【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図2は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の動力伝達経路の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【0021】
図1を参照すると、車両駆動装置1は、動力源として、燃料の燃焼エネルギーにより回転動力を出力するエンジン2と、電気エネルギーにより回転動力を出力するモータジェネレータ5と、を備えるハイブリッド車両を駆動する装置である。車両駆動装置1は、エンジン2と車輪7、8との間の動力伝達経路上にクラッチ3、変速機4、モータジェネレータ5、及び差動装置6を有する。車両駆動装置1は、エンジン2、クラッチ3、変速機4、及びモータジェネレータ5の制御系として、インバータ10と、バッテリ11と、エンジン制御装置12と、変速機制御装置13と、モータジェネレータ制御装置14と、バッテリ制御装置15と、ハイブリッド制御装置16と、センサ17と、を有する。
【0022】
エンジン2は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により、クランクシャフト2aから回転動力を出力する内燃機関である(
図1、
図2参照)。クランクシャフト2aの回転動力は、クラッチ3の入力側部材に伝達される。エンジン2は、各種センサ(エンジン回転センサ等)、アクチュエータ(インジェクタ、スロットルバルブを駆動するアクチュエータ等)を有し、エンジン制御装置12に通信可能に接続されており、エンジン制御装置12によって制御される。
【0023】
クラッチ3は、エンジン2及び変速機4との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、エンジン2から変速機4への回転動力を断接可能な装置である(
図1、
図2参照)。クラッチ3は、クランクシャフト2aと入力軸21との間の動力伝達経路上において、ダンパ部3a及びクラッチ部3bを有する。ダンパ部3aは、クランクシャフト2aと一体に回転する入力側部材と、クラッチ部3bの入力側に接続される中間部材と、の間に生じた変動トルクを弾性力によって吸収する部分である。クラッチ部3bは、ダンパ部3aの出力側に接続される中間部材と、変速機4の入力軸21と一体に回転する出力側部材と、が係合することで、中間部材から入力軸21へ回転動力を伝達する部分である。クラッチ3の係合/非係合動作は、変速機制御装置13によって駆動制御されるクラッチアクチュエータ(図示せず)によって行われる。
【0024】
変速機4は、エンジン2及びモータジェネレータ5の一方又は両方からの回転動力を変速して差動装置6に向けて出力する歯車機構である(
図1、
図2参照)。変速機4は、入力軸21、及び、入力軸21に略平行に配置された出力軸41、並びに、入力軸21に略平行に配置されたアイドラギヤ33、34用の軸32の平行3軸を有し、かつ、前進5速段に切換可能な平行3軸5速変速機構を有する。変速機4は、入力軸21と出力軸41との間の動力伝達経路上おいて、入力軸21と、入力軸22と、入力駆動ギヤ23と、入力アイドラギヤ24と、軸25と、第1駆動ギヤ26と、第2駆動ギヤ27と、第3駆動ギヤ28と、第4駆動ギヤ29と、第5駆動ギヤ30と、リバースアイドラギヤ31と、軸32と、第1アイドラギヤ33と、第2アイドラギヤ34と、第1切換機構35と、第2切換機構36と、出力軸41と、第1従動ギヤ42と、第2従動ギヤ43と、第3従動ギヤ44と、第4従動ギヤ45と、第3切換機構46と、第4切換機構47と、を有する。
【0025】
入力軸21は、エンジン2からの回転動力が入力される軸であり、クラッチ3の出力側部材と一体に回転する(
図1、
図2参照)。入力軸21の外周には、クラッチ3側から順に、第1駆動ギヤ26、第2駆動ギヤ27、第3駆動ギヤ28、第1切換機構35、第4駆動ギヤ29、第2切換機構36、第5駆動ギヤ30が配されている。入力軸21は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力軸21は、第1駆動ギヤ26、第2駆動ギヤ27、及び第3駆動ギヤ28と一体に回転する円環状の軸25を空転可能に支持する。入力軸21は、第4駆動ギヤ29を空転可能に支持する。入力軸21は、第5駆動ギヤ30を空転可能に支持する。入力軸21は、第4駆動ギヤ29と第5駆動ギヤ30との間に配された第2切換機構36において、第4駆動ギヤ29又は第5駆動ギヤ30を選択して連結可能に構成されている。
【0026】
入力軸22は、モータジェネレータ5からの回転動力が入力される軸である(
図1、
図2参照)。入力軸22は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力軸22は、入力駆動ギヤ23と一体に回転する。入力軸22は、モータジェネレータ5によるEV(Electric Vehicle)走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0027】
入力駆動ギヤ23は、モータジェネレータ5からの回転動力により入力アイドラギヤ24を回転駆動するギヤである(
図2参照)。入力駆動ギヤ23は、入力軸22と一体に回転する。入力駆動ギヤ23は、入力アイドラギヤ24と噛合っている。入力駆動ギヤ23は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0028】
入力アイドラギヤ24は、入力駆動ギヤ23からの回転動力により第1駆動ギヤ26を回転駆動するギヤである(
図2参照)。入力アイドラギヤ24は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力アイドラギヤ24は、入力駆動ギヤ23及び第1駆動ギヤ26と噛合っている。入力アイドラギヤ24は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0029】
軸25は、入力軸21に空転可能に支持された円環状の軸である(
図2参照)。軸25は、外周において、クラッチ3側から順に、第1駆動ギヤ26、第2駆動ギヤ27、及び第3駆動ギヤ28が配され、第1駆動ギヤ26、第2駆動ギヤ27、及び第3駆動ギヤ28と一体に回転する。軸25は、第3駆動ギヤ28と第4駆動ギヤ29との間に配された第1切換機構35において、第4駆動ギヤ29と連結可能に構成されている。軸25は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0030】
第1駆動ギヤ26は、第1従動ギヤ42を駆動するギヤである(
図2参照)。第1駆動ギヤ26は、軸25を介して第2駆動ギヤ27及び第3駆動ギヤ28と一体に回転する。第1駆動ギヤ26は、軸25を介して入力軸21に空転可能に支持されている。第1駆動ギヤ26は、入力アイドラギヤ24及び第1従動ギヤ42と噛合っている。第1駆動ギヤ26の径は、第3駆動ギヤ28の径よりも小さく構成されている。第1駆動ギヤ26は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0031】
第2駆動ギヤ27は、リバースアイドラギヤ31と噛合ったときに、リバースアイドラギヤ31を介して第2従動ギヤ43を駆動するギヤである(
図2参照)。第2駆動ギヤ27は、後退するときにリバースアイドラギヤ31と噛合い、後退以外のときにリバースアイドラギヤ31と噛合わない。第2駆動ギヤ27は、軸25を介して第1駆動ギヤ26及び第3駆動ギヤ28と一体に回転する。第2駆動ギヤ27は、軸25を介して入力軸21に空転可能に支持されている。
【0032】
第3駆動ギヤ28は、第3従動ギヤ44を駆動するギヤである(
図2参照)。第3駆動ギヤ28は、軸25を介して第1駆動ギヤ26及び第2駆動ギヤ27と一体に回転する。第3駆動ギヤ28は、軸25を介して入力軸21に空転可能に支持されている。第3駆動ギヤ28は、第3従動ギヤ44と噛合っている。第3駆動ギヤ28の径は、第1駆動ギヤ26の径よりも大きく構成されている。第3駆動ギヤ28は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0033】
第4駆動ギヤ29は、第4従動ギヤ45を駆動するギヤである(
図2参照)。第4駆動ギヤ29は、入力軸21に空転可能に支持されている。第4駆動ギヤ29は、第1切換機構35において、軸25と連結可能に構成されている。第4駆動ギヤ29は、第2切換機構36において、入力軸21と連結可能に構成されている。第4駆動ギヤ29は、第1アイドラギヤ33及び第4従動ギヤ45と噛合っている。第4駆動ギヤ29の径は、第5駆動ギヤ30の径よりも大きく構成されている。第4駆動ギヤ29は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0034】
第5駆動ギヤ30は、第2アイドラギヤ34を駆動するギヤである(
図2参照)。第5駆動ギヤ30は、入力軸21に空転可能に支持されている。第5駆動ギヤ30は、第2切換機構36において、入力軸21と連結可能に構成されている。第5駆動ギヤ30は、第2アイドラギヤ34と噛合っている。第5駆動ギヤ30の径は、第4駆動ギヤ29の径よりも小さく構成されている。第5駆動ギヤ30は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0035】
リバースアイドラギヤ31は、第2駆動ギヤ27及び第2従動ギヤ43と噛合ったときに、第2駆動ギヤ27の回転駆動を受けて第2従動ギヤ43を駆動するギヤである(
図2参照)。リバースアイドラギヤ31は、軸方向に移動可能であり、後退するときに第2駆動ギヤ27及び第2従動ギヤ43の両方と噛合い、後退以外のときに第2駆動ギヤ27及び第2従動ギヤ43の両方と噛合わず空転する。リバースアイドラギヤ31は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。リバースアイドラギヤ31の軸方向の移動は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置13によって駆動制御される。
【0036】
軸32は、軸方向における第4駆動ギヤ29及び第5駆動ギヤ30が配された位置にて、入力軸21に対して略平行に配置された軸である(
図2参照)。軸32は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。軸32は、外周において、クラッチ3側から順に、第1アイドラギヤ33及び第2アイドラギヤ34が配され、第1アイドラギヤ33及び第2アイドラギヤ34と一体に回転する。軸32は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0037】
第1アイドラギヤ33は、第4駆動ギヤ29を駆動するギヤである(
図2参照)。第1アイドラギヤ33は、軸32及び第2アイドラギヤ34と一体に回転し、軸32を介して変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。第1アイドラギヤ33は、第4駆動ギヤ29と噛合っている。第1アイドラギヤ33の径は、第2アイドラギヤ34の径よりも小さく構成されている。第1アイドラギヤ33は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0038】
第2アイドラギヤ34は、第5駆動ギヤ30からの駆動を受けるギヤである(
図2参照)。第2アイドラギヤ34は、軸32及び第1アイドラギヤ33と一体に回転し、軸32を介して変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。第2アイドラギヤ34は、第5駆動ギヤ30と噛合っている。第2アイドラギヤ34の径は、第1アイドラギヤ33の径よりも大きく構成されている。第2アイドラギヤ34は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0039】
第1切換機構35は、第1駆動ギヤ26、第2駆動ギヤ27、及び第3駆動ギヤ28と一体に回転する軸25と第4駆動ギヤ29との連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第1切換機構35は、EV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、25、26、28、42、44、46)とエンジン走行用ギヤトレーン(
図2の21、29、30、32、33、34、36、45、47)とを切り離す機構となる。第1切換機構35は、第3駆動ギヤ28と第4駆動ギヤ29との間に配されている。第1切換機構35は、第4駆動ギヤ29とスプライン係合するスリーブが軸25とスプライン係合することで第4駆動ギヤ29と軸25とを連結して第4駆動ギヤ29と軸25とを一体回転するようにし、当該スリーブを軸25とのスプライン係合を解除することで第4駆動ギヤ29と軸25との連結を解除して第4駆動ギヤ29と軸25とを相対回転可能にする。第1切換機構35の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置13によって駆動制御される。
【0040】
第2切換機構36は、入力軸21に対して第4駆動ギヤ29又は第5駆動ギヤ30を選択して連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第2切換機構36は、第4駆動ギヤ29と第5駆動ギヤ30との間に配されている。第2切換機構36は、入力軸21とスプライン係合するスリーブを「F」側に移動して第4駆動ギヤ29とスプライン係合することで入力軸21と第4駆動ギヤ29とを連結して入力軸21と第4駆動ギヤ29とを一体回転するようにする。第2切換機構36は、入力軸21とスプライン係合するスリーブを「R」側に移動して第5駆動ギヤ30とスプライン係合することで入力軸21と第5駆動ギヤ30とを連結して入力軸21と第5駆動ギヤ30とを一体回転するようにする。第2切換機構36の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置13によって駆動制御される。
【0041】
出力軸41は、変速機4に入力され変速された回転動力を差動装置6に向けて出力する軸である(
図1、
図2参照)。出力軸41の外周には、エンジン側(
図2の左側)から順に、第1従動ギヤ42、第3切換機構46(第2従動ギヤ43を含む)、第3従動ギヤ44、第4従動ギヤ45、第4切換機構47が配されている。出力軸41は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。出力軸41は、第1従動ギヤ42を空転可能に支持する。出力軸41は、第1従動ギヤ42と第3従動ギヤ44との間に配された第3切換機構46において、第1従動ギヤ42又は第3従動ギヤ44を選択して連結可能に構成されている。出力軸41は、第3切換機構46においてスプライン係合するスリーブに取り付けられた第2従動ギヤ43と一体に回転する。出力軸41は、第3従動ギヤ44を空転可能に支持する。出力軸41は、第4従動ギヤ45を空転可能に支持する。出力軸41は、第4切換機構47において、第4従動ギヤ45と連結可能に構成されている。出力軸41は、第1従動ギヤ42よりもエンジン側(
図2の左側)の部分にて出力駆動ギヤ51が取り付けられており、出力駆動ギヤ51と一体に回転する。なお、出力軸41は、第4切換機構47よりもエンジン側に対する反対側(
図2の右側)の部分に出力駆動ギヤ51が取り付けられてもよい。
【0042】
第1従動ギヤ42は、第1駆動ギヤ26によって駆動されるギヤである(
図2参照)。第1従動ギヤ42は、出力軸41に空転可能に支持されている。第1従動ギヤ42は、第3切換機構46において、出力軸41と連結可能に構成されている。第1従動ギヤ42は、第1駆動ギヤ26と噛合っている。第1従動ギヤ42の径は、第3従動ギヤ44の径よりも大きく構成されている。第1従動ギヤ42は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0043】
第2従動ギヤ43は、リバースアイドラギヤ31と噛合ったときに、リバースアイドラギヤ31を介して第2駆動ギヤ27によって駆動されるギヤである(
図2参照)。第2従動ギヤ43は、後退するときにリバースアイドラギヤ31と噛合い、後退以外のときにリバースアイドラギヤ31と噛合わない。第2従動ギヤ43は、第3切換機構46において出力軸41とスプライン係合するスリーブに取り付けられており、当該スリーブ及び出力軸41と一体に回転する。
【0044】
第3従動ギヤ44は、第3駆動ギヤ28によって駆動されるギヤである(
図2参照)。第3従動ギヤ44は、出力軸41に空転可能に支持されている。第3従動ギヤ44は、第3切換機構46において、出力軸41と連結可能に構成されている。第3従動ギヤ44は、第3駆動ギヤ28と噛合っている。第3従動ギヤ44の径は、第1従動ギヤ42の径よりも小さく構成されている。第3従動ギヤ44は、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0045】
第4従動ギヤ45は、第4駆動ギヤ29によって駆動されるギヤである(
図2参照)。第4従動ギヤ45は、出力軸41に空転可能に支持されている。第4従動ギヤ45は、第4切換機構47において、出力軸41と連結可能に構成されている。第4従動ギヤ45は、第4駆動ギヤ29と噛合っている。第4従動ギヤ45は、エンジン走行用ギヤトレーンの構成要素である。
【0046】
第3切換機構46は、出力軸41に対して第1従動ギヤ42又は第3従動ギヤ44を選択して連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第3切換機構46は、第1従動ギヤ42と第3従動ギヤ44との間に配されている。第3切換機構46は、出力軸41とスプライン係合するスリーブを「F」側に移動して第1従動ギヤ42とスプライン係合することで出力軸41と第1従動ギヤ42とを連結して出力軸41と第1従動ギヤ42とを一体回転するようにする。第3切換機構46は、出力軸41とスプライン係合するスリーブを「R」側に移動して第3従動ギヤ44とスプライン係合することで出力軸41と第3従動ギヤ44とを連結して出力軸41と第3従動ギヤ44とを一体回転するようにする。第3切換機構46におけるスリーブは、第2従動ギヤ43が取り付けられており、第2従動ギヤ43と一体に回転する。第3切換機構46の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置13によって駆動制御される。
【0047】
第4切換機構47は、出力軸41と第4従動ギヤ45との連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第4切換機構47は、出力軸41とスプライン係合するスリーブが第4従動ギヤ45とスプライン係合することで第4従動ギヤ45と出力軸41とを連結して第4従動ギヤ45と出力軸41とを一体回転するようにし、当該スリーブを第4従動ギヤ45とのスプライン係合を解除することで第4従動ギヤ45と出力軸41との連結を解除して第4従動ギヤ45と出力軸41とを相対回転可能にする。第4切換機構47の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置13によって駆動制御される。
【0048】
モータジェネレータ5は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である(
図1、
図2参照)。モータジェネレータ5は、インバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ5の出力軸は、入力軸22と連結され、入力軸22と一体に回転する。モータジェネレータ5は、エンジン2から変速機4を介して伝達された回転動力を用いて発電してバッテリ11を充電したり、車輪7、8からシャフト53、54、差動装置6、変速機4を介して伝達された回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を出力できる。モータジェネレータ5には、出力軸(図示せず)の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)、回転数センサ(図示せず)等の各種センサ(図示せず)が内蔵されており、各種センサがモータジェネレータ制御装置14に通信可能に接続されている。モータジェネレータ5は、インバータ10を介してモータジェネレータ制御装置14によって制御される。
【0049】
差動装置6は、変速機4の出力軸41から入力された回転動力を差動可能にシャフト53、54に伝達する装置である(
図1、
図2参照)。差動装置6は、変速機4の出力軸41と一体に回転する出力駆動ギヤ51を有する。差動装置6は、出力駆動ギヤ51と噛合うリングギヤ52を有する。差動装置6は、リングギヤ52から入力された回転動力を、差をつけてシャフト53、54に振り分ける。シャフト53は、車輪7と一体に回転する。シャフト54は、車輪8と一体に回転する。
【0050】
インバータ10は、モータジェネレータ制御装置14からの制御信号に応じて、モータジェネレータ5の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する装置である(
図1参照)。インバータ10は、昇圧コンバータ(図示せず)を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0051】
バッテリ11は、充電可能な2次電池である(
図1参照)。バッテリ11は、昇圧コンバータ(図示せず)及びインバータ10を介してモータジェネレータ5と電気的に接続されている。
【0052】
エンジン制御装置12は、エンジン2の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。エンジン制御装置12は、エンジン2に内蔵された各種アクチュエータ(図示せず;例えば、スロットルバルブ、インジェクタ等を駆動するアクチュエータ)、各種センサ(図示せず;例えば、エンジン回転センサ等)、及びハイブリッド制御装置16と通信可能に接続されている。エンジン制御装置12は、ハイブリッド制御装置16からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0053】
変速機制御装置13は、クラッチ3、及び変速機4(
図2の切換機構35、36、46、47、リバースアイドラギヤ31を含む)の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。変速機制御装置13は、各種アクチュエータ(図示せず)、各種センサ(図示せず;例えば、回転センサ等)、及びハイブリッド制御装置16と通信可能に接続されている。変速機制御装置13は、ハイブリッド制御装置16からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、変速マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0054】
モータジェネレータ制御装置14は、インバータ10を介してモータジェネレータ5の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。モータジェネレータ制御装置14は、インバータ10、各種センサ(図示せず;例えば、角度センサ等)、及びハイブリッド制御装置16と通信可能に接続されている。モータジェネレータ制御装置14は、ハイブリッド制御装置16からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0055】
バッテリ制御装置15は、バッテリ11の充放電状態を管理するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。バッテリ制御装置15は、ハイブリッド制御装置16と通信可能に接続されている。バッテリ制御装置15は、ハイブリッド制御装置16からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0056】
ハイブリッド制御装置16は、エンジン制御装置12、変速機制御装置13、モータジェネレータ制御装置14、及びバッテリ制御装置15の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。ハイブリッド制御装置16は、各種センサ17(例えば、車速センサ、アクセル開度センサ等)、エンジン制御装置12、変速機制御装置13、モータジェネレータ制御装置14、及びバッテリ制御装置15と通信可能に接続されている。ハイブリッド制御装置16は、車両の所定の状況に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて、エンジン制御装置12、変速機制御装置13、モータジェネレータ制御装置14、及びバッテリ制御装置15に対して制御信号を出力する。ハイブリッド制御装置16は、エンジン制御装置12を介してエンジン2の始動や停止を制御し、変速機制御装置13を介してクラッチ3の動作、
図2の切換機構35、36、46、47の切換動作、及びリバースアイドラギヤ31の移動を制御し、モータジェネレータ制御装置14を介してモータジェネレータ5の駆動、発電、回生を制御し、バッテリ制御装置15を介してバッテリ11を管理する。
【0057】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の各モードについて図面を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の各モードを模式的に示した表である。
図4〜
図15は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の各モードの動力伝達経路を模式的に示したスケルトン図である。
【0058】
[ニュートラル]
図3、
図4を参照すると、ニュートラルモードでは、クラッチ3がOFF(非係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がニュートラル、第3切換機構46がニュートラル、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2とモータジェネレータ5と差動装置6との間での動力の伝達がない。
【0059】
[停車(始動・発電)]
図3、
図5を参照すると、停車(始動・発電)モードでは、モータジェネレータ5の回転動力を用いてエンジン2を始動する場合、及び、エンジン2の回転動力を用いてモータジェネレータ5で発電する場合には、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がON(連結)、第2切換機構36がF側をON、第3切換機構46がニュートラル、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2とモータジェネレータ5との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第4駆動ギヤ29、第1切換機構35、軸25、第1駆動ギヤ26、入力アイドラギヤ24、入力駆動ギヤ23、入力軸22を経由した動力伝達経路が構成され、エンジン2及びモータジェネレータ5と差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。この状態で、エンジン2が停止しているときにモータジェネレータ5を回転させることでエンジン2を始動することができる。また、エンジン2が回転していればモータジェネレータ5で発電することができる。
【0060】
[EV走行(1速)]
図3、
図6を参照すると、EV走行(1速)モードでは、クラッチ3がOFF(非係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がニュートラル、第3切換機構46がF側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、エンジン2とモータジェネレータ5及び差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。これにより、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、第1切換機構35がOFF(非連結)となっているので、エンジン走行用ギヤトレーン(
図6の21、29、30、32、33、34、36)が回転せず、ギヤ噛合い数及び慣性重量が低減される。なお、EV(Electric Vehicle)走行とは、モータジェネレータ5のみが駆動可能な状態で走行することをいう。
【0061】
[EV走行(2速)]
図3、
図7を参照すると、EV走行(2速)モードでは、クラッチ3がOFF(非係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がニュートラル、第3切換機構46がR側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、エンジン2とモータジェネレータ5及び差動装置6との間には動力伝達経路が構成されない。これにより、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、第1切換機構35がOFF(非連結)となっているので、エンジン走行用ギヤトレーン(
図7の21、29、30、32、33、34、36)が回転せず、ギヤ噛合い数及び慣性重量が低減される。
【0062】
[HV走行(1速)]
図3、
図8を参照すると、HV走行(1速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がON(連結)、第2切換機構36がR側でON、第3切換機構46がF側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第5駆動ギヤ30、第2アイドラギヤ34、軸32、第1アイドラギヤ33、第4駆動ギヤ29、第1切換機構35、軸25、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。ここで、HV走行(1速)モードでは、エンジン2と差動装置6との間では、エンジン走行用ギヤトレーン(
図8の21、29、30、32、33、34、36)に加え、第1切換機構35によって第4駆動ギヤ29と軸25が連結されて、EV走行用ギヤトレーン(
図8の25、26、42、46)が用いられる。なお、HV(hybrid Vehicle)走行とは、エンジン2及びモータジェネレータ5の両方が駆動可能な状態で走行することをいう。
【0063】
[HV走行(2速)]
図3、
図9を参照すると、HV走行(2速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がON(連結)、第2切換機構36がF側でON、第3切換機構46がF側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第4駆動ギヤ29、第1切換機構35、軸25、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(1速)とHV走行(2速)との間のシフトでは、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。ここで、HV走行(2速)モードでは、エンジン2と差動装置6との間では、エンジン走行用ギヤトレーン(
図9の21、29、36)に加え、第1切換機構35によって第4駆動ギヤ29と軸25が連結されて、EV走行用ギヤトレーン(
図9の25、26、42、46)が用いられる。
【0064】
[HV走行(2.5速)]
図3、
図10を参照すると、HV走行(2.5速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がON(連結)、第2切換機構36がR側でON、第3切換機構46がR側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第5駆動ギヤ30、第2アイドラギヤ34、軸32、第1アイドラギヤ33、第4駆動ギヤ29、第1切換機構35、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。ここで、HV走行(2.5速)モードでは、エンジン2と差動装置6との間では、エンジン走行用ギヤトレーン(
図10の21、29、30、32、33、34、36)に加え、第1切換機構35によって第4駆動ギヤ29と軸25が連結されて、EV走行用ギヤトレーン(
図10の25、28、44、46)が用いられる。なお、HV走行(2.5速)モードは省略することができる。
【0065】
[HV走行(3速)]
図3、
図11を参照すると、HV走行(3速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がR側でON、第3切換機構46がF側でON、第4切換機構47がON(連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第5駆動ギヤ30、第2アイドラギヤ34、軸32、第1アイドラギヤ33、第4駆動ギヤ29、第4従動ギヤ45、第4切換機構47、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(2速)とHV走行(3速)との間のシフトでは、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。ここで、HV走行(3速)モードでは、エンジン走行用ギヤトレーン(
図11の29、30、32、33、34、36、45、47)は、EV走行用ギヤトレーン(
図11の22、23、24、25、26、28、42、44、46)と独立している。
【0066】
[HV走行(プレ3速)]
図3、
図12を参照すると、HV走行(プレ3速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がR側でON、第3切換機構46がR側でON、第4切換機構47がON(連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第5駆動ギヤ30、第2アイドラギヤ34、軸32、第1アイドラギヤ33、第4駆動ギヤ29、第4従動ギヤ45、第4切換機構47、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(3速)とHV走行(プレ3速)との間のシフトでは、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。ここで、HV走行(プレ3速)モードでは、エンジン走行用ギヤトレーン(
図12の29、30、32、33、34、45、47)は、EV走行用ギヤトレーン(
図12の22、23、24、25、26、28、44、46)と独立している。
【0067】
[HV走行(4速)]
図3、
図13を参照すると、HV走行(4速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がON(連結)、第2切換機構36がF側でON、第3切換機構46がR側でON、第4切換機構47がOFF(非連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第4駆動ギヤ29、第1切換機構35、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(プレ3速)とHV走行(4速)との間のシフトでは、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。なお、HV走行(3速)とHV走行(4速)との間のシフトでは、HV走行(プレ3速)を経由してシフトすることで、トルク遮断が発生しないようにすることができる。ここで、HV走行(4速)モードでは、エンジン2と差動装置6との間では、エンジン走行用ギヤトレーン(
図13の21、29、36)に加え、第1切換機構35によって第4駆動ギヤ29と軸25が連結されて、EV走行用ギヤトレーン(
図13の25、28、44、46)が用いられる。
【0068】
[HV走行(5速)]
図3、
図14を参照すると、HV走行(5速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がF側でON、第3切換機構46がR側でON、第4切換機構47がON(連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第4駆動ギヤ29、第4従動ギヤ45、第4切換機構47、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、軸25、第3駆動ギヤ28、第3従動ギヤ44、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(4速)とHV走行(5速)との間のシフトでは、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。ここで、HV走行(5速)モードでは、エンジン走行用ギヤトレーン(
図14の21、29、36、45、47)は、EV走行用ギヤトレーン(
図14の22、23、24、25、26、28、44、46)と独立している。
【0069】
[HV走行(プレ5速)]
図3、
図15を参照すると、HV走行(プレ5速)モードでは、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がOFF(非連結)、第2切換機構36がF側でON、第3切換機構46がF側でON、第4切換機構47がON(連結)、リバースアイドラギヤ31がOFFとなっており、エンジン2と差動装置6との間に、クランクシャフト2a、クラッチ3、入力軸21、第2切換機構36、第4駆動ギヤ29、第4従動ギヤ45、第4切換機構47、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成され、モータジェネレータ5と差動装置6との間に、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24、第1駆動ギヤ26、第1従動ギヤ42、第3切換機構46、出力軸41を経由した動力伝達経路が構成される。これにより、エンジン2にて駆動又はエンジンブレーキを行うことができ、モータジェネレータ5にて駆動又は回生を行うことができる。また、HV走行(5速)とHV走行(プレ5速)との間のシフトでは、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。ここで、HV走行(プレ5速)モードでは、エンジン走行用ギヤトレーン(
図15の21、29、36、45、47)は、EV走行用ギヤトレーン(
図15の22、23、24、25、26、42、46)と独立している。
【0070】
ここで、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(3速;
図11参照)への飛び越しシフトを行う場合、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトしてからHV走行(3速;
図11参照)へシフトするようにする。こうすることで、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトする際、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生せず、HV走行(プレ5速;
図15参照)からHV走行(3速;
図11参照)へシフトする際、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。
【0071】
また、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(3速;
図11参照)への飛び越しシフトを行う場合の変形例として、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ3速;
図12参照)にシフトしてからHV走行(3速;
図11参照)へシフトするようにする。こうすることで、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ3速;
図12参照)にシフトする際、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生せず、HV走行(プレ3速;
図12参照)からHV走行(3速;
図11参照)へシフトする際、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。
【0072】
また、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(2速;
図9参照)への飛び越しシフトを行う場合、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトしてからHV走行(2速;
図9参照)へシフトするようにする。こうすることで、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトする際、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生せず、HV走行(プレ5速;
図15参照)からHV走行(2速;
図9参照)へシフトする際、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。
【0073】
また、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(1速;
図8参照)への飛び越しシフトを行う場合、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトしてからHV走行(2速;
図9参照)へシフトするようにする。こうすることで、HV走行(5速;
図14参照)からHV走行(プレ5速;
図15参照)にシフトする際、エンジン2と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生せず、HV走行(プレ5速;
図15参照)からHV走行(1速;
図8参照)へシフトする際、モータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、トルク遮断が発生しない。
【0074】
実施例1によれば、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)とエンジン走行用ギヤトレーン(
図2の29、30、32、33、34、45、47)とを第1切換機構35によって切り離せる構造を有するため、コストアップと重量増加を最小限に抑えて、EV走行時のエネルギー効率向上(ギヤ噛合い数低減、及び、慣性重量低減による燃費向上)が期待できる。
【0075】
また、実施例1によれば、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、25、26、28、42、44、46)を持つので、最高速段のHV走行(5速)から飛び越しダウンシフトする際に、HV走行(5速)からHV走行(プレ5速)又はHV走行(プレ3速)を経由させてHV走行(3速)に飛び越しダウンシフトすることで、HV走行(プレ5速)からHV走行(3速)の間でモータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がなく、HV走行(5速)からHV走行(プレ3速)の間でモータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、モータジェネレータ5のアシストによりトルク遮断を回避できる。
【0076】
また、実施例1によれば、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、25、26、28、42、44、46)を持ち、かつ、当該EV走行用ギヤトレーンをHV走行の低速段(1速、2速)のエンジン走行用ギヤトレーンの一部としていることにより、最高速段のHV走行(5速)からHV走行(1速)又はHV走行(2速)に飛び越しダウンシフトする際に、HV走行(5速)からHV走行(プレ5速)を経由してHV走行(1速)又はHV走行(2速)に飛び越しダウンシフトすることで、HV走行(プレ5速)からHV走行(1速)又はHV走行(2速)の間でモータジェネレータ5と差動装置6との間の動力伝達経路に変更がないので、モータジェネレータ5のアシストによりトルク遮断を回避できる。
【0077】
また、実施例1によれば、変速機4においてプラネタリギヤを使用せずにアイドラギヤ33、34を使用した簡素な平行3軸構成とすることで、コストアップと重量増加を最小限に抑えて、軸方向全長短縮化と5速変速化を実現することができる。
【0078】
また、実施例1によれば、HV走行(1速)及びHV走行(2速)のときに、第1切換機構35を繋いで、EV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)をエンジン走行用ギヤトレーンの一部とすることで、コストアップと重量増加を最小限に抑えて、軸方向全長短縮化と5速変速化を実現することができる。
【0079】
また、実施例1によれば、モータジェネレータ5の回転動力を、入力軸22、入力駆動ギヤ23、入力アイドラギヤ24を介してEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)に入力可能とし、第3切換機構46(第1切換機構35を併用しても可)を用いることで、省スペース、小コストでEV走行時の多段変速化を実現することができる。
【0080】
また、実施例1によれば、全ての変速段(HV走行の1速〜5速)にてモータジェネレータ5のアシスト(力行)及び回生を行え、第1切換機構35により、EV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)をエンジン走行用ギヤトレーンから切り離すことができるので、不要なときに切り離せば、効率(燃費)向上が期待できる。また、第1切換機構35により、EV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)をエンジン走行用ギヤトレーンに必要なときに自由に繋げられるため、停車時に発電、エンジン始動が可能となる。
【0081】
また、実施例1によれば、第1切換機構35及び第2切換機構36並びにリバースアイドラギヤ31をONとすれば、エンジン2でのリバース走行が可能である。
【0082】
また、実施例1によれば、HV走行(5速)ではEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)とエンジン走行用ギヤトレーン(
図2の29、30、32、33、34、45)が独立するため、第3切換機構46をニュートラルとすることで5速時にモータジェネレータ5を切り離すことが可能である。
【0083】
また、実施例1によれば、モータジェネレータ5によるEV走行用ギヤトレーン(
図2の22、23、24、26、25、28、42、44)により、事前にプリシフトを併用すればモータジェネレータ5のアシストにより、1速、2速、3速、4速、5速へのアップシフト時のトルク遮断を回避できる。