(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記成形型が、上記表面層の背後の略全面に密接した発熱手段によりこの表面層を定常的に加熱するように構成したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の成形装置。
上記成形型が、上記表面層の背後の略全面に密接し、その展開面の少なくとも一方向の熱浸透率が厚み方向のそれより大きい材料により温度均一化層を形成させたものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の成形装置。
上記成形型が、表面層を、その厚み方向の熱浸透率が上記所定の値を有し、更に平面の少なくとも一方向の熱浸透率が厚み方向のそれより大きい値を有する材料により形成したものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の成形装置。
請求項1から7のいずれかに記載の樹脂シートの成形装置を用いた樹脂シートの成形方法であって、樹脂シートの予熱工程と、賦形工程と、賦形体を樹脂シート予熱温度以上の高温に昇温する熱処理工程と、そして冷却工程を遂行する熱可塑性樹脂シートの成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<成形装置の構成>
本発明の成形装置は、真空圧空成形機、圧空成形機、真空成形機、嵌合ダイプレス成形機等の熱成形機を構成するものである。本発明の構成は公知の熱成形機で構成させてもよく、樹脂シートの予熱は加熱板による直接加熱方式でもよく、また赤外線オーブン、熱風オーブン等による間接加熱方式でもよい。
また、短尺の材料シートを一枚ずつ成形する枚葉成形機であってもよく、また長尺の材料シートを一方の端から順次に成形する連続成形機でもよく、後者であることが特に好ましい。
本発明の成形装置は、上述の成形機に1)冷却媒体噴射による冷却手段、2)加熱気体を噴射による加熱手段、3)赤外線照射による加熱手段の少なくとも1つを付設して、成形型に固定されている樹脂シートの賦形体の加熱と冷却の少なくとも一方をこれらのいずれかの手段で行えるように構成する。そして成形型として、特定材料による表面層と、この層の全展開面に広がる発熱手段か、又はこの層の展開面方向の熱移動を促進する手段を合わせて有する構造のものを使用する。
通常の成形型で、上記のような加熱手段あるいは冷却手段を利用する構成で連続成形を行った場合、成形型に熱が拡散し加熱冷却が容易にできないか、さもなければ成形型の特定部分が過熱あるいは過冷却になり易く、成形品に成形ムラや欠点部分をつくりやすい。
本発明者を発明者とする先行出願の特願2010−118555の成形型を上記構成の中に入れて良好に利用することは可能である。しかし本発明に用いる成形型は、上記問題傾向に鑑みこの先行出願の成形型を更に改良した新規のもで、熱媒体噴射あるいは赤外線照射による賦形体の加熱冷却を均一に且つ高速で効果的行うことができる。
以下、冷却手段、加熱手段、成形型、成形法の各構成要素に分けて説明する。
【0017】
<冷却手段を有する構成について>
本発明の装置構成の態様の1つは、冷却用熱媒体の噴射による冷却手段を有し、熱媒体噴射か又は赤外線照射による加熱手段を有しない構成である。
冷却手段は、上記成形型の上部または周辺に駐在し、樹脂シートの賦形後に成形型上部から、成形型に吸引固定されている賦形体に向けて冷却媒体を噴射して冷却を行うように構成される。冷却媒体としては空気、窒素、二酸化炭素などの圧縮された気体や、水、アルコール等の揮発性液体などを単独あるいは併用して用いることができる。なお、ドライアイスなど粉粒体を空気とともに吹き付ける方法もある。噴射装置は、多孔板の孔から噴射してもよく、任意の噴射ノズルを噴射してもよく、公知のどのようなものも用いることができる。
本発明の装置の具体例を
図1に示す。本図は、圧空又は真空賦形後、冷却手段40が成形型上部で作動して成形型に吸引固定されている賦形体を冷却している工程を示したものである。圧縮空気Aは、枝別れした導管44を通じて分配され、噴射ノズル43から噴射され賦形体110の面に衝突し反射され、配管間隙46を通って逸散する。なお45は導入管等の固定フレーム、60は成形型を示す。本図の構成では、前記加熱手段の存在し示されていないが、その存在がなくても、成形型の表面温度を十分高くして賦形工程を進めれば賦形体の熱処理は行うことができる。
【0018】
<加熱手段を有する構成>
本発明の装置構成の別の態様の1つは、熱媒体噴射か又は赤外線照射による加熱手段を有し、冷却用熱媒体の噴射による冷却手段を有しない構成である。
1)加熱気体を噴射する手段は、外部で加熱した圧縮気体を導入してノズルから噴射してもよく、あるいは通常の圧縮気体をボックス内に導入して加熱しながら細孔から噴射してもよく、知られている方法ならば何れの方法も利用できる。なお、高温の圧縮気体により圧空賦形を行いながら、そのまま続けて賦形体の昇温熱処理を行う方法は効率的であり好ましい。
2)赤外線を照射する手段は、赤外線照射ランプ、高熱の赤外線放射板等の照射手段を賦形体に近づけることにより実施できる。赤外線放射板の表面は黒体塗料等で放射効率が高められていることが望ましい。具体的に実施するには、真空成形を行いながら照射手段を賦形体に近づけてもよく、あるいは圧空賦形を行いながら圧空ボックスの底に設けた放射板により赤外線放射してもよい。なお、赤外線は近赤外線も遠赤外線も好適に利用できる。
これらの加熱手段は、圧空成形用の圧空ボックスに付加すると非常に好都合である。その具体的な例は
図2の一部に示す加熱された圧空ボックスである。加熱圧宿気体は外部から導入してもよく、又常温圧縮気体を圧空ボックス内で加熱できるようにしてもよい。なお上記に示す加熱手段は、赤外線圧空ボックスとは別に任意に構築してもよい。
なお、導入し排出される加熱気体の温度により熱処理の昇温を行う場合は、導入し排出する気体の温度は樹脂シートの予熱温度よりはるかな高温が望ましい。具体的には導入される圧縮気体の温度は250〜600℃であることが望ましい。例えば延伸PETシートの賦形に伴う熱固定では、熱板予熱は90〜100℃程度が適正であるが、排出口からの排出気体温度は250〜500℃であることが望ましい。気体の熱容量は小さいので、その熱量は賦形体を通じ成形型に散逸するので、この排出気体温度がこれ以下では迅速な昇温ができない。
なお、高温高圧気体は、空気、窒素、二酸化炭素などを圧縮し、更に別の装置で加熱したものが利用される。なおこれらに水分を含んだ乾燥過熱蒸気も好適に利用できる。
なお、この態様の構成では熱媒噴射による冷却手段は有しないが、それはなくとも成形型の背後体温度を十分に低く設定制御することにより、離型後に表面温度を自動的に元の低温に回帰させることができる。
【0019】
<冷却手段と加熱手段を合わせて有する構成>
本発明では、前記の冷却手段の他に、加熱気体の噴射手段かまたは赤外線を照射する手段を備え、成形型に固定されている樹脂シートの賦形体を加熱して後、冷却手段を作動させるように構成して、好ましい態様とすることができる。
図2にこの構成の具体例を示す。本図は、圧空賦形と共に外部から導入された加熱圧縮気体により賦形体の昇温熱処理が行われた後で、成形型上部に進入した冷却手段40が作動して成形型に吸引固定された賦形体を冷却している工程を示したものである。30は加熱手段で、40は冷却手段、20は収納ボックスに収納された成形型群を示す。30の加熱手段は、圧空ボックス本体31と、加熱ヒーター32、分配空間34、気体送出孔35からなっている。なお35を穿った気体送出面36には黒体塗装が施され、ヒーター32により高温に保たれ効率よく赤外線を放射するように構成されている。なお、加熱圧縮気体は外部から導入されるが、その生成装置は本図では省略されている。
40の冷却手段は、函体状の本体44、圧縮気体の導入路41、導入空間42、多数の噴射孔43より構成され、導入された圧縮気体が43から噴射される。20の成形型群は、複数の成形型を固定板96に固定し収納ボックス97に収納したもので、熱媒通路95を通る加熱熱媒により背後体92を介して 表面層91が加熱温調される。91の材料は面方向に大きな熱浸透率を有し自己均温化の機能を持っている。112は吸着固定されている賦形体の主要部、111は賦形体縁部である。
【0020】
<成形型について>
成形型は基本構成として、熱浸透率(b値)(kJ/
m2s1/2K)が0.01〜15である材料によりなる表面層と、この層の全展開面に広がる発熱手段又はこの層の展開面方向の熱移動を促進する手段を有するものとする。
ここに示されている二つの手段はいずれも、上記表面層の表面温度を適度で均一な温度に調整する手段である。前者の手段には全面に展開した発熱に温度の均等化が図られる。しかし前者後者共に成形型に別の加熱手段を備えたものの備えていないものも利用できる。手段の具体内容については各態様に区分して後述する。
熱浸透率(kJ/
m2s1/2K)が0.01〜15である材料は、プラスチックス、セラミックス、選ばれた少数の種類の金属材料等を挙げることができ、これらは熱成形の金型として通常使われるアルミニウム材、亜鉛合金材等よりも小さな値のものである。参考のために幾つかの材料の熱浸透率は表1に示すが、この表の記載の何かを限定するものではなく、記載のないものも任意に利用することができる。
そして、表面層材料の上記の熱浸透率は、10以下であることが好ましく、5以下であることが更に好ましく、3以下であることがまた更に好ましい。またこの表面層の厚みは0.04mm以上であることが好ましく、また0.06mm以上であることが更に好ましく、0.1mm以上であることがまた更に好ましい。又同厚みは30mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが更に好ましく、5mm以下であることがまた更に好ましい。
なお、上記表面層は層全体として上記の制約を満たす限りにおいて単層であってもよく多層であってもよい。
なお、成形型には、熱成形型の常法として賦形時の排気を行う微細孔が設けられ、真空吸引できるように装備される。
なお、上記熱浸透率の意味と各種材料のデータについては後に「本発明の内容についての補足説明」の欄と表1で詳述する。そして、また上記の数値限定の意義にいても同欄で説明する。
【0021】
本発明における「問題解決の手段」の3)の態様を説明する。この態様で用いる成形型は、上記所定の熱浸透率を有する表面層の背後の略全面に接して発熱層を設け、表面層を定常的に均一に加熱昇温するようにしたものである。発熱層の更なる背後については特定するものではない。表面層と発熱層のみで形状保持あるいは固定など成形型としての機能に不足がなければ、その背後の物体は必要がなく、必要に応じて背後体を設けて構成させればよく、その場合は熱浸透率10以下のできるだけ小さい材料が好ましい。発熱層の発熱常時おこなってもよく、また成形サイクルに合わせて断続させてもよい。
この態様の具体的な成形型の例を
図3に示す。背後に発熱層を有する成形型本体60は、61の表面層、65の発熱層、62の背後体からなり、63は真空排気孔、64は排気通路、66はリード線を示す。より具体的には、例えばセラミックス等を背後体とし、その上に面状発熱体を敷き詰めて貼り、更にその上に前記所定の熱浸透率を有する材料により表面層を形成させればよい。面状発熱体を貼る代わりに、背後体の上にニッケル系抵抗体金属をメッキしてエッチングし発熱体層を形成させてもよい。表面層材料としてはエポキシ樹脂、弗素樹脂、ポリイミド、PEEK等の耐熱樹脂などを挙げることができる。なお、図示はしていないが、背後体と表面層を通じ成形面に微細な熱電対先端を露出させて製作した成形型は、成形工程の管理に好都合である。
【0022】
本発明における「問題解決の手段」の4)の態様を説明する。この態様で用いる成形型は、上記所定の熱浸透率を有する表面層を直接発熱させるようにして表面層を定常的に均一な温度に調整するようにしたものである。表面層の背後には、背後層または背後体を構成し表面層の保持固定をする。背後層の材質及び形状については特定するものではないが熱浸透率10以下のできるだけ小さい材料が好ましい。なお表面層のみで形状保持あるいは固定など成形型としての機能が十分であれば、その背後の物体は必ずしも必要ではない。発熱層の発熱は常時おこなってもよく、また成形サイクルに合わせ適宜おこなってもよい。
この成形型の具体的な例を
図4に示す。 発熱する表面層を有する成形型70は、71の 発熱表面層、72の 背後体、73の真空排気孔、74排気通路、76のリード電線からなる。より具体的には、例えばセラミックス等を背後体とし、更にその上に表面層として前記所定の熱浸透率を有する面状発熱体を貼り付けるが、またはその上で形成させて製作することができる。市販の利用できる面状発熱体として、例えばグラフトカーボン(日本パイオニニクス株)を含む含浸体や複合樹脂体などを挙げることができる。
【0023】
本発明における「問題解決の手段」の5)の態様を説明する。この態様に用いる成形型は、上記所定の表面層の背後の略全面に密接して、熱浸透率(kJ/
m2s1/2K)が上記表面層のそれより大きな材料からなる蓄熱均一化層を設け、更にその背後に熱浸透率が上記蓄熱均一化層のそれより小さな材料による背後体を設けるようにしたものである。
この成形型では表面層の加熱昇温する手段は成形型に付随した構成であってもよいが、それはなくてもよく、その場合は成形プロセス中の赤外線照射あるいは高温気体の吹きつけによりそれを行うことができる。具体的にはこれらを利用する賦形体の熱処理を伴う成形を制御して連続的に繰り返すうちに表面層及びその下層を安定した温度に調整することができる。
この成形の場合、蓄熱均一化層の働きは、単に表面層の温度不均一を是正するのみならず、一つ前の成形サイクルの熱処理時の熱を蓄熱し、次のサイクルのために表面層に供給している働きをする。しかし、蓄熱均一化層は、背後体には熱を伝えることは必ずしも必要ではなく、別途の補助的加熱を行わないときは背後体への伝熱は少ないほど好ましい。
そのために、上記蓄熱均一化層の材料の熱浸透率は10以上であることが好ましく、15以上であることが更に好ましい。背後体の熱浸透率は15以下であることが好ましく、10以下で小さいことが更に好ましい。上記蓄熱均一化層の厚みは10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。またこの厚みは0.01mm以上であることが好ましく0.03mm以上であることが更に好ましい。このような限度の範囲外では、十分に蓄熱して表面層の温度回復できず、又十分に温度ムラを是正できない。また厚みが厚すぎる場合は、温度の定常化に時間がかかり又困難をともなう。
なお、背後体の形状厚みはどのようであってもよく、上記蓄熱均一化層の全面に密着する必要もなく、適度に空間を設けて断熱することはむしろ好ましい。
この成形型の具体的な例を
図5に示す。この成形型50は、51の表面層52の蓄熱均一化層、53の真空排気孔、54の排気通路、及び55の背後体から構成されている。51の表面層には、前記した材料を用いればよい。52の材料としては、銅(b値33.9)、アルミニウム(b値23.3)、炭化ケイ素(b値16〜21)等の材料を用いればよい。55の背後体には、エンジニヤリングプラスチック、選ばれたセラミックス等のb値の小さな材料を用いればよい。
【0024】
本発明における「問題解決の手段」の6)の態様を説明する。この態様に用いる成形型は、上記所定の熱浸透率を有する表面層の背面の全展開面に接した温度均一化層を形成させる。この温度均一化層は、平面の少なくとも一方向の熱浸透率が厚み方向のそれより大きい材料を用いることにより形成させることができる。温度均一化層の更なる背後については、表面層と温度均一化層のみで形状保持あるいは固定などができ、成形型としての機能に不足がなければその背後体は設けなくてもよい。背後体には加熱機構を設けて間接的に表面層を加熱温調してもよく、又それ設けないものも利用できる。背後体に加熱温調機構を設ける場合は背後体材料の熱浸透率は大きいことが望ましく、又10以上であることが望ましく、加熱温調機構を設けない場合はその熱浸透率は小さい方が望ましく、また10以下であることが望ましい。
この態様の具体的な成形型の例を
図6に示す。 温度均一化層を有する成形型80は、81の表面層、82の 温度均一化層、83の真空排気孔、84の 排
気通路、85の加熱オイル通路、86の 背後体、87の成形型固定板よりなる。
温度均一化層として利用できる代表例として延伸グラファイトシートを挙げることができる。更に表面層はエポキシ樹脂、弗素樹脂、ポリイミド、PEEK等の熱浸透率の小さな耐熱性樹脂により形成させればよい。
【0025】
本発明における「問題解決の手段」の7)の態様を説明する。この態様に用いる成形型は、上記成形型の表面層を厚み方向の熱浸透率を上記所定の値であるが、平面の少なくとも一方向の熱浸透率が厚み方向のそれより大きい値を有する材料により構成する。表面層の背後には、背後層または背後体を構成し表面層の保持固定をする。なお、背後体に加熱機構を設けて間接的に表面層を加熱温調してもよく、又それを設けないものも利用できる。
なお、背後体に加熱温調機構を設ける場合は背後体材料の熱浸透率は大きいことが望ましく、又10以上であることが望ましく、加熱温調機構を設けない場合はその熱浸透率は小さい方が望ましく、また10以下であることが望ましい。背後体の形状については特定するものではない。
この態様の具体的な成形型の例を
図7に示す。温度均一化機能を有する成形型90は、91の均一化機能を有する表面層、92の 背後体、93の真空排気孔、94の 排気通路、95の加熱オイル通路からなる。材料構成は、例えばアルミニウム背後体の上に前記の延伸グラファイトシートから成る表面層を形成
させればよい。
【0026】
<成形方法について>
前記した本発明の装置を用いて、樹脂シートの予熱工程、賦形工程、賦形体を樹脂シート予熱温度以上の高温に昇温する熱処理工程と、そして冷却工程を備える熱可塑性樹脂シートの成形方法を実施することができる。そして、これらの工程を高速で進めることができ、長尺の成形材料樹脂シートを用いて効率的な連続成形を行うことができる。
樹脂シートの予熱は、前記したごとく加熱板による直接加熱方式あるいは、赤外線照射、熱風オーブン等による間接加熱の方式で行うことができる。
これに次ぐ賦形工程は、公知の真空成形、圧空成形、真空圧空成形あるいは嵌合ダイプレス成形の方法で行うことができ、特に真空圧空成形の方法は好ましく利用できる。
なお、嵌合ダイ(コアキャビティ型)を用いて成形する場合はコアとキャビティの何れか一方が本成形型の構成をしておればよく、その場合他方で、加熱あるいは冷却の媒体を噴射させるようにしてもよく、好都合である。
賦形体の高温熱処理は、1)に加熱温調された成形型を用いるか、あるいは2)賦形体への赤外線照射そしてまたは加熱圧縮気体の噴射により行うことがでる。また、1)、2)の方法をそれぞれ単独でおこなってもよく、また併用してもよい。
なお、圧空賦形は常温気体により行ってもよいが、加熱気体により圧空賦形を行い引き続いて加熱気体噴射による賦形体の加熱処理を行うことは望ましい。なお、赤外線照射や加熱気体噴射を利用して圧空賦形を行う場合には、厳密には隣の工程と重なり合って進められ、これらの加熱手段で予熱の補充がおこなわれ、また賦形が進みながら材料の昇温がなされることもある。
続く冷却工程では、必要により冷却手段が成形型上部に引き寄せ、冷却媒体の噴射により成形型に真空固定されている賦形体を冷却して、最後に真空固定を解除して離型する。
通常の熱成形は、樹脂シートの予熱、賦形、冷却、離型の過程を経てなされる。これに対して本発明の方法では賦形から冷却までの間に、樹脂シートの賦形時以上の高温の熱処理を行うことでき、またこれを高速連続で実施できることが特徴である。
本発明の方法に適する成形材料については後の「本発明の応用分野と利点」の欄で述べる。
(本発明の内容についての補足説明)
【0027】
(1)<熱浸透率について>
本発明の規定値として用いた熱浸透率(b値)(kJ/
m2s1/2K)は接触する物体と界面を通過して移動する熱量にかかわる物体の特性値であり、次の式で求められる。
b=
(λρC)1/2 ・・・・・(1)
λ; 熱伝導率(J
s−1m−1K−1)
ρ; 密度(kg
m−3)
C; 比熱(J
kg−1K−1)
このb値が小さい物体は界面に少ない熱量しか流さず相手物体に大きな温度変化を与えず、また界面間近では相手物体から大きな温度影響をうける。
従って、このb値が小さい材料を成形型表面材料として用いた場合は賦形体からの熱を拡散させないので、高温気体と冷却用気体により賦形体を容易に加熱冷却することができる。しかし背後層の熱を容易に表面層表面(賦形体体との界面)に伝えないので、表面温度の均一性が高く、高速で安定な条件設定のためには、表面層の厚みを小さくするか、あるいはこのb値をある程度大きくすることにより、成形材料に合わせて最適にすることができる。
なお、b値の参考例を示すと例えば、アルミニウム材は17〜23程度、鉄材は13〜16程度、銅34程度、不錆鋼(SUS306)は8.0で、多くの合成樹脂は0.2〜0.8程度、多くのセラミックスは1〜20の間に入る。
なお、参考のために表1にいくつかの材料のb値を例示するが、但しこれは本発明でのどこかで使用する材料を特定したものではない。なお、b値も測定温度により若干違った値を示すが、本願においては、厳密には20℃の測定値にて規定することする。 ただし、20℃から200℃の間の変化に直線性を有しない材料、例えば相変化を伴う蓄熱剤などとの複合材料の場合は、100℃、150℃の値の平均値を採用することとする。 なお、同じ材質でも、発泡体あるいは多孔体などに形態が変われば、この値が大きく変わることは留意を要する。
【表1】
【0028】
(2)<成形型構成の数値限定の意義について>
上記成形型の表面層として熱浸透率b値の大きな表面材料を用いた場合は、賦形体から容易に熱を背後に分散させてしまうので、熱容量の比較的に熱容量の小さい加熱空気や冷却空気では容易に賦形体を加熱冷却できなくなり、この値が10を超える材料である場合は、能率的に熱処理を行う成形を行うことができない。この値は小さいほうが好ましいが、0.01より小さいものは強度など使用に耐える材料がない。
この場合、表面層の厚みが30mmを超える場合は背後層の制御が、上記表面温度と呼応して定常状態に至る時間がかかりすぎ、実施的に効果がない。また、この厚みが0.03mmを下回る場合は背後層の温度の影響を大きく受けて、迅速な賦形体の昇温降温を促進する効果がなくなる。例えば、公知の成形方法において、潤滑離型のために金型に仮に弗素樹脂等のコートが成されることがあったしても、そのコート厚みは30μm以下の薄いものであり、それを厚くする必要もなく又均一な厚肉塗布が困難でもあり、本発明の効果を発揮させるよう成形型は従来から製作されてこなかった。
【0029】
(3)<賦形体の温度測定について>
なお、本発明の装置においては、なんらかの方法で成型型表面温度あるいはと型と賦形体の界面温度の変化、または賦形体の温度変化を測定することは重要である。具体的には例えば、成形型の成形面上に、極めて繊細な測定プローブ、例えば線径0.1mm程度の熱電対先端を突出させておいてこれを測定することができる。別の方法としては賦形体を赤外線温度計非接触で測定する方法がある。繰り返し成形で表面層の表面温度は上昇下降の一定のサイクルを描くことになる。
なお賦形材料の熱処理温度あるいは離型可能温度を厳密に考えるとき、賦形体厚み方向で温度傾斜があり、ここで示される表面温度あるいは界面温度と賦形体温度はかなり乖離があることは留意する必要がある。また、赤外線等で賦形体裏面から温度測定も、一般的には賦形体温度を正確に表すものでなない。
【0030】
<本発明の応用分野>
高温の熱処理を必要とする具体的な用途を挙げると、(1)延伸ポリエステルの熱固定成形に特に好適に利用でき、その他にも、熱可塑性ポリエステル樹脂、PLA樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド、PEEK等の結晶性樹脂の延伸シートの熱固定を伴う成形に利用できる。またその中でも延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートの熱固定を伴う熱成形に特に好適に利用することができ、予熱の適温の80〜100℃に加熱し、熱固定に適する160〜190℃に迅速に加熱しそして迅速冷却離型するというプロセスを担うことができる。そして安定で効率よくまた連続的に高透明、高耐熱で高剛性の好ましい成形品を得ることができる。
また特に延伸処理を行っていない材料、例えば(1)通常の結晶性PET(CPET)の成形、あるいはまた(3)ポリプロピレンのSPPF成形(固相高圧成形)に応用し、この成形方法の欠点を解決(残留応力歪みを緩和して耐熱寸法安定性を向上)する新規の方法等を提案することができる。
【実施例1】
【0031】
本発明の成形装置の重要要素である成形型の製作例のみ記し、装置の他構成要素については本文中に詳述しているのでここでは記載を省略する。
1)
図3の成形型の製作例
易切削性のセラミックス材料であるマコール(石原薬品、b値1.7)を切削加工して背後体を製作し、その上に、ニッケル合金薄膜をパターン加工した抵抗発熱体をPEEK樹脂薄膜で挟んだ面状発熱体を全面に敷き詰めて接着剤で点付けし、更にその上に表面層として予熱したPEEK樹脂フイルム(Victrex社製 厚み0.2mm、 b値0.35)を圧空賦形して真空で固定し、そのままの状態で本体と共に380℃に加熱焼成した。この焼成により各層間の接着がなされると共にPEEK樹脂の結晶化が進み耐熱性の高いものとなった。なお、成形物は75×150mmの方形で深さ30mmのトレー形状物で、成形型の外寸を84×168mmの方形で高さ55mmとした。
なお、表面層の厚みは約0.2mmとなった。又表面層のPEEK樹脂は結晶化によりb値が多少大きくなっていると思われるが、本発明の最も好ましい範囲を超えるものではない。
この型の昇温テストを行ったが、表面温度を180℃としたとき、バラツキは数度以内で、非常に好ましことがわかった。
なお、図示はしていないが、背後体と表面層を通じ成形面に微細な熱電対先端を露出させて製作した。
2)
図4の成形型の製作例
上記1)と同材料で背後体(背後層)を製作し、その上にテープ状のグラフトカーボン含浸ガラスクロス(日本パイオニニクス製、両端からの通電により発熱する材料)並べて貼り、更にPEEK粉体懸濁液(オキツモ製)を塗布して浸みこませて乾燥させ、全体を380℃で焼成することにより製作した。形成された表面層の熱浸透率の値は正確に測定されていないが、用いた材料から考えて0.5〜2.0程度と推定され、本発明の最も好ましい範囲を超えるものではではない。
なお、成形品及び成形型の寸法形状は上記1)と同じにした。
この型の昇温テストを行ったが、表面温度を180℃としたとき、バラツキは数度以内で、非常に好ましことがわかった。
3)
図5の成形型の製作例
ポリイミド樹脂ブロック材料(デュポン社のベスペル、b値0.36)を切削加工して背後体を製作し、この上に銅メッキ(厚み0.2mm)を施して温度均一化層とし、更にその上に耐熱エポキシ樹脂のコーティング(b値0.7、 厚み0.25mm)を行ってこれを表面層とした。なお、コーティングムラは機械加工で切削修正した。また、温度均一化層及び成形表面には繊細な温度センサー先端を接触させて設けた。なお、成形品及び成形型の寸法形状は上記1)と同じにした。
この成形型自体には、加熱手段は装備されていないので、外線照射をともなって加熱気体噴射のできる本発明の装置にて成形テストを行った。先ず、成形材料を装着せず加熱気体噴射による加熱と常温空気噴射による冷却を成形サイクルの間隔で繰り返して、温度均一化層をある定常温に昇温させておいて実際の熱処理を伴う成形テスト行った。成形テストを繰り返し連続しても成形品のエッジ部で白化や亀裂、部分的な透明度低下などの不均部分が発生することはなかった。
この成形結果では、蓄熱均一化層が、単に表面層の温度不均一を是正するのみならず、一つ前の成形サイクルの熱処理時の熱を蓄熱し、次のサイクルで表面層に供給する成形を続けることができたことを示している。
4)
図6の成形型の製作例
アルミニウム材料A5052(b値17.4)を切削加工して背後体を製作し、この上に延伸グラファイトシート(大塚電機製、SS400 厚み0.13mm)を耐熱性接着剤を用いて積層し、約0.3mmの厚みを有し、温度の自己均一化機能を有する層を形成させ、更にその上に、上記1)の例と同用にPEEKシートを圧空賦形し、同用に焼成して表面層を形成させた。この成形型を、カートリッジヒーターを内臓する固定板に固定した。表面層は約0.16mmの厚みを有し上記1)と同じb値を有するもので、背後層から温度の均一化の作用を受けることができる。
なお、成形品及び成形型の寸法形状は上記1)と同じにした。
固定板を昇温し、この型の昇温テストを行ったが、表面温度を180℃としたとき、バラツキは数度以内で、非常に好ましことがわかった。
5)
図7の成形型の製作例
上記3)と同じアルミニウム材料A5052を切削加工して背後体を製作し、この上に同じ延伸グラファイトシートを耐熱性接着剤を用いて積層し、約0.3mmの厚みを有し、温度の自己均一化機能を有する層を形成させ、この層をそのまま表面層とした。また、背後体内部には熱媒体通路を設けた。
なお、成形品及び成形型の寸法形状は上記1)と同じにした。
なお、用いたグラファイトシートのb値は、厚み方向で3.5、水平方向で29.1であり、本発明の好ましい表面層を形成している。なお、この型を加熱された固定板搭載し、昇温テストを行ったが、表面温度を180℃としたとき、バラツキは数度以内で、非常に好ましことがわかった。
【実施例2】
【0032】
図3に示す構造で表面層と背後発熱層を有する成形型を用い、常温圧空で成形型を高温設定にして熱処理を行う方法で、延伸PETシートの熱成形をおこなった。
1)成形材料;ホモポリエチレンテレフタレート樹脂の2.5倍一軸延伸シー(但し熱固定を行っていないもの)、厚み0.23mm非熱固定品を使用した。
2)成形装置
成形機;枚葉真空圧空成形機、圧空能力10ton、赤外線予熱オーブン装
備のものを使用した。
圧空手段;公知の常温圧空成形用圧空ボックスを使用
圧空ボックスはアルミ製で圧空面の寸法170×170mm
冷却手段;
図1の40に示す方式のものを使用した。
成形型;
図3に示す構造のもので、実施例1の1)で示すもの2個を加熱機
構のない固定板に並べて固定板に固定し、内寸170×170mmの収納ボックスに収めた。なお、成形型の上面は収納ボックス側壁より3mm低くなるようにした。
温度測定;成形面には細線熱電対先端露出させて這わせ、成形面温度及び賦形体界面温度を測定できるようにした。また、同様に細線熱電対を圧空ボックス空間に差し入れて配置して圧空温度の測定ができるようにした。
3)成形方法と成形条件;
樹脂シートの予熱温度;予熱オーブンで約95℃に予熱
表面層表面の予熱温度;185℃
圧空ボックス多孔板表面温度;約35℃
真空圧空賦形; 圧力0.4MPaの常温圧縮気体を使用 5秒、
圧空空間は閉鎖空間であり、実質的に賦形後の噴射は行われていない。
熱処理温度(界面温度);約177℃
賦形時に上記表面温度は瞬間的に約10数度℃低下し、すぐに回復してこの 温度になった。
冷却手段作動時間 ;3秒
離型時に表面(界面)温度は120℃に低下し、その後数秒で元の設定温度 に回復した。ただし加熱層通電のまま冷却した。
4)成形結果;
得られた成形品は良好な形状、透明で且つ均一なものであった。耐熱120℃のシリコンオイルの2分間浸漬試験で、目立った変形はなく耐熱性の優れたものであった。使用した成形型では、表面温度設定が容易で、又容易にブロウ冷却ができ、そして、表面温度の回復が速く、高速成形ができることがわかった。
なお、なお、短尺シートによる、繰り返しテストでも安定に成形できることがわかった。
【実施例3】
【0033】
図2の30に示す装置で、加熱媒体の噴射による圧空成形と熱処理を行う方法で、同じ延伸PETシートの熱成形をおこなった。但し成形型は実施例2と同じものを用いた。また、
図1の40のような冷却手段を用いた。
1)成形装置
成形機;実施例2と同じもの
圧空賦形及び加熱手段;
図2の30のような形式の加熱圧空ボックスを使用した。な お、外部から加熱圧縮気体を導入するようにし、噴射面は、黒体塗装を行い又内部の ヒーターにより高温保持し、効率良く赤外線照射できるようにした。なお、圧空ボッ クス側壁の比較的下部に、排気孔を設け圧空空間から任意に排気する
ようにした。圧空ボックスはアルミ製で圧空面の寸法は170×170mmであっ た。
2)成形方法と成形条件
樹脂シートの予熱;実施例2と同様に約95℃に予熱した。
圧空ボックス多孔板設定温度;350℃
成形型設定表面温度;発熱体層の制御により175℃に設定
成形型/賦形体界面の到達最高点温度; 180℃
圧空ボックスへの外部からの導入空気;350℃、元圧0.4MPa
圧空真空圧空賦形; 4秒、 圧空圧0.2MPa、
圧空空間は完全閉鎖でなく、高温圧空空気の排気がなされながら賦形と賦 形体の昇温が行われた。
冷却手段の空気ブロウ時間 ;6秒
離型時に表面(界面)温度は130℃に低下した、その後数秒で元の設定温 度に回復した。なお冷却は加熱層通電のまま行った。
3)成形結果 ;
得られた成形品は良好な形状、透明で且つ均一なものであった。耐熱性は実施例2と同様のテストで、150℃で変形、目立った収縮はなく優れたものであった。なお、短尺シートによる、連続繰り返しテストでも、成形品のエッジのエッジ部分の亀裂や白化、あるいは肌理低下部分の発生がなく均一な成形品を安定に高速で成形できることがわかった。
【実施例4】
【0034】
成形型を変更した他は、実施例2と同じ成形装置と同じ成形材料を用いて熱成形を行った。成形型は実施例1の2)のもの、すなわち表面層自体が発熱機能を有する成形型2個を実施例2と同様の固定板に固定し同様に収納ボックスにし収容したものを使用した。
1)成形方法と成形条件
樹脂シートの予熱;約95℃
圧空ボックス多孔板表面温度;約35℃
成形型設定表面温度;180℃
成形型/賦形体界面の到達最高点温度;180℃
圧空ボックスへの外部からの導入空気;約25℃、0.4MPa
圧空真空圧空賦形;4秒、 0.2MPa 同時に真空作動
冷却手段の空気ブロウ時間;5秒(冷却時は表面加熱通電は停止)
2)成形結果
透明で均一性の高い外観の成形品が得られた。そして高速成形ができることがわかった。なお、短尺シートによる、連続繰り返しテストでも、成形品のエッジのエッジ部分の亀裂や白化、あるいは肌理低下部分の発生がなく均一な成形品を安定に高速で成形できることがわかった。
【実施例5】
【0035】
成形型を変更した他は、実施例3と同じ成形装置と同じ成形材料を用いて熱成形を行った。成形型は、実施例1の3)のもの、すなわち表面層の背後に温度均一化機能を有する成形型2個を加熱ヒーターを内蔵する固定板に固定し収納ボックスにし収容したものを使用した。
1)成形方法と成形条件
樹脂シートの予熱;約95℃
圧空ボックス多孔板表面温度;400℃
成形型設定表面温度;160℃
成形型/賦形体界面の到達最高点温度;182℃
圧空ボックスへの外部からの導入空気;400℃ 0.4MPa
圧空真空圧空賦形;4秒 0.2MPa
冷却手段の空気ブロウ時間;4秒
2)成形結果
透明で均一性の高い外観の成形品が得られた。そして高速成形ができることがわかった。なお、短尺シートによる、連続繰り返しテストでも、成形品のエッジのエッジ部分の亀裂や白化、あるいは肌理低下部分の発生がなく均一な成形品を安定に高速で成形できることがわかった。
【実施例6】
【0036】
成形型を変更した他は、実施例3と同じ成形装置と同じ成形材料を用いて熱成形を行った。成形型は、実施例1の4)のもの、すなわち表面層自体が温度均一化機能を有する成形型2個を実施例2と同様の加熱機構を有しない固定板に固定し同様に収納ボックスにし収容したものを使用した。
1)成形方法と成形条件
樹脂シートの予熱;約95℃
圧空ボックス多孔板表面温度;400℃
成形型設定表面温度;175 (熱媒通路への通油により加熱)
(表面のどの部分も殆ど温度差なく設定できることを確認した。)
成形型/賦形体界面の到達最高点温度;183
圧空ボックスへの外部からの導入空気;400℃ 0.4MPa
圧空真空圧空賦形;4秒 0.2MPa
冷却手段の空気ブロウ時間;6秒
2)成形結果
透明で均一性の高い外観の成形品が得られた。そして高速成形ができることがわかった。なお、短尺シートによる、連続繰り返しテストでも、成形品のエッジのエッジ部分の亀裂や白化、あるいは肌理低下部分の発生がなく均一な成形品を安定に高速で成形できることがわかった。
(比較例1)
【0037】
実施例2と同じ装置で、成形型のみ公知の通常用いられるものを装着し、実施例2と同じ成形材料シートを使用して以下のテストを行った。成形型は、一般的に用いられるアルミニウム材A5052製の単純構成のものを、カートリッジヒーターを装着した固定板に固定して使用した。なお、A5052のb値は17.4であり、本発明に用いる成形型の表面層形成に適さないものである。
1)成形方法と成型条件
樹脂シートの予熱; 予熱オーブンで約95℃に予熱
真空圧空賦形; 0.4MPa、3秒 常温気体による圧空と同時に成形型側 の真空引きも作動させた。なお、圧空空間は閉鎖されており、実質的に賦 形後の空気ブロウは行われていない。
成形型設定表面温度;185℃ (固定板温度調整により)
成形型/賦形体界面の熱処理温度;175℃
賦形の瞬間に、成型型表面温度(界面温度)は約10℃低下し、熱処理温度は約 175℃となった。
冷却手段作動時間;20秒
離型時の成型型表面温度(界面温度)は大約155℃であった。
2)テストの結果;
冷却ブロウ時間を20秒として、一応の形状を保って離型できたが、十分に精密なものではなかった。
更にこの方法は、長い冷却時間とともに、離型後の上記表面温度の予熱温度への回帰に少なくとも10秒程度の時間を要し、高速の連続成形に適し難いことがわかった。
(比較例2)
【0038】
実施例3と同じ成形装置で、比較例1同じ成形型を使用し、実施例1と同じ成形材料シートを使用して以下のテストを行った。成形型は、アルミニウム単体のものを固定板に固定して使用した。
1)成形方法と成型条件
樹脂シートの予熱;予熱オーブンで約95℃に予熱。
成形型表面温度;固定板温度の設定調整により、155℃に予熱してテストした。
加熱板への導入空気; 温度400℃、元圧0.4MPa
真空圧空賦形;0.2MPa、6秒
(但し成形型側の真空引きも同時作動)
圧空空間は完全閉鎖でなく、高温圧空空気を一部排気しながら賦形と賦形体の昇温 を行った。
成形型/賦形体界面の到達最高点温度;成形型表面(界面)温度の降下はなく、約 10℃上昇し約170℃になった。
冷却手段作動;空気ブロウを20秒作動させて離型、
2)テストの結果;
成形品は、20秒という長時間冷却ブロウで、一応の形状を保持して離型できたが、十分に精密なものではなかった。
なお、離型後の上記表面温度の設定予熱温度への回帰も少なくとも10秒程度の時間を要し、この装置構成は高速の連続成形に適し難いことがわかった。
(比較例3)
【0039】
実施例3と同じ装置で、成形型のみ変更し、同じ成形材料を使用し、成形テストを行った。成形型は、ウレタン樹脂発泡体(三洋化成製、サンモジュール33)から切削加工により製作した公知の単純構成ものを、加熱ヒーターを内蔵するアルミニウム製固定板に固定して使用した。 なお、型材のb値 は、0.7で、本発明に用いる成形型の表面形成の素材としての制約を満たすものである。
1)成形方法と成型条件
樹脂シートの予熱; 予熱オーブンで約95℃に予熱
成形型表面予熱温度;75℃ 、但し上記の固定板による加熱と同時に約温度 不均一甚だしい。
300℃の熱風ブロウによりこの温度に予熱した。
加熱板への導入空気温度; 400℃
真空圧空賦形;0.2MPa、8秒、(成形型側の真空引きも同時に作動)、 圧空空間は完全閉鎖でなく、高温圧空空気の排気がなされながら賦形と 賦形体の昇温が行われた。
成形型表面(界面)温度の降下はなく、183℃に上昇した。
冷却手段作動;空気ブロウを5秒作動させて離型、
離型時の成形型表面(界面)温度は113℃であった。
2)テストの結果;
成形型の背後体加熱の方法では、又部位による温度差は数10℃に及び、また必要な表面温度に達せしなかった。成形テストは、実用的ではないが、熱風で補助的に予熱して行った。最初に得られた成形品は、良好で耐熱性もあった。この装置構成では、冷却は非常に容易であるが、大幅な昇温のために過酷な加熱条件設定が必要であった。そのため繰り返しテストを行うと、成形型表面層の部位による温度ムラが次第に大きくなり、遂についには、エッジ部などが過熱で亀裂を生ずるなど成形に支障
を来し下した。