【実施例】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について詳細に説明する。レッグカバーはその内面の形状に特徴があるため、以下においては主としてその底面を示すこととし、
図1(A)〜(C)は本発明の一実施例に係るスライドレール装置のレッグカバーの下方からの斜視図、底面図、(B)の線C−Cに沿った側面図をそれぞれ示す。
図2はレッグブラケットの上方からの斜視図を示す。
なお、シートスライド装置のロアレールの前端及び後端を車床に固定する前後のレッグブラケットにレッグカバーは装着、被覆されるが、実施例においては、ロアレール後端を車床に固定する(後の)レッグブラケットに装着、被覆される場合について述べ、図中での前をF、後をR、左右をX、−Xで示す。なお、レッグブラケット後端の端末壁の回りでは、前方は内側、後方は外側に相当する。
【0017】
図1(A)〜(C)に示すように、レッグカバー10は、前端が開口し、底が抜けて側壁が低い略箱型形状で、その前半部が切欠き11aを挟んでその左右にアーム11が前後方向に延びた平面視略U字形状にポリプロピレンなどの合成樹脂から成形されている。
レッグカバー10は、後端に係合片12、係合片から前方に十分に離反した位置で切欠きを挟んでアーム11に左右一対の係合片13−1、係合片12に隣接して係合片12の前方に左右一対の係合片13−2をそれぞれ有しており、これら3種類の係合片12、13−1、13−2は天井から垂下し、その先端にフック(爪)を持つ片持ち梁形状に成形されている。ここで、後端の係合片12のフックは後方に、側壁の係合片13−1、13−2のフックは左右のフックが互いに対向する方向(切欠き方向)に面してそれぞれ設けられている。係合片12、13−1、13−2は後述するレッグブラケットの対応する係合孔の上下方向での位置(高さ位置)に応じてその垂下する長さが決定され、その長さに応じてレッグブラケットの対応する係合孔に順次係合される。なお、参照符号14はレッグカバーの天井に形成された補強リブを示す。
【0018】
図2に示すように、レッグブラケット20は、前が高く後が低い平坦面20a−1、20a−2をその前後に持つとともに前後の平坦面を斜面20bで連結し、上面が開口して前後の平坦面、中間の側面の左右に側壁を設けた段付き形状に鋼板を折曲加工して成形され、実施例では、後端は側壁から分断されて直立した端末壁21となっている。そして、端末壁に係合孔21’、左右の側壁の前端に係合孔23−1、後端に係合孔23−2がそれぞれ穿設され、これらの係合孔はいずれも横方向に延びた長孔となっている。係合孔21’、23−1、23−2はレッグカバー
10の対応する係合片12、13−1、13−2が係合可能な位置に設けられていることはいうまでもない。
【0019】
なお、前後の平坦面20a−1、20a−2にはレッグブラケット20をロアレールの端末、車床にそれぞれ固定するためのボルトなどの取付孔24が穿設され、前方の平坦面20a−1は段付き形状となっており、この段付平坦面を挟んでレッグカバーのアーム11が被せられる。
【0020】
本発明では、長手方向のリブを設けるとともにリブと直交しリブに対向する対向壁をリブの外側に設け、レッグカバーの後端の係合片12を対向壁から切り出してレッグブラケットの端末壁の
係合孔に外側から係合させ、外側から対向壁、係合片で、内側からリブでレッグブラケット端末壁を挟んだ構成となっている。
図3(A)は
図1(A)のA部を拡大した部分斜視図、
図4はレッグブラケットに装着、被覆されたレッグカバーの
図3(A)の線4−4に沿って上下を反転させた断面図をそれぞれ示す。
【0021】
図3、
図4に示すように、レッグカバー後端で天井から垂下する係合片12は、その先端のフック(爪)12’が内方(前端方向)に位置して、レッグブラケット後端の端末壁の係合孔21’(
図2参照)に外側から係合可能となっている。
また、長手方向(前後方向)に延びたリブ16が係合片12を挟んでその内側の左右で天井から垂下しており、このリブには、係合片先端のフック12’との間でレッグブラケットの端末壁21を抱持する段部16’が形成されている。
【0022】
長手方向のリブ16と直交しリブに対向する対向壁18が、レッグブラケットの端末壁21をリブとの間で挟持可能に外側に離反して天井から垂下し、この対向壁の下端(背面を示す
図3では上方に位置している)18aは外側に、たとえば40〜50°折曲した傾斜面となっている。係合片12はこの対向壁18に略U字形状の溝18bを設けて対向壁から切り出され、係合片、対向壁が一体的に成形されている。また、左右一対の補強リブ18cが対向壁18から前方及び後方に延びており、この補強リブによって前後方向(長手方向)での対向壁の倒れが防止される。
なお、
図3に示すように、その段部16’を介在してリブ16が対向壁18に連結されることによって、リブ、対向壁が相互に補強されている。
さらに、リブの先端面(下端面)16aも傾斜面とされ、この傾斜面は対向壁18の方向に向かって低くなるように傾斜している。
【0023】
レッグブラケット20へのレッグカバー10の装着、被覆の一例を以下に述べる。
レッグカバー10のリブ16、対向壁18の間にレッグブラケット20の端末壁21が位置するようにレッグブラケット20にレッグカバー10を被せて下方に押圧する(押し込む)。ここで、レッグカバー後端のリブの先端面(下端面)16a、対向壁の下端18aがそれぞれ傾斜面とされ、
図4からわかるように、この一組の傾斜面は上にV字形状となっている。そのため、レッグブラケット20にレッグカバー10を被せて押し込めば、リブ16、対向壁18の傾斜面がガイドとなって、レッグブラケットに対してレッグカバー10が前後方向にスライドして、レッグブラケットの端末壁21がリブ、対向壁間に入り込む。したがって、レッグブラケットの端末壁21に対してレッグカバー10が自動的に位置決めされ、高い作業性のもとでレッグカバーの装着操作が行える。
さらに下方に押圧すれば(押し込めば)、係合片先端のフック12’が端末壁の上端に押圧されて、係合片を後方(
図4の右方)に逃がしながらレッグカバー10が下降し、やがて、フック12’が端末壁の係合孔21’に入り込んで係合片12が係合孔に係合される。
【0024】
図4からよくわかるように、フックの内面12’aは、係合孔21’の上端に押圧されると、端末壁21によって前方(内側)に押し返されるように傾斜している。そのため、対向壁の内面18dが対向壁の側面に押圧、密着され、レッグブラケットの端末壁21は前後方向に隙間を残すことなくレッグカバーの対向壁18および係合片12とリブ16との間で挟持される。
また、フックの内面12’aの傾斜面は、端末壁の係合孔の上部分をリブの段部16’方向に押圧して段部との間にほとんど隙間を残すことなく、レッグブラケットの端末壁を上下方向で挟持している。そして、リブ16が係合片12を挟んでその左右に設けられているため、ねじれを生じることなく(傾斜させることなく)端末壁21を左右から均等に挟持できる。
【0025】
このように、レッグブラケットの端末壁21に係合片12が係合されるとともに、レッグカバーの対向壁18および係合片12とリブ16とによって端末壁はその前後から挟持される。
後端における端末壁21に対する係合片12の係合と前後して、係合片12から十分に離反してアーム11に設けられた左右一対の係合片13−1は、レッグブラケット側壁の対応する係合孔23−1にそれぞれ係合される。また、係合片12に隣接して設けられた左右一対の係合片13−2も、レッグブラケットの末端壁21に隣接した側壁の対応する係合孔23−2にそれぞれ係合される。
【0026】
本発明では、レッグカバー後端の係合片12を長手方向のリブ16と対向する対向壁18から切り出して係合片、対向壁を一体化し、レッグブラケットの端末壁21に係合片が係合されるとともに、レッグカバーの対向壁、係合片とリブとによってレッグブラケットの端末壁はその前後から挟持されている。そのため、ロアレール後端側で、レッグブラケットのレッグカバー10に後方着座者の足が触れてレッグカバー上に荷重が加わってレッグカバーの後端を押し上げる力が係合片12に作用しても、フック12’を端末壁の係合孔21’から外すような方向への係合片の倒れ(変形)が係合片自体だけでなく対向壁18によっても阻止される。つまり、係合方向と逆方向へのずれが一体化された対向壁18、係合片12によって確実に阻止される。
【0027】
また、レッグブラケットの端末壁21を挟持可能な間隔だけ対向壁18、係合片12から内側に離反した長手方向のリブ16がレッグブラケットの端末壁に接近して設けられているため、係合方向と逆方向(後方)へのレッグカバーのずれがリブによって阻止される。
このように、係合方向と逆方向(後方)へのレッグカバーのずれがリブ16、対向壁18、係合片12によって前後から阻止されるため、係合片12は外れることなくレッグブラケットの端末壁21に係合され、レッグカバーがバタついたり、レッグブラケットから外れることなく、レッグブラケットに被覆される。
【0028】
係合片12を対向壁18から切り出して係合片、対向壁を一体化しているため、リブ16、係合片12、対向壁18がコンパクトに配置できる。
【0029】
さらに、フックの内面12’aが傾斜し、対向壁の内面18dを対向壁の側面に押圧、密着してレッグカバーの対向壁18(係合片12)とリブ16との間でレッグブラケットの端末壁を前後方向に隙間なく挟持している、また、フックの内面12’aの傾斜面によって、端末壁の係合孔の上部分をリブの段部16’方向に押圧して段部との間にほとんど隙間を残すことなく、レッグブラケットの端末壁を上下方向で挟持している。
このように、前後上下において対向壁18および係合片12とリブ16とによってレッグブラケットの端末壁21を隙間なく挟持しているため、後端でのレッグカバーの押し上げが阻止され、この点からも係合片12は外れることなくレッグブラケットの端末壁21に係合される。また、前後上下からレッグブラケットの端末壁21を隙間なく挟持しているため、車両の走行時における異音の発生が防止される。
【0030】
さらに、レッグカバーの側壁の左右に設けた係合片13−1、13−2が前後方向に十分離反して設けられている。そのため、レッグカバー上に加わる荷重によってレッグカバー10の左右の側壁が末広がりに拡幅されても、前後方向に離反した2組の側壁の係合片13−1、13−2の係合がいずれも同時に緩んで係合方向と逆方向への係合片12のずれを生じる可能性は少なく、レッグカバーのバタツキやレッグブラケットからの外れが阻止できる。
【0031】
上記のように、本発明によれば、外側から対向壁、係合片で、内側からリブで端末壁を挟持しているため、レッグブラケットに対してフックを端末壁の係合孔から外すような方向に係合片を倒すようなレッグカバーのずれ(動き)が対向壁、係合片によって阻止されるだけでなく、係合方向と逆方向へのレッグカバーのずれがリブによって阻止される。そのため、いずれの方向でのレッグカバーのずれも阻止され、レッグカバーはバタツキや外れを生じることなくレッグブラケットに確実に被覆される。
【0032】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【0033】
たとえば、リブが係合片を挟んでその左右にそれぞれ1つ設けられているが、左右にそれぞれ2つ以上設けてもよい。