(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772116
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】眼科撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20150813BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20150813BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
A61B3/14 M
G09G3/36
G09G3/20 680W
G09G3/20 641Q
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-62620(P2011-62620)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-196323(P2012-196323A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】仲山 兼治
(72)【発明者】
【氏名】市川 直樹
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−026096(JP,A)
【文献】
特開平06−317858(JP,A)
【文献】
特開2009−075415(JP,A)
【文献】
実開平04−058204(JP,U)
【文献】
特開2005−352095(JP,A)
【文献】
特開平06−082927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者眼を撮影するための撮影光学系と、該撮影光学系により得られた撮影画像を液晶ディスプレイに表示させるための表示制御手段とを有する眼科撮影装置において、
前記表示制御手段は、前記液晶ディスプレイに対する視認角度を誘導するためのチャートとして、
第1チャート部と、前記液晶ディスプレイに対する適正な視野角度内では前記第1チャート部と同じ見た目で視認され前記適正な視野角度外では前記第1チャート部と異なる見た目で視認される第2チャート部と、を並べて観察できるように前記液晶ディスプレイに表示させる、
ことを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科撮影装置において、前記チャートは、前記第1チャート部として所定のピクセル間隔で交互に明暗の階調変化があるように形成された市松模様状のチャート部と,前記第2チャート部として前記第1チャート部の中間濃淡値となる中間階調にて全域が形成されたチャート部と,からなり、前記表示制御手段は前記第1チャート部と第2チャート部とを隣接した状態で前記チャートとして前記液晶ディスプレイに表示させることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項3】
被検者眼を撮影するための撮影光学系と、
該撮影光学系により得られた撮影画像を表示させる液晶ディスプレイと、
液晶ディスプレイに対する視認角度を誘導するためのチャートを前記撮影画像と共に前記液晶ディスプレイに表示させるための表示制御手段と、を備え、
前記チャートは所定のピクセル間隔で交互に明暗の階調変化があるように形成された市松模様状の第1チャート部と,該第1チャート部の中間濃淡値となる中間階調にて全域が形成された第2チャート部と,からなり、
前記表示制御手段は前記第1チャート部と第2チャート部とを隣接した状態で前記チャートとして前記液晶ディスプレイに表示させることを特徴とする眼科撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼を撮影してモニタに表示する眼科撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者眼の眼底や前眼部等を撮影し、撮影した画像をモニタに表示させる眼科撮影装置が知られている。このような装置においては、液晶ディスプレイをモニタとして採用し、この液晶ディスプレイを上下に回動させる機構を設けることにより、検者の位置が移動したときでも表示画像の視認性を向上させた眼科装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2006−26096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにモニタの表示角度を変えることができる構成とした場合であっても、検者がモニタを見る際の角度(視認角度)が必ずしもモニタの視野角(表示が正常に見える範囲の正面からの角度)内に収まっているとは限らない。特にモニタとして液晶ディスプレイを採用した場合、モニタに対する視認角度によって撮影画像の見え方は大きく変わり易い。しかし一方で、モニタの視野角外であってもモニタに表示されている撮影画像が検者に見えていれば、その状態で視認される撮影画像に基づいて画像の良否が判断されてしまう場合がある。モニタに表示される撮影画像をモニタの視野角外で評価した場合、撮影画像が適切な撮影条件で撮影されていたとしても、非常に明るく、或いは非常に暗く視認されてしまい不良とされてしまう可能性がある。また反対に、不適切な撮影条件で撮影されていたとしても、モニタに表示される撮影画像をモニタの視野角外で評価してしまうことによって、撮影画像が良好であるとされてしまう可能性もある。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、眼科撮影装置のモニタとして液晶ディスプレイを採用した場合において、モニタに表示される撮影画像の良否を適切に判断することのできる眼科撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 被検者眼を撮影するための撮影光学系と、該撮影光学系により得られた撮影画像を
液晶ディスプレイに表示させるための表示制御手段とを有する眼科撮影装置において、
前記表示制御手段は、前記液晶ディスプレイに対する視認角度を誘導するためのチャートとして、第1チャート部と、前記液晶ディスプレイに対する適正な視野角度内では前記第1チャート部と同じ見た目で視認され前記適正な視野角度外では前記第1チャート部と異なる見た目で視認される第2チャート部と、を並べて観察できるように前記液晶ディスプレイに表示させる、ことを特徴とする。
(2) 被検者眼を撮影するための撮影光学系と、該撮影光学系により得られた撮影画像を表示させる液晶ディスプレイと、液晶ディスプレイに対する視認角度を誘導するためのチャートを前記撮影画像と共に前記液晶ディスプレイに表示させるための表示制御手段と、を備え、前記チャートは所定のピクセル間隔で交互に明暗の階調変化があるように形成された市松模様状の第1チャート部と,該第1チャート部の中間濃淡値となる中間階調にて全域が形成された第2チャート部と,からなり、前記表示制御手段は前記第1チャート部と第2チャート部とを隣接した状態で前記チャートとして前記液晶ディスプレイに表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、眼科撮影装置のモニタとして液晶ディスプレイを採用した場合において、モニタに表示される撮影画像の良否を適切に判断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は眼科撮影装置の一種である眼底カメラの外観構成の説明図である。眼底カメラは、基台1と、ジョイスティック4の操作により基台1に対して左右方向(X方向)及び前後(作動距離、Z方向)に移動可能な移動台2と、移動台2に対して3次元方向に移動可能に設けられ,後述する光学系が収納された撮影部3と、撮影部3を被検者眼に対して三次元(XYZ)方向に移動させる駆動部6と、被検者の顔を支持するために基台1に固設された顔支持ユニット5と、撮影部3の検者側に設けられた表示部(モニタ)8と、から構成される。本実施形態で用いられるモニタ8にはタッチパネル機能を有した液晶ディスプレイが用いられ、モニタ8はその表示角度を変更できるように、上下方向に回動可能に撮影部3に取り付けられている。モニタ8の上下方向への回動(チルト)は、例えばモニタ8の上端部に回転軸を設け、この回転軸が装置本体(撮影部3)に取り付けられていることにより、撮影部3に対してモニタ8が上下方向に回動される。なお、モニタ8には撮影部3にて撮影された被検者眼の前眼部の観察像や眼底の観察(撮影)像が表示される。なお、本実施形態ではモニタ8は上下方向へ回動できるものとしているが、これに限るものではなく、左右方向,または上下左右方向に回動できる構成であってもよい。
【0010】
次に、撮影部3の内部に設けられた光学系及び制御系の構成について説明する。
図2は眼底カメラの光学系及び制御系の概略構成図である。光学系は、照明光学系10、被検者眼Eの眼底の観察・撮影を行う眼底観察・撮影光学系30、前眼部観察光学系40を含む。
【0011】
照明光学系10は、観察照明光学系と撮影照明光学系に大別される。観察照明光学系は、ハロゲンランプ等の連続発光可能な観察用光源11、可視光カットフィルタ12、レンズ13、赤外光を反射させ可視光を透過させるためのプリズム16、リングスリット17、レンズ18、ミラー19、中心部に黒点を有する黒点板20、リレーレンズ21、孔あきミラー22、光路分岐部材としてのダイクロイックミラー(波長選択ミラー)24、対物レンズ25を備え、赤外の光束により被検者眼Eの眼底を照明する。一方、撮影照明光学系は、フラッシュランプ等の可視の撮影光源14、レンズ15、ダイクロイックミラー24を除くプリズム16から対物レンズ25までの光学系を備え、撮影光源14からの可視の光束により被検者眼Eの眼底を照明する。なお、ダイクロイックミラー24は、観察照明光学系による赤外光の波長を透過し、図示なきアライメント指標投影光学系からの赤外光を反射する波長特性を有する。また、ダイクロイックミラー24は光路から挿脱可能に斜設されており、観察照明光学系を用いた眼底の観察時には光路に斜設され、撮影照明光学系による眼底の撮影時には光路から外されるようになっている。
【0012】
眼底観察・撮影光学系30は、眼底観察光学系と眼底撮影光学系とに大別される。眼底観察光学系は、対物レンズ25、孔あきミラー22、光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ32、結像レンズ33、光路から挿脱可能な跳ね上げミラー34、リレーレンズ36、赤外域に感度を有する観察用の二次元撮像素子38等からなり、赤外光源で照明された眼底像が撮影されるようになっている。一方、眼底撮影光学系は、対物レンズ25から結像レンズ33までの光学系を眼底観察光学系と共用するとともに、結像レンズ33の後ろ側に配置される可視域に感度を有する撮影用二次元撮像素子35を有し、撮影時には跳ね上げミラー24及び跳ね上げミラー34が光路から退避し、撮影光源14で照明された眼底像が二次元撮像素子35にて受光され撮影される。
【0013】
前眼部観察光学系40は、ダイクロイックミラー24の反射側にフィールドレンズ41、ミラー42、絞り43、リレーレンズ44、二次元撮像素子45等を備える。前眼部観察光学系40は、図示なき前眼部照明光源からの赤外光により照明された前眼部像を二次元撮像素子45にて受光し前眼部の撮影画像を得る。
【0014】
制御部80には、各二次元撮像素子(35,38,45)、モニタ8、記憶手段としてのメモリ81、撮影光量等の撮影条件の設定や各種の操作を行うためのコントロール部82等、が接続されている。なお、制御部80は光路に対する跳ね上げミラーの駆動制御等、の眼科撮影装置の全般の駆動制御を行う。また、制御部80は各二次元撮像素子35、38、65からの入力信号により、モニタ8の画面に前眼部像又は眼底観察像(撮影像)を表示させる制御を行う。本実施形態ではモニタ8に眼底の撮影画像を表示する際には、モニタに対する視認角度を誘導させるための所定のチャートを眼底画像と共に画面に表示させる制御を行う。
【0015】
次にモニタ8に形成されるチャートについて説明する。
図3は眼底画像とともにチャート100が表示された状態を示す模式図であり、
図4はチャート100の表示形態を説明するための模式図である。
通常、液晶ディスプレイおいて、画面を正面からみた状態で画面に対する視認角度を上下左右方向に変えていくと、表示内容(撮影画像)の見た目の輝度や色合いが変わってくる。このため、検者が眼底画像を観察して診断を行う場合には、その液晶ディスプレイを提供するメーカーから示されている視野角(ディスプレイの中心からその表示内容を正常に見ることができるとされる範囲を扇形で表したときの中心角の大きさ)の範囲内で撮影画像をみる必要がある。本実施形態ではモニタ8に表示される眼底画像110の左右隣りにチャート100を表示させ、このチャート100が所定の状態で見えるような視認角度で撮影画像(眼底画像)をみることにより、その撮影画像を適正な表示状態で確認することができる。本実施形態では
図3に示すように、モニタ8の画面中央に眼底画像110が表示され、その左右隣りにチャート100が表示される。なお、チャート100は画面上のどこに表示されていてもよいが、眼底画像110の左右隣りにあって、画面の中央を通る水平ラインL
0上の近くに一対表示されていることが好ましい。このように、モニタに表示されている眼底画像の中心付近を通る水平ライン上近辺に表示されていることにより、撮影画像に対する視認角度をより適正に誘導させることができる。
【0016】
また、
図4に示すように、チャート100は2種類のチャート部100a,100bが隣接して表示されることにより形成されている。なお、本実施形態では正方形のチャート部100aと同形状のチャート部100bとが互い違い(交互)に並べられ、一つの正方形のチャート100として表されている。チャート100aは明るい輝度を持つチャート100a
1部分と暗い輝度を持つ100a
2部分とが交互に配列したグレースケールの市松模様から形成されている。白黒からなる各最小格子はモニタの1ピクセル(画素)で表される。一方、チャート100bはチャート100a(100a
1,100a
2)による1ピクセル間隔での階調変化の中間階調のグレースケールの輝度となるように、その全域が形成されている(ベタ塗り)。通常、液晶ディスプレイは所定のガンマ特性に基づいて表示制御されている。例えば、モニタ8のガンマ値を2.2とした場合には、表示する画像データの階調(256階調)の入力値と正常再現時の明度(出力値)との関係が
図5に示すような曲線(図中のガンマ特性A)となる。このため、モニタ8に表示されるチャート100は、理想の発色(図中の発色C、つまりガンマ値1.0)にて視認されるように、このようなモニタ8のガンマ特性を考慮し、それに合わせて調整したチャート補正用の曲線(例えば、ガンマ値0.45であり、図中のガンマ特性B)を用いて決定される。したがって、モニタ8の画面に理想の発色Cにてチャート100a及び100bが視認されるためには、理想の発色C上におけるチャート100a
1,100a
2、チャート100bに対応するガンマ特性B上のチャート100a
1´,100a
2´,チャート100b´にて出力することとなる。なお、このようなチャート100を形成するために必要な条件(例えば、表示位置、大きさ、表示階調,ガンマ補正値等)は、予めメモリ81に記憶されている。制御部80は撮影した眼底画像をモニタ8の画面に表示する際に、メモリ81に記憶されたチャートの表示条件に従って、眼底画像とともに画面上にチャート100が表示させる。なお、このようなチャートは、モニタの表示条件(例えば、コントラストやガンマ補正)の設定に応じて種々変更できるようにチャートの表示条件を変更するための変更スイッチを用意したり、モニタの表示条件に基づいて自動的にチャートの表示条件を変更できるようにすることも可能である。
【0017】
なお、このような極小の格子からなる濃淡模様(市松模様)のチャート100aは、中間濃淡値として中和されて知覚されることを利用しており、モニタに対して適正な視認角度であった場合には、チャート100aの見た目は市松模様ではなく、その全域が中間階調としての一様の明るさとして知覚され、チャート100bの見た目とが区別がつかない状態となる。
【0018】
また、本実施形態では2種類のチャート100a,100bが交互に縦横に並んで一つの正方形のチャート100を形成するものとしているが、これに限るものではなく、2種類のチャートをモニタに並べて観察できるような表示形態であればよい。また、本実施形態では、チャート100aに形成される市松模様は1ピクセル毎に濃淡を変えるものとしているが、これに限るものではなく、市松模様が中和されて中間の濃淡値(中間階調)として知覚可能な程度のピクセル間隔で形成されていればよい。
さらに、本実施形態ではチャート100a、100bともにグレースケールで表示されるものとしているが、これにかぎるものではなくR(赤)、G(緑)、B(青)の各色で同様のチャートを形成してモニタの画面に表示させることもできる。
【0019】
次に、以上のような構成を備える眼底カメラの動作を説明する。まず、被検者の顔を顔支持ユニット5で支持した状態で、ジョイスティック4の操作で撮影部3が被検者眼に近づくように移動台2を移動させる。赤外光により照明された被検者眼の前眼部像が前眼部観察光学系40により取得され、モニタ8に表示されるようになると、制御部80は角膜に投影された図示なきアライメント指標像の受光状態に基づいて駆動部6を駆動させ、撮影部3を三次元方向に移動させて被検者眼に対する撮影部のアライメントを行う。適正なアライメントが得られた後、制御部80は眼底観察光学系を用いて眼底に対するフォーカス調節を行う。フォーカス調節は眼底に投影された図示なきスプリット指標が合致するようにフォーカシングレンズ32を光軸方向に移動させて行われる。
【0020】
所定のアライメント、フォーカス状態が得られたら、検者は撮影スイッチを押し被検者眼の眼底像を撮影する。撮影スイッチが押されると制御部80は、跳ね上げミラー24,34を光路から退避させるとともに、撮影光源14から可視域のフラッシュ光を発光させる。フラッシュ光は撮影照明光学系を経て被検者眼の眼底を照明し、眼底からの反射光は眼底撮影光学系の二次元撮像素子35にて受光され眼底画像が撮影される。制御部80は得られた眼底画像110をモニタ8に表示するとともに前述したチャート100を眼底画像110の左右に一対表示させる。検者はモニタ8に表示された眼底画像の撮影状態をチェックするために、モニタ8(画面)に対する視認角度を適正な角度となるようにする。
【0021】
図6はモニタ8に対する被検者眼の視認角度によって見え方が変わるチャート100の表示状態を示した模式図である。
図6(a)は視野角を越えた上斜方から、
図6(c)は視野角を越えた下斜方からモニタ8を眺めた状態を示している。モニタ8の視野角を越えた視認角度でモニタ8の画面を眺めた場合、ガンマ値は使用される液晶ディスプレイ(モニタ8)のガンマ補正に用いたガンマ値と大きく異なる。チャート部100bの明るさは、チャート部100aを構成する微小濃淡(白黒)に対する中間階調であるが、この中間階調はガンマ補正に用いたガンマ値に対応するガンマ曲線に基づいて決定されている。したがって、液晶ディスプレイの視野角外からチャート100を見た場合には、チャート100aにて知覚される中間階調とチャート100bにて知覚される中間階調とが異なるように見えるため、
図6(a)及び(c)に示すように、チャート100はチャート部100aとチャート部100bの明るさが異なる斑模様として知覚されることとなる。一方、液晶ディスプレイの視野角内でチャート100を見た場合には、
図6(b)に示すようにチャート部100aとチャート部100bとが同程度の明るさとなり、見分けが付かず一体化されて見えることとなる。
【0022】
検者はこのようにチャート部100aとチャート部100bとが一体化されて見えるような視認角度を維持した状態でモニタ8に表示される眼底画像110を観察することにより、撮影した眼底画像110の適否を適正に判断することができる。検者はモニタ8に表示された眼底画像が適正な撮影条件(光量等)で得られていることを確認後、コントロール部82を用いて撮影された眼底画像を記憶部81に記憶させておく。なお、チャート部100aとチャート部100bとが一体として見える範囲(視認角度)は、モニタの視野角と同程度か、それよりも小さくなる。なお、モニタ8に対する視認角度の調整は、モニタ8に対して被検者眼を上下方向に動かすようにしてもよいし、モニタ8を上下方向に回動させることにより、相対的にモニタに対する視認角度を調整してもよい。
【0023】
なお、本実施形態では可視光により撮影した眼底画像をモニタに表示させる際に同時にチャートを表示させるものとしているが、これに限るものではなく、赤外光による前眼部観察時や眼底観察時、或いは記憶した複数の眼底画像を再度モニタの画面に表示させる際に応じてチャートを表示させるようにすることもできる。また、本実施形態では眼科撮影装置として眼底カメラを例に挙げ、説明したが、これに限るものではなく、角膜内皮細胞を撮影する装置や網膜断層画像を取得する装置等、被検者眼の撮影画像を取得してモニタに表示させる眼科撮影装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態における眼底カメラの外観構成を示した模式図である。
【
図2】本実施形態における眼底カメラの光学系及び制御系を示した概略図である。
【
図3】モニタの画面に眼底像とチャートが表示された例を示した図である。
【
図4】本実施形態におけるチャートの構成を示した図である。
【
図5】本実施形態におけるモニタのガンマ特性、及びチャートのガンマ補正を示した図である。
【
図6】モニタに対する視認角度によってチャートの見え方が変わる様子を示した図である。
【符号の説明】
【0025】
3 撮影部
8 モニタ
80 制御部
100 チャート
100a チャート部
100b チャート部
110 眼底画像