特許第5772053号(P5772053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772053
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   A47K3/00 Q
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-36919(P2011-36919)
(22)【出願日】2011年2月23日
(65)【公開番号】特開2012-170720(P2012-170720A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰成
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−164432(JP,A)
【文献】 特開2009−162460(JP,A)
【文献】 特開平11−206603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させることにより洗浄する浴槽洗浄装置であって、
前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段と、
前記水位検出手段により検出される水位検出値に基づき実際の入浴状況を判定するためのパラメータとして入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算する入浴状況判定処理手段と、
前記積算された水位変動継続時間の値が設定時間値以上であるとき、より高い側の洗浄能力に変更設定する洗浄能力設定手段と、
前記変更設定後の洗浄能力により前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる洗浄制御手段と
を備えている
ことを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させることにより洗浄する浴槽洗浄装置であって、
前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段と、
前記水位検出手段により検出される水位検出値に基づき実際の入浴状況を判定するためのパラメータとして入浴中における水位変動度合を検出する一方、入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算する入浴状況判定処理手段と、
前記水位変動度合の値が設定値以上であるときで、かつ、前記積算された水位変動継続時間の値が設定時間値以上であるとき、より高い側の洗浄能力に変更設定する洗浄能力設定手段と、
前記変更設定後の洗浄能力により前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる洗浄制御手段と
を備えている
ことを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の浴槽洗浄装置であって、
前記洗浄水として加熱後の湯又は非加熱の水を供給するように付設され、かつ、前記浴槽と浴槽内の湯水と連通可能な管路によって互いに接続される熱源機を備え、
前記熱源機は、前記管路内に作用する前記浴槽内からの水圧に基づいて前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段を備えている、浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の内壁面等に対し洗浄水を噴射させて内壁面等に付着したゴミや湯あか等を自動洗浄するための浴槽洗浄装置に関し、特に、実際の入浴状況を自動判定し、その入浴状況に応じた洗浄能力に自動調整した上で洗浄を実行させ得る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽洗浄装置として、浴槽に洗浄ノズルを設置し、この洗浄ノズルに対し洗浄用の洗浄水を供給することにより浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させ、これにより浴槽の内壁面を自動洗浄するものが知られている。このような浴槽洗浄装置において、例えば特許文献1では、水位センサを用いて浴槽内の水位変動を検出することにより入浴回数をカウントし、カウントした入浴回数が設定回数よりも多ければ、標準よりも洗剤量を多くする、又は、洗剤を含む洗浄水の噴射時間を長くする、のいずれか一方又は双方を実行させることが提案されている。又、特許文献2では、浴槽の喫水線位置に汚れ度検出センサを取り付け、汚れ度検出センサにより検出される汚れ度に基づいて洗剤量、洗浄水の温度、洗浄時間の各値を演算により求めることが提案されている。なお、汚れ度検出センサとしては、発光素子と受光素子との間に透明カバーを介装させ、透明カバーに浴槽内壁と同様の汚れを付着させ、汚れを透過する光量に基づいて汚れ度を検出するようにする点が開示されている。さらに、特許文献3では、エア混じりの湯水を浴槽内に噴出させるジェット機能が付設された浴槽を対象にして、ユーザによるジェット機能の使用頻度の増加に比例して、洗浄能力の高い洗浄モードで浴槽内壁を洗浄させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−164432号公報
【特許文献1】特開平5−146394号公報
【特許文献1】特開平11−206603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、入浴により浴槽に付着する汚れ具合は、入浴使用の状況如何によって大きく異なると考えられる。このため、浴槽洗浄装置においては、通常設定の標準コースの他に例えば「強力・節約」というような洗浄能力の異なる洗浄コースが追加され、ユーザにより標準コース以外の洗浄コースも選択・設定可能とされている。
【0005】
しかしながら、ユーザの側においては、汚れ具合と、それに見合う洗浄コースとの対応関係が今ひとつ分かり難い場合もある上に、多種・多様な入浴パターンのある状況下で、適切な洗浄コースをその都度選択して変更設定することは煩わしさを伴うと考えられる。このため、浴槽洗浄装置に互いに異なる複数の洗浄コースが機能として付加されてはいても、ユーザにとって利便性の点で十分とはいい難い状況下にあると考えられる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの利便性の向上を図るために、実際の入浴状況を自動判定し、判定結果に基づいて最適な洗浄能力に変更した上で浴槽内の洗浄を実行し得る浴槽洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、第1の発明では、浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させることにより洗浄する浴槽洗浄装置を対象にして、前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記水位検出手段により検出される水位検出値に基づき実際の入浴状況を判定するためのパラメータとして入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算する入浴状況判定処理手段と、 前記積算された水位変動継続時間の値が設定時間値以上であるとき、より高い側の洗浄能力に変更設定する洗浄能力設定手段と、前記変更設定後の洗浄能力により前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる洗浄制御手段とを備える構成とした(請求項)。
【0009】
さらに、第の発明では、浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させることにより洗浄する浴槽洗浄装置を対象にして、前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記水位検出手段により検出される水位検出値に基づき実際の入浴状況を判定するためのパラメータとして入浴中における水位変動度合を検出する一方、入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算する入浴状況判定処理手段と、前記水位変動度合の値が設定値以上であるときで、かつ、前記積算された水位変動継続時間の値が設定時間値以上であるとき、より高い側の洗浄能力に変更設定する洗浄能力設定手段と、前記変更設定後の洗浄能力により前記洗浄ノズルから洗浄水を噴射させる洗浄制御手段とを備える構成とした(請求項)。
【0010】
以上の第1,第2の各発明の場合、水位検出手段により得られる入浴中の水位変動に基づいて実際の入浴状況を自動判定し、その入浴状況に関する判定結果が設定値又は設定時間の値よりも大きいとき、より高い側の洗浄能力に変更設定した上で、浴槽内の洗浄を実行させているため、入浴パターンが異なってそれに伴い浴槽に付着する汚れ具合も千差満別であったとしても、その実際の入浴状況に応じた最適な洗浄能力で浴槽内壁等を自動洗浄して汚れを確実に除去することができるようになる。特に、請求項に係る発明の場合、入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算した水位変動継続時間の値により入浴状況を自動判定するようにしているため、実際の入浴状況を反映した情報を検出することができ、これに基づき変更設定した洗浄能力に基づき洗浄が実行されるため、前記の実際の入浴状況に応じた最適な洗浄能力による自動洗浄を実現させることができる。さらに、請求項に係る発明の場合、前記の水位変動度合及び水位変動継続時間の値の双方に基づいて入浴状況を自動判定するようにしているため、実際の入浴状況をより正確に反映させることができ、洗浄能力をより一層最適化して、実際の入浴状況に応じて付着した汚れをより一層確実に洗浄して除去することが可能となる。
【0011】
以上の発明の浴槽洗浄装置において、前記洗浄水として加熱後の湯又は非加熱の水を供給するように付設され、かつ、前記浴槽と浴槽内の湯水と連通可能な管路によって互いに接続される熱源機を備えることとし、前記熱源機が、前記管路内に作用する前記浴槽内からの水圧に基づいて前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段を備えるようにすることができる(請求項)。このようにすることにより、入浴中の水位変動を検出するための水位検出手段として、前記熱源機が備える水位検出手段を用いることが可能となる。このため、浴槽に対し水位センサ等を特別に設置することなく、熱源機側のとの連係により効率よく入浴中の水位変動の検出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の浴槽洗浄装置によれば、水位検出手段により得られる入浴中の水位変動に基づいて実際の入浴状況を自動判定し、その入浴状況に関する判定結果が設定値又は設定時間の値よりも大きいとき、より高い側の洗浄能力に変更設定した上で、浴槽内の洗浄を実行させているため、入浴パターンが異なってそれに伴い浴槽に付着する汚れ具合も千差満別であったとしても、その実際の入浴状況に応じた最適な洗浄能力で浴槽内壁等を自動洗浄して汚れを確実に除去することができるようになる。
【0013】
に、請求項によれば、入浴中において設定量以上の水位変動が継続する時間を積算した水位変動継続時間の値により入浴状況を自動判定するようにしているため、実際の入浴状況を反映した情報を検出することができ、これに基づき変更設定した洗浄能力に基づき洗浄が実行されるため、前記の実際の入浴状況に応じた最適な洗浄能力による自動洗浄を実現させることができる。さらに、請求項によれば、前記の水位変動度合及び水位変動継続時間の値の双方に基づいて入浴状況を自動判定するようにしているため、実際の入浴状況をより正確に反映させることができ、洗浄能力をより一層最適化して、実際の入浴状況に応じて付着した汚れをより一層確実に洗浄して除去することができるようになる。
【0014】
さらに、請求項によれば、入浴中の水位変動を検出するための水位検出手段として、熱源機が備える水位検出手段を用いることができ、浴槽に対し水位センサ等を特別に設置することなく、熱源機側との連係により効率よく入浴中の水位変動の検出を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の浴槽洗浄装置の実施形態を適用した風呂システムを示す模式図である。
図2】実施形態における浴槽洗浄制御に係る部分のブロック構成図である。
図3】熱源機側での入浴状況判定処理に係る制御フローチャートの前半部である。
図4図3の制御フローチャートの後半部である。
図5】浴槽洗浄装置側での洗浄制御に係る制御フローチャートである。
図6】入浴使用時における浴槽内の水位変動と、時間経過との関係を示す説明図である。
図7図7(a)は湯張りが完了し非入浴での基準水位の状態を示す断面説明図であり、図7(b)は入浴者が入浴して水位が上昇した状態を示す断面説明図である。
図8図8(a)は入浴終了後の排水途中であって循環口まで水位降下した状態を示す断面説明図であり、図8(b)は洗浄水を噴射する洗浄処理の状況を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に本発明の実施形態に係る浴槽洗浄装置を適用した風呂システムを示す。同図において、符号1は浴室を区画形成する浴室壁又は浴室を含む建物の壁であり、壁1の内側に浴槽2及び浴槽洗浄ユニット3が配設される一方、壁1の外側に熱源機(例えば給湯器付き風呂釜)4が配設されている。なお、図1は配管等のつながりを示すものであり、上下関係を特定するものではない。
【0018】
熱源機4は、給湯機能、湯張り機能及び追い焚き機能を備えた複合熱源機であり、図1には熱源機4として1缶2水式に構成されたものを例示している。すなわち、熱源機4は、風呂熱交換器41と給湯熱交換器42とが1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナ43により熱交換加熱されるように構成されている。以下、熱源機4について先に概略説明した上で、浴槽2の側の構成について詳細に説明する。
【0019】
前記熱源機4は、水道水等の給水を給水路に受けて給湯熱交換器42において燃焼バーナ43の燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を給湯路44に出湯させ、この給湯路44を通して台所や洗面所等の各所の給湯栓45や浴槽洗浄ユニット3に給湯するようになっている。又、熱源機4は追い焚き機能を実現するための戻り路46及び往き路47からなる追い焚き循環路48を備え、浴槽2内に湯張りされた浴槽湯水を図示省略の循環ポンプの作動により風呂熱交換器41との間に循環させて、所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。さらに、前記の熱源機4内において給湯路44から分岐した注湯路を通して追い焚き循環路48に注湯を受け、この注湯を追い焚き循環路48を通して浴槽2に注湯することにより浴槽2に対する湯張りが行われるようになっている。その際、熱源機4内において追い焚き循環路48に介装された圧力検知式の水位センサ49により浴槽2内の水位を検出して、その水位検出値を熱源機コントローラ5に出力するようになっている。前記の水位センサ49は、浴槽2内の湯水と連通された密閉状態の追い焚き循環路48内の水圧を検出することで、浴槽2内の水位を測定・検知するようになっており、この水位センサ49が水位検出手段を構成する。
【0020】
以上の給湯、追い焚き及び湯張りの各運転は台所リモコン51等により入力設定される設定出湯温度や湯張り温度等の設定情報に基づいて熱源機コントローラ5による作動制御によって実現されるようになっている。例えば、給湯制御部52による給湯制御は、給湯栓45が開かれたり浴槽洗浄ユニット3の注湯電磁弁30が開かれたりして所定の作動流量以上の入水が検知されると、燃焼バーナ43を燃焼作動させて給水路からの入水を加熱し、所定温度の湯を給湯路44に出湯させるようになっている。又、湯張り制御が開始されると、前記注湯路を開作動させる一方、燃焼バーナ43を燃焼作動させて給水路からの入水を加熱し、所定温度の湯を給湯路44,注湯路,追い焚き循環路48を通して浴槽2まで注湯することにより湯張りされるようになっている。その際、風呂自動処理の場合には、この湯張りの後に、さらに所定の沸き上がり温度まで昇温させて維持させる追い焚き制御が循環ポンプ(図示省略)及び燃焼バーナ43をそれぞれ作動させることにより行われるようになっている。
【0021】
浴室に設置された浴槽2には、その側壁の最下端近傍位置に循環アダプタ21が設置され、底壁には自動開閉駆動制御式の排水栓22及び後述の洗浄ノズル24が設置され、上面側のフランジ壁には開閉駆動機構23及び後述の洗剤タンク27が設置されている。前記の循環アダプタ21には追い焚き循環路48の戻り路46及び往き路47がそれぞれ接続され、前記の循環ポンプが作動されると循環アダプタ21を介して浴槽2内の浴槽湯水が戻り路46に吸引される一方、往き路47から浴槽2内に吐出されるようになっている。又、排水栓22は開閉駆動機構23から開閉駆動力の伝達を受けて開閉作動されるようになっており、この開閉駆動機構23にはその作動状態(排水栓22が開状態か閉状態か)の如何を検出する排水栓状態検出センサ(図示省略)が設置され、これからの出力信号に基づき開閉駆動機構23が作動制御されるようになっている。排水栓22が開かれると、浴槽2内の湯水が浴室底部に排出され、続いて浴室の排水口から排水されることになる。
【0022】
浴槽洗浄ユニット3は、浴槽2の内壁面等を対象にして洗浄処理するために設置されるものである。浴槽洗浄ユニット3は、前記の浴槽2の底壁に設置された洗浄ノズル24と、この洗浄ノズル24に洗浄水を供給する洗浄配管25と、洗浄配管25の上流端において洗剤を混入させる洗剤混入部26と、この洗剤混入部26に供給するための洗剤を貯留する前記の洗剤タンク27と、洗剤タンク27からの洗剤の供給・停止の切換を行う洗剤電磁弁28と、前記の洗浄配管25の上流端に対し洗浄用の湯又は水(以下「湯水」という)が供給されるよう給湯路44を連通させる注湯配管29と、注湯配管29に介装されて給湯路44からの湯水を供給するか否かの切換を行う注湯電磁弁30と、その供給流量を検出する流量センサ31と、この流量センサ31と連係して供給流量(洗浄ノズル24からの吐出流量)を変更調整するための水量サーボ弁により構成された流量調整手段としての流量調整弁32とを備えて構成されている。又、注湯配管29には、洗剤混入部26と注湯電磁弁30との間に逆止弁・縁切り弁セットが介装されている。図例の逆止弁・縁切り弁セットは上下流両側位置の逆止弁33,33に挟まれた状態で2つの縁切り弁34,34を介装させて構成している。これらは、一次側である熱源機4側が停電や故障等の原因により低圧状態(負圧状態)に万一陥ったとしても、浴槽2側から熱源機4側に逆流しないように遮断するために介装されるものである。なお、図1の符号35はフィルタである。ここで、「洗浄水」という場合は、洗剤が混入された湯水の他に、洗剤を含まない予備洗浄用やすすぎ洗浄用の湯水も含むものである。
【0023】
前記洗浄ノズル24は浴槽2の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽2の内壁面等に向けて所定範囲の広がりをもって洗浄水を噴出するようになっている。なお、洗浄ノズル24として、図例では1つのみを図示しているが、浴槽2のサイズや洗浄対象の浴槽等に応じて2以上のものを所定配置にて設置することができ、その場合には洗浄配管25から他の洗浄ノズルに向けて第2・第3の洗浄配管を分岐させればよい。
【0024】
洗剤混入部26はベンチュリ管により構成されている。洗剤混入部26は、洗剤電磁弁28を開作動(例えば所定時間ずつ間欠的に開作動)させることにより洗剤タンク27から供給される所定量の洗剤が、洗剤混入部26において洗浄水の通過に伴い発生する負圧吸引作用により洗浄水中に吸い込まれて混合されるようになっている。そして、洗剤電磁弁28を開弁状態にさせている開弁時間の長短によって、1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。なお、前記洗剤タンク27には洗剤の液位を検知するフロートスイッチが設置されており、所定の液位まで低下したことを検知して後述の洗浄コントローラ6に出力するようになっている。
【0025】
前記の浴槽洗浄ユニット3の各作動要素28,30,32や、浴槽2の洗浄に係る作動要素22,23は、洗浄制御手段としての洗浄コントローラ6によって作動制御されるようになっている。この洗浄コントローラ6には洗浄運転用の洗浄リモコン61が接続される一方、洗浄コントローラ6(図2も併せて参照)は熱源機コントローラ5と双方向通信可能に接続されている。そして、ユーザが洗浄リモコン61を用いて洗浄の実行を入力操作(例えば洗浄スイッチのON操作)することにより、洗浄コントローラ6は熱源機コントローラ7と連係して浴槽等を対象にした浴槽洗浄制御を実行するようになっている。なお、熱源機コントローラ5には、台所リモコン51に加えて浴室リモコン62が接続されており、この浴室リモコン62により湯張りや追い焚き運転の入力操作をし得るようになっている。又、前記の浴槽洗浄制御の実行は、風呂自動スイッチ等のON操作により風呂湯張り等の前段階において自動的に開始されるようにしても、あるいは、ユーザ設定等により入浴終了後の排水スイッチ等のON操作により排水処理後の所定のタイミングで自動的に開始されるようにしてもよい。
【0026】
次に、前記洗浄コントローラ6により実行される浴槽洗浄制御について詳細に説明する。なお、以下では、浴槽洗浄制御は洗浄スイッチのON操作により開始されるものとして説明する。浴槽洗浄制御は、制御の前提となる前段階の入浴状況判定処理と、この入浴状況判定処理により得られた入浴時の水位変動の度合・強弱に係る入浴者数カウンタVpや水位脈動カウンタVmの各値に応じて洗浄能力を変更した上で実行される浴槽洗浄処理とを有している。そして、熱源機コントローラ5は、給湯制御部52、風呂制御部53及び入浴状況判定処理部54を備え、洗浄コントローラ6は、浴槽洗浄処理を実行する洗浄制御部63と、洗浄能力を変更設定する洗浄能力設定部64とを備えている。入浴状況判定処理部54により前回の湯張りから排水までの浴槽使用において入浴した人数や、入浴中の水位変動の激しさ(強弱)等の実際の入浴状況が自動判定され(図3及び図4参照)、かかる実際の入浴状況に基づいて洗浄能力設定部64により今回の洗浄能力が設定され(図5参照)、この設定された洗浄能力に基づいて浴槽洗浄制御部63により浴槽洗浄が実行されることになる。
【0027】
以下、図3図4を参照しつつ、入浴状況判定処理について具体的に説明する。この入浴状況判定処理は、湯張り完了から入浴が終了して排水されるまでの間に得られる水位センサ49からの水位検出値の変動に基づいて、入浴者数カウンタVpに入浴者数をカウントし、所定以上の激しさの水位脈動の発生の有無を監視し、その水位脈動発生数を水位脈動カウンタVmにカウントすることにより行われる。
【0028】
まず、湯張りが完了したことを確認した上で(ステップS11でYES)、入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmを共にリセットして初期値として0(ゼロ)を設定する。湯張り完了は、熱源機コントローラ5の風呂制御部53からの出力信号、つまり湯張り制御に基づき湯張りが実行されて浴槽2内の水位が基準湯張り水位Ls(図6及び図7(a)参照)までの湯張りが完了した旨の出力信号を受けて判定する。
【0029】
次に、水位センサ49からの水位検出値Lを取り込み(ステップS13)、その水位検出値Lの変化に基づいて入浴者が入浴したか否かの判定を行う(ステップS14)。この判定は、水位検出値Lの前回検出から今回検出までの微小時間で設定値以上の急激な水位上昇があれば入浴者が入浴したと判定し、そうでなければ入浴はないと判定する。入浴があれば(ステップS14でYES)、入浴者数カウンタVpに「1」を加える(ステップS15)。図6に「1人目入浴」と示した部分及び図7(b)に示すように、入浴者Pの入浴により水位はLsから水位Lupに上昇する。
【0030】
次に、入浴者は浴槽から出たか否かの判定を行い(ステップS16)、まだ出ていなければ(ステップS16でNO)、今回の入浴開始(ステップS14でYES)から誤認識判定用の設定時間が経過していないことを確認して(ステップS17でNO)、水位センサ49からの水位検出値Lの取り込みを繰り返す(ステップS18)。入浴者が出たか否かの判定は、入浴時と同様に所定の微小時間で設定値以上の急激な水位降下があれば入浴者が浴槽から出たと判定し、そうでなければ入浴を継続していると判定する。なお、ステップS17ので誤認識判定用の設定時間が経過してもまだ入浴者が出ていない場合(ステップS16でNO,ステップS17でYES)には、今回の入浴開始との判定は誤認識によるものだったと判定し、水位検出値の測定(ステップS13)に戻って入浴したか否かの判定(ステップS14)を繰り返す。誤認識判定用の設定時間としては、入浴継続としては通常はあり得ない時間値が設定される。
【0031】
そして、水位検出値に基づいて水位脈動が発生しているか否かを判定し(ステップS19)、水位脈動が発生していると判定されれば(ステップS19でYES)、水位脈動カウンタVmに「1」を加える(ステップS20)。水位脈動が発生しているか否かの判定は次のようにして行う。すなわち、所定の単位時間又は微小時間(例えば1〜2sec)の間に入浴中の標準水位(例えばLup;図7(b)参照)を挟んで上昇側(+側)又は降下側(−側)に設定量Hm(図7(b)参照)以上の水位変動があったか否かを判定し、このような設定量Hm以上の水位変動が予め設定した監視時間(例えば10sec)内に設定回数(例えば5回)以上生じれば、水位脈動が発生したと判定して水位脈動カウンタVmに「1」を加える。このような水位脈動が発生しているか否かの判定を、入浴開始から入浴者が出るまでの間(ステップS16〜S20を繰り返し、ステップS16でYESになるまでの間)、前記の監視時間の経過毎に行い、その監視時間毎に水位脈動が発生と判定されれば「1」を順に加える。
【0032】
図6の例を参照して前記の水位脈動の発生についてさらに説明すると、1人目の入浴では浴槽2に浸かってほぼじっと静かに入浴しており、このため、水位変動がたとえあったとしてもそれは設定量Hm未満に止まっている。従って、水位脈動の発生は無し又はたとえ有りと判定されたとしても水位脈動カウンタVmへのカウントアップは僅かなものとなる。これに対し、2人目の入浴では例えば子供が浴槽内で遊ぶ等することで絶えず浴槽内で動き、このため、設定量Hmを超える水位変動が頻繁に発生している。このため、水位脈動カウンタVmに対し「1」が監視時間の経過毎に加えられることになる。
【0033】
そして、ステップS16での判定により入浴者が浴槽から出たと判定されれば(ステップS16でYES)、あるいは、前記のステップS14での判定により入浴者は入浴していないと判定された場合も(ステップS14でNO)、ステップS21に進み(図4図3の「イ」の矢印参照)、ステップS21以降の判定により完全排水されていないことを確認する。完全排水されていないことを確認(ステップS21,S22,S23でNO)した上でステップS13に戻り(図4図3の「ロ」の矢印参照)、2人目以降の入浴があったか否か、入浴があれば浴槽を出るまでに水位脈動の発生があったか否かをそれぞれ判定して入浴者数カウンタVpや水位脈動カウンタVmへのカウントアップを繰り返す(ステップS14〜S20)。これにより、2人目以降の入浴があれば(ステップS14でYES)、入浴者数カウンタVpにさらに「1」が加えられ、水位脈動発生と判定されれば水位脈動カウンタVmの値が増加される。この際の水位脈動発生の判定は、2人目以降の今回の入浴者が入浴した場合に上昇した水位検出値(1人目のLupに相当)を基準にして、そのプラス・マイナス側に設定量Hmの水位変動があるか否かにより行われることになる。
【0034】
入浴がない(ステップS14でNO)、又は、入浴者が出た(ステップS16でYES)ためにステップS21に進んだ場合には、水位検出値Lに基づいて一定速度での連続した水位降下があったか否かの判定(ステップS21)、もしも該当する水位降下があれば(ステップS21でYES)、その水位降下は循環アダプタ21の循環口を下回ったか否かの判定(ステップS22)、もしも図8(a)に示すように基準水位Lsから水位降下してその水位が循環アダプタ21の循環口を下回っていれば(ステップS22でYES)、下回ってから設定時間td(図6参照)が経過したか否かの判定(ステップS23)を順に実行することになる。そして、ステップS23での判定において、もしも設定時間tdが経過していれば(ステップS23でYES)、その時点で入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmに格納されている各値を洗浄コントローラ6に送出し(ステップS24)、次の湯張り完了まで待機する(ステップS11でNO)。水位降下が前記の循環アダプタ21の循環口を下回れば、もはや水位センサ49による水位検出は不能となるため、排水栓22から完全に排水されるのに要する時間値として設定されている前記の設定時間tdの経過を待った上で、浴槽2から完全に排水されたものと判定するようにしている。以上で、今回の湯張り状態での入浴状況判定処理が完了する。
【0035】
次に、熱源機コントローラ5から送出された入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmに格納されている各値に基づき洗浄コントローラ6により実行される浴槽洗浄処理について説明する。前提として、洗浄リモコン61の洗浄スイッチがユーザによりONされて洗浄指令に係る信号が出力されると浴槽洗浄制御が開始される。
【0036】
まず、図8(b)を参照しつつ浴槽洗浄処理で行われる基本的な洗浄例について簡単に説明すると、洗剤混入部26において洗剤を混入させない洗浄水を洗浄ノズル24から噴出させて浴槽内壁等を洗い流す予備洗浄と、この後に洗剤混入部26において洗剤を混入させた洗浄水を洗浄ノズル24から噴出させて浴槽内壁等を洗い流す洗剤洗浄とからなるサイクルを1回の洗浄として行う。例えば、まず、開閉駆動機構23を開作動させることにより排水栓22を開変換し、排水栓22が開状態のままで設定時間(例えば10分間)だけ待機することにより、浴槽2内に残水が有ったとしてもその残水が排水されて空になるまで待つ。次に、洗剤電磁弁28を閉状態のまま注湯電磁弁30を開切換制御することで、熱源機コントローラ5を介して燃焼バーナ43が燃焼作動され、給湯路44及び注湯配管29を通して湯を洗浄配管25に給湯する。給湯された湯が洗浄水として洗浄ノズル24から浴槽2内に噴出されて予備洗浄が行われることになる。所定時間又は所定流量分の予備洗浄を継続させた後、前記洗剤電磁弁38を開切換させることで、以後、洗剤が混入された洗浄水により洗剤洗浄が実行されることになる。すなわち、洗浄配管25に給湯された湯が洗剤混入部26を通過する際に、開状態の洗剤電磁弁28を通して供給された洗剤が負圧吸引作用により給湯に混入・混合され、これにより、洗剤が混入された洗浄水が洗浄ノズル24から浴槽2内に噴出されることになる。所定時間又は所定流量分の洗剤洗浄を継続させた後、前記の注湯電磁弁30や洗剤電磁弁38を共に閉切換させて待機させる。
【0037】
そして、本実施形態による浴槽洗浄処理としては、前記の実際の入浴状況判定により得られた結果に基づいて洗浄能力の強弱(高低)を洗浄能力設定部64において変更設定するようになっている。具体的には、入浴状況判定結果である入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmの各値の大小如何に基づいて、洗浄能力の強弱(高低)として前記サイクルからなる洗浄を何回繰り返すかを変更設定するようにしている。まず、図5に示すように、熱源機コントローラ5から入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmの各値を受信していることを確認した上で(ステップS31でYES)、その受信している入浴者数カウンタVpの値の大小に応じて洗浄水の吐出流量を標準値から増減変更してその吐出流量の通過流量になるように流量調整弁32を変更調整する(ステップS32)。次に、入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmの各値に基づき洗浄回数補正値を演算により求める(ステップS33)。この演算は、例えば単純に入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmの各値を合計する、又は、両値を互いに乗じる、あるいは、各値に係数を乗じた上で合計する等により行う。
【0038】
その上で、得られた洗浄回数補正値に基づき洗浄の繰り返し回数を設定する(ステップS34)。この繰り返し回数の設定は、洗浄回数補正値と繰り返し回数との関係について関係テーブルの形式で予め定めて記憶設定しておき、この関係テーブルから割り出したり、あるいは、洗浄回数補正値と繰り返し回数との関係について予め関係式を定めておき、この関係式を用いて演算により求めたりすることにより行う。例えば、洗浄回数補正値の値の大小に応じて範囲分けし、洗浄回数補正値が小値側範囲であれば繰り返し回数として2回、中位の範囲であれば繰り返し回数として3回、大値側範囲であれば繰り返し回数として4回を設定する。つまり、水位変動の度合を表す水位脈動カウンタVmの値がある設定値以上の大値側範囲であれば、繰り返し回数として最大の大回数に変更設定して洗浄能力を高めるようにしている。
【0039】
そして、実際の洗浄作動を開始する前に、洗浄能力としての繰り返し回数について、ユーザが自ら選択して設定しているか否かを確認する(ステップS35)。これは実際の入浴状況を判定して洗浄能力を自動設定するという処理よりも、ユーザの意思を優先させるためである。すなわち、洗浄リモコン61には、例えば「強力・標準・節約」という3種類の洗浄コースが設定されている。標準コースとは前記の繰り返し回数として「3回」が設定され、ユーザが何も設定操作を行わなければ、標準コースがデフォルトで設定されている。ユーザがより強い洗浄能力での洗浄を意図すれば、洗浄リモコン61で強力コースを選択設定することで、前記の標準コースの繰り返し回数が4回に変更設定され、逆に、洗浄リモコン61で節約コースを選択設定することで、前記の標準コースの繰り返し回数が2回に変更設定されるようになっている。
【0040】
ユーザが洗浄コースを標準コースから強力コース又は節約コースに自ら選択して設定操作していれば(ステップS35でYES)、そのユーザの選択した洗浄コース(強力コース又は節約コース)に対応する繰り返し回数を優先して、前記のステップS34で設定した繰り返し回数に上書きして変更し(ステップS36)、次の洗浄処理を行う(ステップS37)。ここで、ユーザが前記の設定操作を行っていなければ(ステップS35でNO)、ステップS34で設定した繰り返し回数のままで、洗浄処理を行う(ステップS37)。
【0041】
ステップS37の洗浄処理は、図8(b)に示す喫水線レベルLkを狙い位置として洗浄ノズル24から洗浄水を噴射する前記の予備洗浄と洗剤洗浄とからなる1サイクルを、1回分の繰り返し回数の洗浄処理として実行する。この洗浄のサイクルを設定繰り返し回数が完了するまで繰り返し(ステップS38でNO,ステップS37)、設定繰り返し回数分の洗浄のサイクルを実行し終えれば(ステップS38でYES)、すすぎ洗浄処理(ステップS39)を実行した後、以後の付随する処理を実行する。すすぎ洗浄処理としては、前記の予備洗浄と同様に洗剤を混入させない清浄な湯だけの洗浄水を洗浄ノズル24から浴槽内壁等に所定時間又は所定量だけ噴射させる。この際、排水栓22を開状態にしておき、洗剤が混入された洗浄水等を排水栓22から排出させる。又、前記の付随する処理としては、例えば、すすぎ洗浄用の洗浄水の排水完了後の排水栓22の閉変換等が挙げられる。
【0042】
なお、以上の浴槽洗浄処理の開始は、ユーザの洗浄リモコン61に対する入力操作に基づき行われるため、その処理の実行は風呂使用の前段階か後段階か、あるいは、風呂使用が行われても浴槽洗浄処理を実行しないか、等はユーザの選択に委ねられる。
【0043】
以上の浴槽洗浄処理の場合、実際の入浴状況を自動判定し、その入浴状況に関する判定結果に応じて洗浄能力を最適なものに自動設定した上で、浴槽内の洗浄を実行させているため、入浴パターンが異なってそれに伴い浴槽に付着する汚れ具合も千差満別であったとしても、その実際の入浴状況に応じた最適な洗浄能力で浴槽内壁等を自動洗浄して汚れを確実に除去することができるようになる。浴槽に付着する汚れ具合は、例えば、単身者がいつも1人で入浴する場合と、家族の複数人が入浴する場合とでは大きく異なり、又、同じ人数でも浴槽内でじっと静かに入浴する場合と、浴槽内で動き回って激しく水位変動がある場合とでも大きく異なると考えられる。本実施形態では、このような汚れ具合の状況を入浴者数(入浴者数カウンタVp)及び水位変動度合(水位脈動カウンタVm)を検出することで把握し、把握された入浴者数カウンタVp及び水位脈動カウンタVmの各値に応じて、洗浄サイクルの繰り返し回数を変更設定することで最適な洗浄能力を自動設定することができる。以上より、ユーザがわざわざ入浴状況の如何に応じて洗浄能力の選択設定を行う必要なく、入浴状況を自動判定して最適な洗浄能力を自動設定することができ、ユーザの利便性を可及的に高めることができる。さらに、入浴状況判定用の水位変動を把握するために、熱源機4に内蔵されている水位センサ49を用いているため、浴槽2に対し水位センサ等を特別に設置することなく、熱源機コントローラ5との連係により効率よく実際の入浴状況の判定処理を行うことができる。
【0044】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記洗浄ノズル24の設置位置は浴槽2の底壁に限らず、例えば底壁近傍位置の側壁等であってもよく、又、熱源機4として、1缶2水式に限らず、2缶2水式等の種々の構成のものを用いた場合にも本発明を適用することができる。さらに、水位検出のために熱源機4に内蔵された水位センサ49を用いた例を示したが、これに限らず、浴槽2等に水位センサ又は水位計等の水位検出手段を設置し、これを用いるようにしてもよい。
【0045】
前記実施形態では、入浴者数カウンタVpと水位脈動カウンタVmの双方の値に基づいて洗浄能力である繰り返し回数を変更設定しているが、これに限らず、水位脈動カウンタVmのみに基づいて洗浄能力(繰り返し回数)を変更設定するようにしてもよい。要するに、水位脈動カウンタVmは入浴者が増えれば、その入浴者毎の水位脈動の発生回数が積算されるため、水位脈動カウンタVmの値のみで入浴状況の把握が可能となるからである。又、汚れの付着の増・減度合を表す入浴状況の激・緩度合を判定するために、前記実施形態では、水位変動の度合である水位脈動カウンタVmの値、つまり、水位脈動が発生する回数により検出するようにしているが、これに限らず、水位脈動が発生した時間を積算した水位変動継続時間の値によって入浴状況の激・緩度合を把握し、この水位変動継続時間の値に応じて洗浄能力を変更設定する、つまり水位変動継続時間の値がある設定時間値を超えれば洗浄能力をより高く変更設定するようにしてもよい。水位変動継続時間としては、例えば、前記実施形態において水位脈動が発生したと判定された監視時間のその時間値を積算した水位脈動積算時間の値を用いればよい。あるいは、前記の水位脈動カウンタVmの値が所定の設定回数を超え、かつ、水位変動継続時間(水位脈動積算時間)の値が所定の設定時間値を超えれば、洗浄能力をより高く変更設定するようにしてもよい。
【0046】
前記実施形態では、洗浄能力の高低変更として、洗浄サイクルの繰り返し回数の大小変更によって表したが、これに限らず、他のもので洗浄能力の高低を変更するようにしてもよい。例えば、洗浄能力の高・低を変更し得るものとしては、前記の繰り返し回数の他に、洗剤混入部26で混入させる洗剤量の多・少(洗浄水の洗剤濃度の濃・淡)、洗浄ノズル24から噴射する洗浄水の噴射継続時間の長・短(噴射する洗浄水量の多・少)、熱源機4から洗浄水として供給する給湯温度の高・低があり、これらを用いてもよい。例えば洗剤量により洗浄能力をより高めるには、洗剤量をより多くするようにすればよい。
【符号の説明】
【0047】
2 浴槽
3 浴槽洗浄ユニット
4 熱源機
5 熱源機コントローラ
6 洗浄コントローラ(洗浄制御手段)
24 洗浄ノズル
48 追い焚き循環路(浴槽内の湯水と連通可能な管路)
49 水位センサ(水位検出手段)
54 入浴状況判定処理部(入浴状況判定処理手段)
63 洗浄制御部(洗浄制御手段)
64 洗浄能力設定部(洗浄能力設定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8