾性部材103A,103Bを弾性変形させてV溝台102A,102Bに設けられたV溝121,121を微小移動させ、
図3に示す一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91bの調心を行う。また、
図9及び
図10に示す従来の融着接続器101においては、一対の弾性部材103A,103Bの固定基台104への連結部の間隔Bよりも、一対の弾性部材103A,103BとV溝台102A,102Bとの連結部の間隔Aが狭い構成とされている。ここで、
図10においては、上記の間隔A,Bに関し、それぞれ2枚の板状部材が平行に設けられた一対の弾性部材103A,103Bにおいて、これら2枚の板状部材の結合部の中間の位置の間隔を示している。
【0009】
ここで、一対の光ファイバの先端同士を融着接続するにあたり、この先端間を調心する構造として、特許文献1に記載のような融着接続器が提案されている。特許文献1に記載の弾性調心機構は、左右それぞれ1枚の弾性部材が直交する方向で配置されている。また、特許文献1においては、弾性部材のL字型固定基台への付け根部の間隔よりも、V溝台への付け根部の間隔が狭い構成とされている。
【0010】
また、一対の光ファイバの先端間を調心する構造として、特許文献2に記載のような融着接続器が提案されている。特許文献2に記載の弾性調心機構は、弾性部材の固定基台への連結部の間隔が、V溝台との連結部の間隔よりも大きく離れた構成とされている。
【0011】
さらに、一対の光ファイバの先端間を調心する構造として、特許文献3に記載のような融着接続器が提案されている。特許文献3に記載の弾性調心機構は、左右それぞれ1枚の弾性部材が直交する方向で配置されている。また、特許文献3においては、弾性部材の固定基台への連結部の間隔よりも、V溝台への連結部の間隔の方が狭い構成とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、
図9及び
図10に示すような従来の融着接続器101においては、例えば、マイクロメータ105Aによる押圧で弾性部材103Aを変形させる際に、一対の弾性部材103A,103Bの固定基台104への連結部の間隔Bが広いことから、樹脂成形品等からなる固定基台104の剛性が低いと、この固定基台104に歪みが生じ、弾性調心機構が故障するか、あるいは、調心精度が低下するおそれがある。また、特許文献1〜3に記載の弾性調心機構を備える融着接続器においても、上記同様、弾性部材と固定基台との連結部の間隔が大きいことから、固定基台の剛性が低い場合には同様の問題が生じる。
【0014】
また、
図9及び
図10に示す融着接続器101の場合、上述したように、一対の弾性部材103A,103Bの固定基台104への連結部の間隔Bが、一対の弾性部材103A,103Bと一対のV溝台102A,102Bとの連結部の間隔Aよりも大きいことから、固定基台104が大型化し、重量も増大するという問題がある。また、特許文献1〜3に記載の融着接続器においても、上記同様、弾性部材と固定基台との連結部の間隔が大きいことから、固定基台が大型化して重量も増大するという同様の問題がある。
【0015】
また、
図9及び
図10に示す融着接続器101は、この融着接続器101における前後に配置される観察用レンズ109(
図8参照)と、左右一対に配置されてファイバクランプ106A,106B(
図8参照)を前進駆動するための図示略のガイドを避けるため、一対のV溝台102A,102Bが上下に延びた構成とされ(
図9中に示す高さCを参照)、このV溝台102A,102Bから固定基台104に向けて弾性部材103A,103Bが延設されている。このため、従来の融着接続器においては、機構全体の高さ寸法が大きくなるという問題がある。また、特許文献3に記載の融着接続器においても、一方の弾性部材がV溝台の真下に配置されていることから、上記同様、機構全体の高さ寸法が大きくなるという問題がある。
【0016】
さらに、従来の融着接続器の構成では、光ファイバ同士の融着接続部の近傍に弾性部材103A,103BとV溝台102A,102Bとの連結部が配置されることから、一対のファイバクランプ106A,106B(
図8参照)や、これらファイバクランプ106A,106Bを前進駆動するための図示略の駆動ステージと、一対の弾性部材103A,103Bとが干渉する場合がある。このような干渉を回避するためには、V溝121,121を上方に配置し、弾性部材103A,103Aを装置下方に配置する必要がある。このため、一対の弾性部材103A,103Bを弾性変形させるためのマイクロメータ105A等の駆動機構が装置下方に配置されることから、装置上方から保守作業を行うのが難しいという問題があった。
【0017】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、弾性部材が連結される固定基台に歪みが生じるのを抑制しながら、V溝台や固定基台等の弾性調心機構全体を小型・軽量化することができ、且つ、保守作業も容易な光ファイバ融着接続器及びそれを用いた光ファイバ融着接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、一対の光ファイバの先端の各々を調心して互いに突き合わせ、該一対の光ファイバの心線同士を放電加熱によって融着接続する光ファイバ融着接続器であって、前記一対の光ファイバの先端の各々を位置決めしながら互いに突き合わせるためのV溝を有する左右一対のV溝台と、前記一対のV溝
台をそれぞれ支持する
一対の弾性部材であって、各弾性部材が弾性変形可能
で互いに平行な2枚の板状部材を有する一対の弾性部材と、前記一対の弾性部材の各々が取り付けられることで該一対の弾性部材を介して前記一対のV溝台が固定され、左右方向で長尺に形成された固定基台と、前記一対のV溝台を前後方向から押圧することで、前記一対の弾性部材を弾性変形させながら前記一対のV溝台を互いに微小移動させ、前記一対の光ファイバの先端同士を調心するための一対のマイクロメータと、を備えてなり、前記一対の弾性部材は、前記固定基台の固定基部から、前後方向にそれぞれ傾斜しながら上方に向けて延びるように設けられているとともに、前記固定基台の左右方向で位置をずらして配置されており、前記一対のV溝台は、各々に設けられた前記V溝が連通するように配置されており、さらに、前記固定基台の左右端部側から見た場合に、前記固定基部に固定された前記一対の弾性部材の一端部同士の間隔L1が、前記一対のV溝台が取り付けられる前記一対の弾性部材の他端部同士の間隔L2よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする光ファイバ融着接続器を提供する。
【0019】
第2の発明は、一対の光ファイバの先端の各々を調心して互いに突き合わせ、該一対の光ファイバの心線同士を放電加熱によって融着接続する光ファイバ融着接続器であって、前記一対の光ファイバの先端の各々を位置決めしながら互いに突き合わせるためのV溝を有する左右一対のV溝台と、前記一対のV溝
台をそれぞれ支持する
一対の弾性部材であって、各弾性部材が弾性変形可能
で互いに平行な2枚の板状部材を有する一対の弾性部材と、前記一対の弾性部材の各々が取り付けられることで該一対の弾性部材を介して前記一対のV溝台が固定され、左右方向で長尺に形成された固定基台と、前記一対のV溝台を前後方向から押圧することで、前記一対の弾性部材を弾性変形させながら前記一対のV溝台を互いに微小移動させ、前記一対の光ファイバの先端同士を調心するための一対のマイクロメータと、を備えてなり、前記固定基台は、左右方向で平行に配置された一対の固定基部が設けられており、前記一対の弾性部材は、前記固定基台に設けられた一対の固定基部から、互いに交差し、且つ、前後方向で傾斜しながら上方に向けて延びるように設けられているとともに、前記固定基台の左右方向で位置をずらして配置されており、前記一対のV溝台は、各々に設けられた前記V溝が連通するように配置されており、さらに、前記固定基台の左右端部側から見た場合に、前記一対の固定基部に固定された前記一対の弾性部材の一端部同士の間隔L1が、前記一対のV溝台が取り付けられる前記一対の弾性部材の他端部同士の間隔L2よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする光ファイバ融着接続器を提供する。
【0020】
第3の発明は、第1又は第2の発明の光ファイバ融着接続器において、前記一対の弾性部材が、各々が直交する方向で傾斜して前記固定基台に固定されていることを特徴とする光ファイバ融着接続器を提供する。
【0021】
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の光ファイバ融着接続器において、さらに、前記一対のV溝台、前記一対の弾性部材、前記固定基台及び前記マイクロメータの少なくとも一部を上方から覆うように設けられるトップベース部と、前記トップベース部に取り付けられ、左右方向で前記一対の光ファイバの先端を挟んで離間して配置されるとともに、前記一対の光ファイバを各々把持して左右方向で可動に設けられる一対のファイバクランプと、前記一対のファイバクランプの下方に設けられ、該一対のファイバクランプを左右方向で互いに近接又は離間させる一対の可動ステージと、前記トップベース部の
上方にお
ける前記一対の光ファイバの先端の両側に配置され、該先端に向けて観察光を照射する一対の観察用照明と、前記トップベース部の下方にお
ける前記一対の光ファイバの先端の両側に、前記一対の観察用照明と対向して配置されるように前記固定基台に取り付けられ、該観察用照明からの入射光により、突き合わされた前記一対の光ファイバの先端同士の調心状態を検出する一対の観察用レンズと、前記一対のファイバクランプの間で突き合わされた前記一対の光ファイバの先端の両側で対向するように離間して配置され、前記先端を放電加熱する一対の電極棒と、を備え、前記固定基台が前記トップベース部から下方に向けて突出するように設けられた取付用ボスに固定されてなることを特徴とする光ファイバ融着接続器を提供する。
【0022】
第5の発明は、第4の発明の光ファイバ融着接続器において、前記一対の可動ステージが、前記固定基台の上方において、該固定基台の左右方向で位置をずらして配置された前記一対のV溝台の各々と離間するように配置されていることを特徴とする光ファイバ融着接続器を提供する。
【0023】
第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明の光ファイバ融着接続器を備えることを特徴とする光ファイバ融着接続装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光ファイバ融着接続器によれば、固定基部における一対の弾性部材の一端部同士の間隔L1を短く構成することで、固定基台を小型化することが可能となるので、固定基台に歪みが生じるのを抑制することができる。これにより、光ファイバ融着接続器が破損したり、光ファイバの調心精度が低下したりするのを防止できるとともに、光ファイバ融着接続装置全体の小型・軽量化を図ることが可能となる。
【0025】
また、一対の弾性部材が、固定基台から前後方向にそれぞれ傾斜しながら上方に向けて延びるように固定されているとともに、左右方向で位置をずらして配置されており、一対の光ファイバの先端同士が突き合わされた融着接続部から離れた位置にV溝台と弾性部材との連結部が配置されることから、左右のファイバクランプや、このファイバクランプを前進駆動する可動ステージ等に干渉することが無い。これにより、V溝台の高さ方向の寸法を大きくする必要が無く、光ファイバ融着接続器の高さを低くすることが可能となる。従って、光ファイバ融着接続装置全体の小型軽量化が可能となる。
【0026】
また、一対の弾性部材が前後方向に傾斜しながら上方に向けて延びるように固定され、且つ、左右方向で位置をずらして配置されていることから、弾性部材を弾性変形させるためのマイクロメータ等の駆動機構を、融着接続部から前後に離れた上方に配置できるので、光ファイバ融着接続装置の上方から、これら駆動機構の保守作業を行うのが容易になり、メンテナンス性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る光ファイバ融着接続器及びそれが用いられる光ファイバ融着接続装置の好適な実施形態を挙げ、各構成について
図1〜
図7を適宜参照しながら詳述する(必要に応じて、
図8〜
図11の従来図も参照)。以下の説明においては、まず、光ファイバ融着接続装置全体の概要について説明した後、この光ファイバ融着接続装置に備えられる光ファイバ融着接続器(弾性調心機構)の詳細について説明する。
【0029】
<光ファイバの融着接続装置>
本発明に係る光ファイバ融着接続装置は、例えば、光ファイバの融着接続を行う光ファイバ融着接続器(以下、単に融着接続器と略称することがある)1と、融着接続後の光ファイバに被覆させた補強用のスリーブを加熱収縮させるための光ファイバ接続部補強加熱器(例えば、
図8の従来図中に示す符号110を参照)とを備える。また、本実施形態の光ファイバ融着接続装置は、上記の融着接続器1及び光ファイバ接続部補強加熱器に加え、作業者向けに種々の情報等を表示する表示器(例えば、
図8中に示す符号120を参照)、条件設定等に用いる操作部等を備える。さらに、光ファイバ融着接続装置は、略立方体状の本体部に、融着接続器1や光ファイバ接続部補強加熱器に加え、これらを総合的に駆動するための手段や制御部等の内蔵装置が配されて構成される。また、本体部の下部に複数の脚部を有する。上記の表示器には、液晶、有機EL、電光式等、各種の表示方式を採用可能である。
【0030】
また、光ファイバ融着接続装置は、本体部の前側に可動式のパネル部を備え、このパネル部上に表示器や操作部が配されている。このパネル部は、本体部の上部に設けられた水平方向の回動軸を介して本体部に連結されており、パネル部を移動して所定の角度範囲内で任意の向きに表示器を向けることが可能な構成とされている。また、作業者は、表示器が見やすい向きにパネル部を移動させることができる。
【0031】
なお、本発明に係る光ファイバ融着接続装置は、
図8に示す従来の光ファイバ融着接続装置100と同様、光ファイバ接続部補強加熱器が、光ファイバ融着接続装置において後ろ側の位置に配置され、融着接続器1が、光ファイバ接続部補強加熱装置よりも前側に配置される。ここで、本発明における前後左右とは、上記の光ファイバ融着接続装置を作業者が使用するにあたり、該作業者が対面する側(例えば、
図8の従来図中における左側)を前側とし、作業者から見て光ファイバ融着接続装置の後ろ側(例えば、
図8中における右側)を後ろ側とし、作業者の左右を左右とする。
【0032】
<光ファイバ(一対の光ファイバ)>
図3に示すように、本発明に係る光ファイバ融着接続装置に備えられる融着接続器1によって融着接続される一対の光ファイバ90(90A,90B)は、ガラスからなる心線91が、合成樹脂材料からなる樹脂被覆92によって覆われて一体化されたものである。また、融着接続される一対の光ファイバ90A,90Bは、融着接合される心線91の先端91aの近傍が、樹脂被覆92が予め除去されることで露出している。また、心線91は、
図3においては詳細な図示を省略しているが、中心部のコアと周辺部のクラッドとから構成されている。
【0033】
また、図示を省略するが、一対の光ファイバ90A,90Bは、先端91a同士が融着接合された後、スリーブによって当該接続部を覆い、上述した光ファイバ接続部補強加熱器によってスリーブを加熱収縮させることで、この接続部が補強される。
【0034】
<光ファイバ融着接続器(弾性調心機構)>
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の光ファイバ融着接続器について、
図1〜
図5を用いて詳しく説明する。なお、
図1〜
図5において示されていない構成については、必要に応じて、従来の光ファイバ融着接続装置の全体斜視図である
図8を適宜引用しながら説明することがある。また、本実施形態で参照する図面は、他の実施形態においても適宜、用いることがあり、例えば、各実施形態において構成の配置位置などが異なっている場合であっても、機能が同じものについては同一の符号を付して説明することがある。
また、以下の説明で参照する各図面は、本実施形態の光ファイバ融着接続装置に備えられる融着接続器を模式的に説明するものであることから、図中における左右方向あるいは上下方向の位置関係が、それぞれの図面間で異なる場合がある。
【0035】
本実施形態の光ファイバ融着接続装置に備えられる融着接続器1は、
図1及び
図2(
図3も参照)に示すように、一対の光ファイバ90(90A,90B)の先端91a,91aの各々を調心して互いに突き合わせ、心線91同士を放電加熱によって融着接続するものである。
この融着接続器1は、一対の光ファイバ90A,90Bの位置決めを行うためのV溝21を有する左右一対のV溝台2(2A,2B)と、一対のV溝台2A,2Bをそれぞれ支持する一対の弾性部材3(3A,3B)と、一対の弾性部材3A,3Bを介して一対のV溝台2A,2Bが固定される固定基台4と、一対のV溝台2A,2Bを前後方向から押圧することで一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91a同士を調心する一対のマイクロメータ5(5A,5B)と、を備えている。
【0036】
さらに、本実施形態の融着接続器1には、
図4(a),(b)及び
図5中に示すように、上記の弾性調心機構の少なくとも一部を上方から覆うトップベース部10と、一対の光ファイバを各々把持して左右方向で可動に設けられる一対のファイバクランプ6(
図4(b)中においては一方のファイバクランプ6Bのみ図示)と、これら一対のファイバクランプ6を左右方向で互いに近接又は離間させる一対の可動ステージ7(7A,7B)とが備えられている。
【0037】
また、融着接続器1には、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aに向けて観察光を照射する一対の観察用照明8(8A,8B)と、一対の観察用照明8A,8Bと対向して配置され、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90a同士の調心状態を検出する一対の観察用レンズ9(9A,9B)と、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの両側で対向するように配置された一対の電極棒15(15A,15B)とが備えられている。
【0038】
さらに、融着接続器1は、上記の弾性調心機構をなす固定基台4の一対の取付部42(42A,42B)が、トップベース部10から下方に向けて突出するように設けられた取付用ボス12に、ボルト13によって固定されている。
【0039】
また、融着接続器1には、一対の光ファイバ90A,90Bをセットする際に装置内部の開閉を行う蓋部11がトップベース部10上に備えられている。また、蓋部の内面側には、上記の一対の光ファイバ90A,90Bに対応するように、図示略のクランプ部材が設けられている。そして、上記の融着接続器1は、図示略の筐体の内部に収容される(例えば、
図8の従来図も参照)。
以下、本実施形態の融着接続器1に備えられる各構成部品について詳細に説明する。
【0040】
一対のV溝台2A,2Bは、上述したように、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aの各々を位置決めしながら互いに突き合わせるためのV溝21を有し、
図1の斜視図に示すように、左右一対で設けられている。これらV溝台2A,2Bは、詳細を後述する弾性部材3A,3Bが連結される基台部22と、この基台部22から延出するアーム部23とからなり、このアーム部23上にV溝21が設けられている。また、一対のV溝台2A,2Bは、各々に設けられるV溝21,21が連通するように配置されている。
【0041】
V溝21には、
図3に示すような一対の光ファイバ90A,90Bが収容・セットされる。このように、V字型に切り込まれた形状のV溝21に光ファイバ90A,90Bがセットされることで、一対の光ファイバ90A,90Bは、
図2中に矢印で示すX方向又はY方向に適宜移動可能な状態となる(
図3も参照)。
【0042】
一対の弾性部材3A,3Bは、上記構成とされた一対のV溝台2A,2Bをそれぞれ支持する、弾性変形可能な板状に形成された部材であり、
図1等に示す例においては、弾性部材3A,3Bのそれぞれが2枚平行に設けられた板状部材から構成されている。
【0043】
弾性部材3A,3Bの材料としては、従来から当該分野・部材に用いられている弾性材料を何ら制限されることなく用いることができ、例えば、銅、亜鉛及びニッケルから構成される合金材料であり洋白等を採用することが可能である。
【0044】
固定基台4は、上述したように、一対の弾性部材3A,3Bがそれぞれ取り付けられることで、この一対の弾性部材3A,3Bを介して一対のV溝台2A,2Bが固定されるものであり、本実施形態で説明する弾性調心機構をなす基台として機能する。
図1及び
図2等に示す固定基台4は、左右方向で長尺に形成され、左右の端部4a,4b側から見て、下面4cと上面4dとの間、及び、両側面4e,4fの間が略平行に形成され、さらに、両側面4e,4fから上面4dに向けて横幅方向で縮小するように傾斜面が形成されることで、断面略六角形状に形成されている。そして、上述の傾斜面は、一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3aが連結される固定基部41とされており、例えば、一対の弾性部材3A,3Bが一体成形等の方法によって連結される。また、上記構成により、一対の弾性部材3A,3Bの各々は、固定基台4を介して一体化された構造とされている。
【0045】
また、
図1に示すように、固定基台4の左右の端部4a,4bの各々には、固定基台4をトップベース部10に取り付けるための一対の取付部42(42A,42B)が、平板状で突出するように設けられている(
図4(a),(b)においては、説明の都合上、一対の取付部42A,42Bの図示を省略している)。これら一対の取付部42A,42Bには、それぞれ貫通孔43が形成されている。そして、
図5中に示すように、貫通孔43(
図1を参照)にボルト13を挿入し、このボルト13を取付用ボス12の先端面12aに形成された図示略のボルト取付穴に螺入することで、固定基台4がトップベース部10に懸架されるように取り付けることが可能な構成とされている。
【0046】
ここで、本実施形態の融着接続器1においては、固定基台4の固定基部41から、一対の弾性部材3A,3Bが、前後方向、即ち、一対の光ファイバ90A,90Bの長さ方向に直交するように、それぞれ傾斜しながら上方に向けて延びるように、2枚で平行に設けられている。これとともに、一対の弾性部材3A,3Bは、固定基台4の固定基部41に対して、固定基台4の左右方向で位置をずらして配置されており、一対の弾性部材3A,3Bの各々の間、及び、これに連結される一対のV溝台2A,2Bが干渉しないように配置されている。
【0047】
また、一対の弾性部材3A,3Bは、それぞれ、2枚の板状部材が平行に設けられた構成とすることで、この一対の弾性部材3A,3Bが弾性変形した際に、これに連結された一対のV溝台2A,2BのV溝21にガイドされた一対の光ファイバ90A,90Bが、ほぼ平行に移動する。また、
図1及び
図2に示すように、一対の弾性部材3A,3Bが、それぞれ、上方に向けて傾斜しながら直交した構成とすることで、
図3中に矢印で示した左右一対の光ファイバ90A,90BのX方向又はY方向の動きと直交した配置とされる。
【0048】
そして、融着接続器1は、固定基台4の左右の端部4a,4b側から見た場合に、固定基部41における一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a同士の間隔L1が、一対のV溝台2A,2Bが取り付けられる他端部3b,3b同士の間隔L2よりも狭くなるように構成されている。ここで、
図2に示す例においては、上記の間隔L1,L2に関し、2枚の板状部材からなる一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a及び他端部3b,3bにおいて、それぞれ、2枚の板状部材の結合部の中間の位置の間隔を示している。
【0049】
なお、上述のような、傾斜しながら上方に延びるように設けられる一対の弾性部材3A,3Bは、各々が直交する方向、即ち、90°の角度で交差する方向で傾斜して固定基台4の固定基部41に固定された構成とすることができる。
【0050】
一対のマイクロメータ5(5A,5B)は、一対のV溝台2A,2Bを前後方向、より詳細には、V溝台2A,2Bの基台部22の側壁22aを押圧することで、弾性部材3A,3Bを弾性変形させながら一対のV溝台2A,2Bを互いに微小移動させるものである。
【0051】
マイクロメータ5としては、従来から当該分野において光ファイバの調心用に用いられているものを何ら制限無く採用することができ。例えば、図示例のような、本体50内に備えられた図示略のモータにより、先端51が突出するか、あるいは、内部に収容されるように動作する。このような動作により、マイクロメータ5は、上述のように、V溝台2A,2Bの基台部22の側壁22aを押圧して微小移動させることで、V溝台2A,2BのV溝21に収容された光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aを適宜移動させ、これら先端91a,91a同士を調心する。
【0052】
ファイバクランプ6は、トップベース部10に対して可動に取り付けられ、上述したように、左右方向、即ち、一対の光ファイバ90A,90Bと平行な方向で、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aを挟んで離間して配置される。このファイバクランプ6は、一対の光ファイバ90A,90Bを各々把持して左右方向で可動に設けられ、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90a同士を融着接続する際に、それぞれ一対の光ファイバ90A,90Bを把持する。
【0053】
また、ファイバクランプ6は、一方の光ファイバ90Aを把持するファイバクランプ(図示略)と、他方の光ファイバ90Bを把持する把持するファイバクランプ6Bとかなる、左右一対のクランプ部材である。また、詳細な図示を省略するが、ファイバクランプ6は、例えば、ねじりコイルばねやダブルトーションばねなどの付勢部材により、開閉可能なクランプによって一対の光ファイバ90A,90Bを各々挟み込み、把持(クランプ)できる構成とされる。
【0054】
一対の可動ステージ7A,7Bは、一対のファイバクランプ6の下方に設けられ、この一対のファイバクランプ6を左右方向で互いに近接又は離間させるように駆動するものであり、例えば、図示略のモータや電磁石、ソレノイド等を駆動源とすることができる。そして、詳細な図示を省略するが、上述した一対のファイバクランプ6は、それぞれ、一対の可動ステージ7A,7Bに対して、例えば、ボルト等を用いて固定されている。
【0055】
上記の一対のファイバクランプ6は、一対の可動ステージ7A,7Bが一対のファイバクランプごと互いに近接又は離間するように移動することにより、一対のファイバクランプ6の間に配置された、一対のV溝台2A,2BのV溝21に対して、近接又は離間するように移動可能とされている。
【0056】
また、本実施形態の融着接続器1は、
図4(a),(b)に示すように、一対の可動ステージ7A,7Bが、固定基台4の上方において、この固定基台4の左右方向で位置をずらして配置された一対のV溝台2A,2Bの各々と離間するように配置されている。これにより、固定基台4の左右方向で、一対の可動ステージ7A,7Bと一対の可動ステージ7A,7Bが干渉することなくコンパクトに配置される。
【0057】
一対の観察用照明8A,8Bは、トップベース部10の下方において、一対のファイバクランプ6の間で突き合わされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの両側に配置され、この先端90a,90aに向けて観察光を照射する。このような観察用照明8A,8Bとしては、従来から当該分野で使用されている、LED等の発光素子からなるものを、何ら制限無く用いることができる。
【0058】
一対の観察用レンズ9A,9Bは、トップベース部10の下方において、一対のファイバクランプ6の間で突き合わされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの両側に、一対の観察用照明8A,8Bと対向して配置されている。この観察用レンズ9A,9Bは、観察用照明8A,8Bからの入射光により、突き合わされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90a同士の調心状態を検出するものである。また、詳細な図示を省略するが、一対の観察用レンズ9A,9Bは、それぞれ、固定基台4に対してねじ留め等の手段によって取り付けられている。
【0059】
そして、図示を省略するが、一対の観察用レンズ9A,9Bによって検出された一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90a同士の調心状態は、調心信号として図示略の制御部に入力される。この制御部は、一対の観察用レンズ9A,9Bからの調心信号を演算処理することにより、一対のマイクロメータ5A,5Bの各々に備えられる図示略のモータの回転を制御し、先端51の突出量を調整する。この際、一対のマイクロメータ5A,5Bの各々における先端51の突出量を適正に制御することにより、一対のV溝台2A,2Bの各々を、
図2中に矢印で示すX方向又はY方向で適正に微小移動させる(
図3も参照)。これにより、一対のV溝台V溝台2A,2Bの各々のV溝21にセットされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aが、高精度で調心される。
【0060】
一対の電極棒15A,15Bは、一対のファイバクランプ6の間で突き合わされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの両側で対向するように離間して配置され、先端90a,90aを放電加熱する電極部材である。これら電極棒15A,15Bは、それぞれ前後方向、即ち、一対の光ファイバ90A,90Bに直交する方向で対向するように、先端15a,15aが、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aから所定距離で離間して配置されている。また、一対の電極棒15A,15Bの先端15a,15aは先細り形状とされている。融着接続器1は、これら一対の電極棒15A,15Bによる放電加熱により、一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90a同士を加熱して融着する。
【0061】
トップベース部10は、上述したように、一対のV溝台2A,2B、一対の弾性部材3A,3B、固定基台4及びマイクロメータ5の少なくとも一部を上方から覆うように設けられ、例えば、樹脂材料等から平板状に形成された部材である。
図5に示す例のトップベース部10は、孔部10Aが開口することにより、一対のV溝台2A,2BのV溝21が上部から露出している。また、トップベース部10の上には蓋部11が備えられており、図示を省略するが、例えば、ヒンジ部材等によってトップベース部10に開閉可能に取り付けられている。
【0062】
また、トップベース部10には、固定基台4を固定するための取付用ボス12が、下方に向けて突出するように設けられている。この取付用ボス12は、下方に向かうに従って縮径する円錐台状に形成され、先端面12aに図示略のボルト取付穴が設けられている。そして、ボルト取付穴にボルト13を螺入することにより、このボルト13によって、固定基台4に備えられる一対の取付部42A,42Bが、取付用ボス12に固定される。これにより、固定基台4がトップベース部10に取り付けられる。
【0063】
本実施形態の融着接続器1は、上記各構成を備えることにより、弾性部材が連結される固定基台に歪みが生じるのを抑制しながら、V溝台や固定基台等の弾性調心機構全体を小型・軽量化することができ、且つ、保守作業も容易になるという非常に優れた効果が得られるものである。以下に、本実施形態の融着接続器1によって得られる作用効果について、従来の構成の融着接続器の場合と比較しながら説明する。
【0064】
まず、
図9及び
図10に示すような従来の構成の融着接続器(弾性調心機構)においては、一対の弾性部材103A,103Bの固定基台104への連結部の幅Bが広いことから、マイクロメータ105Aで弾性部材103Aを変形させた際、固定基台104に歪みが生じ、固定基台104が損傷するか、あるいは、調心精度が低下するおそれがあった。
これに対し、本実施形態の融着接続器1によれば、固定基台4における一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a同士の間隔L1を短く構成することで、固定基台4を小型化することができることから、固定基台4に歪みが生じるのを抑制できる。従って、光ファイバ融着接続器の破損や、一対の光ファイバ90A,90Bの調心精度の低下を防止できるとともに、光ファイバ融着接続装置全体の小型・軽量化を図ることが可能となる。
【0065】
また、従来の構成の融着接続器の場合、一対の弾性部材103A,103Bの固定基台104への連結部の間隔Bが、一対の弾性部材103A,103Bと一対のV溝台102A,102Bとの連結部の間隔Aよりも大きいことから、固定基台104が大型化し、重量も増大するという問題があった。さらに、従来の融着接続器は、観察用レンズ109(
図8参照)や、ファイバクランプ106A,106B(
図8参照)を前進駆動するための図示略のガイドを避けるため、一対のV溝台102A,102Bが上下に延びた構成とされていることから、機構全体の高さ寸法が大きくなるという問題もあった。
これに対し、本実施形態の融着接続器1においては、一対の弾性部材3A,3Bが、固定基台4から前後方向に傾斜しながら上方に向けて延びるように固定されているとともに左右方向で位置をずらして配置されており、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91a同士が突き合わされた融着接続部から離れた位置に一対のV溝台2A,2Bと一対の弾性部材3A,3Bとの連結部が配置された構成を採用している。これにより、左右一対のファイバクランプ6や、このファイバクランプ6を前進駆動する一対の可動ステージ7A,7B等に干渉することが無いので、一対のV溝台2A,2Bの高さ方向の寸法を大きくする必要が無く、融着接続器1の高さを低くすることが可能となる。従って、光ファイバ融着接続装置全体の小型軽量化が可能となる。
【0066】
また、従来の融着接続器においては、一対の光ファイバ90A,90B同士の融着接続部の近傍に弾性部材103A,103BとV溝台102A,102Bとの連結部が配置されることから、ファイバクランプ106A,106B(
図8参照)や、これらを前進駆動するための駆動ステージと、一対の弾性部材103A,103Bとが干渉する場合もあった。このような干渉を回避するためには、V溝121,121を上方に配置し、弾性部材103A,103Aを装置下方に配置する必要があるが、この場合、マイクロメータ105A等の駆動機構が装置下方に配置されることから、装置上方から保守作業を行うのが難しいという問題もあった。
これに対し、本実施形態の融着接続器1は、一対の弾性部材3A,3Bが前後方向に傾斜しながら上方に向けて延びるように固定され、且つ、左右方向で位置をずらして配置された構成なので、一対の弾性部材3A,3Bを弾性変形させるための一対のマイクロメータ5A,5B等の駆動機構を、融着接続部から前後に離れた上方に配置できる。これにより、光ファイバ融着接続装置の上方から、これら駆動機構の保守作業を行うのが容易になるので、装置の小型化とメンテナンス性向上の両方の効果が得られる。
【0067】
ここで、従来の融着接続器においては、
図11に示すように、トップベース110に対し、懸架部材114及び図示略のねじ部材によって固定基台104が取り付けられ、さらに、
図11では図示を省略しているが、一対で設けられる観察用レンズについても、ねじ留め等によってトップベース110に取り付けられる構造とされていた。しかしながら、このような構成の場合、例えば、光ファイバ融着接続装置を落下させてしまった場合等に、特に、観察用レンズに大きな衝撃が伝わって破損するおそれがある等、耐衝撃性の点で問題があった。
【0068】
これに対して、本実施形態の融着接続器1は、
図1及び
図2に示す構成により、高さ寸法を小さくできることから、光ファイバ融着接続装置内における配置形態をより適正化することが可能になる。即ち、従来の構成のようにトップベース部に観察用レンズを取り付けるのではなく、例えば、
図5に示す例において、一対の観察用レンズ9A,9Bを固定基台4に取り付けて支持させる構成を採用することが可能となる。このような構成を採用した場合には、トップベース部に観察用レンズを直接取り付けた場合に比べ、デリケートな一対の観察用レンズ9A,9Bに衝撃が伝わりにくく、耐衝撃性が向上する効果が得られる。
【0069】
次に、上記構成の融着接続器1を用いて、
図3に示すような一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aを融着接続する手順について説明する。
まず、先端90a,90aが概略で向かい合った状態となるように、一対の光ファイバ90A,90Bを、それぞれ一対のV溝台2A,2Bに設けられたV溝21,21にセットする。この際、一対のファイバクランプ6に備えられる図示略のクランプ部材は開放した状態とし、この開放されたクランプ部材内に一対の光ファイバ90A,90Bを載置した状態とする。
次いで、一対のファイバクランプ6に備えられるクランプ部材を閉じることで、一対の光ファイバ90A,90Bが狭持された状態とする。
【0070】
その後、蓋部11を閉じて図示略の操作部を操作することにより、融着接続器1を作動させて一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91a同士を融着接続する。
この際、先端91a,91aは、一対の可動ステージ7A,7Bの移動に伴って、一対のファイバクランプ6が、一対のV溝台2A,2Bに設けられたV溝21,21側に向かって移動することにより、V溝21,21内を摺動して、互いに対向した状態で配置される。また、このときの先端91a,91aの調心状態は、一対の観察用照明8A,8Bと対向して配置された一対の観察用レンズ9A,9Bによって検出され、この調心信号が図示略の制御部に入力される。制御部は、上述したように、入力された調心信号を演算処理し、一対のマイクロメータ5A,5Bの各々に備えられる図示略のモータの回転を制御しながら、先端51の突出量を適正に制御することにより、一対のV溝台2A,2Bの各々を、
図2中に矢印で示すX方向又はY方向で微小移動させる。これにより、V溝21,21にセットされた一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aが調心される。
【0071】
そして、一対の電極棒15A,15Bの先端15a,15a間で、互いに対向して調心された先端91a,91aに向けて放電することにより、先端91a,91aを加熱溶融させ、融着する。
以上の手順により、一対の光ファイバ90A,90Bが互いに融着接続される。
【0072】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態の光ファイバ融着接続器1Aについて、主に
図6及び
図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、一部、上記の第1実施形態と同じ図面を参照しながら説明するとともに、既出である共通の構成、例えば、V溝台を押圧して弾性部材を弾性変形させながら、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91a同士を調心する一対のマイクロメータ5等については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施形態の融着接続器1Aは、
図6及び
図7に示すように(
図3も参照)、第1の実施形態の融着接続器1と同様、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aの各々を調心して互いに突き合わせ、該一対の光ファイバの心線同士を放電加熱によって融着接続するものである。
【0074】
この、融着接続器1Aは、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91aの各々を位置決めしながら互いに突き合わせるためのV溝21,21を有する左右一対のV溝台20A,20Bと、一対のV溝台20A,20Bをそれぞれ支持する、弾性変形可能な板状に形成された一対の弾性部材3A,3Bと、一対の弾性部材3A,3Bがそれぞれ取り付けられることで、この一対の弾性部材3A,3Bを介して一対のV溝台20A,20Bが固定され、左右方向で長尺に形成された固定基台40と、を備えている。また、融着接続器1Aは、一対のV溝台20A,20Bを前後方向から押圧することで、一対の弾性部材3A,3Bを弾性変形させながら一対のV溝台20A,20Bを互いに微小移動させ、一対の光ファイバ90A,90Bの先端91a,91a同士を調心するための一対のマイクロメータ5A,5Bを備えている。さらに、融着接続器1Aは、一対のV溝台20A,20Bが、各々に設けられたV溝21,21が連通するように配置されており、これら各構成を有している点で、上述した第1の実施形態の融着接続器1と概略共通している。
【0075】
ここで、本実施形態の融着接続器1Aは、
図6及び
図7に示すように、固定基台40に、左右方向で平行に配置された一対の固定基部41A,41Bが設けられており、一対の弾性部材3A,3Bは、固定基台40に設けられた一対の固定基部41A,41Bから、互いに交差し、且つ、前後方向で傾斜しながら上方に向けて延びるように設けられているとともに、固定基台40の左右方向で位置をずらして配置されている点で、
図1及び
図2等に示した第1の実施形態の融着接続器1とは異なる構成を有している。
【0076】
そして、融着接続器1Aにおいては、第1の実施形態の融着接続器1と同様、固定基台40の左右端部40a,40b側から見た場合に、一対の固定基部41A,41Bにおける一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a同士の間隔L1が、一対のV溝台20A,20Bが取り付けられる他端部3b,3b同士の間隔L2よりも狭くなるように構成されている。
【0077】
即ち、本実施形態の融着接続器1Aは、
図7の側面図に示すように、一対のV溝台20A,20Bを支持する一対の弾性部材3A,3Bが互いにクロスするように配置されている点で、
図1及び
図2等に示す第1の実施形態の融着接続器1とは大きく異なる。
一方、融着接続器1Aは、第1の実施形態の融着接続器1と同様、一対の弾性部材3A,3Bが、固定基台40から前後方向に傾斜しながら上方に向けて延びるように固定されているとともに左右方向で位置をずらして配置された構成とされている。これにより、第1の実施形態の場合と同様に、一対の弾性部材3A,3Bが、左右一対のファイバクランプ6や一対の可動ステージ7A,7B等に干渉することが無いので、一対のV溝台20A,20Bの高さ方向の寸法を大きくする必要が無い。従って、融着接続器1の高さを低くすることができ、光ファイバ融着接続装置全体の小型軽量化が可能となる。
【0078】
また、第1の実施形態と同様、固定基台40における一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a同士、即ち、これら連結部の間隔L1を短く構成することで、固定基台40を小型化することが可能となる。これにより、上記同様、固定基台40に歪みが生じるのを抑制できるので、光ファイバ融着接続器の破損や、一対の光ファイバ90A,90Bの調心精度の低下を防止できるとともに、光ファイバ融着接続装置全体の小型・軽量化を図ることが可能となる。
【0079】
さらに、第1の実施形態と同様、一対の弾性部材3A,3Bが前後方向に傾斜しながら上方に向けて延びるように、左右方向で位置をずらして配置されているので、一対のマイクロメータ5A,5B等の駆動機構を融着接続部から前後に離れた上方に配置できる。これにより、上記同様、光ファイバ融着接続装置の上方から各駆動機構の保守作業を行うのが容易になり、装置の小型化とメンテナンス性向上の両方の効果が得られる。
【0080】
[融着接続器のその他の変形例]
本発明に係る光ファイバ融着接続装置は、上記構成の融着接続器1,1Aを備えるものには限定されず、本発明の特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、種々の変更・追加を施すことが可能である。
例えば、各実施形態の融着接続器1,1Aにおいて、一対のV溝台を押圧することで一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの調心を行うための一対のマイクロメータ5A,5Bとしては、例えば、モータ等の駆動機構を含めて全体的に小型化されたものを採用することが、融着接続器全体をより小型化できる点から好ましい。
【0081】
また、本発明に係る光ファイバ融着接続装置においては、上述したような一対の光ファイバ90A,90Bの先端90a,90aの調心に関し、従来から行われているようなコア調心に代えて、クラッドを含めた外径調心で行っても良い。このような場合には、先端90a,90aの調心を行うための光学部品を簡易で小型のものにすることができ、融着接続器をより小型軽量化することが可能となる。
【0082】
以上で説明した実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【課題】固定基台に歪みが生じるのを抑制しながら、V溝台や固定基台等を小型・軽量化でき、保守作業が容易な光ファイバ融着接続器及び光ファイバ融着接続装置を提供する。
【解決手段】V溝21を有する左右一対のV溝台2A,2Bと、一対のV溝台2A,2Bを支持する一対の弾性部材3A,3Bと、一対の弾性部材3A,3Bを介して一対のV溝台2A,2Bが固定される固定基台4と、一対のV溝台2A,2Bを押圧することで先端同士を調心する一対のマイクロメータ5A,5Bと、一対の弾性部材3A,3Bは、固定基台4の固定基部41から前後方向にそれぞれ傾斜しながら上方に向けて延びるように設けられ、固定基台4の左右方向で位置をずらして配置され、固定基部41に固定された一対の弾性部材3A,3Bの一端部3a,3a同士の間隔L1が、一対のV溝台2A,2Bに取り付けられた他端部3b,3b同士の間隔L2よりも狭く構成される。