(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772388
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】伝送システム、ケーブル長算出方法、伝送装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 3/46 20150101AFI20150813BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20150813BHJP
H04B 3/50 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
H04B3/46
H04J11/00 B
H04B3/50
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-182326(P2011-182326)
(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公開番号】特開2013-46195(P2013-46195A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】緒方 英樹
【審査官】
佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−120484(JP,A)
【文献】
特開2006−060269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/46
H04B 3/50
H04J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルによって電気的に接続された一対の伝送装置である伝送装置対を備える伝送システムであって、
前記伝送装置対は、
一方の伝送装置から他方の伝送装置へ、前記ケーブルを介して信号を送信する送信部と、
前記一方の伝送装置が前記他方の伝送装置へ送信した信号の送信電圧、前記他方の伝送装置が前記一方の伝送装置から受信した前記信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部と
を備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記伝送装置対を2つ備え、
前記伝送装置対を構成するいずれかの伝送装置は、前記ケーブルを介して受信した信号を指定時間遅延させて出力するバッファを備え、
前記ケーブル長算出部が算出したケーブルの長さが短いほうの伝送装置対の伝送装置は、伝送装置対同士のケーブルの長さの差分に基づいて遅延時間を算出し、当該遅延時間を前記バッファに指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
一対の伝送装置である伝送装置対を電気的に接続するケーブルの長さを算出するケーブル長算出方法であって、
前記伝送装置対の一方の伝送装置から他方の伝送装置へ、前記ケーブルを介して信号を送信するステップと、
前記一方の伝送装置が前記他方の伝送装置へ送信した信号の送信電圧、前記他方の伝送装置が前記一方の伝送装置から受信した前記信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するステップと
を有することを特徴とするケーブル長算出方法。
【請求項4】
ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置であって、
前記ケーブルを介して前記対向装置から信号を受信する受信部と、
前記対向装置が前記伝送装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部と
を備えることを特徴とする伝送装置。
【請求項5】
ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置を、
前記ケーブルを介して前記対向装置から信号を受信する受信部、
前記対向装置が前記伝送装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置であって、
前記ケーブルを介して前記対向装置に信号を送信する送信部と、
前記対向装置から、前記対向装置が前記伝送装置から受信した信号の受信電圧を受信する受信部と、
前記送信部が前記対向装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した前記対向装置における受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部と
を備えることを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置を、
前記ケーブルを介して前記対向装置に信号を送信する送信部、
前記対向装置から、前記対向装置が前記伝送装置から受信した信号の受信電圧を受信する受信部、
前記送信部が前記対向装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した前記対向装置における受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルによって電気的に接続された一対の伝送装置である伝送装置対を備える伝送システム、ケーブル長算出方法、伝送装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交差する2つの偏波(V偏波とH偏波)を用いて無線伝送する場合に、それぞれの偏波に含まれる他方の偏波の成分を除去する技術として、XPIC(Cross(X) Polarization Interference Canceller:交差偏波間干渉補償)が知られている。XPICとは、一方の偏波(以下、自偏波と呼ぶ)の復調信号と他方の偏波(以下、他偏波と呼ぶ)の復調信号を合成し、自偏波中の異偏波成分を除去する技術である。自偏波中の異偏波が十分に除去できない場合、異偏波成分はノイズとして作用するため、V偏波とH偏波を用いて無線伝送する場合、XPICは、良好な回線品質を保つために必要不可欠な技術となっている。
【0003】
異偏波成分を十分に除去するためには、自偏波の復調信号と異偏波の復調信号を合成する際、双方の位相が揃っている必要がある。無線通信装置の場合、ベースバンド信号の処理や変復調を行うIDU(Indoor Unit)と、無線周波数帯への変換を担うODU(Outdoor Unit)との構成が主要であり、両偏波復調信号位相の不確定要素はIDUとODUを接続するケーブル長が支配的となる。
【0004】
そのため、このような無線通信装置では、V偏波側のIDU−ODU間のケーブル長とH偏波側のIDU−ODU間のケーブル長の差分をオペレーターが入力し、復調部に備えるシフトレジスタを調整する事により位相を合わせている。
【0005】
なお、特許文献1には、ケーブル長の入力に従って装置間の同期を行う技術が記載されている。
また、特許文献2には、V偏波側とH偏波側との位相差に基づいて位相の調整を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−103327号公報
【特許文献2】特開平09−270764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、オペレーターが計測したケーブル長に基づいて位相の調整を行う場合、オペレーターによるケーブル長の計測誤りがあった場合に、位相を合わせることができなくなってしまうおそれがある。特に、IDUとODUとを接続するケーブルの長さは数百メートルに及ぶことがあるため、ケーブル長を正確に把握する事は困難である。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、IDUとODUとを接続するケーブルの長さを算出することができる伝送システム、ケーブル長算出方法、伝送装置、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ケーブルによって電気的に接続された一対の伝送装置である伝送装置対を備える伝送システムであって、前記伝送装置対は、一方の伝送装置から他方の伝送装置へ、前記ケーブルを介して信号を送信する送信部と、前記一方の伝送装置が前記他方の伝送装置へ送信した信号の送信電圧、前記他方の伝送装置が前記一方の伝送装置から受信した前記信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、一対の伝送装置である伝送装置対を電気的に接続するケーブルの長さを算出するケーブル長算出方法であって、前記伝送装置対の一方の伝送装置から他方の伝送装置へ、前記ケーブルを介して信号を送信するステップと、前記一方の伝送装置が前記他方の伝送装置へ送信した信号の送信電圧、前記他方の伝送装置が前記一方の伝送装置から受信した前記信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置であって、前記ケーブルを介して前記対向装置から信号を受信する受信部と、前記対向装置が前記伝送装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置を、前記ケーブルを介して前記対向装置から信号を受信する受信部、前記対向装置が前記伝送装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した信号の受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明は、ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置であって、前記ケーブルを介して前記対向装置に信号を送信する送信部と、前記対向装置から、前記対向装置が前記伝送装置から受信した信号の受信電圧を受信する受信部と、前記送信部が前記対向装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した前記対向装置における受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ケーブルによって対向装置と電気的に接続された伝送装置を、前記ケーブルを介して前記対向装置に信号を送信する送信部、前記対向装置から、前記対向装置が前記伝送装置から受信した信号の受信電圧を受信する受信部、前記送信部が前記対向装置に送信した信号の送信電圧、前記受信部が受信した前記対向装置における受信電圧、及び前記ケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいて前記ケーブルの長さを算出するケーブル長算出部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一方の伝送装置が他方の伝送装置へ送信した信号の送信電圧、他方の伝送装置が一方の伝送装置から受信した前記信号の受信電圧、及びケーブルの単位長さあたりの抵抗値に基づいてケーブルの長さを算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態による伝送システムの構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】第1の実施形態による伝送システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態による伝送システムの構成を示す概略ブロック図である。
【
図4】第2の実施形態による伝送システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による伝送システムの構成を示す概略ブロック図である。
伝送システムは、V偏波の処理を行う伝送装置対100−1と、H偏波の処理を行う伝送装置対100−2とを備える(以下、伝送装置対100−1、100−2を総称する場合は伝送装置対100と表記する)。
伝送装置対100は、IDU110(伝送装置)とODU120(伝送装置)とから構成され、IDU110とODU120とはケーブル130を介して電気的に接続されている。
【0017】
IDU110は、ベースバンド信号の処理や変復調を行う伝送装置であり、測定用信号送信部111、シフトレジスタ112(バッファ)、復調部113、IDUコントロール部114を備える。
測定用信号送信部111は、ケーブル130を介して、予め定められた送信電圧で所定の測定用信号をODU120に送信する。
シフトレジスタ112は、ODU120から受信した信号を、IDUコントロール部114から指定された遅延量だけ遅延させて復調部113に出力する。
復調部113は、通常運用時において、シフトレジスタ112から出力された信号と、IDUコントロール部114から出力された異偏波除去用信号との差分を算出し、当該差分の信号に対して復調処理を行う。
【0018】
IDUコントロール部114は、ODU120が算出したケーブル130の長さを、シフトレジスタ112・復調部113を介して取得し、当該ケーブル長を示す情報を他方の伝送装置対100のIDU110に送信する。また、IDUコントロール部114は、他方の伝送装置対100のIDU110からケーブル長を示す情報を受信し、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さと他方の伝送装置対100のケーブル長との差に基づいてシフトレジスタ112の遅延量を決定する。
また、IDUコントロール部114は、通常運用時において、ODU120から受信した信号に基づいて異偏波除去用信号を生成し、他方の伝送装置対100のIDU110に送信する。また、IDUコントロール部114は、他方の伝送装置対100のIDU110から異偏波除去用信号を受信し、復調部113に出力する。
【0019】
ODU120は、レベル検出部121、ODUコントロール部122(ケーブル長算出部)、アンテナ123、ケーブル長送信部124を備える。
レベル検出部121は、ケーブル130を介してIDU110から受信した測定用信号の受信電圧を検出する。
ODUコントロール部122は、レベル検出部121が検出した受信信号、予め定められた測定用信号の送信電圧、及びケーブル130の単位長さあたりの抵抗値に基づいてケーブル130の長さを算出する。また、ODUコントロール部122は、アンテナ123を介して対向装置から信号を受信する。
ケーブル長送信部124は、ODUコントロール部122が算出したケーブル130の長さを、IDU110に送信する。
【0020】
次に、伝送システムにおけるシフトレジスタ112への遅延量設定時の動作について説明する。
図2は、第1の実施形態による伝送システムの動作を示すフローチャートである。
まず、測定用信号送信部111は、測定用信号を所定の送信電圧でODU120に送信する(ステップS1)。測定用信号は、ケーブル130を介してIDU110からODU120へ伝送される際、ケーブル130内部の抵抗により電圧降下が生じる。測定用信号がODU120に伝送されると、レベル検出部121は、受信した測定用信号の受信電圧を検出する(ステップS2)。次に、ODUコントロール部122は、所定の送信電圧と、レベル検出部121が検出した受信電圧と、ケーブル130の単位長さあたりの抵抗値とに基づいてケーブル130の長さを算出する。例えば、以下に示す式(1)を用いることでケーブル130の長さを算出する。
【0021】
L=(V
t−V
r)/IR
1 ・・・(1)
但し、Lはケーブル130の長さを示す。また、V
tは、IDU110がODU120に送信した測定用信号の送信電圧を示す。また、V
rは、ODU120がIDU110から受信した測定用信号の受信電圧を示す。また、Iは、ケーブル130の電流値を示す。また、R
1は、ケーブル130の単位長さあたりの抵抗値を示す。なお、ケーブル130は交流信号を伝送するため、R
1は、ケーブル130の単位長さあたりのレジスタンス及びリアクタンスを示す。
【0022】
ODUコントロール部122がケーブル130の長さを算出すると、ケーブル長送信部124は、算出したケーブル130の長さを示す情報をIDU110に送信する(ステップS4)。IDU110が算出したケーブル130の長さを示す情報を受信すると、IDUコントロール部114は、シフトレジスタ112・復調部113を介して当該情報を取得する。そして、IDUコントロール部114は、ケーブル130の長さを示す情報を、他方の伝送装置対100のIDU110に送信する(ステップS5)。
【0023】
次に、IDUコントロール部114は、他方の伝送装置対100のIDU110から、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さを示す情報を受信する(ステップS6)。次に、IDUコントロール部114は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さより長いか否かを判定する(ステップS7)。IDUコントロール部114は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さと等しいか短いと判定した場合(ステップS7:NO)、処理を終了する。
他方、IDUコントロール部114は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さより長いと判定した場合(ステップS7:YES)、まず自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さと他方の伝送装置対100のケーブル130の長さとの差を算出する。次に、IDUコントロール部114は、算出した差に対応する遅延量を算出する(ステップS8)。これは、予め単位ケーブル長とクロック信号の周期との関係を求めておき、当該関係を用いて算出することで実現できる。そして、IDUコントロール部114は、算出した遅延量をシフトレジスタ112の遅延量に設定し(ステップS9)、処理を終了する。
【0024】
このように、本実施形態によれば、IDU110がODU120へ送信した測定用信号の送信電圧、ODU120がIDU110から受信した測定用信号の受信電圧、及びケーブル130の単位長さあたりの抵抗値に基づいてケーブル130の長さを算出することができる。これにより、XPICにおける位相の調整を確実に行うことができる。
【0025】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、測定用信号の送信電圧が予め定められており、ODUコントロール部122が当該送信電圧を用いてケーブル130の長さを算出する場合について説明したが、これに限られず、例えばIDU110がODU120に送信電圧を通知した後、通知された送信電圧を用いてケーブル130の長さを算出するようにしても良い。
【0026】
また、本実施形態では、ODU120がケーブル130の長さを算出する場合について説明したが、これに限られず、以下に示す第2の実施形態のようにIDU110がケーブル130の長さを算出しても良い。
【0027】
《第2の実施形態》
以下、本実施形態の第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態による伝送システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態による伝送システムは、第1の実施形態でODUコントロール部122が実装していたケーブル長算出部の機能をIDUコントロール部214に実装したものである。つまり、第2の実施形態では、IDUコントロール部214がケーブル130の長さの算出を行い、ODUコントロール部222はケーブル130の長さの算出を行わない。また、第2の実施形態では、ケーブル130の長さを示す情報を送信するケーブル長送信部124に代えて、受信電圧を示す情報を送信するレベル送信部224を備える。
【0028】
図4は、第2の実施形態による伝送システムの動作を示すフローチャートである。
まず、測定用信号送信部111は、測定用信号を所定の送信電圧でODU120に送信する(ステップS11)。測定用信号がODU120に伝送されると、レベル検出部121は、受信した測定用信号の受信電圧を検出する(ステップS12)。次に、レベル送信部224は、レベル検出部121が検出した受信電圧を示す情報をIDU110に送信する(ステップS13)。
【0029】
IDU110が受信電圧を示す情報を受信すると、IDUコントロール部214は、シフトレジスタ112・復調部113を介して当該情報を取得する。そして、IDUコントロール部214は、測定用信号送信部111における測定用信号の送信電圧と、ODU120から受信した情報が示す受信電圧と、ケーブル130の単位長さあたりの抵抗値とに基づいてケーブル130の長さを算出する。例えば、上述した式(1)を用いることでケーブル130の長さを算出する(ステップS14)。
【0030】
IDUコントロール部214は、ケーブル130の長さを算出すると、ケーブル130の長さを示す情報を、他方の伝送装置対100のIDU110に送信する(ステップS15)。
次に、IDUコントロール部214は、他方の伝送装置対100のIDU110から、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さを示す情報を受信する(ステップS16)。次に、IDUコントロール部214は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さより長いか否かを判定する(ステップS17)。IDUコントロール部214は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さと等しいか短いと判定した場合(ステップS17:NO)、処理を終了する。
他方、IDUコントロール部214は、自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さが、他方の伝送装置対100のケーブル130の長さより長いと判定した場合(ステップS17:YES)、まず自身が属する伝送装置対100のケーブル130の長さと他方の伝送装置対100のケーブル130の長さとの差を算出する。次に、IDUコントロール部214は、算出した差に対応する遅延量を算出する(ステップS18)。これは、予め単位ケーブル長とクロック信号の周期との関係を求めておき、当該関係を用いて算出することで実現できる。そして、IDUコントロール部214は、算出した遅延量をシフトレジスタ112の遅延量に設定し(ステップS19)、処理を終了する。
【0031】
このように、第2の実施形態によれば、IDU110においてケーブル130の長さを算出することができる。
【0032】
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、IDU110がODU120に測定用信号を送信する場合を説明したが、これに限られず、ODU120がIDU110に測定用信号を送信しても良い。
【0033】
上述のIDU110及びODU120は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0034】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0035】
100−1、100−2…伝送装置対 110…IDU 111…測定用信号送信部 112…シフトレジスタ 113…復調部 114、214…IDUコントロール部 120…ODU 121…レベル検出部 122、222…ODUコントロール部 123…アンテナ 124…送信部 224…レベル送信部 130…ケーブル