(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電式煙感知器に関し、更に詳しくは、引火性ガス雰囲気に設置した光電式煙感知器内部での火花による爆発が発生しても、爆発の際の炎が外部のガスに引火することを防止することができ、防爆性を有する光電式煙感知器に関する。
【0002】
従来より、火災によって発生する熱、煙、炎等を感知することによって、周辺環境における火災の発生を感知する火災感知器が知られている。火災感知器が、可燃性ガスや爆発性ガスの充満する防爆指定区域に設置されると、火災感知器内部の電子部品不良等による火花等により、周辺のガスへの引火に伴う爆発が引き起こされることがある。よって、防爆指定区域に設置される火災感知器は、周辺一帯における大規模な爆発を引き起こさないよう、防爆仕様にて設計される必要がある。
【0003】
火災感知器のうち、煙を感知することのできる煙感知器は、火災発生を早期に検知することができるという利点があるので、特に広く用いられている。煙感知器の一種として、光電式煙感知器が挙げられる。光電式煙感知器は、発光部と受光部とを備え、煙を含んだ空気によって散乱した光を、受光部が感知することによって、煙発生を認識する。
【0004】
光電式煙感知器は、発光部及び受光部等の働きを制御するための電子回路基板を備えることが一般的である。電子回路基板においては、電子部品不良により一時的に過電流が引き起こされることによって火花が発生したり、基板表面における絶縁抵抗の劣化によって異常な高温状態になったりすることがある。火花や、電子回路基板における異常な高温部は、可燃性ガス等に引火して爆発を引き起こすことがある。
【0005】
例えば、特許文献1(特許第3938750号)には、本質安全防爆型と称される防爆方式を採用した光電式煙感知器が開示されている。本質安全防爆型の光電式煙感知器は、電子回路基板を流れる電流の大きさを抑制することにより、可燃性ガスに引火するほどの電気火花が電子回路基板表面に発生しないようにしている。
【0006】
特許文献2〜4には、電子回路基板と、発光部及び受光部を位置的に遠ざけることによって、電子回路基板表面における爆発を引き起こさないようにする光電式煙感知器が開示されている。
例えば、特許文献2には、「発光素子を有し、該発光素子からの煙による散乱光もしくは透過光を受講する受光レンズを備えた警戒地区に設置される煙検出部と、・・・電気回路部とを前記煙検出部から分離して配置したことを特徴とする光電式分離型煙感知装置」が開示されている(特許文献2の実用新案登録請求の範囲)。
また、特許文献3には、「発光体および直接光、散乱光受光体を回路部の金属ケース内に納め、これらと煙感知器暗箱間を光学繊維により結合し、暗箱側光学繊維端にレンズを備え、発光、受光の作用をもたせて煙粒子を検知する構成となっている」と記載されている(特許文献3、第(2)頁、右上欄の下から1行目〜左下欄の第5行)。
さらに、特許文献4には、「煙を導入するラビリンス基台と、発光素子、受光素子、電子部品等の電子回路とを分離して、両者を光ファイバーで連結したから、高温に影響を受けないラビリンス器台のみを高温室に設置して光電式煙感知装置を構成することができ、高温雰囲気下でも支障なく煙を感知できる煙感知装置」が開示されている(特許文献4、第(3)頁の第17行〜第(4)頁の第3行)。
【0007】
特許文献2〜4のように、光ファイバーを用いた光電式煙感知器では、ケーブルグランドを用いて配線することによって、防爆容器に収納された電子回路基板と、煙を感知するのに用いられる発光部及び受光部とが、完全に分離された構造となり、感知器全体が大型化してしまうという問題がある。また、光ファイバーの素材が樹脂である場合は煙信号を減衰させる性質が有り、光ファイバーの素材がガラスである場合は材料が高価であるという問題点がある。
また、光ファイバーを用いた光電式煙感知器では、防爆容器内部に爆発性ガスが侵入することを防ぐために、防爆容器における光ファイバーの取付部を樹脂等で充填する必要がある。よって、充填された樹脂が劣化するに伴い、防爆容器の密閉性が低下し、爆発の危険を引き起こすことがあるという問題がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(A)は光電式煙感知器の組み立て時における概略斜視図であり、
図1(B)は組み立て後の光電式煙感知器の右側面図である。
【
図2】
図2(A)はラビリンスの平面図であり、
図2(B)はラビリンスの底面図である。
【
図3】
図3(A)はセンサー部3の平面図であり、
図3(B)は光学装置設置台31の底面図である。
【
図5】
図5は、カバー5を取り外した光電式煙感知器1の平面図である。
【
図9】
図9(A)は発光装置35Aの縦断面図であり、
図9(B)は
図6における(e)−(e)断面図であり、
図9(C)は透明部材A62周辺の断面図である。
【
図10】
図10(A)は受光装置35Bの縦断面図であり、
図10(B)は
図7における(f)−(f)断面図であり、
図10(C)は透明部材B72周辺の断面図である。
【0014】
以下に、図面を用いて本発明について説明するが、本発明は図面に示される例に限定されるものではない。
【0015】
図1(A)で示されるように、本発明の光電式煙感知器1は、ラビリンス2、センサー部3、筐体部4、及びカバー5を有する。尚、
図1(A)には図示されていないが、カバー5は、内カバーと外カバーとの2つの部材からなっていてもよい。
【0016】
図2(A)で示されるように、ラビリンス2は、平面形状が略円形であり、円周状の縁辺に沿って等間隔に4つの切欠部21A〜Dと、切欠部21A〜Dのそれぞれの間に設けられた4つのカバー取付用ねじ穴22A〜22Dとを有する。また、カバー取付用ねじ穴22A〜22Dの配列の内側には、平面形状が円形である検知部23が設けられる。検知部23の内側には、遮蔽板24、発光装置ホルダー25A、受光装置ホルダー25B、及び表示灯ホルダー26が、ラビリンス2の表面より突出するように設けられる。遮蔽板24は、検知部23の内側を囲繞するように多数設けられ、検知部23の外部から内部への光の漏れ及び内部から外部への光の侵入を防ぐ機能を有する。また、遮蔽板24同士に設けられた隙間を通って、検知部23の外部から内部へと煙を含んだ空気が侵入できるようになっている。
発光装置ホルダー25A及び発光装置ホルダー25Bは、内部に発光装置及び受光装置を保持することのできる大きさの空洞を有する。表示灯ホルダー26は、ラビリンス2の表面から裏面へと貫通する円筒状の中空空間を備え、この中空空間を後述する表示灯が貫通する。
【0017】
図2(B)で示されるように、ラビリンス2は、裏面側において、裏面開口27A、27B、及び26Aを備える。裏面開口27Aはラビリンス2の表面側における発光装置ホルダー25Aの空洞部につながっており、裏面開口27Bはラビリンス2の表面側における受光装置ホルダー25Bの空洞部につながっている。また、裏面開口26Aはラビリンス2の表面側において表示灯ホルダー26の中空空間につながっている。
【0018】
図1で示されるように、センサー部3の表面側、言い換えるとセンサー部3におけるラビリンス2との積層面側には平面形状が丸形である光学装置設置台31が設けられる。
図3(A)で示されるように、光学装置設置台31の縁辺に沿って、4つの固定ねじ穴31A〜Dと、4つのカバー取付用ねじ穴32A〜Dとが設けられる。センサー部3とラビリンス2とを積層する際に、光学装置設置台31における固定ねじ穴31A〜Dの位置とラビリンス2における切欠部21A〜Dの位置とが対応し、光学装置設置台31におけるカバー取付用ねじ穴32A〜Dの位置とラビリンス2におけるカバー取付用ねじ穴22A〜Dの位置とが対応する。
また、光学装置設置台3の表面側には、発光装置35A、受光装置35B、及び表示灯36が突出してなる。発光装置35Aと受光装置35Bとは、光軸が120°程度の角度で交差するように配置され、発光装置35Aから発せられた光が、煙によって散乱し、受光装置35Bに到達することによって煙の存在が感知される。
表示灯36は、使用者に視認可能な光信号を発することのできる装置であればよく、通常、筒状体である。
【0019】
図3(A)で示されるように、光学装置設置台31の表面側には、第1位置決め部38A及び38Bが設けられる。第1位置決め部38A及び第2位置決め部38Bは、それぞれ、
図2(B)で示されるラビリンス2の裏面側、言い換えるとラビリンス2における光学装置設置台31との積層面側に設けられた第1固定部28A及び第2固定部28Bと係合することによって、ラビリンス2とセンサー部3との位置ずれを防ぐ機能を有する。例えば、第1固定部28A及び第2固定部28Bを凸状のピンとして、第1位置決め部38A及び第2位置決め部38Bをピンに対応する孔とすると、孔にピンが嵌め込まれることによって、ラビリンス2と光学部材3との位置ずれが防止される。第1位置決め部38Aは光学装置設置台31の平面縁辺を形成する円の中心部に設けられ、第2位置決め部38Bは光学装置設置台31の平面縁辺を形成する円の半径周上に設けられる。言い換えると、第2位置決め部38Bは、光学装置設置台31の平面縁辺を形成する円の中心と縁辺上の点とを結ぶ直線の長さを2等分する位置に存在する。また、第1固定部28Aはラビリンス2の平面縁辺を形成する円の中心部に設けられ、第2固定部28Bはラビリンス2の平面縁辺を形成する円の半径周上に設けられる。このような位置に固定部及び位置決め部を設けると、円の中心部における第1固定部28Aと第1位置決め部38Aとが係合することによって、高温条件下においてラビリンス2又はセンサー部3が横滑りして位置ずれを起こすことを防止することができる。そして、半径周上に設けられる第2固定部28Bと第2位置決め部38Bとによって、ラビリンス2又はセンサー部3が円の中心を支点として、回転することを防止することができる。よって、効果的にラビリンス2とセンサー部3との位置ずれを防止することができる。
【0020】
光学装置設置台31の裏面側には、電子回路基板51、及び電子回路基板51を保護する保護プレート52等が設けられる。電子回路基板51の平面形状の面積、及び保護プレート52の平面形状の面積は、
図3における例では、光学装置設置台31の平面形状の面積よりも小さい。よって、
図3(A)で示される平面図において、電子回路基板51と保護プレート52とは観察されない。
また、
図3(B)で示されるように、光学装置設置台31の裏面側には、裏面開口36Aと裏面開口36Bとが設けられる。裏面開口36Aは、後述するように発光装置35Aから電子回路基板51へと到る配線部材59Bを内側に通し、裏面開口36Bは、受光装置35Bから電子回路基板51へと到る配線部材59Cを内側に通す。なお、
図3(B)には図示されていないが、光学装置設置台31の裏面には、後述する回路取付ねじ57が挿通されるねじ穴が設けられていてもよい。
【0021】
図1(A)及び
図4に示されるように、筐体4は、平面形状が四角形である台座部42と、台座部42よりも高さが高い円筒形の容器部45とを備える。容器部45の上面にはシール部43が設けられる。シール部43は、ラビリンス2及び光学装置設置台31の平面形状と同じ大きさの円形であって、固定ねじ穴21A〜D及び31A〜Dと対応する位置に、固定ねじ穴41A〜Dを備える。また、シール部43の内側には、電子回路基板51及び保護プレート52を収納可能な大きさの回路収容部44が設けられる。
また、台座部42及び容器部45の外側面には、回路収容部44と外部空間とを連通する側口が設けられていてもよく、
図4における例では、3つの側口44A、44B、及び44Dが設けられる。
【0022】
次に、各部材を組み合わせて形成された光電式煙感知器1について説明する。
【0023】
図5において、固定ねじ51A〜Dが、ラビリンス2における切欠部21A〜D、センサー部3における固定ねじ穴31A〜D、及び筐体4における固定ねじ穴41A〜Dを順に貫通することによって、ラビリンス2とセンサー部3と筐体4とが積層及び固定される。
また、
図5には図示されていないが、カバー5が取り付けられた後で、カバー5を貫通するカバー取付ねじが、カバー取付ねじ穴22A〜D及び32A〜Dに取り付けられることにより、カバー5が固定される。
【0024】
ラビリンス2とセンサー部3とが積層されると、
図5に示されるように、発光装置ホルダー25Aに発光装置35Aが保持され、受光装置ホルダー25Bに受光装置35Bが保持される。また、発光装置35Aの発光方向における先端面には光の発散を防ぐためにスリット板52Aが設けられていてもよく、受光装置35Bの先端面には受光装置35Bを保護するための保護カバー52Bが設けられていてもよい。発光装置35Aから発せられた光は、スリット板52Aに設けられたスリット穴を通って、検知部23の中心部に向かって進む。検知部23の中心部近傍における検出領域53に煙が存在すると、発光装置35Aから発せられた光が散乱し、保護カバー52Bを通って受光装置35Bに光が到達する。また、ラビリンス2とセンサー部3とが積層されると、
図5に示されるように、表示灯ホルダー26に表示灯36が保持される。
なお、
図5には図示されていないが、検知部23の外側には、外部からの虫等の異物の侵入を防ぐために、防虫網が設けられていてもよい。
【0025】
センサー部3と筐体4とを積層させると、
図6で示されるように、光学装置設置台31の下面と筐体4のシール部43とが面接触し、シール面54を形成する。また、側口44B及び側口44Dには、栓体54B及び54Dが差し込まれることによって、シール面55及び56が形成される。栓体54B及び54Dとしては、例えば、防爆性のケーブルグランドを用いることができる。防爆性のケーブルグランドを用いることによって、筐体4の防爆性を保ちつつ、光学式煙感知器1の内部に設けられた電子回路基板51と外部電源等とを電気的に接続することができる。シール面54、55、及び56によって、筐体4は防爆構造型となることができる。具体的には、回路収納空間44において爆発が起こっても、シール面54、55及び56を通って、筐体4の外部に爆発によって生じた火炎が漏れ出すことがない。このような防爆構造型のシール面54、55、及び56は、従来公知の方法を用いて形成することができ、例えば、シール面54、55、及び56には樹脂等が充填されていてもよく、火炎が漏れ出さない程度の防爆規定に適合した寸法の隙間が設けられていてもよい。例えば、シール面54、55、及び56は、幅が0.1mm以下、及び筐体4の肉厚方向における長さが9.5mm以上である隙間であれば、筐体4内部における火炎が外部へ漏れ出すことがない。
なお、筐体4、光学装置設置台31、及び栓体54A、B、Dを、別の部材とせずに一体として設計してもよい。
【0026】
回路収容部44には、電子回路基板51及び保護プレート52が配される。電子回路基板51は、発光装置35A及び受光装置35B、及び表示灯36の動作を制御できるように配線がなされている。保護プレート52は電子回路基板51を機械的に補強する機能を有しており、電子回路基板51と保護プレート52とは回路取付ねじ57によって連結され、光学装置設置台31の裏面側に取り付けられる。
【0027】
図6に示されるように、光学装置設置台31の上面には、発光装置35Aが突出して設けられる。また、発光装置35Aの周面を覆うように、ラビリンス2には発光装置ホルダー25Aが設けられる。また、発光装置35Aにおいて光を照射する面とは反対側の端部において、光学設置板の下面に向かって中空部58Bが設けられる。中空部58Bには、発光装置35Aと電子回路基板51とを電気的に接続する配線部材59Bが設けられる。
【0028】
図7に示されるように、光学装置設置台31の上面には、受光装置35Bが突出して設けられる。また、受光装置35Bの周面を覆うように、ラビリンス2には受光装置ホルダー25Bが設けられる。また、受光装置35Bにおいて光が入射する先端面とは反対側の端部において、光学装置設置台31の下面に向かって中空部58Cが設けられる。中空部58Cには、受光装置35Bと電子回路基板31とを電気的に接続する配線部材59Cが設けられる。
【0029】
図8に示されるように、表示灯36はカバー5から光学式煙感知器1の外部へと突出し、光を発することができる。表示灯36によって発せられた光を、光電式煙感知器1の近傍に位置する観察者が観察することによって、本発明の光電式煙感知器1が正常に作動しているか否かを確認することができる。表示灯36は、通常柱状であり、ラビリンス2における表示灯ホルダー26の中空部を貫通する。表示灯36の発光面とは反対側の端部は、光学装置設置台31の裏面側にある回路収納空間44に面する。また、表示灯36には、配線部材59Dが取り付けられ、配線部材59Dは電子回路基板51に接続される。
表示灯36の外周部も防爆構造型であればよく、具体的には、回路収容部44において発生した火炎が表示灯36の外周面近傍から光電式煙感知器1の外部へと漏れ出さないように設計されていればよい。例えば、表示灯36の外周面と表示灯ホルダー26の内壁面との間を樹脂等で隙間なく充填すればよい。また、表示灯36の外周面と表示灯ホルダー26のない壁面との間には、防爆規定に適合する程度の寸法の間隙が設けられていてもよい。例えば、幅が0.1mm以下であって、表示灯36の軸線方向における長さが9.5mm以上である間隙が設けられていてもよい。
【0030】
図9(A)に示すように、本発明の発光装置35Aは、発光素子61と透明部材A62と筒体A63とを有する。発光素子61は、透明部材A62に向けて光を発することができる装置であり、例えば、LED光源が用いられる。透明部材A62は、発光素子61から発せられた光が発散することを防止し、光の進む方向を収束させる機能を有する。透明部材A62は、通常、筒状体であり、円筒体形状であることがさらに好ましい。
透明部材A62の一方の端面には発光素子61が設けられ、他方の端面、言い換えると、透明部材Aの先端面69は、光を外部へ放射する機能を有する。また、
図6(B)に示すように、透明部材Aの先端面69近傍には、光の放射方向をさらに限定するために、透明部材A62の端面積よりも小さい穴を有するスリット板52Aが設けられていてもよい。
【0031】
筒体A63の内部には、透明部材A62を保持するように、筒状の内壁面A64によって囲繞された内部空間A66が設けられる。
図6(C)に示される例では、内部空間A66は、その断面積が透明部材A62の断面積よりも大きい円筒形状として設けられる。よって、内壁面A64と透明部材A62との間にW1の幅を有する間隙が生じる。
間隙の幅は、
図9(C)に示されるように、透明部材A62の軸線方向と垂直な方向における断面図において、内壁面A64上のある一点から透明部材A62の外周面までの距離として求められる。
【0032】
また、筐体A63の一部には、透明部材A62を固定するための透明部材固定部67が設けられる。透明部材固定部67は、透明部材A62を固定することができる限りにおいてその態様は特に制限されず、
図9(A)及び(B)の例のように、幅が狭く設けられた内壁面A64の一部が、透明部材A62の外周面を押圧するような態様でもよい。また、内壁面A64にクランプ等の固定用部材を設けておき、この固定用部材が透明部材A62を固定するような態様であってもよい。
【0033】
図9(A)に示されるように、筒体A63の透明部材固定部67よりも底面側、言い換えると、発光素子61が設けられてなる側において、開口部A68が設けられる。開口部A68は、内部空間66と中空部58Bとの境界に設けられ、中空部58Bはさらに回路収容部44に連通する。開口部A68から透明部材Aの先端面69までの、透明部材A62の軸線方向における長さは、
図9(A)及び(B)においてL1として示される。なお、透明部材が蛇行して設けられている例においては、開口部A68から透明部材Aの先端面69までの、透明部材A62の縦断面における中心点を結んだ曲線の長さをL1とすることができる。
【0034】
図10(A)〜(C)に示されるように、本発明の受光装置35Bは、発光素子61の代わりに受光素子71が設けられること以外は、発光装置35Aと同様の構成を有する。よって、内壁面B74と透明部材B72との間で幅がW2である間隙が形成され、回路収容部44に通じる開口部B78から透明部材Bの先端面79までの距離がL2として求められる。
【0035】
前記間隙の幅W1及びW2、並びに前記距離L1及びL2は、それぞれ防爆規定に適合する大きさであればよい。これらの大きさが防爆規定に適合していると、回路収容部44における爆発によって生じた火炎を、内部空間66又は76を通過する間に消失させることができる。例えば、前記W1及びW2は0.1mm以下であり、L1及びL2は9.5mm以上であればよい。
なお、透明部材の中心軸線と内部空間の中心軸線とが一致しない例のように、透明部材の位置によって間隙の幅が異なる例、言い換えると間隙の幅W1及びW2が一様ではない例においては、間隙の幅が最も大きくなる位置における幅の長さが0.1mm以下であればよい。さらに具体的には、透明部材の軸線方向、及び周方向における全ての点のうち、内壁面までの距離が最大となる点における間隙が、0.1mm以下であればよい。
【0036】
次に、本発明の光電式煙感知器1の作用について説明する。
【0037】
本発明の光電式煙感知器1を、防爆指定地域において使用する例を考える。防爆指定区域は、大気中に放出及び漏えいした可燃性ガス、蒸気、及び空気が混合され、爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所をいい、「危険場所」と称されることもある。
まず、筐体4の側口44A、44B、及び44Dに防爆性のケーブルグランドを取り付け、筐体4とセンサー部3とラビリンス2とを積層し、固定ねじ51A〜51Dを締めこむ。さらに、カバー5を取り付け、カバー取付ねじを締めこむことによって、光電式煙感知器1が得られる。光電式煙感知器1は、筐体4の底面を地上に置くようにして設置してもよいし、筐体4の底面を施設の壁面や天井面に取り付けるようにして設置してもよい。
【0038】
光電式煙感知器1は、
図1(B)に示されるように、カバー5に設けられた空気穴7を介して外部の空気を内部に取り込む。空気穴7から侵入する空気は、光電式煙感知器1の内部においてラビリンス2に設けられた遮蔽板24の間から検知部23へと進む。
発光装置35A及び受光装置35Bは、光学装置設置台31の上面に突出して設けられており、
図5で示されるように、光電式煙感知器1においてはラビリンス2の検知部23に位置する。よって、発光装置35A及び受光装置35Bは、空気穴7から侵入する爆発性のガスに晒されており、言い換えると、防爆指定区域に露出されている。
光電式煙感知器1の内部に侵入した空気が煙を含んでいると、発光装置35Aから発せられた光が散乱されることにより、受光装置35Bに到る光のパターンが変化する。このような受光パターンの変化は、配線部材59Cを介して電子回路基板51へ電気信号として伝えられる。受光パターンの変化についての電気信号を受け取った電子回路基板51は、煙が発生したことを外部へと知らせることができるように、電気信号を出力する。例えば、配線部材59Dを介して電気信号を出力することによって、表示灯36から発せられる光の色等が変化するように設計すればよい。このような態様では、観察者が表示灯36から発せられる光の変化を観察することによって、煙が発生したか否かを確認することができる。
【0039】
光電式煙感知器1の外部に存在する爆発性のガスは、
図6で示されたシール面54、55、及び56における僅かな隙間、
図9で示された内壁面A64と透明部材A62の外周面との間隙、
図10で示された内壁面B74と透明部材B72の外周面との間隙、並びに
図8で示された表示灯36の外周面と表示灯ホルダー26の内壁面との間隙を通って、回路収容部44へと侵入することがある。回路収容部44へと侵入した爆発性のガスは、回路収容部44に収容された電子回路基板51の表面で生じたショート電流によるスパークや、電子回路基板51の表面において異常な高温部が発生した際に、爆発を引き起こすことがある。
【0040】
本発明における筐体4は、十分な強度を有するので、回路収容部44における爆発によっても破損することがない。具体的には、本発明における筐体4は、防爆規定で定められた大きさの圧力、例えば1.5MPa程度の圧力が、回路収容部44における爆発によってかかっても破損することがないように、鉄板等にて形成される。よって、回路収容部44における爆発によって発生した火炎は、筐体4が破損することによって光電式煙感知器1の外部へと漏れ出すことがない。
【0041】
また、回路収容部44における爆発によって発生した火炎は、光学装置設置台31の中空部58B、及び58Cをラビリンス2に向かって上昇し、やがて開口部A68及び開口部B78へと到る。
開口部A68へと到った火炎は、内壁面A64と透明部材A62との間に生じる間隙から透明部材Aの先端部69へと向かって進む。しかし、間隙の幅W1及び長さL1は防爆規定に適合した寸法である。よって、火炎は内部空間66を進行している間に立ち消え、透明部材Aの先端面69を超えることがない。以上より、空気穴7を介してラビリンス2の検知部23に侵入した空気に含有される爆発性のガスに、回路収容部44から上昇してきた火炎が引火し、ラビリンス2の検知部23において爆発が発生し、ひいては光電式煙感知器1を設置した設備全体が爆発するという大事故が引き起こされるのを防止することができる。また、受光装置35Bにおいても、発光装置35Aと同様に間隙が設けられているので、回路収容部44から上昇してきた火炎が
図10に示される透明部材Bの先端面79を超えることがない。
より具体的には、通常の状態において爆発性雰囲気をしばしば生成する可能性のある第一類危険箇所に光電式煙感知器1が設置されることにより、光電式煙感知器1における発光装置35Aと受光装置35Bとが第一類危険箇所に露出されても、回路収容部44において発生した火炎が外部のガスに引火することがない。
【0042】
本発明における発光装置35A及び受光装置35Bは、透明部材A62及び透明部材B72の外周を樹脂等で充填する必要がなく、容易に製造することができる。また、樹脂が経年劣化することによって亀裂や穴が発生し、このような亀裂や穴を通って爆発による火炎が漏れ出してしまい、設備全体への爆発を引き起こすというような事故の発生を防止することができる。
【0043】
また、本発明におけるラビリンス2は、発光装置35A及び受光装置35Bが設けられたセンサー部3と脱着可能に設けられる。よって、発光装置35A又は受光装置35Bが故障等をした時に、ラビリンス2を取り外すだけでセンサー部3を簡単に露出させることができ、発光装置35A及び受光装置35Bを簡単に点検することができる。
【0044】
さらに、本発明におけるラビリンス2とセンサー部3とは、ラビリンス2における第1固定部28Aとセンサー部3における第1位置決め部38Aとが係合し、ラビリンス2における第2固定部28Bとセンサー部3における第2位置決め部38Bとが係合することによって、回路収容部44において爆発が発生しても、ラビリンス2とセンサー部3との位置がずれることが防止される。
内部における爆発が外部に引火することがなく、発光装置及び受光装置の周囲において樹脂等を必要としないため、樹脂の劣化による爆発を防止することにより、防爆指定区域内に露出した状態で使用できる光電式煙感知器を提供する。
回路収容部(44)を有する防爆構造型の筐体の外側に発光装置(35A)と受光装置(35B)とを設け、発光装置(35A)は、発光素子(61)と透明部材A(62)とを有し、受光装置(35B)は、受光素子(71)と透明部材B(72)とを有し、内壁面A(64)と透明部材A(62)との間隙(W1)、及び内壁面B(74)と透明部材B(72)との間隙(W2)が、防爆規定に適合した幅を有し、開口部A(68)から透明部材Aの先端面(69)までの長さ(L1)、及び開口部B(78)から透明部材Bの先端面(79)までの長さ(L2)が、防爆規定に適合した長さであることを特徴とする。