(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転子と、電源と、前記電源から供給された電流により生じる磁力によって前記回転子を回転させると共に、前記回転子の回転エネルギーを電気エネルギーに変換することによって発電を行う回転手段とを備えたモータを制御するモータ制御方法であって、
前記回転手段を流れる前記電流の大きさを測定する第一のステップと、
前記第一のステップで測定される前記電流の大きさが回生動作を維持するために必要な予め設定された下限値を下回るか否か判断する第二のステップと、
前記第二のステップで下限値を下回っていると判断した時は、前記電源から前記電流が供給されない状態において前記回転手段に前記発電を行わせることにより前記電流を増加させて前記回生動作を維持する第三のステップとを有するモータ制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一又は相等部分を示す。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るSRモータの構成を示す図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係るSRモータは、操作指令部1と、駆動・発電励磁タイミング生成回路3と、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5と、3相の励磁コイルU,V,Wを含むSRモータ部Mと、ロータ位置検出器RDと、電流センサS1〜S3と、蓄電池Bと、キャパシタCと、励磁制御用半導体スイッチTu1〜Tu3と、回生制御用半導体スイッチTd1〜Td3と、高速ダイオードDu1〜Du3,Dd1〜Dd3とを備える。
【0021】
なお、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5は、同じ構成を有する三個の半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜5p3からなるが、この半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜5p3の構成については後述する。
【0022】
ここで、操作指令部1は駆動・発電励磁タイミング生成回路3と半導体スイッチ駆動・発電制御回路5に接続され、駆動・発電励磁タイミング生成回路3はロータ位置検出器RDと半導体スイッチ駆動・発電制御回路5に接続される。
【0023】
また、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5は上記の他、電流センサS1〜S3と励磁制御用及び回生制御用半導体スイッチTu1〜Tu3,Td1〜Td3のゲートに接続される。
【0024】
また、励磁コイルUは励磁制御用半導体スイッチTu1のソースと回生制御用半導体スイッチTd1のドレインとの間に接続され、励磁コイルVは励磁制御用半導体スイッチTu2のソースと回生制御用半導体スイッチTd2のドレインとの間に接続され、励磁コイルWは励磁制御用半導体スイッチTu3のソースと回生制御用半導体スイッチTd3のドレインとの間に接続される。
【0025】
また、蓄電池Bは回生制御用半導体スイッチTd1〜Td3のソースと励磁制御用半導体スイッチTu1〜Tu3のドレインとの間に接続され、キャパシタCは蓄電池Bと並列に接続される。
【0026】
また、高速ダイオードDu1〜Du3はそれぞれ、回生制御用半導体スイッチTd1〜Td3のドレインと蓄電池Bの正極との間に接続され、高速ダイオードDd1〜Dd3はそれぞれ、蓄電池Bの負極と励磁制御用半導体スイッチTu1〜Tu3のソースとの間に接続される。
【0027】
また、電流センサS1〜S3はそれぞれ、励磁制御用半導体スイッチTu1〜Tu3のソースから励磁コイルU,V,Wへ流れる電流の大きさを測定し、ロータ位置検出器RDは、SRモータ部Mに含まれた
図3に示されるロータRの回転軸に設けられてロータRの回転位置を検出する。
【0028】
図2は、
図1に示された半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜5p3の構成を説明するための回路図である。
【0029】
上記のように、これら3つの半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜5p3は同じ構成とされ、本構成は、
図2に示された半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜3として示される。
【0030】
ここで、
図2における励磁制御用半導体スイッチTu1〜3は、上記の半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜3が
図1に示された半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1である場合には
図1に示された励磁制御用半導体スイッチTu1であり、同様に、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p2である場合には励磁制御用半導体スイッチTu2、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p3である場合には励磁制御用半導体スイッチTu3であることを意味するものである。
【0031】
なお、
図2に示された回生制御用半導体スイッチTd1〜3、高速ダイオードDu1〜3、Dd1〜3、電流センサS1〜3、励磁コイルU,V,W、励磁コイル電流信号Ic1〜3、励磁指令信号RS1〜3も同様な意味を有するものである。
【0032】
図2に示されるように、半導体スイッチ駆動・発電制御回路5p1〜3は電流設定アンプ11と、電流センサアンプ12と、分圧器13と、回生電流値比較器14と、励磁電流値比較器15と、AND回路16,17と、アイソレーションドライバー18,19により構成される。
【0033】
ここで、電流設定アンプ11は
図1に示された操作指令部1及び分圧器13に接続され、電流センサアンプ12の入力端は電流センサS1〜3に、出力端は回生電流値比較器14のマイナス(−)入力端及び励磁電流値比較器15のマイナス(−)入力端に接続される。
【0034】
また、分圧器13の出力端は回生電流値比較器14のプラス(+)入力端及び励磁電流値比較器15のプラス(+)入力端に接続され、回生電流値比較器14及び励磁電流値比較器15の出力端はそれぞれ、AND回路16,17の入力端に接続される。
【0035】
また、AND回路16,17の他の入力端は共に駆動・発電励磁タイミング生成回路3に接続され、それぞれAND回路16の出力端はアイソレーションドライバー18の入力端に、AND回路17の出力端はアイソレーションドライバー19の入力端に接続される。
【0036】
また、アイソレーションドライバー18の出力端は回生制御用半導体スイッチTd1〜3のゲートに接続され、アイソレーションドライバー19の出力端は励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のゲートに接続される。
【0037】
図3は、
図1に示されたSRモータ部Mの構成を示す図である。
図3に示されるように、SRモータ部Mは3相の励磁コイルU,V,Wが巻かれたステータSTと、回転子としてのロータRを含む。
【0038】
ここで、ロータRは
、紙面に垂直な回転軸の周りを回転すると共に、上記回転軸の周りに回転角45度の間隔で8個配設された凸部20を有する。また、励磁コイルU,V,Wが巻かれたステータSTは上記回転軸の周りに回転角30度の間隔で12個配設され、そのうち同相の励磁コイルU,V,Wが巻かれたステータSTはそれぞれ、上記回転軸の周りに回転角90度の間隔で配設されている。
【0039】
以下において、SRモータ部Mによる駆動動作及び発電動作について説明する。
なお、「駆動」とは電気エネルギーから運動エネルギーを作り出すことを意味し、「発電」とは駆動動作で作り出した運動エネルギー又は外的運動エネルギーによりSRモータに含まれた回転子(ロータ)が回転させられた際、当該運動エネルギー若しくは回転エネルギーから電気エネルギーを作り出すことを意味する。
【0040】
また、後述する「回生」とは、励磁コイルU,V,Wが有するエネルギーを電気エネルギーとして蓄電池BやキャパシタC(以下これらを総称して「電源」という。)に回収、すなわち充電させることを意味する。
【0041】
なお、上記の回収(充電)は、駆動動作のために用いられる電源に限られず、他の電源に対して行っても良い。
【0042】
駆動動作については、例えばロータRが
図3に示された状態にあるとき、励磁コイルUのみに定電流を流し励磁すると、ロータRは励磁コイルUに吸引され、方向CW(時計回り)に回転することになる。
【0043】
そして、上記のように定電流を流す励磁コイルU,V,Wを、励磁コイルUから順に、励磁コイルV、励磁コイルWと切り替えることによって、ロータRの上記回転を連続駆動させることができる。
【0044】
一方、発電動作は、ロータRが真下に位置して重なった状態にあるステータSTに巻かれた励磁コイルU,V,Wの一つを定電流励磁した状態で、外力によりロータRが回転することによって、定電流励磁されている励磁コイルU,V,W内の磁束が時間的に変化することを利用する。このことから、
図3に示されたロータRは、1回転する間にステータSTの数だけ、すなわち12回の発電動作を行うことになる。
【0045】
すなわち、このような磁束変化により電磁誘導の法則による電気エネルギーが励磁コイルU,V,Wに発生し、発生した本エネルギーを電源で回収する。
【0046】
なお、本回収時においては、励磁コイルU,V,Wで発生した上記エネルギーで励磁コイルU,V,W自体に流れる励磁電流を維持することが必須となるため、発電により生成するエネルギーの大きさは、励磁電流を維持するために必要なエネルギーの大きさと上記回収を行う回路におけるエネルギー損失の大きさとの和以上である必要がある(以下「回収必要条件」という。)。
【0047】
なぜなら、仮にこの回収必要条件を満たさない状態となり、励磁電流が維持されない場合には、一瞬にして発電動作が停止してしまうためである。
【0048】
また一般的に、電源電圧と発電電圧との差により上記電気エネルギーを回収するためには、上記磁束変化により励磁コイルU,V,Wに生じる起電力(発電電圧)の大きさが、当該電源電圧と回収回路の電圧降下との和以上であることが必要十分条件となる(以下「回収必要十分条件」という。)。
【0049】
以下、発電動作を具体的に説明する。例えばロータRが
図3に示された状態にあるとき、励磁コイルWのみに定電流を流し励磁すると、ロータRは励磁コイルWに吸引されるが、外力によりロータRが方向CWへ回転させられると、励磁コイルWでは上記定電流が流れた定電流励磁状態で磁束が変化するため、励磁コイルWに起電力が生じ発電電圧が発生する。なお、本発電電圧は、ロータRの回転速度に比例した大きさとなる。
【0050】
このようにして、励磁させるコイルを励磁コイルW、励磁コイルV、励磁コイルUの順で順次切り替え、ロータRの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することによって、連続的に発電することができる。
【0051】
これより、SRモータ部Mでは、磁石を使用する通常の発電機と異なり磁石を使用することなく、励磁コイルU,V,Wが巻かれたステータSTをロータRが通過する際の磁束変化を利用して発電が行われることになる。
【0052】
従って、本発明の実施の形態に係るSRモータにおいては、ロータRとステータSTの位置関係を考慮した駆動制御のほか、発電及び回生のための制御が重要となる。
【0053】
そこで、以下においては、
図4を参照しつつ励磁コイルU,V,Wが巻かれたステータST及びロータRによる発電の原理について、より詳しく説明する。
【0054】
ここで、
図4(a)〜(c)はそれぞれ、1回の上記発電動作における発電開始時、発電中、発電終了時のステータST及びロータRの位置関係を示す。
【0055】
なお、
図4(a)〜(c)のいずれにおいても、ステータSTに巻かれているコイルは励磁コイルU,V,Wのいずれか一つであり、同一のコイルを図示したものである。
【0056】
また、
図4(a)〜(c)に示されたロータRは、
図3に示されたロータRが回転軸の周りに有する8個の上記凸部20の中の任意の1個の凸部20を図示したものである。
【0057】
図4(a)に示されるように、回転しているロータRがステータSTの直下に位置して重なったとき、当該ステータSTに巻かれた励磁コイルに定電流Iが流れると、励磁コイルが生成する磁力によりステータSTはロータRを吸引する。
【0058】
このとき、ロータRがステータSTの及ぼす吸引力を振り切る運動エネルギー(回転エネルギー)を持ってさらに回転方向に回転すると、
図4(b)に示されるように、ステータSTとロータRの重なる部分が減少する。これにより、励磁コイル内の磁束が減少するため、かかる磁束の時間変化に応じた発電電圧gvが励磁コイルに生じることになる。
【0059】
そして、
図4(c)に示されるように、ロータRがさらに回転方向に回転してステータSTと全く重ならない状態になると、励磁コイル内の磁束はもはや時間変化しないため、発電が終了することになる。
【0060】
以上より、ロータRが定電流励磁されたステータSTの直下を通過する期間だけ発電されることになる。
【0061】
このことから、本発明の実施の形態に係るSRモータは、ロータRの位置に応じてステータSTを励磁制御することにより上記のような発電を行うための条件を作り出し、発電により得られた電気エネルギーを回生するものである。
【0062】
より具体的には、本発明の実施の形態に係るSRモータは、発電により得られたエネルギーを励磁状態にある励磁コイルU,V,Wを含む閉回路に還流させることにより励磁コイルU,V,Wに流れる電流(以下「励磁電流」という。)を増加させて励磁コイルU,V,W内にエネルギーを蓄積し、かつ、蓄積された本エネルギーを電源へ回収、すなわち充電する。
【0063】
以下において、
図1及び
図2を参照しつつ、
図1に示された本発明の実施の形態に係るSRモータの動作を、ロータRが高速回転することにより発電する状態(以下「高回転モード」という。)と、ロータRが低速回転することにより発電する状態(以下「低回転モード」という。)に分けて、詳しく説明する。
【0064】
なお、いずれのモードにおいても、ロータRは、
図4(a)を用いて説明したように、停止状態にあるロータRの凸部20が、励磁された最寄りの励磁コイルに吸引されることによって回転を始めることになる。
【0065】
図5は、
図1に示されたSRモータを高回転モードで動作させる制御方法を示す波形図である。以下においてはまず、本図を用いて高回転モードにおける動作を説明する。
【0066】
図5において、時刻0〜時刻T1では、
図4(a)に示されるようにロータR(のある凸部20)がステータSTの直下に位置して完全に重なった状態で上記励磁が行われる。また、時刻T1〜時刻T3では、
図4(b)に示されるようにロータR(の上記凸部20)がステータSTと一部重なった状態で上記励磁と上記発電動作、及び上記回生動作が行われ、時刻T3〜時刻T4では、
図4(c)に示されるようにロータR(の上記凸部20)とステータSTとの重なりがなくなった状態で上記回生動作が行われる。
【0067】
最初に、
図1に示されたSRモータのユーザが、励磁電流設定値Irを設定すると共に本モータに発電させるよう操作指令部1を操作すると、操作指令部1は発電指令信号を駆動・発電励磁タイミング生成回路3へ供給する。
【0068】
発電指令信号を受けた駆動・発電励磁タイミング生成回路3は、ロータ位置検出器RDから供給されたロータRの回転位置を示す信号に応じてロータRが最寄りのステータSTの直下に位置し重なったと判断された時刻0に、
図5(a)に示されるように、励磁指令信号RS1〜3をロウレベル(Off)からハイレベル(On)へ遷移させる。
【0069】
一方、上記ユーザが操作指令部1において設定した励磁電流設定値Irは、
図2に示された電流設定アンプ11へ供給される。
【0070】
電流設定アンプ11は、入力された励磁電流設定値Irを増幅して分圧器13へ供給する。分圧器13は入力された信号を分圧し、生成された回生電流設定値Ikを回生電流値比較器14のプラス(+)入力端に供給すると共に、励磁電流設定値Irを励磁電流値比較器15のプラス(+)入力端に供給する。
【0071】
また、
図2に示された電流センサS1〜3は、励磁コイルU,V,Wに流れる電流の大きさを検知して、検知した励磁電流の大きさを示す信号Ic1〜3を電流センサアンプ12へ供給する。
【0072】
電流センサアンプ12は、入力された信号Ic1〜3を増幅し、増幅された信号(以下「電流増幅信号」という。)を回生電流値比較器14のマイナス(−)入力端と励磁電流値比較器15のマイナス(−)入力端に供給する。
【0073】
このとき、励磁電流値比較器15は、
図5(d)に示されるように、[プラス入力端に供給された励磁電流設定値Ir+ヒステリシスH1の大きさの1/2](以下「励磁電流上限値」という。)と、マイナス入力端に供給された電流増幅信号とを比較し、電流増幅信号が励磁電流上限値より小さい場合にはハイレベルの信号を出力し、電流増幅信号が励磁電流上限値より大きくなった時点で出力信号をロウレベルへ遷移させる。
【0074】
また、励磁電流値比較器15は、電流増幅信号が[プラス入力端に供給された励磁電流設定値Ir−ヒステリシスH1の1/2の大きさ](以下「励磁電流下限値」という。)より小さくなった時点で出力信号をロウレベルからハイレベルへ遷移させる。
【0075】
なお、上記ヒステリシスH1の大きさは、励磁電流値比較器15に対して予め設定される。
【0076】
また同様に、回生電流値比較器14は、
図5(d)に示されるように、[プラス入力端に供給された回生電流設定値Ik+ヒステリシスH2の1/2の大きさ](以下「回生電流上限値」という。)と、マイナス入力端に供給された電流増幅信号とを比較し、電流増幅信号が回生電流上限値より小さい場合にはハイレベルの信号を出力し、電流増幅信号が回生電流上限値より大きくなった時点で出力信号をロウレベルへ遷移させる。
【0077】
また、回生電流値比較器14は、電流増幅信号が[プラス入力端に供給された回生電流設定値Ik−ヒステリシスH2の1/2の大きさ](以下「回生電流下限値」という。)より小さくなった時点で出力信号をロウレベルからハイレベルへ遷移させる。
【0078】
なお、上記ヒステリシスH2の大きさは、回生電流値比較器14に対して予め設定される。
【0079】
従って、ユーザが上記操作を行った時点では励磁電流はゼロであるから、回生電流値比較器14及び励磁電流値比較器15はハイレベルの信号を出力する。
【0080】
従って、AND回路16,17は、上記のように励磁指令信号RS1〜3がハイレベルに遷移した時刻0でそれぞれ、アイソレーションドライバー18,19へハイレベルの信号を供給する。
【0081】
この時、アイソレーションドライバー18,19はそれぞれ、
図5(c)及び
図5(b)に示されるように、回生制御用半導体スイッチTd1〜3のゲート及び励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のゲートへハイレベルの信号を供給するため、回生制御用半導体スイッチTd1〜3及び励磁制御用半導体スイッチTu1〜3は共にオンする。
【0082】
これにより、
図5(e)に示されるように、蓄電池Bの正極から励磁制御用半導体スイッチTu1〜3、励磁コイルU,V,W、回生制御用半導体スイッチTd1〜3、蓄電池Bの負極へと電源電流Ipが流れることになる。
【0083】
なお、
図5(e)においては、蓄電池Bの正極から励磁制御用半導体スイッチTu1〜3等を含む回路を介して蓄電池Bの負極へ向かう電源電流Ip(消費電流)はプラス(+)で、蓄電池Bの負極から高速ダイオードDu1〜3等を含む回路を介して蓄電池Bの正極へ向かう電源電流Ip(充電電流)はマイナス(−)で表記されている。
【0084】
このとき、ロータRの回転により励磁コイルU,V,W内の磁束が変化すると励磁コイルU,V,Wに起電力が生じるため、
図5(d)に示されるように、励磁電流は時間と共に増加する。
【0085】
そして、時刻T1において励磁電流が励磁電流上限値を超えると、上記のように励磁電流値比較器15は出力信号をハイレベルからロウレベルへ遷移させる。
【0086】
これより、
図5(b)に示されるように、励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のゲートに供給される信号はロウレベルに遷移するため本スイッチはオフし、
図5(e)に示されるように、電源電流Ipの大きさはゼロとなる。
【0087】
このため、
図5(d)に示されるように、励磁電流の大きさは減少する。
【0088】
そして、
図5(d)及び
図5(b)に示されるように、励磁電流の大きさが励磁電流下限値を下回ると、上記のように励磁電流値比較器15は出力信号をハイレベルへ遷移させるため、励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のゲートに供給される信号がハイレベルに遷移して本スイッチがオンされる。
【0089】
これにより、
図5(e)に示されるように、プラス(+)の電源電流Ipが再度流れるため、
図5(d)に示されるように、時刻0〜時刻T1の間と同様に励磁電流が増加する。
【0090】
そして、
図5(d),(b),(e)に示されるように、励磁電流の大きさが励磁電流上限値を超えた時点で時刻T1と同じように動作し、結果として励磁電流がヒステリシスH1の範囲内で維持されることになる。
【0091】
ここで、
図5(b)に示されるように励磁制御用半導体スイッチTu1〜3がオフすると、励磁コイルU,V,Wと回生制御用半導体スイッチTd1〜3、及び高速ダイオードDd1〜3からなる閉回路が形成されるため、ロータRが高速回転することによって大きな上記起電力が生じる場合には、
図5(d)に示されるように、本閉回路に流れる電流が増大し、励磁コイルU,V,W内に電気エネルギーが蓄積される。
【0092】
このようにして、時刻T2において励磁電流が回生電流上限値を超えると、回生電流値比較器14は出力信号をロウレベルに遷移させるため、
図5(c)に示されるように、回生制御用半導体スイッチTd1〜3のゲートに供給される信号もロウレベルに遷移して本スイッチがオフされる。
【0093】
これにより、励磁制御用半導体スイッチTu1〜3と回生制御用半導体スイッチTd1〜3の双方がオフされるため、高速ダイオードDd1〜3と励磁コイルU,V,W、高速ダイオードDu1〜3、及び電源からなる閉回路(以下「回生ループ」という。)が形成される。
【0094】
そして、
図5(e)に示されるように、電源電流Ipはこの回生ループを蓄電池Bの正極から蓄電池Bの内部を経由して蓄電池Bの負極へ向かって流れる(以下このような電流を「回生電流」という。)が、このことにより、励磁コイルU,V,Wが有するエネルギーが電源に回生される。
【0095】
なお、このような電源への回生は、上記のように励磁電流が回生電流上限値を超えた時点で、回生制御用半導体スイッチTd1〜3のスイッチング動作により励磁コイルU,V,Wに生じる自己誘導起電力で得られる十分な電圧を利用してなされるものである。
【0096】
またこのとき、
図5(d)に示されるように、上記回生に伴って励磁電流は減少する。そして、励磁電流が回生電流下限値まで低下すると、回生電流値比較器14は出力信号をハイレベルに遷移させるため、
図5(c)に示されるように回生制御用半導体スイッチTd1〜3のゲートに供給される信号もハイレベルに遷移し、本スイッチがオンされる。
【0097】
これにより、励磁コイルU,V,Wと回生制御用半導体スイッチTd1〜3、及び高速ダイオードDd1〜3からなる閉回路(以下「発電ループ」という。)が形成され、
図5(e)に示されるように電源電流Ipはゼロとなる。
【0098】
発電ループでは、上記のように、ロータRが高速回転することにより励磁コイルU,V,Wに生じる起電力によって、流れる電流が増大し、励磁コイルU,V,W内に電気エネルギーが蓄積される。
【0099】
そして、励磁コイルU,V,Wを流れる電流が回生電流上限値を超えると、時刻T2における動作と同じように動作するため、
図5(c)〜(e)に示されるように、時刻T2〜時刻T3の間では励磁電流がヒステリシスH2の範囲内に維持されると共に、励磁コイルU,V,Wで発電されたエネルギーが間欠的に電源に回生される。
【0100】
時刻T3において、駆動・発電励磁タイミング生成回路3は、ロータ位置検出器RDから供給されるロータRの位置を示す信号に基づいてロータRとステータSTの位置関係が
図4(c)に示される状態であると判断し、
図5(a)に示されるように、励磁指令信号RS1〜3をハイレベルからロウレベルへ遷移させて励磁を終了させる。
【0101】
これにより、AND回路16の出力信号はロウレベルに遷移するため、
図5(c)に示されるように回生制御用半導体スイッチTd1〜3のゲートに供給される信号はロウレベルに遷移し、本スイッチはオフされる。
【0102】
この時、回生ループが形成されるため、
図5(e)に示されるように、時刻T3から時刻T4までの間において、励磁コイルU,V,Wに保有されたエネルギーが電源に回生されると共に励磁電流が減少する。
【0103】
そして、ロータRがさらに方向CWに回転を続け、隣接する次のステータSTの直下に重なった時から、再び上記時刻0〜時刻T4の動作と同様な動作を行うことになる。
【0104】
以上が、
図1に示されたSRモータを高回転モードで動作させる制御方法であるが、上記のように励磁電流上限値と励磁電流下限値を予め設定してヒステリシスH1の間で励磁電流を維持することにより、励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のスイッチング回数を必要最小限の回数とすることができる。
【0105】
これにより、電源の消費電力を最小限に抑えつつ、ロータRを安定的に駆動させることができる。
【0106】
また、上記のように回生電流上限値と回生電流下限値を予め設定してヒステリシスH2の間で励磁電流を維持しながら間欠的に回生動作を行わせることにより、回生制御用半導体スイッチTd1〜3のスイッチング回数を必要最小限の回数としつつ、回生動作を維持させることができる。
【0107】
これにより、上記スイッチングによるエネルギー損失を最小限に抑え、かつ、回生動作を安定的に継続させることができるため、エネルギー的により効率的な発電動作及び回生動作を実現することができる。
【0108】
なお、上記発電ループの替わりに、励磁コイルU,V,Wと高速ダイオードDu1〜3、及び励磁制御用半導体スイッチTu1〜3からなる閉回路を用いることによっても同様な作用効果を得ることができ、後述する
図6に示された制御方法においても同じことがいえる。
【0109】
また、上記のヒステリシスH1及びヒステリシスH2は、後述する
図6に示された制御方法においても採用され、同様な作用効果が奏される。
【0110】
図6は、
図1に示されたSRモータを低回転モードで動作させる制御方法を示す波形図である。以下においては、本図を用いて低回転モードにおける動作を説明する。
【0111】
なお、
図6において、時刻0〜時刻T1では、
図4(a)に示されるようにロータR(のある凸部20)がステータSTの直下に位置して完全に重なった状態で上記励磁が行われる。また、時刻T1〜時刻T7では、
図4(b)に示されるようにロータR(の上記凸部20)がステータSTと一部重なった状態で上記励磁と上記発電動作、及び上記回生動作が行われ、時刻T7〜時刻T8では、
図4(c)に示されるようにロータR(の上記凸部20)とステータSTとの重なりがなくなった状態で上記回生動作が行われる。
【0112】
また、
図6における時刻0〜時刻T3の動作は、
図5における時刻0〜時刻T3の動作と同様であり、
図6における時刻T6〜時刻T8の動作は、
図5における時刻T2〜時刻T4の動作と同様であるため、
図6におけるこれら期間の動作については説明を省略する。
【0113】
図6(d)に示されるように、時刻T3からは上記のように回生ループにおける回生動作がなされ、それに伴って励磁電流が減少する。このとき、ロータRが低速で回転する場合は発電電力が少ないため、励磁電流が回生電流下限値まで低下した時に回生制御用半導体スイッチTd1〜3をオンして発電ループを形成しても、発電電力を環流して励磁電流を維持することが難しくなることから、
図5に示された高回転モードと異なり、励磁コイルU,V,Wに大きな起電力が生じない。
【0114】
このため、
図6(d)に示されるように、励磁電流は回生電流下限値よりさらに低下するが、時刻T4において励磁電流下限値に至ると、励磁電流値比較器15は出力信号をハイレベルに遷移させ、
図5(b)に示されるように励磁制御用半導体スイッチTu1〜3をオンさせる。
【0115】
これにより、
図6(e)に示されるように、時刻T4〜時刻T5においては、蓄電池Bの正極から励磁制御用半導体スイッチTu1〜3、励磁コイルU,V,W、回生制御用半導体スイッチTd1〜3を順に経由して、蓄電池Bの負極へ電源電流Ipが流れるため、
図6(d)に示されるように励磁コイルU,V,Wを流れる励磁電流は増加する。
【0116】
なお、このような時刻T4〜時刻T5における動作は、励磁コイルU,V,Wによる上記発電動作及び上記回生動作が維持されるよう、電源から励磁コイルU,V,Wへ電気エネルギーを補給するという意義を持つものである。
【0117】
そして、時刻T5において励磁電流の大きさが励磁電流上限値を超えると、励磁電流値比較器15は出力信号をロウレベルに遷移させるため、
図6(b)に示されるように、励磁制御用半導体スイッチTu1〜3のゲートに供給される信号もロウレベルに遷移し、本スイッチがオフする。
【0118】
これより、
図6(e)に示されるように電源電流Ipがゼロになると共に、上記発電ループが形成されて上記と同様な発電動作がなされるため、
図6(d)に示されるように、時刻T6まで励磁コイルU,V,Wを流れる励磁電流は時間と共に増加することになる。
【0119】
そして、
図5に示された高回転モードの場合と同様に、
図6に示された低回転モードの場合においても、ロータRがさらに方向CWに回転を続け、隣接する次のステータSTの直下に重なった時から、再び上記時刻0〜時刻T8の動作と同様な動作を行うことになる。
【0120】
以上より、
図1に示された本発明の実施の形態に係るSRモータによれば、たとえ回生動作中にロータRの回転速度が低下して発電電力が下がり、励磁コイルU,V,Wを流れる電流が回生電流下限値を下回って充電不能となった場合であっても、励磁電流下限値まで低下した時点で励磁制御用半導体スイッチTu1〜3がオンすることによって、回生動作を継続するために必要な電気エネルギーが電源から励磁コイルU,V,Wに供給されるため、回生動作を中断させることなく維持することができる。
【0121】
従って、
図1に示される簡素なSRモータにより、ロータRの低速回転域まで回生動作を可能とし、蓄電池Bの正極から負極へ流れる電源電流Ipによる消費電力に対する回生電流による回生電力の比率、すなわち回生効率を従来よりも高くすることができる。
【0122】
また、上記のように構成が簡素であることにより、回生時に使用される回路によるエネルギー損失を皆無に近くすることができるため、上記の回収必要条件を充分に満たすことができる。
【0123】
さらに、上記のように、励磁コイルU,V,Wの自己誘導現象による自己誘導起電力を利用することによって理論的には発電電圧を無限に高められるため、回生時に利用される電源電圧の大きさによらず、確実に上記の回収必要十分条件を満たすことができる。
【0124】
また、
図1に示されたSRモータは、永久磁石を使用しないことから、高温下における磁力低下の影響も受けず、ロータRの駆動動作と発電動作、及び回生動作を安定的に実現することができると共に、コギングトルクもないという特徴がある。
【0125】
また、
図1に示されたSRモータは、ロータRを回転させる回転モータのほか、発電機としても使用できるので、広い用途を持つ。
【0126】
ここで、上記のように本SRモータを発電機として使用する場合、発電機を駆動する機械系のトルクに見合った励磁電流を励磁コイルU,V,Wに流すことによって、上記機械系の運動エネルギーを電気エネルギーに転換し効率の良い回生を実現することができる。
【0127】
なお、
図5及び
図6の波形図に示された本発明の実施の形態に係るモータ制御方法は、
図1〜
図4に示されたSRモータを制御対象とする場合に限られず、他の構成を有するモータに広く適用できることはいうまでもない。
上記課題を解決するため、ロータRと、生成された電気エネルギーを充電する蓄電池B及びキャパシタC(電源)と、電源から供給された電流により生じる磁力によってロータRを回転させると共に、ロータRの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することによって発電を行うSRモータ部Mと、励磁コイルU,V,Wに供給される電流の大きさを測定する電流センサS1〜S3と、電流センサS1〜S3により測定された電流の大きさが、充電を行うことによって、ロータRを回転させるために必要な予め設定された下限値を下回る時には、電源から励磁コイルU,V,Wへ電気エネルギーを供給することにより電流を増加させて回転を維持する半導体スイッチ駆動・発電制御回路5とを備えたモータを提供する。