(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、
前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される直流の電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを前記照明装置の外殻を構成する一体のケーシング内に設けており、
前記枠材は、前記光透過性板材を支持する支持部材と、その下方に配置された梁とを備えており、
前記照明装置は、前記梁に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、
前記光透過性板材は、上に凸となる湾曲部のみを備えてなり、
前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の形状に追従可能であるとともに前記光透過性板材の下面に布設されている
ことを特徴とする照明装置付屋根構造体。
前記発光部は、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体。
光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、
前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを一体的に有しているとともに、
前記照明装置は、前記枠材に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、
前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の下面に対向するように当該下面に布設されており、
前記ソーラーパネルが布設された位置の前記光透過性板材には、蛍光体を含有する光透過性樹脂シートが貼付されている
ことを特徴とする照明装置付屋根構造体。
光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、
前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを一体的に有しているとともに、
前記照明装置は、前記枠材に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、
前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の下面に対向するように当該下面に布設されており、
前記ソーラーパネルが布設された位置の前記光透過性板材には、前記ソーラーパネルに太陽光を集光させるプリズムシートが貼付されている
ことを特徴とする照明装置付屋根構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記のような充電型蛍光灯照明装置では、オン・オフ時の電力消費を抑えることができるが、インバータ回路が複雑となってしまう問題があった。また、蛍光灯の電力も必要であるため、消費電力が大きく、蓄電池が大型化してしまうので、蓄電池の更なる小型化が必要であった。
【0008】
一方、ソーラーパネルは直射太陽光の得やすい屋根上に設置して、バッテリーや蓄電池は加熱昇温を防止するために日陰に設置し、蛍光灯などはカーポートの屋根下や倉庫軒下、屋内の天井や壁面に設置されている。したがって、各部材をそれぞれ別個に取り付ける手間がかかるとともに、各部材を接続する手間も要していた。また、ソーラーパネルは屋根上に設置されているため、風雨に晒されて短時間で劣化してしまうといった問題もあった。
【0009】
さらに、照明装置の照度を高めるために、太陽光発電による発電量を増加することも望まれている。
【0010】
そこで、本発明は前記の問題を解決するために案出されたものであって、照明装置の構造の簡略化および小型化が図れるとともに、太陽光発電の発電量が大きく、かつ容易に設置作業が行える照明装置付屋根構造体並びにこれを用いたカーポート用屋根および待合スペース用屋根を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される直流の電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを前記照明装置の外殻を構成する
一体のケーシング内に設けており、
前記枠材は、前記光透過性板材を支持する支持部材と、その下方に配置された梁とを備えており、前記照明装置は、
前記梁に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、
前記光透過性板材は、上に凸となる湾曲部のみを備えてなり、前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の形状に追従可能であるとともに前記光透過性板材の下面に布設されていることを特徴とする照明装置付屋根構造体である。
【0012】
このような構成によれば、発光部が発光ダイオードにて構成されているので、直流で作動するとともに、オン・オフ点滅の繰り返しに強く、オン・オフ時に消費電力が極端に増加するのを防止できる。そのため、従来の蛍光灯を用いた場合のように、インバータ制御の必要がなく、複雑なインバータ回路を設ける必要もないので、構成の簡略化が達成できる。さらに、電力消費量を低減できるので、バッテリーの小型化を達成でき、照明装置全体の小型化が図れる。また、発光部の長寿命化も達成できる。一方、照明装置が一体的に形成されているので、現場での配線は、ソーラーパネルと照明装置の間のみで済み、屋根構造体への設置作業を容易に行うことができる。さらに、ソーラーパネルは、光透過性板材の下面に対向するように配置されているので、ソーラーパネルが風雨に晒されるのを防止でき、ソーラーパネルの劣化を遅らせることができる。さらに、光透過性板材を透過した太陽光を、ソーラーパネルで効率的に受光することができるとともに、大面積のソーラーパネルを設置できるので、発光部で消費する電力を大量に確保することができ、照明装置の照度を高めることができる。
また、ソーラーパネルの光透過性板材への固定を容易に行うことができるとともに、ソーラーパネルの設置スペース(厚さ)を小さくすることができ、光透過性板材の下部の空間を大きく確保できる。さらに、ソーラーパネルを湾曲した形状の光透過性板材に沿わせて布設することができる。
【0017】
請求項
2に係る発明は、前記光透過性板材が、少なくとも太陽光の一部を透過する材質にて形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0018】
このような構成によれば、ソーラーパネルで太陽光を受光できるので、効率的に発電を行うことができる。
【0019】
請求項
3に係る発明は、前記光透過性板材が、光透過性樹脂板にて構成されていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0020】
このような構成によれば、照明装置付屋根構造体の重量を低減させることができ、構造的に有利となる。
【0021】
請求項
4に係る発明は、前記光透過性板材が、光透過性硝子板にて構成されていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0022】
このような構成によれば、光透過性板材の強度を高めることができるので、構造設計の自由度が高まるとともに、照明装置の取付けなどを容易に行うことができる。
【0023】
請求項
5に係る発明は、前記枠材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0024】
このような構成によれば、屋根構造体の軽量化を図ることができるとともに、耐錆性能を確保することができる。
【0025】
請求項
6に係る発明は、前記押出形材が、その表面に陽極酸化皮膜処理が施されたことを特徴とする請求項
5に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0026】
このような構成によれば、耐錆性能をさらに高めることができるとともに、着色も可能となるので、デザイン性に優れた照明装置付屋根構造体を提供できる。
【0027】
請求項
7に係る発明は、前記発光部が、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0028】
このような構成によれば、簡単な構成で白色光を発光させることができ、長寿命で明るい照明装置を提供できる。
【0029】
請求項
8に係る発明は、前記照明装置の前記電源部が前記発光部の上部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
7のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0030】
このような構成によれば、各部材間の配線を短くでき、照明装置の小型化および低コスト化を達成できる。
【0031】
請求項
9に係る発明は、前記発光部の周囲に、前記発光部からの光を反射させるリフレクターを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項
8のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0032】
このような構成によれば、発光部からの照明光を、下方に効率的に照射することができ、照明効率の高い照明装置を提供できる。
【0033】
請求項
10に係る発明は、前記リフレクターが、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されていることを特徴とする請求項
9に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0034】
このような構成によれば、リフレクターの軽量化を達成できる。
【0035】
請求項
11に係る発明は、前記リフレクターが、高純度アルミニウム層とアルミニウム合金層からなるクラッド層を有することを特徴とする請求項
9または請求項
10に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0036】
このような構成によれば、リフレクター本体をアルミニウムまたはアルミニウム合金以外のもので形成しても、表面反射率の高いリフレクターを提供できる。
【0037】
請求項
12に係る発明は、前記クラッド層は、高純度アルミニウム層が表面側に配置され、前記高純度アルミニウム層の表面が研磨されてその表面粗さが小さくされたことを特徴とする請求項
11に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0038】
このような構成によれば、リフレクターの表面反射率をさらに高めることができる。
【0039】
請求項
13に係る発明は、前記発光部の上部に、前記発光部で発生する熱を放熱させる放熱部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項
12のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0040】
このような構成によれば、発光ダイオード(発光部)から発生する熱を効率的に周囲に放熱することができる。
【0041】
請求項
14に係る発明は、前記放熱部材が、前記発光部に当接する基板と、この基板に取り付けられた放熱フィンとを備えたことを特徴とする請求項
13に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0042】
このような構成によれば、発光部からの熱を、放熱フィンを介して、さらに効率的に周囲に放熱させることができる。
【0043】
請求項
15に係る発明は、前記放熱部材が、銅または銅合金にて形成されていることを特徴とする請求項
13または請求項
14に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0044】
このような構成によれば、発光部からの熱を効率的に吸収して周囲に放熱することができる。
【0045】
請求項
16に係る発明は、前記基板は、銅または銅合金にて形成され、前記放熱フィンは、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されたことを特徴とする請求項
14に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0046】
このような構成によれば、放熱部材の軽量化を図りつつ、発光部からの熱を効率的に周囲に放熱させることができる。
【0047】
請求項
17に係る発明は、前記照明装置の外殻を構成するケーシングに、内部の空気を流通させるための換気口を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項
16のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0048】
このような構成によれば、照明装置内部の換気を行うことができ、照明装置内部の温度上昇を防止することができる。
【0049】
請求項
18に係る発明は、前記換気口が、互いに対向するケーシングの壁面に少なくとも一対設けられており、この一対の前記換気口の少なくとも一方に、ファンを設けたことを特徴とする請求項
17に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0050】
このような構成によれば、照明装置内部の空気を強制的に流通させることができ、照明装置内部の温度上昇を確実に防止することができる。
【0051】
請求項
19に係る発明は、光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを一体的に有しているとともに、前記照明装置は、前記枠材に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の下面に対向するように当該下面に布設されており、前記ソーラーパネルが布設された位置の前記光透過性板材には、蛍光体を含有する光透過性樹脂シートが貼付されていることを特徴とする照明装置付屋根構造体である。
【0052】
このような構成によれば、光透過性板材を透過する太陽光のうち、近紫外線領域の光を可視光線に変換することができ、ソーラーパネルによる発電効率(エネルギー変換効率)を向上させることができる。
【0053】
請求項
20に係る発明は、光透過性板材と、この光透過性板材を支持する枠材と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、照明装置とを備えた照明装置付屋根構造体であって、前記照明装置は、このソーラーパネルで変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリーを備える電源部と、前記バッテリーから供給される電力で点灯する発光ダイオードにて構成された発光部とを一体的に有しているとともに、前記照明装置は、前記枠材に固定されて、上方に位置する前記光透過性板材の下面に対向するように構成されており、前記ソーラーパネルは、前記光透過性板材の下面に対向するように当該下面に布設されており、前記ソーラーパネルが布設された位置の前記光透過性板材には、前記ソーラーパネルに太陽光を集光させるプリズムシートが貼付されていることを特徴とする照明装置付屋根構造体である。
【0054】
このような構成によれば、太陽光が光透過性板材の上面で全反射するのを防止することができ、太陽光エネルギーの利用効率を高めることができる。
【0055】
請求項
21に係る発明は、前記発光部の下方に、前記発光部を覆うカバーを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項
20のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0056】
このような構成によれば、発光部を風雨から遮断できるとともに、照明の明るさや向きを調整することができる。
【0057】
請求項
22に係る発明は、前記照明装置に、周囲の明るさに応じて発光部を点灯させる光センサを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項
21のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体である。
【0058】
このような構成によれば、周囲の明るさに応じて照明装置のオン・オフが自動的に行われるので、スイッチを設ける必要はない。また、無駄な電力消費を抑えることができるので、照明装置のさらなる小型化が図れる。
【0059】
請求項
23に係る発明は、請求項1乃至請求項
22のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体を用いたことを特徴とするカーポート用屋根である。
【0060】
このような構成によれば、照明装置の構造の簡略化および小型化が図れるとともに、容易に設置作業が行え、かつ発電容量の大きいカーポート用屋根を提供することができる。
【0061】
請求項
24に係る発明は、請求項1乃至請求項
22のいずれか1項に記載の照明装置付屋根構造体を用いたことを特徴とする待合スペース用屋根である。
【0062】
ここで、待合スペースとは、室外におけるバス停留所やタクシー乗り場などをいう。前記のような構成によれば、構造の簡略化および小型化が図れるとともに、容易に設置作業が行え、かつ発電容量の大きい待合スペース用屋根を提供することができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、照明装置の構造の簡略化および小型化が図れるとともに、太陽光発電の発電量が大きく、かつ容易に設置作業が行えるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[参考実施形態]
本発明に係る照明装置付屋根構造体を実施するための参考の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、照明装置付屋根構造体をカーポート用屋根として利用した場合を例に挙げて説明する。
【0066】
図1は本発明に係る照明装置付屋根構造体を実施するための参考の形態を示した斜視図、
図2は参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の照明装置を示した上面図、
図3は参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の照明装置を示した側面図、
図4は参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の照明装置を示した側面図、
図5は参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の照明装置の内部を示した底面図、
図6は
図2のA−A線断面図、
図7は
図2のB−B線断面図、
図8は参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の放熱部材を示した斜視図である。
【0067】
まず、参考実施形態に係る照明装置付屋根構造体の構成について説明する。
【0068】
図1に示すように、かかる照明装置付屋根構造体1は、例えばカーポート用屋根2として用いられるものであって、光透過性板材10と、この光透過性板材10を支持する枠材20と、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネル70と、ソーラーパネル70で発電された電力によって点灯する照明装置30とを備えている。
【0069】
(光透過性板材)
光透過性板材10は、例えば、略矩形状に形成されており、その周縁部が枠材20に支持されて、照明装置付屋根構造体1の屋根面を構成している。光透過性板材10は、照明装置付屋根構造体1の屋根形状に応じてその形状が決定されている。光透過性板材10は、少なくとも太陽光の一部を透過する材質にて形成されている。このような材質であれば、どのような板材であってよく、例えば、光透過性樹脂板11であってもよいし、光透過性硝子板(図示せず)であってもよい(本実施の形態では、光透過性樹脂板11が採用されている)。
【0070】
光透過性樹脂板11の材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂などが挙げられるが、特にポリカーボネートやアクリル樹脂のように、強度、耐候性に優れた樹脂が好ましい。本実施の形態では、光透過性樹脂板11は、前記の樹脂製の一枚の板材から構成されているが、前記の任意の樹脂からなる板材を二枚以上張り合わせて強化樹脂としたものであってもよい。また、光透過性樹脂板11は、各種顔料を含ませて着色樹脂板としてもよいし、表面粗度を高くして樹脂板の表面で太陽光を散乱させる半透明樹脂板としてもよい。光透過性樹脂板11の場合、光の透過に大きく影響を及ぼすのが、高分子の有している光吸収特性である。この光吸収特性のひとつとして、可視光線・紫外線領域において生じる「電子遷移吸収」があり、光のエネルギーが電子を励起状態とするために使われる。他方、光吸収特性のひとつとして、赤外線領域で生じる「分子振動吸収」があり、光のエネルギーがC−H、O−H結合などの回転・振動エネルギーに変換される。幸いにも前述のポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂などの樹脂材料は、可視光線領域の太陽光の大部分を透過する。
【0071】
図1に示すように、光透過性板材10を光透過性硝子板とした場合は、以下のような構成となる。光透過性硝子板は、珪砂、ソーダ灰、石灰石、硼砂、水酸化アルミニウム等の粉体混合物をガス炉に挿入して1550℃で溶解し、この液体状の硝子をフロートバスという細長い通路で溶けた錫の上に流して冷却したものである。硝子はSiO
2、CaO、Na
2Oが主成分であるため、一般的に太陽光に対して透過率が高い。光透過性硝子板には、表面を急冷して強化硝子としたもの、あるいは二枚の硝子板の間に樹脂シートを挟んで合わせ硝子とした複合強化硝子板なども光透過性硝子板に含めるものとする。さらに鉄、コバルト、ニッケルなど遷移金属元素を添加して、特定の波長の光だけを吸収させる色硝子についても光透過性硝子板に含めるものとする。また、表面粗度を高くして、硝子表面において太陽光を散乱させる、いわゆるスリガラスとしたものも、光透過性硝子板に含めるものとする。特に硝子板の主成分である石英ガラスは、絶縁体であるため、バンド理論における価電子帯と導電帯の間のバンドギャップが大きく、前記「電子遷移吸収」の吸収端が紫外領域でも短波長側に存在する。さらに石英ガラスはアモルファスであり結晶粒界が存在しないため光の散乱も少なく、前記「分子振動吸収」に相当する「格子振動吸収」の吸収端も赤外領域の長波長側に存在する。すなわち、石英ガラスは太陽光の大部分を透過する極めて貴重な材料である。したがって、幸いにも殆どの硝子板材料は、可視光領域の太陽光の大部分を透過する。光透過性硝子板は、特に、白板ガラスとすること好ましい。白板ガラスは、近紫外線(波長:320nm)から近赤外線(波長:2.5μm)の領域の光を効率的に透過させることができる。
【0072】
ソーラーパネル70が布設された位置の光透過性板材10には、蛍光体を含有する光透過性樹脂シート12が貼付されている。なお、ソーラーパネル70が布設されない部分の光透過性板材10にも光透過性樹脂シート12を貼付してもよい。光透過性樹脂シート12は、光透過性板材10の上面あるいは下面(本実施の形態では上面)に貼付されている。なお、図示しないが、光透過性樹脂シート12を光透過性板材10の下面に貼付する場合は、光透過性樹脂シート12の下面にソーラーパネル70がさらに布設されることとなる。
【0073】
光透過性樹脂シート12は、光透過性樹脂板などの基材を備えており、この基材に無機蛍光体が含有されている。この光透過性樹脂シート12は、紫外線領域の光を可視光線領域の光に変換させるものであって、白色、青色、緑色、赤色などに発光するものがある。例えば、白色発光する無機蛍光体としては、リン酸カルシウム(3Ca
3(PO
4)
2・Sb)などが挙げられる。無機蛍光体は、各色発光のものを混合させて、混合蛍光体として使用することもできる。光透過性樹脂板の原料に無機蛍光体を適量混合させて、成型することで光透過性樹脂シート12が形成される。
【0074】
(枠材)
図1に示すように、枠材20は、金属形材からなる梁材22で構成されている。梁材22は、柱材21によって支持されている。柱材21は、所定の間隔で立設されており、その下端部にベースプレート23を有している。ベースプレート23には、地盤の基礎に設けられたアンカーボルト(図示せず)が挿通されて、柱材21を地盤に固定するようになっている。梁材22は、隣り合う柱材21間で架け渡される大梁24と、柱材21の上部に固定されて片持ち支持される片持ち梁25と、隣り合う片持ち梁25の先端部間に架け渡されるつなぎ梁26とで構成されている。これらの大梁24、片持ち梁25およびつなぎ梁26は、中空状に形成されており、必要に応じて、内側あるいは外側に補強リブ(図示せず)が形成されている。
【0075】
大梁24は、並列された柱材21のうち両端を除く各柱材21の上面にそれぞれ連結されており、柱材21の並列方向に延びる通し梁となって、美観を向上させている。両端の柱材21の上面には、片持ち梁25が連結されており、この片持ち梁25を介して大梁24が柱材21に連結されている。本実施の形態では、片持ち梁25は、先端に向かうに連れて下方に湾曲する形状となっている。なお、この湾曲形状は一例であって、どのような形状であってもよい。また、つなぎ梁26は、各片持ち梁25の先端部にそれぞれ連結されており、大梁24と同様に柱材21の並列方向に延びる通し梁となって、美観を向上させている。両端の片持ち梁25の先端面は、つなぎ梁26の外側面(柱材21から遠い側の面)と面一となっている。各枠材20同士および柱材21の連結は、ボルトとナット(ともに図示せず)を用いて行われている。なお、連結の態様は、これに限られるものではなく、例えば、柱材21を中空状に形成して、梁材22を中実状に形成し、梁材22を柱材21に嵌め込んで、ゴム製パッキン(図示せず)を介して柱材21と梁材22とを、ボルトとナットで固定してもよい。また、必要に応じて、各柱材21と梁材22とを固定させるための補強材を用いてもよい。
【0076】
以上のように互いに連結された梁材22(大梁24、片持ち梁25およびつなぎ梁26)によって、屋根のフレームが構成され、光透過性板材10の周縁部を支持するようになっている。具体的には、大梁24、片持ち梁25およびつなぎ梁26の光透過性板材10側の側面には、支持溝27がそれぞれ形成されており、この支持溝27に光透過性板材10の周縁部が挿入されて光透過性板材10が支持されることとなる。梁材22の組立手順としては、例えば柱材21に大梁24と片持ち梁25を連結した後、光透過性板材10の周縁部を支持溝27に挿入しながら片持ち梁25の先端側から基端側へと押し込んだ後に、片持ち梁25の先端部につなぎ梁26を連結するようにすればよい。
【0077】
枠材20および柱材21は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。アルミニウム合金製の押出形材は、6063合金をベースとして形成されている。6063合金をベースとした押出形材は、押出後の熱処理によってMg
2Siがマトリックス中に微細に析出するため、強度、靭性が高い。さらに、押出形材の表面には、陽極酸化皮膜処理が施されており、耐食性、耐候性に優れている。陽極酸化皮膜処理の工程で、封孔処理前に表面の酸化皮膜中に顔料を含有させることにより、多様な色調の形材として美観を向上することも可能である。なお、本実施の形態では、枠材20および柱材21は中空状(ホロー)に形成されているが、中実状(ソリッド)であってもよい。但し、中空状の方が、軽量で効率的に強度を得られるので好ましい。また、柱材21と梁材22(片持ち梁25)とを、一体成形した押出曲げ材としてもよい。
【0078】
(ソーラーパネル)
ソーラーパネル70は、太陽光を半導体に当てることで電子を放出させ、その電子を外部に取り出すことで発電するように構成されている。
図1に示すように、ソーラーパネル70は、その受光面が、光透過性板材10の下面(太陽が位置する方向とは逆側)に対向するように設けられている。特に、本実施の形態では、ソーラーパネル70は、光透過性板材10の下面に受光面(ソーラーパネル70の上側面)が沿うように布設されている。ソーラーパネル70は、変形可能なフレキシブルソーラーパネル71(フレキシブルパネル)にて構成されており、湾曲した光透過性板材10の形状に追従可能になっている。
【0079】
ソーラーパネル70に用いられるシリコン系半導体材料としては、例えば、単結晶Si系(c−Si)薄膜、多結晶Si系(poly−Si)薄膜、アモルファスSi系(a−SiC:H)薄膜、アモルファスSiGe系(a−SiGe:H)薄膜などが挙げられる。なお、近年では、前記構造の太陽電池の他にも化合物半導体を利用した太陽電池や色素増感型の太陽電池も実用化されつつある。
【0080】
本実施の形態のフレキシブルソーラーパネル71は、耐熱性の高い透明樹脂シートを備えており、プラズマCVD法によって、各種アモルファス系薄膜を前記透明樹脂シートに形成することで、製造されている。ここで、一例としてa−Si:H薄膜の製造方法を説明する。水素(H
2)とシランガス(SiH
4)を原料として、このガスをプラズマCVD装置内に導入し、高周波電圧を印加する。これによって、シランガスおよび水素が分解した気体、いわゆるプラズマが電極間に発生する。そして、プラズマ中の化学種が基板上に析出してアモルファスシリコンの薄膜が生成される。さらに詳しくは、透明かつ低抵抗なSnO
2などで、透明電極を形成させたポリイミドなどの透明樹脂の基板上に、プラズマCVD法で、アモルファスシリコンのp型半導体層、i型半導体層、n型半導体層を順次堆積させる。原料のシランにジボラン(B
2H
6)あるいはホスフィン(PH
3)などを混合しておくと、薄膜中に硼素(B)あるいは燐(P)をドーピングすることができ、それぞれp型、n型のa−Si:H薄膜が得られる。そして最後に、アルミニウムなどの金属で第2の透明電極を形成させる。なお、a−SiC:H薄膜の製造においては、原料ガスとしてさらにメタン(CH
4)が必要となり、a−SiGe:H薄膜の製造においては、原料ガスとしてさらに水素化ゲルマニウム(GeH
4)が必要となる。
【0081】
ところで、太陽光のエネルギー密度は、日中で1m
2当たり1kW程度である。ソーラーパネル70のエネルギー変換効率を10%とすると、ソーラーパネル70の発電容量は1m
2当たり100W程度である。光透過性板の太陽光に対する透過率が必ずしも100%ではなく材料によって低下する値であること、太陽光の光透過性板材10への入射角によっては表面で反射される場合もあること、また曇りの日や雨の日には太陽光の一部が雲によって反射、分散され、地上におけるエネルギー密度が低下すること、地球の緯度や季節、時間によって太陽の角度が変化すること、などを考慮すると、日中に照明装置付屋根構造体1に備えられた照明装置30のソーラーパネル70から得られる電力は、1m
2当たり50W程度と推定される。
【0082】
なお、フィルム型の色素増感型太陽電池を製造するに際しては、透明樹脂フィルムをロールによって送り出し、例えば、TiO
2ペースト印刷染色工程、およびラミネート工程を連続して施すことが可能である。これによって、今後、低価格のフレキシブルソーラーパネルが、提供される可能性もある。
【0083】
フレキシブルソーラーパネル71は、接着剤を介して光透過性板材10に貼り付けられている。接着剤は、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)にて構成されている。フレキシブルソーラーパネル71を、光透過性板材10に貼り付けるに際しては、フレキシブルソーラーパネル71の表面全体に、接着剤を塗布した後に、光透過性板材10の下面から当接させて貼り付ける。
【0084】
(照明装置)
図6および
図7に示すように、照明装置30は、
図1に示したソーラーパネル70(フレキシブルソーラーパネル71)で変換した電気エネルギーを蓄えるバッテリー33を備える電源部31と、バッテリー33からの電力供給を制御する制御部41と、バッテリー33から供給される電力で点灯する発光ダイオード52にて構成される発光部51とを一体的に有している。照明装置30は、その外殻を構成するケーシング61を有しており、このケーシング61内に、制御部41と電源部31と発光部51とが設けられている。電源部31は、発光部51の上部(太陽が位置する側)に配置されている。ケーシング61は、
図7の左右両側に位置する一対の側フレーム61a,61a(
図3も参照)と、
図6の左右両側(
図7の紙面表裏方向)に位置する一対のエンドカバー61b,61b(
図4も参照)とで構成されている。側フレーム61aは、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の押出形材から構成されており、後述するリフレクター55、カバー56を一体的に支持するように構成されている。エンドカバー61bは、樹脂成形品にて構成されており、
図2のA−A線方向に延びる側フレーム61aの両端部を覆うように配置されている。エンドカバー61bは、ビス61c(
図4参照)によって、側フレーム61aに固定されている。
【0085】
〈電源部〉
図6および
図7に示すように、電源部31のバッテリー33は、制御部41の下方で、後記する放熱部材72の側部に配置されている。バッテリー33は、アルカリ蓄電池、ニッケル-水素蓄電池、リチウムイオン電池などで構成される。バッテリー33は、前記の電池に限られるものではなく、小型で軽量、高性能の充電式電池であればどのような蓄電池であってもよい。これらの中で、リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、特に好ましい。一般的には、正極はLiCoO
2、負極はC、セパレータとしての電解質にはLiCiO
4、LiPF
6などのLiイオンを含む有機電解液が使用されている。ここでLiイオンは正極、負極の材料の結晶中に出入りすることができ、充電、放電できる仕組みとなっている。Liイオン電池内において、充電中はセパレータを介してLiイオンが正極から負極に移動し、逆に放電中はLiイオンが負極から正極に移動する。
【0086】
LiCoO
2を正極、炭素材料を負極とする二次電池の充電と放電時において起こる反応は以下の(1)式および(2)式のようになる。
【0088】
バッテリー33は、ソーラーパネル70の太陽電池(図示せず)と接続されており、各太陽電池で発電された電気を充電しておくとともに、夜間などの照明が必要となる時間帯には、発光部51の電源として作動する。
【0089】
〈制御部〉
図6および
図7に示すように、制御部41は、照明装置30の上部で、バッテリー33および発光部51の上方に配置されている。制御部41は、バッテリー33および発光部51に接続されており、バッテリー33から発光部51へ供給される電力のオン・オフや供給量を制御するものである。制御部41には、周囲の明るさに応じて発光部51を点灯させる光センサ(図示せず)が設けられている。光センサは、例えば照明装置30の下面で発光部51の照明の妨げにならない位置に設けられている。
【0090】
〈発光部〉
図6および
図7に示すように、発光部51には、発光ダイオード52が用いられている。発光ダイオード52は、電子と正孔の再結合によって可視光あるいは紫外光を発する発光素子を利用するものであれば、どのようなタイプのものであってもよい。発光素子としては、例えば、赤色、緑色、青色ダイオードのいずれの発光ダイオードを使用してもよいし、またこれら3色の発光ダイオードを組み合わせて白色光を発するものとしてもよい。
図5乃至
図7に示すように、発光ダイオード52は、所定の間隔で直線状に複数配設されている。
【0091】
本実施の形態では、発光部51の発光ダイオード52は、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有するものである。具体的には、紫外LED発光素子として発光スペクトルが主ピークとして350nm〜390nmに発光可能なものが使用されている。この場合、発光層は、有機金属気相成長法(MOCVD法)などによって、例えばサファイア基板上にAlNなどの低温バッファー層を設け、その上部にAlGaN厚膜、AlGaN系のn型窒化物半導体とp型窒化物半導体の薄膜を形成させてあり、クラッド層としてInAlGaN発光層を形成させたものが挙げられる。勿論、半導体層に用いる材料やその組成によって、発光波長を種々選択することができる。
【0092】
また、無機蛍光体としては、白色発光するものとして、例えば、3Ca
3(PO
4)
2・Ca(F,Cl)
2:Sbなどが挙げられる。この他、青色、緑色、赤色の各色発光の蛍光体混合物からなる白色発光する混合蛍光体とすることも可能である。これら蛍光物質を利用する場合には、硝子などの透光性無機部材や樹脂などの透光性有機部材中にこれら蛍光物質を適量混合させて形成させても良い。さらにこれら蛍光物質と有機バインダーと溶媒の混合物を硝子などの内壁あるいは外壁に塗布した後、加熱してバインダーと溶媒のみを分解ガス化して飛ばしてもよい。このような発光装置とすれば、無機蛍光体によって発光ダイオード52の発する紫外線を効率よく白色光に変換することで、明るい照明を得ることができる。
【0093】
図5および
図7に示すように、発光部51の周囲には、発光部51からの光を反射させるリフレクター55が設けられている。リフレクター55は、耐熱衝撃性に優れたアルミニウム板またはアルミニウム合金板をプレス加工することで形成されており、その表面(照明面)は、CMP(Chemical Mechanical Polishing(化学・機械的研磨))によって研磨されて、その表面粗さが小さくされている。リフレクター55は、
図7に示すように、中央部が所定の曲率で上方に窪んだ凹条部が形成されている。この凹条部の中央部には、発光部51の複数の発光ダイオード52が直線状に配置されており、それら発光ダイオード52の先端が下方に突出するように設けられている。発光ダイオード52から水平方向に照射された可視光は、リフレクター55で反射されて下方へと屈曲する。リフレクター55は、両端の周縁部55aが、ケーシング61の側フレーム61aに形成された支持溝62に嵌め込まれて支持されている(
図7参照)。
【0094】
なお、リフレクター55は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製に限られるものではない。例えば、ガラス板の表面にアルミニウムなどの金属を蒸着させたガラス製リフレクターであってもよい。
【0095】
このようなリフレクター55を設けたことによって、発光ダイオード52から照射された可視光がリフレクター55の表面のアルミニウムに当たると、その表面のごく薄い層に存在する金属イオン、自由電子などが、光のエネルギーを吸収して共鳴振動を起し、その振動のエネルギーを表面より放出する。発光装置の周囲にアルミニウム製またはアルミニウム合金製のリフレクター55を備えることにより、照明の明るさが増すと同時に、照明装置30の軽量化を実現することができる。
【0096】
ところで、アルミニウム合金板の金属組織中には、その組成にもよるが、α-Alマトリックス以外に鋳造時に晶出したAl−Fe−Si、Mg
2Si、Al−(Fe・Mn)−Si、Al
6Mn等の金属間化合物や、中間焼鈍など熱処理時に析出したMg
2Si等の非常に微細な析出物が多数存在する。このため、アルミニウム合金板の表面を研磨した場合、α-Alマトリックス以外にこれら金属間化合物や析出物が研磨面に存在するため、アルミニウム合金板から製造されたリフレクター55では、研磨によって表面粗度を小さくしてもこれら金属間化合物や析出物の可視光に対する表面反射率がα−Alに比べて低いため、表面反射率の向上には限度がある。そこで、例えば3NAl(99.9質量%Al)を原料とする高純度アルミニウム板でリフレクター55を製造することが考えられる。しかし、高純度アルミニウム板では、プレス成形が難しく、板厚にもよるがリフレクター55として強度が低すぎるため実用的ではない。しかも、高純度アルミニウムは高価であるため、多くを使用すると大幅なコストアップを招いてしまう。
【0097】
そこで、アルミニウム合金層と高純度アルミニウム層からなるクラッド層を構成するリフレクター55とすればより一層好ましい。具体的には、1.8mm厚みの3003合金層と0.2mm厚みの高純度アルミニウム層からなるクラッド層を構成するリフレクター55を成形して、高純度アルミニウム層の照明面側をCMP(化学・機械的研磨)によって研磨する。研磨によって表面粗さは、Ra0.1μm以下とするとよく、より好ましくは、表面粗さRa0.05μm以下とすることが望ましい。このように高純度アルミニウム層の照明面側を研磨して、表面粗さを小さくすることにより、表面反射率の高いリフレクター55となる。なお、クラッド層の厚みは特に限定しない。プレス成形が可能で、しかも成形後にリフレクター55として使用できる厚みであればよい。クラッド層の層数は特に限定されるものではなく、2層であってもよいし、3層、4層あるいはそれより多くてもよい。少なくとも片面〈照明面〉が高純度アルミニウム層からなるクラッド層であればよい。また、クラッド層の厚みについても特に限定しない。少なくとも、所定の研磨後に高純度アルミニウム層が残存するように研磨代を考慮した厚みの構成であればよい。
【0098】
また、上記リフレクター55および上記クラッド層の製造方法も限定しない。例えば、複数枚のアルミニウム合金板と高純度アルミニウム板をプレス加工して貼り合わせると同時にリフレクター55を成形してもよいし、複数のアルミニウム合金スラブと高純度アルミニウムスラブを貼り合わせて、熱間圧延、冷間圧延することにより、所定の厚みのクラッド板を製造し、そのクラッド板を更にプレス加工してリフレクター55を成形してもよい。
【0099】
照明面の研磨方法についても、CMPに限定しない。研磨盤を使用する機械式砥粒研磨、バフ研磨であってもよいし、電解研磨であってもよい。あるいはこれら研磨方法を組み合わせた方法であってもよいし、これら研磨方法を同時に行う方法であってもよい。
【0100】
このように照明面側に高純度アルミニウム層を配置するクラッド層を構成し、前記高純度アルミニウム層の表面が研磨されたリフレクター55を採用することで、リフレクター55が軽量で耐熱衝撃性に優れ、表面反射率が向上して明るい照明を得ることができる。
【0101】
図6乃至
図8に示すように、発光部51の上部のリフレクター55の上部には、発光部51で発生する熱を空気中に放熱させる放熱部材72が設けられている。放熱部材72は、発光部51のリフレクター55に当接して接合される基板73と、この基板73に取り付けられた放熱フィン74とを備えている。放熱フィン74は、発光ダイオード52の配列方向と直交する方向(
図6の紙面表裏方向)に延出するように配置され、立設されており、発光ダイオード52の配列方向(
図6の紙面左右方向)に所定の間隔をあけて複数並列されている。基板73は、銅または銅合金にて形成され、放熱フィン74は、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されている。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の放熱フィン74を、銅または銅合金製の基板73に取り付けるに際しては、基板73の表面に放熱フィン74を当接させて固定して、基板73の裏面から、円周方向に回転する円盤状の接合ツールの周面を押し当てる。すなわち、放熱フィン74は、摩擦振動接合(Friction Acoustic Bonding)によって、基板73に接合する。
【0102】
図3、
図6および
図7に示すように、照明装置30の外殻を構成するケーシング61には、内部の空気を流通させるための換気口67が設けられている。換気口67は、互いに対向するケーシング61の壁面(本実施の形態では、側フレーム61a,61a)に一対設けられている。一対の換気口67,67は、放熱部材72と対応する高さに配置されており、放熱フィン74の延出方向の両端側に形成されている。これによって、空気は放熱フィン74の延長方向に沿って流れやすくなり、放熱効率が向上する。また、発光ダイオード52の配列方向とは直交する方向に放熱フィン74が延出していることによって、空気は発光ダイオード52の配列方向とは直交する方向に流れる。なお、換気口67は、互いに対向する側フレーム61a,61aに、少なくとも一対設けられていればよく、複数対設けてもよいし、向かい合う側フレーム61a,61aで異なる個数を設けてもよい。
【0103】
一対の換気口67,67の少なくとも一方(本実施の形態では両方)には、内部の空気を強制的に流通させるためのファン68,68が設けられている。これらのファン68,68は、一方が吸気用ファンで、他方が排気用ファンとなっており、ケーシング61の内部の空気が効率よく換気されるようになっている。なお、換気口が多数設けられた場合は、ファンは全ての換気口に設けてもよいし、選択的に設けてもよい。
【0104】
図6および
図7に示すように、発光部51の下方には、この発光部51およびリフレクター55を覆うカバー56が設けられている。カバー56は、例えば樹脂板にて構成されており、その周縁部56aが、ケーシング61に形成された支持溝63に嵌め込まれて支持されている。この支持溝63は、リフレクター55を支持するための支持溝62に沿ってその下側に形成されている。カバー56の周縁部56aと支持溝63との間には例えばゴム製のガスケット(図示せず)が介設されており、防水性を確保している。カバー56は、各種顔料を含ませて着色樹脂板としてもよいし、透明であってもよい。さらには、表面粗度を高くして樹脂板の表面で可視光を散乱させる半透明樹脂板としてもよい。
【0105】
図2および
図3に示すように、ケーシング61の一対の側フレーム61a,61aの上部には、
図2のB−B線方向の両外側に広がる鍔部64がそれぞれ形成されている。鍔部64は、
図2のA−A線方向に延出するように形成されている。鍔部64上には、上下両面に接着層が形成されたパッキン65が固定されている。パッキン65の下面は鍔部64に接着され、パッキン65の上面は光透過性板材10(
図1参照)の下面に接着されることで、照明装置30が、光透過性板材10の下面に固定されることとなる。本実施の形態では、
図1に示すように、ソーラーパネル70が布設されていない光透過性板材10の下面に固定されている。パッキン65は、一定の厚さを有しており、鍔部64に沿って所定の間隔をあけて固定されている。これによって、照明装置30と光透過性板材10との間に隙間が形成されることとなり、照明装置30の表面に通気性を確保することができる。これによって、照明装置30上での結露を防止することができ、防錆性能を向上させることができる。
【0106】
なお、照明装置30は、
図9に示すように、ソーラーパネル70が布設された光透過性板材10に固定するようにしてもよい。この場合は、照明装置30のパッキン65が相当する位置に、開口部75を形成し、光透過性板材10の下面を露出させる。そして、その露出された光透過性板材10の下面にパッキン65を接着剤で固定する。
【0107】
また、パッキン65と、照明装置30および光透過性板材10との接合は、接着剤に限られるものではない。例えば、ネジ(図示せず)あるいはボルト・ナット(図示せず)を用いて固定するようにしてもよい。この場合、ネジあるいはボルトが光透過性板材10を貫通することとなるので、ネジの頭部と光透過性板材10との間に、ゴム製のパッキンとワッシャを介設して、防水性を確保するのが好ましい。
【0108】
次に、前記構成の照明装置付屋根構造体1およびカーポート用屋根2の作用を説明する。
【0109】
このような構成の照明装置付屋根構造体1によれば、照明装置30の発光部51が発光ダイオード52にて構成されているので、直流で作動するとともに、オン・オフ点滅の繰り返しに強く、オン・オフ時に消費電力が極端に増加するのを防止できる。そのため、従来の蛍光灯を用いた場合のように、インバータ制御の必要はなく、複雑なインバータ回路を設ける必要もなく、制御部41の小型化を図れ、構成の簡略化が達成できる。さらに、電力消費量を低減できるので、バッテリー33の小型化も達成でき、照明装置30全体の小型化が図れる。また、発光ダイオード52を採用したことで発光部51の長寿命化も達成でき、発光部51の交換回数を低減できるので、メンテナンスの手間を低減できる。さらに、本発明では、ソーラーパネル70を光透過性板材10の下面に布設しているので、大きな受光面積を得ることができる。したがって、大きな発電量を得ることができる上に、発光ダイオード52は少ない電力量で発光できるので、照度が非常に大きい照明を長時間に亘って提供することができる。
【0110】
一方、照明装置30が一体的に形成されているので、照明装置30の簡略化および小型化が図れる。さらに、現場での配線は、ソーラーパネル70と照明装置30との間だけで済むので、ソーラーパネル70および照明装置30の設置作業を容易に行うことができる。特に、本実施の形態では、パッキン65を介して光透過性板材10の下面に接着することで固定しているので、設置作業の手間をさらに低減できる。
【0111】
また、本発明では、ソーラーパネル70が、光透過性板材10の下面に対向するように配置されているので、ソーラーパネル70が風雨に晒されるのを防止でき、ソーラーパネル70の劣化を遅らせることができる。さらに、光透過性板材10は、少なくとも太陽光の一部を透過する材質にて形成されているので、ソーラーパネル70で光透過性板材10を透過した太陽光を効率的に受光することができ、発光部51で消費する電力を確実に確保することができる。さらに、ソーラーパネル70は、大きい受光面積を確保できるので、発電量を大幅に増加させることができる。
【0112】
さらに、ソーラーパネル70が布設された位置の光透過性板材10には、蛍光体を含有する光透過性樹脂シート12が貼付されているので、蛍光体によって、太陽光のうち、紫外領域の光を、可視光領域の光に変換してソーラーパネル70に照射させることができる。これによって、効率的なエネルギー変換を行うことができ、ソーラーパネル70における発電量を増加させることができる。
【0113】
また、ソーラーパネル70は、光透過性板材10の下面に接着剤を介して、布設されているので、光透過性板材10に容易に固定することができる。さらに、ソーラーパネル70の設置スペース(厚さ)を小さくすることができ、光透過性板材10とソーラーパネル70を備える屋根部分の厚さを薄くすることができる。したがって、光透過性板材10の下部の空間を大きく確保することができる。
【0114】
さらに、ソーラーパネル70が、フレキシブルソーラーパネル71にて構成されているので、本実施の形態のように、光透過性板材10が湾曲した形状であっても、ソーラーパネル70を、光透過性板材10の下面に追従させて、確実に接着して布設することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、光透過性板材10が光透過性樹脂板11で構成されているので、照明装置付屋根構造体1の重量を低減させることができ、構造的に有利となる。これによって、柱材21や梁材22の寸法を小さくすることができるので、狭い設置スペースであっても、車の出し入れを行いやすいカーポート用屋根2を提供することができる。
【0116】
一方、光透過性板材10を光透過性硝子板で構成した場合には、光透過性板材の強度を高めることができるので、ソーラーパネル70や照明装置30の取付けなどを容易に行うことができる。さらに、大型の照明装置(図示せず)を設置することができるので照明を明るくできる。あるいは複数個に形成されている照明装置30を大型の照明装置にまとめることができるので、照明装置の設置工程を低減できる。
【0117】
枠材20や柱材21がアルミニウムまたはアルミニウム合金の押出形材にて構成されているので、照明装置付屋根構造体1全体の軽量化を図ることができるとともに、耐錆性能を確保することができる。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出形材は、寸法精度が高いので、ズレのない正確な枠材20や柱材21を形成できるとともに、細かい寸法であっても精度の高い製品を容易に製造することができる。さらに、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の表面には、陽極酸化皮膜処理が施されているので、耐錆性能をさらに高めることができるとともに、柱材21や梁材22(枠材20)に着色も可能となるので、デザイン性に優れた照明装置付屋根構造体を提供できる。
【0118】
また、本実施の形態に係る発光部51は、少なくとも発光層が窒化物半導体である発光素子と、この発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換することで蛍光を発する無機蛍光体とを有しているので、簡単な構成で白色光を発光させることができ、長寿命で明るい照明装置30を提供できる。
【0119】
一方、照明装置30の電源部31が発光部51の上部に配置されているので、ソーラーパネル70と電源部31との配線を短くすることができ、また、電源部31と発光部51との配線も短くできる合理的な配置とすることができ、照明装置30の小型化および低コスト化を達成できる。
【0120】
また、発光部51の周囲には、発光部51からの光を反射させるリフレクター55が設けられているので、発光部51からの可視光を、効率的に反射させて下方に照射することができ、少ない電力消費量で明るい照明装置30を提供できる。また、リフレクター55は、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されているので、リフレクター55の軽量化を達成できるとともに、可視光の反射効率が高い。
【0121】
そして、リフレクター55を、高純度アルミニウム層とアルミニウム合金層からなるクラッド層を有する構成とすれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金以外の材質で形成しても、発光部51からの可視光を効率的に反射させることができる。
【0122】
さらに、クラッド層を、高純度アルミニウム層が表面側に配置され、高純度アルミニウム層の表面がCMP(化学・機械的研磨)によって研磨されてその表面粗さが小さくされるように構成すれば、リフレクター55の表面反射率をさらに高めることができる。
【0123】
発光部51の上部のリフレクター55の上部に、放熱部材72を設けたことによって、発光ダイオード52(発光部51)から発生する熱を効率的に周囲に放熱することができる。特に、放熱部材72は、リフレクター55を介して発光部51に当接する基板73と、この基板73に取り付けられた放熱フィン74とを備えているので、発光部51からの熱を、放熱フィン74を介して、さらに効率的に周囲に放熱させることができる。
【0124】
特に、基板73は、銅または銅合金にて形成され、放熱フィン74は、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されているので、放熱フィン74は、摩擦振動接合によって、基板73に接合できる。これによれば、接合境界部の熱伝導率は250W/m・K以上とすることができ、非常に放熱性能が高く、また、取り付けに際してロウ付けで必要となるフラックスを用いる必要はないので、環境に配慮した放熱部材72を提供できる。さらに、放熱フィン74にアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いているので、放熱部材72の軽量化が達成され、照明装置30全体の軽量化を達成することができる。
【0125】
照明装置30のケーシング61に、内部の空気を流通させるための換気口67を設けたことによって、照明装置30内部の換気を行うことができ、照明装置30内部の温度上昇を防止することができる。換気口67は、互いに対向するケーシング61の壁面に少なくとも一対設けられているので、換気効率が高い。一対の換気口67,67は、放熱部材72と対応する高さに配置されており、放熱フィン74の延出方向の両端側に形成されているので、空気は放熱フィン74の延長方向に沿って流れやすくなり、放熱効率が向上する。また、発光ダイオード52の配列方向とは直交する方向に放熱フィン74が延出していることによって、空気は発光ダイオード52の配列方向とは直交する方向に流れる。そのため、一つの放熱フィン74と接する発光ダイオード52は、単数であるので、冷却効率が高く、確実に冷却できる。
【0126】
さらに、換気口67,67には、内部の空気を強制的に流通させるためのファン68,68が設けられているので、ケーシング61の内部の空気を強制的に流通させて換気することができ、さらに放熱効率を高めることができる。
【0127】
また、発光部51の下方には、これを覆うカバー56が設けられているので、発光部51を風雨から遮断できるので、さらなる長寿命化を期待できるとともに、照明の明るさや向きを調整することができる。
【0128】
さらに、照明装置30の制御部41には、周囲の明るさに応じて発光部51を点灯させる光センサ(図示せず)が設けられているので、照明装置30(発光部51)のオン・オフが自動的に行われる。したがって、発光部51を点灯させるためのスイッチを設ける必要はなく、照明装置30の構造の簡略化が達成できる。また、無駄な電力消費を抑えることができるので、バッテリー33のさらなる小型化が図れる。
【0129】
照明装置30は、光透過性板材10の下面に固定されているので、照明装置30が風雨に晒されるのを防止できる。
【0130】
なお、本実施の形態では、ソーラーパネル70が布設された位置の光透過性板材10に、蛍光体を含有する光透過性樹脂シート12が貼付されているが、光透過性樹脂シート12に代えて、プリズムシート(図示せず)を貼付するようにしてもよい。プリズムシートを設けることによって、太陽光が光透過性板材で全反射するのを防止できるとともに、太陽光を均一に透過させ、ソーラーパネル70の発電効率を向上させることができる。
【0131】
[実施形態]
図10は本発明に係る照明装置付屋根構造体を実施するための形態を示した斜視図である。
【0132】
本実施の形態では、照明装置付屋根構造体を待合スペース用屋根として利用した場合を例に挙げて説明する。ここで、待合スペースとは、室外におけるバス停留所やタクシー乗り場などをいう。
【0133】
図10に示すように、かかる照明装置付屋根構造体1は、待合スペース用屋根3として用いられるものであって、光透過性板材10と枠材20と照明装置30とソーラーパネル70とを備えている。待合スペース用屋根3は、
図1のカーポート用屋根2と比較して、明るさが要求される場合が多く、大きい照明装置30が必要となる。
【0134】
(枠材)
枠材20は、梁材22にて構成されている。梁材22は柱材21にて支持されている。本実施の形態では、梁材22は、隣り合う柱材21間に架け渡される大梁24と、並列する大梁24間に架け渡される小梁28と、大梁24間に架け渡され光透過性板材10を支持する支持部材29とで構成されている。支持部材29は円弧状に形成されており、小梁28の上方で湾曲するように配置されている。支持部材29の側面と大梁24の上面には、支持溝27がそれぞれ形成されており、この支持溝27に光透過性板材10の周縁部が挿入されて、梁材22に光透過性板材10が支持されている。
【0135】
(光透過性板材)
光透過性板材10は、光透過性樹脂板あるいは光透過性硝子板から構成されている。光透過性板材10は、支持部材29の曲率に合わせてアーチ状に湾曲して形成されている。光透過性樹脂板および光透過性硝子板の材質・成分は、参考実施形態のものと同様である。
【0136】
(照明装置)
照明装置30は、参考実施形態の照明装置30と同様の構成である。なお、本実施の形態では、参考実施形態と比較して、求められる明るさが明るいので、バッテリーおよび発光ダイオード(ともに図示せず)も多数設けられている。
【0137】
ところで、本実施の形態では、枠材20に照明装置30が固定されている。具体的には、小梁28の側面には、照明装置30を固定するための支持アーム28aが固定されている。支持アーム28aは、その両端にフランジ部28bが形成されている。一方のフランジ部28bを小梁28の側面に当接してボルト(図示せず)等を挿通させることで、支持アーム28aが小梁28に固定されている。他方のフランジ部28bは、照明装置30のケーシング61に当接されボルト(図示せず)等が挿通されることで、照明装置30が支持アーム28aに固定されている。照明装置30は、隣り合う小梁28,28間の両内側にそれぞれ固定されている。照明装置30は、上方に位置する光透過性板材10の下面に対向するように構成されている。
【0138】
(ソーラーパネル)
本実施の形態におけるソーラーパネル70も、参考実施形態のソーラーパネル70と同等の構成である。すなわち、ソーラーパネル70は、その受光面が、光透過性板材10の下面に受光面が当接するように布設されている。ソーラーパネル70は、変形可能なフレキシブルソーラーパネル71(フレキシブルパネル)にて構成されており、湾曲した光透過性板材10の形状に沿って追従するように布設されている。フレキシブルソーラーパネル71は、接着剤を介して光透過性板材10の下面に貼り付けられている。
本実施の形態によれば、参考実施形態で得られる作用効果以外に、照明装置30を光透過性板材10よりも強度の大きい枠材20に固定するようにしたことによって、支持可能重量が大きい。したがって、参考実施形態よりも重量の重い照明装置30を支持することができ、明るさを多く確保することができる。これによって、待合スペース用屋根3としての明るさを十分に確保することができる。また、照明装置30の容量が大きいので、ソーラーパネル70の受光面積を大きくして発電容量を大きくしたことがより有効となる。
【0139】
なお、本実施の形態では、かかる照明装置付屋根構造体1を待合スペース用屋根3として利用しているが、これをカーポート用屋根2として用いても何ら問題はない。また、待合スペース用屋根3の形態は、本実施の形態に限られるものではない。例えば、参考実施形態のように片持ち梁形状であってもよい。また、屋根の形状が、切妻屋根形状や片流れ屋根形状や寄棟屋根形状などでもよく、屋根面に光透過性板材が設けられ太陽光を内側に採り込めることができれば、形状は自由である。さらに、枠材20や柱材21の外形や断面形状も所定の強度を得られれば自由に決定することができる。
【0140】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記の参考実施形態および本発明の実施形態では、ソーラーパネル70がフレキシブルソーラーパネル71にて構成され、湾曲した光透過性板材10に追従して布設されるようになっているが、光透過性板材が平板状の場合には、ソーラーパネルは、フレキシブルである必要はなく、硬い平板状のパネルであってもよい。
【0141】
また、本発明の枠材20や柱材21やリフレクター55は、アルミニウム製やアルミニウム合金製に限られるものではなく、必要な強度を有していればスチール、ステンレス、チタンや銅あるいは木材など他の材質であっても適用できるのは勿論である。
【0142】
さらに、前記実施の形態では、照明装置30は、光透過性板材10または梁材22に取り付けられているが、柱材21に固定するようにしてもよい。この場合、柱材21間に光透過性板材10を設ければ、照明装置30が風雨に晒されるのを防止できる。
【0143】
また、前記実施の形態では、枠材20は柱材21に支持されているが、これに限られるものではなく、例えば、隣接する構造物の壁面などに枠材20を直接固定するようにしてもよい。
【0144】
さらに、本発明に係る照明装置付屋根構造体1は、カーポート用屋根2や待合スペース用屋根3として利用するのに限られるものではないのは勿論である。例えば、公園内の休憩所や住宅のテラスなどで用いることも可能である。