特許第5772374号(P5772374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772374
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150813BHJP
   F21V 7/08 20060101ALI20150813BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20150813BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20150813BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20150813BHJP
   F21Y 101/00 20060101ALN20150813BHJP
【FI】
   F21S2/00 330
   F21S2/00 355
   F21V7/08 100
   F21V8/00 320
   F21V17/00 402
   F21V17/10 100
   F21Y101:00 300
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-174013(P2011-174013)
(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公開番号】特開2013-37939(P2013-37939A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2014年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 保文
(72)【発明者】
【氏名】木村 克己
(72)【発明者】
【氏名】山田 一吉
【審査官】 太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−243533(JP,A)
【文献】 特開2007−163358(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/077760(WO,A1)
【文献】 特表2011−515811(JP,A)
【文献】 特開2000−111774(JP,A)
【文献】 特開平10−186146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S2/00
F21V7/08
F21V8/00
F21V17/00−17/20
G02B6/00
G03B21/14−21/20
G01N21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を楕円反射鏡の第1焦点に配置し、片端側から入射した光束を均一化して他端側から出射する柱状の導光ロッドを前記楕円反射鏡の光軸上に配置するとともに、前記楕円反射鏡の第2焦点に前記導光ロッドの片端側を配置した光源装置において、
前記導光ロッドを挿入して保持する挿入孔を有するホルダーを設け、
前記導光ロッドの外周面には係止部を設け、
前記挿入孔に挿入した前記導光ロッド係止部に係止して光軸方向の前記導光ロッドの移動を規制する規制部材を備え、
前記導光ロッドの係止部を、前記片端側から他端側の間の外周面のうち、前記片端側から入射した光束が内面に到達するまでの間、及び/又は、前記他端側までの間に少なくとも2回以上の内面反射を繰り返す範囲を残した箇所に設け
前記挿入孔は、前記導光ロッドの外周面と接触する基準面と、シール部材が配置され当該シール部材を介して前記導光ロッドの外周面と接触する非基準面とを有し、
前記ホルダーは、前記規制部材が前記係止部に係止した前記導光ロッドを、前記シール部材を介して前記基準面に押し付けて保持する構成とした
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記片端側の入射端面を前記楕円反射鏡の第2焦点に配置したことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記導光ロッドを保持した前記ホルダーを、前記光軸を中心に回転可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記導光ロッドを四角柱状に形成し、
前記規制部材は、前記導光ロッドの対向する2つの側面を押さえるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記導光ロッドの断面形状を長方形に形成し、
前記ホルダーを、固定のホルダーに前記光軸を中心に90度回動自在に支持した可動のホルダーとし、
前記規制部材と、前記導光ロッドの断面形状が横長となる位置と縦長となる位置とで導光ロッドを位置決めする部材とを、可動の前記ホルダーに備えた
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照射物に対して略均一な光量の光を照射するロッドを備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフラットパネルディスプレイ製造工程では、従来より、検査対象物のガラス板や塗料塗布面に光源装置から光を照射し、これをCCDカメラ等で観察して傷や塗装不良等の欠陥を検知する画像処理検査装置が使用されている。光源装置の光源としては、ハロゲンランプ、LED等の固体光素子、水銀ランプおよびメタルハライドランプ等の放電灯があり得るが、これらの中でも、放電ランプは、立ち上り時間が遅いものの高い光量が得られることから、この種の光源として最適である。このため、画像処理検査装置用の光源装置として、放電ランプと、当該放電ランプの光を集光させる反射鏡とを組み合わせた集光型放電ランプを内蔵し、反射鏡で集光した光を導光ロッドに入射し、導光ロッドにより光を均一化して検査対象物に照射するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この種の光源装置は、当該光源装置から投射レンズを使用して検査対象物を照明し、画像処理ではなく、検査対象物からの透過光や反射光を検査員が直接目視して検査する目視検査用の光源装置としても利用される。この場合、光源には、メタルハライドランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ等が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−233927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の構成では、導光ロッドを例えばゴム製のシール部材を介して保持部材に嵌め込むことにより、導光ロッドの側面を保持している。
しかしながら、ゴム製のシール部材が経時変化することにより導光ロッドの保持力が弱まると、光源装置の使用中や搬送中に導光ロッドが光軸方向に移動してしまい、光源装置の光学性能に影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、導光ロッドの光軸方向の移動を防止した光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、光源を楕円反射鏡の第1焦点に配置し、片端側から入射した光束を均一化して他端側から出射する柱状の導光ロッドを前記楕円反射鏡の光軸上に配置するとともに、前記楕円反射鏡の第2焦点に前記導光ロッドの片端側を配置した光源装置において、前記導光ロッドを挿入して保持する挿入孔を有するホルダーを設け、前記導光ロッドの外周面には係止部を設け、前記挿入孔に挿入した前記導光ロッド係止部に係止して光軸方向の前記導光ロッドの移動を規制する規制部材を備え、前記導光ロッドの係止部を、前記片端側から他端側の間の外周面のうち、前記片端側から入射した光束が内面に到達するまでの間、及び/又は、前記他端側までの間に少なくとも2回以上の内面反射を繰り返す範囲を残した箇所に設け、前記挿入孔は、前記導光ロッドの外周面と接触する基準面と、シール部材が配置され当該シール部材を介して前記導光ロッドの外周面と接触する非基準面とを有し、前記ホルダーは、前記規制部材が前記係止部に係止した前記導光ロッドを、前記シール部材を介して前記基準面に押し付けて保持する構成としたことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記片端側の入射端面を前記楕円反射鏡の第2焦点に配置してもよい。
上記構成において、前記導光ロッドを保持した前記ホルダーを、前記光軸を中心に回転可能に設けてもよい。
上記構成において、前記導光ロッドを四角柱状に形成し、前記規制部材は、前記導光ロッドの対向する2つの側面を押さえるように設けられていてもよい。
上記構成において、前記導光ロッドの断面形状を長方形に形成し、前記ホルダーを、固定のホルダーに前記光軸を中心に90度回動自在に支持した可動のホルダーとし、前記規制部材と、前記導光ロッドの断面形状が横長となる位置と縦長となる位置とで導光ロッドを位置決めする部材とを、可動の前記ホルダーに備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導光ロッドの外周面に設けられた係止部に係止して光軸方向の移動を規制する規制部材を備えたため、導光ロッドの光軸方向への位置ずれを防止できる。また、導光ロッドの係止部を、片端側から他端側の間の外周面のうち、片端側から入射した光束が内面に到達するまでの間、及び/又は、他端側までの間に少なくとも2回以上の内面反射を繰り返す範囲を残した箇所に設けたため、係止部を設けることによる照射光の均一性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る光源装置の全体構成を示す模式図である。
図2】照射装置の外観構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図、(D)は背面図を示す図である。
図3】導光ロッドユニットを示す斜視図である。
図4】導光ロッドユニットを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図、(D)は背面図を示す図である。
図5図4のV−V断面を示す図である。
図6図4のVI−VI断面を示す図である。
図7】導光ロッドが回動する前の導光ロッドユニットを示す断面図である。
図8】導光ロッドが回動した後の導光ロッドユニットを示す断面図である。
図9】係止溝の位置を示す説明図であり、(A)は導光ロッドをXYZ方向とともに示す図であり、(B)は導光ロッドのY平面を示す図である。
図10】係止溝の形状を示す図である。
図11】本発明の変形例に係る係止溝の形状を示す図である。
図12】本発明の他の変形例に係る係止溝の形状を示す図である。
図13】導光ロッドユニットを示す斜視図である。
図14】導光ロッドユニットの横断面を示す図である。
図15】本発明の他の実施例に係る係止溝の位置を示す説明図であり、(A)は導光ロッドをXYZ方向とともに示す図であり、(B)は導光ロッドの断面の対角線を含む対角平面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る光源装置10を備える検査システム1の構成を模式的に示す図である。
検査システム1は、例えば液晶パネルに用いられるガラス基板、或いは各種の光学部品といった透光性材を検査対象物2とし、当該検査対象物2の表面のキズ、或いは内部の気泡や脈理等の欠陥を目視で観察して検査可能にするシステムである。すなわち、図1に示すように、検査システム1は、検査対象物2の少なくとも検査対象領域(照射面)R1の全体に光量分布が均一化された検査光(照射光)3を出射する光源装置10を備え、検査対象物2からの透過光や反射光を検査者が目視観察し、欠陥の有無を検査する。
【0010】
光源装置10は、集光型放電ランプユニット5と、当該集光型放電ランプユニット5の放射光を、光軸Kの断面(以下、単に断面と言う。)における光量分布を均一にして出力する導光ロッド6と、紫外線・赤外線カットフィルタ7と、カラーフィルタ8と、複数のレンズ9A,9Bを有するレンズ群9とを備えている。
【0011】
集光型放電ランプユニット5は、第1焦点F1及び第2焦点F2を有する楕円反射鏡5Aと、第1焦点F1に発光点が配置された放電ランプ(光源)5Bとを備え、第2焦点F2で集光する光を出射する。
楕円反射鏡5Aは、内表面に誘電体多層膜を蒸着して可視光を反射し赤外線を透過する、いわゆるコールドミラーとして構成されている。
放電ランプ5Bは、水銀ランプ及びメタルハライドランプなどのショートアーク型のランプであり、楕円反射鏡5Aの第1焦点F1に配置されている。この放電ランプ5Bの放射光は楕円反射鏡5Aの第2焦点F2で集束し、この第2焦点F2に導光ロッド6の入射端面6inが配置されている。
【0012】
導光ロッド6は、ガラス体で形成された断面が長方形の柱状体であり、片端側が入射端面6in、他端側が出射端面6outとされている。本実施形態では、検査光3を長方形の検査対象物2にそのまま投影する場合を想定しており、導光ロッド6には、断面が検査対象物2の縦横比に等しい四角柱状のロッドインテグレータが用いられている。この導光ロッド6は、その中心軸を楕円反射鏡5Aの光軸Kと同軸に配されると共に、上記第2焦点F2が入射端面6inの中心、或いは、この中心軸上に位置するように配されて、楕円反射鏡5Aが集光する光が導光ロッド6の入射端面6inから入射するように構成されている。
【0013】
紫外線・赤外線カットフィルタ7は、紫外線成分及び赤外線成分の光をカットする透過型フィルタであり、集光型放電ランプユニット5の第2焦点F2よりも当該集光型放電ランプユニット5の側に配置される。
カラーフィルタ8は、例えば、可視光以外の光を反射して可視光を透過させるフィルタであり、集光型放電ランプユニット5の第2焦点F2よりも当該集光型放電ランプユニット5の側であって、本実施形態では、紫外線・赤外線カットフィルタ7と集光型放電ランプユニット5の第2焦点F2との間に配置される。カラーフィルタ8は、光軸Kに対して傾斜角αで入射面が傾斜して配置されており、カラーフィルタ8の入射面で反射した光が集光型放電ランプユニット5の電極部に入射しないように構成されている。これにより、カラーフィルタ8から楕円反射鏡5Aに入射した光が第1焦点F1で集光し放電ランプ5Bが早期劣化をすることを避けている。
レンズ9A,9Bは、導光ロッド6から射出される検査光3を拡大して検査対象物2まで導く機能を有する。
【0014】
かかる構成の下、集光型放電ランプユニット5が出射した光は、紫外線・赤外線カットフィルタ7及びカラーフィルタ8を通過することで波長選択されて第2焦点F2で集光する。そして、この集光した光が導光ロッド6に入射し、出射端面6outに向って直進し、あるいは、側面(外周面)6Aで内面反射しながら出射端面6outに向かう。
【0015】
導光ロッド6は、ロッドインテグレータで形成されているので、集光型放電ランプユニット5からの光束の光量分布パターンの変化に起因する照射光量変化があっても、この光量分布パターンが均一化された光が出射端面6outから出射され、検査対象物2(図2)に検査光3として照射される。
したがって、導光ロッド6に入射される光がガウシアン分布のような光量分布を有していても、出射される光の光量分布を均一化することができ、均一の光量分布を有する検査光3が要求される場合に、別途、光を均一化する光学系を設ける必要がない。
【0016】
図2は照射装置の外観構成を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は正面図、図2(D)は背面図を示す図である。
光源装置10は、略直方の箱形の装置本体11を有し、装置本体11の正面11Aには、導光ロッド6が内設された筒体12と、装置本体11に外気を導入する外気導入口13とが設けられている。装置本体11の背面11Bには、装置本体11の電源をオン/オフする点灯スイッチ14と、電源ケーブル(不図示)を接続するための電源コネクタ15と、例えばコンピュータ端末や画像処理検査装置のコントローラとの間で通信するための信号線が接続される接続コネクタ16と、装置本体11の内部の熱を排気する排気口17とが設けられている。
【0017】
装置本体11には、正面11Aから背面11B側にかけて、図1に示す導光ロッド6、カラーフィルタ8、紫外線・赤外線カットフィルタ7、及び集光型放電ランプユニット5と、ファン18とが、当該集光型放電ランプユニット5の光軸Kの直線上に配置されるように収容されている。
ファン18は、集光型放電ランプユニット5(図1)の後方に位置して、装置本体11の正面11Aに設けられた外気導入口13から吸気し、装置本体11の背面11Bに設けられた排気口17から外部に排気する。これにより、装置本体11の内部が冷却される。
【0018】
筒体12は、円柱状の部材であって装置本体11の正面11Aから光軸Kに同軸に突出して設けられ、検査光3の出射端として機能する。この筒体12には、図1に示す複数のレンズ9A,9Bを有するレンズ群9が設けられ、レンズ群9の後方に、上記導光ロッド6を有する導光ロッドユニット20の一端側が内設されている。
【0019】
図3は、導光ロッドユニット20を示す斜視図である。また、図4は導光ロッドユニット20を示す図であり、図4(A)は平面図、図4(B)は側面図、図4(C)は正面図、図4(D)は背面図を示す図である。図5図4のV−V断面を示す図であり、図6図4のVI−VI断面を示す図である。さらに、図7は導光ロッド6が回動する前の導光ロッドユニット20を示す図であり、図8は導光ロッド6が回動した後の導光ロッドユニット20を示す図である。
導光ロッドユニット20は、図3及び図4に示すように、導光ロッド6と、導光ロッド6を保持するホルダー21と、ホルダー21を装置本体11(図2)に固定するスタンド22とを備えている。
【0020】
本実施形態の導光ロッド6は、光軸Kを中心に90度回動自在に構成されている。具体的には、ホルダー21は、略円筒状の外側ホルダー23と、外側ホルダー23内に回動自在に支持される略円筒状の内側ホルダー24とを有する二重構造となっており、内側ホルダー24に導光ロッド6が保持されている。
図5図7に示すように、内側ホルダー24の外周面には、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の周方向に延びるガイド溝25が形成されている。また、内側ホルダー24の外周面には、導光ロッド6の断面形状が横長となる位置と、縦長となる位置とで導光ロッド6を位置決めできるように、同一円周上の90度離れた位置に2つの位置決め穴26A,26Bが形成されている。さらに、内側ホルダー24には、内側ホルダー24を回動させる際に操作するための摘み27が取り付けられている。摘み27は、筒体12に周方向に形成されたガイドスリット12A(図2)に挿入され、内側ホルダー24に固定されている。ガイド溝25及びガイドスリット12Aは、少なくとも内側ホルダー24の90度分設ければよい。
【0021】
一方、外側ホルダー23には、ガイド溝25に嵌め込まれる3つのガイドピン28と、位置決め穴26A,26Bに嵌め込まれる位置決めピン29とが設けられている。3つのガイドピン28は、周方向に略等間隔に配置されている。本実施の形態のガイドピン28及び位置決めピン29には、例えば、ボールをばねで付勢したボールプランジャを用いている。
スタンド22は、装置本体11(図2)に固定されるベース22Aと、ベース22Aの両側面から立設してホルダー21を支持する側板22Bとを備えている。本実施の形態では、ホルダー21及びスタンド22が導光ロッド6の保持部材を構成している。
【0022】
このような構成の下、摘み27の操作によって内側ホルダー24の回動方向に力が加わると、位置決めピン29が一方の位置決め穴26Aから外れ、図7に示すように、ガイド溝25がガイドピン28に案内されて内側ホルダー24が回動する。内側ホルダー24は、90度回動すると、位置決めピン29が他方の位置決め穴26Bに嵌まり、固定される。
このように、導光ロッド6を90度回動可能に構成することで、図1に示す検査対象領域R1の形状を横長或いは縦長の長方形に変更できる。
【0023】
次に、導光ロッド6の保持方法について詳細に説明する。
内側ホルダー24は、図5及び図6に示すように、天壁24Aと囲壁24Bとを有する有底円筒状に形成されており、天壁24Aには、導光ロッド6を挿入する挿入孔30が設けられている。導光ロッド6は、この挿入孔30にシール部材31を介して挿入され、天壁24Aが導光ロッド6の光軸K方向における略中央部に位置するように配置される。シール部材31は、図4(C)及び図4(D)に示すように、正面視略L字状の間隙に配置され、ゴム等の弾性を有する材料で形成される。
【0024】
挿入孔30は、導光ロッド6と接触する隣接する2つの基準面30Aと、シール部材31と接触する2つの非基準面30Bとを有し、基準面30Aが隣接する角部には、内側ホルダー24の中心軸方向(K軸方向)に沿って逃げ溝30Cが形成されている。
外側ホルダー23及び内側ホルダー24には、図5及び図6に示すように、非基準面30Bに対向する位置に、それぞれ貫通孔32及びねじ孔33が形成されている。この貫通孔32に固定用ねじ34を挿入し、ねじ孔33に螺合してねじ孔33から突出させることで、導光ロッド6は、シール部材31を介して基準面30Aに押し付けられ、内側ホルダー24の半径方向への移動が規制される。ここで、基準面30Aが隣接する挿入孔30の角部には、逃げ溝30Cが形成されているため、導光ロッド6及び挿入孔30の角部に力が集中することを防止できる。
【0025】
内側ホルダー24は、図6に示すように、導光ロッド6の側面6Aに設けられた係止溝(係止部)40に係止して光軸K方向の移動を規制する規制部材41を備えている。本実施の形態では、規制部材41は、導光ロッド6の対向する2つの側面6A、例えば、短尺側の短尺側面6A1を押さえるように、2つ設けられている。各規制部材41は、内側ホルダー24の外周面に形成された平坦部24Cに固定される基体41Aと、導光ロッド6の係止溝40に係止する突出部41Bとを備えており、本実施形態では、板金を略L字状に折り曲げて突出部41Bを形成している。なお、側板22B及び規制部材41には、固定用ねじ34を挿通させる挿通孔34,35がそれぞれ形成されている。
係止溝40は、図4(B)に示すように、導光ロッド6の対向する2つの側面6A、短尺側面6A1に、短尺方向に亘って形成されている。係止溝40の深さは、光源装置10(図1)の使用中又は搬送中に規制部材41の突出部41Bが係止溝40から外れないように、所定の深さに設定される。
【0026】
ところで、導光ロッド6は、側面6Aを鏡面とし、入射した光を内面反射させることにより均一化しているため、導光ロッド6の側面6Aに係止溝40を形成すると、係止溝40の位置によっては、照射光の均一性に影響を与えるおそれがある。
以下、本実施形態の係止溝40の位置について詳細に説明する。
図9は係止溝40の位置を示す説明図であり、図9(A)は導光ロッド6をXYZ方向とともに示す図であり、図9(B)は導光ロッド6のY平面PYを示す図である。図9(A)において、導光ロッド6の断面の長尺方向をX、短尺方向をY、光軸Kの進行方向をZとする。
【0027】
ここでは、集光型放電ランプユニット5(図1)からの光が第2焦点F2に集光し、第2焦点F2に入射端面6inが位置するものとして説明する。
図9(A)に示すように、第2焦点F2に集光した光は、導光ロッド6に入射すると、出射端面6outに向って直進し、あるいは、側面6Aで内面反射しながら出射端面6outに向かう。ここで、入射端面6inから出射端面6outの間の側面6Aのうち、入射端面6inから入射した光束が内面に到達するまでの間A1には、光は到達しない。導光ロッド6に入射した光のうち、入射端面6inからのZ方向の距離が最も短くなる所で導光ロッド6の内面に到達する光は、図9(B)に示すように、最大入射角θ1で入射する光M1、且つ、Y平面PY内で進む光M2である。
【0028】
したがって、入射端面6inから出射端面6outの間の側面6Aのうち、入射端面6inから入射した光束が内面に到達するまでの間A1に、上記係止溝40を設ければよい。係止溝40は所定の深さを有するため、より望ましくは、光M1が導光ロッド6に入射する入射点P1(第2焦点F2)と、光M2が最初に内面反射する反射点P2とを通る直線を、光軸Kを中心に回転して作られる面より入射側の部分A2に、係止溝40が収まるように係止溝40を設ければよい。反射点P2の入射端面6inからの距離L1は、以下のように求められる。
【0029】
空気中屈折率をnair(≒1)、導光ロッド6の屈折率をnとすると、図9(B)において、スネルの法則により、次式(1)が成り立つ。
airsinθ1=nsinθ2 (1)
また、導光ロッド6の短尺方向の距離(厚さ)をLs、入射点P1と反射点P2との間の距離をL2とすると、幾何学的に次式(2)が求められるから、
sinθ2=(Ls/2)/L2=Ls/2L2 (2)
(1)及び(2)式に基づいて次式(3)が導かれる。
L2=Lsn/2sinθ1 (3)
【0030】
また、三平方の定理より、次式(4)が成り立つから、
L22=L12+(Ls/2)2 (4)
(3)及び(4)式により次式(5)が導かれる。
L12=L22−(Ls/2)2
=(Lsn/2sinθ1)2−(Ls/2)2
=(Ls/2)2{(n/sinθ1)2−1} (5)
すなわち、次式(6)が求められる。
L1=(Ls/2)√{(n/sinθ1)2−1} (6)
【0031】
したがって、導光ロッド6の短尺方向の長さLs、導光ロッド6の屈折率n、導光ロッド6に入射する最大入射角θ1を上記(6)式に代入することで、距離L1が求められる。例えば、Ls=16.9mm、屈折率n=1.517(波長589nmの場合)、最大入射角θ1≒31.6度である場合には、入射点P1及びL1≒22.96mmとなる反射点P2を通る直線を、光軸Kを中心に回転して作られる面より入射側の部分A2に係止溝40を形成すれば、照射光に影響は与えることなく、導光ロッド6の光軸K方向の移動を規制できる。
【0032】
但し、実際には、集光型放電ランプユニット5及び導光ロッド6等の光学部品の機構的位置関係や放電ランプ5Bが点光源でないことにより、導光ロッド6に入射する光は第2焦点F2からずれる成分も多い。また、導光ロッド6の形状の公差により、導光ロッド6内を進む光は理想的な経路からずれるおそれがある。さらに、導光ロッド6に入射する光の波長により、導光ロッド6の屈折率が異なる。
したがって、距離L1は、あくまでも目安とし、係止溝40はできるだけ入射側に形成するのが望ましい。本実施形態では、断面の大きさが16.9mm×21mm、長さが190mmの導光ロッド6を使用し、図10(A)に示すように、入射端面6inから6.5mmの位置に、幅1.2mm、深さ0.5mmの略半円状の係止溝40を形成している。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、導光ロッド6の外周面6Aに設けられた係止溝40に係止して光軸K方向の移動を規制する規制部材41を備えたため、光源装置10の使用中、あるいは、搬送中に、導光ロッド6の位置がずれることがなく、光源装置10を縦置きしても導光ロッド6を確実に保持できる。また、導光ロッド6の係止溝40を、入射端面6inから出射端面6outの間の外周面6Aのうち、入射端面6inから入射した光束が内面に到達するまでの間A1に設けたため、照射光の均一性に影響を与えることがない。
【0034】
また、本実施形態によれば、導光ロッド6を、光軸Kを中心に回転可能に設けたため、導光ロッド6の断面形状を非回転対称な形状とすれば、導光ロッド6を回転させることで検査対象領域R1の形状を変更できる。例えば、導光ロッド6の断面形状を長方形に形成した場合には、検査対象領域R1の形状を横長或いは縦長の長方形に変更できる。
【0035】
但し、上記実施形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施形態では、検査装置として好適な光源装置を例示したが、本発明に係る光源装置を、画像を投射するプロジェクタ装置(画像投射装置)に応用することも可能である。
また、上記実施形態では、光源装置1の光源として、放電ランプ5Bを例示したが、これに限らず、例えばLED光源であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、導光ロッド6の断面形状を長方形とし導光ロッド6を90度回動可能に構成したが、導光ロッド6の形状や回動角度はこれに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、上記実施形態では、導光ロッド6の係止部を係止溝として説明したが、係止部は導光ロッド6から突出した突出部として形成してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、係止溝40を、導光ロッド6の短尺側面6A1に、短尺方向に亘って断面半円状に形成していたが、係止溝40を長尺側面6A2に形成してもよく、また、係止溝40の形状は、これに限定されず、導光ロッド6の光軸K方向への移動を規制できる形状であればよい。例えば、図11に示すように、係止溝(係止部)140を断面矩形状に形成してもよい。
また、図12に示すように、係止溝(係止部)240を皿もみ状に形成してもよい。この場合、例えば、図13及び図14に示すように、規制部材141を板状の基体141Aと、基体141Aに固定され、ピンをばねで付勢したピンプランジャで構成した突出部141Bとで構成し、突出部141Bを係止溝240に係止させればよい。なお、図13及び図14では、図3及び図6と同一部分には同一符号を付して示し、その説明を省略する。
【0038】
また、上記実施形態では、導光ロッド6の係止溝40を、入射端面6in側から入射した光束と交わらない部分A2に設けたが、出射端面6out側までの間に十分に内面反射を繰り返す範囲を残した箇所に係止溝340を設けてもよい。この場合の係止部の位置を他の実施形態として以下説明する。
図15は、他の実施形態に係る係止溝の位置を示す説明図であり、図15(A)は導光ロッド6をXYZ方向とともに示す図であり、図15(B)は導光ロッド6の断面の対角線を含む対角平面PDを示す図である。
【0039】
図15(A)に示すように、導光ロッド6の側面6Aに係止溝340を形成しても、係止溝340の出射端面6out側に十分に内面反射を繰り返す距離があれば、係止溝340を設けることによる照射光の均一性の低下を最小限に抑えることができる。実験等により、最大入射角θ1で入射して対角平面PDを進む光が係止溝340から出射端面6outまでの間に2回以上の内面反射を繰り返す反射範囲B1を残した形成可能範囲(箇所)B2に係止溝340を設ければ、照射面の照度むらを±10%程度以内に抑えられることが得られている。照射面の照度むらを±10%程度以内に抑えることができる係止溝340の形成可能範囲B2は、以下のように求められる。
【0040】
図15(B)において、式(6)と同様の手順により、L2は次式(7)として求められる。
L2=(Lo/2)√{(n/sinθ1)2−1} (7)
図15(B)に示すように、導光ロッド6に入射した光が対角平面PD上で2回内面反射するためには、ロッド長Lは3L2より長いことが必須条件となる。また、導光ロッド6に入射した光が対角平面PD上で1回内面反射するためには2L2分の範囲が必要である。したがって、例えば、5L2≧L>3L2の場合には係止溝340の形成可能範囲B2はL2となり、7L2≧L>5L2の場合には係止溝340の形成可能範囲B2は3L2となる。以降、ロッド長Lが2L2増える毎に、係止溝340の形成可能範囲B2が2L2ずつ増えることとなる。
【0041】
例えば、導光ロッド6の断面の大きさが16.9mm×21mmであり、Lo=26.96mm、屈折率n=1.517(波長589nmの場合)、最大入射角θ1≒31.6度である場合には、L2≒36.62mmとなる。そして、例えば、L=190mmの場合には、7L2≧L>5L2となるので、入射端面6inからの距離が3L2≒109.86mmとなる形成可能範囲B2に係止溝340を形成すれば、照射光の均一性への影響を抑えつつ、導光ロッド6の光軸K方向への移動を規制できる。
【0042】
このように、導光ロッド6の係止溝340を、入射端面6in側から出射端面6out側の間の側面6Aのうち、出射端面6out側までの間に少なくとも2回以上の内面反射を繰り返す反射範囲B1を残した形成可能範囲B2に設けたため、照射光の均一性に影響を最小限に抑えつつ、導光ロッド6の光軸K方向への位置ずれを防止できる。
なお、導光ロッド6の係止溝を、入射端面6in側から出射端面6out側の間の側面6Aのうち、入射端面6in側から入射した光束が内面に到達するまでの間A1、及び、出射端面6out側までの間に少なくとも2回以上の内面反射を繰り返す反射範囲B1を残した形成可能範囲B2の両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 光源装置
5A 楕円反射鏡
5B 放電ランプ(光源)
6 導光ロッド
6In 入射面(片端側)
6Out 出射面(他端側)
6A 外周面
40,140,240,340 係止溝(係止部)
41,141 規制部材
A1 間
B1 反射範囲(範囲)
B2 形成可能範囲(箇所)
F1 第1焦点
F2 第2焦点
K 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15