(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技状態が、第2入賞領域よりも第1入賞領域へ入賞し易い第1の遊技状態と、第1入賞領域よりも第2入賞領域へ入賞し易い第2の遊技状態とに切り替わる場合、上述した従来の遊技機では、第1の遊技状態では、第2入賞領域用の保留ランプがほとんど使用されなくなる。このように、従来の遊技機では、ほとんど使用されない保留ランプが存在し、保留ランプの有効利用が図られていなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、保留ランプの有効利用を図ることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な第1入賞領域及び第2入賞領域と、第1入賞領域又は第2入賞領域に遊技球が入賞したことに起因して当否判定を受けるための権利を発生させかつその当否判定権利に対応した乱数を取得する乱数取得手段と、当否判定権利の乱数を用いて当否判定を行う当否判定手段と、当否判定権利の発生に起因して当否判定の結果を報知する判定結果報知手段と、第1入賞領域又は第2入賞領域への遊技球の入賞を起因にして当否判定権利を記憶可能な保留記憶手段と、保留記憶手段に保留記憶されている当否判定権利の保留数を、保留ランプの点灯数により報知可能な保留数報知手段と、を備えた遊技機において、遊技状態を、第2入賞領域よりも第1入賞領域へ入賞し易い第1の遊技状態と、第1入賞領域よりも第2入賞領域へ入賞し易い第2の遊技状態とに切り替える遊技状態切替手段を有し、保留数報知手段は、第1入賞領域への入賞に起因する第1の保留数と、第2入賞領域への入賞に起因する第2の保留数とを共通の保留ランプで報知可能に構成され、保留数報知手段による保留ランプの点灯数を、第1の遊技状態では第1の保留数に一致させる一方、遊技状態切替手段によって第1の遊技状態から第2の遊技状態に遊技状態が切り替えられた場合に、第2の保留数に一致させるように切り替える報知切替手段を備え
、第1の保留数の報知態様と、第2の保留数の報知態様とを異ならせる報知態様変更手段を備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載の遊技機において、報知態様変更手段は、第1の保留数を報知するときと、第2の保留数を報知するときとで、保留ランプの点灯態様を異ならせるところに特徴を有する。
【0009】
請求項
3の発明は、請求項
1又は
2に記載の遊技機において、報知態様変更手段は、第1と第2の遊技状態のうち何れか一方の遊技状態では、保留ランプの前方領域の外側に配置される一方、他方の遊技状態では、保留ランプの前方を覆う可動部材を備えて、一方の遊技状態では、可動部材を通さずに保留ランプを視認可能にする一方、他方の遊技状態では、可動部材越しに保留ランプを視認可能にしたところに特徴を有する。
【0010】
請求項
4の発明は、請求項
1又は
2に記載の遊技機において、報知態様変更手段に、第1の遊技状態で第1位置に配置される一方で、第2の遊技状態で第2位置に配置される可動部材を設けると共に、可動部材に、第1位置に配置されたときに保留ランプの前方を覆う一方、第2位置に配置されたときに保留ランプの前方領域から外れた位置に配置される第1カバー部と、第1位置に配置されたときに保留ランプの前方領域から外れた位置に配置される一方、第2位置に配置されたときに保留ランプの前方を覆う第2カバー部と、を設けて、第1の遊技状態では、第1カバー部越しに保留ランプを視認可能にする一方、第2の遊技状態では、第2カバー部越しに保留ランプを視認可能にしたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1
〜4の発明]
請求項1の発明では、第1入賞領域への入賞に起因する第1の保留数と、第2入賞領域への入賞に起因する第2の保留数とを共通の保留ランプで報知し、報知切替手段によって、第2入賞領域よりも第1入賞領域へ入賞し易い第1の遊技状態では、保留ランプの点灯数を第1の保留数に一致させ、第1入賞領域よりも第2入賞領域へ入賞し易い第2の遊技状態では、保留ランプの点灯数を第2の保留数に一致させる。このように、本発明では、第1と第2の保留数を報知する保留ランプが共通になっていて、各遊技状態において、入賞し易い入賞領域への入賞に起因した当否判定権利の保留数を報知するので、第1入賞領域用の保留ランプと第2入賞領域用の保留ランプとを別々に備えた場合と比較して、各遊技状態で使用されない保留ランプの数を減らすことができ、保留ランプの有効利用が図られる。
【0012】
また、何れの入賞領域への入賞に起因する当否判定権利の保留数が報知されているかを遊技者に区別し易くすることが可能になる。
【0013】
ここで、報知態様変更手段は、請求項
2の発明のように、第1の保留数を報知するときと、第2の保留数を報知するときとで、保留ランプの点灯態様を異ならせてもよいし、請求項
3の発明のように、第1と第2のうち何れか一方の遊技状態では、可動部材を通さずに保留ランプを視認可能にする一方、他方の遊技状態では、可動部材越しに保留ランプを視認可能にしてもよいし、請求項
4の発明のように、第1の遊技状態では、可動部材の第1カバー部越しに保留ランプを視認可能にする一方、第2の遊技状態では、可動部材の第2カバー部越しに保留ランプを視認可能にしてもよい。
【0014】
請求項
2の発明によれば、保留ランプの点灯態様を異ならせることで、その保留ランプが、何れの入賞領域の入賞に起因する保留数を報知しているかを遊技者に区別し易くすることが可能になる。
【0015】
請求項
3の発明によれば、保留ランプが可動部材で覆われているか否かによって、何れの入賞領域の入賞に起因する当否判定権利の保留数が報知されているかを遊技者に区別し易くすることが可能になる。また、請求項
4の発明によれば、複数の保留ランプの前方が第1カバー部で覆われているか、第2カバー部で覆われているかによって、何れの入賞領域の入賞に起因する当否判定権利の保留数が報知されているかを遊技者に区別し易くすることが可能になる。なお、請求項
2の構成と、請求項
3,4の構成とを組み合わせることにより、遊技者による区別を一層容易にすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10(以下、遊技機10という。)は、遊技領域R1を前面に有した遊技板11を、遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zで覆ってなり、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、遊技領域R1の全体が視認可能となっている。なお、遊技領域R1は、遊技板11の前面から突出したガイドレール12に四方を囲まれることで形成されている。
【0018】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、操作ハンドル28が備えられている。そして、操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えた図示しない球排出ボタンを押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0019】
遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、図示しない表示枠取付窓が貫通形成されている。また、遊技板11の裏面には、
図4に示した裏セット盤50が備えられ、その裏セット盤50に固定された表示装置30の液晶画面30Gが表示枠取付窓を通して前方から視認可能となっている。
【0020】
なお、裏セット盤50は、
図4に示すように、遊技板11の裏面と対向した主板壁51と、その外縁部から前方に起立した囲壁52とを有し、前後方向で扁平な箱形構造をなしている。そして、囲壁52の前端縁から側方に張り出した複数の鍔壁52Aが遊技板11の裏面に宛われて、裏セット盤50が遊技板11の裏面に固定されている。
【0021】
図2に示すように、遊技板11の前面中央には、表示画面30Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。具体的には、表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から上述した表示枠取付窓に嵌め込まれて、表示枠取付窓の内側に張り出すと共に、遊技板11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0022】
表示装飾枠23の左下方には、風車19が設けられ、遊技領域R1の左側を流下してきた遊技球の進路を中央側へ変更可能になっている。また、表示装飾枠23の左側部には、表示装飾枠23の下辺部に形成されたステージ24へ遊技球を案内するためのワープ路22が備えられている。
【0023】
表示装飾枠23の横方向中央の下方には、第1と第2の始動入賞口14A,14Bが上下に並べて設けられ、それら始動入賞口14A,14Bの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。
【0024】
また、表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が備えられている。また、表示装飾枠23の右下方には、大入賞口15が設けられ、この大入賞口15のさらに右側にサイド入賞口21が備えられている。
【0025】
遊技領域R1の下端部には、遊技球を遊技領域R1の外側に排出するためのアウト口16が設けられている。また、遊技領域R1には、多数の障害釘(
図1では省略されている。)が植設されている。
【0026】
次に、遊技領域R1の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ入球(入賞)すると、その遊技球は遊技板11の裏側に取り込まれ、例えば、1個の入球につき4個の賞球が上皿26に払い出される。
【0027】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄の当否判定が行われる。普通図柄の当否判定結果は、表示画面30Gの図示しない普通図柄表示部に表示される。普通図柄表示部は、例えば、「○」と「×」の図柄を交互に変動表示可能となっており、当否判定結果が当たりの場合は、「○」が停止表示され、当否判定結果が外れの場合は、「×」が停止表示される。
【0028】
ここで、本実施形態の遊技機10においては、通常の遊技状態では、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率は低く設定されており、後述する「大当たり遊技」後に、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率が高くなる「特典遊技(通常の遊技状態よりも変動時間が短い時短遊技や通常の遊技状態よりも大当たりになる確率が高い確変遊技)」に突入するか否かを大当たりを起因に判定し、特典遊技に移行すると判定された場合は、特典遊技状態となる。従って、本実施形態の遊技機10では、通常の遊技状態においては、表示装飾枠23の左側を流下するように遊技球を打ち出す、所謂、「左打ち」を行い、「特典遊技」中においては、表示装飾枠23の右側を流下するように遊技球を打ち出す、所謂、「右打ち」を行う、というように、2種類の打ち方を遊技者に提供可能に構成されている。なお、「特典遊技」は、「大当たり遊技」の終了後、第1と第2の始動入賞口14A,14Bへの入賞回数(後述する特別図柄の変動回数)が、所定回数(例えば、100回)に達するか、或いは、その「特典遊技」中に「大当たり遊技」へ移行した場合(例えば、大当たり入賞口に入賞したり、大当たりの当否判定に当選した場合等)に終了する。
【0029】
第1の始動入賞口14Aは、一般入賞口20やサイド入賞口21と同様に、ポケット構造になっていて、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。なお、上述したステージ24のうち第1の始動入賞口14Aの真上に位置する部分には、球導入路24Aが形成されていて、ステージ24を転動する遊技球は、球誘導路24Aから第1の始動入賞口14Aへ向けて流下可能となっている。
【0030】
第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで前方に開口し、通常は、回動扉14Tにて前方が閉塞されることで、遊技球の入球(入賞)が規制されている。回動扉14Tは、上述した普通図柄の当否判定の結果が当たりとなったときに、所定時間だけ前側に倒される。このとき、回動扉14Tは、遊技球を上面で受け止めて第2の始動入賞口14Bへ誘導可能となっている。
【0031】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、例えば、1個の入球につき4個の賞球が上皿26に払い出され、特別図柄の当否判定が行われる。言い換えれば、始動入賞口14A,14Bへの入賞によって、特別図柄の当否判定を受けるための当否判定権利が発生する。特別図柄の判定結果は、表示装置30の表示画面30Gの図示しない特別図柄表示部にて表示される。
【0032】
具体的には、表示画面30Gの特別図柄表示部には、通常、左、中、右の3つの特別図柄(図示せず)が横並びに停止表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「9」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したことに起因して、これら3つの特別図柄が変動表示(例えば、上下方向にスクロール表示)され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄が停止表示される。始動入賞口14A,14Bへの入賞に起因した当否判定結果が当たり(以下、「大当たり」という)の場合には、3つの特別図柄が全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、その後、遊技状態が「大当たり遊技」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、通常の遊技状態が続行する。
【0033】
大入賞口15は、横長矩形状をなし、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、遊技状態が「大当たり遊技」になると、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。なお、可動扉15Tが開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、「大当たり遊技」は、最大で、例えば、16ラウンドまで継続され、1つのラウンドは、可動扉15Tの開放時間が30秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したか、の何れかの終了条件が先に満たされた場合に終了する。
【0034】
なお、本実施形態では、通常の遊技状態と特典遊技とが、本発明の「第1の遊技状態」と「第2の遊技状態」とに相当し、第1の始動入賞口14Aと第2の始動入賞口14Bとが、本発明の「第1入賞領域」と「第2入賞領域」に相当する。
【0035】
ところで、特別図柄の変動表示中又は大当たり遊技中に、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞した場合、その入賞に起因した当否判定権利は、各始動入賞口14A,14Bにつき所定回数分(例えば、4回分)まで保留記憶され、特別図柄が停止表示されるか又は大当たり遊技が終了すると、その保留記憶された当否判定権利のうち最初に発生した当否判定権利が消化されて、再び特別図柄が変動表示される。
【0036】
図2に示すように、表示装置30の右側寄り位置の下方には、当否判定権利の保留数を表示するための保留表示部40(本発明の「保留数報知手段」に相当する。)が備えられている。この保留表示部40は、保留ランプ41を複数備え、保留ランプ41の点灯数によって当否判定権利の保留数を報知するようになっている。本実施形態では、保留ランプ41は、各始動入賞口14A,14Bへの入賞について当否判定権利が保留記憶される上限数と同じ数(例えば、4つ)備えられている。なお、保留表示部40は、表示装飾枠23の下辺部の後方に重ねて配置されているが、表示装飾枠23の下辺部が透明部材で構成されることで、表示装飾枠23越しに保留表示部40が視認可能となっている。
【0037】
図4に示すように、保留表示部40は、裏セット盤50に取り付けられている。具体的には、保留表示部40は、横長矩形状をなして裏セット盤50に固定されたベース板42を備え、このベース板42の前面に複数の保留ランプ41が横並びに配置されている。また、ベース板42の前面には、モータ44により駆動されてベース板42の下端部を中心に回動し、
図5に示す保留ランプ41の前方を覆った作動位置(第1位置)と、
図6に示す保留ランプ41の前方領域から外れた待機位置(第2位置)とに配置されるカバー部材43(本発明の「可動部材」に相当する。)が取り付けられている。このカバー部材43は、透光性を有する材料で構成されていて、カバー部材43が作動位置に配置されたときには、カバー部材43越しに保留ランプ41が視認可能となっている。
【0038】
カバー部材43の駆動は、以下のようにして行われる。即ち、
図5に示すように、ベース板42の右側部には、上下方向に延びたガイド孔42Aが貫通形成され、このガイド孔42Aに、ラック47が直動可能に支持されている。ラック47は、モータ44の回転出力軸に固定されたピニオン46と噛合している。
【0039】
また、ラック47からは突片48が前方に突出し、この突片48を、前後方向に長くなった係合長孔48Aが横方向に貫通している。一方、カバー部材43には、右側に突出した係合突起43Aが設けられ、この係合突起43Aが係合長孔48Aに挿通されている。また、カバー部材43の下端側に、ベース部材42に軸着するための係合部43Bが設けられると共に、ベース部材42に、係合部43Bと係合して係合部43Bを横方向に延びた軸回りに回転可能に支持する被係合部42Bが設けられることで、カバー部材43がカバー部材42の下端部を中心に回動可能に構成されている。そして、
図5から
図6への変化に示すように、カバー部材43が待機位置に配置されている状態でモータ44を駆動して、ラック47をガイド孔42Aに沿って上方へ移動させると、突片48によって係合突起43Aが持ち上げられ、ベース部材42に対してカバー部材43が係合部43Bと被係合部42Bの係合部分を軸にして回動して、作動位置に配置される(変位する)。また、この状態からモータ44を逆回転させると、カバー部材43が作動位置から待機位置に配置される(変位する)。なお、
図2及び
図3に示すように、カバー部材43は、通常の遊技状態のときに、待機位置に配置され、特典遊技のときに、作動位置に配置されるようになっている。
【0040】
さて、
図7に示すように、遊技機10には、上述した第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15、表示装置30、保留表示部40等の各種役物を制御するための主制御回路60が設けられている。以下、この主制御回路60が行う制御のうち、本発明に関係する部分について説明する。
【0041】
主制御回路60は、大当たり乱数値、リーチ乱数値等の特別図柄関連乱数値(以下、「特図関連乱数値」という。)を生成して、それら特図関連乱数値を所定周期ごとに更新、記憶する。そして、第1と第2の始動入賞口14A,14Bに備えられた第1と第2の始動入賞口センサ14WA,14WBが遊技球の入賞を検出して、その検出信号が中継回路64から送信されると、記憶されている特図関連乱数値を取得し、取得した各特図関連乱数値を保留記憶する。なお、このとき取得した特図関連乱数値が、本発明の「当否判定権利に対応した乱数」に相当する。そして、取得した特図関連乱数値が予め設定された大当たり乱数に一致する場合に、遊技の当否判定結果が大当たりとなる。
【0042】
各特図関連乱数値は、各始動入賞口14A,14Bについて所定個数(例えば、4個)まで、保留記憶可能になっていて、特図関連乱数値がすでに所定個数まで保留記憶されている場合、即ち、遊技球が入賞した始動入賞口についての当否判定権利の保留数が所定個数に達している場合には、各特図関連乱数値は取得されないようになっている。
【0043】
詳細には、主制御回路60は、CPU60A、RAM60B及びROM60Cを有するマイクロコンピュータを主要部として備え、特図関連乱数値は、CPU60Aで生成される。また、RAM60Bには、特図関連乱数値用の記憶領域、特図関連乱数値の保留記憶数の記憶領域のほか、各種データを一時的に記憶する記憶領域が備えられている。ROM60Cには、大当たり乱数値や普通図柄の当否判定値等が書き込まれている。
【0044】
なお、普通図柄の当否判定値には、通常の遊技状態用と特典遊技状態用の2種類が備えられ、特典遊技状態用の当否判定値の方が当りが多く設定されている。これにより、特典遊技で、普通図柄の当否判定結果が当たりとなる確率が高くなり、第2の始動入賞口14Bへ遊技球が入賞し易くなる。即ち、遊技状態が通常の遊技状態であるか特典遊技状態であるかによって、普通図柄の当否判定値を切り替える主制御回路60が、本発明の「遊技状態切替手段」に相当する。
【0045】
ランプ制御回路61は、主制御回路60からの制御信号に基づいて、保留ランプ41を点灯させる。ここで、主制御回路60は、遊技状態が通常の遊技状態か特典遊技状態であるかを判断し、通常の遊技状態である場合には、保留ランプ41の点灯数を、第1の始動入賞口14Aへの入賞に起因する当否判定権利の保留数(以下、「第1の保留数」という。)に対応して一致させる一方で、特典遊技状態である場合には、保留ランプ41の点灯数を、第2の始動入賞口14Bへの入賞に起因する当否判定権利の保留数(以下、「第2の保留数」という。)に対応して一致させる制御信号をランプ制御回路61に送信する。なお、遊技状態の判断は、遊技状態に応じたフラグを判別することで行われる。
【0046】
また、主制御回路60は、通常の遊技状態と特典遊技状態とで、保留ランプ41の点灯態様を異ならせる制御信号をランプ制御回路61に送信する。具体的には、通常の遊技状態では、保留ランプ41を黄色に点灯させ、特典遊技状態では、保留ランプ41を青色に点灯させるというように、保留ランプ41の点灯色を異ならせる。これにより、第1の保留数を報知するときと、第2の保留数を報知するときとで、保留ランプ41の点灯が異なった態様となる。なお、保留ランプの点灯態様の相違の他の例としては、点灯と点滅のように点灯パターンの相違等が挙げられる。
【0047】
なお、ここで、通常の遊技状態から特典遊技に切り替わった直後、或いは、特典遊技が終了して通常の遊技状態に切り替わった直後では、第1の始動入賞口14Aへの入賞に起因する当否判定権利と、第2の始動入賞口14Bへの入賞に起因する当否判定権利の両方が、保留記憶されることがある。このような場合、本実施形態の遊技機10では、第1の保留数と第2の保留数のうち重複している数を、点滅により報知したり、第1の保留数を報知する際の点灯色及び第2の保留数を報知する際の点灯色とは異なる点灯色(例えば、緑)で報知することで、両始動入賞口14A,14Bへの入賞に起因する当否判定権利が存在することを遊技者に認識可能としている。また、一時的に、保留表示部40で表示されない保留数を表示装置30で表示してもよいとする。
【0048】
また、主制御回路60は、通常の遊技状態から特典遊技へ、又は、特典遊技から通常の遊技状態へ移行する際に、中継回路63に制御信号を送信して保留表示部40のモータ44を制御する。具体的には、通常の遊技状態では、カバー部材43が待機位置(
図5参照)に配置される一方、特典遊技では、カバー部材43が作動位置(
図6参照)に配置されるようにモータ44を駆動制御する。そして、カバー部材43が待機位置に位置している間は、第1の保留数を報知し、カバー部材43が作動位置に位置している間は、第2の保留数を報知するように構成されている。
【0049】
表示制御回路62は、主制御回路60からの制御信号に基づいて、表示装置30の表示画面30Gの特別図柄や普通図柄表示部を変動、停止表示させて、当否判定結果を表示する。
【0050】
なお、本実施形態では、特図関連乱数値を取得する処理を実行しているときの主制御回路60が本発明の「乱数取得手段」に、特図関連乱数値を保留記憶しているときの主制御回路60が本発明の「保留記憶手段」に、取得した特図関連乱数値が予め設定された大当たり乱数に一致するか否かを判定しているときの主制御回路60が「当否判定手段」に、取得した特図関連乱数値に基づいて表示画面30Gの特別図柄で当否判定結果を表示する処理を実行しているときの表示装置30が本発明の「判定結果報知手段」に、それぞれ相当する。また、本実施形態では、第1の始動入賞口14Aへの入賞に対する変動と第2の始動入賞口14Bへの入賞に対する変動の順番は、入賞順であってもよいし、何れかの始動入賞口14A,14Bへの入賞に対する変動が優先的に消化される構成でもよいが、保留ランプ41は、第1と第2の保留数の何れか一方の報知を行う構成なので、何れかの始動入賞口14A,14Bへの入賞に対する変動が優先的に消化される構成の方が、特別図柄の表示が開始されたにもかかわらず、保留ランプ41の点灯数が変化しないという不整合を抑えることができる。なお、保留数の減算は、特別図柄の変動が開始される毎に行われるように構成されている。
【0051】
また、遊技状態に応じて、保留ランプ41の点灯数を、第1の保留数又は第2の保留数に一致させるときの主制御回路60が、本発明の「報知切替手段」に相当し、カバー部材43と、遊技状態に応じて保留ランプ41の点灯色とカバー部材43の位置とを異ならせる主制御回路60とで、本発明の「報知態様変更手段」が構成されている。
【0052】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態に係る遊技機10の作用効果について説明する。
【0053】
遊技機10では、遊技者により操作ハンドル28が操作されると、遊技球が遊技領域R1に順次打ち込まれる。通常の遊技状態では、遊技球が始動ゲート18を通過したことを契機に回動扉14Tが開状態となる確率が、特典遊技状態より低くなっていて、始動ゲート18を狙っても回動扉14Tが開状態となり難く、さらに第1の始動入賞口14Aにも入賞し難いため、多くの場合、第1の始動入賞口14Aを狙った左打ちが行われる。そして、ランダムに流下した遊技球の一部が第1の始動入賞口14Aに入球すると、その入球に基づいて特別図柄の当否判定が行われ、その判定結果が当たりであると、大当たり遊技が実行される。
【0054】
大当たり遊技が終了すると、特典遊技に突入するか否かの判定結果に基づき、判定結果が特典遊技に移行すると判定された場合は、特典遊技が開始される。判定結果が特別遊技に移行しないと判定された場合は、通常の遊技状態が実行される。特典遊技では、遊技球が始動ゲート18を通過したことを契機に回動扉14Tが開状態となる確率が、通常の遊技状態より高くなっているので、多くの場合、始動ゲート18を狙った右打ちが行われる。
【0055】
特典遊技は、特典遊技中に大当たりとなるか、又は、第1と第2の始動入賞口14A,14Bへの入賞回数が所定回数(例えば、100回)に達したことを条件にして終了する。所定回数に達した場合は、通常の遊技状態へ移行する。また、大当たりとなった場合は、その大当たりを起因にして、特典遊技が継続されるか否かが判定される。
【0056】
ここで、本実施形態の遊技機10では、通常の遊技状態においては、カバー部材43が待機位置に配置され(
図5参照)、保留表示部40は、第1の始動入賞口14Aへの入賞に起因した当否判定権利の保留数(第1の保留数)が保留ランプ41の点灯数によって報知される。一方、特典遊技においては、カバー部材43が作動位置に配置され(
図6参照)、保留表示部40では、第2の始動入賞口14Bへの入賞に起因した当否判定権利の保留数(第2の保留数)が保留ランプ41の点灯数によって報知される。このように、カバー部材43の位置を変更するだけで、保留表示部40の役割を第1の保留数の報知と第2の保留数の報知に切り替えることが可能なので、保留ランプ41の数を少なくすることが可能となる。また、カバー部材43に装飾を付すことで、カバー部材43が作動位置(
図6参照)に配置されていることが認識し易くなり、カバー部材43の位置によって、第1の保留数を報知しているのか第2の保留数を報知しているのかを認識することが可能になる。
【0057】
このように、遊技機10では、第1と第2の保留数を報知する保留ランプ41が共通になっていて、各遊技状態において、入賞し易い入賞領域への入賞に起因する保留数を報知するので、第1の始動入賞口用の保留ランプと第2の始動入賞口用の保留ランプとを別々に備えた場合と比較して、各遊技状態で使用されない保留ランプの数を減らすことができ、保留ランプの有効利用が図られる。
【0058】
また、保留表示部40では、第1の保留数を報知するときと、第2の保留数を報知するときとで、保留ランプ41の点灯色が異ならせることが可能で、異ならせた場合、カバー部材43が無くても、保留ランプ41が何れの始動入賞口14A,14Bの入賞に起因する保留数を報知しているかを遊技者に区別し易くすることが可能になる。
【0059】
また、通常の遊技状態では、カバー部材43を通さずに保留ランプ41が視認可能となる一方、他方の遊技状態では、カバー部材43の位置が通常の遊技状態の位置から変位することでカバー部材43越しに保留ランプ41が視認可能となり、保留ランプ41がカバー部材43で覆われているか否かによって、何れの遊技状態であるかを遊技者に認識させることができると共に、何れの始動入賞口14A,14Bの入賞に起因する保留数が報知されているかを遊技者に認識させることが可能となる。さらに、その構成に加えて、保留表示部40を、第1の保留数を報知するときと第2の保留数を報知するときとで、保留ランプ41の点灯色を異ならせるように構成すれば、第1と第2の保留数のどちらが報知されているかを遊技者により認識し易くすることが可能となる。
【0060】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を、
図8〜
図9に基づいて説明する。本実施形態は、上記第1実施形態を変形したものであり、保留表示部の構成のみが異なっている。具体的には、
図8(A)に示すように、本実施形態の保留表示部140は、ベース部材42の前方で、上下方向にスライドする可動部材143を備えている。この可動部材143は、上側部分を構成する第1カバー部143Aと、下側部分を構成する第2カバー部143Bとが、互いに異なる透光性材料で構成されている。なお、第1カバー部143Aと第2カバー部143Bとは、何れも有色透明であってもよいし、一方が無色透明であってもよい。
【0061】
図8(A)及び
図8(B)に示すように、可動部材143は、通常の遊技状態で第1カバー部143Aが保留ランプ41の前方を覆うように配置される。そして、特典遊技になると、一方側(上方)に移動して、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、第2カバー部143Bが保留ランプ41の前方を覆うように配置される。なお、
図8(A)及び
図8(B)に示した可動部材143の位置が、本発明の「第1位置」に相当し、
図9(A)及び
図9(B)に示した可動部材143の位置が、本発明の「第2位置」に相当する。
【0062】
なお、可動部材143の前方には、保留表示枠71が設けられていて、その保留表示枠71の内側開口71Aを通して保留ランプ41が視認可能となっている。また、内側開口71Aの大きさは、第1カバー部143A及び第2カバー部143Bの何れよりも小さくなっていて、可動部材143が第1位置と第2位置の何れに配置された場合であっても、第1カバー部143Aと第2カバー部143Bの一方のみが視認可能となる。
【0063】
以上が、保留表示部140の構成に関する説明である。本実施形態のその他の構成については、上記第1実施形態と同じになっているので、説明を省略する。
【0064】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、保留ランプ41の前方が第1カバー部143Aで覆われているか、第2カバー部143Bで覆われているかによって、通常の遊技状態か特典遊技かを遊技者に認識させることができると共に、保留ランプ41が何れのカバー部143A,143Bで覆われているかによって、何れの始動入賞口14A,14Bの入賞に起因する当否判定権利の保留数が報知されているかを遊技者に認識させることが可能になる、
【0065】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0066】
(1)上記第1実施形態では、第1の保留数を報知するときと、第2の保留数を報知するときとで、保留ランプ41を異なる色(例えば、青色と黄色)に点灯させていたが、同じ色に点灯させてもよい。また、その際、カバー部材43を有色透明にして、異なる色で点灯しているかのように見せてもよい。
【0067】
(2)上記実施形態では、カバー部材43及び可動部材143が透光性を有する材料で構成されていたが、保留ランプ41部分が視認可能な表示窓が形成された透光性を有さない材料で構成されてよい。
【0068】
(3)
図10(A)及び
図10(B)に示す保留表示部40Vのように、カバー部材43Vが上下方向に直動する構成であってもよい。なお、本構成では、通常の遊技状態では、カバー部材43Vがベース部材42の斜め下方に配置されて、保留ランプ41がカバー部材43Vを通さずに視認可能となる一方(
図11(A)参照)、特典遊技では、カバー部材43Vがベース部材42の前方に配置されて、保留ランプ41がカバー部材43V越しに視認可能となる(
図11(B)参照)。
【0069】
(4)上記第1実施形態及び上記(3)の構成において、通常の遊技状態で、カバー部材43,43Vが保留ランプ41の前方に配置され、特典遊技で、カバー部材43,43Vが保留ランプ41の前方領域から外れるように構成されてもよい。
【0070】
(5)上記第1実施形態及び上記(3)、(4)の構成において、カバー部材43,43Vのうち保留ランプ41の前方に位置する部分に、保留ランプ41よりも小さな窓部を設けた構成としてもよい。この構成によれば、カバー部材43,43Vがベース部材42の前方領域から外れたときに、カバー部材43,43Vがベース部材42の前方を覆っているときよりも保留ランプ41が大きくなるように見せることができる。
【0071】
(6)
図11(A)に示す保留表示部140Vのように、筒状をなしかつ周方向で第1カバー部143VAと第2カバー部143VBとに等分される可動部材143で、ベース部材42の外側を覆い、可動部材43を中心軸周りに回動可能な構成としてもよい。なお、可動部材は、通常の遊技状態では、第1カバー部143Aにて保留ランプ41の前方を覆い、特典遊技になると、
図11(A)から
図11(B)への変化に示すように、第2カバー部143Bにて保留ランプ41の前方を覆う。
【0072】
(7)
図12(A)及び
図12(B)に示す保留表示部140Wのように、可動部材143Wの上側半分を第1カバー部143WA、下側半分を第2カバー部143WBとして、前後方向に延びた中心軸回りに回転する構成であってもよい。なお、
図12(A)及び図(B)に示す例では、保留ランプ41が、可動部材143Wの上側部分の後方に配置されているが、可動部材143Wの下側部分の後方に配置されてもよい。
【0073】
(8)上記(7)の構成において、可動部材143Wを、第1カバー部143WA又は第2カバー部143WBの何れか一方のみを備えた構成としてもよい。本構成では、通常の遊技状態と特典遊技状態の何れか一方の遊技状態では、可動部材143Wを通さずに保留ランプ41が視認可能となり、他方の遊技状態では、保留ランプ41越しに保留ランプ41が視認可能となる。
【0074】
(9)第1の保留数の上限と第2の保留数の上限とが異なる場合には、それら上限のうち大きい方の上限に保留ランプ41の数が一致した構成であってもよい。具体的には、第1の保留数の上限が3つであって、第2の保留数の上限が5つである場合、保留ランプ41の数は5つとなる。このような構成であっても、第1の保留数と第2の保留数とを、共通の保留ランプ41の点灯数で報知することが可能である。