【実施例1】
【0013】
図1において、1は媒体処理装置としての通帳伝票プリンタであり、第1の媒体としての通帳および第2の媒体としての伝票からなる2種類の媒体に対する印字処理、通帳の磁気ストライプに磁気データとして記録された通帳情報の読取りや書込みの処理を行う。ここで、通帳伝票プリンタ1に設けられた図示しない制御部は、上位装置とのデータ送受信、媒体の搬送、印字処理および磁気データの読取りや書込み処理等を制御する。
【0014】
2は媒体挿入排出口であり、通帳伝票プリンタ1の装置本体の上面の正面側(オペレータ側のことをいう。
図3において左側、)に設けられた、通帳および伝票の挿入および排出を兼用で行う一つの開口であって、取引で取扱われる媒体(取扱媒体という。)の中で最大の媒体が挿入可能な大きさを有している。
【0015】
本実施例の通帳伝票プリンタ1は、通帳に取引内容等の記帳を行う第1の印字部としての通帳印字部3、通帳のページ替えが必要となった場合にページ捲りを行うページ捲り部4等を備えた第1の処理部としての通帳処理部5と、伝票に処理済等の所定の事項を印字する第2の印字部としての伝票印字部6等を備えた第2の処理部としての伝票処理部7とを上下に並べて配置し、媒体挿入排出口2から印字面を垂直にして挿入された媒体を、インサータ部8に設けられた媒体取込排出部9で取込み、その媒体の種類に応じて通帳処理部5または伝票処理部7へ搬送して印字処理等の処理を行い、処理後の媒体を媒体取込排出部9へ搬送して媒体挿入排出口2から排出するように構成され、
図2に示すように、通帳伝票プリンタ1への指示入力等を行う上位装置としての入力装置10が載置された机の脇等に媒体挿入排出口2を上側に向けて縦長に設置される。
本実施例の伝票処理部7は、通帳処理部5の下方に並べて配置されている。
【0016】
通帳印字部3は、通帳への印字を行うための第1の印字ヘッドとしての通帳印字ヘッド3aとこれに対向して設けられたプラテン3bとインクリボンカセット3cとを備えており(
図5参照)、後述する第1の搬送路としての通帳搬送路23により搬送された通帳に印字を行う機能を有している。
また、伝票印字部6は、伝票への印字を行うための第2の印字ヘッドとしての伝票印字ヘッド6aとこれに対向して設けられたプラテン6bと図示しないインクリボンカセットとを備えており(
図3参照)、後述する第2の搬送路としての伝票搬送路31により搬送された伝票に印字を行う機能を有している。
【0017】
図3において、11は上下搬送ローラであり、媒体挿入排出口2から挿入された通帳および伝票からなる2種類の媒体を一対のローラで挟持して、上下方向(垂直方向)つまり
図3に矢印で示すU方向またはL方向に搬送する搬送ローラであって、上下搬送ローラ11a〜11dを垂直方向に配置して構成されており、
図4に示すように、媒体の表裏の面を案内する一対の搬送ガイド12a、12b間の共用搬送路13から退避可能に設けられている。
また、本実施例においては、媒体挿入排出口2から挿入された通帳および伝票は、上下搬送ローラ11a、11bに挟持されて搬送され、媒体取込排出部9に取り込まれる。
【0018】
14は前後搬送ローラであり、媒体を挟持して、共用搬送路13の搬送方向(上下方向)の直交方向である前後方向(水平方向)つまり
図3に矢印で示すF方向またはR方向に搬送する搬送ローラであって、
図5に示すように、共用搬送路13から退避可能に設けられている。なお、
図3等に網掛けを付して示した搬送ローラは、前後方向に媒体を搬送する搬送ローラを示す。
15は挿入センサであり、媒体挿入排出口2の直近に配置された光学式のセンサであって、媒体の挿入および排出を検出すると共に、挿入された媒体の挿入方向の長さを検出する機能を有している。
【0019】
16は突当てシャッタであり、挿入された通帳の下端をその自重により突当てて通帳処理部5における通帳の位置決めを行う機能を有する閉鎖板であって、上下搬送ローラ11bの下側に配置されており、
図4に示すように、共用搬送路13を閉鎖、開放するように共用搬送路13から退避可能に設けられている。また、突当てシャッタ16の上面は、後述する通帳搬送路23の通帳基準面22と同等の高さとなるように設定されている。
17は第1のセットセンサとしての通帳セットセンサであり、通帳の下端が突当てシャッタ16に突当てられて位置決めされたことを検出する光学式のセンサであって、突当てシャッタ16の上側に配置されている。
【0020】
18は幅寄せローラであり、通帳を挟持して搬送する一対のローラであって、通帳の下端が、通帳の反り等の要因で突当てシャッタ16に突当てられなかったことを通帳セットセンサ17によって検出したときに、通帳を突当てシャッタ16に強制的に突当てる機能を有しており、共用搬送路13から退避可能に設けられている。なお、幅寄せローラ18は区別のためにハッチングを付して示してある(
図3参照)。
【0021】
19は第2のセットセンサとしての伝票セットセンサであり、伝票の下端が伝票基準面20に突当てられて位置決めされたことを検出する光学式のセンサであって、伝票基準面20の上側で、上下搬送ローラ11dの下方に配置されている。
【0022】
21は第1の搬送ローラとしての通帳搬送ローラであり、突当てシャッタ16で位置決めされ共用搬送路13の媒体取込排出部9から引渡された通帳を挟持して、前後方向、つまりF方向またはR方向に搬送する搬送ローラであって、
図3、
図5に示すように、通帳の下端を通帳基準面22に沿わせながら一対の搬送ガイド12a、12b間の通帳搬送路23に沿って通帳を搬送する。なお、各通帳搬送ローラ21は、
図5に示すように、通帳搬送路23内で一対の搬送ローラが突合された状態で設けられている。
【0023】
25は磁気ヘッドであり、通帳に設けられた縦型磁気ストライプに応じた位置に取付られており、磁気ストライプに記録された通帳情報の読取り、書込みを行う。
26はページセンサであり、通帳の各ページに設けられたページマークの読取りや印字文字の判別を行う。
【0024】
30は第2の搬送ローラとしての伝票搬送ローラであり、伝票基準面20で位置決めされ共用搬送路13から引渡された伝票を挟持して、前後方向、つまりF方向またはR方向に搬送する搬送ローラであって、伝票搬送ローラ30a〜30dを水平方向に配置して構成されており、
図3、
図4に示すように、伝票の下端を伝票基準面20に沿わせながら一対の搬送ガイド12a、12b間の伝票搬送路31に沿って伝票を搬送する。
【0025】
なお、共用搬送路13に配置された伝票搬送ローラ30a、30bは、
図4に示すように、共用搬送路13から退避可能に設けられており、伝票搬送ローラ30c、30dは、伝票搬送路31内で一対の搬送ローラが突合された状態で設けられている。
【0026】
上記した媒体取込排出部9は、上下搬送ローラ11a、11b、前後搬送ローラ14、挿入センサ15、突当てシャッタ16、幅寄せローラ18、通帳セットセンサ17等で構成されており、インサータ部8は、媒体取込排出部9および、上下搬送ローラ11c、11d、伝票セットセンサ19等で構成されている。
【0027】
また、通帳処理部5は、通帳搬送ローラ21を有する通帳搬送路23、通帳基準面22、磁気ヘッド25、ページセンサ26、通帳印字ヘッド3a等を有する通帳印字部3、ページ捲り部4等で構成され、伝票処理部7は、伝票搬送ローラ30a〜30dを有する伝票搬送路31、伝票基準面20、伝票印字ヘッド6a等を有する伝票印字部6等で構成されている。
【0028】
以下に、
図6、
図7にPで示すプロセスに従って、本実施例の通帳伝票プリンタ1による媒体処理の処理動作について説明する。
以下の説明においては、金融機関の応対窓口のオペレータが顧客から受取った通帳および伝票を基に取引(例えば、出金伝票による出金取引)を行い、その取引内容を通帳に記帳し、これと同時に伝票に所定の事項を印字する場合を例に説明する。
【0029】
本実施例の通帳伝票プリンタ1の初期状態は、上下搬送ローラ11は共用搬送路13内で一対の搬送ローラを突合せた状態になっており、前後搬送ローラ14、幅寄せローラ18、突当てシャッタ16、伝票搬送ローラ30a、30bは共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0030】
P1(
図6):オペレータが顧客の通帳Tの記帳ページを開いて、媒体挿入排出口2から綴じ目に沿った方向に通帳Tを印字面を垂直にして挿入すると、通帳伝票プリンタ1の図示しない制御部は、挿入センサ15で媒体の挿入を検出し、上下搬送ローラ11をL方向(
図3参照)への搬送方向に回転させ、当該媒体を挟持して搬送する。
【0031】
P2(
図6):制御部は、挿入センサ15が媒体の挿入方向の先端を検出したときからの経過時間を計測しながら挿入センサ15が媒体の後端を検出するのを待って待機し、挿入センサ15が媒体の後端を検出したときに、その経過時間を基に媒体の長さを検出し、その長さによって媒体が通帳Tであるか伝票Sであるかを判定し、通帳Tと判定した場合は、突当てシャッタ16を突出させて共用搬送路13を閉鎖する。また、伝票Sと判定した場合は、突当てシャッタ16をそのままにして共用搬送路13を開放したままにする(本段階では、挿入された媒体を通帳Tと判定し、突当てシャッタ16によって共用搬送路13を閉鎖する。)。
【0032】
そして、制御部は、通帳セットセンサ17が通帳Tの下端を検出するまで上下搬送ローラ11を回転させ、通帳セットセンサ17が通帳Tの下端を検出したときに上下搬送ローラ11を全て停止させ、上下搬送ローラ11を共用搬送路13から退避させて通帳Tを自重により落下させて突当てシャッタ16に突当てる。これにより、通帳Tの下端が自動的に通帳基準面22と同じ高さに位置決めされる。
なお、所定の時間経過しても通帳セットセンサ17が通帳Tを検出しない場合、制御部は、幅寄せローラ18により通帳Tを挟持して搬送し、落ちきらなかった通帳Tを強制的に突当てシャッタ16に突当てる。
【0033】
通帳Tの位置決めを終えると、制御部は、位置決めされた通帳Tを前後搬送ローラ14により挟持してR方向へ搬送し、これを媒体取込排出部9から通帳搬送路23の通帳搬送ローラ21に引渡してページセンサ26での読取り位置へ搬送してページマークを読取ると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25によって通帳Tの縦型磁気ストライプから記帳中のページ等の通帳情報を読取る。なお、突当てシャッタ16は通帳Tの通帳搬送路23への引渡し後に共用搬送路13から退避させる。
【0034】
P3(
図6):通帳Tのページマークおよび通帳情報を読取った制御部は、当該通帳を通帳搬送ローラ21で通帳印字位置へ搬送し、通帳印字ヘッド3aで通帳Tへの印字処理を行う。この場合に、改ページが必要であれば、通帳搬送ローラ21によりページ捲り部4へ搬送してページの捲り処理を行った後に印字処理を行う。
【0035】
この通帳Tへの印字処理の過程で挿入センサ15が媒体挿入排出口2から挿入された新たな媒体(本段階では伝票S)の挿入方向の先端を検出した場合、制御部は、その挿入を受入れ、上記プロセスP1と同様にして、上下搬送ローラ11により当該伝票Sを挟持してL方向へ搬送する。このとき、前後搬送ローラ14、幅寄せローラ18、突当てシャッタ16は共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0036】
そして、制御部は、プロセスP2と同様にして、経過時間を基に媒体の長さを検出し、その長さによって媒体が伝票Sであると判定し、共用搬送路13を開放した状態になっている突当てシャッタ16を通過させて、上下搬送ローラ11により当該伝票Sを更にL方向へ搬送する。このとき、伝票搬送路31の伝票搬送ローラ30a、30bは共用搬送路13から退避した状態になっている。
なお、通帳Tへの印字処理の終了までに挿入センサ15が媒体を検出しなかった場合は、後述する通帳Tのみの処理と同様にして、印字処理等を終えた通帳Tを媒体挿入排出口2から排出してオペレータへ引渡す。
【0037】
P4(
図7):当該伝票Sを更にL方向へ搬送した制御部は、伝票セットセンサ19が伝票Sの下端を検出するまで上下搬送ローラ11を回転させ、伝票セットセンサ19が伝票Sの下端を検出したときに上下搬送ローラ11を全て停止させ、上下搬送ローラ11を共用搬送路13から退避させて伝票Sを自重により落下させて伝票基準面20に突当てる。これにより、伝票Sの下端が自動的に伝票基準面20に位置決めされる。
【0038】
P5(
図7):伝票Sの位置決めを終えると、制御部は、位置決めされた伝票Sを伝票搬送路31の伝票搬送ローラ30a、30bにより挟持してR方向へ搬送し、これを伝票搬送路31の伝票搬送ローラ30c、30dに引渡して伝票印字位置へ搬送し、伝票印字ヘッド6aで伝票Sへの印字処理を行う。
【0039】
そして、制御部は、通帳Tへの印字処理が終了し、かつ伝票Sが伝票印字位置へ搬送されたことを認識したときに、突当てシャッタ16を開放状態のままにして、印字処理を終えた通帳Tを通帳搬送ローラ21および前後搬送ローラ14で挟持してF方向へ搬送すると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25により通帳Tの磁気ストライプの通帳情報に現在の記帳ページ等を書込み、通帳セットセンサ17が通帳Tを検出し所定の距離搬送した後に通帳搬送ローラ21および前後搬送ローラ14を停止し、通帳Tを上下搬送ローラ11a、11bで挟持した後に前後搬送ローラ14を共用搬送路13から退避させて通帳Tを上下搬送ローラ11に引渡し、上下搬送ローラ11a、11bによりU方向へ搬送して挿入センサ15が通帳Tの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に上下搬送ローラ11を停止して媒体挿入排出口2から通帳Tを排出し、挿入センサ15によってオペレータによる通帳Tの受取りを確認する。
【0040】
P6(
図7):オペレータによる通帳Tの受取りを確認した制御部は、伝票Sへの印字処理が終了したことを認識したときに、印字処理を終えた伝票Sを、伝票搬送ローラ30によりF方向へ搬送し、伝票セットセンサ19が伝票Sを検出し所定の距離搬送した後に伝票搬送ローラ30を停止し、伝票Sを上下搬送ローラ11c、11dで挟持した後に伝票搬送ローラ30a、30bを共用搬送路13から退避させて伝票Sを上下搬送ローラ11に引渡し、上下搬送ローラ11で挟持して解放状態の突当てシャッタ16を通過させてU方向へ搬送し、挿入センサ15が伝票Sの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に上下搬送ローラ11を停止して媒体挿入排出口2から伝票Sを排出し、挿入センサ15によってオペレータによる伝票Sの受取りを確認する。このとき、前後搬送ローラ14は共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0041】
このようにして、本実施例の通帳伝票プリンタ1による通帳および伝票を連続的かつ同時に処理する媒体処理の処理動作が行われる。
なお、通帳のみを処理する場合は、上記プロセスP1、P2、P3、P5で説明した通帳Tの処理動作のみを実行し、伝票のみを処理する場合は、上記プロセスP3〜P6で説明した伝票Sの処理動作のみを実行するようにする。
【0042】
ここで、本実施例においては挿入された媒体の媒体長を検出することにより媒体種別(通帳または伝票のいずれか)を判別することとしたが、上位装置からの制御コマンドまたは装置の操作パネル等により媒体種別を指定し、指定結果に従い媒体の処理動作を制御することとしてもよい。
【0043】
また、上記では通帳の挿入を先に受入れ、通帳の印字処理中に伝票を受入れるとして説明したが、伝票の挿入を先に受入れ、伝票の印字処理中に通帳を受入れるようにしてもよい。この場合は、前記伝票のみを処理するプロセスを先に実行し、伝票の印字処理中に前記通帳のみを処理するプロセスにより通帳を通帳処理部5へ搬送するとよい。
更に、印字処理が終了した通帳または伝票のいずれの媒体を優先して排出するかは、上位装置からの制御コマンドまたは装置の操作パネル等により設定できることとしてもよい。
【0044】
また、本実施例においては装置の上部に通帳処理部5、下部に伝票処理部7を配置することとしたが、通帳処理部5および伝票処理部7の位置関係を上下逆とする配置としてもよい。
ここで、媒体処理部(通帳処理部5または伝票処理部7)は、処理を優先する媒体処理部を媒体取込排出口9の近く(本実施例においては装置の上部)に配置することとしてもよい。
【0045】
上記のように、本実施例の通帳伝票プリンタ1は、上下搬送ローラ11によって媒体を上下方向に搬送する共用搬送路13に沿って、その直交方向である前後方向に媒体を搬送して処理する通帳処理部5と伝票処理部7とを上下方向に並べて配置したので、通帳伝票プリンタ1の水平方向の設置幅を小さくすることができ、
図2に示すように、机上の作業スペースを広くすることができると共に、机の脇等の狭いスペースであっても通帳伝票プリンタを設置することができ、応対窓口等の通帳伝票プリンタ1を設置する空間のスペースユーティリティを向上させることができる。
【0046】
また、通帳処理部5と伝票処理部7とが独立に配置されているので、処理後の通帳の排出完了を待たずに、通帳への印字処理中に伝票を受入れることが可能になり、通常、窓口取引において同時に提出される通帳および伝票の同時処理を可能にして、窓口取引における処理時間を短縮することができる。
更に、通帳および伝票の両方を挿入する兼用の媒体挿入排出口2を設けているため、オペレータが媒体挿入排出口2を間違えることがなくなり、媒体に対する処理のやり直しを防止して窓口取引における処理時間を短縮することができる。
【0047】
更に、媒体の自重を利用して、通帳を共用搬送路13を閉鎖した突当てシャッタ16の上面に落下させ、伝票を共用搬送路13の下端部の伝票基準面20に落下させて位置決めするので、媒体の突当て処理自体を省略して各基準面への幅寄せ機能を簡素化することができると共に、幅寄せ処理を高速化して通帳伝票プリンタ1の処理速度を向上させることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施例では、通帳伝票プリンタに、媒体挿入排出口から挿入された媒体を上下方向に搬送する共用搬送路と、通帳の下端の位置決めを行う通帳基準面に沿わせて共用搬送路から引渡された通帳を前後方向に搬送する、通帳印字部が設けられた通帳搬送路と、通帳搬送路の下方に並列に配置され、伝票の下端の位置決めを行う伝票基準面に沿わせて共用搬送路から引渡された伝票を前後方向に搬送する、伝票印字部が設けられた伝票搬送路と、共用搬送路の通帳搬送路と伝票搬送路との間に配置され、共用搬送路の閉鎖、解放を行う突当てシャッタとを設けたことによって、通帳伝票プリンタの水平方向の設置幅を小さくして、応対窓口等の通帳伝票プリンタを設置する空間のスペースユーティリティを向上させることができると共に、通帳および伝票の同時処理を可能にして、窓口取引における処理時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0049】
以下に、
図8を用いて本実施例の通帳伝票プリンタについて説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施例の共用搬送路13の突当てシャッタ16の下方には、
図8に示すように、通帳に設けられた横型磁気ストライプに記録された通帳情報の読取り、書込みを行う磁気ヘッド40が設けられている。また、磁気ヘッド40は、通帳の横型磁気ストライプに応じた位置に取付られている。
【0051】
以下に、本実施例の通帳伝票プリンタ1による媒体処理の処理動作について説明する。なお、本実施例の通帳伝票プリンタ1の初期状態は、上記実施例1と同様の状態になっている。
本実施例のオペレータは、処理する通帳Tを挿入する前に、入力装置10(
図2参照)によって当該通帳の磁気ストライプの型式が縦型であるか、横型であるかの指示入力を行う(本実施例では、横型の指示入力が行われたとして説明する)。
【0052】
その後に、オペレータが、顧客の通帳Tの記帳ページを開いて、媒体挿入排出口2から綴じ目に沿った方向に通帳Tを印字面を垂直にして挿入すると、通帳伝票プリンタ1の図示しない制御部は、上記実施例1のプロセスP1と同様にして、当該媒体(本段階では、通帳)を上下搬送ローラ11によってL方向に搬送する。
【0053】
次いで、制御部は、上記実施例1のプロセスP2と同様にして、経過時間を基に媒体の長さを検出し、その長さによって挿入された媒体が通帳Tであるか伝票Sであるかを判定し、通帳Tと判定した場合であって入力された磁気ストライプの型式が縦型のときは、突当てシャッタ16を突出させて共用搬送路13を閉鎖する。通帳Tと判定した場合であって入力された磁気ストライプの型式が横型のときは、突当てシャッタ16をそのままにして共用搬送路13を開放したままにする。また、伝票Sと判定した場合は、突当てシャッタ16をそのままにして共用搬送路13を開放したままにする(本段階では、挿入された媒体を通帳Tと判定し、磁気ストライプの型式が横型と入力されているので、共用搬送路13は解放されたままとされる。)。
【0054】
そして、制御部は、伝票セットセンサ19が通帳Tの下端を検出するまで上下搬送ローラ11を回転させ、伝票セットセンサ19が通帳Tの下端を検出したときに上下搬送ローラ11を全て停止させる。この搬送の過程で磁気ヘッド40によって横型磁気ストライプから通帳Tの記帳中のページ等の通帳情報を読取る。
【0055】
横型磁気ストライプから通帳情報を読取った制御部は、挿入センサ15が通帳Tの上端を検出するまで上下搬送ローラ11によって通帳TをU方向へ搬送し、挿入センサ15が通帳Tの上端を検出したときに上下搬送ローラ11を全て停止させ、突当てシャッタ16を突出させて共用搬送路13を閉鎖する。その後に再び上下搬送ローラ11によって通帳TをL方向へ搬送し、通帳セットセンサ17が通帳Tの下端を検出したときに上下搬送ローラ11を全て停止させ、上下搬送ローラ11を共用搬送路13から退避させて通帳Tを自重により落下させて突当てシャッタ16に突当てる。
【0056】
通帳Tの位置決めを終えると、制御部は、位置決めされた通帳Tを前後搬送ローラ14により挟持してR方向へ搬送し、これを媒体取込排出部9から通帳搬送路23の通帳搬送ローラ21に引渡してページセンサ26での読取り位置へ搬送してページマークを読取る。
その後の処理動作は、上記実施例1のプロセスP3〜P6と同様であるので、その説明を省略する。
なお、通帳Tと判定した場合であって入力された磁気ストライプの型式が縦型のときは、上記実施例1の場合と同様の処理動作により、通帳Tおよび伝票Sの処理が行われる。
【0057】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、通帳搬送路に通帳に設けられた縦型磁気ストライプに記録された通帳情報を読取る磁気ヘッドを設けると共に、共用搬送路の突当てシャッタの下方に通帳に設けられた横型磁気ストライプに記録された通帳情報を読取る磁気ヘッドを設けたので、縦型、横型いずれの磁気ストライプであってもその処理が可能になり、縦型または横型の磁気ストライプを設けた通帳を混用する金融機関であっても、1台の通帳伝票プリンタで対応することができる。
【0058】
また、縦型磁気ストライプ用の磁気ヘッドおよび横型磁気ストライプ用の磁気ヘッドは、通帳に設けられた磁気ストライプの位置に応じて取付位置を変更することができ、あらゆる磁気ストライプの形式に対応することができると共に、縦型および/もしくは横型磁気ストライプ用の磁気ヘッドを増設すれば、3種類以上の磁気ストライプを設けた通帳を混用する金融機関であっても、1台の通帳伝票プリンタで対応することができる。
【実施例3】
【0059】
以下に、
図9、
図10を用いて本実施例の通帳伝票プリンタについて説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のプリンタ1には、
図9に示すように、装置本体の正面(オペレータ側の面のことをいう。
図9において左側)に、媒体挿入排出口45が設けられている。
【0060】
この媒体挿入排出口45は、上記実施例1の媒体挿入排出口2と同様に、通帳および伝票の挿入および排出を兼用で行う一つの開口であって、その開口の下面は、共用搬送路13の突出した突当てシャッタ16の上面と同等の高さに設けられ、取扱媒体の中で最大の媒体が挿入可能な大きさを有しており、装置本体の正面に開口している。このため挿入センサ15は、媒体挿入排出口45の直近に配置されている。
また、本実施例においては、媒体挿入排出口45から挿入された通帳および伝票からなる2種類の媒体は、前後搬送ローラ14に挟持されて搬送され、媒体取込排出部9に取込まれる。
【0061】
46は通帳セットセンサであり、上記実施例1の通帳セットセンサ17と同様の光学式のセンサであって、突当てシャッタ16の上側で共用搬送路13の背面側(
図9において右側)に配置されており、通帳の下端が突当てシャッタ16に突当てられて位置決めされたことを検出すると共に、媒体挿入排出口45から挿入された通帳および伝票の挿入方向の先端を検出して媒体が媒体取込排出部9に取込まれたことを検出する。
【0062】
本実施例の通帳伝票プリンタ1は、
図10に示すように、通帳伝票プリンタ1への指示入力等を行う入力装置10が載置された机の下等に媒体挿入排出口45を正面側に向けて縦長に設置される。
以下に、本実施例の通帳伝票プリンタ1による媒体処理の処理動作について説明する。
【0063】
本実施例の通帳伝票プリンタ1の初期状態は、前後搬送ローラ14は共用搬送路13内で一対の搬送ローラを突合せた状態になっており、上下搬送ローラ11、幅寄せローラ18、突当てシャッタ16、伝票搬送ローラ30a、30bは共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0064】
オペレータが顧客の通帳Tの記帳ページを開いて、媒体挿入排出口45から綴じ目の直交方向に沿った方向に通帳Tを印字面を垂直にして挿入すると、通帳伝票プリンタ1の図示しない制御部は、挿入センサ15で媒体の挿入を検出し、前後搬送ローラ14をR方向(
図9参照)への搬送方向に回転させ、当該媒体を挟持して搬送する。
【0065】
次いで、制御部は、上記実施例1のプロセスP2と同様にして、挿入された媒体が通帳Tであるか伝票Sであるかを判定し、通帳Tと判定した場合は、突当てシャッタ16を突出させて共用搬送路13を閉鎖する。また、伝票Sと判定した場合は、突当てシャッタ16をそのままにして共用搬送路13を開放したままにする(本段階では、挿入された媒体を通帳Tと判定し、突当てシャッタ16によって共用搬送路13を閉鎖する。)。
【0066】
そして、制御部は、通帳セットセンサ46が通帳Tの挿入方向の先端を検出するまで前後搬送ローラ14を回転させ、通帳セットセンサ46が通帳Tの先端を検出したときに前後搬送ローラ14を全て停止させ、前後搬送ローラ14を共用搬送路13から退避させて通帳Tを自重により落下させて突当てシャッタ16に突当てる。これにより、通帳Tの下端が自動的に通帳基準面22と同じ高さに位置決めされる。
【0067】
通帳Tの位置決めを終えると、制御部は、位置決めされた通帳Tを前後搬送ローラ14により再び挟持してR方向へ搬送し、これを媒体取込排出部9から通帳搬送路23の通帳搬送ローラ21に引渡してページセンサ26での読取り位置へ搬送してページマークを読取ると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25によって通帳Tの縦型磁気ストライプから記帳中のページ等の通帳情報を読取り、上記実施例1のプロセスP3と同様にして、通帳印字ヘッド3aで通帳Tへの印字処理を行う。なお、突当てシャッタ16は通帳Tの通帳搬送路23への引渡し後に共用搬送路13から退避させる。
【0068】
この通帳Tへの印字処理の過程で挿入センサ15が媒体挿入排出口45から挿入された新たな媒体、本実施例では伝票Sの挿入方向の先端を検出した場合、制御部は、その挿入を受入れ、上記通帳Tの場合と同様にして、前後搬送ローラ14により当該伝票Sを挟持してR方向へ搬送する。このとき、上下搬送ローラ11、幅寄せローラ18、突当てシャッタ16は共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0069】
そして、制御部は、上記通帳Tの場合と同様にして、経過時間を基に媒体の長さを検出し、その長さによって媒体が伝票Sであると判定し、通帳セットセンサ46が伝票Sの挿入方向の先端を検出するまで前後搬送ローラ14を回転させ、通帳セットセンサ46が伝票Sの先端を検出したときに前後搬送ローラ14を全て停止させ、伝票Sを上下搬送ローラ11a、11bで挟持した後に前後搬送ローラ14を共用搬送路13から退避させて伝票Sを上下搬送ローラ11に引渡し、上下搬送ローラ11により共用搬送路13を開放した状態になっている突当てシャッタ16を通過させて、当該伝票SをL方向へ搬送する。このとき、伝票搬送路31の伝票搬送ローラ30a、30bは共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0070】
なお、通帳Tへの印字処理の終了までに挿入センサ15が媒体を検出しなかった場合は、後述する通帳Tのみの処理と同様にして、印字処理等を終えた通帳Tを媒体挿入排出口45から排出してオペレータへ引渡す。
【0071】
当該伝票SをL方向へ搬送した制御部は、上記実施例1のプロセスP4と同様にして、伝票Sを自重により落下させて伝票基準面20に突当てる。これにより、伝票Sの下端が自動的に伝票基準面20に位置決めされる。
伝票Sの位置決めを終えると、制御部は、上記実施例1のプロセスP5と同様にして、伝票印字ヘッド6aで伝票Sへの印字処理を行う。
【0072】
そして、制御部は、通帳Tへの印字処理が終了し、かつ伝票Sが伝票印字位置へ搬送されたことを認識したときに、突当てシャッタ16を開放状態のままにして、印字処理を終えた通帳Tを通帳搬送ローラ21および前後搬送ローラ14で挟持してF方向へ搬送すると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25により通帳Tの磁気ストライプの通帳情報に現在の記帳ページ等を書込み、前後搬送ローラ14により挿入センサ15が通帳Tの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に前後搬送ローラ14を停止して媒体挿入排出口45から通帳Tを排出し、挿入センサ15によってオペレータによる通帳Tの受取りを確認する。このとき、上下搬送ローラ11は共用搬送路13から退避した状態になっている。
【0073】
オペレータによる通帳Tの受取りを確認した制御部は、上記実施例1のプロセスP5と同様にして、印字処理を終えた伝票Sを、伝票搬送ローラ30によりF方向へ搬送して上下搬送ローラ11に引渡し、上下搬送ローラ11で挟持して解放状態の突当てシャッタ16を通過させてU方向へ搬送し、通帳セットセンサ46が伝票Sの排出方向の後端を検出したときに、上下搬送ローラ11を停止させ、伝票Sを前後搬送ローラ14で挟持した後に上下搬送ローラ11を共用搬送路13から退避させて伝票Sを前後搬送ローラ14に引渡し、前後搬送ローラ14により挿入センサ15が伝票Sの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に前後搬送ローラ14を停止して媒体挿入排出口45から通帳Sを排出し、挿入センサ15によってオペレータによる通帳Sの受取りを確認する。
【0074】
このようにして、本実施例の通帳伝票プリンタ1による通帳および伝票を連続的かつ同時に処理する媒体処理の処理動作が行われる。
なお、通帳のみを処理する場合は、上記プロセスで説明した通帳Tの処理動作のみを実行し、伝票のみを処理する場合は、上記プロセスで説明した伝票Sの処理動作のみを実行するようにする。
【0075】
また、上記では通帳の挿入を先に受入れ、通帳の印字処理中に伝票を受入れるとして説明したが、伝票の挿入を先に受入れ、伝票の印字処理中に通帳を受入れるようにしてもよい。この場合は、前記伝票のみを処理するプロセスを先に実行し、伝票の印字処理中に前記通帳のみを処理するプロセスにより通帳を通帳処理部5へ搬送するとよい。
【0076】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、媒体挿入排出口を正面側に配置したので、通帳伝票プリンタを机等の下側に設置することができ、応対窓口等の通帳伝票プリンタを設置する空間のスペースユーティリティを更に向上させることができる(
図10参照)。