(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御手段は、前記走行レーンと前記推奨レーンとの間においてM個(MはNより大きい自然数)より少なく、かつ、N個以上の他のレーンが存在する場合に、前記推奨レーンの像における横方向の中央の位置から前記走行レーンの像側に補正した位置を前記推奨レーン側案内線部分の重畳位置とする、
請求項1に記載のレーン案内表示システム。
前記表示制御手段は、前記走行レーンと前記推奨レーンとの間においてM個より少なく、かつ、N個以上の他のレーンが存在する場合であって、前記走行レーンの反対側から前記推奨レーンに隣接するレーンが存在しない場合に、前記推奨レーンの像における横方向の中央の位置から前記走行レーンの像の反対側に補正した位置を前記推奨レーン側案内線部分の重畳位置とする、
請求項2に記載のレーン案内表示システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両が現在走行している走行レーンと推奨レーンとの間に他のレーンが存在する場合に、運転者が当該他のレーンが推奨レーンであると誤認識するという問題があった。ここで、走行レーンと推奨レーンとの間に存在する他のレーンが推奨レーンであると誤認識することは、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することを意味する。レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識した場合、真の推奨レーンまで車両を誘導できなくなるという事態が生じ得る。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、走行レーンと推奨レーンとの間に他のレーンが存在する場合でも、確実に車両を推奨レーンに誘導できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明において、前方画像取得手段は、車両の前方を撮影した前方画像を取得する。レーン特定手段は、車両が現在走行している走行レーンから車両がレーン変更すべき推奨レーンの像を前方画像において特定する。表示制御手段は、前方画像において推奨レーンの像を指し示す推奨レーン側案内線部分を含む案内線を重畳した前方画像を表示部に表示させる。さらに、表示制御手段は、走行レーンと推奨レーンとの間において他のレーンが存在するか否かに応じて、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を変化させる。以下、走行レーンと推奨レーンとの間に存在する他のレーンを介在レーンと表記することとする。
【0006】
介在レーンが存在する場合、当該介在レーンが推奨レーンであるとの誤認識が生じ得る。従って、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識し得る。一方、介在レーンが存在しない場合、当然、当該介在レーンが推奨レーンであるとの誤認識が生じ得ず、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識し得ない。従って、前記の構成において、介在レーンが存在するか否かに応じて、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を変化させることにより、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識する可能性に応じて当該誤認識を防止するように推奨レーン側案内線部分の重畳位置を設定できる。従って、介在レーンが存在する場合でも確実に車両を推奨レーンに誘導できる。
【0007】
前方画像取得手段は、車両の前方を撮影した前方画像を取得すればよく、例えば車両の前方を視野に含むカメラから前方画像を取得すればよい。なお、車両の前方とは車両の走行方向の前方を意味する。特に、あるレーン内における前方側と表記する場合、当該レーンにおける車両の走行方向(レーン方向)の前方側を意味する。また、レーン方向の位置は、表示部に表示された前方画像における縦方向の位置に表れる。一方、レーンにおける幅方向の位置は、表示部に表示された前方画像における横方向の位置に表れる。
【0008】
レーン特定手段は、推奨レーンの像を前方画像において特定すればよく、前方画像における推奨レーンの像の画像的特徴を認識することにより推奨レーンの像を特定してもよい。例えば、レーン特定手段は、ハフ変換等の公知の線認識手法により推奨レーンの区画線の像を認識することにより、推奨レーンの像を特定してもよい。さらに、レーン特定手段は、推奨レーンの位置を地図情報から取得し、当該取得した位置に基づいて前方画像おいて推奨レーンの像を特定してもよい。推奨レーンは、走行レーンからレーン変更すべきレーンであり、走行レーンとは異なるレーンである。レーン特定手段は、予め探索された走行予定経路において目的地点に到達することが可能なレーンの像を推奨レーンの像としてもよい。さらに、レーン特定手段は、走行予定経路において車両の前方の交差点に進入する際に走行すべきレーンが存在する場合に、当該交差点に所定距離以内に接近した段階で当該レーンの像を推奨レーンの像として特定してもよい。また、レーン特定手段は、車両が走行している道路において、少なくとも走行レーンよりも安全またはスムーズに走行できるレーンの像を推奨レーンの像として特定してもよい。
【0009】
表示制御手段は、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を変化させればよく、推奨レーン側案内線部分の一部または全部が横方向に平行移動するように重畳位置を変化させてもよい。また、表示制御手段は、推奨レーン側案内線部分の一部または全部が回転移動によって横方向に移動にするように重畳位置を変化させてもよい。表示制御手段は、推奨レーン側案内線部分の長さを所定値以上に維持してもよい。これにより、前方画像において推奨レーン側案内線部分を確実に視認させることができ、推奨レーン側案内線部分が指し示す推奨レーンの像を認識しやすくすることができる。さらに、推奨レーン側案内線部分は種々の線形状をとり得る。また、推奨レーン側案内線部分は連続した線に限らず、破線や鎖線であってもよい。さらに、推奨レーン側案内線部分は細線に限らず、矢印等の図形であってもよい。
【0010】
また、表示制御手段は、N個(Nは自然数)以上の介在レーンが存在しない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としてもよい。ここで、N個以上の介在レーンが存在しない場合には、走行レーンと推奨レーンとがある程度近く、前方画像において推奨レーンの像が大きく表れるということができる。前方画像において推奨レーンの像が大きく表れるほど、推奨レーン側案内線部分が指し示す推奨レーンの像を誤認識する可能性が低くなる。このように、推奨レーンの像を誤認識する可能性が低くなる場合において、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としておけば、介在レーンが推奨レーンであると誤認識させることなく、推奨レーンにおける幅方向の中央位置を走行すべきことを運転者に認識させることができる。
【0011】
一方、N個以上の介在レーンが存在する場合には、走行レーンと推奨レーンとがある程度遠く、前方画像において推奨レーンの像が小さく表れるということができる。前方画像において推奨レーンの像が小さく表れるほど、推奨レーン側案内線部分が指し示す推奨レーンの像を誤認識する可能性が高くなる。このように、推奨レーンの像を誤認識する可能性が高くなる場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としておけば、介在レーンが推奨レーンであると誤認識することが防止できる。従って、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することが防止でき、確実に車両を推奨レーンに誘導できる。この場合、レーン変更すべきレーン数を本来よりも多く誤認識し得ることとなるが、レーン変更が進行して推奨レーンに接近する過程で、運転者は真の推奨レーンを認識できるため、問題とはならない。レーン変更が進行していく過程で車両が推奨レーンに接近していくと、推奨レーンの像が前方画像において大きくなり、推奨レーンの像と推奨レーン側案内線部分との位置関係も明瞭化していくからである。また、レーン変更すべきレーン数を本来よりも多く誤認識した場合には、本来よりもレーン変更の開始が早くなり得るが、レーン変更の開始が遅くなることはないため、レーン変更の完了が必要な地点(例えば、交差点や分岐点)までに車両を推奨レーンに誘導できなくなるということはない。
【0012】
ただし、表示制御手段は、介在レーンがN個以上であっても、M個(MはNより大きい自然数)よりも少ない場合には、例外として推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としてもよい。このように、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置とすることにより、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接するレーンが推奨レーンであると運転者に誤認識されることが防止できる。ここで、介在レーンがM個よりも少ない場合には、推奨レーンに隣接する介在レーンが走行レーンとある程度近く、運転者は推奨レーンに隣接する介在レーンの像を前方画像において明瞭に認識することができる。従って、介在レーンがM個よりも少ない場合には、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としても、推奨レーン側案内線部分が推奨レーンに隣接する介在レーンを指し示していないことを運転者は明確に認識できる。例えば、介在レーンが2個よりも少ない場合(介在レーンが走行レーンに隣接する1個のレーンのみの場合)、推奨レーン側案内線部分が介在レーンの像を指し示していないことを運転者は明確に認識できる。従って、介在レーンの個数がM個よりも少ない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置とすることにより、推奨レーンを正確に認識させることができる。
【0013】
ただし、介在レーンがM個よりも少ない場合であっても、走行レーンの反対側から推奨レーンに隣接するレーンが存在しない場合には、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接レーンが推奨レーンであると運転者に誤認識される可能性はない。従って、表示制御手段は、介在レーンがM個よりも少ない場合であっても、走行レーンの反対側から推奨レーンに隣接するレーンが存在しない場合には、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置としてもよい。
【0014】
さらに、本発明のように、前方画像に重畳した案内線により推奨レーンの像を案内させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなレーン案内表示システム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。すなわち、レーン案内表示システムを構成する各手段が複数の実体的な装置に分散して備えられてもよい。各手段が複数の実体的な装置に分散して備えられる場合に、各手段を機能させるために必要なデータを送受信する通信手段が備えられてもよい。さらに、以上のようなレーン案内表示システムの少なくとも一部を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、レーン案内表示システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)レーン案内表示処理:
(3)他の実施形態:
【0017】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかるレーン案内表示システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両Cに備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aを記録する。地図情報30aは、道路の端点(交差点)に対応して設定されたノードを示すノードデータと、ノード間の道路に関する情報を示すリンクデータと、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データと、道路やその周辺に存在する地物を示すデータ等を含んでいる。リンクデータには、道路が含むレーンのレーン数と、道路における幅方向の一方(本実施形態では左側)から数えた各レーンのレーン番号と、レーンを道路の終点まで走行した場合に進入できる道路と、レーンを区画する区画線の線種(線形状,色等)とを示すレーン情報とが含まれる。
【0018】
また、車両Cは、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44とユーザI/F部45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両Cの現在位置を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両Cが備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。ジャイロセンサ43は、車両Cに作用する角加速度に対応した信号を出力する。カメラ44は、車両Cの前方の前方画像を撮影するイメージセンサである。
【0019】
図2A〜2Dは、カメラ44が前方画像を撮影する様子を示す平面図である。
図2A〜2Dに示すようにカメラ44は車両Cの正面前方Fを中心とした視野を有し、車両Cの前方を俯瞰した前方画像を示す前方画像を撮影する。カメラ44が撮影した前方画像は、図示しないインタフェースを介して制御部20に出力される。本実施形態において、カメラ44は、車両Cの幅方向の中央位置に備えられたバックミラーの裏側に備えられている。ユーザI/F部45は、制御部20から出力された制御信号に基づいて各種案内を出力する出力装置を含む。本実施形態のユーザI/F部45の出力装置は、音声により案内を出力するスピーカと、画像により案内を表示する表示部としてのディスプレイとを含む。ディスプレイは、車両Cにおいて運転者が視認できる方向に設置されており、ディスプレイに表示される画像の縦方向と横方向とがそれぞれ車両C内において鉛直方向と水平方向となるように設置されている。また、本実施形態において、カメラ44が撮影する各レーンのレーン方向は、すべて直線かつ互いに平行であることとする。
【0020】
制御部20は、レーン案内表示プログラム21を実行する。レーン案内表示プログラム21は、ナビゲーション部21aと前方画像取得部21bとレーン特定部21cと表示制御部21dとを含む。
ナビゲーション部21aは、目的地までの走行予定経路を案内するために必要な各種機能を制御部20に実行させるモジュールである。ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43の出力信号等に基づいて車両Cの現在位置を特定する。そして、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、地図情報30aのリンクデータを参照することにより、車両Cの現在位置が存在する道路を走行道路として特定する。また、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、地図情報30aを参照して、現在位置から目的地までの走行予定経路を公知の経路探索手法により探索する。本実施形態では走行予定経路が予め探索されていることとする。なお、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、走行予定経路を取得できればよく、外部のコンピュータにおいて探索された走行予定経路を通信により取得してもよい。
【0021】
前方画像取得部21bは、車両Cの前方を撮影した前方画像を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。すなわち、前方画像取得部21bの機能により制御部20は、カメラ44が撮影した前方画像データを所定の時間周期ごとに連続して取得する。
【0022】
図3Aは、前方画像を示す図である。車両Cが水平に走行する場合、前方画像を横方向に二等分する二等分線上における縦方向の上方は、カメラ44(車両Cの幅方向の中央位置)の正面前方Fを示す。なお、前方画像を横方向に二等分する二等分線上に消失点が存在する。車両Cが水平に走行する場合、前方画像の横方向の位置は、カメラ44の視野における水平方向の位置に対応し、特にレーン上におけるレーンの幅方向の位置に対応する。一方、前方画像の縦方向の位置は、視野における鉛直方向の位置、および、カメラ44からの距離に依存する。従って、前方画像の縦方向の位置が高いほど、車両Cの走行方向の前方側における遠い位置を示す。本実施形態では、前方画像の下辺の中点CCが車両Cの幅方向の中央位置を示すこととする。
図3Aの例では、前方画像に5個の区画線の像BLが表れており、区画線の像BLによってそれぞれ横方向に挟まれた4個のレーンの像が表れている。
【0023】
レーン特定部21cは、車両Cが現在走行している走行レーンからレーン変更すべき推奨レーンの像を前方画像内において特定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。すなわち、レーン特定部21cの機能により制御部20は、公知のハフ変換等の線認識手法により、前方画像からレーンの区画線の像BLを認識し、当該区画線の像BLによって挟まれた領域をレーンの像として特定する。なお、レーン特定部21cの機能により制御部20は、地図情報30aのレーン情報が示す区画線の線種を参照して、区画線の像BLを認識してもよい。さらに、レーン特定部21cの機能により制御部20は、レーンの像のうち前方画像の下辺の中点CCから最も近いレーンの像が走行レーンの像であると特定する。また、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像において、左端のレーンの像から順に走行レーンの像まで数えることにより、走行レーンのレーン番号を特定する。
【0024】
また、レーン特定部21cの機能により制御部20は、ナビゲーション部21aの機能によって予め探索された走行予定経路に基づいて推奨レーンを特定する。すなわち、レーン特定部21cの機能により制御部20は、走行予定経路において車両Cが現在走行している走行道路の次に走行すべき道路を特定し、当該道路に進入することが可能なレーンを推奨レーンとして特定する。そして、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像において左端のレーンの像から順に推奨レーンのレーン番号だけ数えたレーンの像を推奨レーンの像として特定する。
【0025】
表示制御部21dは、前方画像における推奨レーンの像を指し示す推奨レーン側案内線部分を含む案内線を重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。具体的に、表示制御部21dの機能により制御部20は、案内線を重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる処理を、所定の時間周期で前方画像が取得されるごとに実行する。なお、どの時間周期で撮影された前方画像においても、前方画像の下辺の中点CCは常に車両Cの幅方向の中央位置を示す。また、車両Cがレーンの幅方向に移動すると、前方画像においてレーンの区画線の像BLが横方向に移動することとなる。
【0026】
表示制御部21dの機能により制御部20は、走行レーンと推奨レーンとの間において他のレーン(介在レーン)が存在するか否かに応じて、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を変化させる。表1は、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を、介在レーンの個数ごとに示す表である。
【表1】
【0027】
表1に示すように、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが0個である場合、すなわち1個以上の介在レーンが存在しない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分の重畳位置とする。以下、介在レーンが0個である場合に、表示制御部21dの機能により制御部20が生成する案内線について説明する。
【0028】
図2Aに示すように、走行レーン(レーン番号:3)と推奨レーン(レーン番号:2)とが隣接する場合、介在レーンが0個となる。この場合、
図4Aに示すように、前方画像においても走行レーンの像(右上がりハッチング)と推奨レーンの像(右下がりハッチング)とが横方向に隣接することとなる。本実施形態において表示制御部21dの機能により制御部20は、以下の手順により推奨レーンの像の横方向における中央位置を特定する。まず、
図3Cに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像において推奨レーンの像を横方向に横切る補助線(二点鎖線)を縦方向の複数の高さに生成し、当該補助線と推奨レーンの左右それぞれの区画線の像との交点(白丸)を特定する。そして、表示制御部21dの機能により制御部20は、各補助線について、当該補助線と推奨レーンの左右それぞれの区画線の像との交点(白丸)同士の横方向の中点(白三角)を特定し、当該中点(白三角)を結ぶ直線を推奨レーンの中央線RC(一点鎖線)として特定する。この中央線RCは、前方画像における推奨レーンの像の横方向の中央の位置を示し、実空間における推奨レーンの幅方向の中央位置を示す。
【0029】
図3A,4Aは
図2Aの場合の前方画像を示す。
図3Aにおいて、車両Cの幅方向の中央位置を示す下辺の中点CCを左右に挟む区画線の像BLによって区画された領域が走行レーンの像であり、当該走行レーンの像に対して左側に隣接するレーンの像が推奨レーンの像となっている。
図3Aおよび
図4Aにおける推奨レーンの像の拡大図に示すように、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像における推奨レーンの中央線RC上の位置、かつ、当該前方画像の縦方向の一定位置Hに前方側端点FEを設定する。具体的に表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像の縦方向における一定位置Hにおいて横方向の補助線Sを生成し、当該補助線Sと推奨レーンの中央線RCとの交点に前方側端点FEを設定する。従って、前方側端点FEは推奨レーン内の位置を示す。なお、一定位置Hは前方画像に非依存である。
【0030】
表示制御部21dの機能により制御部20は、
図3Aに示すように前方画像における推奨レーンの中央線RC上の位置、かつ、前方側端点FEからのユークリッド距離が所定値Yとなる位置に第1変化点K1を設定する。なお、所定値Yは前方画像に非依存である。そして、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図3Aに示すように中央線RC上における前方側端点FEと第1変化点K1との間に直線状の推奨レーン側案内線部分RLを生成する。以上により、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが0個である場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とすることができる。
【0031】
図3Aに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、車両Cの幅方向の中央位置を示す前方画像の下辺の中点CCに、後方側端点BEを設定する。さらに、
図3Aに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、走行レーン内において、第1変化点K1よりも後方側、かつ、後方側端点BEよりも前方側の位置を示す第2変化点K2を設定する。すなわち、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像において、第1変化点K1よりも縦方向の下方、かつ、前方画像の下辺よりも縦方向の上方の位置に第2変化点K2を設定する。また、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像において、走行レーンと推奨レーンとの間に存在する区画線の像BLと、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ直線(交差線部分CL)とがなす鋭角θを所定角度と等しくさせる。本実施形態において表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像を横方向に二等分する二等分線上に第2変化点K2を設定する。すなわち、第2変化点K2は車両Cの幅方向の中央位置の正面前方Fの位置を示すように設定される。また、所定角度は前方画像に非依存である。所定角度は90度に近いほど望ましく、本実施形態では60度とする。鋭角θは、走行レーンと推奨レーンとの間に存在する区画線の像BLと、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ直線(交差線部分CL)との交点まわりに形成される4個の角のうち90度以下の小さい2個の角を指す。
【0032】
図3Aに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、前方側端点FEと第1変化点K1と第2変化点K2と後方側端点BEとを接続する折れ線状かつ細線状の案内線GLを生成する。この場合、案内線GLは、前方側端点FEと第1変化点K1との間の推奨レーン側案内線部分RLと、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ交差線部分CLと、第2変化点K2と後方側端点BEとの間の直近部分ALとを含む。なお、交差線部分CLは、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ直線であっても曲線であってもよい。
【0033】
さらに、
図3B,4Aに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、細線状の案内線GLに基づいて矢印形状の案内線glを生成する。本実施形態においては、細線状の案内線GLに関して線対称となるように矢印形状の案内線glを生成する。矢印の頭部は三角形状であり、その頂角が前方側端点FEとなる。なお、矢印形状の案内線glのうち推奨レーン側案内線部分RLに対応する部分を、矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlと表記する。表示制御部21dの機能により制御部20は、矢印形状の案内線glを前方画像に重畳し、ユーザI/F部45に表示させる。表示制御部21dの機能により制御部20は、時間周期ごとに連続して取得される前方画像のそれぞれについて、当該前方画像に同期した矢印形状の案内線glを生成し、当該矢印形状の案内線glを重畳した前方画像を連続して更新する。
【0034】
次に、介在レーンが2個以上である場合に、表示制御部21dの機能により制御部20が生成する案内線glについて説明する。
図2B,4Bは、それぞれ介在レーンが2個である場合の道路の平面図と前方画像(推奨レーンの像の拡大図)とを示す。
図2Bにおいて、走行レーン(レーン番号:4)と推奨レーン(レーン番号:1)との間に2個の介在レーン(レーン番号:2,3)が存在している。
図4Bに示すように介在レーンが2個である場合、前方画像における走行レーンの像(右上がりハッチング)と推奨レーンの像(右下がりハッチング)との間に2個の介在レーンの像が存在する。
【0035】
表1に示すように、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが2個以上の介在レーンが存在する場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする。すなわち、
図3Cに示すように表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンの中央線RCを特定すると、当該中央線RCを所定距離aだけ走行レーンの像の反対側に横方向に平行移動した直線である外側基準線SO(破線)を生成する。なお、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンの左右それぞれの区画線の像BLと前方画像の下辺との交点を特定し、当該交点同士の間隔Wに所定比率(例えば10%)を乗じた長さを所定距離aとする。
【0036】
そして、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図4Bに示すように前方画像における外側基準線SO上の位置、かつ、当該前方画像の縦方向の一定位置Hに前方側端点FEを設定する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像における外側基準線SO上の位置、かつ、前方側端点FEからのユークリッド距離が所定値Yとなる位置に第1変化点K1を設定し、外側基準線SO上における前方側端点FEと第1変化点K1との間に直線状の推奨レーン側案内線部分RLを生成する。以上により、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが2個以上である場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とすることができる。推奨レーン側案内線部分RLを生成すると、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが0個である場合と同様に、交差線部分CLと直近部分ALとを生成し、推奨レーン側案内線部分RLと交差線部分CLと直近部分ALとを含む細線状の案内線GLを生成する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、細線状の案内線GLに関して線対称の矢印形状の案内線glを生成し、当該矢印形状の案内線glを重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
【0037】
なお、介在レーンが1個でも存在する場合には、交差線部分CLは推奨レーンと走行レーンとの間に存在する複数の区画線の像BLと交差することとなる。表示制御部21dの機能により制御部20は、交差線部分CLと複数の区画線の像BLのそれぞれが交差する点にて形成される鋭角θのうち最も角度が小さい鋭角θを特定し、当該鋭角θが所定角度(60度)となるように、第2変化点K2を設定する。
【0038】
次に、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在しない場合に、表示制御部21dの機能により制御部20が生成する案内線glについて説明する。介在レーンが1個である場合とは、介在レーンが2個(M=2)よりも少なく、かつ、1個以上(N=1)であることを意味する。
図2C,4Cは、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在しない場合の道路の平面図と前方画像(推奨レーンの像の拡大図)とを示す。
図2Cにおいて、走行レーン(レーン番号:3)と推奨レーン(レーン番号:1)との間に1個の介在レーン(レーン番号:2)が存在している。
図2Cに示すように推奨レーンが道路の端のレーンである場合に、外接レーンが存在しないこととなる。
【0039】
表1に示すように、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在しない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする。すなわち、介在レーンが2個以上である場合と同様に表示制御部21dの機能により制御部20は、
図4Cに示すように推奨レーンの中央線RCを所定距離aだけ走行レーンの像の反対側に横方向に平行移動した外側基準線SO上に推奨レーン側案内線部分RLを生成する。推奨レーン側案内線部分RLを生成すると、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが0個である場合と同様に、交差線部分CLと直近部分ALとを生成し、推奨レーン側案内線部分RLと交差線部分CLと直近部分ALとを含む細線状の案内線GLを生成する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、細線状の案内線GLに関して線対称の矢印形状の案内線glを生成し、当該矢印形状の案内線glを重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
【0040】
次に、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在する場合に、表示制御部21dの機能により制御部20が生成する案内線glについて説明する。
図2D,4Dは、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在する場合の道路の平面図と前方画像(推奨レーンの像の拡大図)とを示す。
図2Dにおいて、走行レーン(レーン番号:4)と推奨レーン(レーン番号:2)との間に1個の介在レーン(レーン番号:3)が存在している。
図2Dに示すように推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーン(レーン番号:1)が存在する。この場合、
図4Dに示すように前方画像において推奨レーンの像に対して走行レーンの像の反対側から外接レーンの像(縦ハッチング)が隣接することとなる。
【0041】
表1に示すように、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在する場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする。すなわち、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図3Cに示すように推奨レーンの中央線RCを所定距離bだけ走行レーンの像側に横方向に平行移動した内側基準線SI(破線)を生成する。そして、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図4Dに示すように前方画像における内側基準線SI上の位置、かつ、当該前方画像の縦方向の一定位置Hに前方側端点FEを設定する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像における内側基準線SI上の位置、かつ、前方側端点FEからのユークリッド距離が所定値Yとなる位置に第1変化点K1を設定し、内側基準線SI上における前方側端点FEと第1変化点K1との間に直線状の推奨レーン側案内線部分RLを生成する。以上により、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが1個であり、かつ、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが存在する場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とすることができる。
【0042】
推奨レーン側案内線部分RLを生成すると、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが0個である場合と同様に、交差線部分CLと直近部分ALとを生成し、推奨レーン側案内線部分RLと交差線部分CLと直近部分ALとを含む細線状の案内線GLを生成する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図4Dに示すように細線状の案内線GLに関して線対称の矢印形状の案内線glを生成し、当該矢印形状の案内線glを重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
【0043】
前記の構成において、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンと走行レーンとの間に介在レーンが存在する場合には、当該介在レーンが推奨レーンであると誤認識されないように推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を変化させる。従って、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することが防止でき、確実に車両を推奨レーンに誘導できる。
【0044】
また、表示制御部21dの機能により制御部20は、1個以上の介在レーンが存在しない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする。ここで、1個以上の介在レーンが存在しない場合には、走行レーンと推奨レーンとがある程度近く、前方画像において推奨レーンの像が大きく表れるということができる(
図4A)。前方画像において推奨レーンの像が大きく表れるほど、推奨レーン側案内線部分RLが指し示す推奨レーンの像を誤認識する可能性が低くなる。このように、推奨レーンの像を誤認識する可能性が低くなる場合において、推奨レーンの像における横方向の中央の位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置としておけば(
図4A)、介在レーンが推奨レーンであると誤認識させることなく、推奨レーンにおける幅方向の中央位置を走行すべきことを運転者に認識させることができる。
【0045】
一方、2個以上の介在レーンが存在する場合には、走行レーンと推奨レーンとがある程度遠く、前方画像において推奨レーンの像が小さく表れるということができる。前方画像において推奨レーンの像が小さく表れるほど、推奨レーン側案内線部分RLが指し示す推奨レーンの像を誤認識する可能性が高くなる。このように、推奨レーンの像を誤認識する可能性が高くなる場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置としておけば(
図4B)、介在レーンが推奨レーンであると誤認識することが防止できる。従って、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することが防止でき、確実に車両を推奨レーンに誘導できる。
【0046】
ただし、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが1個以上であっても、2個よりも少ない場合には、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする(
図4D)。このように、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とすることにより、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンが推奨レーンであると運転者に誤認識されることが防止できる。ここで、介在レーンが2個よりも少ない場合、運転者は推奨レーンに隣接する介在レーンの像を前方画像において明瞭に認識することができる。従って、介在レーンが2個よりも少ない場合には、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置としても、推奨レーン側案内線部分RLが推奨レーンに隣接する介在レーンを指し示していないことを運転者は明確に認識できる(
図4D)。従って、介在レーンの個数が2個よりも少ない場合に、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とすることにより、推奨レーンを正確に認識させることができる。
【0047】
ただし、介在レーンが2個よりも少ない場合であっても、走行レーンの反対側から推奨レーンに隣接する外接レーンが存在しない場合には、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接レーンが推奨レーンであると運転者に誤認識される可能性はない。従って、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが2個よりも少ない場合であっても、外接レーンが存在しない場合には、推奨レーンの像における横方向の中央の位置から走行レーンの像の反対側に補正した位置を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置とする(
図4C)。
【0048】
(2)レーン案内表示処理:
次に、レーン案内表示プログラム21の機能により実行されるレーン案内表示処理を説明する。
図5はレーン案内表示処理のフローチャートである。レーン案内表示処理は、前方画像取得部21bの機能により制御部20が所定の時間周期で前方画像を取得するごとに実行するループ処理である。前方画像取得部21bの機能により制御部20は、カメラ44にて撮影された前方画像を取得する(S100)。次に、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像において車両Cが現在走行している走行レーンの像を特定する(S105)。具体的に、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像において区画線の像の認識により特定したレーンの像のうち、車両Cの幅方向の中央位置を示す前方画像の下辺の中点CCに最も近いレーンの像を走行レーンの像として特定する。さらに、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像において車両Cが走行すべき推奨レーンの像を特定する(S110)。具体的に、レーン特定部21cの機能により制御部20は、予め探索された走行予定経路に基づいて走行道路における推奨レーンのレーン番号を特定する。そして、レーン特定部21cの機能により制御部20は、前方画像にて特定したレーンの像のうち、推奨レーンのレーン番号に対応するレーンの像を推奨レーンの像として特定する。
【0049】
次に、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像において推奨レーンの中央線RCを特定する(S115)。具体的に、表示制御部21dの機能により制御部20は、
図3Cに示すように前方画像の縦方向の複数の補助線(二点鎖線)のそれぞれについて、当該補助線と推奨レーンの左右それぞれの区画線の像との交点(白丸)を特定し、当該交点同士の横方向の中点(白三角)を結ぶ直線を推奨レーンの中央線RC(一点鎖線)として特定する。
【0050】
次に、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンの数と、推奨レーンに対して走行レーンの反対側から隣接する外接レーンの有無とに応じて、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定する(S120)。すなわち、表示制御部21dの機能により制御部20は、表1において、介在レーンの数と外接レーンの有無との組み合わせに対応付けられた推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定する。
【0051】
ここで、介在レーンが0個である場合、表示制御部21dの機能により制御部20は、外接レーンの有無に拘わらず、推奨レーンの中央線RC上を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置として設定する(
図4A)。介在レーンが2個以上である場合、表示制御部21dの機能により制御部20は、外接レーンの有無に拘わらず、推奨レーンの中央線RCから走行レーンの像の反対側に所定距離aだけ補正した外側基準線SO上を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置として設定する(
図4B)。介在レーンが1個であり、かつ、外接レーンが存在しない場合、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンの中央線RCから走行レーンの像の反対側に所定距離aだけ補正した外側基準線SO上を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置として設定する(
図4C)。一方、介在レーンが1個であり、かつ、外接レーンが存在する場合、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンの中央線RCから走行レーンの像側に所定距離bだけ補正した内側基準線SI上を推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置として設定する(
図4D)。なお、本実施形態において表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーンの右の区画線の像BLと矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlの頭部との横方向の最短距離w1(
図4D)と、推奨レーンの左の区画線の像BLと矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlの頭部との横方向の最短距離w2(
図4D)とが互いに等しくなるように所定距離bが設定される。これにより、推奨レーンの像の幅が狭くなっても、できるだけ矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlが推奨レーンの像内に収まるようにすることができ、正確に推奨レーンの像を運転者に認識させることができる。
【0052】
次に、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーン側案内線部分RLを生成する(S125)。すなわち、表示制御部21dの機能により制御部20は、ステップS120にて設定された推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置(中央線RC上、外側基準線SO上または内側基準線SI上)、かつ、前方画像の縦方向の一定位置Hに前方側端点FEを設定する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、ステップS120にて設定された推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置(中央線RC上、外側基準線SO上または内側基準線SI上)、かつ、前方側端点FEからのユークリッド距離が所定値Yとなる位置に第1変化点K1を設定し、前方側端点FEと第1変化点K1との間に直線状の推奨レーン側案内線部分RLを生成する。
【0053】
次に、表示制御部21dの機能により制御部20は、案内線glを生成する(S130)。すなわち、表示制御部21dの機能により制御部20は、車両Cの幅方向の中央位置を示す前方画像の下辺の中点CCに後方側端点BEを設定する。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像において、走行レーンと推奨レーンとの間に存在する区画線の像BLと、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ直線(交差線部分CL)とがなす鋭角θが所定角度(60度)と等しくなるように、第1変化点K1よりも縦方向の下方、かつ、前方画像の下辺よりも縦方向の上方の位置に第2変化点K2を設定する。より具体的に、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像を横方向に二等分する二等分線上に第2変化点K2を設定する(
図3A)。そして、表示制御部21dの機能により制御部20は、前方側端点FEと、第1変化点K1と、第2変化点K2と、後方側端点BEとを接続する折れ線状かつ細線状の案内線GLを生成する(
図3A)。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、細線状の案内線GLに関して線対称となる矢印形状の案内線glを生成する(
図3B)。
【0054】
次に、表示制御部21dの機能により制御部20は、矢印形状の案内線glを重畳する(S135)。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、案内線glを重畳した前方画像をユーザI/F部45に表示させる(S140,
図3B,
図4A〜4D)。以上の処理を繰り返して実行することにより、前方画像を取得するごとに、前方画像に含まれる推奨レーンの像を指し示す推奨レーン側案内線部分RLを含む案内線glを更新していくことができる。また、走行レーンと推奨レーンとの間に介在レーンが存在するか否かに応じて、推奨レーンの像の横方向における推奨レーン側案内線部分の重畳位置を変化させるため、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することが防止でき、確実に車両を推奨レーンに誘導できる。
【0055】
本実施形態において、介在レーンが存在するか否かに拘わらず、前方画像における前方側端点FEの縦方向の位置が一定位置Hに維持されるため、推奨レーン側案内線部分rlを視認しやすくすることができる。また、推奨レーン側案内線部分RLの長さが所定値Yに維持されるため、推奨レーン側案内線部分rlが指し示す推奨レーンの像を容易に認識させることができる。さらに、介在レーンが存在するか否かに拘わらず、第1変化点K1と第2変化点K2との結ぶ直線(交差線部分CL)は、推奨レーンと走行レーンとの間に存在する区画線の像BLと交差する鋭角θ(複数の区画線の像BLのそれぞれにおける鋭角θの最小値)を所定角度以上とするため、運転者は、区画線を越えてレーン変更をすべきことを容易に認識できる。
【0056】
(3)他の実施形態:
前記実施形態においては、介在レーンが存在するか否かに応じて推奨レーン側案内線部分RLが横方向に平行移動するように推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定することとしたが、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーン側案内線部分RLが回転移動するように推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定してもよい。例えば、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーン側案内線部分RLが第1変化点K1まわりに回転するように推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定してもよい。この場合でも、表示制御部21dの機能により制御部20は、走行レーンの像に対して離間する回転角を与えることにより、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置の走行レーンの像の反対側に補正することができる。また、表示制御部21dの機能により制御部20は、走行レーンの像に対して接近する回転角を与えることにより、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置の走行レーンの像側に補正することができる。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、推奨レーン側案内線部分RLの一部のみの重畳位置を走行レーンの像側、または、走行レーンの像の反対側に補正してもよい。
【0057】
また、前記実施形態において推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を走行レーンの像の反対側に補正する距離である所定距離aを、前方画像の下辺における推奨レーンの像の幅(間隔W)に比例させたが、表示制御部21dの機能により制御部20は、所定距離aを推奨レーンの像の幅と無関係に設定してもよい。表示制御部21dの機能により制御部20は、矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlと推奨レーンの左右の区画線の像との最短距離w1,w2(
図4D)とは無関係に、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を走行レーンの像側に補正する距離である所定距離bを設定してもよい。すなわち、必ずしも矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlが推奨レーンの像内に収まるように、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定しなくてもよい。介在レーンが1個のみであれば、仮に矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlの一部が介在レーンの像内にはみ出たとしても、矢印形状の推奨レーン側案内線部分rlが当該介在レーンの像を指し示さないことを明確に認識できるからである。
【0058】
さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、少なくとも介在レーンが存在するか否かに応じて推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定すればよく、必ずしも介在レーンの個数に応じて推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を設定しなくてもよい。例えば、表示制御部21dの機能により制御部20は、介在レーンが1個でも存在すれば、介在レーンの個数や外接レーンの有無に拘わらず、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を走行レーンの像の反対側に補正してもよい。推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を走行レーンの像の反対側に補正しておけば、介在レーンの個数に拘わらず、レーン変更すべきレーン数を本来よりも少なく誤認識することが防止できるからである。さらに、推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を変化させる介在レーンの閾値は表1の個数に限られない。例えば、レーンの幅やレーン方向に応じて推奨レーンを誤認識する可能性が変化するため、レーンの幅やレーン方向に応じて推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を変化させる介在レーンの閾値を調整してもよい。
【0059】
表示制御部21dの機能により制御部20は、前方画像における前方側端点FEの縦方向の位置と、推奨レーン側案内線部分RLの長さと、第1変化点K1と第2変化点K2とを結ぶ直線(交差線部分CL)とがなす鋭角θの大きさとをそれぞれ一定に維持しなくてもよい。これらを一定に維持しなくても、介在レーンが存在するか否かに応じて推奨レーン側案内線部分RLの重畳位置を変化させることにより、確実に車両を推奨レーンへと誘導できるからである。また、表示制御部21dの機能により制御部20は、第2変化点K2を設定しなくてもよく、第1変化点K1と後方側端点BEとを直接接続してもよい。
【0060】
レーン特定部21cの機能により制御部20は、車両Cが走行すべきレーンを推奨レーンとして特定すればよく、走行予定経路において車両Cの前方の交差点に進入すべきレーンが存在する場合において、当該交差点に所定距離以内に接近した段階で当該レーンを推奨レーンとして特定してもよい。また、レーン特定部21cの機能により制御部20は、他のレーンよりも安全またはスムーズに走行できるレーンを推奨レーンとして特定してもよい。表示制御部21dの機能により制御部20は、前方側端点と後方側端点とを接続する破線や鎖線の案内線glを生成してもよい。さらに、表示制御部21dの機能により制御部20は、細線状の案内線GLをそのまま前方画像に重畳してもよい。