特許第5771744号(P5771744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チャアチャン サンファ シーオー エルティーディーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771744
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20150813BHJP
   F25B 41/06 20060101ALI20150813BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20150813BHJP
   F16K 1/52 20060101ALI20150813BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   F16K37/00 M
   F25B41/06 U
   F16K31/04 Z
   F16K1/52
   F16K27/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-515056(P2014-515056)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-522466(P2014-522466A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】CN2012077522
(87)【国際公開番号】WO2013000396
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】201110175269.X
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512054551
【氏名又は名称】チャアチャン サンファ シーオー エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン ル
(72)【発明者】
【氏名】ユチョン チェン
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−267464(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3046444(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3064627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座アセンブリ(7)と、前記弁座アセンブリ(7)に接続されているケースアセンブリ(5)を含み、前記弁座アセンブリ(7)のキャビティには弁ロッドアセンブリ(6)と弁口(121)が設けられており、前記ケースアセンブリ(5)のキャビティにはモータ(51)が設けられており、前記モータ(51)は歯車システム(52)を介して軸方向に沿って上下移動するように前記弁ロッドアセンブリ(6)を駆動することにより、弁口(121)を通る流体の流量を調整する電子膨張弁において、
前記弁座アセンブリ(7)は別体構造であって、弁座(1)と前記弁座(1)に接続されるカバー(9)を含み、前記カバー(9)は前記ケースアセンブリ(5)に接続されており、前記弁座(1)の外側面には取付け平面(13)が設けられており、前記取付け平面(13)にはサイトグラス(8)が接続されており、
前記弁座(1)はさらに別体構造であって、上弁座(11)と前記上弁座(11)に接続される下弁座(12)を含み、前記カバー(9)はさらに前記上弁座(11)に接続されており、前記取付け平面(13)はさらに前記上弁座(11)の外側面に設けられており、
前記弁口(121)は前記下弁座(12)に設けられており、且つ前記弁口(121)は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部(122)を有し、前記スリーブ延出部(122)は前記上弁座(11)のキャビティに伸び込んでおり、前記弁ロッドアセンブリ(6)は管状の弁ロッド(2)が設けられており、前記スリーブ延出部(122)及び前記弁ロッド(2)の下端部のうちの一方の円周側壁には流量を調整する開口溝(3)が設けられており、且つ前記スリーブ延出部(122)及び前記弁ロッド(2)の下端部のうちの一方は他方の内部に伸び込みあるいは他方から伸び出すことにより、前記開口溝(3)と前記弁口(121)とを連通させあるいはそれらの連通を遮断させることを特徴とする電子膨張弁。
【請求項2】
前記上弁座(11)はさらに角胴形弁座であり、前記角胴形弁座のいずれか一つの外側面は前記取付け平面(13)を形成することを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記弁座(1)はさらに一体化構造であって、前記弁座(1)は全体的に角胴形弁座であり、前記角胴形弁座のいずれか一つの外側面は前記取付け平面(13)を形成することを特徴とする請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記弁口(121)の周方向には第1の段面(14)が設けられており、前記弁ロッドアセンブリ(6)は管状の弁ロッド(2)を含み、前記弁ロッド(2)の下端部の側壁には第2の段面(21)と流量を調整する開口溝(3)が設けられており、前記第1の段面(14)が前記第2の段面(21)に接触して密閉しあるいは前記第2の段面(21)から離脱するように、前記弁ロッド(2)の下端部は前記弁口(121)の内部に伸び込みあるいは前記弁口(121)から伸び出すことを特徴とする請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記取付け平面(13)にはネジ孔が設けられており、前記サイトグラス(8)は鏡基台(81)を含み、前記鏡基台(81)は螺合によって前記ネジ孔に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記鏡基台(81)と前記ネジ孔の孔壁との間にはさらに密封部材(82)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記ケースアセンブリ(5)はケース(53)と前記ケース(53)に接続されている挿入ピン基台(54)を含み、前記ケースアセンブリ(5)は前記ケース(53)により前記カバー(9)と接続されており、前記挿入ピン基台(54)の内部には樹脂射出によって挿入ピン(55)が封じ込まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記弁座アセンブリ(7)はさらにステンレススチール製の弁座アセンブリであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年6月27日に中国特許局に提出した、出願番号が201110175269.Xで、発明名称が「電子膨張弁」である中国特許出願の優先権を主張し、当該特許出願の内容の全てを引用によって本願に取り入れる。
【0002】
本発明は、流体制御部材の技術分野に関し、特に電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
電子膨張弁は冷却システムを構成する重要な部材であり、冷却システムにおける四つの基本部材のうちの蒸発器、コンプレッサー及びコンデンサーを除く基本部材である。電子膨張弁の作動過程としては、一般的に、コイル装置の通電または停電に伴い、弁棒で弁口の開度を調整することにより、冷媒の流量を調節する。
【0004】
従来技術において、出願番号がUS5735501Aである米国特許出願は一種の電子膨張弁を開示している。具体的には、図1を参照して、図1は従来技術による電子膨張弁の構造模式図である。
【0005】
図1に示すように、当該従来技術による電子膨張弁は弁座アセンブリ1′とケースアセンブリ2′を含み、当該弁座アセンブリ1′の内部には、弁ロッドアセンブリ3′と弁口1′1が設けられており、ケースアセンブリ2′の内部にはモータ2′1が設けられており、且つ当該モータ2′1は歯車システム2′2を介して軸方向に沿って上下移動するように弁ロッドアセンブリ3′を駆動することにより、弁口1′1を通る流体の流量を調整する。しかしながら、当該従来技術による電子膨張弁には以下のような欠陥が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記電子膨張弁において、弁座アセンブリ1′は一体化されたスリーブ部材であり、その材質として薄肉引張り部材が採用されあるいはステンレススチールパイプから構成される。当該弁座アセンブリ1′の側壁は円形であるため、サイトグラスと接続する作業性が比較的良くなく、且つ弁座アセンブリ1′の側壁における接続位置に鞍形面が存在いているため、O型リングを装着することができず、シール性が比較的良くない。また、上記鞍形面が存在することにより、螺合によってサイトグラスと弁座アセンブリ1′とを接続させるのは不便であり、もしどうしても螺合接続を採用する場合、円筒形状の弁座アセンブリ1′の肉厚を増やす必要があり、こうすれば、材料が浪費され、コストも上昇してしまい、そして、製品が重くなる。とにかく、前記従来技術による電子膨張弁は、サイトグラスが装着されることに適せず、サイトグラスがないので、電子膨張弁の内部における流体の状況を適時に把握することができず、ユーザが当該電子膨張弁を使用する場合に、多大な不便を齎している。
【0007】
また、出願番号が200580023202.7である中国特許出願は一種の電子膨張弁を開示している。図2に示すように、弁座アセンブリ22の構造は比較的複雑であるため、当該弁座アセンブリ22は、まず黄銅鋳物からブランクが形成され、その後ターニングで成形されることによって製造されなくてはいけない。先ず、鋳造工芸の性質によって、材質にはスラグ巻込みと気孔などの欠陥を避けることができないため、製品は室外に装着され更にある程度の時間で使用された後、腐食されて緑青を生じ、欠陥がある箇所は一番弱い。冷却システムの内部の圧力は弁外部の圧力より著しく高いので、漏洩を発生し易く或いは強度不足によって弁体の破裂が生じやすくなり、製品の耐用年数と信頼性に影響を及ぼし、冷却装置の組み合せ全体の機能を失わせ、大型冷凍保存場所、スーパーの冷凍庫または冷蔵作業場にある冷凍品に巨大な損失を被らせる。次に、黄銅の融点は930℃程度であるため、還元剤とする保護ガスが存在するトンネル炉に半田付を行うと、溶接温度は黄銅の融点よりも低く確保することが必須である。したがって、接続管と黄銅の弁体との溶接を行う時に銀の含有量が高い半田を使用しなければならないが、銀の価格が高騰するにつれて、溶接のコストも大幅に増加しつつある。更に、黄銅による鋳造には金型を採用し、もしクライアントから異なる要望が出されると、接続管と弁座との装着位置を調整する必要があるため、改めて金型を設計しなければならないが、金型を改めて製造する周期は長いので、生産コストも上昇する。
【0008】
これに鑑み、如何に従来技術による電子膨張弁を改良することによって、サイトグラスを有利に弁座アセンブリに接続させることができるのかということは、当業者にとって急を要する課題である。
【0009】
本発明の解決しようとする技術的な課題は、独自な構造設計により、サイトグラスを比較的有利に弁座アセンブリに接続させるとともに、接続工芸と接続品質を容易に確保することができる電子膨張弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明は弁座アセンブリと、前記弁座アセンブリに接続されているケースアセンブリを含む電子膨張弁を提供し、前記弁座アセンブリのキャビティには弁ロッドアセンブリと弁口が設けられており、前記ケースアセンブリの内部にモータが設けられており、前記モータは歯車システムを介して軸方向に沿って上下移動するように前記弁ロッドアセンブリを駆動することにより、弁口を通る流体の流量を調整し、前記弁座アセンブリは別体構造であって、弁座と前記弁座に接続されるカバーを含み、前記カバーは前記ケースアセンブリに接続されており、前記弁座の外側面には取付け平面が設けられており、前記取付け平面にはサイトグラスが接続されている。
【0011】
前記弁座はさらに別体構造であって、上弁座と前記上弁座に接続されている下弁座を含み、前記カバーはさらに前記上弁座に接続されており、前記取付け平面はさらに前記上弁座の外側面に設けられていることが、好ましい。
【0012】
前記上弁座は更に角胴形弁座であって、前記角胴形弁座の何れか一つの外側面は前記取り付け平面を形成することが、好ましい。
【0013】
前記弁口は前記下弁座に設けられており、且つ前記弁口は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部を有し、前記スリーブ延出部は前記上弁座のキャビティに伸び込んでおり、前記弁ロッドアセンブリには管状の弁ロッドが設けられており、前記スリーブ延出部及び前記弁ロッドの下端部のうちの一方の円周側壁には流量を調整する開口溝が設けられており、且つ前記スリーブ延出部及び前記弁ロッドの下端部のうちの一方は他方の内部に伸び込みあるいは他方から伸び出すことにより、前記開口溝と前記弁口とを連通させあるいはそれらの連通を遮断させることが、好ましい。
【0014】
前記弁座はさらに一体化構造であって、前記弁座は全体的に角胴形弁座であり、前記角胴形弁座のいずれか一つの外側面は前記取付け平面を形成することが、好ましい。
【0015】
前記弁口の周方向には第1の段面が設けられており、前記弁ロッドアセンブリは管状の弁ロッドを含み、前記弁ロッドの下端部の側壁には第2の段面と流量を調整する開口溝が設けられており、前記弁ロッドの下端部は前記弁口の内部に伸び込みあるいは前記弁口から伸び出すことにより、前記第1の段面は前記第2の段面に接触して密閉しあるいは前記第2の段面から離脱することが、好ましい。
【0016】
前記取付け平面にはネジ孔が設けられており、前記サイトグラスは鏡基台を含み、前記鏡基台は螺合によって前記ネジ孔に接続されていることが、好ましい。
【0017】
前記鏡基台と前記ネジ孔の孔壁との間にはさらに密封部材が設けられていることが、好ましい。
【0018】
前記ケースアセンブリはケースと前記ケースに接続される挿入ピン基台を含み、前記ケースアセンブリは前記ケースにより前記カバーと接続されており、前記挿入ピン基台の内部には樹脂射出によって挿入ピンが封じ込まれていることが、好ましい。
【0019】
前記弁座アセンブリはさらにステンレススチール製の弁座アセンブリであることが、好ましい。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に基き、本発明によって提供される電子膨張弁の弁座アセンブリは別体構造であって、弁座と前記弁座に接続されるカバーを含み、前記カバーは前記ケースアセンブリに接続されており、前記弁座の外側面には取付け平面が設けられており、前記取付け平面にサイトグラスが接続されている。
【0021】
従来技術と比べて、本発明によって提供される弁座アセンブリは別体構造であって、弁座とカバーを含み、カバーはケースアセンブリと接続し易い円筒形状の部材である。弁座とカバーとは独立構造であるため、弁座は非円筒形状の部材を採用することができ、例えば、角胴形弁座または取付け平面を形成し易い他の形状の弁座を採用することもできるゆえ、弁座には取付け平面を容易に形成することができる。鞍形面にサイトグラスが接続されている構造設計に対して、取付け平面にサイトグラスが接続されている構造設計を介して、サイトグラスの接続は容易にされ、且つ接続工芸と接続品質が容易に確保されている。
【0022】
とにかく、本発明によって提供される電子膨張弁は、独自な構造設計により、サイトグラスを有利に弁座アセンブリに接続させるとともに、接続工芸と接続品質を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術による電子膨張弁の構造模式図である。
図2-1】本発明の第1の実施例に係る電子膨張弁の構造模式図である。
図2-2】他の視角で見た図2−1の電子膨張弁の構造模式図である。
図3-1】本発明の第2の実施例に係る電子膨張弁の構造模式図である。
図3-2】他の視角で見た図3−1の電子膨張弁の構造模式図である。
図4図2−1の電子膨張弁の断面図である。
図4-1】図4の電子膨張弁の弁ロッドが下弁座と組み合わされる構造模式図である。
図4-2】図4−1の下弁座の軸測図である。
図4-3】他の実施例に係る弁ロッドが下弁座と組み合わされる構造模式図である。
図5図3−1の電子膨張弁の弁座アセンブリとサイトグラスの断面図である。
図5-1】図5の弁座が弁ロッドと組み合わされる構造模式図である。
図6図2−1乃至図3−2のケースアセンブリの構造模式図である。
図6-1】図6のケースアセンブリの平面図である。
図6-2】図6のケースアセンブリの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の核心は、独自な構造設計により、サイトグラスを有利に弁座アセンブリに接続させるとともに、接続工芸と接続品質を容易に確保することができる電子膨張弁を提供することである。
【0025】
当業者が本発明の技術案を比較的良好に理解できるように、以下、図面と具体的な実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0026】
図2−1、図2−2、図3−1及び図3−2を参照して、図2−1は本発明の第1の実施例に係る電子膨張弁の構造模式図であり、図2−2は他の視角で見た図2−1の電子膨張弁の構造模式図であり、図3−1は本発明の第2の実施例に係る電子膨張弁の構造模式図であり、図3−2は他の視角で見た図3−1の電子膨張弁の構造模式図である。
【0027】
基本的な技術案において、図2−1乃至図3−2に示すように、本発明によって提供される電子膨張弁は弁座アセンブリ7と、前記弁座アセンブリ7に接続されているケースアセンブリ5を含み、前記弁座アセンブリ7のキャビティには弁ロッドアセンブリ6と弁口121が設けられており、前記ケースアセンブリ5のキャビティにモータ51が設けられており、前記モータ51は歯車システム52を介して軸方向に沿って上下移動するように弁ロッドアセンブリ6を駆動することにより、弁口121を通る流体の流量を調整する。
【0028】
上記構造に基づいて、図2−1乃至図3−2に示すように、弁座アセンブリ7は別体構造であって、弁座1と弁座1に接続されるカバー9を含み、カバー9はケースアセンブリ5に接続されており、弁座1の外側面には取付け平面13が設けられており、取付け平面13にサイトグラス8が接続されている。
【0029】
従来技術と比べて、本発明によって提供される弁座アセンブリ7は別体構造であって、弁座1とカバー9を含み、カバー9はケースアセンブリ5と接続し易い円筒形状の部材である。弁座1とカバー9とは独立構造であるため、弁座1は非円筒形状の部材を採用することができ、例えば、角胴形弁座または取付け平面を形成し易い他の形状の弁座を採用することもできるゆえ、弁座1には取付け平面13を容易に形成することができる。鞍形面にサイトグラスが接続されている構造設計に対して、取付け平面13にサイトグラス8が接続されている構造設計により、サイトグラス8の接続は容易にされ、且つ接続工程と接続品質を容易に確保することができる。
【0030】
上記基本的な技術案に基づいて、さらに改良することによって、本発明の第1の実施例を得られる。具体的に図2−1と図2−2を参照して、当該第1の実施例において、弁座1はさらに別体構造であって、上弁座11と上弁座11に接続される下弁座12を含み、カバー9はさらに上弁座11に接続されており、取付け平面13はさらに上弁座11の外側面に設けられている。弁座1の部材間独立構造設計により、取付け平面13は上弁座11にのみ設置すればよいため、加工工芸を簡単にさせ、さらに下弁座12は材料の少ない節約可能な円柱形状を採用することができるため、弁座の材料を節約することができる。
【0031】
具体的には、図2−1と図2−2を参照して、上弁座11は角胴形弁座であり、前記角胴形弁座のいずれか一つの外側面は取付け平面13を形成する。当該角胴形弁座の構造設計により、取付け平面13は非常に有利に形成され、且つ角胴形弁座の四つの外側面はいずれもサイトグラス8の取付け平面13とすることができるため、具体的な使用環境に応じて、サイトグラス8を角胴形弁座のいずれか一つの外側面に接続させる。さらに、当該角胴形弁座は四角棒からターニングにより成形されることができ、四角棒の材料はコストが低いと共に、獲得しやすいので、著しく生産コストを低減することができる。また、四角棒の材質はステンレススチールであるため、弁座の強度と耐腐食性を向上させることができる。
【0032】
なお、弁座に対してさらに改良することによって、本発明の第2の実施例を得られる。具体的には、図3−1と図3−2に示すように、弁座1はさらに一体化構造であって、弁座1は全体的に角胴形弁座であり、前記角胴形弁座のいずれか一つの外側面は前記取付け平面13を形成する。弁座1は、一体化構造であり、且つ全体的に角胴形弁座であって、このような構造設計により弁座1の構造を簡略化させることができ、部品の数を低減し、且つ装着工程を簡略化させ、コストを低減する。
【0033】
図4図4−1及び図4−2を参照して、図4図2−1の電子膨張弁の断面図であり、図4−1は図4の電子膨張弁の弁ロッドが下弁座と取り合わせる構造模式図であり、図4−2は図4−1の下弁座の軸測図である。
【0034】
上記第1の実施例において、さらに改良することができる。例えば、第1の実施例に基づいて、図4乃至図4−2に示すように、前記弁口121は前記下弁座12に設けられており、且つ前記弁口121は軸方向に沿って上に向けて突出するスリーブ延出部122を有し、前記スリーブ延出部122は上弁座11のキャビティに伸び込み、弁ロッドアセンブリ6には管状の弁ロッド2が設けられており、スリーブ延出部122及び弁ロッド2の下端部のうちの一方の円周側壁には流量を調整する開口溝3が設けられており、且つスリーブ延出部122及び弁ロッド2の下端部のうちの一方は他方の内部に伸び込みもしくは他方から伸び出すこと(つまり、スリーブ延出部122は弁ロッド2の下端部の内部に伸び込みもしくは弁ロッド2から伸び出し、或いは弁ロッド2の下端部はスリーブ延出部122の内部に伸び込みもしくはスリーブ延出部122から伸び出すこと)により、開口溝3と弁口121とを連通させあるいはそれらの連通を遮断させる。
【0035】
開口溝3の形状は必要な流量曲線に対応しており、例えば、V型、Y型または他の形状に形成されてもよく、冷却システムはどのような形状を必要としても、スリーブ延出部122の円周側壁または弁ロッド2の下端部の側壁にそれと対応する開口溝3を設けてもよい。作動する際に、弁ロッド2がスリーブ延出部122と互いに離脱することに伴い、開口溝3は弁口121と小流量で連通しつつ、弁ロッド2がスリーブ延出部122から更に離脱するほど、開口溝3の流通面積が漸次に大きくなるため、開口溝3が全て開けられるまで冷媒の流量が漸次に大きくなっていき、弁口121との最大流量の連通を実現する。これにより、本発明によって提供される電子膨張弁を利用して必要な流量曲線を得られることが分かった。
【0036】
また、弁ロッド2の下端は円錐体ではなく、円柱体であるため、弁ロッド2の下端が受ける冷媒からの圧力は同一である。それと同時に、弁ロッド2は管状を呈しており、軸方向に沿って貫通しているため、弁ロッド2の上端と下端との両方が受ける冷媒からの圧力は等しくなり、弁ロッド2の上端と下端との力を受ける面積が等しい前提で、弁ロッド2が軸方向に受ける冷媒からの圧力のバランスが取れている。
【0037】
特に説明すべきこととして、上記の実施例において、スリーブ延出部122の側壁に開口溝3を設置してもよいし、弁ロッド2の下端部に開口溝3を設置してもよい。この二つの技術案において、スリーブ延出部122は弁ロッド2の下端部の内部に伸び込みもしくは弁ロッド2の下端部から伸び出し、或いは弁ロッド2の下端部はスリーブ延出部122の内部に伸び込みもしくはスリーブ延出部122から伸び出すことにより、いずれも開口溝3と弁口121とを連通させあるいはそれらの連通を遮断させることができる。
【0038】
図4乃至図4−2に示すように、開口溝3はスリーブ延出部122の円周側壁に設けられており、これに基づいて、図4−1と図4−2に示すように、スリーブ延出部122には位置が開口溝3の最下端よりも低い第1の密閉面123が設けられており、当該第1の密閉面123はさらにスリーブ延出部122の内部に設置されてもよく、これに基づいて、図4−1と図4−2に示すように、基体21の下端面が第1の密閉面123に接触して密閉しあるいは第1の密閉面123から離脱するように、弁ロッド2の下端部はスリーブ延出部122の内部に伸び込みあるいはスリーブ延出部122から伸び出す。この構造設計を介して、基体21の下端面は第1の密閉面123に接触して密閉を行い、基体21の下端面は剛性が強くて変形しにくいため、従来技術におけるシールシートに比べて、そのシール性能と耐用年数が大幅に向上された。
【0039】
加工を行う際には、まず下弁座12に弁口121とスリーブ延出部122を形成するとともに、スリーブ延出部に開口溝3を形成し、次に上弁座11を形成し、最後に形成された下弁座12と上弁座11を組み立てる。これによって、弁座1は別体構造であるため、スリーブ延出部122と開口溝3との加工をとても有利に実現し、加工工程を簡略化したことが分かった。
【0040】
また、図4に示すように、第1の接続管41は上弁座11に接続されており、第2の接続管42は下弁座12に接続されており、この構造設計により、冷却システムの環境とスペースとの要求に応じて、第1の接続管41と第2の接続管42との位置関係を調節することができるため、例えば、両者を互いに平行にさせること或いは両者間の挟角を略90度にさせることができる。
【0041】
上記第1の実施例において、さらに改良することができる。例えば、図4−3を参照して、図4−3は他の実施例に係る弁ロッドが下弁座と組み合わされる構造模式図である。
【0042】
図4−3に示すように、更に具体的に開口溝3は弁ロッド2の下端部に設けられてもよい。これに基づいて、弁ロッド2の下端部には位置が開口溝3の最上端よりも高い第2の密閉面22が設けられており、且つ当該第2の密閉面22はさらに弁ロッド2の下端部の内部に設置されてもよく、これに基づいて、図4−3に示すように、スリーブ延出部122の上端面が第2の密閉面22に接触して密閉しあるいは第2の密閉面22から離脱するように、スリーブ延出部122は弁ロッド2の下端部の内部に伸び込みもしくは弁ロッド2の下端部から伸び出すことができる。この構造設計により、スリーブ延出部122の上端面は第2の密閉面22に接触して密閉を行い、第2の密閉面22は剛性が強くて変形しにくいため、従来技術におけるシールシートに比べて、そのシール性能と耐用年数が大幅に向上された。
【0043】
図5図5−1を参照して、図5図3−1の電子膨張弁の弁座アセンブリとサイトグラスの断面図であり、図5−1は図5の弁座が弁ロッドと組み合わされる構造模式図である。
【0044】
上記第2の実施例において、さらに改良することができる。例えば、弁口121の周方向には第1の段面14が設けられており、弁ロッドアセンブリ6は管状の弁ロッド2を含み、弁ロッド2の下端部の側壁には第2の段面21と流量を調整する開口溝3が設けられており、第1の段面14が第2の段面21に接触して密閉しあるいは第2の段面21から離脱するように、弁ロッド2の下端部は弁口121の内部に伸び込みあるいは弁口121から伸び出す。この構造設計により流量を調節する目的を図ることができる。
【0045】
上記いずれか一つの技術案に基づいて、サイトグラス8の取付け構造に対して更に具体的に設計を行うことができる。例えば、図5図5−1を参照して、取付け平面13にはネジ孔が設けられており、サイトグラス8は鏡基台81を含み、鏡基台81は螺合によってネジ孔に接続されており、且つ鏡基台81とネジ孔の孔壁との間にはさらに密封部材82が設けられている。取付け平面13の構造設計により、鏡基台81とネジ孔との螺合接続がとても有利に実現されており、且つ、サイトグラス8は鞍形面に接続されておらず、取付け平面13に接続されているため、密封部材82の装着も同時に実現された。
【0046】
また、図5図5−1に示すように、鏡基台81にはレンズ85、表示用紙83及び表示用紙83を鏡基台81の内部に係止させるカード84が設けられている。冷媒の異なる温度または異なる相態によって、表示用紙83の表示色が違うので、表示用紙83の表示色の変化により、冷媒の温度状況と相態状況を大体把握することができる。
【0047】
さらに、ケースアセンブリ5の具体的な構造に対して設計を行うことができる。具体的には、図6図6−1及び図6−2を参照して、図6図2−1乃至図3−2のケースアセンブリの構造模式図であり、図6−1は図6のケースアセンブリの平面図であり、図6−2は図6のケースアセンブリの底面図である。
【0048】
具体的には、図6乃至図6−2に示すように、ケースアセンブリ5はケース53と当該ケース53に接続される挿入ピン基台54を含み、ケース53の上部にはカバーが設けられており、カバーの中部には中心孔が設けられており、挿入ピン基台54は当該中心孔内に接続されている。また、図6−2に示すように、挿入ピン55はガラス合金56などの封込材料により挿入ピン基台54の内部に封じ込み、固定されている。図6−1に示すように、挿入ピン基台54内には挿し込みミスの防止シースが設けられており、継手と各挿入ピン55との挿し込みミスを防止する。
【0049】
また、上記いずれか一つの技術案において、弁座アセンブリ7の材料はステンレススチールであってもよく、弁座アセンブリ7は具体的にステンレススチール製の弁座アセンブリであり、ステンレススチール製の弁座アセンブリは強度が高いと共に、優れた耐腐食性を有する。
【0050】
最後に説明すべきこととして、図4に示すように、本発明によって提供される電子膨張弁は冷媒の流量を調節するためのものであって、図3に示すように、電子膨張弁はケースアセンブリ5を含み、ケースアセンブリ5にはモータ51が設けられており、モータ51の出力軸は歯車システムを介して弁ロッドアセンブリ6のスクリュー61に伝動接続されている。図4に示すように、歯車システム52は歯車座62に支持されており、且つスクリュー61は歯車座62を挿通して弁ロッド2に接続されており、スクリュー61の回転に伴い、弁ロッド2は軸方向に沿って上下移動することにより、冷媒の流量を調節する目的を実現する。
【0051】
以上、本発明によって提供される電子膨張弁を詳細に説明した。本文には具体的な個別例を利用して本発明の原理及び実施態様を説明したが、上記のように説明した実施例は、本発明の方法及びその核心思想を理解し易くするためのものに過ぎない。なお、当業者にとって、本発明の原理を外れない前提で、若干の改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本発明の保護範囲に該当することを理解すべきである。
【符号の説明】
【0052】
なお、図1における符号と部材名称との対応関係は、以下の通りである。
1′…弁座アセンブリ;1′1…弁口;2′…ケースアセンブリ;2′1…モータ;2′2…歯車システム;3′…弁ロッドアセンブリ。
図2−1乃至図6−2における符号と部材名称との対応関係は、以下の通りである。
1…弁座;11…上弁座;12…下弁座;121…弁口;122…スリーブ延出部;123…第1の密閉面;13…取付け平面;14…第1の段面;2…弁ロッド;21…第2の段面;22…第2の密閉面;3…開口溝;41…第1の接続管;42…第2の接続管;5…ケースアセンブリ;51…モータ;52…歯車システム;53…ケース;54…挿入ピン基台;55…挿入ピン;56…ガラス合金;57…挿し込みミス防止のシース;6…弁ロッドアセンブリ;61…スクリュー;62…歯車座;7…弁座アセンブリ;8…サイトグラス;81…鏡基台;82…密封部材;83…表示用紙;84…カード;85…レンズ;9…カバー。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5
図5-1】
図6
図6-1】
図6-2】