特許第5771733号(P5771733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5771733濾過装置のためのスプロケット直付け駆動軸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5771733
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】濾過装置のためのスプロケット直付け駆動軸
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/30 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   F16H55/30 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-240127(P2014-240127)
(22)【出願日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年12月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594204756
【氏名又は名称】株式会社ブンリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 実
(72)【発明者】
【氏名】田代 誠
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2904334(JP,B2)
【文献】 特開2014−201365(JP,A)
【文献】 実開昭55−124654(JP,U)
【文献】 実開平07−017306(JP,U)
【文献】 特開平04−182074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/00− 7/24
F16H 55/17
F16H 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過装置のチェーン駆動部に使用されるスプロケット直付け駆動軸であって、
外径一定の円柱形のストレート部と第1の端部と第2の端部を有し前記第1の端部にモータのトルクが入力する軸本体と、
前記軸本体の前記ストレート部の前記第1の端部寄りの位置に配置され、第1の歯部および両側面を有した第1の金属板スプロケットと、
前記軸本体の前記ストレート部の前記第2の端部寄りの位置に前記第1の金属板スプロケットと平行に配置され、前記第1の歯部と同一の歯数でかつ前記第1の歯部と対応する位置に設けられた第2の歯部および両側面を有した第2の金属板スプロケットと、
前記第1の金属板スプロケットの前記両側面と前記軸本体とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなり、前記軸本体の周方向に位置を変えて互い違いに形成された第1の肉盛部と、
前記第2の金属板スプロケットの前記両側面と前記軸本体とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなり、前記軸本体の周方向に位置を変えて互い違いに形成された第2の肉盛部とを有し、
前記軸本体の前記第1の端部にモータユニットの出力軸と結合するためのキーを挿入するキー溝が該軸本体の軸線に沿って形成され、かつ、
前記第1の歯部の歯と前記第2の歯部の歯とが前記キー溝に沿う線上で互いに一致した位置にて前記第1の金属板スプロケットと前記第2の金属板スプロケットとが前記第1の肉盛部と前記第2の肉盛部とによって前記軸本体の前記ストレート部に固定されたことを特徴とする濾過装置のためのスプロケット直付け駆動軸。
【請求項2】
前記第1の肉盛部と第2の肉盛部とがそれぞれ前記軸本体の周方向に等ピッチで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスプロケット直付け駆動軸。
【請求項3】
前記第1の肉盛部と第2の肉盛部とが、互いに前記軸本体の周方向の同一位置に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のスプロケット直付け駆動軸。
【請求項4】
前記第1の歯部と前記第2の歯部の厚さが、それぞれに噛合うチェーンリンクの内幅の半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のスプロケット直付け駆動軸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過装置のコンベアチェーンの駆動部に使用される濾過装置のためのスプロケット直付け駆動軸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液中に含まれる金属あるいは非金属の微粒子や削り屑、あるいはスラッジ等の除去対象物を取り除いて液を浄化するために、種々の濾過装置が提案されている。例えば特許文献1〜3に開示されている濾過装置は、濾過槽と、スクレーパコンベアなどを備えている。スクレーパコンベアは一対のチェーンと、チェーンに所定ピッチで取付けられた複数のスクレーパとを有している。チェーンは、それぞれ、チェーン駆動部のモータによって回転する一対のスプロケットによって駆動される。スプロケットは駆動軸に取付けられている。
【0003】
従来の濾過装置に使用されていた標準スプロケットは、鋳造あるいは鍛造によって製造され、歯部を有するスプロケット本体部と、スプロケット本体部の中心部に形成されたボス部とを有し、このボス部に駆動軸が挿入されている。このため従来のスプロケットのボス部の内面と駆動軸には、それぞれキー溝が形成され、これらキー溝に挿入されたキーを介してトルクが伝達される。また従来の駆動軸には、止め輪を嵌合させるための止め輪溝が形成されていた。この止め溝に、ばね材料からなるC型止め輪を嵌合させることにより、駆動軸に対するスプロケットの軸線方向の位置決めをなしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2904334号公報
【特許文献2】特許第3389126号公報
【特許文献3】特許第4830043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の駆動軸は、止め輪溝が形成されている箇所が折損の起点となる可能性がある。しかも止め輪溝が形成されている箇所の径が実質的にトルクを伝える有効径となる。このため、止め輪溝が形成されている駆動軸は、入力することのできるトルクの大きさが止め輪溝によって制約を受けるなどの問題があった。また従来はスプロケットのボス部の内面と駆動軸とにそれぞれキー溝が必要であり、しかも駆動軸に止め輪溝が必要であるなど、機械加工に要する手間が多い。また駆動軸やスプロケット以外にキーが必要であるため部品数が多いなど、大変に不経済であり、濾過装置のコストに影響を与えている。
【0006】
また従来のようにキーと止め輪によってスプロケットが駆動軸に固定される場合、新品のうちは駆動軸とスプロケットとの間にガタが無くても、装置が使用されるに従ってキーとキー溝との嵌合部あるいは止め輪と止め輪溝との嵌合部が摩耗し、次第にガタが生じて振動や騒音の原因となることもある。またチェーン駆動部を組立てる際に、工具を使って止め輪を広げながら止め輪溝に嵌合させる作業も簡単ではなく、作業中に誤って止め輪を濾過槽内に落としてしまうと、止め輪を探して回収するために少なからず労力を必要としている。
【0007】
従って本発明の目的は、モータのトルクに耐えることができ、丈夫で経済効果の大きい濾過装置のためのスプロケット直付け駆動軸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態は、濾過装置のチェーン駆動部に使用されるスプロケット直付け駆動軸であって、外径一定の円柱形のストレート部と第1の端部と第2の端部を有し前記第1の端部にモータのトルクが入力する軸本体と、前記軸本体の前記ストレート部の前記第1の端部寄りの位置に配置された第1の金属板スプロケットと、前記軸本体の前記ストレート部の前記第2の端部寄りの位置に前記第1の金属板スプロケットと平行に配置された第2の金属板スプロケットと、第1の肉盛部と、第2の肉盛部とを具備している。前記第1の金属板スプロケットは、第1の歯部と両側面とを有していている。前記第2の金属板スプロケットは、前記第1の歯部と同一の歯数でかつ前記第1の歯部と対応する位置に設けられた第2の歯部と両側面とを有している。前記第1の肉盛部は、前記第1の金属板スプロケットの前記両側面と前記軸本体とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなり、前記軸本体の周方向に位置を変えて互い違いに形成されている。前記第2の肉盛部は、前記第2の金属板スプロケットの前記両側面と前記軸本体とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなり、前記軸本体の周方向に位置を変えて互い違いに形成されている。また前記軸本体の前記第1の端部にモータユニットの出力軸と結合するためのキーを挿入するキー溝が該軸本体の軸線に沿って形成され、かつ、前記第1の歯部の歯と前記第2の歯部の歯とが前記キー溝に沿う線上で互いに一致した位置にて前記第1の金属板スプロケットと前記第2の金属板スプロケットとが前記第1の肉盛部と前記第2の肉盛部とによって前記軸本体の前記ストレート部に固定されている。
【0009】
この実施形態において、前記第1の肉盛部と第2の肉盛部とがそれぞれ前記軸本体の周方向に等ピッチで形成されていてもよい。また前記第1の肉盛部と第2の肉盛部とが、互いに前記軸本体の周方向の同一位置に形成されていてもよい。前記軸本体は、前記第1の肉盛部と前記第2の肉盛部との間の全長にわたって外径が一定のストレート部を有している。また前記第1の歯部と前記第2の歯部の厚さが、それぞれに噛合うチェーンリンクの内幅の半分以下であるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスプロケット直付け駆動軸によれば、従来の駆動軸に形成されていた止め輪溝が不要であり、駆動軸が折れる原因の1つが解消されたことにより、従来の駆動軸と同等以下の径の軸本体を用いて、従来と同等以上のトルクをスプロケットに伝えることが可能である。またこのスプロケット直付け駆動軸は、スプロケットを固定するためのキー溝や止め輪溝が不要であるため、従来の駆動軸と比較して製造が容易であり、部品数も少ないなど、経済効果が大きい。
【0011】
また従来の駆動軸は、キー溝に挿入されたキーを介してトルクをスプロケットに伝えていたため、キーとキー溝との嵌合部に応力が集中し、ガタが生じる原因となっていた。これに対し本発明に係るスプロケット直付け駆動軸は、軸本体と各スプロケットとを結合する肉盛部を介してトルクが駆動軸からスプロケットに伝達される。このため軸本体とスプロケットとの間にガタが生じるおそれがなく、実質的にメンテナンスフリーでありながら振動や騒音の原因を減らすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】濾過装置の一例を示す断面図。
図2図1中のF2−F2線に沿う濾過装置の断面図。
図3】1つの実施形態に係るスプロケット直付け駆動軸を備えたチェーン駆動部を分解した断面図。
図4】同スプロケット直付け駆動軸の一部の斜視図。
図5】同スプロケット直付け駆動軸の平面図。
図6図3中のF6-F6線に沿うスプロケット直付け駆動軸の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、1つの実施形態に係るスプロケット直付け駆動軸を備えた濾過装置について、図1から図6を参照して説明する。図1は、液Q1中の除去対象物を除去するための濾過装置10の概略を示している。濾過装置10の一例は、濾過すべき液Q1を収容する濾過槽11と、濾過槽11に配置されたコンベア13と、コンベア13を駆動するチェーン駆動部14などを有している。
【0014】
濾過槽11の端部に掻き上げ部25が形成されている。掻き上げ部25は、濾過槽11の液面Q3の上方に向かって斜めに延び、濾過槽11の外部に延出している。掻き上げ部25の上端に排出部26が形成されている。排出部26は、液面Q3よりも高い位置に設けられている。排出部26の近傍に、モータを駆動源とするチェーン駆動部14が配置されている。
【0015】
コンベア13は、濾過槽11の底部11aから、掻き上げ部25および排出部26にわたって配置されている。図2に示されるようにコンベア13は、一対のチェーン31,32と、チェーン31,32に取付けられた複数のスクレーパ33とを有している。スクレーパ33は、チェーン31,32の長手方向に所定間隔で取付けられている。チェーン31,32は、濾過槽11に設けられたガイド部材35,36(図2に示す)によって移動自在に支持されている。
【0016】
コンベア13は、チェーン駆動部14によって、図1に矢印Aで示す方向に移動する。コンベア13は、底部11aに沿って移動する下側部分13aと、下側部分13aの上方において下側部分13aとは逆方向に移動する上側部分13bとを含んでいる。
【0017】
チェーン駆動部14は、チェーン31,32を駆動するためのトルクを発生する減速機付モータユニット40(図1に示す)を備えている。図3は、チェーン駆動部14の一部を分解した断面図である。チェーン駆動部14は、一対の軸受41,42と、カバー43と、スプロケット直付け駆動軸55などを含んでいる。スプロケット直付け駆動軸55は、後に詳しく説明するように、軸本体60と、第1の金属板スプロケット61と、第2の金属板スプロケット62と、第1の肉盛部71と、第2の肉盛部72とを備えている。
【0018】
チェーン駆動部14のカバー43は、一対の側板43a,43bと、上板43cとを含んでいる。第1の側板43aに、第1の軸受41がボルト45によって固定されている。第1の軸受41は、軸本体60の第1の端部60a付近を回転自在に支持している。
【0019】
カバー43の第2の側板43bには、スプロケット直付け駆動軸55を水平方向から挿入可能な大きさの開口50が形成されている。開口50の内径は、金属板スプロケット61,62の外径よりも大きい。開口50は蓋51によって塞がれる。蓋51に第2の軸受42がボルト52によって取付けられている。蓋51は、ボルト53によって第2の側板43bに固定される。第2の軸受42は、スプロケット直付け駆動軸55の軸本体60の第2の端部60bを回転自在に支持する。
【0020】
開口50を通じてスプロケット直付け駆動軸55をカバー43に挿入し、軸本体60の第1の端部60aを第1の軸受41に挿入する。さらに軸本体60の第2の端部60bに第2の軸受42を嵌合させるとともに、蓋51をボルト53によって第2の側板43bに固定する。
【0021】
図4は、スプロケット直付け駆動軸55の一部の斜視図である。図5は、スプロケット直付け駆動軸55を上方から見た平面図である。スプロケット直付け駆動軸55は、真っ直ぐな金属の棒からなる軸本体60と、厚さが例えば6mmの金属板からなる第1の金属板スプロケット61および第2の金属板スプロケット62と、複数の第1の肉盛部71と、複数の第2の肉盛部72とを含んでいる。
【0022】
軸本体60は、モータのトルクが入力する第1の端部60aと、第1の端部60aとは反対側の第2の端部60bとを有している。またこの軸本体60は、第1の肉盛部71と第2の肉盛部72とを含む領域の全長にわたって外径一定の円柱形のストレート部60cを有している。ストレート部60cには、従来の駆動軸のスプロケット取付部に見られるようなキー溝や止め輪溝は形成されていない。このためストレート部60cの外径は、モータユニット40のトルクを伝達する有効径となる。
【0023】
軸本体60の第1の端部60aに、モータユニット40のトルク(モータのトルク)が入力する。このため第1の端部60aには、モータユニット40に内蔵された中空の出力軸と結合するために、キーが挿入されるキー溝60dが形成されている。
【0024】
第1の金属板スプロケット61は、軸本体60のストレート部60cの全長のうち第1の端部60aに近い位置に配置されている。第1の金属板スプロケット61は、第1の歯部61aと、両側面61b,61cとを有している。
【0025】
第2の金属板スプロケット62は、軸本体60のストレート部60cの全長のうち第2の端部60bに近い位置に配置されている。第2の金属板スプロケット62は、第2の歯部62aと、両側面62b,62cとを有している。第2の歯部62aの歯数は、第1の歯部61aの歯数と同じである。よって金属板スプロケット61,62の外径は互いに同一である。
【0026】
第1の金属板スプロケット61と第2の金属板スプロケット62とは、互いに平行に配置されている。図4に2点鎖線L1で示されるように、第1の金属板スプロケット61の歯部61aの位置(回転方向の位置)と、第2の金属板スプロケット62の歯部62aの位置(回転方向の位置)とは、互いに一致している。
【0027】
軸本体60と、第1の金属板スプロケット61と、第2の金属板スプロケット62とは、互いに共通の化学成分の機械構造用炭素鋼(例えばJISに準拠するS45C)からなる。S45Cの化学成分(重量%)は、C:0.42−0.48、Si:0.15−0.35、Mn:0.60−0.90、P:0.030以下、S:0.035以下、残りがFeである。
【0028】
第1の肉盛部71は、第1の金属板スプロケット61の両側面61b,61cと軸本体60とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなる。図6は、第1の金属板スプロケット61と第1の肉盛部71とを代表して示している。第1の肉盛部71は、軸本体60の周方向に関し、第1の金属板スプロケット61の一方の側面61bと他方の側面61cとに互い違いにそれぞれ2箇所ずつ形成されている。すなわち第1の肉盛部71は、軸本体60の周方向に90°づつ、互い違いに位置を変えて、等ピッチで合計4箇所に形成されている。
【0029】
第2の金属板スプロケット62と第2の肉盛部72は、第1の金属板スプロケット61と第1の肉盛部71と同様に構成されている。すなわち第2の肉盛部72は、第2の金属板スプロケット62の両側面62b,62cと軸本体60とがなすコーナー部に設けられた隅肉溶接の溶接ビードからなる。そして第2の肉盛部72は、軸本体60の周方向に関し、第2の金属板スプロケット62の一方の側面62bと他方の側面62cとに互い違いにそれぞれ2箇所ずつ形成されている。すなわち第2の肉盛部72は、第1の肉盛部71と同様に、軸本体60の周方向に90°づつ、互い違いに位置を変えて、等ピッチで合計4箇所に形成されている。
【0030】
第1および第2の金属板スプロケット61,62は、それぞれ、第1および第2の肉盛部71,72によって軸本体60に固定されている。これら金属板スプロケット61,62を軸本体60にアーク溶接する際に、図4に2点鎖線L1で示すように、第1の歯部61aと第2の歯部62aのそれぞれの歯の位置(軸本体60の回転方向の位置)が互いに一致するように、治具によって各金属板スプロケット61,62の位置決めがなされる。
【0031】
図6に示された第1の肉盛部71の一例では、第1の金属板スプロケット61の側面方向から見て、各肉盛部71がそれぞれ、周方向に90°よりもやや長い角度範囲θにわたって形成され、各肉盛部71の周方向の端部の位置が互いに重なっている。第2の肉盛部72も同様に、第2の金属板スプロケット62の側面方向から見て、各肉盛部72がそれぞれ、周方向に90°よりもやや長い角度範囲θにわたって形成され、各肉盛部72の周方向の端部の位置が互いに重なっている。しかも第1の肉盛部71と第2の肉盛部72とは、軸本体60の周方向に互いに対応した同一位置に形成されている。このため第1の肉盛部71と第2の肉盛部72の形状や位置のばらつきを目視によって比較的容易に管理することができる。
【0032】
第1の肉盛部71は、第1の金属板スプロケット61の周方向に位置を変えて、スプロケット61の両側面61b,61cに交互に形成されている。第2の肉盛部72も、第2の金属板スプロケット62の周方向に位置を変えて、スプロケット62の両側面62b,62cに交互に形成されている。このため軸本体60の軸線X1(図5に示す)に対する金属板スプロケット61,62の垂直度αが悪くなることを抑制できる。
【0033】
軸本体60に入力したモータユニット40のトルクは、第1および第2の肉盛部71,72を介して第1および第2の金属板スプロケット61,62に伝達される。第1および第2の金属板スプロケット61,62が軸本体60と一体に回転することにより、チェーン31,32が移動する。
【0034】
本実施形態のスプロケット直付け駆動軸55によれば、軸本体60に従来の駆動軸のようなスプロケット取付用のキー溝と止め輪溝を形成する必要がない。つまり軸本体60のストレート部60cに折損の起点となるような溝が形成されていないため、軸本体60は入力するトルクに対して大きな強度を発揮することができる。よって、従来の駆動軸よりも径の小さい軸本体60でも大きな出力のモータのトルクに耐えることができる。しかも従来の駆動軸のようなスプロケット取付用のキー溝と止め輪溝を形成する必要がないため、これらの溝の加工に要する手間と設備が省略され、経済効果が大きいものである。
【0035】
また従来の駆動軸のスプロケット取付部は、キーとキー溝との嵌合部にガタが生じる可能性があったが、本実施形態のスプロケット直付け駆動軸55は、そのような部分が存在しない。このため本実施形態のスプロケット直付け駆動軸55は、第1の歯部61aと第2の歯部62aの位置が完全に揃った状態で、金属板スプロケット61,62が互いに同期して一体に回転する。このため実質的にメンテナンスフリーでありながら、コンベア13の振動や騒音も小さくすることができる。
【0036】
チェーン31,32の構成要素であるチェーンリンク31a,32aのそれぞれの内幅W1(図3に一方を示す)の一例は、12.7mmである。従来の標準的なスプロケットは、スプロケットの歯部の厚さが11.9mmであるため、チェーンリンクの内面と歯部との間に隙間がほとんど無かった。このため従来はチェーンリンクの内面と歯部との間にスラッジが蓄積し、チェーンの噛合に悪影響を与えることがあった。そこで従来は、スラッジを逃がすための面取り部を歯部に形成していたが、そのための機械加工にきわめて手間がかかっていた。
【0037】
これに対し、スプロケット直付け駆動軸55の第1および第2の金属板スプロケット61,62の厚さT1(図3に示す)の一例は、6.0mmである。すなわち歯部61a,62aの厚さがチェーンリンク31a,32aのそれぞれの内幅W1の半分以下となっている。これにより、それぞれのチェーンリンク31a,32aの内面と歯部61a,62aの側面との間に、スラッジを逃がすのに十分な隙間が確保されている。このため従来の歯部に形成されていたスラッジ逃がし用の面取り部を設けなくても歯部61a,62aにスラッジが蓄積することを回避でき、チェーン駆動部14のメンテナンスフリーに一役かっている。
【0038】
濾過槽11の底部11aに沈んでいる除去対象物Sは、コンベア13のスクレーパ33によって、掻き上げ部25を経て排出部26に向けて搬送される。コンベア13のチェーン31,32は、チェーン駆動部14のモータユニット40が回転することによって移動する。コンベア13によって排出部26に運ばれた除去対象物Sは、回収ボックス80に向けて落下する。
【0039】
なお、本発明を実施するに当たり、濾過装置の具体的な構成をはじめとして、チェーン駆動部に配置されるスプロケット直付け駆動軸の軸本体や第1および第2の金属板スプロケット、肉盛部の形状や位置および数などの具体的な態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
10…濾過装置、11…濾過槽、13…コンベア、14…チェーン駆動部、26…排出部、31,32…チェーン、31a,32a…チェーンリンク、33…スクレーパ、40…モータユニット、41,42…軸受、43…カバー、55…スプロケット直付け駆動軸、60…軸本体、60a…第1の端部、60b…第2の端部、60c…ストレート部、61…第1の金属板スプロケット、61a…歯部、61b,61c…側面、62…第2の金属板スプロケット、62a…歯部、62b,62c…側面、71…第1の肉盛部、72…第2の肉盛部
【要約】
【課題】丈夫で折損しにくく、加工が容易で経済効果の高いスプロケット直付け駆動軸を提供する。
【解決手段】濾過装置のコンベア13を駆動するチェーン駆動部14に、実質的にメンテナンスフリーのスプロケット直付け駆動軸55が配置されている。スプロケット直付け駆動軸55は、軸本体60と、一対の金属板スプロケット61,62と、溶接ビードからなる第1の肉盛部71および第2の肉盛部72とを備えている。第1の肉盛部71は、第1の金属板スプロケット61の両側面61b,61cと軸本体60とがなす各コーナー部に、軸本体60の周方向に位置を変えて互い違いに形成されている。第2の肉盛部72は、第2の金属板スプロケット62の両側面62b,62cと軸本体60とがなす各コーナー部に、軸本体60の周方向に位置を変えて互い違いに形成されている。軸本体60に入力したトルクは、肉盛部71,72を介して金属板スプロケット61,62に伝達される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6