【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した断面図である。
図2は、本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置におけるセンタプレートの構成を模式的に示した平面図である。
【0022】
実施例1に係るトルク変動吸収装置1は、例えば、エンジン(動力源、モータでも可)のクランクシャフト5(出力軸)と変速機の入力軸30との間の動力伝達経路に設けられており、回転軸間(クランクシャフト5と入力軸30との間)の捩れによる変動トルクを吸収(抑制)する装置である。トルク変動吸収装置1は、捩れ緩衝機能を有し、バネ力によって回転軸間の変動トルクを吸収するダンパ部2と、摩擦等によるヒステリシストルクによって回転軸間の変動トルクを吸収(抑制)するヒステリシス部3と、回転軸間の捩れがダンパ部2やヒステリシス部3で吸収できなくなったときに所定のトルク以上ですべりを生ずるリミッタ部4と、を有する。ダンパ部2は、動力伝達経路上において、ヒステリシス部3と並列に設けられている。リミッタ部4は、動力伝達経路上において、ダンパ部2及びヒステリシス部3と直列に設けられている。ダンパ部2及びヒステリシス部3は、エンジンのクランクシャフト5とリミッタ部4との間の動力伝達経路上に設けられている。リミッタ部4は、ダンパ部2及びヒステリシス部3と変速機の入力軸30との間の動力伝達経路上に設けられている。これにより、ダンパ部2と変速機の入力軸30との間の動力伝達経路の慣性を高めることができ、ダンパ部2のバネの前後の慣性の配分が改善しやすくなる。
【0023】
トルク変動吸収装置1は、構成部材として、プレート10と、第1サイドプレート11と、第2サイドプレート12と、スペーサ13と、リベット14と、センタプレート15と、コイルスプリング16と、シート部材17と、第1スラスト部材18と、第2スラスト部材19と、皿ばね20と、カバープレート21と、皿ばね22と、リベット23と、プレッシャプレート24と、ライニングプレート25と、摩擦材26、27と、ハブ部材28と、リベット29と、を有する。
【0024】
プレート10は、フライホイール7の回転動力をダンパ部2及びヒステリシス部3に伝達する環状の部材である。プレート10は、外周部分にてボルト8によってフライホイール7に連結(取付固定)されている。なお、フライホイール7は、ボルト6によってエンジン(図示せず)のクランクシャフト5に連結されている。プレート10は、内周部分にて、フライホイール7と離間しており、第1サイドプレート11のフライホイール7側の面に合わさっており、第1サイドプレート11、スペーサ13、及び第2サイドプレート12とともにリベット14によって連結(一体固定)されている。よって、プレート10は、クランクシャフト5、フライホイール7、第1サイドプレート11、第2サイドプレート12、及びスペーサ13と一体に回転する。
【0025】
第1サイドプレート11は、センタプレート15のエンジン側(
図1の左側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部2及びヒステリシス部3の構成部材である。第1サイドプレート11は、外周端部近傍の部分にて、プレート10とスペーサ13との間に配されており、プレート10、スペーサ13及び第2サイドプレート12とともにリベット14によって連結(一体固定)されている。よって、第1サイドプレート11は、クランクシャフト5、フライホイール7、プレート10、第2サイドプレート12、及びスペーサ13と一体に回転する。第1サイドプレート11は、中間部分のダンパ部2にて、コイルスプリング16及びシート部材17を収容するための窓部11aを有し、当該窓部11aの周方向にある端面がシート部材17と接離可能に接している。第1サイドプレート11は、ダンパ部2より内周側のヒステリシス部3にて、第1スラスト部材18に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。第1サイドプレート11は、内周端部にて、第1スラスト部材18を介してハブ部材28に回転可能に支持されている。
【0026】
第2サイドプレート12は、センタプレート15の変速機側(
図1の右側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部2及びヒステリシス部3の構成部材である。第2サイドプレート12は、外周端部近傍の部分にて、スペーサ13の変速機側(
図1の右側)に配され、プレート10、第1サイドプレート11、及びスペーサ13とともにリベット14によって連結(一体固定)されている。よって、第2サイドプレート12は、クランクシャフト5、フライホイール7、プレート10、第1サイドプレート11、及びスペーサ13と一体に回転する。第2サイドプレート12は、中間部分のダンパ部2にて、コイルスプリング16及びシート部材17を収容するための窓部12aを有し、当該窓部12aの周方向にある端面がシート部材17と接離可能に接している。第2サイドプレート12は、ダンパ部2より内周側のヒステリシス部3にて、第2スラスト部材19に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、皿ばね20を支持する。第2サイドプレート12は、内周端部にて、第2スラスト部材19を介してハブ部材28に対して回転可能に支持されている。
【0027】
スペーサ13は、サイドプレート11、12の外周部分を離間させる板状の部材である。スペーサ13は、センタプレート15の窓部15aにおけるダンパ部2よりも径方向外側の位置にて、サイドプレート11、12の外周部分の間に挟み込まれており、プレート10、及びサイドプレート11、12とともにリベット14によって連結(一体固定)されている。よって、スペーサ13は、クランクシャフト5、フライホイール7、プレート10、第1サイドプレート11、及び第2サイドプレート12と一体に回転する。スペーサ13は、センタプレート15の窓部15aごとに設けられ、例えば、
図2のようなセンタプレート15に対しては窓部15aが3箇所あるので、3個用いられることになる。スペーサ13は、ダンパ部2で捩れが生じたときに、窓部15aの周方向にある端面と当たることでダンパ部2の捩れを規制するストッパ部となる。なお、スペーサ13を省略してサイドプレート11、12同士を直接連結してもよい。
【0028】
リベット14は、プレート10、第1サイドプレート11、スペーサ13、及び第2サイドプレート12を連結(一体固定)するための部材である。
【0029】
センタプレート15は、ダンパ部2及びヒステリシス部3とリミッタ部4との間の動力伝達経路上に配された環状かつ板状の部材であり、ダンパ部2、ヒステリシス部3、及びリミッタ部4の構成部材である。センタプレート15は、外周部分にて、リベット23を通すための複数の穴部(
図2の15c)を有し、カバープレート21と合わさって穴部15cの位置にてリベット23によって連結(一体固定)されている。よって、センタプレート15は、カバープレート21と一体に回転する。センタプレート15は、外周部分におけるリベット23で連結された部分から周方向にずれた位置のうち、軸方向から見てボルト8と対応する位置に切欠部15b(穴部でも可)を有する。切欠部15bは、軸方向から見て、カバープレート21の切欠部21cと対応し、ダンパ部2で捩れが生じていないときにボルト8の位置と対応する。切欠部15bは、ボルト8を通すとともに、ボルト8用の工具を使えるようにするためのものである。センタプレート15は、カバープレート21と合わさった部分よりも径方向内側のリミッタ部4にてカバープレート21と離間している。センタプレート15は、リミッタ部4にて皿ばね22の外周端部をサポート(支持)する。センタプレート15は、ダンパ部2にて、コイルスプリング16、及びシート部材17を収容するための窓部15aを有し、当該窓部15aの周方向にある端面がシート部材17と接離可能に接している。また、窓部15aは、ダンパ部2より径方向外側の領域にて、スペーサ13が配されている。窓部15aは、ダンパ部2で捩れが生じたときに、スペーサ13が窓部15aの周方向にある端面と当たることでダンパ部2の捩れを規制するストッパ部となる。センタプレート15は、ダンパ部2より径方向内側のヒステリシス部3の軸方向の面にて、スラスト部材18、19によってスライド可能に挟持されている。センタプレート15は、内周端面にて、第1スラスト部材18(第2スラスト部材19でも可)を介してハブ部材28に回転可能に支持されている。
【0030】
コイルスプリング16は、ダンパ部2の構成部品であり、サイドプレート11、12及びセンタプレート15に形成された窓部11a、12a、15aに収容され、両端に配設されたシート部材17と接している。コイルスプリング16は、サイドプレート11、12とセンタプレート15とが相対回転したときに収縮し、サイドプレート11、12とセンタプレート15との回転差によるショックを吸収する。コイルスプリング16には、ストレート形状、又はストレート形状のスプリングを曲げて組み付けしたものを用いることができるが、広い捩りを実現するために、周方向に沿って曲ったアークスプリングを用いることができる。
【0031】
シート部材17は、ダンパ部2の構成部品であり、サイドプレート11、12及びセンタプレート15に形成された窓部11a、12a、15aに収容され、当該窓部11a、12a、15aの周方向にある端面とコイルスプリング16の端部との間に配されている。シート部材17には、コイルスプリング16の摩耗を低減するために、樹脂を用いることができる。
【0032】
第1スラスト部材18は、ヒステリシス部3の構成部品であり、第1サイドプレート11とセンタプレート15との間に配された環状の部材である。第1スラスト部材18は、軸方向において、第1サイドプレート11とセンタプレート15との間に配されている。第1スラスト部材18は、第1サイドプレート11に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、センタプレート15とスライド可能に圧接している。第1スラスト部材18は、径方向において、第1サイドプレート11とハブ部材28との間にも介在しており、第1サイドプレート11をハブ部材28に回転可能に支持するための滑り軸受(ブッシュ)となる。また、第1スラスト部材18は、径方向において、センタプレート15とハブ部材28との間にも介在しており、センタプレート15をハブ部材28に回転可能に支持するための滑り軸受(ブッシュ)となる。第1スラスト部材18は、コスト低減のため、樹脂よりなることが好ましい。
【0033】
第2スラスト部材19は、ヒステリシス部3の構成部品であり、第2サイドプレート12とセンタプレート15との間に配された環状の部材である。第2スラスト部材19は、軸方向において、皿ばね20とセンタプレート15との間に配されている。第2スラスト部材19は、第2サイドプレート12及び皿ばね20に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、皿ばね20によってセンタプレート15側に付勢されており、センタプレート15とスライド可能に圧接している。第2スラスト部材19は、径方向において、第2サイドプレート12とハブ部材28との間にも介在しており、第2サイドプレート12をハブ部材28に回転可能に支持するための滑り軸受(ブッシュ)となる。第2スラスト部材19は、コスト低減のため、樹脂よりなることが好ましい。
【0034】
皿ばね20は、ヒステリシス部3の構成部品であり、第2スラスト部材19と第2サイドプレート12との間に配され、第2スラスト部材19をセンタプレート15側に付勢する皿状のばねである。
【0035】
カバープレート21は、リミッタ部4をカバーする環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。カバープレート21は、外周部分にてセンタプレート15と合わさってリベット23によって連結(一体固定)されている。よって、カバープレート21は、センタプレート15と一体に回転する。カバープレート21は、外周部分におけるリベット23で連結された部分から周方向にずれた位置のうち、軸方向から見てボルト8と対応する位置に切欠部21c(穴部でも可)を有する。切欠部21cは、軸方向から見て、センタプレート15の切欠部15bと対応し、ダンパ部2で捩れが生じていないときにボルト8の位置と対応する。切欠部21cは、ボルト8を通すとともに、ボルト8用の工具を使えるようにするためのものである。カバープレート21は、内周部分にてセンタプレート15と離間している。カバープレート21は、プレッシャプレート24を回転不能かつ軸方向移動可能に支持するための穴部21aを有する。穴部21aには、プレッシャプレート24の凸部24aが回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。カバープレート21は、摩擦材27側の面に摩擦材27の穴部27aと係合する複数の凸部21bを有する。カバープレート21は、凸部21bが摩擦材27の穴部27aと係合することで、摩擦材27を回転不能に保持する。凸部21bは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。
【0036】
皿ばね22は、センタプレート15とプレッシャプレート24との間に配された皿状のばねであり、リミッタ部4の構成部材である。皿ばね22は、一端部(
図1では外周端部)にてセンタプレート15に支持されており、他端部(
図1では内周端部)にてプレッシャプレート24をカバープレート21に向かって付勢する。
【0037】
リベット23は、センタプレート15とカバープレート21とを連結(一体固定)するための部材である。
【0038】
プレッシャプレート24は、皿ばね22と摩擦材26との間に配された環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。プレッシャプレート24は、カバープレート21に対して回転不能かつ軸方向移動可能に支持されるようにするための凸部24aを有する。凸部24aは、カバープレート21の穴部21aに回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。プレッシャプレート24は、皿ばね22によって摩擦材26側に付勢されている。プレッシャプレート24は、摩擦材26側の面に摩擦材26の穴部26aと係合する凸部24bを有する。プレッシャプレート24は、凸部24bが摩擦材26の穴部26aと係合することで、摩擦材26を回転不能に保持する。凸部24bは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。
【0039】
ライニングプレート25は、カバープレート21とプレッシャプレート24との間における摩擦材26、27間に配された環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。ライニングプレート25は、内周部分にて、リベット29によってハブ部材28のフランジ部28aに連結(一体固定)されている。ライニングプレート25は、外周部分にて摩擦材26、27間に配されており、摩擦材26、27とスライド可能に圧接されている。なお、ライニングプレート25は、リミッタ部4においてすべり部分よりも変速機側に単独で設けられているので、波状路でのトルク対策がしやすい。
【0040】
摩擦材26は、リミッタ部4の構成部材であり、ライニングプレート25とプレッシャプレート24との間に配されている。摩擦材26は、環状に構成されている。摩擦材26は、プレッシャプレート24の凸部24bと係合するための複数の穴部26aを有する。摩擦材26は、凸部24bが穴部26aに係合することにより、プレッシャプレート24に対して回転不能となり、プレッシャプレート24に保持される。摩擦材26は、ライニングプレート25とスライド可能に圧接している。摩擦材26には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0041】
摩擦材27は、リミッタ部4の構成部材であり、ライニングプレート25とカバープレート21との間に配されている。摩擦材27は、環状に構成されている。摩擦材27は、カバープレート21の凸部21bと係合するための複数の穴部27aを有する。摩擦材27は、凸部21bが穴部27aに係合することにより、カバープレート21に対して回転不能になり、カバープレート21に保持される。摩擦材27は、ライニングプレート25とスライド可能に圧接している。摩擦材27には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0042】
ハブ部材28は、リミッタ部4からの回転動力を変速機に向けて出力する部材である。ハブ部材28は、内周部分にて筒状に形成されており、筒状の部分の変速機側(
図1の右側の部位から径方向外側に延在したフランジ部28aを有する。ハブ部材28は、筒状の部分の内周面にて変速機の入力軸30とスプライン係合(回転不能かつ軸方向移動可能に係合)する。ハブ部材28は、外周面にて、第1スラスト部材18を介して第1サイドプレート11及びセンタプレート15を回転可能に支持しており、第2スラスト部材19を介して第2サイドプレート12を回転可能に支持している。ハブ部材28の筒状の部分がセンタプレート15の内周側に配されることで、スペースを大きくしなくてすむ。フランジ部28aは、外周部分にて、リベット29によってライニングプレート25と連結(一体固定)されている。これにより、ハブ部材28は、ライニングプレート25と一体に回転する。
【0043】
リベット29は、ライニングプレート25とハブ部材28のフランジ部28aとを連結(一体固定)するための部材である。
【0044】
実施例1によれば、フライホイール7からダンパ部2への連結をダンパ部2の径方向外側で行うことで、シンプルで低コストな構造で装置における慣性バランスを改善することができる。なお、フライホイール7からダンパ部2への連結をダンパ部2の径方向内側(従来のハブ部材に相当)とした場合は、ダンパ部2を径方向外側に逃したり、リミッタ部4を径方向外側又は軸方向に逃す必要があり、スペース大となっていたが、実施例1によればスペースの増大を回避することができる。また、実施例1によれば、フライホイール7への取り付け部材(プレート10)の曲げを少なくできるメリットもある。さらに、実施例1によれば、既存のトルク変動吸収装置の要素技術を多く用いることができ、設計しやすいといったメリットがある。
【実施例2】
【0045】
本発明の実施例2に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例2に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0046】
実施例2は、実施例1の変形例であり、実施例1におけるプレート(
図1の10)と第1サイドプレート(
図1の11)とを一体化した第1サイドプレート11とし、実施例1におけるライニングプレート(
図1の25)とフランジ部(
図1の28a)とを一体化したフランジ部28aを有するハブ部材28としたものである。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0047】
第1サイドプレート11は、スペーサ13及び第2サイドプレート12とともにリベット14で連結(一体固定)された部分から径方向外側に延在した延在部11bを有する。延在部11bは、リミッタ部4のセンタプレート15を迂回するように形成され、外周部分でボルト8によってフライホイール7に連結(取付固定)されている。第1サイドプレート11におけるその他の構成は、実施例1の第1サイドプレート(
図1の11)と同様である。
【0048】
ハブ部材28は、内周部分にて筒状に形成されており、筒状の部分の変速機側(
図1の右側の部位から径方向外側に延在したフランジ部28aを有する。フランジ部28aは、リミッタ部4のカバープレート21とプレッシャプレート24との間における摩擦材26、27間まで延在している。フランジ部28aは、外周部分にて摩擦材26、27間に配されており、摩擦材26、27とスライド可能に圧接されている。ハブ部材28におけるその他の構成は、実施例1のハブ部材(
図1の28)と同様である。
【0049】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、実施例1よりも部品点数を削減でき、コストを低減することができる。
【実施例4】
【0056】
本発明の実施例4に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。
図5は、本発明の実施例4に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0057】
実施例4は、実施例1の変形例であり、センタプレート15とハブ部材28のフランジ部28aとの間の動力伝達経路上にあるリミッタ部4において、摩擦材26、27に対してすべらせる部材を変速機側の部材(
図1のライニングプレート25)とするのをやめ、摩擦材26、27に対してすべらせる部材をエンジン側のセンタプレート15としたものである。リミッタ部4以外の構成は、実施例1と同様である。
【0058】
センタプレート15は、ダンパ部2及びヒステリシス部3とリミッタ部4との間の動力伝達経路上に配された環状かつ板状の部材であり、ダンパ部2、ヒステリシス部3、及びリミッタ部4の構成部材である。センタプレート15は、リミッタ部4においてライニングプレートとして用いられ、外周部分にて、カバープレート41とプレッシャプレート44との間における摩擦材26、27間に配されており、摩擦材26、27とスライド可能に圧接されている。なお、センタプレート15における摩擦材26、27と圧接する部分よりも径方向内側の構成は、実施例1のセンタプレート(
図1の15)と同様である。
【0059】
カバープレート41は、リミッタ部4をカバーする環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。カバープレート41は、外周部分にてサポートプレート42と合わさってリベット43によって連結(一体固定)されている。よって、カバープレート41は、サポートプレート42と一体に回転する。カバープレート41は、外周部分におけるリベット43で連結された部分から周方向にずれた位置のうち、軸方向から見てボルト8と対応する位置に切欠部41b(穴部でも可)を有する。切欠部41bは、軸方向から見て、サポートプレート42の切欠部42bと対応している。切欠部41bは、ボルト8を通すとともに、ボルト8用の工具を使えるようにするためのものである。カバープレート41は、内周部分にてサポートプレート42と離間している。カバープレート41は、摩擦材26側の面に摩擦材26の穴部26aと係合する複数の凸部41aを有する。カバープレート41は、凸部41aが摩擦材26の穴部26aと係合することで、摩擦材26を回転不能に保持する。凸部41aは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。カバープレート41は、プレート10と抵触しないように形成されている。
【0060】
サポートプレート42は、皿ばね45の内周端部をサポート(支持)する環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。サポートプレート42は、外周部分にて、カバープレート41と合わさってリベット43によって連結(一体固定)されている。よって、サポートプレート42は、カバープレート41と一体に回転する。サポートプレート42は、外周部分におけるリベット43で連結された部分から周方向にずれた位置のうち、軸方向から見てボルト8と対応する位置に切欠部42b(穴部でも可)を有する。切欠部42bは、軸方向から見て、カバープレート41の切欠部41bと対応する。切欠部42bは、ボルト8を通すとともに、ボルト8用の工具を使えるようにするためのものである。サポートプレート42は、カバープレート41と合わさった部分よりも径方向内側のリミッタ部4にてカバープレート41と離間している。サポートプレート42は、リミッタ部4にて皿ばね45の内周端部をサポート(支持)する。サポートプレート42は、中間部分にてプレッシャプレート44を回転不能かつ軸方向移動可能に支持するための穴部42aを有する。穴部42aには、プレッシャプレート44の凸部44aが回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。サポートプレート42は、内周部分にて、リベット29によってハブ部材28のフランジ部28aと連結(一体固定)されている。よって、サポートプレート42は、ハブ部材28と一体に回転する。
【0061】
リベット43は、カバープレート41とサポートプレート42とを連結(一体固定)するための部材である。
【0062】
プレッシャプレート44は、皿ばね45と摩擦材27との間に配された環状の部材であり、リミッタ部4の構成部材である。プレッシャプレート44は、サポートプレート42に対して回転不能かつ軸方向移動可能に支持されるようにするための凸部44aを有する。凸部44aは、サポートプレート42の穴部42aに回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。プレッシャプレート44は、皿ばね45によって摩擦材27側に付勢されている。プレッシャプレート44は、摩擦材27側の面に摩擦材27の穴部27aと係合する凸部44bを有する。プレッシャプレート44は、凸部44bが摩擦材27の穴部27aと係合することで、摩擦材27を回転不能に保持する。凸部44bは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。
【0063】
皿ばね45は、サポートプレート42とプレッシャプレート44との間に配された皿状のばねであり、リミッタ部4の構成部材である。皿ばね45は、一端部(
図5では内周端部)にてサポートプレート42に支持されており、他端部(
図5では外周端部)にてプレッシャプレート44をカバープレート41に向かって付勢する。
【0064】
実施例4によれば、実施例1と同様な効果を奏する。
【0065】
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。