【文献】
Food Research International,2001年 2月 5日,Vol.34, No.1,p.25-30
【文献】
Journal of the Institute of Brewing,2001年,Vol.107, No.4,p.207-215
【文献】
アセトアルデヒドを添加物として定めることに係る食品健康影響評価に関する審議結果,食品安全委員会, [online],2005年 7月21日,[retrieved on 2014.04.14], Retrieved from the Internet,URL,http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20031121192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Food Science and Technology Abstracts(FSTA)/Foodline SCIENCE(ProQuest Dialog)
原料として、前記インスタント嗜好性飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜3.5質量%になる量の果糖を用いる、請求項1又は2に記載のインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法。
果糖の含有量が、液体と混合して得られる嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜3.5質量%になる量である、請求項6又は7に記載のインスタント嗜好性飲料用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、果物の香りが強化された嗜好性飲料を、水等の液体に溶解させるだけで簡便に調製し得るインスタント嗜好性飲料用組成物、当該インスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法、果物の香りが強化された嗜好性飲料の製造方法、及び嗜好性飲料添加用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、フルーツフレーバーティーにおいて、アセトアルデヒド濃度と果糖の少なくとも一方を、飲料中のそれぞれの濃度が特定の範囲内になるように添加することによって、果汁の本格感と新鮮な香りが飛躍的に高まることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
[1]本発明の第一の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法は、液体と混合して、果物の香りを有する嗜好性飲料を調製するためのインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法であって、原料として、嗜好性飲料の可溶性固形分と、(a)前記インスタント嗜好性飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b)前記インスタント嗜好性飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖と、を用いることを特徴とする。
[2]前記[1]のインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法においては、原料として、さらに、果物の香りの香料及び果汁からなる群より選択される一種以上を用いることが好ましい。
[3]前記[1]又は[2]のインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法においては、原料として、前記インスタント嗜好性飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜3.5質量%になる量の果糖を用いることが好ましい。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかのインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法においては、原料として、さらに、乳原料又はクリーミングパウダーを用いることが好ましい。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかのインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法においては、インスタント紅茶飲料用組成物が製造されることが好ましい。
[6]本発明の第二の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物は、液体と混合して果物の香りを持つ嗜好性飲料を調製するためのインスタント嗜好性飲料用組成物であって、原料として、可溶性茶固形分と、(a)液体と混合して得られる嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b)液体と混合して得られる嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖と、を含有することを特徴とする。
[7]前記[6]のインスタント嗜好性飲料用組成物は、さらに、果物香の香料及び果汁からなる群より選択される一種以上を含有することが好ましい。
[8]前記[6]又は[7]のインスタント嗜好性飲料用組成物は、果糖の含有量が、液体と混合して得られる嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜3.5質量%になる量であることが好ましい。
[9]前記[6]〜[8]のいずれかのインスタント嗜好性飲料用組成物は、さらに、乳原料又はクリーミングパウダーを含有することが好ましい。
[10]前記[6]〜[9]のいずれかのインスタント嗜好性飲料用組成物は、インスタント紅茶飲料用組成物であることが好ましい。
[11]本発明の第三の態様に係る果物の香りを有する嗜好性飲料の製造方法は、果物の香りを有する嗜好性飲料に、(a’)前記嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b’)前記嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖と、を添加することを特徴とする。
[12]本発明の第四の態様に係る果物の香りを有する嗜好性飲料の製造方法は、嗜好性飲料に、(a’)前記嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b’)前記嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖と、果物の香りの香料及び果汁からなる群より選択される一種以上と、を添加することを特徴とする。
[13]本発明の第五の態様に係
る嗜好性飲料添加用組成物は、嗜好性飲料に添加される粉末状組成物であって、(a”)前記嗜好性飲料と混合することにより、当該嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b”)前記嗜好性飲料と混合することにより、当該嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖と、を含有することを特徴とする。
[
14]前記[
13]の嗜好性飲料添加用組成物は、さらに、果物香の香料及び果汁からなる群より選択される一種以上を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第二の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物を水等の液体に混合するだけで、本格的な果汁感と新鮮な果物の香りを持つ紅茶等の嗜好性飲料を、簡便に調製することができる。
また、本発明の第一の態様に係るインスタント嗜好性飲料用組成物の製造方法によって、前記インスタント嗜好性飲料用組成物を製造することができる。
さらに、本発明の第三及び第四の態様に係る果物の香りを有する嗜好性飲料の製造方法や、本発明の第六の態様に係る嗜好性飲料添加用組成物を用いることによっても、新鮮で本格的な果汁風味を持つ嗜好性飲料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明及び本願明細書において、「インスタント嗜好性飲料用組成物」(「飲料用組成物」と略記することもある。)とは、水や牛乳等の液体に溶解、希釈、又は分散させることによって、茶飲料やコーヒー飲料等の嗜好性飲料を調製し得る組成物を意味する。IC飲料用組成物は、粉末や顆粒等の固形物であってもよく、液体であってもよいが、より安定的に長期保存が可能であり、新鮮な果物の香りがより強い嗜好性飲料を製造し得るため、固形物であることが好ましい。
【0012】
なお、「新鮮な果物の香り」とは、鮮度のよい果物を、喫食したり、皮をむいたり、スライスしたり、圧搾した際に薫る香りのことである。
【0013】
本発明及び本願明細書において、「粉末」とは粉粒体(異なる大きさの分布をもつ多くの固体粒子からなり,個々の粒子間に,何らかの相互作用が働いているもの)を意味する。また、「顆粒」は粉末から造粒された粒子(顆粒状造粒物)の集合体である。粉末には、顆粒も含まれる。
【0014】
<飲料用組成物の製造方法>
本発明の第一の態様に係る飲料用組成物の製造方法(以下、単に「本発明に係る飲料用組成物の製造方法」ということがある。)は、嗜好性飲料の可溶性固形分を主要原料とする組成物に、特定の量のアセトアルデヒドと特定の量の果糖の少なくともいずれか一方を含有させたものである。具体的には、本発明に係る飲料用組成物の製造方法は、液体と混合して、果物の香りを有する嗜好性飲料を調製するための飲料用組成物の製造方法であって、原料として、嗜好性飲料の可溶性固形分と、(a)前記飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b)前記飲料用組成物を液体と混合して得られた嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖からなる群より選択される一種以上と、を用いることを特徴とする。
【0015】
[嗜好性飲料の可溶性固形分]
本発明及び本願明細書において、「嗜好性飲料」とは、紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶飲料、ハーブティー、コーヒー、又はこれらの混合飲料を意味する。ハーブティーの原料としては、ハイビスカス、ローズヒップ、ペパーミント、カモミール、レモングラス、レモンバーム、ラベンダー等が挙げられる。本発明においては、茶飲料が好ましい。特に、発酵茶である紅茶は、緑茶とは異なり、カテキン類が発酵によりテアフラビンやテアルビジンに変化しており、また、プロアントシアニジンポリマーといった成分が渋み・苦みを形成している。さらに、テアニンやカフェインが加わり、紅茶特有の味を形成している。これらの紅茶特有の味と、果物の香りとの相性が良好であるため、本発明に係る飲料用組成物の製造方法によって製造される飲料用組成物は、インスタント紅茶飲料用組成物であることが好ましい。
【0016】
原料として用いられる嗜好性飲料の可溶性固形分は、茶葉やコーヒー豆等の嗜好性原料から抽出された可溶性の固形分であり、粉末であってもよく、水溶液であってもよい。保存安定性が良好であるため、本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、粉末の可溶性固形分を原料とすることが好ましい。粉末の可溶性固形分としては、具体的には、インスタント紅茶粉末、インスタント緑茶粉末、インスタントウーロン茶粉末、インスタントハーブティー粉末、インスタントコーヒー粉末、及びこれらのうちの2種類以上の混合粉末等が挙げられる。
【0017】
粉末又は水溶系である嗜好性飲料の可溶性固形分は、常法により製造することができ、また、市販されているものを用いてもよい。例えば、茶飲料の粉末状の可溶性固形分は、紅茶葉、緑茶葉(生茶葉)、ウーロン茶葉等の茶葉から熱水を用いて可溶性の固形分を抽出し、得られた抽出物を乾燥することにより得られる。また、インスタントコーヒー粉末は、焙煎したコーヒー豆から熱水を用いて可溶性の固形分を抽出し、得られた抽出物を乾燥することにより得られる。インスタントハーブティー粉末は、ハーブの原料から熱水を用いて可溶性の固形分を抽出し、得られた抽出物を乾燥することにより得られる。茶葉やコーヒー豆等の嗜好性飲料の原料としては、一般的に嗜好性飲料に使用されているものを用いることができる。得られた抽出物の乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等が挙げられる。また、茶葉やコーヒー豆からの抽出物は、乾燥前に、必要に応じて濃縮してもよい。当該濃縮方法としては、熱濃縮方法、冷凍濃縮方法、逆浸透膜や限外濾過膜等を用いた膜濃縮方法等の汎用されている濃縮方法により行うことができる。
【0018】
[アセトアルデヒド]
アセトアルデヒドは、多くの果物に含まれている化合物であり、非常に揮発性が高く、果物をスライスしたり、圧搾した際には、速やかに揮発する。そして、アセトアルデヒドが揮発する際に、果物の香り成分も共に揮発するため、嗜好性飲料中のアセトアルデヒドの含有量が多いほど、喫飲者が感じる「果物の新鮮な香り」が強くなる。一方で、アセトアルデヒドは特有の刺激臭やエグ味を有するため、過剰量が含まれていると、嗜好性が劣るおそれがある。なお、市販されている液体の果汁入り紅茶飲料では、仮に製造時点では含まれていたとしても、一般消費者に届く頃にはほとんど揮発してしまっており、アセトアルデヒドは検出できない。
【0019】
本発明においては、飲料用組成物に特定の量のアセトアルデヒドを配合しているため、当該飲料用組成物を液体と混合することにより、適切な量のアセトアルデヒドを含む嗜好性飲料を製造できる。当該飲料用組成物を液体に溶解、希釈、又は分散させる際に充分量のアセトアルデヒドと共に果物の香り成分(果汁や果物の香りの香料等)が揮発するため、「果物の新鮮な香り」を強く感じることができる。さらに、調製された嗜好性飲料からも、アセトアルデヒドと共に果物の香り成分が徐々に揮発していくため、喫飲時にも「果物の新鮮な香り」を従来よりも強く感じることができる。
【0020】
本発明に係る飲料用組成物の製造方法において、原料としてアセトアルデヒドを用いる場合には、製造された飲料用組成物を液体と混合させて調製された嗜好性飲料においてアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppm、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜25ppmになる量のアセトアルデヒドを、嗜好性飲料の可溶性固形分等の他の原料と混合する。
【0021】
原料として用いられるアセトアルデヒドは、粉末状等の固体物であってもよく、液状であってもよいが、長期保存安定性に優れているため、固体物が好ましく、適当な固体媒体に固定化されたものがより好ましい。アセトアルデヒドの固体媒体への固定化は、揮発性の高い有機化合物を固定化したり、香料を製造する方法のうちの公知の方法の中から適宜選択して行うことができる。例えば、前記特許文献3及び4に記載されているように、固形分に基づいて65〜90%のマンニトール及び10%〜35%の炭水化物(当該炭水化物の少なくとも95重量%は多糖類からなる。)を含有する水溶液にアルデヒドを混合して得られたアルデヒド溶液をスプレー乾燥することによって、マンニトールと多糖類を主成分とする固体媒体に固定されたアセトアルデヒドを製造することができる。また、前記特許文献5に記載されているように、アセトアルデヒドを含有するショ糖の過飽和水溶液から、結晶内部にアセトアルデヒドを含むようにショ糖を結晶化させ、得られたショ糖結晶を乾燥させることによって、ショ糖に固定化されたアセトアルデヒドを製造することができる。さらに、市販されているアセトアルデヒド粉末をそのまま用いてもよい。
【0022】
なお、本発明及び本願明細書において、アセトアルデヒドの濃度は、Phenyl(25%)−Methyl(75%)polysiloxane等を充填材とした中極性カラムを用いたガスクロマトグラフィー質量分析法により測定された値である。
【0023】
[果糖]
本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、原料として果糖を用いることが好ましい。後記実施例1に示すように、果物の香り成分(果汁や果物の香りの香料等)の含有量を等量とした場合に、他の甘味料を用いるよりも果糖を用いたほうが明らかに、本格的な果汁感や新鮮な果物の香りが強く感じられる。
【0024】
本発明に係る飲料用組成物の製造方法において、原料として果糖を用いる場合には、製造された飲料用組成物を液体と混合させて調製された嗜好性飲料において果糖濃度が0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3.5〜10(質量/体積)になる量の果糖を、嗜好性飲料の可溶性固形分等の他の原料と混合する。
【0025】
原料として用いられる果糖は、粉末状であってもよく、液状であってもよい。液状のものとしては、例えば、水、アルコール類、グリセリン類、油脂、又はこれらの混合溶媒に溶解したものが挙げられる。使いやすさの観点から、原料として用いられる果糖は、粉末が好ましい。また、原料として用いられる果糖は、合成品や精製品であることが好ましく、不純物の含有量が少ないものがより好ましい。さらに、市販品をそのまま用いてもよい。
【0026】
本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、原料として果糖を用いずにアセトアルデヒドを用いてもよく、アセトアルデヒドを用いずに果糖を用いてもよく、アセトアルデヒドと果糖の両方を用いてもよい。原料としてアセトアルデヒドと果糖を併用した飲料用組成物のほうが、それぞれ単独で用いた飲料用組成物よりも、本格的な果汁感や新鮮な果物の香りがより強く感じられる嗜好性飲料を製造できる。
【0027】
なお、本発明及び本願明細書において、果糖の濃度は、スチレン系ポリマー等を充填材とした強陰イオン交換カラムを用い、5mol/Lのホウ酸緩衝液(pH8.7)を移動相として用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により糖類を分離した後、L−アルギニンを用いたポストカラム法により蛍光発色させて蛍光検出器で検出する方法(ポストカラムHPLC法)により測定された値である。
【0028】
[果糖以外の甘味料]
本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、甘味料として果糖のみを用いてもよく、果糖とその他の甘味料とを併用してもよい。その他の甘味料としては、砂糖、ショ糖、オリゴ糖、ブドウ糖等の糖類、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の高甘味度甘味料、ステビア等が挙げられる。甘味料として、果糖とその他の甘味料を併用する場合、当該その他の甘味料の配合量は、用いる果糖の配合量と、用いる甘味料の甘味度、望まれる品質特性等を考慮して適宜決定される。
【0029】
[果物の香り成分]
本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、原料として、果物の香り成分(果物の香りを付与する成分)も用いる。原料とする香り成分としては、果物の香りを有する成分であればよく、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライム等の柑橘類、リンゴ、桃、パインアップル、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、グレープ等の一般に食される果物の香り成分の中から適宜選択される。本発明に係る飲料用組成物の製造方法によって製造される飲料用組成物は、1種類の果物の香りを有するものであってもよく、2種類以上の果物の香りを有するものであってもよい。
【0030】
香り成分としては、果汁、レモンピール、オレンジピール等の果皮、香料等が挙げられる。本発明に係る飲料用組成物の製造方法において原料として用いる果物の香り成分としては、果汁又は果物の香りの香料が好ましい。
【0031】
果汁は、粉末状であってもよく、液状であってもよい。粉末果汁としては、100%果汁の凍結乾燥品、真空乾燥品、又は噴霧乾燥品でもよく、デキストリン等の固体担体と共に乾燥することによって、当該固体担体に固定化されたものでもよい。特に、長期にわたる保存性が要求される場合には、低DE(Dextrose Equivalent)値のデキストリンとの共乾燥品が好ましい。液状の果汁としては、果物から圧搾した果汁そのものであってもよく、濃縮果汁であってもよい。粉末果汁を嗜好性原料の可溶性固形分粉末等の他の粉末原料と混合してもよく、液状の果汁を嗜好性原料の可溶性固形分粉末の溶解液等の他の液状原料と混合してもよい。また、固形状の原料を全て混合した混合物を造粒する時に、液状の果汁を噴霧して造粒物を得た後、これを乾燥することによっても、果汁が配合された飲料用組成物を得ることができる。
【0032】
原料として用いる果物の香りの香料は、果物をはじめとする動植物から得られた天然香料であってもよく、合成香料であってもよい。果物の香りの香料は、市販のものをそのまま用いることもできる。また、原料として、1種類の香料のみを用いてもよく、2種類以上の香料を混合したものを用いてもよい。また、果物の香りの香料は、果汁や果皮等と併用してもよい。
【0033】
[その他の原料]
本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、嗜好性飲料の可溶性固形分と、(a)アセトアルデヒド及び(b)果糖の少なくとも一方と、果物の香り成分との他に、さらに、望まれる品質特性によってその他の原料を用いることができる。当該その他の原料としては、インスタント紅茶飲料やインスタントコーヒー飲料等に配合可能な成分が挙げられる。具体的には、乳原料、クリーミングパウダー(クリームの代用として、紅茶、コーヒー等の嗜好性飲料に添加される粉末)、香料(但し、果物の香りを有する香料は除く。)、賦形剤、結合剤、流動性改良剤(固結防止剤)等が挙げられる。さらに、必要に応じて着色料を添加して色調を調整することもできる。また、必要に応じて、茶類やハーブ、コーヒー等を抽出することなく微粉砕したものを混ぜてもよい。
【0034】
乳原料又はクリーミングパウダーを配合することにより、ミルク感をも有する飲料用組成物を製造することができる。
乳原料としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー等が挙げられる。
【0035】
クリーミングパウダーは、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、コーン油、綿実油、ナタネ油、乳脂、牛脂、豚脂等の食用油脂;シヨ糖、グルコース、澱粉加水分解物等の糖質;カゼインナトリウム、第二リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、脱脂粉乳、乳化剤等のその他の原料等を、望まれる品質特性に応じて選択し、水に分散し、均質化し、乾燥することによって製造できる。本発明に係る飲料用組成物の製造方法において原料とするクリーミングパウダーとしては、植物性油脂と、コーンシロップ等の澱粉加水分解物と、乳タンパク質とを少なくとも含むものが好ましく、乳脂肪分と乳タンパク質とを少なくとも含むものであってもよい。
【0036】
クリーミングパウダーは、例えば、食用油脂をはじめとする原料を水中で混合し、次いで乳化機等で水中油型乳化液(O/Wエマルション)とした後、水分を除去することによって製造することができる。水分を除去する方法としては、噴霧乾燥、噴霧凍結、凍結乾燥、凍結粉砕、押し出し造粒法等、任意の方法を選択して行うことができる。得られたクリーミングパウダーは、必要に応じて、分級、造粒及び粉砕等を行ってもよい。
【0037】
賦形剤や結合剤としては、デキストリン等の澱粉分解物、麦芽糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。中でも、インスタント紅茶用組成物やインスタントコーヒー用組成物に汎用されているデキストリンが好ましい。なお、賦形剤や結合剤は、造粒時の担体としても用いられる。例えば、本発明に係る飲料用組成物の製造方法においては、水、アルコール類、グリセリン類、又はこれらの混合溶媒に溶解させたデキストリンを、固形状の原料を全て混合した混合物の造粒時噴霧した後、得られた造粒物を乾燥させてもよい。
【0038】
流動性改良剤としては、微粒酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム等の加工用製剤が用いられてもよい。
【0039】
さらに、原料として酸味料を配合することにより、得られた飲料用組成物から調製される嗜好性飲料の味にアクセントをつけることもできる。酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの食品添加物が挙げられる。酸味料の配合においては、甘味とのバランスが重要であり、求められる果汁の風味特性により適宜配合量を設定すればよい。
【0040】
[混合]
飲料用組成物は、嗜好性飲料の可溶性固形分と、(a)アセトアルデヒド及び(b)果糖の少なくとも一方と、果物の香り成分と、必要に応じてその他の原料とを、混合することによって製造される。混合の順番は特に限定されるものではなく、全ての原料を同時に混合してもよく、順次混合させてもよい。全ての原料が粉末の場合には、全ての原料をそのまま混合することによって、粉末の飲料用組成物が製造される。一方で、全ての原料が液状の場合には、全ての原料をそのまま混合することによって、液状の飲料用組成物が製造される。
【0041】
粉末原料と液状の原料を用いる場合、粉末の原料を全て予め混合し、得られた混合粉末に、液状の原料の混合液を噴霧して乾燥させることによって、粉末の飲料用組成物が製造される。また、液状の原料の混合液に、粉末の原料を溶解又は分散させることによって、液状の飲料用組成物が製造される。
【0042】
<飲料用組成物>
本発明の第二の態様に係る飲料用組成物(以下、「本発明に係る飲料用組成物」)は、液体と混合して果物の香りを持つ嗜好性飲料を調製するためのインスタント嗜好性飲料用組成物であって、原料として、可溶性茶固形分と、(a)液体と混合して得られる嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b)液体と混合して得られる嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖からなる群より選択される一種以上と、を含有することを特徴とする。本発明に係る飲料用組成物は、例えば、本発明に係る飲料用組成物の製造方法によって製造することができる。
【0043】
本発明に係る飲料用組成物を水や牛乳等の液体に混合することによって、果物の香りを有する嗜好性飲料が調製できる。本発明に係る飲料用組成物を混合する液体は、60℃以上の高温であってもよく、室温程度であってもよく、10℃以下の低温であってもよい。
【0044】
本発明に係る飲料用組成物から調製される嗜好性飲料は、原料として配合されている果物の香り成分等の品質や種類によらず、必ず0.1〜100ppmのアセトアルデヒドと0.1〜15質量%の果糖の少なくとも一方を含有する。このため、本発明に係る飲料用組成物から調製された嗜好性飲料は、液体を注いで調製する時点と喫飲時点の両方において感じられる果物の香りが、従来品よりも強化されている。つまり、家庭等において、本発明に係る飲料用組成物から、本格的な果汁感と新鮮な果物の香りに優れた嗜好性飲料を簡便に調製することができる。
【0045】
本発明に係る飲料用組成物は、飲用1杯分を小パウチなどに個包装したり、使用時に容器から振り出したりスプーンで取り出したりして使用するように瓶などの容器に数杯分をまとめて包装して商品として供給することもできる。
【0046】
個包装タイプとは、スティック状アルミパウチ、ワンポーションカップなどに嗜好性飲料1杯分の中身を充填包装するものであり、容器を開けて指で押し出すなどの方法で中身を取り出すことができる。個包装タイプは、1杯分が密閉包装されているので取り扱いも簡単で、衛生的であるという利点を有する。
【0047】
<嗜好性飲料の製造方法>
本発明の第三の態様に係る果物の香りを有する嗜好性飲料の製造方法は、果物の香りを有する嗜好性飲料に、(a’)前記嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b’)前記嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖からなる群より選択される一種以上と、を添加することを特徴とする。果物の香りを有する嗜好性飲料に、アセトアルデヒド又は果糖を適切な量添加することによって、当該嗜好性飲料が元々有している果物の香りがより強化され、本格的な果汁感と新鮮な果物の香りに優れた嗜好性飲料が得られる。
【0048】
また、本発明の第四の態様に係る果物の香りを有する嗜好性飲料の製造方法のように、嗜好性飲料に、(a’)前記嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b’)前記嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖からなる群より選択される一種以上と、果物の香りの香料及び果汁からなる群より選択される一種以上と、を添加することによっても、本格的な果汁感と新鮮な果物の香りに優れた嗜好性飲料を製造することもできる。
【0049】
果物の香りを有する嗜好性飲料又は嗜好性飲料には、アセトアルデヒドと果糖の少なくともいずれか一方を添加し、アセトアルデヒドと果糖を両方添加することも好ましい。嗜好性飲料に添加するアセトアルデヒド、果糖、果物の香りの香料、又は果汁は、本発明に係る飲料用組成物の製造方法において原料として挙げられたものと同様のものが用いられる。
【0050】
嗜好性飲料にアセトアルデヒドを添加する場合、アセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppm、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜25ppmになる量のアセトアルデヒドを添加する。また、嗜好性飲料に果糖を添加する場合、果糖濃度が0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3.5〜10(質量/体積)になる量の果糖を添加する。
【0051】
アセトアルデヒド等が添加される嗜好性飲料は、嗜好性飲料の可溶性固形分が溶解している可食性の液体であれば特に限定されるものではない。例えば、インスタント紅茶粉末を水に溶解させたインスタント紅茶であってもよく、インスタントコーヒー粉末を水に溶解させたインスタントコーヒーであってもよく、紅茶葉から淹れた紅茶であってもよく、レギュラーコーヒーであってもよい。また、ホット飲料でもよく、アイス飲料であってもよい。
【0052】
<嗜好性飲料添加用組成物>
本発明の第六の態様に係る嗜好性飲料添加用組成物(以下、「本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物」)は、嗜好性飲料に添加される粉末状組成物であって、(a”)前記嗜好性飲料と混合することにより、当該嗜好性飲料におけるアセトアルデヒド濃度が0.1〜100ppmになる量のアセトアルデヒド、及び(b”)前記嗜好性飲料と混合することにより、当該嗜好性飲料における果糖濃度が0.1〜15質量%になる量の果糖からなる群より選択される一種以上と、を含有することを特徴とする。本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物を、嗜好性飲料に添加することにより、当該嗜好性飲料が元々含有している果物の香り成分を強化することができ、本格的な果汁感と新鮮な果物の香りを持つ嗜好性飲料を、簡便に調製することができる。また、嗜好性飲料が果物の香り成分を含有していない場合には、果物香の香料や果汁等の果物の香り成分と共に本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物を添加することにより、新鮮で本格的な果汁風味を持つ嗜好性飲料を製造することができる。なお、本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物が添加される嗜好性飲料としては、本発明の第三又は第四の態様に係る嗜好性飲料の製造方法において、アセトアルデヒド等が添加される嗜好性飲料として挙げられたものと同様のものが挙げられる。
【0053】
本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物には、アセトアルデヒドと果糖の少なくともいずれか一方が含有されており、アセトアルデヒドと果糖の両方を含有することも好ましい。また、アセトアルデヒドと果糖に加えて、果物香の香料及び果汁からなる群より選択される一種以上を含有していてもよい。嗜好性飲料添加用組成物が含有するアセトアルデヒド、果糖、果物の香りの香料、又は果汁は、本発明に係る飲料用組成物の製造方法において原料として挙げられたものと同様のものが用いられる。
【0054】
本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物には、アセトアルデヒドと果糖の他にも、その他の成分を含有していてもよい。当該他の成分としては、例えば、本発明に係る飲料用組成物の製造方法において挙げられた、乳原料、クリーミングパウダー、香料、賦形剤、結合剤、流動性改良剤(固結防止剤)、着色料、酸味料等が挙げられる。
【0055】
本発明に係る嗜好性飲料添加用組成物は、粉末状等の固体物であってもよく、液状であってもよいが、長期保存安定性に優れているため、固体物が好ましく、粉末状のものがより好ましい。
【実施例】
【0056】
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。なお、以下の実施例等において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0057】
[実施例1]
果物の香りを有する嗜好性飲料における、糖質の種類の香味(果物の香り)に対する影響を調べた。
具体的には、表1の処方で、糖質として果糖、ショ糖、ブドウ糖、又は麦芽糖をそれぞれ配合した4種類のサンプルを、粉体混合することにより調製した。このサンプル15gを135gの沸騰水に溶解させてレモンの香りを有する紅茶(レモンティー)を調製した。レモンティーにおける糖質濃度は、溶液状態で7%であった。評価は、トレーニングされた専門パネル6人により、本格的な果汁感と新鮮感を5段階(1が最も弱く、5が最も強い。)でスコア付けすることによって行った。評価結果を表2に示す。
その結果、果糖を使用したものが最も本格的な果汁感と新鮮な香りを持つ紅茶と評価された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
[実施例2]
実施例1で高い総合評価が得られた果糖について、添加濃度の香味(果物の香り)に対する影響を調べた。
具体的には、紅茶パウダー、レモン香料、及びクエン酸の濃度は一定にし、果糖の量を、水に溶解させて最終容量が150gの紅茶を調整した場合の飲用時の果糖濃度(紅茶の果糖濃度)が0.01%、0.1%、1.00%、3.50%、7.00%、10.00%、又は15.00%になるように配合した粉末状の組成物を調製した。これらの組成物をそれぞれお湯に溶解させて、150gのレモンの香りを有する紅茶(レモンティー)を調製した。表3に、各サンプルの紅茶(150g)の果糖、紅茶パウダー、レモン香料、及びクエン酸の濃度を示す。
【0061】
【表3】
【0062】
各サンプルから調製された紅茶の評価を、実施例1と同様にして行った。評価結果を表4に示す。その結果、紅茶の果糖濃度が0.01%のサンプルでは、ほとんど果汁感と新鮮な香りを感じることができなかった。これに対して、紅茶の果糖濃度が0.1%〜10%のサンプルが、本格的な果汁感と新鮮な香りが強く、特に果糖濃度が7%のサンプルは、本格的な果汁感と新鮮な香りの両方が最も優れていた。また、紅茶の果糖濃度が15%のサンプルは、紅茶の果糖濃度が0.1%のサンプルよりも弱いながらも果汁感と新鮮な香りが感じられたものの、甘味が強すぎる傾向であった。
【0063】
【表4】
【0064】
[実施例3]
果物の香りを有する嗜好性飲料における、アセトアルデヒドの添加濃度の香味(果物の香り)に対する影響を調べた。
具体的には、紅茶パウダー、レモン香料、及びクエン酸の濃度は一定にし、アセトアルデヒドの量を、水に溶解させて最終容量が150gの紅茶を調整した場合の飲用時のアセトアルデヒド濃度(紅茶のアセトアルデヒド濃度)が0ppm(無添加)、0.1ppm、1ppm、10ppm、25ppm、50ppm、又は100ppmになるように配合した粉末状の組成物を調製した。これらの組成物をそれぞれお湯に溶解させて、150gのレモンの香りを有する紅茶(レモンティー)を調製した。表5に、各サンプルの紅茶(150g)のアセトアルデヒド、紅茶パウダー、レモン香料、及びクエン酸の濃度を示す。
【0065】
【表5】
【0066】
各サンプルから調製された紅茶の評価を、実施例1と同様にして行った。評価結果を表6に示す。その結果、アセトアルデヒド無添加の紅茶では、果汁感と新鮮な香りはほとんど感じられなかったのに対して、紅茶のアセトアルデヒド濃度が0.1ppmのサンプルであっても、弱いながらも本格的な果汁感と新鮮な香りを感じることができた。紅茶のアセトアルデヒド濃度が1〜100ppmのサンプルは、いずれもアセトアルデヒド濃度が0.1ppmのサンプルよりも強く本格的な果汁感と新鮮な香りを感じることができ、特に紅茶のアセトアルデヒド濃度が1〜25ppmのサンプルは、非常に高く効果を感じることができた。100ppmのサンプルは、やや刺激的な香りが強いものであった。
【0067】
【表6】
【0068】
[実施例4]
果物の香りを有する嗜好性飲料における、果糖とアセトアルデヒドの併用の香味(果物の香り)や嗜好性に対する影響を調べた。
具体的には、表7の処方で、果糖とアセトアルデヒドの両方を使用しなかった組成物(サンプル1)、果糖を使用し、アセトアルデヒドを使用しなかった飲料用組成物(サンプル2)、果糖を使用せず、アセトアルデヒドを使用した飲料用組成物(サンプル3)、及び果糖とアセトアルデヒドの両方を使用した組成物(サンプル4)を調製した。各サンプルについて、1杯あたり15gをお湯150gに溶解させて紅茶を調製した。サンプル2及び4から調製された紅茶の果糖濃度(飲用時の果糖濃度)は2.3%であり、サンプル3及び4から調製された紅茶のアセトアルデヒド濃度(飲用時のアセトアルデヒド濃度)は10ppmであった。
【0069】
【表7】
【0070】
各サンプルから調製された紅茶の嗜好性、本格的な果汁感、及び新鮮な香りについて、日常的に紅茶を飲用しているティーバックユーザー80人により、9段階(1が極めて嫌い、9が最も好き)でスコア付けをして評価した。各ユーザーが付けたスコアの平均値を表8に示す。その結果、嗜好性、本格的な果汁感、及び新鮮な香りの全てにおいて、果糖とアセトアルデヒドのいずれも不使用だったサンプル1が最もスコアが低く、果糖とアセトアルデヒドのいずれも使用したサンプル4が最もスコアが高かった。また、果糖とアセトアルデヒドのいずれか一方のみを使用したサンプル2及び3は、全ての評価項目において、サンプル4よりは低いものの、サンプル1よりも明らかに高かった。本格的な果汁感及び新鮮な香りについては、果糖を使用しアセトアルデヒドを使用しなかったサンプル2のほうが、果糖を使用せずアセトアルデヒドを使用したサンプル3よりもややスコアが高かったが、嗜好性ではサンプル3もサンプル2と同程度に良好であった。すなわち、果糖とアセトアルデヒドを併用することにより、それぞれを単独で使用した場合よりも、嗜好性、本格的な果汁感、及び新鮮な香りがより改善されることがわかった。
【0071】
【表8】
【0072】
[実施例5]
アップル香料を用いたリンゴの香りを有する紅茶(アップルティー)における、果糖とアセトアルデヒドの影響を調べた。
具体的には、表9の処方で、果糖とアセトアルデヒドの両方を使用しなかった組成物(サンプル1)、果糖を使用し、アセトアルデヒドを使用しなかった飲料用組成物(サンプル2)、果糖を使用せず、アセトアルデヒドを使用した飲料用組成物(サンプル3)、及び果糖とアセトアルデヒドの両方を使用した組成物(サンプル4)を調製した。各サンプルについて、1杯あたり15gをお湯150gに溶解させて紅茶を調製した。サンプル2及び4から調製された紅茶の果糖濃度(飲用時の果糖濃度)は2.3%であり、サンプル3及び4から調製された紅茶のアセトアルデヒド濃度(飲用時のアセトアルデヒド濃度)は10ppmであった。
【0073】
【表9】
【0074】
各サンプルから調製された紅茶の嗜好性、本格的な果汁感、及び新鮮な香りについての総合評価を、日常的に紅茶を飲用しているティーバックユーザー5人により、5段階(1が極めて嫌い、5が最も好き)でスコア付けにより行った。各ユーザーが付けたスコアの平均値を表10に示す。その結果、アップルティーにおいても、実施例4と同様に、果糖とアセトアルデヒドのいずれも不使用だったサンプル1が最もスコアが低く、果糖とアセトアルデヒドのいずれも使用したサンプル4が最もスコアが高かった。また、果糖とアセトアルデヒドのいずれか一方のみを使用したサンプル2及び3は、同じスコアであった。
【0075】
【表10】
【0076】
[実施例6]
ピーチ香料を用いた桃の香りを有する紅茶(ピーチティー)における、果糖とアセトアルデヒドの影響を調べた。
具体的には、アップル香料に代えてピーチ香料を用いた以外は、実施例5と同様にしてサンプル1〜4を調製し、各サンプルについて1杯あたり15gをお湯150gに溶解させて紅茶を調製した。実施例5と同様にして、サンプルから調製された紅茶についての総合評価を行った。評価結果を表11に示す。その結果、ピーチティーにおいても、実施例4及び5と同様に、果糖とアセトアルデヒドのいずれも不使用だったサンプル1が最もスコアが低く、果糖とアセトアルデヒドのいずれも使用したサンプル4が最もスコアが高かった。また、果糖とアセトアルデヒドのいずれか一方のみを使用したサンプル2及び3は、同じスコアであった。
【0077】
【表11】
【0078】
[実施例7]
近年、いわゆるフルーツティーにクリーミングパウダーを入れて飲用するユーザーが年々増加してきている。そこで、アップルティー及びピーチティーにクリーミングパウダーを入れた場合でも、果糖及びアセトアルデヒド添加による果物の香りや嗜好性に対する改善効果が得られるかどうかを調べた。
具体的には、表12の処方で、アップル香料を用いたサンプル1及び2とピーチ香料を用いたサンプル3及び4を調製した。各サンプルについて、1杯あたり15gを、クリーミングパウダー(味の素ゼネラルフーヅ社製)5gと共にお湯150gに溶解させてアップルティー又はピーチティーを調製した。
【0079】
【表12】
【0080】
各サンプルから調製された紅茶の嗜好性、本格的な果汁感、及び新鮮な香りについて、日常的に紅茶にクリーミングパウダーを入れて飲用しているティーバックユーザー4人により、9段階(1が極めて嫌い、9が最も好き)でスコア付けをして評価した。各ユーザーが付けたスコアの平均値を表13に示す。その結果、アップルティーとピーチティーの両方において、クリーミングパウダーを入れた場合であっても、果糖とアセトアルデヒドを添加した紅茶(サンプル2及び4)では、果糖とアセトアルデヒドを添加しなかった紅茶(サンプル1及び3)よりも、本格的な果汁感と新鮮な香りを残しつつ、嗜好性を維持していた。
【0081】
【表13】
【0082】
[実施例8]
果糖とアセトアルデヒドを併用したレモンティーを調製するための飲料用組成物について、冷水溶解時における嗜好性を調べた。
具体的には、実施例4のサンプル4について、1杯あたり15gを冷水(5〜10℃)に溶解させて、アイスレモンティーを調製した。当該紅茶の果糖濃度(飲用時の果糖濃度)は2.3%であり、アセトアルデヒド濃度(飲用時のアセトアルデヒド濃度)は10ppmであった。
【0083】
調製されたアイスレモンティーの嗜好性について、実施例4と同じ評価者(80人)により、9段階(1が極めて嫌い、9が最も好き)でスコア付けをして評価した。各ユーザーが付けたスコアの平均値を、実施例4のサンプル4から調製されたホットレモンティーの結果と共に表14に示す。この結果、アイスレモンティーは、ホットレモンティーよりもさらに高い嗜好性を示していた。
【0084】
【表14】
【0085】
[参考例1]
市場で市販されている粉末清涼飲料であって、可溶性紅茶固形分を主要原料としてなり、水に溶解して飲用する2製品〔サンプルA(レモン香料入り)及びB(アップル香料入り)〕について、飲用時の果糖濃度について調査した。
各サンプルについて、ポストカラムHPLC法により果糖濃度を調べた。具体的には、まず、5gのサンプルに30mLの水を添加し、水酸化ナトリウムを用いて中和した後、30分間の超音波抽出処理を行った。次いで、水を添加して50mLに調整した後、濾紙を用いて濾過し、得られた濾液をメンブレンフィルターを用いてさらに濾過した。得られた濾液を、下記の条件でHPLCにかけた。
【0086】
<HPLC操作条件>
機種:LC−20AD(株式会社島津製作所製)、
検出器:蛍光分光光度計(RF−2Axs、株式会社島津製作所製)、
カラム:TSKgel SUGAR AXI(東ソー株式会社製)、φ4.6mm×150mm、スチレン系ポリマー(充填材)、
カラム温度:60℃、
移動相:5mol/L ホウ酸緩衝液(pH8.7)、
流量:0.4mL/min、
注入量:20μL、
蛍光励起波長:320nm、
蛍光測定波長:430nm、
ポストカラムの反応液:1W/V% L―アルギニン溶液、
ポストカラムの反応液流量:0.7mL/min、
ポストカラムの反応温度:150℃。
【0087】
測定された果糖濃度に基づき、各サンプルから調製された清涼飲料(レモンティー)の果糖濃度を算出した。1杯あたりのサンプルの使用量及び紅茶飲料の量については、各製品の包装箱に表示されている推奨レシピに従って実施した。算出結果を表15に示す。この結果、これらのサンプルから調製されたレモンティーの果糖濃度は0.1%未満であった。また、本格的な果汁感と新鮮な香りはほとんど感じられなかった。
【0088】
【表15】
【0089】
[参考例2]
参考例1で使用した市販品であるサンプルAと、市場で市販されている液体飲料であって、可溶性紅茶固形分を主要原料としてなり、果物香の香料を含み、水に希釈して飲用する2製品〔サンプルC(レモン香料入り)及びD(ピーチ香料入り)〕について、飲用時のアセトアルデヒド濃度について調査した。
各サンプルについて、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフィー質量分析法によりアセトアルデヒド濃度を調べた。具体的には、まず、20mL容バイアル瓶に、4gの塩化ナトリウムと10mLの水と0.2gのサンプルを入れて密栓し、下記の操作条件でヘッドスペースサンプラーによってサンプリングされたサンプルをガスクロマトグラフィー質量分析計に導入して下記の操作条件で分析した。
【0090】
<へッドスペースサンプラー操作条件>
機種:7691(Agilent Techologies,Inc.)、
オーブン温度:50℃、
バイアル加熱時間:30min、
ループ温度:100℃、
トランスファーライン温度:150℃、
加圧時間:0.3min。
【0091】
<ガスクロマトグラフ一質量分析計操作条件>
機種:6890N/5973N(Agilent Techologies,Inc.)、
カラム:AQUATIC−2(ジーエルサイエンス株式会社)、φ0.25m×60m、1.4μm(膜厚)、Phenyl(25%)−Methyl(75%)polysiloxane(充填材)、
導入系:スプリット(1:50)、
試料注入口温度:200℃
カラム温度:35℃(8min保持)→15℃/min昇温→200℃、
ガス流量:へりウム(キャリヤーガス)、1mL/min(流速)、
イオン源温度:230℃、
イオン化法:EI、
設定質量数:43。
【0092】
その結果、サンプルA、C及びDのいずれにおいても、アセトアルデヒドは検出されなかった。つまり、サンプルA、C及びDには、アセトアルデヒドは含有されていないか、含有されているとしても検出限界値未満の極微量にすぎないことがわかった。