特許第5772574号(P5772574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 澁谷工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5772574-電子線キャップ殺菌装置 図000002
  • 特許5772574-電子線キャップ殺菌装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772574
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】電子線キャップ殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/04 20060101AFI20150813BHJP
   B65B 55/08 20060101ALI20150813BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20150813BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20150813BHJP
   G21K 5/10 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B65B55/04 V
   B65B55/04 M
   B65B55/08 B
   A61L2/08
   G21K5/04 E
   G21K5/04 S
   G21K5/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-285754(P2011-285754)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133153(P2013-133153A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(72)【発明者】
【氏名】中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】西 富久雄
(72)【発明者】
【氏名】鴻渡 亮治
(72)【発明者】
【氏名】桝本 悟志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 壮馬
(72)【発明者】
【氏名】広沢 祐介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 満大
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−520713(JP,A)
【文献】 特開2007−076730(JP,A)
【文献】 特開2010−285197(JP,A)
【文献】 特開2011−251708(JP,A)
【文献】 特開平10−157712(JP,A)
【文献】 特表2012−525839(JP,A)
【文献】 特開2005−247427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/04
A61L 2/08
B65B 55/08
G21K 5/04
G21K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを連続的に搬送する間に電子線を照射して、キャップの内側と外側を殺菌する電子線キャップ殺菌装置において、
内部が陽圧に維持されたチャンバーと、このチャンバー内をキャップが通過する搬送経路と、この搬送経路を搬送されるキャップに電子線を照射する電子線照射手段とを備え、
前記搬送経路は、下方に向けて傾斜して配置され、キャップの内側を側方へ向けて搬送するキャップシュートからなり、このキャップシュートには、キャップの移動を規制しながら搬送する規制搬送区間と、この規制搬送区間に続いて、キャップが下方へ向けて回転しながら間隔をあけて搬送される自由搬送区間が形成されており、
前記規制搬送区間には、キャップの外周面に当接して自由搬送区間での搬送速度よりも遅い速度でキャップを送る移送手段を設けるとともに、前記自由搬送区間には、電子線照射手段が電子線を照射する側方と反対側に、電子線照射手段が照射する電子線を搬送されているキャップに向けて偏向させる偏向手段を設け、前記電子線照射手段は、規制搬送区間から自由搬送区間に亘って、搬送されるキャップの内側が向けられている側方から電子線を照射することを特徴とする電子線キャップ殺菌装置。
【請求項2】
前記規制搬送区間は、円弧状のガイド棒から構成されるとともに、前記自由搬送区間は直線状のガイド棒から構成され、
前記規制搬送区間には、外周部にキャップとの当接部を形成した回転式移送手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子線キャップ殺菌装置。
【請求項3】
前記偏向手段は、前記キャップシュートに沿って間隔をあけて配置された複数の磁石からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子線キャップ殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段によって搬送されているキャップに電子線を照射して殺菌する電子線キャップ殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送手段によって連続的に搬送されているキャップに、電子線照射装置から電子線を照射して殺菌するキャップ殺菌装置は従来から知られている。このような電子線によるキャップ殺菌装置では、電子線照射手段にキャップを供給する搬送手段として、通常は、下方へ向けて傾斜して配置されたキャップシュートを用いている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の構成では、スターホイールによってキャップを1個ずつ切り離して送り出し、傾斜したキャップシュート内を転動させつつ落下させ、この転動している区間で電子線を照射するようにしている。
【0003】
また、特許文献2に記載された発明では、傾斜した縦型搬送路の一面にキャップを接触させ、他の面には非接触とすることによりキャップが摩擦接触により回転移動する構成とし、この縦型搬送路の所定の範囲に亘って電子線照射手段を設け、その照射窓から回転移動するキャップに対して電子線を照射して、滅菌処理するようにしている。この特許文献2の構成では、縦型搬送路の下端にキャップ排出手段としてスターホイールを配置してあり、縦型搬送路の出口から間欠的に排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−520713号公報
【特許文献2】特開2010−285197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の構成では、キャップシュートのキャップが転動する区間で電子線を照射するようにしている。しかしながらキャップシュート内をキャップが自由に転動する区間では、キャップが重力によって加速するため、殺菌に必要な照射時間を確保するためには、照射距離を長くしなければならず、電子線照射装置が大きくなってしまうという問題が発生する。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明では、電子線の照射範囲よりも下流側にスターホイールを配置し、このスターホイールによってキャップを排出するようにしている。このような構成では、電子線を照射する範囲ではキャップ同士が接触した状態になる。そのためキャップ同士の摩擦力によって回転しにくくなり、キャップの周面部への電子線の照射が均一にならないという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、キャップを連続的に搬送する間に電子線を照射して、キャップの内側と外側を殺菌する電子線キャップ殺菌装置において、内部が陽圧に維持されたチャンバーと、このチャンバー内をキャップが通過する搬送経路と、この搬送経路を搬送されるキャップに電子線を照射する電子線照射手段とを備え、前記搬送経路は、下方に向けて傾斜して配置され、キャップの内側を側方へ向けて搬送するキャップシュートからなり、このキャップシュートには、キャップの移動を規制しながら搬送する規制搬送区間と、この規制搬送区間に続いて、キャップが下方へ向けて回転しながら間隔をあけて搬送される自由搬送区間が形成されており、前記規制搬送区間には、キャップの外周面に当接して自由搬送区間での搬送速度よりも遅い速度でキャップを送る移送手段を設けるとともに、前記自由搬送区間には、電子線照射手段が電子線を照射する側方と反対側に、電子線照射手段が照射する電子線を搬送されているキャップに向けて偏向させる偏向手段を設け、前記電子線照射手段は、規制搬送区間から自由搬送区間に亘って、搬送されるキャップの内側が向けられている側方から電子線を照射することを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記規制搬送区間は、円弧状のガイド棒から構成されるとともに、前記自由搬送区間は直線状のガイド棒から構成され、前記規制搬送区間には、外周部にキャップとの当接部を形成した回転式移送手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記偏向手段は、前記キャップシュートに沿って間隔をあけて配置された複数の磁石からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子線キャップ殺菌装置は、キャップを搬送する搬送経路を下方へ向けて傾斜するキャップシュートから構成し、このキャップシュートで搬送されるキャップの電子線照射範囲に、キャップの移動を規制しながら搬送する規制搬送区間と、この規制搬送区間に続いて、キャップが下方へ向けて回転しながら間隔をあけて搬送される自由搬送区間を形成したので、照射範囲におけるキャップの搬送速度を抑制することにより照射距離を短縮して、電子線照射装置の小型化、殺菌装置全体の小型化を図ることができる。また、規制搬送区間の搬送速度を変更することにより、殺菌時間の調整を容易に行うことができる。また、規制搬送区間の搬送速度を自由搬送区間の搬送速度よりも遅くすることにより、自由搬送区間でもキャップを間隔をあけて搬送することができるので、キャップの側面部に対しても安定した殺菌効果を得ることができる。さらに、電子線照射手段が電子線を照射するキャップの逆側に、電子線をキャップに向けて偏向させる偏向手段を設けたので、電子線照射手段を搬送経路の片側にだけ配置することが可能になり、電子線照射手段の小数化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は電子線キャップ殺菌装置のキャップ搬送経路に沿う縦断面図である。(実施例1)
図2図2は電子線照射範囲内での、搬送経路と直交する方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
内部の圧力が外部圧力よりも高い陽圧に維持されているチャンバーと、このチャンバー内に設けられて、キャップが通過する搬送経路と、この搬送経路を搬送されているキャップに電子線を照射する電子線照射手段とを備えた電子線キャップ殺菌装置であり、前記搬送経路が、下方へ向けて傾斜して配置され、キャップの内側を側方へ向けて搬送するキャップシュートからなっており、このキャップシュートの、電子線の照射を受ける照射範囲内に、キャップの移動を規制しながら搬送する規制搬送区間と、この規制搬送区間に続いて、キャップが下方へ向けて回転しながら間隔をあけて搬送する自由搬送区間を形成し、さらに、前記規制搬送区間には、キャップの外周面に当接して自由搬送区間での搬送速度よりも遅い速度でキャップを送るスターホイール等の移送手段を設けるとともに、前記自由搬送区間には、電子線照射手段が電子線を照射する側方、つまり、電子線照射手段が配置されている側と反対側に、電子線照射手段が照射する電子線を受けて、搬送されているキャップに向けて偏向させることにより、キャップの電子線照射手段から直接電子線を照射される面と逆の面に電子線を照射させる偏向手段を設けたことにより、電子線照射手段を小型化するとともに、キャップに対して電子線を均一に照射するという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この電子線キャップ殺菌装置は、複数の室に区画された無菌チャンバー2内に、キャップ4を搬送する搬送経路6が配置され、この搬送経路6で搬送中のキャップ4に電子線照射手段8(図2参照)から電子線を照射して殺菌を行った後、キャッパ(図示せず)に送るようになっている。
【0014】
前記無菌チャンバー2は、最も上流側に位置し、外部からキャップ4が導入される前室10と、後に説明する回転式移送手段や電子線照射手段8が配置されている殺菌室12と、殺菌室12の下流側に設置された後室14とに区画されている。さらに、この後室14の下流側には、キャッパ(図示せず)が設置されたキャッピング室16が接続されている。このようなチャンバー2は、鉛板で構成され、電子線や電子線の照射により発生するX線(制動X線)を遮蔽している。
【0015】
前記各室10、12、14、16内を順次キャップ4を搬送する搬送経路6は、図2に示すように、上下左右4本のガイド棒6A、6B、6C、6Dから構成され(図1では上下のガイド棒6A、6Bだけを示し、左右のガイド棒6C、6Dの図示を省略している)、基本的に上方から下方へ向けて傾斜して配置されたキャップシュートである。上下のガイド棒6A、6Bは、キャップ4の直径よりもわずかに大きい間隔で配置され、左右のガイド棒6C、6Dは、キャップ4の高さ(天面4aと開口4b側との距離)よりもわずかに大きい間隔で配置されており、搬送するキャップ4を確実に保持するとともに、キャップ4がスムーズに転動できるようになっている。前記チャンバー2の最も上流側に位置している前室10の導入側壁面2Aに、前記ガイド棒6A、6B、6C、6Dによるキャップ搬送経路6が挿通できる開口2Aaが形成されている、また、前室10と殺菌室12とを区画する隔壁2B、殺菌室12と後室14とを区画する隔壁2Cおよび後室14とキャッピング室16とを区画する隔壁2Dにそれぞれ、搬送経路6が通過する開口2Ba、2Ca、2Daが形成されている。
【0016】
殺菌室12には、上流寄りと下流寄りにそれぞれ給気口12a、12bが形成され、外部からフィルタ(図示せず)を介して無菌エアが導入されており、このエアにより殺菌室12内が陽圧に維持されている。殺菌室12の上流側に位置する前室10は、排気口10aが形成されており、殺菌室12から流入するエアによって殺菌室12よりも低い圧力の陽圧に維持されている。殺菌室12の下流側に、下方を向けて形成された排出通路18を介して排除ボックス20が取り付けられている。この排除ボックス20内には排気口20aが形成されており、殺菌室12から流入したエアによって殺菌室12よりも低圧の陽圧に維持されている。さらに、殺菌室12の下流側に配置された後室14には給気口14aが設けられ、外部から導入された無菌エアによって殺菌室12よりも高い圧力の陽圧に維持されている。後室14の下流側に接続されているキャッピング室16は、図示しない給気口から無菌エアが導入されて後室14よりも高圧に維持されている。従って、連続して接続されている各室10、12、14、16は、最も下流側のキャッピング室16が最も高圧で、上流側に向かって後室14、殺菌室12、前室10の順に室内の圧力が低くなるように制御されている。また、排除ボックス20内も殺菌室12よりも低い圧力の陽圧に維持されている。これら各室10、12、14、16の内で最も圧力が低い前室10も、外部よりも圧力が高い陽圧に維持されており、外部の雰囲気が侵入しないようになっている。
【0017】
4本のガイド棒6A、6B、6C、6Dにより構成され、上方から下方へ向けて傾斜させて配置された搬送経路(キャップシュート)6は、これらガイド棒6A、6B、6C、6D間に、天面4aと開口部4b側とを水平方向に向けた状態、つまり横向きの状態で保持されたキャップ4が、自重により回転しつつ落下する自由搬送区間と、後に説明する回転式移送手段としてのスターホイールによって搬送経路の傾斜に従う自由な移動を規制しつつ搬送する規制搬送区間とを備えている。
【0018】
殺菌室12の上流部には、水平な回転軸22を中心に垂直な平面内で回転するスターホイール(回転式移送手段)24が配置されている。スターホイール24の外周部には、円周方向等間隔でキャップ4と当接する当接部24aが突出して設けられ、これにより複数のポケット(キャップ収容部)24bが形成されている。この当接部24aにより、前記上流側の自由搬送区間6aを前後に密着した状態で連続的に搬送されてきたキャップ4を、一定の間隔に切り離すとともに、当接部24aが搬送方向前方でキャップ4の円筒部4cに当接することによってキャップ4の自由な移動を規制しつつ搬送し、下流側に送り出すようになっている。従って、キャップシュート6は、このスターホイール24の外周側に、前記上流側の下方へ向けた傾斜を有する自由搬送区間6aに続いてスターホイール22の外径にほぼ一致する径の円弧状部6bが形成されている。この円弧状部6bが、スターホイール24によって規制しつつキャップ4を搬送する前記規制搬送区間を構成している。さらに、この規制搬送区間6bに続いて、前記上流側の自由搬送区間6aとほぼ同じ傾斜を有する下流側の自由搬送区間6cが設けられている。この下流側自由搬送区間6cは、そのまま延長されて殺菌室12に続く後室14およびキャピング室16に延びている。前記規制搬送区間6bでは、スターホイール24によって規制することにより、この下流側の自由搬送区間6cの搬送速度よりも遅い速度でキャップ4を搬送している。なお、特許請求の範囲に記載した自由搬送区間は、下流側の自由搬送区間6cである。
【0019】
前記キャップシュート6の、スターホイール24の下部側から下流側へかけて、搬送されているキャップ4に電子線を照射する電子線照射手段8が設けられている。この電子線照射手段8は、図1では、図示を省略しているが、図中に破線で示した範囲が電子線の照射範囲26であり、下流側の自由搬送区間6cと、その上流側の規制搬送区間6bの一部を含んでいる。この破線で示す電子線照射範囲26に対応して電子線照射手段8が設けられている。電子線照射手段8は、図示しない制御手段によって作動を制御される。また、この制御手段は、電子線の照射状態を監視しており、照射異常があった場合にこれを検出する。
【0020】
この実施例で殺菌されるキャップ4は、前記キャップシュート6内を横向き(天面4aと開口部4bが水平方向を向いた状態)で搬送されるようになっており、図2に示すように、電子線照射手段8の照射窓8aがキャップ4の開口部4bと向かい合わせの状態となるように配置されている。また、電子線照射手段8の、キャップシュート6を挟んだ向かい側に、所定の間隔をあけて複数の磁石28が配置されている。これら磁石28は、キャップ4の開口部4b側から照射された電子線を磁界によって偏向させて天面4a側に回り込ませて照射するようにしている(図2に破線30で示す電子線参照)。従って、キャップ4の円筒部4cの外側を通った電子線をキャップ4の天面4aに回り込ませるために、磁石28は、キャップ4よりも上方側(図2に示す状態)または下方側に延ばした状態で配置している。磁石28としては、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等の強力な磁力を発生させるものを使用し、磁石28をキャップ4よりも上方側に延ばす場合は、搬送方向上流側をN極、下流側をS極として各磁石28を配列し、各磁石28間で上流側から下流側へ向かう磁界を生じさせる。これにより、電子線は上方から下方へ円運動するように電磁偏向され、キャップ4の天面4aに向けて照射される。また、各磁石28をキャップ4よりも下方側に延ばす場合は、搬送方向上流側をS極、下流側をN極として配列し、各磁石28間で下流側から上流側へ向かう磁界を生じさせる。これにより、電子線は下方から上方へ円運動するように電磁偏向されて、キャップ4の天面4aに向けて照射される。
【0021】
搬送経路6の上流側の自由搬送区間6aの下流端(円弧状の規制搬送区間6bへの接続部)に、上流ストッパ手段32が設けられている。また、下流側の自由搬送区間6cに設けられている電子線の照射範囲26の下流端付近に、下流ストッパ手段34が配置されている。これらストッパ手段32、34は、それぞれキャップシュート6内に出没可能なストッパ32a、34aとこれらストッパ32a、34aを進退動させるエアシリンダ32b、34bとを有している。
【0022】
さらに、前記下流ストッパ手段34の下流側に、キャップシュート6内を搬送されるキャップ4を排除するための排除手段36が設けられている。この排除手段36は、4本のガイド棒6A、6B、6C、6Dのうち下側のガイド棒6Bの一部36aを切り離して、エアシリンダ36bによって移動できるようになっており、排除用ガイド棒36aをエアシリンダ36bによって、下側ガイド棒6Bの上流側と下流側に連続した位置と、下側ガイド棒6Bの位置から外れてキャップ4を落下させる退避位置との間で進退動できるようになっている。この実施例では、エアシリンダ36bによって排除用ガイド棒36aを紙面の手前に移動させることによりキャップ4を落下させるようになっている。
【0023】
無菌室12の下流端の、前記排除手段36が設けられている位置の下方に、排出通路18を介して排除ボックス20が取り付けられており、前記排除手段36の排除用ガイド棒36aを移動させてキャップ4を落下させたときに、これらキャップ4は排除ボックス20に落下して排除される。
【0024】
以上の構成に係る電子線キャップ殺菌装置の作動について説明する。キャップシュート6によって外部からこの電子線キャップ殺菌装置の前室10内に導入されたキャップ4は、天面4aと開口部4bを横方向へ向け、円筒部4cを下方側のガイド棒6B上に載せるとともに、上方および左右をそれぞれ上方側のガイド棒6Aおよび左右のガイド棒6C、6Dによって案内された状態で、搬送経路6の上流側自由搬送区間6aを回転しつつ前後のキャップ4と密着した状態で搬送される。
【0025】
キャップシュート6の上流側の自由搬送区間6aを転動してくるキャップ4は、ストッパ32aをキャップシュート6内から退避させた状態の上流ストッパ手段32の位置を通過し、スターホイール24の各ポケット24a内に1個ずつ収容して、キャップシュート6の円弧状をした規制搬送区間6bを、スターホイール24の回転に応じて搬送される。この際にキャップ4は、円筒部4cの外周面が下方側ガイド棒6Bと接触しており、ポケット24b内で回転しながら搬送される。
【0026】
スターホイール24に規制された状態でほぼ1/4周の規制搬送区間6bを搬送されたキャップ4は、キャップシュート6の下流側の自由搬送区間6cに入ると、スターホイール24のポケット24aから開放され、下方側ガイド棒6B上を、上方および左右ガイド棒6A、6C、6Dにガイドされて下流側の自由搬送区間6c内を回転搬送される。上流側の自由搬送区間6a内を前後に密着した状態で搬送されてきたキャップ4は、スターホイール24によって各ポケット24aの間隔に切り離され、一定の間隔で下流側の自由搬送区間6cに送り出され、自由搬送区間6c内を搬送される。前記規制搬送区間6bでは、スターホイール24の回転速度を制御して、この下流側自由搬送区間6cにおけるキャップ搬送速度よりも遅い速度でキャップ4を搬送している。
【0027】
前記スターホイール24の下部側(キャップシュート6の円弧状の規制搬送区間6bの後半部分)から下流側の自由搬送区間6cの途中に至る範囲(電子線照射範囲26)の、搬送経路6の側方に電子線照射手段8が配置されており、キャップ4はこの照射範囲26内で電子線の照射を受ける。この電子線照射範囲26では、規制搬送区間6bにおいてスターホイール24の規制によって所定速度で搬送され、主にキャップ4の内面に必要な時間をかけて電子線が照射されて殺菌され、その後、下流側の自由搬送区間6cでは、一定間隔以上離れて搬送されてキャップ4同士が接触することはないので、電子線が直接照射されるキャップ4の内面、磁石28によって電子線が偏向され回り込んで照射される天面4a側、および電子線が通過する円筒部4cの外面すべてに均等に電子線が照射されて殺菌される。このようにして一方向からの電子線の照射により、キャップ4全面に電子線を照射して殺菌することができる。この際、キャップ4は規制搬送区間6bおよび自由搬送区間6cのいずれにおいても、下方側ガイド棒6B上を回転しながら搬送されるので、各ガイド棒6A、6B、6C、6Dによって電子線が遮られる箇所は変化していくため、キャップ4の内外面全面に電子線を照射することができる。電子線照射手段8から照射される電子線が正常であるときには、殺菌されたキャップ4は、そのままキャップシュート6内を転動しつつ搬送され、後室14を通過してキャッピング室16に送られ、図示しないキャッパによってキャッピングが行われる。
【0028】
前記のようにキャップシュート6内を搬送されているキャップ4に対し、電子線照射手段8から正常に電子線が照射されている間は、上流ストッパ手段32、下流ストッパ手段34および排除手段36は作動せず、キャップ4は連続的に搬送されて電子線を照射される。ところが、電子線照射装置8で放電が発生したり真空圧が低下する等の異常が発生して十分な電子線が照射されなかった場合には、制御手段がこの異常を検知し、下流ストッパ手段34にキャップ4の搬送を阻止するように指令をするとともに、スターホイール24の停止指令を出力する。電子線の照射異常があった時点で電子線照射範囲26内にあったキャップ4は、下流ストッパ手段34のエアシリンダ34bによってキャップシュート6内に突出したストッパ34aと、スターホイール24によって停止される。続いて、上流ストッパ手段32も作動させて上流側の自由搬送区間6a内のキャップ4が円弧状の規制搬送区間6b内に流れないように停止させる。
【0029】
その後、電子線照射手段8のトラブルが解消して、正常な電子線の照射が可能になると、上流ストッパ手段32、下流ストッパ手段34およびスターホイール24を停止させたまま、電子線の照射を行う。電子線の照射異常があって完全に殺菌されていないおそれのあるキャップ4は、下流ストッパ手段34およびスターホイール24によって電子線照射範囲26内に止まっているので、ここで正常な電子線の照射を受けて殺菌される。
【0030】
電子線照射範囲26内に停止されていたキャップ4を、電子線を照射して殺菌した後、下流ストッパ手段34を解除するとともに、スターホイール24の駆動を再開して、再び搬送する。さらに、排除手段36を作動させる。排除手段36のエアシリンダ36bを作動させ、排除用ガイド棒36aを移動させてキャップ4が落下できるようにする。下流ストッパ手段34の開放によって電子線照射範囲26内に停止していたキャップ4は、キャップシュート6の下流側自由搬送区間6cを転動して排除手段36のガイド棒36aが退避した位置から落下し、排出通路18を通って排除ボックス20内に投入される。以上のように電子線の照射異常によって完全に殺菌されていないキャップ4があった場合にも、再度正常に戻った電子線照射手段8から電子線を照射して完全に殺菌をした後排出するようにしたので、下流側のガイド棒6A、6B、6C、6Dや無菌室12内の空間を汚染するおそれがない。また、空間内を汚染していないので、異常発生からの復帰時間も短縮することができる。
【0031】
また、この実施例に係る装置では、電子線照射範囲26内にキャップ4をスターホイール24によって規制しつつ搬送する区間を設けているので、自由搬送区間6cより遅い一定の速度で搬送することができ、キャッピング後に容器の内容物と直接触れるキャップ4の内側を十分な時間をかけて重点的に殺菌できるものでありながら、照射距離を短縮することができる。従って、電子線照射手段8の小型化、装置全体の小型化を図ることができる。また、スターホイール24の回転速度を変更することで、殺菌時間の調整を容易に行うことができる。さらに、その後の自由搬送区間6cでは、キャップ4は前後に間隔をあけて搬送されるので、キャップ4同士の接触が無く、キャップ4の円筒部4cの外周面に対しても均一に電子線を照射して殺菌することができる。また、偏向手段を設けて電子線を偏向させることで、一台の電子線照射手段8によってキャップ4の内外面全面に電子線を照射して殺菌することができる。
【符号の説明】
【0032】
2 チャンバー
4 キャップ
4a キャップの外側(天面)
4b キャップの内側(開口部)
6 搬送経路(キャップシュート)
6b 規制搬送区間
6c 自由搬送区間
8 電子線照射手段
24 移送手段
28 偏向手段(磁石)
図1
図2