(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)を含有してなり、
炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、炭化水素油(A)の含有量が5〜50重量%、水(B)の含有量が40〜90重量%、疎水シリカ粒子(C)の含有量が0.1〜10重量%、ポリオキシアルキレン化合物(D)の含有量が0.5〜10重量%、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の含有量が0.05〜3重量%であることを特徴とする消泡剤。
【発明を実施するための形態】
【0007】
炭化水素油(A)としては、鉱物油、動植物油及び合成潤滑油が含まれる。
【0008】
鉱物油としては、スピンドル油、マシン油及び冷凍機油等が挙げられる。
動植物油としては、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油及びパーム核油等が挙げられる。
合成潤滑油としては、ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等が挙げられる。
【0009】
炭化水素油(A)には、動粘度(mm
2/s;40℃)が0.5〜30で、アニリン点が50〜100℃である炭化水素油(A1)を必須構成成分として含むことが好ましい。
【0010】
炭化水素油(A1)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)の重量に基づいて、15〜100が好ましく、さらに好ましくは20〜95、特に好ましくは25〜90である。この範囲であると、ハジキの発生抑制及び消泡性がさらに優れ、かつ塗膜のグロス値低下の抑制にさらに優れる。
【0011】
動粘度(mm
2/s;40℃)が0.5〜30、アニリン点が50〜100℃の炭化水素油(A1)としては、鉱物油及び合成潤滑油が含まれる。
この炭化水素油(A1)の動粘度(mm
2/s;40℃)は、0.5〜30が好ましく、さらに好ましくは0.8〜27、特に好ましくは1〜25、最も好ましくは2〜20である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
この炭化水素油のアニリン点(℃)は、50〜100が好ましく、さらに好ましくは52〜95、特に好ましくは55〜90、最も好ましくは60〜85である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0012】
炭化水素油(A)は市場から容易に入手でき、たとえば、表1の商品等が挙げられる。
【0014】
水(B)としては、水道水、工業用水、脱イオン水及び蒸留水等が挙げられる。
【0015】
疎水シリカ粒子(C)としては、非晶質合成シリカを疎水化剤で疎水化処理して得られる疎水性シリカが含まれる。
【0016】
非晶質合成シリカとしては、湿式法(ゲル法、沈降法)シリカ及び気相法(熱分解法、溶融法)シリカが含まれる。なお、非晶質合成シリカは粒子表面にシラノール基を有するため、親水性を示す。
【0017】
(1)ゲル法シリカ:酸性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られ、凝集構造を有する。
(2)沈降法シリカ:アルカリ性環境下にて珪酸ソーダを酸で中和し、生じた析出物をろ過、乾燥することによって得られ、細孔容積が大きく、比表面積が大きい。
(3)熱分解法シリカ:四塩化珪素等の珪素化合物を酸水素炎中で燃焼させて得られ、一次粒子として存在し易い。
(4)溶融法シリカ:天然のシリカ粉末等を火炎中で溶融して得られ、一次粒子として存在し易い。
【0018】
非晶質合成シリカは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
<熱分解法シリカ>
Aerosilシリーズ{日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社、「Aerosil」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Reolosilシリーズ{株式会社トクヤマ、「Reorosil」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Cab−O−Silシリーズ{キャボット社、「Cab−O−Sil」はキャボットコーポレーションの登録商標である。}等。
【0019】
<溶融法シリカ>
Admafineシリーズ{株式会社アドマテックス社、「Admafine」は株式会社アドマテックスの登録商標である。}、Fuselexシリーズ{株式会社龍森}、デンカ溶融シリカシリーズ{電気化学工業株式会社}等。
【0020】
<沈殿法シリカ>
Nipsilシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、Sipernatシリーズ{エボニック デグサ ジャパン株式会社、「Sipernat」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。}、Carplexシリーズ{DSL.ジャパン株式会社、「Carplex」はDSL.ジャパン株式会社の登録商標である。}、FINESILシリーズ{株式会社トクヤマ、「FINESIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、TOKUSIL{株式会社トクヤマ、「TOKUSIL」は株式会社トクヤマの登録商標である。}、Zeosil{ローディア社、「Zeosil」はロディア シミ の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0021】
<ゲル法シリカ>
Carplexシリーズ、SYLYSIAシリーズ{富士シリシア株式会社、「SYLYSIA」は有限会社ワイ・ケイ・エフ の登録商標である。}、Nipgelシリーズ{東ソー・シリカ株式会社、「Nipgel」は東ソー・シリカ株式会社の登録商標である。}、MIZUKASILシリーズ{水澤化学工業株式会社、「MIZUKASIL」は水沢化学工業株式会社の登録商標である。}等。
【0022】
疎水化剤としては、ハロシラン及びアルコキシシランが含まれる。
ハロシランとしては、炭素数1〜12のアルキル基及び/又はアリール基を有するアルキルハロシラン及びアリールハロシランが含まれ、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン及びt−ブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0023】
アルコキシシランとしては、炭素数1〜12のアルキル基若しくはアリール基及び炭素数1〜2のアルコキシ基を有するアルコキシシラン、並びに炭素数1〜2のアルコキシ基を有するアルコキシシランが含まれ、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
疎水化剤として、以上の他に、公知のカップリング剤(上記以外のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びジルコアルミネートカップリング剤等)等も使用できる。
【0025】
これらの疎水化剤のうち、製品安定性等の観点から、ハロシラン及びアルコキシシランが好ましく、さらに好ましくはアルコキシシランである。
【0026】
疎水化剤による非晶質合成シリカの疎水化としては、公知の方法が適用でき、たとえば、疎水化剤と非晶質合成シリカとの混合物を攪拌しながら、疎水化剤を非晶質合成シリカの表面に吸着又は反応させて疎水化する乾式法等が適用できる。
【0027】
疎水化剤を非晶質合成シリカの表面に吸着又は反応させる方法において、(1)非晶質合成シリカの表面にある官能基と疎水化剤の持つ官能基との縮合反応、(2)非晶質合成シリカのもつ細孔への物理吸着、及び(3)非晶質合成シリカの表面電荷と疎水化剤のイオン性官能基との電気的な吸着等を利用することができる。これらのうち、凝集を防ぎ一次粒子径を保つためにも、(1)非晶質合成シリカの表面にある官能基と疎水化剤の持つ官能基との縮合反応による方法が好ましい。
【0028】
疎水化剤で疎水化する場合、加熱処理することができる。加熱処理する場合、加熱温度(℃)としては、40〜200が好ましく、さらに好ましくは50〜180、特に好ましくは60〜160である。
【0029】
疎水化剤を非晶質合成シリカの表面に反応させる方法において、反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)の存在下で行うことができる。
【0030】
疎水化剤を用いて疎水化する場合、疎水化剤の使用量(重量%)としては、非晶質合成シリカの重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは3〜40、特に好ましくは5〜30である。この範囲にあると消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0031】
疎水シリカ粒子(C)の体積平均粒子径(μm)は、1〜8が好ましく、さらに好ましくは1.5〜7、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは3〜5である。この範囲であると消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0032】
体積平均粒子径は、測定試料を適当な分散媒(たとえば、水、メタノール及びこれらの混合物)に分散させ、JIS Z8825−1−2001「粒子径解析−レーザー回折法−第1部」:測定原理に記載された測定原理を有するレーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、株式会社島津製作所製SALD−1100、株式会社堀場製作所製LA−950、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−ST150等、「マイクロトラック」はリーズ、アンド、ノースラップ、カンパニーの登録商標である。)等により測定される。
【0033】
疎水シリカ粒子(C)のM値は、30〜80が好ましく、さらに好ましくは40〜75、特に好ましくは50〜73、最も好ましくは60〜70である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
なお、M値は、疎水性の程度を表す概念であり、M値が高いほど親水性が低いことを示し、水・メタノール混合溶液に疎水性微粒子を均一分散させる際、必要最低量のメタノールの容量割合で表され、次の方法で求めることができる。
【0034】
<M値算出法>
測定試料(シリカ粒子)0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットからシリカ粒子の全量が懸濁するまで滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌し、測定試料(シリカ粒子)の全量が溶液中に均一懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率がM値となる。すなわち、(滴下したメタノールの容量)×100÷{(滴下したメタノールの容量)+50}がM値として算出される。
【0035】
疎水シリカ粒子(C)は市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品等が挙げられる。
【0036】
<沈殿法シリカを疎水化したシリカ粒子>
Nipsil SSシリーズ(SS−10、SS−40、SS−50及びSS−115等){東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社 の登録商標である。)}、Sipernat D及びCシリーズ(D10、D17、C600及びC630等){デグサジャパン株式会社}、並びにSYLOPHOBICシリーズ(100、702、505及び603等){富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は富士シリシア化学株式会社の登録商標である。}等。
【0037】
<熱分解法シリカを疎水化したシリカ粒子>
Aerosil シリーズ(R972、RX200、RY200、R202、R805及びR812等){日本アエロジル株式会社及びエボニック デグサ社}、Reolosil MT及びDMシリーズ(MT−10、DM−10及びDM−20等){株式会社トクヤマ}、(TS−530TS−610TS−720等){キャボットカーボン社}等。
【0038】
ポリオキシアルキレン化合物(D)としては、ポリオキシアルキレン鎖を含む化合物であれば制限なく使用できる。ポリオキシアルキレン鎖を構成するオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン)等が含まれる。
【0039】
ポリオキシアルキレン鎖には、1種類のオキシアルキレン基から構成されていてもよく、2種以上のオキシアルキレン基から構成されていてもよい。2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、結合様式はブロック、ランダム及びこれの混合のいずれでもよい。
【0040】
ポリオキシアルキレン化合物(D)のHLBとしては、消泡性の観点から1〜8が好ましく、さらに好ましくは1.5〜7.5、特に好ましくは2〜7で、最も好ましくは2.5〜6.5である。
【0041】
HLBはグリフィンの式から計算される(藤本武彦著「界面活性剤入門」、141〜145頁(2007年)等)。なお、グリフィンのHLBは、ポリオキシエチレン鎖以外のポリオキシアルキレン鎖を持つ非イオン界面活性剤への適用はできないと、通例とされているが、本発明においては、ポリオキシエチレン鎖のみを親水基とし、これ以外のポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシプロピレン鎖等)は疎水基として計算するものとする。
【0042】
ポリオキシアルキレン化合物(D)は市場からも容易に入手でき、たとえば以下の商品等が挙げられる。
【0043】
ポリオキシエチレングリコール{PEG1000(HLB=20.0、三洋化成工業(株)製)、PEG2000(HLB=20.0、三洋化成工業(株)製)};ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエステル{イオネットMO200(HLB=8.4、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である(以下同じ))、イオネットMO600(HLB=13.7、三洋化成工業株式会社)};ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル{イオネットDO600(HLB=10.4、三洋化成工業株式会社)};ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール{ニューポールPE−61(HLB=2.3、三洋化成工業株式会社、「ニューポール」は同社の登録商標である(以下同じ))、ニューポールPE−62(HLB=4.2、三洋化成工業株式会社)、ニューポールPE−64(HLB=8.0、三洋化成工業株式会社)、ニューポールPE−68(HLB=16.3、三洋化成工業株式会社)、ニューポールPE−71(HLB=2.1、三洋化成工業株式会社)};ポリオキシアルキレンアルキルエーテル{エマルミン40(HLB=8.0、三洋化成工業株式会社、「エマルミン」は同社の登録商標である(以下同じ))、エマルミン70(HLB=10.8、三洋化成工業株式会社)、エマルミン110(HLB=13.2、三洋化成工業株式会社)、エマルミンCO−50(HLB=9.0、三洋化成工業株式会社)、ナロアクティーN−50(HLB=10.0、三洋化成工業株式会社、「ナロアクティー」は同社の登録商標である(以下同じ))、サンノニックSS−50(HLB=10.5、三洋化成工業株式会社、「サンノニック」は同社の登録商標である(以下同じ))};ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル{イオネットS−85(HLB=1.8、三洋化成工業株式会社)、イオネットS−80(HLB=4.3、三洋化成工業株式会社)、イオネットT−60V(HLB=14.9、三洋化成工業株式会社)}
【0044】
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)とは、アクリル酸及び/若しくはメタクリル酸と、アクリル酸アルキル及び/若しくはメタクリル酸アルキルとの共重合体、並びに/又はこの共重合体の塩を意味する。またアルキル基の炭素数は10〜30であるのが好ましい。
【0045】
共重合体塩としては、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等)塩、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン等)塩、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0046】
アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩の構成単位の含有量(モル%)は、アクリル酸、メタクリル酸、これらの塩、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルの構成単位のモル数に基づいて、1〜98が好ましい。
【0047】
アクリル酸の塩及びメタクリル酸の塩の構成単位の含有量(モル%)は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩の構成単位のモル数に基づいて、1〜98が好ましい。
【0048】
アクリル酸及びメタクリル酸の構成単位の含有量(モル%)は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩の構成単位のモル数に基づいて、1〜98が好ましい。
【0049】
アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルの構成単位の含有量(モル%)は、アクリル酸、メタクリル酸、これらの塩、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルの構成単位のモル数に基づいて、1〜98が好ましい。
【0050】
アクリル酸及びメタクリル酸の構成単位の含有量比、並びにアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルの構成単位の含有量比は任意に決定できるが、アクリル酸及びメタクリル酸アルキルを主構成単量体とすることが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸のモル数に基づくアクリル酸の含有量(モル%)、並びにアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルのモル数に基づくメタクリル酸アルキルの含有量(モル%)が少なくとも60(好ましくは70、さらに好ましくは80、特に好ましくは90、最も好ましくは100)となる含有量比である。
【0051】
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体塩は、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体を塩基性物質で中和して得てもよいし、(メタ)アクリル酸を中和してから重合して得てもよい。
塩基性物質としては、アルカノールアミン(トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン等)、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)及びアンモニア等が挙げられる。
【0052】
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量平均分子量は、50万〜500万が好ましく、さらに好ましくは60万〜450万、特に好ましくは70万〜400万である。
【0053】
重量平均分子量(Mw)は、分子量既知のポリエチレグリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定することができる。GPC測定条件の一例としては、たとえば、以下の通りである。
使 用 装 置;東ソー(株)製形式HLC−8120GPC
カ ラ ム;東ソー(株)製形式Tskgelα6000と
東ソー(株)製形式Tskgelα3000とを
直列につないだカラム
検 出 器;RI検出器
データ処理機 ;東ソー(株)製形式SC−8020
カ ラ ム 温 度;40℃
溶 離 液;60mM酢酸ナトリウム溶液
{溶媒:蒸留水/メタノール=70/30(体積比)}
溶 離 液 流 速;1.0ml/分
試 料 濃 度;0.25%溶離液溶液
試料溶液注入量;200μl
【0054】
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体は市場からも容易に入手でき、たとえば以下の商品等が挙げられる。(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(E)はこれらを塩基性物質で中和することにより容易に得られる。
【0055】
カーボポール1342、1382、ETD2020、PEMULEN TR−1、TR−2(BF Goodrich社製;「CARBOPOL」及び「PEMULEN」は、ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッドの登録商標である。);カーボポールUltrez20、Ultrez21(ノベオン社製)
【0056】
本発明の消泡剤には、炭化水素油(A)、水(B)、体積平均粒子径が1〜8μmであるシリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)以外に乳化剤(F)や公知の添加剤(凍結防止剤、撥水剤、造膜調整剤等)及び/又は溶媒等を含有してもよい。
【0057】
乳化剤(F)としては、ノニオン型、カチオン型、アニオン型又は両性型の公知の界面活性剤が使用できる。
【0058】
ノニオン型界面活性剤としては、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸アミドのアルキレンオキシド付加体、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加体及びポリオキシアルキレン変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン)等が挙げられる。ただし、ノニオン界面活性剤に、上記のポリオキシアルキレン化合物(D)は含まれない。
【0059】
カチオン型界面活性剤としては、高級アルキルアミン塩(高級アルキルトリメチルアンモニウム塩及び高級アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等)、ソロミンA型カチオン界面活性剤、サパミンA型カチオン界面活性剤、アーコベルA型カチオン界面活性剤、イミダゾリン型カチオン界面活性剤、サパミン型第4級アンモニウム塩及びピリジニウム塩等が挙げられる。
【0060】
アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルアルキルタウリン塩及びアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、炭素数1〜20のアミン(たとえば、メチルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン及びジデシルアミン)塩等が挙げられる。
【0061】
両性型界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩及び高級アルキルジメチルベタイン等が挙げられる。
【0062】
凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0063】
撥水剤としては、ジメチルシリコーンオイル(KF−96シリーズ等、信越株式会社製)等が挙げられる。
【0064】
造膜調整剤としては、商品明として、テキサノール(イーストマンケミカル社製、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0065】
溶剤としては、公知の溶剤(溶剤ハンドブック、講談社 昭和51年発行、143−881頁等)が使用でき、メチルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0066】
炭化水素油(A)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、5〜50が好ましく、さらに好ましくは10〜49、特に好ましくは12〜48、最も好ましくは15〜47である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0067】
水(B)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、40〜90が好ましく、さらに好ましくは45〜85、特に好ましくは50〜80、最も好ましくは55〜78である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0068】
疎水シリカ粒子(C)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、水(B)、疎水性シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5、特に好ましくは0.8〜3、最も好ましくは1〜2である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0069】
ポリオキシアルキレン化合物(D)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、0.5〜10が好ましく、さらに好ましくは0.7〜7、特に好ましくは0.9〜5、最も好ましくは1〜4である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0070】
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の含有量(重量%)は、炭化水素油(A)、水(B)、疎水シリカ粒子(C)、ポリオキシアルキレン化合物(D)及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)の重量に基づいて、0.05〜3が好ましく、さらに好ましくは0.08〜2.5、特に好ましくは0.1〜2、最も好ましくは0.15〜1である。この範囲であると、消泡性及びグロス値低下の抑制がさらに良好となる。
【0071】
本発明の消泡剤は、公知の方法により製造でき、たとえば、次の方法等が適用できる。
(1)(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)(E)及び水(B)、並びに必要により塩基性物質(アンモニア等)を均一攪拌混合して、水乳化分散液を得る。
(2)炭化水素油(A)、疎水シリカ粒(C)及びポリオキシアルキレン化合物(D)を均一に攪拌混合して、炭化水素油分散液を調製する。
(3)次いで、(2)で得た炭化水素分散液を攪拌しながら、これに(1)で得た水乳化分散液を10回程度に分けて添加して均一攪拌混合し消泡剤を得る。
【0072】
本発明の消泡剤は、水性発泡液に対して効果的である。従って、塗料(水性塗料等)用消泡剤及び各種製造工程(抄紙工程、発酵工程、排水処理工程、モノマーストリッピング工程及びポリマー重合工程等)用消泡剤等として使用することができる。
これらのうち、塗料用消泡剤として適しており、さらに水性塗料用消泡剤として好適であり、水性塗料(水性建築外装用塗料、建築内装用塗料、水性インキ及び紙塗工用塗料等)のうち、エマルション塗料用消泡剤として最適である。 なお、エマルション塗料に含まれるバインダーとしては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂又はフッ素原子含有シリコーン樹脂等が挙げられ、いずれに対しても効果的である。
【0073】
本発明の消泡剤の添加方法は、塗料に適用する場合、(1)顔料分散時及び/又は(2)塗料作成後に添加する方法等が挙げられる。また、各種製造工程に適用する場合、(1)原料の供給と共に、(2)加熱及び/若しくは減圧処理前に、並びに/又は(3)最終仕上げ工程等に添加する方法のいずれでもよい。
【0074】
本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、塗料に適用する場合、塗料の重量に基づいて、0.05〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.7、特に好ましくは0.2〜2.3、最も好ましくは0.3〜2.0である。また、各種製造工程に適用する場合、本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、水性液体(被添加液体である水性発泡液体)の重量に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.02〜08、特に好ましくは0.03〜0.6、最も好ましくは0.05〜0.5である。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0076】
<実施例1>
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1){カーボポール1342、BF Goodrich社製}0.05部、水(b1){水道水}89.83部及び28%アンモニア水溶液0.02部をステンレス製容器に投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック株式会社製、以下同じ。)にて2000rpmで攪拌しつつ、40℃まで昇温し、この温度にてさらに1時間攪拌をし、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)を得た。
【0077】
別のステンレス製容器内に、炭化水素油(a1){コスモピュアスピンSP、コスモルブリカンツ株式会社製、動粘度1.7mm
2/s;40℃、アニリン点66℃}5部及び疎水シリカ粒子(c1){ニップシールSS−55F、東ソーシリカ(株)社製、体積平均粒子径1.2μm、M値60}0.1部を投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間攪拌した。その後、得られた混合物を攪拌しながら、30℃まで冷却した後、これに、ポリオキシアルキレン化合物(d1){イオネットS−85、HLB=1.8、三洋化成工業株式会社}5部及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)を投入し、1時間撹拌して、本発明の消泡剤(1)を得た。
【0078】
<実施例2>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)89.83部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2){PEMULEN TR−1、BF Goodrich社製、}2.8部」、「水(b1)40部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be2)を得た。
【0079】
「炭化水素油(a1)5部」、「疎水シリカ粒子(c1)0.1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部」及び「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)」を、「炭化水素油(a2){コスモピュアスピンSP10、コスモルブリカンツ株式会社製、動粘度10mm
2/s;40℃、アニリン点97℃}46.2部」、「シリカ粒子(c2){ニップシールSS−70、東ソーシリカ株式会社製、体積平均粒子径4.2μm、M値65}9.5部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d2){イオネットS−80、HLB=4.3、三洋化成工業株式会社}0.5部」及び 「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be2)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の消泡剤(2)を得た。
【0080】
<実施例3>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)89.83部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2)0.2部」、「水(b1)81.7部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液0.1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be3)を得た。
【0081】
「炭化水素油(a1)5部」、「疎水シリカ粒子(c1)0.1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部」及び「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)」を、「炭化水素油(a3){ダイナフレキシアN−28、出光興産株式会社製、動粘度27.5mm
2/s;40℃、アニリン点77℃}15部」、「シリカ粒子(c3){Sipernat D10{デグサジャパン株式会社製、体積平均粒子径5μm、M値72}1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d3){ニューポールPE−64、HLB=8、三洋化成工業株式会社}2部」及び 「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be3)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の消泡剤(3)を得た。
【0082】
<実施例4>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)89.83部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.1」、「水(b1)64.85部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液0.05部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be4)を得た。
【0083】
「炭化水素油(a1)5部」、「疎水シリカ粒子(c1)0.1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部」及び「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)」を、「炭化水素油(a4){エクソールD130、エクソンモービル有限会社、動粘度3.8mm
2/s;40℃、アニリン点90℃}20部」、「シリカ粒子(c4){ニップシールSS−170X、東ソーシリカ株式会社製、体積平均粒子径3.5μm、M値40}5部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)10部」及び 「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be4)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の消泡剤(4)を得た。
【0084】
<実施例5>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)89.83部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2)0.2部」、「水(b1)40部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液0.1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be5)を得た。
【0085】
「炭化水素油(a1)5部」、「疎水シリカ粒子(c1)0.1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部」及び「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be1)」を、「炭化水素油(a5){NCL22、谷口石油株式会社、動粘度22.1mm
2/s;40℃、アニリン点72℃}50部」、「シリカ粒子(c1)6.7部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d2)3部」及び 「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be5)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の消泡剤(5)を得た。
【0086】
<実施例6>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)89.83部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2)0.2部」、「水(b1)57.3部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液0.1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be6)を得た。
【0087】
別のステンレス製容器内に、炭化水素油(a1)30部、疎水シリカ粒子(c2)10部を投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間攪拌した。その後、得られた混合物を攪拌しながら、30℃まで冷却した後、ポリオキシアルキレン化合物(d2)2部、乳化剤(f1){ビューライトNA−25S、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、三洋化成工業株式会社}0.4部及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(be6)を投入し、1時間撹拌して、本発明の消泡剤(6)を得た。
【0088】
<比較例1>
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部、水(b1)94.85部及び28%アンモニア水溶液0.02部をステンレス製容器に投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ、40℃まで昇温し、この温度にてさらに1時間攪拌をし、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe1)を得た。
【0089】
別のステンレス製容器内に、疎水シリカ粒子(c1)0.1部及びポリオキシアルキレン化合物(d1){イオネットS−85、HLB=1.8、三洋化成工業株式会社}5部を投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間攪拌した。その後、得られた混合物を攪拌しながら、30℃まで空冷にて冷却した後、これに、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe1)を投入し、1時間撹拌して、比較用の消泡剤(H1)を得た。
【0090】
<比較例2>
「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e1)0.05部」、「水(b1)94.85部」及び「28%アンモニア水溶液0.02部」を、「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2)3部」、「水(b1)40部」及び「20%水酸化ナトリウム水溶液1部」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe2)を得た。
【0091】
「疎水シリカ粒子(c1)0.1部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部」及び「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe1)」を、「シリカ粒子(c5){ニップシールSS−30P、東ソーシリカ株式会社製、体積平均粒子径8.6μm、M値60}9.5部」、「ポリオキシアルキレン化合物(d2)0.5部」及び 「(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe2)」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、比較用の消泡剤(H2)を得た。
【0092】
<比較例3>
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(e2)0.2部、水(b1)34.7部及び28%アンモニア水溶液0.1部をステンレス製容器に投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ、40℃まで昇温し、この温度にてさらに1時間攪拌をし、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe3)を得た。
【0093】
別のステンレス製容器内に、炭化水素油(a1)62部を投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ、ポリオキシアルキレン化合物(d2)3部及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(塩)乳化分散液(hbe3)を投入し、1時間撹拌して、比較用の消泡剤(H3)を得た。
【0094】
<比較例4>
ステンレス製容器内に、炭化水素油(a1)90部、疎水シリカ粒子(c1)5部を投入した後、ホモジナイザーにて2000rpmで攪拌しつつ180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間攪拌した。その後、得られた混合物を攪拌しながら、30℃まで冷却した後、ポリオキシアルキレン化合物(d1)5部を投入し、1時間撹拌して、比較用の消泡剤(H4)を得た。
【0095】
<比較例5>
市販品シリコーンエマルション型消泡剤(SNデフォーマー385、サンノプコ株式会社製)を比較用の消泡剤(H5)とした。
【0096】
実施例1〜6及び比較例1〜4で得た消泡剤について、それぞれの組成及び含有量を、表2にまとめた。これらの消泡剤について、以下のようにして消泡性能を評価し、表4に示した。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例1〜6及び比較例1〜5で得た消泡剤(1)〜(6)及び(H1)〜(H5)を用いて、下記のようにして調製したつや有り塗料に対する消泡性及びグロス値を評価した。
【0099】
(1)つや有りベース塗料の調製
以下の原料組成にて、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザー(日本精器株式会社製、モデルED)を用いて、グラインディング及びレットダウンして塗料を得た。この塗料を、ストマー粘度計(JIS K5600−2−2:1999「5.ストーマー粘度計法」)で80KU(25℃)になるように水で希釈して、つや有りベース塗料を得た。
【0100】
【表3】
【0101】
*1:サンノプコ株式会社製分散剤
*2:サンノプコ株式会社製増粘剤
*3:石原産業株式会社製二酸化チタン(「タイペーク」は同社の登録商標である。)
*4:ダウケミカルカンパニー製バインダー樹脂(「プライマル」はロ−ム エンド ハ−スコムパニ−の登録商標である。)
*5:イーストマンケミカル社製造膜調整剤、「テキサノール」は吉村化学株式会社の登録商標である。
【0102】
(2)つや有り塗料の調製
つや有りベース塗料に、評価試料(消泡剤)を0.3重量%(対つや有りベース塗料)となるように加えて、コーレス型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて25℃、3000rpm、3分間攪拌混合してつや有り塗料(1)〜(11)を得た。また、ブランク用として評価試料(消泡剤)を加えないこと以外、上記と同様にして、つや有り塗料(12)を得た。
【0103】
(3)破泡・抑泡効果の評価
つや有り塗料(1)〜(12)を攪拌混合して作成した直後から15秒後に(15秒間は静置した。)、つや有り塗料(1)〜(12)の比重を50mlの比重カップにて測定した。比重が大きいほど(数字が大きいほど)巻き込んだ泡が破壊されており破泡・抑泡効果が優れているといえる。
【0104】
(4)エイジング後(消泡持続性)の評価
破泡・抑泡効果の評価を終えたつや有り塗料(1)〜(12)をそれぞれ密閉サンプル容器に入れて、50℃の雰囲気下に2週間静置保管した後、改めてコーレス型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて、25℃、4000rpm、3分間攪拌混合して、エイジング評価用のエマルション塗料を得た。そして、作成直後から15秒後(15秒間は静置した。)、破泡・抑泡効果の評価と同様にして比重を測定した。比重が大きいほど(数字が大きいほど)巻き込んだ泡が破壊されており、長期間に渡って破泡・抑泡効果が持続しており、消泡持続性が優れているといえる。
【0105】
(5)グロスの評価
エイジング後(消泡持続性)の評価を終えたつや有り塗料を、アセトンにて脱脂したポリエステルフィルム(縦:150mm、横:150mm、厚み:0.10mm、東レルミラーL−100T60、東レ株式会社製、「ルミラー」は同社の登録商標である。)上にアプリケーターを用いてウェット膜厚0.3mmにて塗布し、温度:25℃、湿度:40%RHにて1日間乾燥して、評価用塗膜を得た。
評価用塗膜を、光沢計(日本電色工業株式会社製、VGS−300A)にて入射角60゜でのグロスをそれぞれ6個所測定し、平均値を算出し、これをグロス値とした。
【0106】
(6)ハジキの評価
ガラス板{厚さ5mm、20×30cmにカット}をアセトン/布にて脱脂した後、ウェット膜厚100μmとなるように、破泡・抑泡効果の評価を終えたつや有り塗料(1)〜(12)をアプリケーターにて塗装した後、塗膜表面を観察し、目視にて、ハジキ痕の個数を数えた。なお、数値の小さい方がハジキが少ないことを意味し好ましい。
【0107】
【表4】
【0108】
本発明の消泡剤は、比較用の消泡剤に比べ、ハジキの発生抑制及び消泡性に優れ、かつ塗膜のグロス値低下を抑制でき、塗料を塗布して得られた塗膜は、外観を損なうことがない。