(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にEL素子の最表面には光取り出しフィルムが配置されており、このフィルムは光を取り出す効果を向上させるだけでなく、EL素子の表面の汚れを防止する目的も果たす必要がある。しかし、光取り出しフィルムに防護処理等を施しても、完全に汚れを防止することができない。また、通常、光取り出しフィルムとして合成樹脂製のフィルムが用いられるため、物品の角などの鋭利なものが接触すると容易に傷がついてしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて、汚れや傷がつきやすい環境でも表面に汚れや傷が付くことを防止すると共に泡等の異物の噛みこみを抑えて、光の取り出し効率を向上できるようにしたEL素子用積層表面保護シート及びこれを用いたEL素子、照明装置ならびにディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるEL素子用積層表面保護シートは、透光性基板と、前記透光性基板の一方の面に設けられていて陽極及び陰極に挟まれた発光層とを備えたEL素子の、前記透光性基板の前記一方の面に対向する他方の面に設けられていて、EL素子の表面を保護するEL素子用積層表面保護シートであって、該EL素子用積層表面保護シートは、光の射出側の面に
、第1の方向および第2の方向にそれぞれ間隔をあけて配列された格子状のリブによって形成された略平坦な頂部が配列されていて前記頂部の間には傾斜した側面を有する凹部が設けられているライナーと、前記ライナーの頂部に貼り合わされる保護フィルムとを備え、平面視における前記ライナーの面積に対する前記頂部の面積率sが10%以上40%以下の範囲であり、前記頂部のピッチをPとして、前記頂部の幅Wtは下記(1)式を満たすと共に、前記凹部の幅Woは下記(2)式を満た
し、前記頂部のうち、前記第1の方向に配列された頂部よりも、前記第2の方向に配列された頂部の方が、前記ピッチPの1%以上10%以下だけ高いことを特徴とする。
【数1】
【数2】
【0008】
本発明によるEL素子用積層表面保護シートによれば、ライナーの光射出側の面に設けた
、第1の方向および第2の方向にそれぞれ間隔をあけて配列された格子状のリブの頂部に保護フィルムを接着すると共に、頂部の面積率sを10%〜40%の範囲に設定すると共に、(1)式と(2)式により、頂部の幅Wtと凹部の幅Woを設定したから、保護フィルムは頂部に沿って、頂部と保護フィルムとの間に皺が発生したり小泡の残存や泡の噛み込み等が生じたりすることなく、貼ることができる。そして、最表面の保護フィルムを使用環境に応じた経年劣化等により、必要に応じて張り替えるができる。そのため、表面に汚れや傷がつきやすい環境でも光取り出し効率の高い保護シートを使用できる。
また、ライナーは頂部の面積率が10%〜40%の範囲であるから、全光量が最大となる値に対して90%程度の光量を取り出せて光取り出し効率を向上できる。一方、10%より頂部の面積率が小さい場合には、側面での再帰的な反射により全光量が低下してしまい、40%より頂部の面積率が大きい場合には、ガラスを導波していく光が多くなってしまい光の取り出し効率を向上できない。
しかも、ライナー
は頂部と頂部間に形成されていて側部に傾斜面を有する凹部とで形成されているから、従来のEL素子と比較して、単に泡などの異物の噛みこみを抑えるだけではなく、発光層から発光された射出光を凹部の側部を透過させて光の取り出し効率を向上させることができる。
また、凹部の周囲に形成した頂部の一部に高低差を設けることで、その段差により凹部部分が個々に孤立することなく比較的低い頂部によって隣の凹部と連通しているため、泡の原因となる空気が一の凹部から比較的低い頂部を通して隣接する他の凹部に流動していき、保護フィルムが泡を噛んで浮くことを防止できる。
【0009】
また、凹部の側面は傾斜角が透光性基板を基準として35°〜65°の範囲に設定されていることが好ましい。
凹部の側面の傾斜角が35°〜65°の範囲に設定されているから、ライナーへ入射する光が上記傾斜角を有する側面を通って外部へ射出させることができて光の射出効率を向上できる。一方、傾斜角が35度より小さい場合には、十分に斜めに伝播する光を外部に取り出すことができないため外部へ取り出せる全光量が少なく、また、傾斜角が65度を超える場合には、側面から射出する光が隣接する凹部の側面に再度入射してしまい、光の外部取り出す量を増大させることができない。
【0011】
また、ライナーにおけ
る頂部と凹部はエンボス加工によって形成されていてもよい。
ライナーをエンボス加工によって作製することで、ライナーの凹凸部を簡単且つ容易に
成形することができる。
なお、ライナーと保護フィルムは、ポリカーボネート樹脂またはアクリル樹脂によって製造することができる。
ライナーと保護フィルムを、上述したいずれかの樹脂で製造することで、分子量の高いものを用いることにより硬いライナーと保護フィルムが得られる。
【0012】
本発明に係るEL素子は、透光性基板と、透光性基板の一方の面に設けられていて陽極及び陰極に挟まれた発光層と、透光性基板の一方の面に対向する他方の面に接着された上述したいずれかのEL素子用積層表面保護シートとを備えたことを特徴とする。
本発明によるEL素子用積層表面保護シートを備えたEL素子によれば、ライナーの光射出側の面に設けた
第1の方向および第2の方向にそれぞれ間隔をあけて配列された格子状のリブの頂部に保護フィルムを接着することによって、頂部の面積率sを10%〜40%の範囲に設定すると共に、(1)式と(2)式により、頂部の幅Wtと凹部の幅Woを設定したから、保護フィルムをライナーの頂部に沿って貼着する際、頂部と保護フィルムとの間に皺が発生したり小泡の残存や泡の噛み込み等が生じたりすることなく、貼ることができる。そして、最表面の保護フィルムを使用環境に応じた経年劣化等により、必要に応じて張り替えるができる。そのため、表面に汚れや傷がつきやすい環境でも汚れや傷を抑えて、光取り出し効率の高い保護シートを得られる。また、ライナーは頂部の面積が10%〜40%の範囲であるから、全光量の最大値に対して90%程度の光量が取り出せて光取り出し効率を向上できる。
しかも、ライナー
は頂部と頂部間に形成されていて側部に傾斜面を有する凹部とで形成されているから、従来のEL素子と比較して、単に泡などの異物の噛みこみを抑えるだけではなく、発光層から発光された射出光を凹部の側面を透過させて光の取り出し効率を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る照明装置は、上述したEL素子を光源として用いることを特徴とする。
本発明によれば、EL素子にライナーと保護フィルムを積層させて接着することで、泡などの異物の噛みこみを抑えると共に、発光層から発光された射出光をライナーの凹部または頂部の側面を透過させて光の取り出し効率を向上させることができる。
また、本発明によるディスプレイ装置は、上述した光取り出し効率を向上させることで、 バックライトによる照明効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるEL素子用積層表面保護シート及びこれを備えたEL素子によれば、EL素子の透光性基板の光射出側表面に接着し積層したライナー及び保護フィルムを備えたから、ライナーによって保護フィルムを皺の発生や泡等の噛み込み等が生じたりすることなく貼着することができて、最表面の保護フィルムを容易にライナーに貼り替えることができると共に表面に汚れや傷がつき易い環境でも汚れや傷付きを抑制して、光取り出し効率の高い保護シートを用いることができる。
また、ライナーは網目状の頂部と傾斜した側面を有する凹部とで形成されているから、従来のEL素子と比較して、単に泡などの異物の噛みこみを抑えるだけではなく、発光層から発光された射出光をライナーの側面を透過させて光の取り出し効率を向上させることができる。
また、ライナーは頂部の面積率が10%〜40%の範囲であるから、保護フィルムの接着が良好である上に、全光量が最大となる値に対して90%程度の光量が取り出せて、この点からも光取り出し効率を向上できる。
また、本発明によるEL素子を光源として用いた照明装置やディスプレイ装置は、高い照明効率が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態による有機EL素子及びこれを用いた照明装置及び液晶表示装置等のディスプレイ装置について図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態による有機EL素子(以下、EL素子という)1は、第1の透光性基板2と第2の透光性基板3を備え、これら第1及び第2の透光性基板2,3の間に、陽極4と陰極5の間に発光層6を挟んだ発光構造体7を配設している。これらをEL素子本体8とする。
発光構造体7において、発光層6の一方の面に透明電極として陽極4が配設され、陽極4とは反対側の他方の面に陰極5が配設されている。発光構造体7として、従来公知のさまざまな構成が採用可能である。
また、EL素子本体8の光出射側には、第1の透光性基板2の光出射側に光を拡散可能な粘着層9を介してシート状のライナー10が積層されている。
【0017】
ここで、発光層6は白色発光層とすることもあり、或いは青色、赤色、黄色、緑色などの各種発光層とすることもある。発光層6を白色発光層とする場合、この発光層6の構成は、例えばITO/CuPc(銅フタロシアニン)/α−NPDにルブレン1%ドープ/ジナクチルアントラセンにペリレン1%ドープ/Alq3/フッ化リチウム/陰極としてAl、という構成とすればよい。
ただし、発光層6はこの構成に限定されるものではなく、発光層6から射出する光B0の波長をR(赤色)、G(緑色)、B(青色)とすることができる適宜材料を用いた任意の構成を採用することが可能である。また、フルカラーディスプレイ用途で使用する場合には、R、G、Bに対応した3種類の発光材料の塗り分けとすることや、白色光にカラーフィルターを重ねることによりフルカラー表示が可能となる。この発光層6から光B0が第1の透光性基板2の方向に射出される。
【0018】
第1の透光性基板2は陽極4が発光層6に臨む面と反対側の面に形成され、第2の透光性基板3は陰極5が発光層6に臨む面と反対側の面に形成されている。
第1の透光性基板2、第2の透光性基板3の材料としては、種々のガラス材料を用いることができる他に、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン等のプラスチック材料を用いることができる。また、プラスチック材料では、シクロオレフィン系のポリマーが特に好ましい。このポリマーは、加工性、耐熱性、耐水性、光学透光性等の材料特性の全てにおいて優れているためである。
また、第1透光性基板3は、発光層6から発光する光B0をできるだけ透過させることができるように、全光線透過率が50%以上の材料、例えばガラスで形成することが好ましい。
【0019】
第1の透過性基板2が陽極4に臨む面と反対側の面には、EL素子用積層表面保護シート12が用いられる。EL素子用積層表面保護シート12として、第1の透過性基板2の光出射側に配設されたシート状のライナー10とライナー10の表面に被着される保護フィルム13とが積層して設けられている。
近年、EL素子1は照明用途等にも使用されてきている。EL素子1を照明用途に使用する場合、デバイスであるEL素子1の最表面がむき出しになってしまうことがあるため、その表面を保護する必要がある。その際、ガラスのような硬度の高い材料を用いれば傷は付きにくいが、ガラスは衝撃に弱く割れやすいため安全上問題がある。そのため、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の合成樹脂材料が用いられる。
しかし、このような合成樹脂材料は表面が容易に傷ついてしまい、EL素子1のような長寿命な素子の表面の保護フィルム13として用いると、その素子寿命の間に表面に傷が多く発生してしまう。
【0020】
そのため、表面の保護フィルム13が傷ついたら貼り替えることが考えられる。しかし、その貼り換えの際に、第1の透過性基板2と保護フィルム13との間に皺や泡の噛みこみ等が発生してしまうことがあり、かえって外観の不良を招いてしまうことがある。そのため、本実施形態では、網目状のリブ(凸部)14を略等間隔に配列させたライナー10に対して保護フィルム13を貼り換えることにより、ライナー10と保護フィルム13との間に泡が閉じ込められるのを防止でき、保護フィルム13の浮きも抑制できる。
さらに、保護フィルム13をライナー10に貼り合せる際に皺が発生し易いが、網目状のリブ14を配列させたライナー10を介して保護フィルム13を貼り合わせることにより、その凹溝に沿って皺が伸ばされながら貼り合せられるため皺の発生が抑制される。そのため、例えば、簡易なスキージにより貼ることができるため、EL素子1の使用環境において貼替用の保護フィルム13の貼り合せが可能である。
【0021】
次にライナー10について
図2乃至
図5により説明する。
図2及び
図3に示すライナー10は、略平板シート状の基材15に凹凸形状の凹凸部16が一体に形成されている。
図2(a)及び
図3に示す凹凸部16は、平面視網目状、図では例えば略格子状に形成されたリブ14即ち凸部の頂面に頂部17が縦方向と横方向に所定間隔で複数配列されている。
頂部17は例えば縦方向のリブ14の頂部17aと横方向のリブ14の頂部17bとで格子状に形成され、縦方向の頂部17aが横方向の頂部17bより高さが高く設定されて(或いは横方向のリブ14の頂部17bの高さを縦方向のリブ14の頂部17aより僅かに高く設定してもよいし、同じ高さでもよい。)それぞれリブ14を構成している。また、隣接する縦横方向の頂部17a、17bで仕切られた平面視四角形、例えば正方形または長方形の領域には略四角錐形状の凹部18が互いに分離して構成されている。
【0022】
ここで、頂部17の縦横方向の各頂部17a、17bはそれぞれ平坦面でもよい。或いは
図2(b)に示すように、リブ14の長手方向に直交する断面視で、各頂部17(17a、17b)の中央の頂部稜線20aから頂部17を仕切る土手をなす境界線19に向けて極く小さな傾斜角αを以て傾斜する2面の斜面20b、20bで構成された断面略山形形状でもよい。
このライナー10の頂部17に保護フィルム13を貼り合わせる場合には、
図4に示すように縦方向と横方向の2方向の頂部17a、17bにおいて、その高い方向の頂部17aに貼り合わせれば、泡となる空気が低い方の頂部17bを通して隣の凹部18へ逃げるから泡を抱き込みづらくなり望ましい。
【0023】
また、
図2及び
図3に示すように、例えば略逆四角錐をなす凹部18は頂部17a、17bの四角形をなす各境界線19から底部に向けて断面略V字状に傾斜する二対の側面18aによって形成されている。側面18aの傾斜角θは35°以上65°以下であることが好ましい(
図2(b)参照)。傾斜角θが35度より小さい場合には斜めに伝播する光を十分に外部に取り出すことができず反射させてしまうため、外部へ取り出せる全光量が少なく好ましくない。また、傾斜角θが65度より大きい場合には隣接する頂部17を有するリブ14の側面18aに光が再度入射してしまい、この場合も光を外部に取り出す量が減少するため好ましくない。
【0024】
ここで、ライナー10の頂部17に保護フィルム13を貼り合わせる際に、頂部17と保護フィルム13との間に小泡が残存したり泡噛みを生じたりすることがあり、これによって保護フィルム13がライナー10から部分的に浮き上がる問題が生じることがある。尚、小泡とは頂部17にごく小さな異物等を噛んだ際にできる泡(ウキ)であり、泡噛みは何もなくてもできてしまう比較的大きな泡をいう。
これら小泡や泡噛みによって、発光層6から射出する光が保護フィルム13で反射したり拡散したりし易くなって保護フィルム13から射出する光の光量が低減するおそれがある。更に、保護フィルム13がライナー10から剥がれ易くなって寿命が短くなる上に、外観上の見栄えが悪いという不具合が発生することがある。
そのため、本発明者らは、ライナー10に保護フィルム13を被着させて、ライナー10の平面視における全面に対する頂部17の面積率sや頂部17のピッチP(ここでは、縦方向の頂部17a、17a間または横方向の頂部17b、17b間の間隔をいう)を変化させた場合における、保護フィルム13と頂部17との間に残存する小泡、泡噛み、保護フィルム13の浮き等との関係について試験を行った。試験の結果は下記の表1と表2によって得られた。
【0027】
表1と表2に示す試験結果から、ライナー10の頂部17に保護フィルム13を貼り合わせるときに頂部17と保護フィルム13との間に残存し易い泡を十分に逃がすためには、網目形状をなす頂部17間(凹部18)の隙間Woの大きさが重要であることを本発明者らは見出した。
即ち、ライナー10において、頂部17のピッチをPとし、頂部17の面積率をsとすると、好ましい凹部18の幅Woの大きさは次式(3)で与えられる大きさが必要であることがわかった。
【0028】
【数3】
表1と表2に示す試験結果から、頂部17のピッチPは25μm以下であるとライナー10の頂部17と保護フィルム13との間に泡噛みを生じるので、30μm以上であることが好ましいことがわかった。これを下記(2)式で示す。
【数4】
【0029】
ライナー10は、従来の光取り出しフィルムのように頂部が鋭角では、保護フィルム13を貼り合わせる面積が小さくなってしまうため好ましくなく、頂部17に平坦部を有することにより保護フィルム13と貼り合わせることができることを確認できた。
また、表1及び表2から、ライナー10の頂部17の面積率sは、シート状のライナー10の平面視による射出面の全体面積に対して10%以上であることが好ましい。面積率sが10%より小さいと頂部17全面に保護フィルム13を貼り合せることができず、実使用時に剥がれてきてしまう不具合が生じる。
【0030】
また、頂部17の幅が広すぎて面積率sが増大しすぎると頂部17に小さな泡が残ってしまう不具合が残る(表1、表2参照)。そのため、頂部17の面積率sは40%以下であることが好ましい。
この点は、様々実験した結果、頂部17の幅Wtに関連性が強いことを見出した。即ち、頂部17のピッチをPとし、頂部17の面積率をsとすると、次式(1)で示されることがわかる。
【数5】
(1)式から、頂部17の幅Wtに対応する値が100μm以下であれば、泡の噛みこみは抑制できることができる。
【0031】
図2に示すライナー10の凹凸部16において、頂部17と凹部18の側部18aとの境界である境界線19はその両側で曲率が異なる変曲点になっている。通常は、
図2に示すように、明確な変曲点として境界線19が稜線として形成されるが、その変曲点が凸R状の曲面として、連続的に変化する形状であってもよく、この場合には、その変化している凸曲領域の中間地点を境界線19とすることができる。
また、頂部17は上述したように完全な平面である必要はなく、緩やかな曲面であってもよい。
図2(b)において、頂点稜線20aから変曲点(境界線19)までの高さ(高低差)をhとして、この高さhが格子状の頂部17の間隔Pの10%以内であることが望ましい。頂部17が平坦な場合には、頂点稜線20aから境界線19までの高さh=0%となる。頂点稜線20aから境界線19(変曲点)までの高さhが、網目状の頂部17のピッチPの10%より大きいと、うまく保護フィルム13を貼り合せられずに浮きが発生してしまう。
【0032】
また、頂部17のピッチPが1mmより大きいとライナー10との十分な接着力を得られるようにするために頂部17の幅を広くする必要があるため、泡が頂部17に入り込んで小さな泡が逃げ切れず、泡の噛みこみが発生してしまう。そのため、頂部17のピッチPは1mm以下であることが望ましい。
【0033】
尚、ライナー10の各頂部17a、17bは、縦方向と横方向の2方向の部分において高さに差(高低差)があることが望ましい。高低差がピッチPの1〜10%の範囲内であれば各凹部18が個別に孤立することなく隣の凹部18と比較的低い頂部17を介して繋がっていくため、泡の原因となる空気が凹部18から逃げていく。
その高低差は、頂部17のピッチPの1%以上10%以下であることが望ましい。高低差がピッチPの1%より小さいと空気が頂部17から逃げていかないため泡による浮きが発生してしまう欠点がある。高低差がピッチPの10%より大きいと十分な光学性能が得られないために光取り出し効率が低下してしまう。
【0034】
一般に、EL素子1の透光性基板2等のような光射出方向の最表面にプリズムシートを被着させることによって、EL素子1の内部に全反射により閉じ込められてしまう光を外部へ取り出す方法が知られている。しかしながら、このようなプリズムシートを用いると、射出光は再帰的な反射によって最表面で再反射されてEL素子1内に向かってしまうことになる。
しかしながら、本実施形態によるEL素子1によれば、ライナー10の頂部17に略平坦部を設けることにより、その再帰的な反射光を減少させることができて光の取り出し量を増やすことができる。そのためには、ライナー10の凹部18の側面18aは、45度以上の傾斜角θを有することが好ましい。
【0035】
図5に、ライナー10の凹部18の側面18aの傾斜角度θを5°間隔で変えた際における頂部面積率sを変化させた場合の全光量の相対値の変化を測定した結果を示す。
図5に示す結果から、平面視のライナー10における頂部17の面積率sが10%〜40%の範囲であれば、各側面18aの角度θに関して、それぞれ全光量の最大値に対して90%程度またはそれ以上の全光量を外部に取り出せるため好ましい。しかし、頂部17の面積率sが10%より小さい場合には、側面18aでの再帰的な反射が生じて全光量が低下してしまう。他方、頂部17の面積率sが40%より大きい場合には、ガラスを導波していく光が多くなってしまい、うまく光を取り出せないために全光量は低下してしまう。
また、凹部18の側面18aの傾斜角度θに関し、θが35°に満たない場合には、θ=35°〜65°の場合と比較して頂部面積率sの大きさに関わらず全光量が著しく低下するため好ましくない。また、傾斜角度θが65°を超える場合にも、θ=35°〜65°の場合と比較して頂部面積率sの大きさに関わらず、凹部18の一方の側面18aを射出する光が他方の凹部18aに再入射するため、取り出せる全光量が著しく低下してしまい好ましくない。
【0036】
次に粘着層9について説明する。
上述した構成を備えたライナー10をEL素子1の第1の透光性基板2に貼り合わせるための粘着層9を構成する粘着剤として、例えばアクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系の粘・接着剤が挙げられる。いずれの場合でも高温になるEL照明で使用されるため、温度80℃でも実用上十分な粘着力である5N/inch以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中にライナー10の端部から浮きが発生してしまう。
また、接着層9の中に透明な微粒子、例えばビーズ等を混ぜても良い。また、粘・接着剤は両面テープ状のものでも良いし、単層のテープ状でもよい。この粘着層9には、(メタ) アクリレート、メラミン、ポリスチレン、シリコーン、ポリオレフィン、ETFE等の樹脂を単体または共重合させた粒子、アルミナ、シリカ等の無機粒子を用いることができる。これらの粒子は中空のものでも良い。また、これらの粒子はその表面を樹脂コーティングやドライコーティングすることで分散性を向上させることもできる。
なお、ライナー10の材質として、PET、PC、ETFE等を使うことができる。
【0037】
上述した実施形態によるEL素子1を照明装置として用いられる場合には、保護フィルム13を貼り替えながら長期間使用することが可能であるが、EL素子本体8の最表面に配置して一定期間以上傷の発生を抑制する必要から、耐擦傷性等の機能を有する必要がある。
また、保護フィルム13の表面強化性能については、壁紙工業会制定「表面強化壁紙性能表示規定」に準拠した引っ掻き試験によって規定することができる。この場合、引っ掻き試験により耐傷つき性能を目視により判定し、4級「表面に少し変化あり」か、5級「変化なし」の結果が得られることが好ましい。
そのため、ライナー10は硬い樹脂が良い。ポリ(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のアクリル系樹脂やポリスチレン系樹脂を用いることが好ましい。
また、ポリカーボーネート樹脂を用いる場合には、分子量の高いものを用いることにより硬いライナー10が得られる。このときの分子量としては2万以上のものが好ましい。
【0038】
また、ライナー10として、ポリスチレンと共重合体を形成することにより、押し出し成型等により表面強化性能の高い光学シートを得ることができる。このようなライナー10は、
図2に示すような構成となる。
ライナー10は、樹脂フィルムをエンボス加工することにより作製することができる。通常、凹凸形状の頂部17には樹脂が入らず成型性が低下するが、本実施形態によれば、ライナー10の頂部17に平坦部を有していれば、このときの成型性を向上させることができる。そのため、頂部17の平坦部の面積はライナー10の面積の10%以上であることが好ましい。10%より小さい場合には、樹脂が金型に充填されず金型通りの形状を形成することができない。
【0039】
このときのエンボス加工の圧力条件は通常、線圧5〜500kg/cmであり、好ましくは5〜300kg/cm、より好ましくは10〜150kg/cmである。線圧が5kg/cmより小さい場合には賦形率が70%未満であり、凹凸部16の凹凸形状を十分に賦形できない。
通常、線圧が10kg/cmより大きい場合には85%以上の賦形率が得られるため、より好ましい。500kg/cmの線圧では、機械への負荷が大きすぎて実用的でない。また、300kg/cm以下であれば、フィルム幅が1mを超えても機械への負荷が大きすぎない。150kg/cmであれば賦形率は99%〜100%得られ、それ以上賦形率を上げることができない。
【0040】
また、ライナー10の材料である紫外線樹脂シートを、ラインスピードが1m/min〜30m/minの範囲のスピードで型に押し付けながらライナー10を形成することもできる。成形スピードは、1m/minより低速では、型に押し付ける前に空気中の酸素や水分とアクリル樹脂が反応してしまい、うまく成型できなくなってしまう。ラインスピードが30m/minより高速の場合には、気泡の噛み込みが発生してしまう。さらに、500mJ/m
2から〜3000mJ/m
2の紫外線を照射して硬化させることによってライナー10を得ることができる。
このとき、ライナー10の基材15として脆性の低い樹脂を用いることが望ましい。材料としては、(a―)PET、またはポリカーボネート、(ポリ)ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、(ポリ)エチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル(ポリ)スチレン樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
このようなアクリル樹脂としては、単官能のアクリル樹脂と多官能のアクリル樹脂を適時混合することによって、表面の表面強化性能と光取り出しの効果を両立することができる。このようなライナー10の層構成は
図6に示すようになる。
【0041】
図6に示すようなライナー10を作製する方法について説明する。
ライナー10の加工時の傷つきを防止するため、ライナー10に保護フィルム13を貼り合わせるのが良い。このとき、ロール直径が100mm〜350mmのロールで保護フィルム13を搬送しながらライナー10の頂部17に貼り合わせるのが好ましい。ロール直径が100mmより小さいと保護フィルム13にカールが生じ易く作業性が著しく低下する。またロール直径が350mmより大きいと貼り合わせの圧力がうまくかからず、加工途中で保護フィルム13が剥がれてしまう。
なお、このときのゴム硬度は40〜70が好ましい。ゴム硬度が40より小さいとシワが発生し易く、70より大きいと異物による傷付が発生し易い。さらに、貼合を容易にするため、ロールを加熱しても良い。このときの温度は15℃〜35℃の範囲が良い。15℃より低い場合には加熱の効果が無く、35℃より高い場合には貼着後に保護フィルム13を剥離する際に粘着剤がライナー10の頂部17に残ってしまう欠点がある。
【0042】
さらに、粘着層9を二条のセパレーターで挟持して積層してなる粘着材の一方の面のセパレーターを剥がして、ライナー10に貼り合わせる。このとき、ロール直径が150mm〜450mmであることが好ましい。150mmより小さいと貼合時に保護フィルム13に浮きが生じてしまう。450mmより大きいと貼り合わせ時に泡がうまく抜けない。
なお、このときの保護フィルム13のゴム硬度は40〜70が好ましい。ゴム硬度が40より小さいとシワが発生し易く、70より大きいと異物による傷付が発生し易い。さらに、貼り合わせを容易にするためにロールを加熱しても良い。このときのロール加熱温度は15℃〜35℃が良い。15℃より低い場合は加熱の効果が無く、45℃より高いと粘・接着剤が熱で軟化してフィルム端部よりはみ出したり、熱膨張等により小さなシワを生じたりしてしまう。
【0043】
さらに、EL素子1の透光性基板2へ保護フィルム13を貼り合わせする際に透光性基板2へ加える荷重をできるだけ小さくし且つ圧力を適切に加えて、泡が噛んでしまうことを防ぐ必要がある。そのためには、保護フィルム13のロール直径20mm〜150mmのロールが適している。150mmより太いロールでは荷重でEL素子1が撓んでしまい中央付近がうまく貼り合わせできない。ロール直径が20mmより小さいとロール自体の撓みによりロール中央付近に圧力がかからず、貼り合わせできない。
また、スキージのような形状のものを用いて保護フィルム13上を滑らせるようにして貼り合わせることもできる。このときの保護フィルム13のゴム硬度は30〜70が好ましい。ゴム硬度が30より小さいと保護フィルム13がよれてしまいやすく、70より大きいと異物による傷が発生し易い。さらに、貼り合わせを容易にするためにロールを加熱しても良い。このときの加熱温度は15℃〜50℃が良い。加熱温度が15℃より低い場合には加熱の効果が無く、50℃より高い場合にはEL素子1の発光材料を劣化させやすい。
【0044】
ライナー10は凹凸部16を作製後にEL素子1の透光性基板2と密着させるが、その際、人為的な貼り合わせミスが生じると、透光性基板2からライナー10を剥がし、新規なライナー10を貼り合わせることが必要になる。この工程をリワークと呼ぶ。リワークの際、ライナー10を剥離するには接着層9が透光性基板2側に残らないように、つまりライナー10側に接着層9が付着して剥がれることが好ましい。
よって、ライナー10と接着層9の剥離強度をBとし、透光性基板2と接着層9の剥離強度をCとした場合、剥離強度の比は、B>Cとなる必要がある。
また、ライナー10上の保護フィルム13は、汚れや傷付きが多くなった際に貼替えて使用できることが好ましい。ライナー10から保護フィルム13を剥離する際に、ライナー10もEL素子本体8から一緒に剥離してしまうと好ましくない。
【0045】
ライナー10をEL素子本体8に密着させる場合、まず初めに接着保護フィルムを接着フィルムから剥離する工程が必要となる。その際、ライナー10側の頂部17に接着された保護フィルム13をライナー10から剥離する際には、保護フィルム13だけが剥離され、ライナー10はEL素子本体8に密着されている必要がある。よってライナー10の頂部17と保護フィルム13の剥離強度をAとした場合、C>Aとなる必要がある。
また、保護フィルム13とライナー10と粘着層9とを一体に製造する際には、C>A
の状態であるため、保護フィルム13側が外側となるようにロール状にして製造していく必要があり、保護フィルム13側を内側にしてしまうと、接着時に剥離強度の一番弱い保護フィルム13とライナー10との間の接着層で剥離してしまうという問題がある。
そのため、ライナー10の頂部17と保護フィルム13との剥離強度をA、ライナー10の底面と接着層9との剥離強度をB、透光性基板2と接着層9との剥離強度をCとして、互いの剥離強度はB>C>Aの関係にある。
【0046】
また、EL素子1は様々な環境で用いられるが、特に紫外線が多く当たるような屋外での使用等が考えられる。このような場合、紫外線がEL素子1の内部へ照射されることにより劣化損傷が起こる。そのため、ライナー10内または粘着層9中に紫外線吸収材を混入させておくことによって、外部からEL素子本体8内部への紫外線の照射が抑制され、紫外線によるEL素子本体8の劣化損傷を緩和することが可能となる。
【0047】
(ライナー10の作製方法)
次にライナー10及び拡散粘着層9の作製方法の実施例1,2と比較例について説明する。
(実施例1)
透光性基材2を構成する光学用2軸延伸易接着PETフィルム(膜厚125μm)上に、ライナー10の頂部17と凹部18が配列されたパターンの凹凸部16を形成させるためのウレタンアクリレートを主成分としてメガファックF−482を3重量部添加した紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂(屈折率1.51))を塗布する。
そして、直径190mmのシリンダー800mmの切削面長で、切削ピッチ100μmで頂部17の面積率sが28%となる格子状の溝部を縦横方向に所定間隔で配列形成した金型を使用して、上記紫外線硬化型樹脂に格子状の頂部17と略逆四角錐形状の凹部18が配列された凹凸パターンを成形する。
【0048】
そして、紫外線硬化型樹脂が塗布された透光性基材2を搬送しながらUV光を透光性基材2側から露光することにより、紫外線硬化型樹脂を硬化させた。硬化後、上記紫外線硬化型樹脂から金型を離型することにより、透光性基材2上にピッチPが100μmの格子状のリブ14を製作することでリブ14の頂部17で個々に仕切られた逆四角錐形状の凹部18が形成された凹凸部16を作製し、これをライナー10とした。
このライナー10は頂部17の面積率sが25%であった。このライナー10に保護フィルム13を張り合わせたところ、十分な粘着力が得られ、十分な貼り付け強度を有して使用することができた。また、保護フィルム13の張り替えに際しても、ライナー10の各頂部17と保護フィルム13との間に泡や異物を噛み込ますことなく貼り替えが行えた。
【0049】
(実施例2)
AS樹脂を約230℃に加熱し、凸型の四角錐状形状が頂部17に相当する格子状の所定間隔を開けて加工されたシリンダー金型に沿わせるようにフィルム状に射出し、加熱されたフィルムを加圧しながら冷却(シリンダー金型自体は85℃)し、フィルムの網目状の頂部17を有するリブ14が成形され、格子状の頂部17で仕切られた凹形状の逆四角錐の凹部18が形成されたライナー10を製作した。
これにより140μmピッチPで頂部17の面積率が33%の格子状のリブ14を有すると共にリブ14間に逆四角錐状の凹部18を形成し、縦方向のリブ14の高さが横方向のリブ14の高さより2μm高く設定されたライナー10を得た。このライナー10の頂部17に保護フィルム13を貼り合わせたところ、十分な粘着力が得られて十分使用することができた。また使用環境でも泡や異物を噛みこまずに、貼り替えが行えた。
【0050】
(比較例1)
透光性基材2を構成する光学用2軸延伸易接着PETフィルム(膜厚125μm)上に、ライナー10Aの凹凸パターンを形成させるウレタンアクリレートを主成分とし、メガファックF−482を3重量部添加した紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂(屈折率1.51))を塗布する。
そして、直径280mmのシリンダー1300mmの切削面長で、切削ピッチ100μmで溝を形成した金型によって成形した、紫外線硬化型樹脂が塗布された透光性基材2を搬送しながらUV光をPETフィルム側から露光することにより、紫外線硬化型樹脂を硬化させた。硬化後、PETフィルム上の紫外線硬化型樹脂から金型を離型することにより、ピッチが100μmの逆四角錐状のレンズ群を作製し、ライナー10Aとした。
このライナー10Aには隙間なく逆四角錐の凹部18Aが形成され、凹部18間のリブ14に設けた頂部17Aの面積率sは0%であった。そして、ライナー10Aに保護フィルム13を貼り合わせて保護シート12Aを形成した。しかし、ライナー10Aに対する保護フィルム13の粘着力が十分でなく、使用に耐えなかった。
【0051】
上述のように本実施形態による積層表面保護シート12を備えたEL素子1によれば、ライナー10によって保護フィルム13を皺の発生や泡等の噛み込み等が生じたりすることなく貼着することができて、最表面の保護フィルム13を容易にライナー10に貼り替えることができ、表面に汚れや傷がつき易い環境でも汚れや傷付きを抑制して、光取り出し効率が高い。
また、ライナー10は網目状の頂部17と傾斜した側面18aを有する凹部18とで形成されているから、従来のEL素子と比較して、単に泡などの異物の噛みこみを抑えるだけではなく、発光層6から発光された射出光をライナー10の側面18aを透過させて光の取り出し効率を向上させることができる。
【0052】
また、ライナー10は頂部17の面積率sが10%〜40%の範囲であるから、保護フィルム13の接着が良好である上に、全光量が最大となる値に対して90%程度またはそれ以上の光量が取り出せて、この点からも光取り出し効率を向上できる。
また、凹部18の側面18aは傾斜角θが透光性基板2を基準として35°〜65°の範囲に設定されているから、ライナー10へ入射する光が傾斜角θの側面18aを通って外部へ射出させることができて光の射出効率を向上できる。一方、傾斜角θが35度より小さい場合には、十分に斜めに伝播する光を外部に取り出すことができないため外部へ取り出せる全光量が少なく、また、傾斜角θが65度を超える場合には、側面18aから射出する光が隣接する凹部18の側面18aに再度入射してしまい、光の外部取り出す量を増大させることができない。
【0053】
また、網目形状、例えば格子状の頂部17は少なくとも凹部18を仕切る縦方向の頂部17aと横方向の頂部17bとの間に高低差を有しているため、その段差により凹部18が孤立することなく比較的低い頂部17bによって隣の凹部18と連通しているため、泡の原因となる空気が一の凹部18から比較的低い頂部17bを通して隣接する凹部18に流動していき、保護フィルム13が泡を噛んで浮くことを防止できる。
【0054】
また、本実施形態によるEL素子1を光源として用いた照明装置や液晶ディスプレイ装置等のディスプレイ装置は、従来のEL素子を光源とするものよりも高い照明効率が得られる。
【0055】
なお、上述の実施形態では、ライナー10のリブ14の頂面に設けた頂部17として平面視格子状に形成し、縦横方向の頂部17a、17b間に仕切られた領域に略逆四角錐形状の凹部18を個別に形成したものについて説明したが、頂部17の平面視形状として格子状に限定されることなく、平面視略三角形や六角形等の多角形や円形、楕円形等の凹部18を形成した適宜形状の網目状であればよい。
この場合、(1)式における頂部17の幅Wtや(2)式における凹部18の幅Woは最大値を設定することが好ましい。
また、凹部18についても逆四角錐形状に限定されるものではなく、適宜の多角錐形状や円錐形状、そして多角形錐台や円錐台等、光を外部に射出することで光取りだし効率を向上できる側面18aを有するものであれば適宜形状のものを採用できる。
【0056】
そして、ライナー10は、少なくとも凹部18を仕切る領域の一部の頂部17と他の頂部17との間にわずかな高さの差(高低差)を有しており、保護フィルム13の張り付け時に比較的低い頂部17を通して一の凹部18から隣接する他の凹部18に泡となる空気が流動可能になる。そのため、この点からも、保護フィルム13とライナー10の頂部17との間に小泡を含んだり泡の噛み込みを生じたりすることを防止できる。
また、ライナー10の製造方法として、エンボス加工に限定されるものではなく、金型成形や切削加工成形等による凹凸部16の加工方法等、適宜の加工方法を採用できる。