(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走行車体(2)の後部に昇降自在に作業装置(4)を設け、該作業装置(4)に圃場を均す整地装置(27a,27b)を設け、該整地装置(27a,27b)の上下位置を調節する整地装置昇降アクチュエータ(63)を走行車体(2)に設け、前記作業装置(4)の左右両側に波の発生を防止する防波部材(25)を回動可能に設けると共に、該防波部材(25)の回動を検出する防波部材回動検知装置(29)を設け、
前記制御装置(100)は、該防波部材回動検知装置(29)が所定値以上の防波部材(25)の回動を検出すると、前記整地装置昇降アクチュエータ(63)を作動させて整地装置(27a,27b)を昇降させる制御を行なうことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の苗移植機は、エンジン回転数を作業状態に合わせて変更することが可能であるが、エンジンの出力特性に合致するようエンジン回転数やHST開度を自動調節する機構を持たないため、作業条件によっては燃費が悪くなる問題がある。
【0005】
また、後輪回転数センサで走行距離を算出することができるが、後輪回転数センサで検出できるのは数値上の距離であるため、車輪のスリップ等により実際の移動距離が短くなっても、作業者が気付いて手動でHST開度を操作しないとスリップを起こさないトルク値を確保できないため、作業能率が低下する問題がある。
そこで、本発明の課題は、エンジンの出力特性に合致するようエンジン回転数やHST開度を自動調節する機構を備えた苗移植機などの作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、前輪(10)及び後輪(11)を備えた走行車体(2)とエンジン(20)と油圧式無段変速装置(23)を設けた作業車両において、
該エンジン(20)の回転数を計測するエンジン回転数センサ(16)
を設け、
該エンジン(20)の駆動トルクを検出するトルクセンサ(17)
を設け、
前記油圧式無段変速装置(23)の開度を調節するHSTサーボアクチュエータ(30)
を設け、
前記エンジン回転数センサ(16)とエンジン(20)の駆動トルクから適切なエンジン出力特性となる仮想ラインを設定し、前記トルクセンサ(17)が検出するエンジン(20)の駆動トルクが前記仮想ラインを上回ると共に、前記エンジン回転数センサ(16)が検出するエンジン(20)の回転数が設定されたピーク値を下回るときは、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を増加させ、前記トルクセンサ(17)が検出するエンジン(20)の駆動トルクが前記仮想ラインを下回ると共に、前記エンジン回転センサ(16)が検出するエンジン(20)の回転数が設定されたピーク値を下回るときは、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を減少させると共に、前記トルクセンサ(17)が検出するエンジン(20)の駆動トルクが設定されたピーク値を下回ると共に、エンジン回転数センサ(16)が検出するエンジン(20)の回転数が設定されたピーク値を上回るときは、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を下げてトルク値を上げ、駆動トルクとエンジン回転数が設定された最大値になると油圧式無段変速装置(23)の開度を設定された開度に戻す制御を行なう制御装置(100)を設けたことを特徴とする作業車両である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記走行車体(2)に後輪(11)の回転数を検出する後輪回転数センサ(22)を設け、衛星情報から位置情報を取得するGPSレシーバー(23)を設け、前記制御装置(100)は、所定区間内の前記後輪回転数センサ(22)の検出回転数
に基づく移動距離と、前記GPSレシーバー(23)からの情報に基づく移動距離をそれぞれ算出し、前記2つの移動距離が共に設定値内であれば、現在のHST開度を維持し、
GPSレシーバー(23)からの情報に基づく移動距離に比べて後輪回転数
センサ(22)の検出回転数に基づく移動距離が大きいときはスリップが生じていると判断し、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を下げ、GPSレシーバー(23)からの情報に基づく移動距離に比べて後輪回転数
センサ(22)の検出回転数に基づく移動距離が小さいときは圃場の抵抗が小さいと判断し、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を上げる制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0009】
請求項3記載の発明は、
前記走行車体(2)に操舵用ハンドル(34)を設け、該操舵用ハンドル(34)の切角度を検出するハンドル切角センサ(28)を設け、前記制御装置(100)は、該ハンドル切角センサ(28)が所定値以上の切角度を検出すると、現在の油圧式無段変速装置(23)の開度を記憶すると共に、所定時間内の前記後輪回転数センサ(22)の回転数とGPSレシーバー(23)からの情報に基いて各々移動距離を算出し、該2つの移動距離が共に設定値内であれば、現在の油圧式無段変速装置(23)の開度を維持し、前記GPSレシーバー(23)からの情報に基づく旋回時の移動距離に比べて、前記後輪回転数センサ(22)の検出値に基づき得られる旋回時の移動距離が大きい場合はスリップが生じていると判断し、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を下げると共に、前記GPSレシーバー(23)から得られる旋回時の移動距離に比べて後輪回転数センサ(22)の検出値に基づき得られる旋回時の移動距離が小さいときは圃場の抵抗が小さいと判断し、前記HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を上げると共に、前記ハンドル切角センサ(28)の検出角度が予め決められた所定角度未満になると旋回移動前の油圧式無段変速装置(23)の開度に戻す制御を行なうことを特徴とする請求項
2に記載の作業車両である
【0010】
請求項4記載の発明は、
前記走行車体(2)の後部に昇降自在に作業装置(4)を設け、該作業装置(4)に圃場を均す整地装置(27a,27b)を設け、該整地装置(27a,27b)の上下位置を調節する整地装置昇降アクチュエータ(63)を走行車体(2)に設け、前記作業装置(4)の左右両側に波の発生を防止する防波部材(25)を回動可能に設けると共に、該防波部材(25)の回動を検出する防波部材回動検知装置(29)を設け、前記制御装置(100)は、該防波部材回動検知装置(29)が所定値以上の防波部材(25)の回動を検出すると、前記整地装置昇降アクチュエータ(63)を作動させて整地装置(27a,27b)を昇降させる制御を行なうことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記防波部材回動検知装置(29)が所定値以上の回動を検出し、且つ
後輪(11)の回転数を検出する後輪回転数センサ(22)の回転数が所定値未満のときは、前記昇降アクチュエータ(30)を作動させないことを特徴とする請求項4に記載の作業車両である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記作業装置(4)の下部に作業装置の高さを検出するフロート(55)を設け、該作業装置(4)を昇降させる作業装置昇降アクチュエータ(46)の伸縮量を検出・記録する伸縮量センサ(81)を設け、前記制御装置(100)は、
後輪(11)の回転数を検出する後輪回転数センサ(22)の回転数から走行車体(2)の走行速度を算出し、走行速度が所定値以上になると作業装置昇降アクチュエータ(46)を作動させて作業装置(4)を上昇させると共に、前記作業装置(4)の上昇が完了すると作業装置昇降アクチュエータ(46)の伸縮量を伸縮量センサ(81)が記憶することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0013】
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、
トルクセンサ(17)が検出するエンジン(20)の駆動トルクが仮想ラインを上回ると共に、エンジン回転数センサ(16)が検出するエンジン(20)の回転数が設定されたピーク値を下回るときは、HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を増加させることにより、エンジン(20)のトルク値が下がるので、設定されたエンジン出力特性に合致する作業状態となり、自動的に燃費が良い状態に維持され、燃費が向上する。
【0015】
そして、トルクセンサ(17)の検出値が仮想ラインを下回ると共に、エンジン回転数センサ(16)の検出値が設定されたピーク値を下回るときは、HSTサーボアクチュエータ(30)を作動させて油圧式無段変速装置(23)の開度を減少させることにより、エンジン(20)のトルク値が上がるので、設定されたエンジン出力特性に合致する作業状態となり、自動的に燃費が良い状態に維持されて燃費が向上する。
さらに、トルクセンサ(17)の検出値が設定されたピーク値を下回ると共に、エンジン回転数センサ(16)の検出値が設定されたピーク値を上回るときは、油圧式無段変速装置(23)の開度を下げてトルク値を上げた後、駆動トルクとエンジン回転数が設定された最大値になると油圧式無段変速装置(23)の開度を設定された開度に戻す制御を行なう構成としたことにより、エンジン回転数を急激に低下させることなくエンジン出力特性に合わせることができるので、機体の揺れや燃費の悪化が防止される。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、
後輪回転数センサ(22)の検出値による数値上の移動距離と、GPSレシーバー(23)による実際の移動距離を比較することができるので、湿地などスリップが発生しやすい場所であっても、作業条件に適合する制御を行うことができる。
【0017】
これにより、実際の移動距離が数値上の移動距離よりも短いときは、スリップが発生していると判断できるので、油圧式無段変速装置(23)の開度を下げてエンジン(20)のトルク値を上げることにより、湿地に足を取られない走行出力が確保されるため、作業能率が従来よりも向上する。
【0018】
また、実際の移動距離が数値上の移動距離よりも長いときは、地面の抵抗が低いと判断できるので、油圧式無段変速装置(23)の開度を上げてエンジン(20)のトルク値を下げることができるので、燃費が向上する。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求
項2記載の発明の効果に加えて、
後輪回転数センサ22の検出値に基づく旋回移動距離とGPSレシーバー23からの情報に基づく旋回移動距離により、数値上の旋回移動距離と実際の旋回移動距離とを比較することができるので、スリップの生じやすい湿地上での旋回時にも、作業条件に適合する制御を行うことができる。
【0020】
これにより、実際の旋回移動距離が数値上の旋回移動距離よりも短いときは、スリップが発生していると判断できるので、油圧式無段変速装置(23)の開度を下げてエンジン(20)のトルク値を上げることにより、湿地に足を取られない走行出力が確保されるため、旋回性能が向上し、作業能率が向上する。
【0021】
また、実際の旋回移動距離が数値上の旋回移動距離よりも長いときは、地面の抵抗が低いと判断できるので、油圧式無段変速装置(23)の開度を上げてエンジン(20)のトルク値を下げることができ、燃費が従来より向上する。
さらに、ハンドル(34)操作時にハンドル切角センサ(28)が旋回角度を検出したとき、現在の油圧式無段変速装置(23)の開度を記憶し、旋回角度未満にハンドル(34)が戻されると、記憶した油圧式無段変速装置(23)の開度に自動的に変更する構成としたことにより、作業者は旋回後に油圧式無段変速装置(23)の開度を操作する必要がなく、操作性や作業能率が従来よりも向上する。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、
作業装置(4)の防波部材(25)が所定値(角度、回数、時間等)以上回動する、即ち地面の凸部に接触した状態、または凸部から離れて元の位置に戻った状態になると、整地装置昇降アクチュエータ(63)を作動させて整地装置(27a,27b)の上下位置を変更する構成としたことにより、地面の凹凸に合わせて整地装置(27a,27b)の作業高さが変更されるので、地面の凸部を確実に均すことができ、作業能率が向上する。
【0023】
【0024】
【0025】
請求項5記載の発明によれば、請求
項4記載の発明の効果に加えて、
防波部材回動検知装置(29)が所定値以上の回動を検出しても、後輪回転数センサ(22)の回転数が所定値未満のとき、即ち走行速度が低速であるときは整地装置昇降アクチュエータ(63)を作動させないことにより、整地装置(27a,27b)の上下位置が短い間隔で急激に変化することを防止できるので、整地ミスや整地装置(27a,27b)及び防波部材(25)の負荷が防止され、耐久性が向上する。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、請求項
請求項1から5
のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、
後輪回転数センサ(22)の回転数から走行速度を算出し、走行速度が所定値以上になると作業装置昇降用アクチュエータ(46)を僅かに引いて作業装置(4)を僅かに上昇させる構成としたことにより、作業装置(4)の下部に設けたフロート(55)と地面の間に僅かな間隔を生じさせることができるので、高速作業時にフロート(55)が地面の土を押し上げることが防止され、圃場の均平が保たれる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例である乗用型田植機の全体側面図である。
【
図2】
図1に示す乗用型田植機の全体平面図である。
【
図3】
図1に示す乗用型田植機の制御ブロック図である。
【
図4】
図1の乗用型苗移植機の整地ロータの支持構造の要部背面図である。
【
図5】
図1の乗用型苗移植機の整地ロータの駆動機構の略図である。
【
図6】
図1の乗用型苗移植機の整地装置の駆動系統の構成を説明する部分図である。
【
図7】
図1に示す乗用型田植機の予め設定されているエンジン回転数とトルクの関係を示す適切な出力特性を示すグラフである。
【
図8】
図1に示す乗用型田植機のエンジン回転数に対して駆動トルクが不足する場合の油圧式無段変速装置の開度を設定した開度に戻す制御のフローチャート図である。
【
図9】
図1に示す乗用型田植機のエンジン回転数センサとトルクとの間で適切なエンジン出力特性ラインと理論的に正比例する直線となる仮想ラインの関係を示すグラフである。
【
図10】
図1に示す乗用型田植機のエンジン出力特性の異なる領域でのHST開度の制御のフローチャートである。
【
図11】
図1に示す乗用型田植機の後輪回転数とGPSレシーバーからの情報に基づく移動距離からスリップの有無の判断をしてHST開度を制御するフローチャートである。
【
図12】
図1に示す乗用型田植機の旋回時に生じるスリップを検出してHSTの開度制御用のフローチャートである。
【
図14】
図1に示す乗用型田植機の防波板アームの回動に応じて整地ロータを昇降させる制御のフローチャートである。
【
図15】
図1に示す乗用型田植機の防波板アームの回動に応じて整地ロータを昇降させる制御のフローチャートである。
【
図16】
図1に示す乗用型田植機の防波板アームの回動に応じて整地ロータを昇降させる制御のフローチャートである。
【
図17】
図1に示す乗用型田植機の防波板の作動を説明する機体背面の一部拡大図である。
【
図18】
図1に示す乗用型田植機の防波板の作動回数により整地ロータを昇降させるフローチャートである。
【
図19】
図1に示す乗用型田植機の走行速度により苗植付装置の昇降させる昇降シリンダの伸縮量を記憶する制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び
図2は本発明を用いた一実施例である乗用型苗移植機の側面図と平面図である。この乗用型苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着されている。また、
図3に本実施例の乗用型田植機の制御ブロック図を示す。
【0030】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
また、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0031】
さらに、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(図示せず)を支点にして後輪ギアケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18,18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11,11が取り付けられている。
【0032】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、静油圧式無段変速装置(HST)23などを介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
【0033】
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース(図示せず)に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動される。
【0034】
エンジン20の上部に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。フロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は多数の穴が設けられており(
図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38を設けても良い。昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。
【0035】
そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降用油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0036】
苗植付部4は4条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a,…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト54,…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a,…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。
【0037】
これらフロート55,56,56を、圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52,…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動がフロート傾斜角センサ94(
図3)により検出され、その検出結果に応じ、前記昇降用油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0038】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0039】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61,…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62,…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず),…まで導き、施肥ガイド,…の前側に設けた作溝体64(
図1),…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62,…に吹き込まれ、施肥ホース62,…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
整地ロータ27a、27bの支持構造を
図4(背面図)に示し、整地ロータ27a、27bの駆動部の概略構成図を
図5に示す。
【0040】
ロータ駆動部には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。また、ロータ昇降用モータ63が梁部材66の軸方向延長線上に設けられている。ロータ支持フレーム68の下端には整地ロータ27(27a,27b)の駆動軸70(70a,70b)(
図4)が取り付けられている。また、該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
また、
図4に示すロータ昇降用モータ63に代えて支持アーム67に支持されたロータ高さ調節レバー69(
図1)の操作により支持アーム67を前後方向に回動させてロータ支持フレーム68を上下動させても良い。
【0041】
図5に示すようにミッションケース12から右側の後輪ギアケース18には中間部にユニバーサルジョイント18bを有する伝動シャフト18a、18cから動力が伝達され、後輪ギヤケース18内にある入力ギヤ(図示せず)から整地伝動シャフト72等を経由して駆動軸70aが駆動することで左側の整地ロータ27aが回転する。左側の各駆動軸70aにはベベルギア70vが設けられており、該ベベルギア70vには前記整地伝動シャフト72の先端に設けられたベベルギア72vと噛合することでミッションケース12側からの駆動力が伝達される。
【0042】
機体左右方向の中央部には整地ロータ27bが配置されており、整地ロータ27bのロータ駆動軸70bで駆動される。該ロータ駆動軸70bには左側ロータ駆動軸ケース73の駆動チェーン73aからの動力が伝達される。さらに右側ロータ駆動軸70aにはロータ駆動軸70bから右側ロータ駆動軸ケース73の駆動チェーン73aを経由して動力が伝達される。
【0043】
エンジン20にはエンジン回転数を計測するエンジン回転数センサ16とエンジンの駆動トルクを検出するトルクセンサ17が設けられており、HSTサーボアクチュエータ30は油圧式無段変速装置(HST)23の開度(トラニオン軸の回転により調整させる斜板の回転角度)を調節する。
【0044】
そして、
図7には予め設定されているエンジン回転数とトルクの関係を示す適切な出力特性を示すグラフを示す。制御装置100はエンジン回転数センサ16とエンジンの駆動トルクセンサ17による各検出値に基づいてエンジン20の回転数と駆動トルクが
図7に示す適切な関係が得られるようにエンジン20の回転数の増減を行う制御を実行する。
【0045】
そして、もしエンジン回転数に対して駆動トルクが
図7に示す出力特性より少ないとき、エンジン回転数を上昇させても適切な出力特性となるトルクが得られない場合にはHSTサーボアクチュエータ30を作動させて油圧式無段変速装置23の開度を下げて、前記適切な出力特性となるトルクを得て、その後再びHSTサーボアクチュエータ30を作動させて油圧式無段変速装置23の開度を設定した開度に戻す制御を制御装置100は実行する。この場合のフローチャートを
図8に示す。
なお、
図8において「エンジン回転数x」には、エンジン回転数センサ16による常時計測する計測値を定区間で平均化した値を使用する。
【0046】
このようにトルクセンサ17の検出値及び回転数センサ16の検出値を予め設定された適切な出力特性ラインL1と比較し、エンジン回転数を出力特性に合致する値に変更する制御構成としたことにより、自動的に燃費が良い状態に維持されるので、燃費が従来より向上する。
【0047】
また、トルクがピーク値A(
図7)よりも低く、エンジン回転数が前記ピーク値Aを超えている状態、すなわちエンジン回転数を変更できない状態であるときは、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を下げ、トルクを上昇させて出力特性ラインL1に合わせる制御構成としたことにより、エンジン回転数の急激な低下が防止され、走行車体の揺れや燃費の悪化が防止される。
【0048】
図9に示すようにエンジン回転数センサ16とトルクとの間で適切なエンジン出力特性ラインL1に対して理論的に正比例する直線となる仮想ラインL0を設定(この場合のエンジン出力特性ラインL1は
図7のエンジン出力特性ラインL1とは同じライン)する。そして、
図10のフローチャートに示すように、トルクセンサ17の検出値(Trx)が前記仮想ラインL1を上回り、エンジン回転数の検出値(x)が予め設定されたピーク値A(
図7)以内である場合には、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を増加させ、トルクセンサ17の検出値(Trx)が前記仮想ラインL0を下回り、エンジン回転数センサ16の検出値(x)が予め設定されたピーク値A以内である場合には、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を減少させ、トルクセンサ17の検出値(Trx)が予め設定されたピーク値A以内であり、エンジン回転数センサ16の検出値(x)が予め設定されたピーク値Aを超えた場合には、HST開度を下げてトルク値を上げた後、再び設定開度に戻す制御を行なう。
【0049】
こうして、トルクセンサ17の検出値(Trx)が仮想ラインL0を上回り、エンジン回転数センサ16の検出値(x)がピーク値A以内である場合、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を増加させることにより、トルク値が下がるため、予め設定した適切なエンジン出力特性に合致する作業状態となり、自動的に燃費が良い状態に維持されて燃費が向上する。
【0050】
そして、トルクセンサ17の検出値(Trx)が仮想ラインL0を下回り、エンジン回転数センサ16の検出値(x)がピーク値A以内である場合、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を減少させることにより、トルク値が上がるため、前記エンジン出力特性に合致する作業状態となり、自動的に燃費が良い状態に維持されて燃費が向上する。
【0051】
さらに、トルクセンサ17の検出値(Trx)がピーク値A以内であり、エンジン回転数センサ16の検出値(x)がピーク値Aを超えた場合、HST開度を下げてトルク値を上げた後、再び設定開度に戻す制御を行なう構成としたことにより、エンジン回転数を急激に低下させることなくエンジン出力特性に合わせることができるので、走行車体2の揺れや燃費の悪化が防止される。
【0052】
図11に示すフローチャートに示すように、後輪11の回転数を検出する後輪回転数センサ22と衛星情報から位置情報を取得するGPSレシーバー23とを設け、所定区間の後輪回転数センサ22の検出回転数とGPSレシーバー23から得た情報に基づき移動距離をそれぞれ算出し、前記2つの
情報から得られる移動距離が共に設定値(例;約5回転、約4.5〜9m)内であれば、現在のHST開度を維持し、前記移動距離に比べて後輪回転数
から得られる移動距離が大きい場合は、スリップが生じていると判断し、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を下げ、前記移動距離に比べて後輪回転数
から得られる移動距離が小さい場合は、圃場の抵抗が小さいと判断し、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を上げる制御を行う。
こうして、後輪回転数センサ22の検出値による数値上の移動距離とGPSレシーバー23よる実際の移動距離とを比較することができるので、湿地などスリップが発生しやすい場所であっても、作業条件に適合する制御を行うことができる。
【0053】
これにより、実際の移動距離が数値上の移動距離よりも短い場合、スリップが発生していると判断できるので、HST開度を下げてトルク値を上げることにより、湿地に足を取られない走行出力が確保されるため、作業能率が従来よりも向上する。なお、この場合エンジン出力特性との合致は考慮しないものとする。
【0054】
また、実際の移動距離が数値上の移動距離よりも長い場合、地面の抵抗が低いと判断できるので、HST開度を上げてトルク値を下げることができ、燃費が向上する。但し、エンジン出力特性との合致を優先する。
【0055】
図12には旋回時に生じるスリップを検出してHSTの開度制御(出力制御)を行う制御用のフローチャートを示す。
操舵用ハンドル34の切角度を検出するハンドル切角センサ28が所定値(例;90〜120度以上)以上の切角度を検出すると、現在のHST開度を記憶し、所定時間(例;約3〜5秒)内の後輪回転数センサ22の回転数と、GPSレシーバー23から得た移動距離を算出し、両者が共に設定値(例:約1〜2回転、1.0〜1.5m)内であれば、現在のHST開度を維持し、GPSレシーバー23から得られる旋回時の移動距離(以下、旋回距離という)に比べて後輪回転数センサ22の検出値に基づき得られる旋回距離が大きい場合は、スリップが生じていると判断し、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を下げ、GPSレシーバー23から得られる旋回距離に比べて後輪回転数センサ22の検出値に基づき得られる旋回距離が小さい場合は、圃場の抵抗が小さいと判断し、HSTサーボアクチュエータ30を作動させてHST開度を上げ、ハンドル切角センサ28の検出角度が予め決められた所定角度(例;120〜90度未満)未満になると、旋回移動前のHST開度に戻す制御構成を行う。
【0056】
こうして、後輪回転数センサ22の検出値とGPSレシーバー23で得た値により、旋回時にも数値上の移動距離と実際の移動距離とを比較することができるので、スリップの生じやすい湿地上での旋回時にも、作業条件に適合する制御を行うことができる。これにより、実際の旋回距離が数値上の旋回距離よりも短い場合、スリップが発生していると判断できるので、HST開度を下げてトルク値を上げることにより、湿地に足を取られない走行出力が確保されるため、旋回性能が向上し、作業能率が向上する。
【0057】
また、実際の旋回距離が数値上の旋回距離よりも長い場合、地面の抵抗が低いと判断できるので、HST開度を上げてトルク値を下げることができ、燃費が向上する。但し、エンジン出力特性との合致が優先されるものとする。さらに、ハンドル切角センサ28が旋回角度を検出すると同時に現在のHST開度を記憶し、旋回角度未満にハンドルが戻されると、記憶したHST開度に自動的に変更する構成としたことにより、作業者は旋回後にHST開度を操作する必要がなく、操作性や作業能率が従来よりも向上する。
【0058】
作業装置(苗植付部4)には圃場を均す整地装置27a,27bを装着しているが、整地装置27a,27bの上下位置を調節するロータ昇降用モータ63を走行車体15に装着している。また、
図1、
図2の作業車両の全体図及び
図13の苗移植機の背面の部分図に示すように、苗植付部4が圃場を進行中に泥押しで波を発生させて、圃場に植え付け済みの苗に泥が被さったり、押し除けたりすることを防ぐために苗載台51の下部の左右両側に防波板24を防波板アーム25を介して取り付けることがある。
【0059】
ここで、防波板24を下げたままでは、圃場の泥を防波板24が押して圃場に植え付け済みの苗に泥が被さったり、押し除けたりするので、これら不具合を無くすために、防波板24に回動自在に防波板アーム25を取り付け、泥の押し上げにより防波板アーム25を上下に回動させるようにする。
【0060】
そして、防波板アーム25が所定値(例えば、連続して2〜5秒間の間、5度〜8度の角度で所定回数)以上の回動したことを防波板アーム回動センサ29が検出すると、ロータ昇降用モータ63を作動させて整地装置27a,27bを昇降させる制御構成を備えている。この制御の一例をフローチャートとして
図14に示す。
【0061】
また、例えば、3〜7秒間の間の所定時間内に、例えば5〜8度の所定回動角度以上、防波板アーム25が回動すると、その回動回数が例えば4〜6回あると、圃場の凹凸が多過ぎるために整地精度に影響を与えることがある。そこで、このように防波板アーム25の上下動が多過ぎる場合にはロータ昇降用モータ63を作動させて整地装置27a,27b全体を上げる制御構成とする必要がある。この制御の一例をフローチャートとして
図15に示す。
【0062】
また、
図16に示すフローチャートは、防波板アーム25が所定角度(例;5度)以上回動し、さらに後輪回転数センサ22で検知される移動距離が所定距離(例:1〜1.5m)以上であるとロータ昇降用モータ63を作動させて整地装置27a,27bを上昇させる制御構成からなる。
【0063】
また、
図17の機体背面の部分拡大図に示すように、苗載台51の下部両端部に回動自在の防波板アーム25の基部を装着し、該防波板アーム25の先端に防波板24を取り付けた構成を採用しても良い。この場合は
図18のフローチャートに示すように、圃場の泥で防波板24が押されて防波板アーム25が上下するので、防波板アーム25の上下動の回数が、例えば3回以上になると、整地ロータ27a,27bを上昇させる。例えば、防波板アーム25の基部側の端部が苗載台51の下部に設けた接触センサ80に接触する回数をカウントし、その値が3回以上であると整地装置27a,27bを上昇させる構成にする。
【0064】
防波板24を防波板アーム25を介して苗載台51に回動可能に設け、防波板アーム回動センサ29が所定値(例5度)以上の回動を検出した際に、後輪回転数センサ22の回転数が所定値(例0.1〜1回転)未満の場合は、整地ロータ昇降用モータ63を作動させない構成としても良い。
【0065】
こうして、防波アーム回動センサ29が所定値以上の回動を検出しても、後輪回転数センサ22の回転数が所定値未満の場合、即ち走行速度が低速である場合は整地ロータ昇降用モータ63を作動させないことにより、整地ロータ27a,27bの上下位置が短い間隔で急激に変化することを防止できるので、整地ミスや整地ロータ27a,27b、防波板24の負荷が防止され、耐久性が従来よりも向上する。
【0066】
作業装置(苗植付部4)の下部に苗植付装置52の高さを検出するフロート55を設け、
図19に示すフローチャートで示すように苗植付部4を昇降させる昇降シリンダ46の作動毎に、その伸縮量を検出する伸縮量センサ81と、該伸縮量センサ81の検出値を記憶し、後輪回転数センサ22の回転数から走行速度を算出し、走行速度が所定値以上になると昇降(油圧)シリンダ46を作動させて苗植付部4を上昇させ、苗植付部4の上昇が完了すると昇降(油圧)シリンダ46の伸縮量を伸縮量センサ81が記憶する制御構成を制御装置100は備えている。
【0067】
後輪回転数センサ22の回転数から走行速度を算出し、走行速度が所定値以上になる昇降(油圧)シリンダ46を僅かに引いて苗植付部4を僅かに上昇させる構成としたことにより、苗植付部4の下部に設けたフロート55と地面の間に僅かな間隔を生じさせることができるので、高速作業時にフロート55が地面の土を押し上げることが防止され、圃場の均平が保たれる。
【0068】
走行車体2の後部の左右両側、または苗植付部4の上側左右両側にそれぞれカメラを設置し、該カメラで既に圃場に植え付けている苗の植付条を撮影し、その画像が白くなると(波立ち状態であると)整地ロータ27a,27bを所定高さだけ上昇させる構成を採用しても良い。凹凸が多い場所で整地ロータ27a,27bを強く圃場面に当て過ぎると、泥が整地ロータ27a,27bの発生させる水流に巻き込まれて泥流となり、苗を押し倒しやすくなるため、整地ロータ27a,27bを若干上昇させ、波に泥が大量に混ざらないようにするためである。
【0069】
また、圃場に凸凹が多くあり、荒れていると画像が白くなる。そこで、圃場に凸凹又は荒れにより白い画像が一定面積以上あると、昇降用モータ63を作動させ、整地ロータ27a,27bを所定量上昇させて、整地ロータ7a,27bによる泥押しを防止して、前記カメラで撮影した苗の植付条が泥を被らないようにする。