(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5771939
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
B65D41/34
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-232479(P2010-232479)
(22)【出願日】2010年10月15日
(65)【公開番号】特開2012-86846(P2012-86846A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2013年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
(72)【発明者】
【氏名】関 武邦
【審査官】
白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−182357(JP,A)
【文献】
特開2007−045485(JP,A)
【文献】
特開2004−149164(JP,A)
【文献】
特開2008−285205(JP,A)
【文献】
米国特許第04550843(US,A)
【文献】
特開2008−150074(JP,A)
【文献】
特開2005−104538(JP,A)
【文献】
実開平03−004554(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体のスカート部下端に設けられている開封履歴明示バンドとからなるキャップにおいて、
前記開封履歴明示バンドには、その上端から下端に到るスリットが設けられ、
前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向前方側近傍は、開栓に際して破断しない接続ブリッジにより、前記スカート部下端に連結され、
前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向前方側近傍以外は、開栓に際して破断する破断ブリッジにより、前記スカート部下端に連結され、
且つ、前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向後方側の上端部には、凸部が形成され、
前記凸部の形状が、前記スリット側は、該スリットの面と一体となった垂直面と、上部に平坦面と、該平坦面に連続する傾斜面を有し、
前記スカート部の下端部には、前記凸部と前記傾斜面で噛み合う傾斜面を有する凹部が形成され、
前記スカート部の外周面には、開栓時回転方向前方側に緩斜面と、開栓時回転方向後方側に急斜面とからなる、外側に凸の突起が、縦方向に延びてターレットを形成しており、
前記開封履歴明示バンドの下端部内側には、先端部が肉厚で、該開封履歴明示バンドと接続する根元部が薄肉のフラップが、周方向に断続して設けられ、
前記開封履歴明示バンドの前記スリットの開栓時回転方向後方側のフラップの周方向の長さが、前記開封履歴明示バンドの前記スリットの開栓時回転方向前方側のフラップの周方向の長さより、短いことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記凸部の傾斜面は、平面状であり、それと噛み合う前記スカート部の下端部に設けられた前記凹部の傾斜面は、前記スカート部の厚さ方向の外側が上方に傾いた傾き面を有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体にはインナーリングが設けられ、前記インナーリングの内側の天部は、前記インナーリングの外側の天部より肉厚となっており、
前記インナーリングの断面は外側に中央が凸の、くの字状であり、
前記容器口部に螺子係合により固定されたとき、肉厚の前記インナーリングの内側の天部の下端より、前記容器口部の先端部が上方に位置し、
くの字状の前記インナーリングの前記中央が、前記容器口部の内面に圧着することを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。更に詳細には、容器口部に螺合して被冠するキャップ本体と、キャップ本体のスカート部下端に接続して設けられ、所定の剪断力を受けると切れる開封履歴明示バンドからなるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器内容物の品質保証やいたずら防止などのため、開封履歴を明示する開封履歴明示バンド(タンパーエビデンドバンドとも、呼ばれる。)を備えたキャップが広く使用されている。そして、この種のキャップは、開封したときに、キャップ本体と開封履歴明示バンドとの連結がカッティングラインで破断され、これにより、キャップが開封された事実を明示するようになっている。
【0003】
このようなキャップは、例えば、螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体と、キャップ本体のスカート部下端に、破断可能なブリッジ(弱化部)を介して接続された開封履歴明示バンドとからなり、キャップ本体を開栓方向に旋回すると、開封履歴明示バンドとキャップ本体とを繋いでいるブリッジが破断し、開封履歴明示バンドが切り離され、キャップ本体のみが容器口部から取り外されるというものである。即ち、開封履歴明示バンドが切り離されている事実により、キャップが開封されたという事実を認識できるのである。
【0004】
しかしながら、開封履歴明示バンドの上端部に凸部が形成されていないキャップはキャッピングする時に、ブリッジが切れやすく、また、開栓するときに、凸部の助けがなくて、外に広がりにくい。さらに、凸部がないので、一旦開封されたキャップを再び容器口部に装着した場合に元の形状に戻る可能性がある。
【0005】
そして、開封履歴明示バンドの内方に設けられたフラップの周方向の長さが同じであると外れた開封履歴明示バンドが、下方に垂れやすくなる。また、凸部の助けがないので、はじめにブリッジを切断したい位置を切断することができない。
【0006】
このような問題を回避するため、開栓に際して、開封履歴明示バンドがキャップ本体から分離しないようなキャップや、開封後に開封履歴明示バンドを取り去りやすくしたキャップも提案されている。
【0007】
例えば、開封履歴明示バンドに、分割スリットによって開栓方向側に移動する開栓旋回バンド部と開栓方向側への移動が抑制される開栓抑止バンド部とに分割された破断領域が形成され、開栓旋回バンド部の下端部には、複数の凹部が形成され、開栓抑止バンド部の上端部には凹部と噛み合う凸部が形成されているキャップで、開栓に際して、開封履歴明示バンドがキャップ本体に連なって容器口部から取り除かれるとともに、一旦開封されたキャップを再び容器口部に装着した場合にも、開封の事実を容易に認識できることが可能なキャップが提案されている(特許文献1)。
【0008】
また、ピルファープルーフバンドが1つ又は複数の、子ピルファープルーフバンドからなり、子ピルファープルーフバンドとキャップとが、接続部分を介して連設し、接続部分は、初期開封時に切断される接続部と、切断されない連結部と、からなり、また、前記ピルファープルーフバンド内面には、弾性部材を備え、弾性部材は、接続部を切断するための切断部材と、キャップと容器の注出口との隙間を塞ぐための閉塞部材と、キャップと注出口とを一定距離にわたって離すための反発部材と、からなっていて、反発部材が、複数
の反発部材からなり、初期開封時、子ピルファープルーフバンドを大きく外側に開くことができるキャップも提案されている(特許文献2)。
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−45485号公報
【特許文献2】特開2007−1604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような構造のキャップでは、開栓したことが、開封履歴明示バンド等によって、視認することができるが、開栓に当たって手でキャップ本体を廻したときに、容易に廻すことができず、強い力で廻すため、手がいたくなる恐れがあった。
【0011】
発明の目的は、キャップ本体と開封履歴明示バンドとの間の破断ブリッジを切断して開栓するときに、開けやすく、且つ、キャップを再度閉めるときに、閉めすぎることがなく、また、再封した場合でも、既に開栓してあることが、容易に視認できるキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体のスカート部下端に設けられている開封履歴明示バンドとからなるキャップにおいて、
前記開封履歴明示バンドには、その上端から下端に到るスリットが設けられ、
前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向前方側近傍は、開栓に際して破断しない接続ブリッジにより、前記スカート部下端に連結され、
前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向前方側近傍以外は、開栓に際して破断する破断ブリッジにより、前記スカート部下端に連結され、
且つ、前記開封履歴明示バンドの該スリットの開栓時回転方向後方側の上端部には、凸部が形成され、
前記凸部の形状が、前記スリット側は、該スリットの面と一体となった垂直面と、上部に平坦面と、該平坦面に連続する傾斜面を有し、
前記スカート部の下端部には、前記凸部と前記傾斜面で噛み合う傾斜面を有する凹部が形成され、
前記スカート部の外周面には、開栓時回転方向前方側に緩斜面と、開栓時回転方向後方側に急斜面とからなる、外側に凸の突起が、縦方向に延びてターレットを形成していることを特徴とするキャップである。
【0013】
上記構成にすることによって、キャップ本体と開封履歴明示バンドとの間の破断ブリッジを切断して開栓するときに、ターレットの急斜面が手にかかり、開けやすく、且つ、キャップを再度閉めるときに、ターレットの緩斜面が手にかかるので、キャップを強く、閉めすぎることがない。
【0014】
また、開封履歴明示バンドに形成された凸部と、スカート部の下端部に形成された、凸部と噛み合う凹部のそれぞれの傾斜面どうしが、滑ることによって、開封履歴明示バンドが押し下げられ、破断ブリッジが切断されるので、開栓したことが、容易に視認できる。
【0015】
そして、内容物充填後のキャッピングの際は、開封履歴明示バンドに形成された凸部の垂直面が、スカート部の下端部に形成された凹部の垂直面に、押されて廻されるので、破
断ブリッジや接続ブリッジが切断する恐れがない。
【0016】
また、本発明の請求項
1の発明は、
前記開封履歴明示バンドの前記スリットの開栓時回転方向後方側のフラップの周方向の長さが、前記開封履歴明示バンドの前記スリットの開栓時回転方向前方側のフラップの周方向の長さより、短いことを特徴とす
るキャップである。
【0017】
本発明はさらに、
開封履歴明示バンドのスリットの開栓時回転方向後方側のフラップの周方向の長さが、前記開封履歴明示バンドの前記スリットの開栓時回転方向前方側のフラップの周方向の長さより、短くしているので、開封履歴明示バンドが開栓時回転方向後方側で曲がりやすくなり、開栓時回転方向後方側にある破断ブリッジが切れやすく、逆に、開栓時回転方向前方側は曲がりにくくなり、キャップ本体から開封履歴明示バンドが円弧状に外れて、開栓したことを、容易に視認することができる。
【0018】
また、本発明の請求項
1の発明は、前記開封履歴明示バンドの下端部内側には、先端部が肉厚で、該開封履歴明示バンドと接続する根元部が薄肉のフラップが、周方向に断続して設けられていることを特徴とす
るキャップである。
【0019】
本発明はさらに、
先端部が肉厚で、開封履歴明示バンドと接続する根元部が薄肉のフラップが、周方向に断続して設けられているので、開封前は、フラップの根元の薄肉が曲げられ、先端の肉厚部分が容器に押し付けられていて、開栓時に、フラップにより開封履歴明示バンドが外側に押し広げられる。また、開栓時にフラップがたわむことなどにより、破断ブリッジが開栓時回転方向後方側から切断されるのを防止することができる。
【0020】
本発明の請求項
2の発明は、前記凸部の傾斜面は、平面状であり、それと噛み合う前記スカート部の下端部に設けられた前記凹部の傾斜面は、前記スカート部の厚さ方向の外側が上方に傾いた傾き面を有することを特徴とする請求項
1に記載のキャップであ
る。
【0021】
本発明はまたさらに、凹部の傾斜面が、上方に傾いた傾き面を有しているので、開栓するためにキャップ本体を開栓時回転方向に廻したときに、凸部の傾斜面を外側に押し出すので、破断ブリッジが切れやすく、また、切れた後、開封履歴明示バンドが外側に外れて、開栓したことを、容易に視認することができる。
【0022】
本発明の請求項
3の発明は、前記キャップ本体にはインナーリングが設けられ、前記インナーリングの内側の天部は、前記インナーリングの外側の天部より肉厚となっており、
前記インナーリングの断面は外側に中央が凸の、くの字状であり、
前記容器口部に螺子係合により固定されたとき、肉厚の前記インナーリングの内側の天部の下端より、前記容器口部の先端部が上方に位置し、
くの字状の前記インナーリングの前記中央が、前記容器口部の内面に圧着することを特徴とする請求項1
または2に記載のキャップである。
【0023】
本発明はまた、上記構成にすることによって、キャップ本体の天部をインナーリングの内側で肉厚にすることができ、さらに、インナーリングの断面は外側に中央が凸の、くの字状としているので、肉厚の天部の剛性の影響を受けず、インナーリングが容器口部の内面に圧着して密封性が高く、浸透性の内容物でも、キャップ本体を透過して、気散してしまうことがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明のキャップは、以上のように、キャップ本体と開封履歴明示バンドとの間の破断
ブリッジを切断して開栓するときに、開けやすく、且つ、キャップを再度閉めるときに、閉めすぎることがなく、また、再封した場合には、既に開栓してあることが容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のキャップの一例と容器口部の正面図である。
【
図2】本発明のキャップの一例の正面の拡大図である。
【
図3】本発明のキャップの一例の縦に切断した断面と容器口部を模式的に示した説明図である。
【
図5】本発明のキャップの一例のローレットの形状を模式的に示した説明図である。
【
図6】本発明のキャップの一例のキャップ本体の天部のインナーリング部分の拡大断面を模式的に示した説明図である。
【
図7】本発明のキャップの一例の開封履歴明示バンドの下端内側に設けたフラップ部分の拡大断面を模式的に示した説明図である。
【
図9】本発明のキャップの一例の破断ブリッジが切れて、開封履歴明示バンドが広がった状態の底面図である。
【
図10】本発明のキャップの一例の開封履歴明示バンドを取った状態で縦に切断した断面と容器口部を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明のキャップの一例と容器口部の正面図、
図2は、本発明のキャップの一例の正面の拡大図、
図3は、本発明のキャップの一例の縦に切断した断面と容器口部を模式的に示した説明図、
図5は、本発明のキャップの一例のローレットの形状を模式的に示した説明図、
図6は、本発明のキャップの一例のキャップ本体の天部のインナーリング部分の拡大断面を模式的に示した説明図である。
【0027】
本例のキャップ1は、上面の天部2と天部2の周縁から下方に延びるスカート部3からなるキャップ本体4と、スカート部3の下端に設けられた開封履歴明示バンド5からなり、キャップ本体4のスカート部3の内面には、螺子6が切ってあり、容器口部7に螺子係合するようになっている。
【0028】
開封履歴明示バンド5には、その上端から下端に到る略垂直のスリット8が設けられていて、スリット8の左右で切り離されている。スリット8の幅は、0.3mmから1.0mmが好ましく、より好ましくは、0.5mmである。
【0029】
開封履歴明示バンド5のスリット8の開栓時回転方向X側近傍には、開栓に際して破断しない接続ブリッジ9aが設けられていて、これにより、スカート部3の下端に連結されている。また、スリット8の開栓時回転方向X側近傍以外には、開栓に際して破断する破断ブリッジ9bが設けられ、同じように、スカート部3の下端に連結されている。
【0030】
そして、開封履歴明示バンド5のスリット8の開栓時回転方向X後方側の上端部には、凸部10が形成され、凸部10のスリット8側は、スリット8の面と一体となった垂直面となっていて、凸部10上部に平坦面11と、該平坦面11に連設する傾斜面12を有する形状となっている。また、スカート部3の下端には、凸部10の傾斜面12と噛み合う傾斜面13を有する凹部14が形成されている。
【0031】
そして、スカート部3の外周面には、ターレット17が設けられていて、ターレット17は、
図5のように、開栓時回転方向X側に緩斜面15と、開栓時回転方向X後方側に急斜面16とからなる、外側に凸の突起が、縦方向に延びている形状となっている。
【0032】
開栓時回転方向X側の緩斜面15は、キャップ本体4の中心線からの線Mとの角度θが、45度以上90度以下であることが好ましい。そして、急斜面16は、中心からの線Mと平行(角度が0度)ないしは角度が30度以下であることが好ましい。(
図5では角度が0)
このようにすることによって、キャップ1を廻して、キャップ本体4と開封履歴明示バンド5との間の破断ブリッジ9bを切断して開栓するときに、ターレット17の急斜面16が手にかかるので開けやすく、且つ、キャップ1を再度閉めるときに、ターレット17の緩斜面15が手にかかるので、キャップ1を強く閉めすぎることがない。
【0033】
キャップ本体4の天部2の内面にはインナーリング18が設けられ、
図6のように、前記インナーリング18の内側の天部2aは、前記インナーリング18の外側の天部2bより肉厚となっており、インナーリング18は、天部2aより下方に突き出して設けられ、天部2の厚みの影響を受けないように設けられている。
【0034】
前記インナーリング18の断面は外側に中央が凸の、くの字状であり、インナーリング18の中央の凸の先端部は、インナーリング18の内側の天部2aの外周部分より、外側となっていて、その水平方向の距離sは、0.2mmから0.6mmが好ましい。より好ましくは、0.3mmである。
【0035】
図3のように、前記容器口部7に螺子係合により固定されたとき、前記インナーリング18の内側の肉厚の天部2aの下端より、前記容器口部7の先端部が上方に位置し、くの字状の前記インナーリング18の前記中央が、前記容器口部7の内面に圧着する。
【0036】
上記のように、キャップ本体4の天部2をインナーリング18の内側で肉厚にすることができ、さらに、インナーリング18の断面は外側に中央が凸の、くの字状としているので、肉厚の天部2aの剛性の影響を受けず、インナーリング18が容器口部7の内面に圧着して密封性が高く、浸透性の高い内容物でも、キャップ本体4を透過して、気散してしまうことがない。そのため、肉厚の天部2aの厚さは、2.5mmから7.0mmが好ましく、より好ましくは、3.5mmである。
【0037】
図7は、本発明のキャップ1の一例の開封履歴明示バンド5の下端内側に設けたフラップ19部分の拡大断面を模式的に示した説明図、
図8は、本発明のキャップ1の一例の底面図、
図9は、本発明のキャップ1の一例の破断ブリッジ9bが切れて、開封履歴明示バンド5が広がった状態の底面図、
図10は、本発明のキャップ1の一例の開封履歴明示バンド5を取った状態で縦に切断した断面と容器口部7を模式的に示した説明図である。
【0038】
開封履歴明示バンド5の下端部内側には、
図7の部分拡大断面図のように、先端部が肉厚で、開封履歴明示バンド5と接続する根元部が薄肉のフラップ19が、
図8の底面図のように、周方向に断続して設けられている。
【0039】
使用する樹脂の弾性率によって異なるが、根元から先端に向かって、厚みが10%から50%厚く形成されているのが好ましい。この範囲で使用する樹脂の弾性率に基づいて厚みを設定すればよい。樹脂の弾性率が高いと10%程度でもよいが、低いと30から50%必要となる。すなわち、たわみが生じない程度に肉厚とする必要がある。
【0040】
そして、開封履歴明示バンド5のスリット8の開栓時回転方向X後方側の前記フラップ19aの周方向の長さが、開封履歴明示バンド5のスリット8の開栓時回転方向X
前方側のフラップ19bの周方向の長さより短くしてある。3個以上のフラップを設けるときは、徐々に長さが短くなるように設けるのが好ましい。
【0041】
これにより、開栓時にキャップ1を開栓時回転方向Xに廻すと、フラップ19aは短いので、開栓時回転方向X後方側のこの部分で開封履歴明示バンド5が曲がりやすくなり、開栓時回転方向X後方側にある破断ブリッジ9bが切れて外側に外れやすく、また、フラップ19bの周方向の長さが長いので、下方に垂れて円弧形状を損なうのを防ぎ、開栓時回転方向X前方側は曲がりにくくなり、キャップ本体4から開封履歴明示バンド5が円弧状に外れて、
図9のようになり、開栓したことを、容易に視認することができる。
【0042】
図10は、本発明のキャップ1の一例の開封履歴明示バンド5を取った状態で縦に切断した断面と容器口部7を模式的に示した説明図である。開栓後、キャップ本体4から開封履歴明示バンド5が円弧状に外れるので、再封するときは、図のように、円弧状の開封履歴明示バンド5を手で切り外して再封できる。このようにした場合でも、開封履歴明示バンド5がなくなるので、開栓したことを、容易に視認することができる。
【0043】
図11は、
図1のA−A断面図である。開封履歴明示バンド5のスリット8の開栓時回転方向X後方側の上端部に形成された凸部10の傾斜面12は平面状に設けられている。一方、凸部10と噛み合うように形成され、凸部10の傾斜面12に対向する凹部14の傾斜面13は、スカート部3の厚さ方向の外側が上方に傾いた傾き面20を有す形状となっている。
【0044】
凸部10の傾斜面12と凹部14の傾斜面13が、このような形状なので、開栓するためにキャップ本体4を開栓時回転方向Xに廻したときに、凹部14の傾斜面13が、凸部10を外側に押し出すので、破断ブリッジ9aが切れやすく、また、切れた後、開封履歴明示バンド5が外側に外れて、開栓したことを容易に視認することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・キャップ
2、2a、2b・・・天部
3・・・スカート部
4・・・キャップ本体
5・・・開封履歴明示バンド
6・・・螺子
7・・・容器口部
8・・・スリット
9a・・・接続ブリッジ
9b・・・破断ブリッジ
10・・・凸部
11・・・平坦面
12、13・・・傾斜面
14・・・凹部
15・・・緩斜面
16・・・急斜面
17・・・ターレット
18・・・インナーリング
19・・・フラップ
20・・・傾き面
X・・・開栓時回転方向
M・・・中心線