特許第5772296号(P5772296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772296
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20150813BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20150813BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   F04B39/00 106B
   F04C29/00 T
   H02K3/38 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-143211(P2011-143211)
(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-11197(P2013-11197A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀場 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥山 進一
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩
(72)【発明者】
【氏名】米良 実
(72)【発明者】
【氏名】深作 博史
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−264279(JP,A)
【文献】 特開2005−278289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
H02K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ及び前記電動モータにより駆動されて冷媒の圧縮動作を行う圧縮機構部が外殻の内部に収容されており、前記電動モータの固定子を構成する複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の引き出し線が前記外殻内に配置されたクラスタブロック内のコネクタに連結されており、前記複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の相線が束ねられて相線束が形成されており、前記相線束の先端に各相を電気的に接続した結線接続部が形成されて中性点が構成されている電動圧縮機において、
前記相線束及び前記結線接続部は、絶縁部材によって被覆されており、前記絶縁部材は、止着手段によって前記クラスタブロックに止着され
前記止着手段は、前記クラスタブロックを貫通するように形成された差し込み孔であり、前記絶縁部材は、前記差し込み孔に差し込まれ、前記差し込み孔の内面と前記絶縁部材とが接触している電動圧縮機。
【請求項2】
前記差し込み孔は、その入口から孔深さ方向に向かうにつれて縮径してゆく縮径テーパ部と、前記縮径テーパ部から孔深さ方向に向かうにつれて拡径してゆく拡径テーパ部とを備えている請求項に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮機構部と、前記電動モータと、前記電動モータの駆動制御部とがこれらの順に直列に配置されており、前記複数の相線は、前記圧縮機構部側の前記固定子の端面側から引き出されている請求項1又は2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータが外殻の内部に収容されており、複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の相線が束ねられて相線束が形成されており、前記相線束の先端に各相を電気的に接続した結線接続部が形成されて中性点が構成されている電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の電動圧縮機では、複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の引き出し線がクラスタ内の複数の接続端子に別々に接続されている。又、中性点を構成する複数の相線を束ねた相線束は、各相線束の先端部が非接続端子(結線接続部)にまとめて連結されている。
【0003】
中性点がステータの内径側に入り込んだ場合には、本来はこの入り込み領域に配置される部材の組み付けが妨げられる。特許文献1では、中性点がふらつかないようにコイルエンドに縛り糸によって縛り付けられている。
【0004】
又、この種の電動圧縮機では、通常運転時には電動圧縮機内を冷媒ガスのみが循環しているが、運転を停止した際に、ハウジング内に残留した冷媒ガスが冷却されると、ハウジング内には液化した冷媒(液冷媒)が溜まることがある。
【0005】
このため、ハウジング内に溜まった液冷媒に、中性点における結線接続部が浸漬すると、液冷媒を介して結線接続部とハウジングとが導通してしまう。そして、この状態で電動圧縮機を運転開始すると、結線接続部に流れる電流が液冷媒を介してハウジングに漏洩してしまう虞がある。
【0006】
特許文献2では、回転電機の中性点線の先端部と巻線との短絡を防止するために、中性点線の先端部が金属スリーブから非突出状態となるように中性点端子を形成し、この中性点端子に絶縁キャップを被せた発明が開示されている。しかし、特許文献2のように、中性点たる中性点端子(結線接続部)に絶縁キャップを被せただけでは、絶縁キャップ内に液冷媒が浸入して中性点端子が液冷媒に浸漬したときの中性点端子とハウジング間の絶縁抵抗が不十分である。このため、絶縁キャップ内への液冷媒の侵入を防ぐために、絶縁キャップを長くして、結線接続部までの絶縁距離を確保することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−38368号公報
【特許文献2】特開2005−278289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
中性点のふらつきを防止するために、特許文献1に開示の縛り方式では、縛り付ける手間が掛かり、電動圧縮機の組み立ての作業効率が悪くなる。特に、絶縁キャップ内への液冷媒の侵入を防止するために、長い絶縁キャップを採用した場合は、絶縁キャップごと縛り糸でコイルエンドに縛り付ける必要があり、より一層作業効率が悪くなる。
【0009】
本発明は、電動圧縮機の組み立ての作業効率の向上に有利な絶縁部材の止着手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電動モータ及び前記電動モータにより駆動されて冷媒の圧縮動作を行う圧縮機構部が外殻の内部に収容されており、前記電動モータの固定子を構成する複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の引き出し線が前記外殻内に配置されたクラスタブロック内のコネクタに連結されており、前記複数の相コイルからそれぞれ引き出された複数の相線が束ねられて相線束が形成されており、前記相線束の先端に各相を電気的に接続した結線接続部が形成されて中性点が構成されている電動圧縮機を対象とし、請求項1の発明では、前記相線束及び前記結線接続部は、絶縁部材によって被覆されており、前記絶縁部材は、止着手段によって前記クラスタブロックに止着されている。
【0011】
絶縁部材がクラスタブロックに止着されているので、相線束のふらつきを防止することができ、縛り糸を用いることなく、相線束がステータコアの内径側へ位置ずれすることを防止することができる。又、クラスタブロックに絶縁部材を止着するのは簡単であり、電動圧縮機の組み立ての作業効率が向上する。
【0012】
また、請求項1の発明では、前記止着手段は、前記クラスタブロックを貫通するように形成された差し込み孔であり、前記絶縁部材は、前記差し込み孔に差し込まれ、前記差し込み孔の内面と前記絶縁部材とが接触している。
【0013】
差し込み孔に絶縁部材を差し込む差し込み構造は、クラスタブロックに絶縁部材を止着する上で簡便な構造である。
好適な例では、前記差し込み孔は、その入口から孔深さ方向に向かうにつれて縮径してゆく縮径テーパ部と、前記縮径テーパ部から孔深さ方向に向かうにつれて拡径してゆく拡径テーパ部とを備えている。
【0014】
絶縁部材は、縮径テーパ部の最小径部位にて圧縮される。このような圧縮構造は、クラスタブロックに対する絶縁部材の止着の確実性を高める
【0015】
適な例では、前記圧縮機構部と、前記電動モータと、前記電動モータの駆動制御部とがこれらの順に直列に配置されており、前記複数の相線は、前記圧縮機構部側の前記固定子の端面側から引き出されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動圧縮機は、電動圧縮機の組み立ての作業効率の向上に有利な絶縁部材の止着手段を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態を示す電動圧縮機全体の側断面図。
図2図1のA−A線拡大断面図。
図3】部分拡大平断面図。
図4】第2の実施形態を示す部分拡大平断面図。
図5】第3の実施形態を示し、(a)は、部分拡大平断面図。(b)は、部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図3に基づいて説明する。
図1に示す電動圧縮機10は、スクロール型電動圧縮機である。電動圧縮機10の外殻11は、モータハウジング12と、モータハウジング12の前端に連結されたフロントハウジング13とから構成されている。
【0019】
電動モータMを構成する回転子14は、回転軸33に止着されており、電動モータMを構成する固定子15は、モータハウジング12の内周面に嵌合して固定されている。固定スクロール17と支持ブロック34との間で旋回可能に収容されている可動スクロール16は、電動モータMを構成する回転軸33の回転によって旋回し、可動スクロール16と固定スクロール17との間の圧縮室18の容積が減少する。可動スクロール16及び固定スクロール17は、冷媒を吸入して吐出する圧縮機構部Pを構成する。
【0020】
モータハウジング12には導入ポート121が設けられている。導入ポート121は、外部冷媒回路19に接続されており、外部冷媒回路19から冷媒(ガス)が導入ポート121を介してモータハウジング12内へ導入される。モータハウジング12内へ導入された冷媒は、可動スクロール16の旋回(吸入動作)によって、モータハウジング12の内周面と固定子15の外周面との間の通路〔図示略〕及び吸入ポート20を経由して圧縮室18へ吸入される。圧縮室18内の冷媒は、可動スクロール16の旋回(吐出動作)によって、圧縮されながら吐出ポート171から吐出弁21を押し退けて、フロントハウジング13内の吐出室22へ吐出される。吐出室22内の冷媒は、フロントハウジング13に形成された排出ポート131から外部冷媒回路19へ流出してモータハウジング12内へ還流する。
【0021】
図2に示すように、電動モータMを構成する固定子15は、環状のステータコア23と、ステータコア23に施されたU相コイル24Uと、V相コイル24VとW相コイル24Wとからなる。
【0022】
図1にはフロント側のコイルエンド241とリヤ側のコイルエンド242とが示されている。コイルエンド241は、ステータコア23のフロント側の端面231上にあり、コイルエンド242は、ステータコア23のリヤ側の端面232上にある。
【0023】
電動モータMを構成する回転子14は、ロータコア25と、ロータコア25内に埋設された複数の永久磁石26とからなる。ロータコア25の中心部には軸孔251が貫設されており、軸孔251には回転軸33が通されて固定されている。
【0024】
モータハウジング12の後端面にはカバー27が止着されている。カバー27内には駆動制御部であるインバータ28が取り付けられている。カバー27によって被覆されるモータハウジング12の被覆端面には挿入孔29が貫設されている。挿入孔29には保持具30が嵌合して固定されている。
【0025】
図3に示すように、保持具30には複数本の導電ピン31U,31V,31Wが挿通して保持されている。外殻11(モータハウジング12)の外部における導電ピン31U,31V,31Wの外部端部は、図示しない導電線を介してインバータ28〔図1参照〕に電気的に接続されている。
【0026】
図1に示すように、電動圧縮機10は、冷媒を吸入して吐出する圧縮機構部Pと、電動モータMと、電動モータMの駆動制御部としてのインバータ28とをこれらの順に直列に配置して構成されている。
【0027】
図2に示すように、ステータコア23の外周面230上には絶縁樹脂製のクラスタブロック32が止着されている。クラスタブロック32には円周面形状の凹部320が凹み形成されている。クラスタブロック32は、図示しない取り付け手段によってステータコア23の外周面230に取り付けられており、この取り付け状態では凹部320は、ステータコア23の円周面形状の外周面230に接合している。
【0028】
図3に示すように、クラスタブロック32内にはU相コネクタ321U、V相コネクタ321V及びW相コネクタ321Wが互いに並列状態で収容されており、各コネクタ321U,321V,321Wには導電ピン31U,31V,31Wが1対1に接続されている。
【0029】
図2に示すように、U相コイル24Uに連なる引き出し線240Uは、ステータコア23のフロント側のコイルエンド241から引き出されてU相コネクタ321Uに接続されている。V相コイル24Vに連なる引き出し線240Vは、コイルエンド241から引き出されてV相コネクタ321Vに接続されている。W相コイル24Wに連なる引き出し線240Wは、コイルエンド241から引き出されてW相コネクタ321Wに接続されている。引き出し線240U,240V,240Wは、いずれも図示しない絶縁チューブによって被覆されている。
【0030】
図3に示すように、引き出し線240Uと導電ピン31Uとは、U相コネクタ321Uを介して電気的に接続されている。引き出し線240Vと導電ピン31Vとは、V相コネクタ321Vを介して電気的に接続されており、引き出し線240Wと導電ピン31Wとは、W相コネクタ321Wを介して電気的に接続されている。
【0031】
図1に示すインバータ28から導電ピン31U,31V,31W〔導電ピン31V,31Wは図3参照〕、コネクタ321U,321V,321W及び引き出し線240U,240V,240Wを介してコイル24U,24V,24W〔図2参照〕へ電力供給が行なわれると、回転子14及び回転軸33がステータコア23の内径内(ステータコア23の内周面233より内側)で一体的に回転する。
【0032】
図2に示すように、U相コイル24Uから引き出された相線35U、V相コイル24Vから引き出された相線35V、及びW相コイル24Wから引き出された相線35Wは、束ねられて相線束36を構成している。複数の相線35U,35V,35Wは、圧縮機構部P〔図1参照〕側のステータコア23の端面231側のコイルエンド241から引き出されている。
【0033】
図3に示すように、相線束36を構成する相線35U,35V,35Wの先端部は、電気的に接続されており、相線束36の先端に各相を電気的に接続した結線接続部361が形成されている。中性点となる結線接続部361は、絶縁樹脂製の先端封止形状の絶縁チューブ37によって被覆されている。
【0034】
図3に示すように、クラスタブロック32には差し込み孔38がコネクタ321U,321V,321Wと並列状態に貫設されている。止着手段としての差し込み孔38には絶縁部材としての絶縁チューブ37が差し込まれている。絶縁チューブ37は、クラスタブロック32における圧縮機構部P側の端面322上の差し込み孔38の入口381から差し込まれている。絶縁チューブ37は、差し込み孔38の内面382と接触することによってクラスタブロック32に止着されている。
【0035】
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
差し込み孔38に差し込まれる絶縁チューブ37は、差し込み孔38の入口381から可及的に遠くへ差し込まれる。差し込み孔38の入口381から可及的に遠くへ絶縁チューブ37を差し込むことにより、相線35U,35V,35Wが途中で弛むことなく引き延ばされ、相線35U,35V,35Wがステータコア23の内径側に位置ずれすることが防止される。相線35U,35V,35Wがコイルエンド241から引き出されているため、引き出し線240U,240V,240Wがステータコア23の内径内に入り込むようなことはない。
【0036】
又、絶縁チューブ37が差し込み孔38に差し込まれて保持されているため、絶縁チューブ37が相線束36から外れてしまうこともない。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
【0037】
(1)絶縁チューブ37が差し込み孔38に差し込まれた状態では、相線束36がステータコア23の内径側に入り込むことはなく、この入り込み領域に配置される部材(本実施形態では例えば支持ブロック34)の組み付けが妨げられることはない。
【0038】
(2)絶縁チューブ37を差し込み孔38に差し込むだけでクラスタブロック32に絶縁チューブ37を止着することができる。このような差し込み操作は簡単であり、電動圧縮機10の組み立ての作業効率が向上する。又、差し込み孔38の内面382と絶縁チューブ37とが接触しているので、絶縁チューブ37が差し込み孔38から簡単に抜け落ちることはない。つまり、クラスタブロック32に絶縁チューブ37を確実に止着することができる。
【0039】
(3)差し込み孔38は、絶縁樹脂製のクラスタブロック32に簡単に形成することができる。差し込み孔38に絶縁チューブ37を差し込む差し込み構造は、クラスタブロック32に絶縁チューブ37を止着する上で簡便な構造である。
【0040】
(4)貫通孔形状の差し込み孔38は、相線束36を可及的に引き延ばして相線束36の弛みを無くす上で、好ましい孔形状である。
(5)電動圧縮機10は、圧縮機構部P、電動モータM及びインバータ28をこの順に直列に配置して構成されており、複数の引き出し線240U,240V,240Wは、圧縮機構部P側のステータコア23の端面231側から引き出されている。そのため、電動モータMとインバータ28とを両者間の狭い隙間(図示の例では端面232とモータハウジング12の後端壁との間)内で電気的に結線する必要がない。つまり、圧縮機構部P、電動モータM及びインバータ28をこの順に直列配置した電動圧縮機10では、結線作業を容易に行なうことができ、電動圧縮機10を組み立てるときの作業効率が向上する。
【0041】
従って、絶縁チューブ37をクラスタブロック32に止着させる本発明は、作業効率の向上に優れた直列配置の電動圧縮機10への適用において特に好適である。
(6)相線束36及び結線接続部361は、絶縁チューブ37によって被覆されている。そのため、電動圧縮機10内に液冷媒が溜まったとしても、結線接続部361が液冷媒に浸漬されることが防止される。
【0042】
次に、図4の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
止着手段としての差し込み孔38Aの内面382は、入口381から孔深さ方向(コイルエンド241側からコイルエンド242側へ向かう方向)に向かうにつれて縮径してゆく縮径テーパ部39と、縮径テーパ部39から孔深さ方向に向かうにつれて拡径してゆく拡径テーパ部40とを備えている。
【0043】
縮径テーパ部39と拡径テーパ部40との境は、縮径テーパ部39の最小径部位391であり、絶縁チューブ37は、縮径テーパ部39の最小径部位391にて圧縮される。このような圧縮構造では、差し込み孔38Aからの絶縁チューブ37の抜け防止効果が高く、クラスタブロック32に対する絶縁チューブ37の止着の確実性が高められる。
【0044】
又、絶縁チューブ37が縮径テーパ部39の最小径部位391にて圧縮されるので、絶縁チューブ37内への液冷媒の侵入が確実に防止される。
次に、図5(a),(b)の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
【0045】
クラスタブロック32の側面323には止着手段としてのフック41が一体形成されている。側面323から延出するフック41には絶縁チューブ37が掛け止められている。絶縁チューブ37は、フック41によって締め付けられている。
【0046】
絶縁チューブ37をフック41に掛け止めるだけでクラスタブロック32に絶縁チューブ37を止着することができる。このような掛け止め操作は簡単であり、電動圧縮機10の組み立ての作業効率が向上する。又、フック41は、絶縁樹脂製のクラスタブロック32に簡単に形成することができる。フック41に絶縁チューブ37を掛け止める掛け止め構造は、クラスタブロック32に絶縁チューブ37を止着する上で簡便な構造である。
【0047】
又、絶縁チューブ37がフック41によって締め付けられているので、絶縁チューブ37内への液冷媒の侵入が確実に防止される。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
【0048】
○第1,2の実施形態において、接着剤を用いて差し込み孔38,38A内で絶縁チューブ37を固定してもよい。
○第1,2の実施形態において、超音波溶着によって差し込み孔38,38A内で絶縁チューブ37を固定してもよい。
【0049】
○絶縁部材は、相線束36に絶縁テープを巻いて形成してもよい。
○差し込み孔は、非貫通孔形状であってもよい。
○インバータ28(駆動制御部)は、電動モータMの外周側にあってもよい。
【0050】
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
(イ)前記差し込み孔は、クラスタブロックを貫通する貫通孔形状に形成されている。
【0051】
(ロ)前記差し込み孔及び複数のコネクタは、並列状態に配設されている。
【符号の説明】
【0052】
10…電動圧縮機。11…外殻。15…固定子。24U…U相コイル。24V…V相コイル。24W…W相コイル。23…ステータコア。231…端面。240U,240V,240W…引き出し線。28…駆動制御部としてのインバータ。32…クラスタブロック。321U…U相コネクタ。321V…V相コネクタ。321W…W相コネクタ。35U,35V,35W…相線。36…相線束。361…結線接続部。37…絶縁部材である絶縁チューブ。38,38A…止着手段としての差し込み孔。381…入口。382…内面。39…縮径テーパ部。40…拡径テーパ部。41…止着手段としてのフック。P…圧縮機構部。M…電動モータ。
図1
図2
図3
図4
図5