(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771793
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】多次元振動発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 35/02 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
H02K35/02
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-23952(P2011-23952)
(22)【出願日】2011年2月7日
(65)【公開番号】特開2012-165561(P2012-165561A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】300015838
【氏名又は名称】有限会社オンウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(72)【発明者】
【氏名】高島 公洋
(72)【発明者】
【氏名】水野 勉
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 達也
(72)【発明者】
【氏名】寺前 欣則
(72)【発明者】
【氏名】小柳津 一晃
【審査官】
服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−221984(JP,A)
【文献】
特開2009−148144(JP,A)
【文献】
特開2006−149163(JP,A)
【文献】
特開2010−035368(JP,A)
【文献】
特表2005−536173(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/057348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性管と、
前記非磁性管の外周に巻いたコイルと、
非磁性管内を移動する永久磁石とその両端に固定したヨークと、
前記ヨークの片側に固定した非磁性ハンマーと、
前記非磁性ハンマーの反対側の前記ヨークに固定する押しばねを備えた発電ユニットと、
2個の前記発電ユニットを平面(2次元)方向に前記発電ユニットの永久磁石が
磁力反発し対向するように一定の間隔を置き、
90度以上180度未満の角度で配置した頂点部分に1個の非磁性の球体可動子と、
2個の前記発電ユニットと1個の球体可動子を収納するケースを備え、
外部から振動が加わると前記球体可動子が移動することに伴い、
配置した2個の前記発電ユニットが連動して電磁誘導により発電することを特徴とする振動発電機。
【請求項2】
前記請求項1において、
前記発電機の90度以上180度未満の角度に配置した
2個の前記発電ユニットの頂点部分に、1個の非磁性の球体可動子を囲む形に、
さらに1個の前記発電ユニットを垂直方向に配置し、
外部から上下、左右、前後、斜め等の立体的な振動が加わると、
前記球体可動子が自由移動することに伴い、
配置した3個の前記発電ユニットが
連動して電磁誘導により発電することを特徴とする立体型振動発電機。
【請求項3】
前記請求項1において、
前記非磁性の球体可動子を中心に囲むように、
前記発電ユニットの非磁性ハンマーが対向するように
前記発電ユニットを3個以上配置し、
外部から前後、左右、斜め等の平面(2次元)的な振動が加わると、
前記球体可動子が移動することに伴い、
配置した3個以上の前記発電ユニットが
連動して電磁誘導により発電することを特徴とする平面型振動発電機。
【請求項4】
前記請求項1、並びに、請求項3において、
中心に貫通穴を施した前記非磁性の球体可動子と、
可動するように柔軟性がある非磁性棒の片端を前記ケースの内部上部に支点として固定し、
もう一方の片端は前記球体可動子の貫通穴を通して、前記ケース底面から外部に出し、
外部からの直接的な振動により、前記非磁性棒が前後、左右に振れ、
前記非磁性棒と共に前記球体可動子が移動することに伴い、
配置した2個以上の前記発電ユニットが
連動して電磁誘導により発電することを特徴とする平面型振動発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を効率よく電気エネルギーに変換する発電機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱や振動、電磁波といった環境に存在するエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング(環境発電)が盛んになってきているが、低コストで長期耐久性があり、微量のエネルギーをいかに捉え効率よく、変換した電気エネルギーを取り出すか課題が多かった。
従来は、圧電素子もしくは、磁石を振子として用いて、垂直方向、水平方向の単一方向からの振動エネルギーにより発電を行っていたため、微量な多次元方向からの振動エネルギーを効率よく変換することが困難である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術は、中空コイル内に磁石を配置し、磁石が転がることによる発電方式であり、
コイル内に磁石が入っているため、水平方向の磁束変化のみを利用して発電する技術であり、またLEDを点灯したり、バッテリーに充電できるほどの電力は発生しない。
【特許文献1】特開平4−116427号公報
【0004】
例えば、特許文献2に記載の技術は、コイル内に上下から2つのばねで引っ張り磁石を支持し、振動でばねが伸縮して垂直方向の磁束変化で発電する技術であった。
【特許文献2】特開平5−168213号公報
【0005】
また、特許文献3に記載の技術は、筒状ケース外周にコイルを巻き、3つの磁石がそれぞれ対向する磁石と反発する様に配置し、中間の磁石が浮遊する状態で、振動により中間の磁石が垂直方向に移動することによる発電方式の技術であった。
【特許文献3】特開2002−281727号公報
【0006】
従来でも、磁石を用いた多方向の振動発電機は存在するが、
例えば、特許文献4に記載の技術は、中心にある数極の極性を持った磁石が多方向に移動することで発電する振動発電の技術であった。
【特許文献4】特開2009−38881号公報
【0007】
従来では、圧電素子を用いた振動発電機が存在するが、圧電素子は素子が外部からの衝撃を受けることにより発電するため、圧電素子自体の寿命が約1〜2万回と長期に使用するには耐久性が問題となる。
例えば、特許文献5に記載の技術は、外部からの揺れを受け、突起状部材を持つ可動体が、突起状部を持つ圧電素子に衝撃を与えることにより発電するが、突起状部の圧電素子が摩耗し長期使用の耐久性には問題が残る。
【特許文献5】特開2010−35368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
常に変動する不安定要素を持つ自然エネルギー及び人間や機械から余分に放出されているエネルギーを回収し、モバイル機器の電源とするため、多方向からのエネルギーを振動として採り込み、効率よく電気エネルギーに変換する低コストで長期使用可能な耐久性のある振動発電機が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1個の非磁性可動子と磁石とコイルを有する発電ユニットを2個以上で構成し、多方向の振動エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能な多次元振動発電機を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多方向の振動エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換することが可能となり、単一方向の振動発電機に比べLED点灯やバッテリー充電などが可能な大きな発電量が得られる。
また、圧電素子を使用した振動発電機に比べ、低コストで長期使用における耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
[2次元型振動発電機]
実施例1では、請求項1の振動発電機の構造について説明する。
図1は2次元型振動発電機11の上から見た断面図を示し、
図2は
図1のA−Aの断面図を示したものである。
発電ユニットは、
図2で示すように非磁性管8とその非磁性管8の外周にスペーサー5を挟みコイル4を2個巻き、その非磁性管8の中に摩擦抵抗が少ないように移動可能な永久磁石2とその両端にヨーク3を固定し、その固定したヨーク3の一方に非磁性ハンマー7を固定し、もう一方には押しばね6を備える。
2次元型振動発電機11は、
図1の非磁性可動子1と発電ユニットとケース9で構成され、2つの発電ユニットがX方向、Y方向の2次元方向に一定の間隔で90度以上180度未満の角度に、永久磁石2がお互いに反発するように配置する。
図1で示すように、外部振動を受け、X方向、Y方向、X−Y方向に非磁性可動子1が移動することにより、非磁性可動子1にX方向、Y方向のどちらかもしくは、両方の非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し磁束の変化を起こすことにより、コイル4に誘起電圧が生じ、発電することを特徴とする振動発電機である。
【実施例2】
【0013】
[3次元型振動発電機]
実施例2では、請求項2の振動発電機の構造について説明する。
図3は3次元型振動発電機12の上から見た断面図を示し、
図4は
図3のA−Aの断面図を示したものである。
3次元型振動発電機12は、実施例1の2次元型振動発電機11を
図4に示すように、Z方向に発電ユニットを1つ追加し、X−Y−Zの立体構造を持ち、非磁性可動子1と発電ユニット3つとケース9で構成され、永久磁石2がお互いに反発する配置とする。
図3と
図4に示すように、外部振動を受け、X方向、Y方向、Z方向、X−Y方向、X−Z方向、Y−Z方向、X−Y−Z方向に非磁性可動子1が移動することにより、非磁性可動子1にX方向、Y方向、Z方向のどちらかもしくは、どれか2方向、3方向全ての非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し磁束の変化を起こすことにより、コイル4に誘起電圧が生じ、発電することを特徴とする振動発電機である。
【実施例3】
【0014】
[2次元型3方向振動発電機]
実施例3では、請求項3の振動発電機の構造について説明する。
図5は2次元型3方向振動発電機13の上から見た断面図を示し、
図6は
図5のA−Aの断面図を示したものである。
2次元型3方向振動発電機13は、実施例1の2次元型振動発電機11を2方向ではなく、
図4に示すように非磁性可動子1を中心に120度間隔で3つ配置した発電ユニットとケース9で構成される。
図5と
図6に示すように、X方向に外部振動を受け、X方向に非磁性可動子1が移動することにより、3方向の発電モジュールのうち、非磁性可動子1に2方向の発電モジュールの非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し、反対側にある1方向の発電モジュールの永久磁石2とヨーク3と非磁性ハンマー7は、押しばね6に押し戻され、3方向の発電モジュールで磁束の変化が起こり、コイル4に誘起電圧が生じ発電する。
また、Y方向、または、X−Y方向に外部振動を受け、Y方向に非磁性可動子1が移動することにより、3方向の発電モジュールのうち、非磁性可動子1に1方向の発電モジュールの非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し、
反対側にある2方向の発電モジュールの永久磁石2とヨーク3と非磁性ハンマー7は、押しばね6に押し戻され、3方向の発電モジュールで磁束の変化が起こり、コイル4に誘起電圧が生じ発電することを特徴とする振動発電機である。
【実施例4】
【0015】
[2次元型ダイレクト振動発電機]
実施例4では、請求項4の振動発電機の構造について説明する。
図7は2次元型ダイレクト振動発電機14の上から見た断面図を示し、
図8は
図7のA−Aの断面図を示したものである。
2次元型ダイレクト振動発電機14は、実施例3の2次元型3方向振動発電機13の非磁性可動子1に
図7のように中心に貫通孔をあけ、非磁性棒10を通しケース9の上面で振子となるように固定し、ケース9の底面に非磁性可動子が抜け落ちない程度の大きさの穴を開け、貫通穴から非磁性棒10を垂らし、その非磁性棒10がケース9の底面から外部にはみ出した状態で構成される。
図7と
図8に示すように、非磁性棒10が外部からX方向に力が加わると、実施例3の2次元型3方向振動発電機と同様にX方向に非磁性可動子1が移動することにより、3方向の発電モジュールのうち、非磁性可動子1に2方向の発電モジュールの非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し、反対側にある1方向の発電モジュールの永久磁石2とヨーク3と非磁性ハンマー7は、押しばね6に押し戻され、3方向の発電モジュールで磁束の変化が起こり、コイル4に誘起電圧が生じ発電する。
また、非磁性棒10が外部からY方向、または、X−Y方向に力が加わると、Y方向に非磁性可動子1が移動することにより、3方向の発電モジュールのうち、非磁性可動子1に1方向の発電モジュールの非磁性ハンマー7が押され、それに伴い、永久磁石2とヨーク3も非磁性ハンマー7と同方向に移動し、反対側にある2方向の発電モジュールの永久磁石2とヨーク3と非磁性ハンマー7は、押しばね6に押し戻され、3方向の発電モジュールで磁束の変化が起こり、コイル4に誘起電圧が生じ発電することを特徴とする振動発電機である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1における2次元型振動発電機を上からの断面図
【
図3】実施例2における3次元型振動発電機の上からの断面図
【
図5】実施例3における2次元型3方向振動発電機を上から見た断面図
【
図7】実施例4における2次元型ダイレクト振動発電機を上から見た断面図
【符号の説明】
【0017】
1 非磁性可動子
2 永久磁石
3 ヨーク
4 コイル
5 スペーサ
6 押しばね
7 非磁性ハンマー
8 非磁性管
9 ケース
10 非磁性棒
11 2次元型振動発電機
12 3次元型振動発電機
13 2次元型3方向振動発電機
14 2次元型ダイレクト振動発電機