【実施例】
【0037】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は遊技機の一例として遊技ホールに設置されるスロットマシンを示し、このスロットマシン11は接客面としての前面上部にパネル12とリール部13を有し、前面中央の幅方向に3個の並列するストップボタン14を有し、その左側にスタートレバー15と掛け数設定ボタン16を、右側に清算ボタン17とメダル(メダル)Mを1枚ずつ投入するための投入口18とを有し、前面下部には下皿20を有している。
【0039】
そして、遊技者がスロットマシン11を遊技利用するときに、前記投入口18にメダルMが1枚ずつ投入される。投入されたメダルMは内部で選別され、有効と選別された正規のメダルMは内部に取込まれ、無効と選別された不適合の大きさのメダル類は払出シュート(
図2参照)26を介して下皿20へと返却させる選別機能を有している。また、遊技者が遊技を中止するために清算ボタン17を押下操作した場合もメダルMは下皿20へと返却される。
【0040】
図2はスロットマシン11の前面扉11aを片開き式に開口した扉の内部構造を示し、この開口されたスロットマシン本体11b側には、回転されるリール外周面の絵柄の位置を回転・停止させて遊技利用を行う。例えば、3列のリール部13を上部に設置し、下部中央にメダルの取込み、及び払い出し用のメダル払出装置21を設置し、その左側に電源装置22を設置し、右側にオーバフロータンク23を設置している。
【0041】
一方、前面扉11a側には、内面上部より下部にかけてリールカバー24と、メダルの適否を選別する投入メダル選別装置(メダルセレクタ)25と、払出シュート26と、返却口27とをこの順に有している。
【0042】
上述のメダルセレクタ25は、
図3〜
図6に示すように、基板28と、開閉板29と、カバー29Aとから構成される。基板28と開閉板29とは横長の長方形状を有して平面対接される。そして、開閉板29の一側部に垂直に軸支した支軸30を、基板28の一側部に形成されている軸受部31に軸支させると共に、バネ32により開閉板29を常時基板28側に付勢し、これら基板28と開閉板29とでメダル通路33を形成し、また開閉板29の外面をカバー29Aで覆っている。
【0043】
前記メダル通路33は、
図3及び
図5に示すように、前述の投入口18の略真下に対応して接続される入口34と下方の出口35とを有する略L字状に形成され、入口34から下方に延びる縦辺部L1と、斜め下方に延びて出口35に至る横辺部L2と、これら両辺部L1,L2を湾曲状に連通させて接続した湾曲部L3とを備えている。
【0044】
また、
図4〜
図6に示すように、横辺部L2の上流側に位置する基板28の内面には、減速ガイドレバー36と小径メダル排除レバー37とが備えられている。
【0045】
減速ガイドレバー36は、基板28の外面に通路の上下方向に回動自由に軸支された減速支持レバー39の先端に取り付けられており、通常は、減速ガイドレバー36の自重により長孔38の下側に位置している。この減速ガイドレバー36は、基板28の外面より長孔38を介して内面に臨ませ、その内面のメダル通路33の通路上部に向けて突出させている。
【0046】
そして、
図11に示すように、メダルMが
図3で示す入口34より投入されメダル通路33を転動してきた時、該メダルMの上端が減速ガイドレバー36に接触する。この接触によりメダルMは、減速ガイドレバー36の自重により重力方向に負荷を受け、強制的にメダルMの移動速度を減速し、メダルMの取り込みに適した通過速度に減速する減速構造を有している。
【0047】
前記小径メダル排除レバー37は、基板28の外面側より長孔40を介して、メダル通路33の通路上部に向けて付勢突出させている。通常、基板28の外面に軸支された支軸41を回動支点に回動する小径メダル排除用の支持レバー42の基端に取り付けられたコイルバネ43で内面側の小径メダル排除レバー37を常時メダル通路33に向けて出没可能に付勢突出させている。
【0048】
そして、メダル通路33を転動してきたメダルが小径メダルM1のときは、該小径メダルM1の上端が後述する上ガイドプレート45に接しないので小径メダル排除レバー37により、小径メダルM1の平面部が押されて、その平面方向に対向する開閉板29に開口されている小径メダル排除用の開口部44より排除される。排除された小径メダルM1は開閉板29とカバー29Aにより払出シュート26の受口まで案内され、返却される。
【0049】
メダル通路33の上面と下面は、開閉板側に固定設置されている上ガイドプレート45と下ガイドプレート46とで転動するメダルMの上下面を搬送ガイドする。
【0050】
前記カバー29Aは、小径メダルの飛び出し防止カバーとしての役目を有しており、左右両側より外側に向けて突出形成した係止片29aを該係止片29aと対応する開閉板29の左右両側に設けられている係止凹部29bに係止させることで、カバー29Aを開閉板29に一体に連結している。これにより、開閉板29の開口部44の外面はカバー29Aによって覆われている。
【0051】
前記 横辺部L2の中間部には、下部開閉プレート48と、第1センサ部S1とが備えられている。また、基板28の外面にはソレノイド47と可動板49と取り付けられており、該ソレノイド47によって駆動される可動板49の先端部を可動板復帰用のバネ47aで付勢されたリンク50に対設させている。
【0052】
リンク50は、内面側に設けられたリンク軸51が基板28の外面側よりメダル通路33に向けて突出し、この突出したリンク軸51が後述する下部開閉プレート48を押下する。
【0053】
上述の下部開閉プレート48は、
図7に示すように、開閉板29の外面中央部に平面対接して取り付けられ、該下部開閉プレート48の中央部に形成されている軸支孔48aが、通路方向に沿って開閉板29の外面に形成されている軸受け52aに軸支された支軸52に軸支されて図中の上下方向に回動可能となっている。
【0054】
さらに、下部開閉プレート48の上部内面に対しては、開閉板29に開口されている軸挿通孔53が対向し、この軸挿通孔53に前記基板28の外面から内面に向けて突出させた前記リンク軸51を挿通させ、その先端が該下部開閉プレート48の上部内面に押下可能に対向する。また、下部開閉プレート48の下部内面と開閉板29の外面との間には両端が各バネ座54a,54bに支持されたコイルバネ54を圧縮状態に介在させている。これにより、下部開閉プレート48はコイルバネ54により下部が外面側に付勢され、上部が内面側に付勢され、この上部内面が前記リンク軸51に押されたとき、コイルバネ54の付勢力に抗して回動する。
【0055】
さらに、下部開閉プレート48の下端には、メダル通路33の通路底面を形成する断面略L形状の横長に形成されたプレート55を有しており、該プレート55を開閉板29に開口された下部開口部56を介してメダル通路33の通路領域下部に向けて出没自由に突出させている。通常は、コイルバネ54の付勢力を受けてメダル通路33より退避し、メダル通路33の下部をメダル排除用に部分的に開口された状態にある。これに対し、ソレノイド47を駆動してリンク軸51からの押圧力を下部開閉プレート48が受けると回動し、その下部のプレート55がメダル通路33の下部に突出してメダル通路33の底面を形成し、メダルMの通過を可能にしている。
【0056】
そして、ソレノイド47が非励磁状態(電源OFF)の時は、メダル通路底面の一部を開放させている。したがって、排除すべきメダルMを下部開閉プレート48の開放部分より排除することができる(
図9参照)。
【0057】
さらに、開閉板29の外面には、前記下部開閉プレート48より下部に位置して開閉板29の外面に平面対接されたリンクブロッカ57が取り付けられている。このリンクブロッカ57は開閉板29の外面に形成されている軸受け58aに軸支されている支軸58に、中央部の軸孔59が軸支されて該リンクブロッカ57は図中の左右方向に回動自由となっている。
【0058】
そして、該リンクブロッカ57の一端には開閉板29の外面より内面側に向けて折曲したブロッカ部57aを有しており、このブロッカ部57aがメダル通路33の終端側に開口されている開閉板29のブロッカ出没口60にメダル通路33に向けて出没自由に設けられている。
【0059】
さらに、該リンクブロッカ57の他端内面と開閉板29の外面との間には両端が各バネ座61a,61bに支持されたコイルバネ61を圧縮状態に介在させている。これにより、リンクブロッカ57はコイルバネ61によりブロッカ部57aがメダル通路33の内面側に付勢されてメダル通路33に突出している。
【0060】
また、バネ座61aの上部には駆動力受圧用のブロッカ対応片61cを有し、このブロッカ対応片61cと対応する下部開閉プレート48の下面には駆動力伝達用のプレート対応片48bを有しており、リンクブロッカ57は下部開閉プレート48の動きに連動するように構成されている。つまり、下部開閉プレート48が図中の上下方向に回動すると、連動してリンクブロッカ57は図中の左右方向に回動する。
【0061】
そして、ソレノイド47を駆動(電源ON)してメダルMを適正に取込処理しているメダル受付許可状態を
図8(A)〜(C)に示している。さらに、ソレノイド47の駆動を停止(電源OFF)してメダルを排除処理するメダル受付拒否状態を
図9(A)〜(C)に示している。また、小径メダルM1が投入された場合の小径メダルM1の排除動作を
図10(A)〜(C)に示している。
【0062】
前記第1センサ部S1は、
図11〜
図13に示すように、フォトセンサPSと、中央検知片70と、端側検知片80と、中央コイルバネ71と、端側コイルバネ81と、これらを収納保持するセンサケース90とから構成される。
【0063】
フォトセンサPSは透過型の検知センサであり、該フォトセンサPSの一側に設けた係止爪62をセンサケース90に開口して設けた係止口91に抜け止め係止させて該フォトセンサPSをセンサケース90内に固定している。光電検知に際しては、投光素子P1と受光素子P2との間の光軸P0(
図13(B)及び
図14(A)に斜線にて示す)に、後述する中央検知片70と端側検知片80の一部を介在させて両検知片70,80の動きを検知するようにしている。
【0064】
前記中央検知片70は、上下面に支軸72を突設し、該支軸72が前記センサケース90の上下内面の軸支孔92に軸支されているため、該中央検知片70は回動自由となっている。また、中央検知片70は軸支部分を回動中心として、これよりフォトセンサPS側に延出する中央遮光板73と、該中央遮光板73とは略直角の向きでセンサケース90に開口されたセンサケース取付面側に向けて略L形状に延出するメダル接触用の中央出没レバー74と、該中央検知片70の中央に形成されたバネ係止部75とが備えられている。
【0065】
そして、
図13(B)及び
図14(A)に示すように、このバネ係止部75とセンサケース90の一壁面に形成されているバネ係止孔93との間に中央コイルバネ71が張設されている。このため、中央出没レバー74は通常、中央コイルバネ71の付勢力を受けてメダル通路33に突出している。
【0066】
中央遮光板73はセンサケース90内に位置して支軸72を支点に回動し、該中央遮光板73がフォトセンサPSの光軸P0を透光、遮光するように設定している。
【0067】
端側検知片80は、上下面に支軸82を突設し、該支軸82が前記センサケース90の上下内面の軸支孔94に軸支されているため、該端側検知片80は回動自由となっている。また、端側検知片80は軸支部分を回動中心として、これよりフォトセンサPS側に延出する端側遮光板83と、該端側遮光板83とは略直角の向きでセンサケース90に開口されたセンサケース取付面側に向けて略L形状に延出するメダル接触用の端側出没レバー84と、該端側検知片80の中央に形成されたバネ係止部85とが備えられている。
【0068】
そして、
図13(B)及び
図14(A)に示すように、このバネ係止部85とセンサケース90の一壁面に形成されているバネ係止孔95との間に端側コイルバネ81が張設されている。このため、端側出没レバー84は通常、端側コイルバネ81の付勢力を受けてメダル通路33に突出している。
【0069】
端側遮光板83はセンサケース90内に位置して支軸82を支点に回動し、該端側遮光板83がフォトセンサPSの光軸P0を透光、遮光するように設定している。
【0070】
センサケース90は取付面側を開口した箱形状を有し、前記フォトセンサPS、中央検知片70、端側検知片80、中央コイルバネ71、端側コイルバネ81との検知構成部材を内部構成して、ビス96により基板28の外面に固定するように構成している。
【0071】
前記中央出没レバー74と端側出没レバー84との配置は、メダル通路33の横辺部L2の高さに対応させて配置するものであり、端側出没レバー84をメダル通路33の下側に狭幅に配置し、中央出没レバー74をその上側に広幅に配置して構成している。
【0072】
端側出没レバー84は、
図14(B)に示すように、前記メダル通路33の下流で且つ通路端側に位置する端側通路領域に、前記メダル通路33に向けて基板28の外面より出没自在に付勢突出されている。また、この端側出没レバー84は回動自由に独立してセンサケース90に軸支されている。
【0073】
中央出没レバー74は、前記メダル通路33のうち該端側通路領域を除く広幅の中央通路領域に、前記メダル通路33に向けて基板28の外面より出没自在に付勢突出されている。また、この中央出没レバー74は回動自由に独立してセンサケース90に軸支されている。
【0074】
そして、メダル通路33に対する中央出没レバー74と端側出没レバー84の出没動作を単一のフォトセンサPSの同じ光軸P0上で検知するように配置している。
【0075】
メダル通路33の下流で且つ通路端側に位置する端側通路領域A2と前記メダル通路33のうち該端側通路領域を除く広幅の中央通路領域A1とを、端側出没レバー84と中央出没レバー74で検知した場合、メダルは円形状の中央が最も先に中央通路領域A1を通過し、その後にメダルの下端側が若干遅れて端側通路領域A2を通過することになる。このため、端側通路領域A2と中央通路領域A1を通過する位置にフォトセンサPSを備えることにより、該フォトセンサPSは同じメダルの上下の位置を、時間差をつけて検知することができる。
【0076】
したがって、メダル通路33の中央通路領域A1と下部の端側通路領域A2を上下の検知領域に設定して1つのメダルから2つの通過出力を取得できるように検知している。
【0077】
特に、メダル通路33の横辺部L2を転動してきたメダルを検知する場合に、そのメダルの検知すべき箇所を複数のフォトセンサPSで検知するのではなく、メダルの通過及びその通過位置に応じて動作する中央出没レバー74と端側出没レバー84の各々の回動する動きを同じ光軸P0上に導くように構成して、単一のフォトセンサPSで転動する1つの同じメダルの2つの箇所を検知する。
【0078】
具体的には、フォトセンサPSが両検知片70,80の両出没レバー74,84の動きにより検知出力が得られたとき、中央検知片70、端側検知片80の順で検知を開始する。その後、端側検知片80、中央検知片70の順で検知を終了する。これらの検知出力から1つのメダルが転動して通過する状態を正確に検知できる。このため、1つのメダルに対する検知開始タイミングと検知終了タイミングが明確になり、メダルと異物との挿入を明確に区別することができる。さらに、中央検知片70ではメダルの中央部分を検知することになり、該メダルの直径長さの通過時間を検知するのに対し、端側検知片80ではメダル下部の端側の短い通過時間を検知する。このため、1つのメダルが通過する検知時間長さが適正であるか否か、またその検知時間別の検知順序が適正であるか否かを判定することで、より一層メダルと異物とを明確に区別することができる。
【0079】
さらに、メダル通路33に配設される中央出没レバー74と端側出没レバー84とを、該メダル通路33の下流で且つ通路端側に位置する端側通路領域A2と前記メダル通路33のうち該端側通路領域A2を除く広幅の中央通路領域A1に配設することにより、該メダル通路33の両通路領域A1,A2を全検知領域として検知することができる。このため、この全検知領域に渡って通過するメダルの通過か、部分的に検知領域を通過する不正装置の挿入かを区別することができる。よって、実際のメダルが投入されたことを正確に検知することができる。
【0080】
また、端側出没レバー84を、メダル通路の横辺部L2における通路下部の端側通路領域A2に配設することにより、メダルは重力が下方に掛かり、メダル通路33の下部側が主ガイド部となってメダルは転動し、該メダル通路33の下部側を通路基準として通過することになる。このため、端側出没レバー84をメダル通路33の通路下部側に配設することにより、メダル通過時には端側出没レバー84がメダルと接触対応し、メダルを確実に検知動作することができる。
【0081】
図15は1つのメダルMに対する上下2つの検知位置での検知タイミングと検知時間長さを示している。
【0082】
まず、
図15(A)は2つの検知時間長さを表わしたものであり、メダルMが円形状を有しているため、該メダルMが転動して中央出没レバー74と端側出没レバー84との検知位置を通過したとき、両出没レバー74,84が検知する位置はメダルMの下部端側とそれより上側なので検知位置が異なり、両出没レバー74,84での検知時間長さT1,T2が異なる。
【0083】
図15(B)は1つのメダルMに対する上下2つの検知位置での検知開始タイミングを表わしたものであり、同じく両出没レバー74,84が検知する位置はメダルMの下部端側とそれより上側なので検知位置が異なり、双方の検知片70,80の検知開始タイミングT11,T12が異なる。
【0084】
図15(C)は1つのメダルMに対する上下2つの検知位置での検知終了タイミングを表わしたものであり、同じく両出没レバー74,84が検知する位置はメダルMの下部端側とそれより上側なので検知位置が異なり、双方の検知片70,80の検知終了タイミングT21,T22が異なる。
【0085】
図15(D)はメダルMの連続検知時における各メダルを区別して検知することができる検知信号の取得状態を表わしたものであり、同じく両出没レバー74,84が検知する位置はメダルMの下部端側とそれより上側なので検知位置が異なり、メダルの連続通過時に中央検知片70による連続検知信号T31が得られることに加えて、端側検知片80によって前後のメダル間の隙間をメダルごとに検知可能に区別できる非検知信号T0が得られる。
【0086】
図16は第1センサ部S1を通過するメダルMの通過状態を表わしている。また、
図17はそのメダルMの通過位置に応じた中央検知片70と端側検知片80での検知動作を個々の断面に分けて示している。
【0087】
通常、第1センサ部S1がメダルMを検知しない待機状態では、端側検知片80の端側出没レバー84はフォトセンサPSの光軸P0を透光させ、中央検知片70の中央出没レバー74はフォトセンサPSの光軸P0を遮光させた状態にある。
【0088】
そして、中央出没レバー74がメダル通路33より没入すると、中央遮光板73が光軸P0を透光させる位置に回動する。また、メダル通路33の横辺部L2にメダルMが転動し、端側出没レバー84がメダル通路33より没入すると、端側遮光板83が光軸P0を遮光する位置に回動する。
【0089】
したがって、端側出没レバー84と中央出没レバー74が共にメダル通路から突出または没入した場合は、何れか一方のレバーによりフォトセンサPSの光軸P0が遮光される。フォトセンサPSが透光状態となる場合は、中央出没レバー74の一方のみがメダル通路33より没入した場合である。
【0090】
図16(A)に示すメダル未検知状態での第1センサ部S1は、端側コイルバネ81と中央コイルバネ71とによって端側出没レバー84と中央出没レバー74は各々メダル通路33に突出するように付勢支持されている。これにより、端側出没レバー84は
図17(A)に示すように、光軸P0を回避した透光状態(Lo)となり、中央出没レバー74は
図17(F)に示すように、光軸P0を遮光した遮光状態(Hi)となっている。
【0091】
次に、
図16(B)のようにメダルMが転動し、中央出没レバー74上にメダルMがきた場合は、該中央出没レバー74はメダル通路33に突出した状態から没入するように回動する。該中央出没レバー74の回動に連動して中央遮光板73も回動するため、
図17(G)に示すように、フォトセンサPSは遮光(Hi)から透光(Lo)状態に変化する。
【0092】
続いて、
図16(C)のようにメダルMが転動し、端側出没レバー84上にメダルMがきた場合は、該端側出没レバー84はメダル通路33に突出した状態から没入するように回動する。これに連動して端側遮光板83も回動し、
図17(C)に示すように、フォトセンサPSは透光(Lo)から遮光(Hi)状態に変化する。
【0093】
さらに、
図16(D)のようにメダルMが転動し、該メダルMが端側出没レバー84上を通過完了すると、メダルMの押圧力から解放されて回動復帰し、該端側出没レバー84は再びメダル通路33に突出するように回動する。これに伴い、端側遮光板83も回動するため、
図17(D)に示すように、フォトセンサPSは遮光(Hi)から透光(Lo)状態に変化する。
【0094】
最後に、
図16(E)のようにメダルMが転動し、該メダルMが中央出没レバー74上を通過完了すると、メダルMの押圧力から解放されて回動復帰し、該中央出没レバー74は再びメダル通路33に突出するように回動する。これにより、
図17(J)に示すように、フォトセンサPSは透光(Lo)から遮光(Hi)状態に変化する。
【0095】
このように、第1センサ部S1を前記のような構成とすることにより端側出没レバー84と中央出没レバー74との両レバー84,74の出力を1つのフォトセンサPSによって検知することができる。
【0096】
図18はフォトセンサPSにおける中央検知片70のみの出力と、端側検知片80のみの出力と、これらの2つの検知片70,80の合成出力を示している。これにより、1枚のメダルMが通過していることを表わす長い出力と、その間に別の短い出力が表れるため、これらの合成出力によりメダルMが1枚導かれたことの確認を明確にとることができる。
【0097】
図19は2枚連続してメダルMを検知した際の合成出力を示し、中央検知片70と端側検知片80との検知動作により、メダルごとの出力が得られていることが分かる。ここで得られた検知信号は、後述する第2センサ部S2の出力と対応して得られる。
【0098】
上述の第2センサ部S2はメダル通路33の出口35の直前に備えられる。この第2センサ部S2はメダル通路33を形成する基板28の外面から内面に臨ませて配置され、メダル通路33の横辺部L2の終端部を通過するメダルMを検知する図示しない第1検知部と第2検知部を通路方向に順に有している。
【0099】
これらの検知部は投受光してメダルMの通過を検知する光学式検知センサで構成することができ、メダルMがメダル通路33に沿って下流側に移動し、このメダルMが両検知部の光軸P0をこの順に遮ることで、メダルMの通過を検知する。具体的には、メダルの進行方向を検知すると共に、センサ出力時間、位相差、出力順位などを検知する。
【0100】
次に、第1センサ部S1での異物検知動作について説明する。
異物がスロットマシン11の投入口18より挿入され、メダルMの通過と同じように中央出没レバー74と端側出没レバー84を共にメダル通路33より没入するように動作させた場合、まず、中央出没レバー74の回動に伴い中央遮光板73がフォトセンサPSの光軸P0を遮光する状態から透光する状態へと回動する。続いて、端側出没レバー84の回動に伴い端側遮光板83がフォトセンサPSの光軸P0を遮光するように動作する。このとき、フォトセンサPSは異物により遮光(Hi)状態が継続することとなり、スロットマシン11の遊技機側が異常として検出できる。
【0101】
また、異物がスロットマシン11の投入口18より挿入され、端側出没レバー84のみをメダル通路より没入するように動作させた場合は、端側出没レバー84の端側遮光板83と中央出没レバー74の中央遮光板73が共にフォトセンサPSの光軸P0を遮光(Hi)する状態が継続することとなり、この状態で第2センサ部S2にて出力があった場合、スロットマシン11の遊技機側が異常として検出できる。
【0102】
また、異物がスロットマシン11の投入口18より挿入され、中央出没レバー74のみをメダル通路より没入するように動作させた場合は、中央出没レバー74の回動に伴い遮る遮光板はなくなり、フォトセンサPSの光軸P0は透光(Lo)状態のままとなるため、スロットマシン11の遊技機側が異常として検出できる。
【0103】
前記のように端側出没レバー84と中央出没レバー74は、それぞれが独立した構造となっているため、片側のみを動作させてフォトセンサPSを出力させるようにした場合、スロットマシン11の遊技機側が異常として検出できる制御が可能になる。
【0104】
さらに、
図14及び
図20と
図21に示すように、第1センサ部S1において、中央出没レバー74と対向する前記メダル通路33の対向壁面にはメダル通路33より凹ませた凹壁部100を設けている。また、該凹壁部100のメダル通路33に沿ってメダル通路方向に掛け渡したメダル通過ガイド片101を設けている。さらに、メダル通過ガイド片101と対向する前記中央出没レバー74の対向部位に該中央出没レバー74がメダル通路33より退避した位置で前記メダル通過ガイド片101との当接を回避する回避溝102を設けている。
【0105】
前記凹壁部100を設けることにより、中央出没レバー74を、メダル通路33を越えて該凹壁部100内に臨ませることができる。これにより、メダル非通過時では中央出没レバー74がメダル通路33を閉鎖した状態に介在することになり、
図20(A)に示すように、不正装置103の挿入を妨げる不正防止効果があり、不正行為をより困難にすることができる。
【0106】
前記メダル通路33において、検知動作部分での不正対策を考察してみた場合、例えば凹壁部100をなくして対向壁面を平坦にし、平坦にした対向壁面と出没レバー74,84の先端との隙間をできるだけ狭くしてセル等の異物を通り難くすれば、凹壁部100のない平坦な通路構造でも不正防止対策を備えた検知動作ができる。この場合は、隙間がセル等の厚さ未満になるように構成する必要があり、隙間をできるだけ狭くする配慮が望まれる。
【0107】
このような不正防止対策において、前記凹壁部100を備えた構成にした場合は、
図20(A)のように、中央出没レバー74がメダル通路33を越えて凹壁部100内へと至り、該中央出没レバー74がメダル通路33を遮断した状態となる。このため、通路厚さ方向の隙間を完全に無くし、不正の余地となる隙間を完全に解消した配置構成が可能となる。この結果、不正防止機能をさらに高めた構成となっている。
【0108】
また、前記メダル通過ガイド片101を設けることにより、中央出没レバー74がメダル通路33より没入した状態でも、該メダル通路ガイド片101がメダル通路33に沿ってメダル通路方向に掛け渡した状態に配設されているため、メダルMの先端が凹壁部100に引っ掛かるおそれがなく、メダルを滑らかに通過させることができる。
【0109】
さらに、回避溝102を設けることにより、中央出没レバー74をメダル通路33より突出させても、メダル通過ガイド片101とは当接せず、該中央出没レバー74を円滑にメダル通路33より突出動作させることができる。
【0110】
また、前記中央出没レバー74が配置された側のメダル通路33に前記回避溝102に凹凸対応する受渡し突片104を備えている。該受渡し突片104を備えることにより、前記中央出没レバー74がメダル通路33より退避して該中央出没レバー74がメダル通路33に沿ったとき、該中央出没レバー74の回避溝102に受渡し突片104がメダル通路上でつなぐように配置されるので、凹壁部100と中央出没レバー74との間に生じる凹み部分による段差を無くしてメダルMを安定して通過ガイドさせることができる。
【0111】
さらに、前記受渡し突片104とは中央出没レバー74をメダル通路方向に挟んだ反対側の位置に、前記中央出没レバー74の突出時に該中央出没レバー74と前記凹壁部100との間に生じる凹み部分を、別の受渡し突片105で同じく凹凸対応させてメダル通路上でつなぐように配置して構成することもできる。この場合は、メダル通路上での段差が無くなり、メダルが自重により流下するときの通過をより一層円滑にすることができる。
【0112】
図22はメダルセレクタ25の制御回路ブロック図を示し、制御部220には第1センサ部S1のフォトセンサPSと、第2センサ部S2の第1検知部k1と第2検知部k2が接続される。
前記制御部220は、中央検知片70の中央出没レバー74と端側検知片80の端側出没レバー84がメダル通路33に出没動作したことを検知する両出没レバー74,84の検知タイミング及び/又は制御部220のタイマTにより計測した両出没レバー74,84の検知時間長さとからメダル通過の適否と不正行為の有無を判定する判定機能を有している。
【0113】
これにより、制御部220では1つのメダルに対する2つの検知開始タイミングと検知終了タイミングが得られる。この結果、メダルMと異物との挿入を明確に区別することができる。さらに、1つのメダルMに対する2つの検知時間長さの異なる検知出力が得られるため、1つのメダルMが通過する検知時間長さが適正であるか否か、またその検知時間別の検知順序が適正であるか否か等を判定することで、より一層メダルと異物とを明確に区別することができる。
【0114】
このように構成されたメダルセレクタ25のメダルの選別動作と共に実行されるメダルの計数処理及び制御動作を
図23のフローチャート及び
図24のタイムチャートを参照して説明する。
遊技者がスロットマシン11の投入口18にメダルMを投入すると、投入されたメダルMは下方のメダルセレクタ25へと導かれる(ステップn1)。
【0115】
メダルセレクタ25へ導かれたメダルMは、基板28と開閉板29との間のメダル通路33を通り、内方へと転動して導かれる。このとき、メダルMはメダル通路33の小径メダル排除用に設けられた横辺部L2の上下に対設される上ガイドプレート45と下ガイドプレート46との上下の対向間隔によりガイドされながら通過する。ここで直径の小さなメダルM1は、上ガイドプレート45にガイドされないため小径メダル排除レバー37に押されて開閉板29の開口部44より排除されるという外形選別が実施される。
【0116】
そして、正規の大きさのメダルのみが取込み方向へと通過し、第1センサ部S1の位置へと導かれる。この第1センサ部S1の位置にメダルMがくると(ステップn2)、メダル通路33の検知位置に突出している中央出没レバー74と端側出没レバー84は、メダルMに押されてメダル通路33から没入する方向に回動する。このとき、フォトセンサPSが検知して出力すれば(出力の立下り)、制御部220は検出時間タイマTβをスタートし(ステップn3)、中央出没レバー74の回動に基づく中央検知片70の検知から、端側出没レバー84の回動に基づく端側検知片80による、検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内の検知が得られたか否かを判定する(ステップn4)。
【0117】
この検出時間の規定時間β(例えば100ms)は、フォトセンサPSが1枚のメダルMを検知開始してから検知終了するまでの物理的な距離と、転動しながら流下するメダルMの速度から経験的に求められる時間であり、真正なメダルMの適切な流下が行われていることを、この検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内のメダルMの通過の検知によって判定する。
【0118】
もし、フォトセンサPSの出力の立下りを検知することなく、第1センサ部S1よりもメダル通路33において下流に配置されている第2センサ部S2の出力の立下りが検出されたときは(ステップn13)、異常発生のため制御部220は不正行為等の発生と判定してエラー処理をする(ステップn14)。
【0119】
検出時間の規定時間β内にフォトセンサPSの出力の立上りが得られれば(ステップn5)、この遮光状態がメダルの通過によるものか、若しくは、メダルが無い状態によるものかを判断するステップに移る。
【0120】
もし、検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内にフォトセンサPSの出力の立上りが得られなかったときは、中央出没レバー74の回動に基づく中央検知片70の検知、つまり、異物検知用のレバーが操作されている状態が異常に長く続いている状態と認識でき、制御部220は不正行為などの発生と判定してエラー処理する(ステップn15)。
【0121】
制御部220はフォトセンサPSの出力の立上りから検出時間タイマTγを計時させ(ステップn6)、検出時間の規定時間γ1(例えば10ms)以内に、
図24に示すγ1の検出時間がフォトセンサPSの出力が立下るか否かを判定する(ステップn7,ステップn8)。
【0122】
この検出時間の規定時間γ1(例えば10ms)は、フォトセンサPSの端側出没レバー84が1枚のメダルMの検知開始から検知終了するまでの物理的な距離と、転動しながら流下するメダルMの速度から経験的に求められる時間であり、真正なメダルMの適切な流下が行われていることを、この検出時間の規定時間γ1(例えば10ms)以内のメダルMの通過の検知によって判定する(ステップn8)。
【0123】
制御部220は、検出時間の規定時間γ1(例えば10ms)以内にフォトセンサPSの出力が立下ることを確認できれば(ステップn8)、該第1センサ部S1では適切なメダルMの通過と判定し、メダルMの通過完了を待つ。
【0124】
一方、検出時間の規定時間γ1(例えば10ms)以内にフォトセンサPSの出力が立下らなければ、メダルM(若しくは一連のメダルM群)が通過し終わったものと判定して、次のメダルM(若しくは一連のメダルM群)の検知に備える(ステップn2へ)。
【0125】
このステップn8でのフォトセンサPSの出力の立下りは、メダルMの通過検知のため、若しくは、連なった次のメダル検知のために、検出時間タイマTβを計時させておく(ステップn9)。
【0126】
次に、先のステップn5のフォトセンサPSの出力の立上りか検出によるタイマの計時(ステップn6)から、検出時間の規定時間γ2(例えば30ms)以内に第2センサ部S2の第1検知部が、出力の立下り検知によるメダルMの通過を検知するか否かを判定する(ステップn10,ステップn11)。
【0127】
この検出時間の規定時間γ2(例えば30ms)は、フォトセンサPSから第2センサ部S2までの物理的な距離と転動しながら流下するメダルMの速度から経験的に求められる時間であり、真正なメダルMの適切な流下が行われていることを、この検出時間の規定時間γ2(例えば30ms)以内のメダルMの通過の検知によって判定する(ステップn11)。
【0128】
もし、この検出時間の規定時間γ2(例えば30ms)以内に第2センサ部S2が出力の立下りを検知しなかったときは、フォトセンサPSがメダルMと思しき物体の流下を認識しているにも拘らず、その直ぐ後段に配置されている第2センサ部S2がメダルを検知できない状況となり、真正なメダルMの適切な流下が行われていないことを示す。よって、何らかの不具合発生としてエラー処理する(ステップ16)。
【0129】
ステップn11で、第1センサ部S1でのメダルM検知から、検出時間の規定時間γ2(例えば30ms)以内での第1センサ部S2でのメダルM検知が行われたとき、各センサで検知している対象物は真正な1枚のメダルMの流下である可能性が高いため、制御部220は適正なメダルMを1枚取り込んだと判定してメダルカウント数を1枚計数し(ステップn12)、次に導かれるメダルMの計数に備える(ステップn4へ)。
【0130】
ステップn4に戻った処理では、上述と同様に、フォトセンサPSの出力の立下りから、検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内にフォトセンサPSの出力が立上るか否かを判定するが、メダルMの動作上は、端側出没レバー84の回動完了に基づく端側検知片80の透光検知から、検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内に中央出没レバー74の回動完了に基づく中央検知片70の遮光検知が得られたか否か、若しくは、端側出没レバー84の回動完了に基づく端側検知片80の透光検知から、中央出没レバー74の回動状態が継続したまま、連なったメダルM群のうち次のメダルMによる端側出没レバー84の回動に基づく端側検知片80の遮光検知が、検出時間の規定時間β(例えば100ms)以内に得られたか否かを判定している。
【0131】
制御部220が異常発生と判断した場合は、警報ランプ、アラーム、エラー表示などの出力手段により報知し、エラーとして処理される。
【0132】
上述のように、メダルが連続して投入された場合であっても、中央出没レバーの回動により物体を検知するセンサ出力だけでなく、連続したメダルの識別が可能となる端側出没レバーの回動によるセンサ出力を利用することにより、その出力が連続せず、1枚ずつ区別して検出することができる。また、2つの検知タイミング差や検知時間差から精度の高い読取制御ができる。さらに、この第1センサ部の検知部分においては、単一のフォトセンサPSで構築できるため部品点数の削減による低コスト化が図れるだけでなく、配置スペースが少なくてよいため投入メダル検知装置が大型化することもない。また、この第1センサ部と後段の第2センサ部での検知出力を組み合わせることで、判定精度がさらに高まる。
【0133】
この発明の構成と、上述の実施例の構成との対応において、
この発明の検知手段は、実施例のフォトセンサPSに対応し、
以下同様に、
判定手段は、制御部220に対応し、
第1の検知手段は、第1センサ部S1に対応し、
第2の検知手段は、第2センサ部S2に対応し、
投入メダル選別装置は、メダルセレクタ25に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができ、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0134】
例えば、上述の実施例ではメダル通路33の横辺部L2の上下位置に各出没レバー74,84を備えた例を示したが、これに限らず縦辺部L1の左右に両出没レバーを配置して構成することもできる。また、メダル通路33は略L形状の通路を示したが、垂直通路、傾斜通路、屈曲通路など様々な通路に適用することができる。さらに、検知センサの一例としてフォトセンサPSを用いた例を示したが、磁気センサ等の他のセンサを用いても構成することができる。