特許第5772606号(P5772606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772606
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20150813BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20150813BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20150813BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   G02F1/13 505
   G03B21/14 Z
   H04N5/74 E
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-2869(P2012-2869)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-20222(P2013-20222A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2011-135349(P2011-135349)
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】相崎 隆嗣
【審査官】 請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−204280(JP,A)
【文献】 特開2010−026403(JP,A)
【文献】 特開2001−228569(JP,A)
【文献】 特開2003−043419(JP,A)
【文献】 特開2007−212496(JP,A)
【文献】 特開2004−038096(JP,A)
【文献】 特開2004−118153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 − 21/10
21/12 − 21/13
21/134 − 21/30
H04N 5/66 − 5/74
G02F 1/13
1/137 − 1/141
G02F 1/1335− 1/13363
G02B 27/00 − 27/64
G02F 1/21 − 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
複数のレンズセルが二次元的に配置され、前記光源から発せられた光束を分割する第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイにおける複数のレンズセルそれぞれに対応する複数のレンズセルが二次元的に配置され、前記第1のレンズアレイから射出した光が入射される第2のレンズアレイと、
前記第2のレンズアレイより射出した不定偏光を第1の偏光と第2の偏光とに分離すると共に、前記第1の偏光を前記第2の偏光に変換するか前記第2の偏光を前記第1の偏光に変換することにより前記第1の偏光と前記第2の偏光とのいずれか一方に揃えて射出する偏光変換素子と、
前記偏光変換素子を、前記偏光変換素子の前記不定偏光が照射される面に沿って、前記偏光変換素子における偏光分離方向と直交した一の方向に変位させる駆動機構と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記偏光変換素子を、前記第2のレンズアレイにおける複数のレンズセルの前記一の方向のピッチの半分の距離だけ変位させることを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子への入射光を映像信号に応じて変調して射出し、射出光をスクリーンに投射することによって映像を表示する投射型表示装置に係り、特に、偏光変換素子の熱による劣化を抑えることができる投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入射光を変調して射出する表示素子として液晶表示素子を用いた投射型表示装置が普及している。この種の投射型表示装置においては、液晶表示素子は偏光を入射光として利用するため、光源から射出した不定偏光を偏光変換素子によって第1の偏光と第2の偏光とのいずれか一方に揃えることにより、光の利用効率を高めるということが行われている。偏光変換素子は、不定偏光の入射光を互いに直交する第1の偏光と第2の偏光とに分離する偏光ビームスプリッタ(PBS)プリズムと、第1の偏光と第2の偏光とのいずれか一方を他方の偏光に変換する1/2波長板とを備える。
【0003】
偏光変換素子は、光源から射出された光束が集光する部分であるため高温になる。PBSプリズムと1/2波長板は接着剤で接着され、PBSプリズム自体も複数のプリズムの接合に接着剤が用いられている。偏光変換素子に光束が集光して高温になると、接着剤が酸化プロセスや光化学反応プロセスにより劣化する。1/2波長板を有機材料であるポリカーボネート製とした場合には、ポリカーボネートは熱に比較的弱いため劣化しやすい。そこで、偏光変換素子を冷却ファンによって空冷するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−309853号公報
【特許文献2】特開2002−214598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏光変換素子を空冷しても、偏光変換素子が長期間に渡って高温になれば偏光変換素子は劣化し、信頼性に影響を与えることになる。これは、1/2波長板を特許文献1に記載されている比較的熱に強い水晶製としたとしても同様に発生する問題点である。そこで、偏光変換素子に光が集光して高温になることによる偏光変換素子の劣化を低減させることが求められている。
【0006】
本発明はこのような要望に対応するため、偏光変換素子の劣化を低減させることができる投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、光源(LS)と、複数のレンズセル(4a)が二次元的に配置され、前記光源から発せられた光束を分割する第1のレンズアレイ(4)と、前記第1のレンズアレイにおける複数のレンズセルそれぞれに対応する複数のレンズセル(5a)が二次元的に配置され、前記第1のレンズアレイから射出した光が入射される第2のレンズアレイ(5)と、前記第2のレンズアレイより射出した不定偏光を第1の偏光と第2の偏光とに分離すると共に、前記第1の偏光を前記第2の偏光に変換するか前記第2の偏光を前記第1の偏光に変換することにより前記第1の偏光と前記第2の偏光とのいずれか一方に揃えて射出する偏光変換素子(6)と、前記偏光変換素子を、前記偏光変換素子の前記不定偏光が照射される面に沿って、前記偏光変換素子における偏光分離方向と直交した一の方向に変位させる駆動機構(20)とを備えることを特徴とする投射型表示装置を提供する。
【0008】
上記の構成において、前記駆動機構は、前記偏光変換素子を、前記第2のレンズアレイにおける複数のレンズセルの前記一の方向のピッチの半分の距離だけ変位させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の投射型表示装置によれば、偏光変換素子の劣化を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の投射型表示装置の一実施形態を示す構成図である。
図2図1におけるレンズアレイ4,5の構成例を示す図である。
図3図1における偏光変換素子6の構成例を示す図である。
図4図1におけるレンズアレイ5と偏光変換素子6との位置関係を示す図である。
図5図1における液晶表示素子17b,17g,17rの概略構成を示す図である。
図6図1における光源部LSから射出した照明光が液晶表示素子17b,17g,17r上に重ね合わされて結像される状態を概念的に示す図である。
図7図1における駆動機構20の構成例を示す図である。
図8】駆動機構20による偏光変換素子6の変位を説明するための図である。
図9】駆動機構20による偏光変換素子6の変位によって偏光変換素子6上に照射される光の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の投射型表示装置の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1において、光源LSは、両口金タイプの放電灯1と、放電灯1から射出される光を光軸方向(Z方向)に反射するリフレクタ2を有する。放電灯1としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の白色光を射出するものが用いられる。リフレクタ2は、光軸を軸とした回転放物面の反射面を有し、放電灯1から射出された光を反射面で反射して光軸に平行な照明光として射出する。リフレクタ2は光軸を軸とした回転楕円面の反射面を有してもよい。その場合には、リフレクタ2の光の射出側に照明光をほぼ平行光とするレンズ系を設ける。
【0012】
光源LSから射出した光は、紫外線や赤外線をカットするコールドフィルタ3を透過して第1のレンズアレイ4に入射される。第1のレンズアレイ4は、図2(A),(B)に示すように、後述する反射型の液晶表示素子17b,17g,17rの表示領域と相似である矩形形状のレンズセル4aを水平方向(X方向)及び垂直方向(Y方向)に複数配列したものである。図2(A)は第1のレンズアレイ4をZ方向に見た正面図、図2(B)は上端面から見た側面図である。レンズセル4aの垂直方向のピッチはHである。
【0013】
第1のレンズアレイ4は、リフレクタ2が光束を射出する開口を空間的に分割するように構成されている。第1のレンズアレイ4より射出した照明光は第2のレンズアレイ5に入射される。第1及び第2のレンズアレイ4,5はフライアイレンズ、フライアイインテグレータとも称される。
【0014】
第2のレンズアレイ5は第1のレンズアレイ4と同様の構成であり、図2(A),(B)に示すように、液晶表示素子17b,17g,17rの表示領域と相似である矩形形状のレンズセル5aをX方向及びY方向に複数配列したものである。レンズセル5aの垂直方向のピッチはHである。第1のレンズアレイ4は、第1のレンズアレイ4における複数のレンズセル4aそれぞれに対応した第2のレンズアレイ5のレンズセル5aに照明光を入射させ、第2のレンズアレイ5上に第1のレンズアレイ4のレンズセル4aと同数の2次光源像を形成する。なお、図2では、簡略化のため、レンズセル4a,5aのX方向の並びを4列としているが、実際にはさらに多くの列を有する。Y方向の行の数も同様である。
【0015】
第2のレンズアレイ5から射出された照明光は、偏光変換素子6に入射される。図3(A),(B)を用いて偏光変換素子6の構成及び作用について説明する。図3(A)は偏光変換素子6をZ方向に見た正面図、図3(B)は上端面から見た側面図である。図3(B)に示すように、偏光変換素子6は、PBSプリズム61と1/2波長板62とを有する。PBSプリズム61は、偏光分離面61aが形成された複数の短冊状のプリズムを接合して平板状に形成したものである。短冊状のプリズムの境界は反射面61bとなっている。
【0016】
本実施形態では、偏光変換素子6に入射される不定偏光の内、P偏光は各偏光分離面61aを透過して直進し、S偏光は各偏光分離面61aで反射して不定偏光の入射方向に対して進行方向が90°曲げられる。不定偏光の入射方向に対して進行方向を90°曲げた方向が偏光分離方向である。S偏光は反射面61bで反射してさらに進行方向が90°曲げられる。図3(B)に示すように、PBSプリズム61のP偏光の射出面には、1/2波長板62が接着されている。従って、PBSプリズム61を射出したP偏光はS偏光に変換されて射出される。
【0017】
即ち、本実施形態における偏光変換素子6は、P偏光及びS偏光をランダムに含む不定偏光をS偏光に揃えて射出するものである。不定偏光をP偏光に揃えるようにしてもよい。不定偏光をP偏光に揃える場合には、1/2波長板62を、反射面61bで反射したS偏光が通過する部分に設ける。図3(A)において、クロスハッチングを付した部分は、第2のレンズアレイ5から射出された照明光が偏光変換素子6に照射されたときの光強度が強い輝度集中部6LCである。
【0018】
第2のレンズアレイ5の各レンズセル5aと偏光変換素子6との具体的な位置関係は、図4(A),(B)に示すようになっている。図4(A),(B)に示すように、偏光変換素子6は、各レンズセル5aの中心が1/2波長板62のX方向の中心に位置するように位置決めされて配置されている。レンズセル5aのX方向の幅は、偏光変換素子6における短冊状のプリズム2列の幅に対応する。図4(A),(B)に示すように、第1及び第2のレンズアレイ4,5と偏光変換素子6とは実際には大きさが異なり、中心位置がずれている。これらの光学部品を筐体内に組み込む際に、外形寸法が同一となっていた方が都合がよい。そこで、図1に示すように、第1及び第2のレンズアレイ4,5と偏光変換素子6と見かけ上の外形寸法を同一としている。
【0019】
図1において、偏光変換素子6から射出されたS偏光は、重ね合わせレンズ7に入射される。重ね合わせレンズ7は、第1のレンズアレイ4の各レンズセル4aの像の中心を液晶表示素子17b,17g,17rの中心に一致させ、各レンズセル4aの像を液晶表示素子17b,17g,17rの表示面上で重なり合った状態で結像させるように作用する。
【0020】
重ね合わせレンズ7から射出されたS偏光は、B/RG分離クロスダイクロイックミラー10で青色光と赤色・緑色光とに分離される。青色光はBミラー11で光路が曲げられ、青色用フィールドレンズ14b,青色用ワイヤグリッドPBS15b,青色用波長板16bを通過し、青色用液晶表示素子17bに入射する。青色用液晶表示素子17bで変調され、反射したP偏光は青色用ワイヤグリッドPBS15bで反射して、クロスダイクロイックプリズム18へと向かう。
【0021】
B/RG分離クロスダイクロイックミラー10で分離された赤色・緑色光はRGミラー12で光路が曲げられる。RGダイクロイックミラー13で赤色光と緑色光とに分離される。赤色光は、赤色用フィールドレンズ14r,赤色用ワイヤグリッドPBS15r,赤色用波長板16rを通過し、赤色用液晶表示素子17r入射する。赤色用液晶表示素子17rで変調され、反射したP偏光は赤色用ワイヤグリッドPBS15rで反射して、クロスダイクロイックプリズム18へと向かう。緑色光は、緑色用フィールドレンズ14g,緑色用ワイヤグリッドPBS15g,緑色用波長板16gを通過し、緑色用液晶表示素子17g入射する。緑色用液晶表示素子17gで変調され、反射したP偏光は緑色用ワイヤグリッドPBS15gで反射して、クロスダイクロイックプリズム18へと向かう。
【0022】
クロスダイクロイックプリズム18は、入射された赤色光,青色光,緑色光を合成する。合成光は投射レンズ19でスクリーン上に投射される。赤色用,青色用,緑色用の液晶表示素子17b,17g,17rは、入射された赤色光,青色光,緑色光それぞれを映像信号の赤色成分,青色成分,緑色成分に応じて変調するので、スクリーン上には映像信号に応じた投射画像が表示されることになる。
【0023】
図5を用いて、液晶表示素子17b,17g,17rの概略構成について説明する。図5(A)は液晶表示素子17b,17g,17rの平面図、図5(B)は液晶表示素子17b,17g,17rの断面図である。図5(B)に示すように、液晶表示素子17b,17g,17rは、表面に透明電極を形成した透明基板171と、画素毎の反射電極をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板175とが、透明電極と反射電極とが向き合うように対向している。透明基板171側が光の入射側である。
【0024】
透明基板171とアクティブマトリクス基板175との間には、例えばネマティック液晶が所定のプレチルト角を付与した状態で封入された液晶層173が形成されている。透明基板171とアクティブマトリクス基板175における液晶層173側の各表面には配向膜172,174が形成されている。
【0025】
このように形成された液晶表示素子17b,17g,17rにおいて、入射される偏光の方向は、図5(A)に示すように、液晶表示素子17b,17g,17rの平面上の水平方向または垂直方向である。
【0026】
図6は、光源部LSから射出した照明光の光束が第1のレンズアレイ4によって複数のレンズセル4aによって分割され、分割された光束が第2のレンズアレイ5,偏光変換素子6,重ね合わせレンズ7を通って液晶表示素子17b,17g,17r上に重ね合わされて結像される状態を概念的に示している。第1のレンズアレイ4のレンズセル4aに入射した光は、各レンズセル4aの屈折力によって第2のレンズアレイ5のレンズセル5a上に集光し、レンズセル4aと同数の2次光源像を形成する。偏光変換素子6より射出した光は重ね合わせレンズ7の作用によって液晶表示素子17b,17g,17r上に重ね合わされて結像する。一点鎖線で示す偏光変換素子6の面と直交する方向(Z方向)に進む光は、液晶表示素子17b,17g,17rの中心に集光する。破線で示す偏光変換素子6の面と直交する方向に対して傾斜した方向に進む光は、液晶表示素子17b,17g,17rの端部に集光する。なお、反射面61bで反射した光も傾斜した方向に進む光を含むが、ここでは簡略化のため1/2波長板62を傾斜した方向で通過する光の一部のみを図示している。
【0027】
図1に戻り、偏光変換素子6は駆動機構20によってY方向、即ち、短冊状のプリズムの長手方向に変位されるようになっている。図7を用いて、駆動機構20の具体的構成例について説明する。図7に示すように、偏光変換素子6はハウジング201内に収納されている。ハウジング201の内面の上端部には、弾性部材としての一例である板ばね202が取り付けられている。ハウジング201の内面の左右方向(X方向)の一方の側にも、板ばね203が取り付けられている。偏光変換素子6の上端部は板ばね202と接触しており、板ばね202によって下方への力が加えられている。偏光変換素子6の下端部は、偏心カム204と接触している。偏心カム204は図示していないモータ等によって駆動されてR方向に回転する。
【0028】
偏光変換素子6は板ばね202と偏心カム204とによって挟まれており、偏心カム204が回転することによって、偏光変換素子6は上下方向(Y方向)の位置が変位することになる。図7に示す状態が、偏光変換素子6が最も上方に位置している状態である。板ばね203は、偏光変換素子6を図7の右方向に押圧している。これによって偏光変換素子6はX方向の位置が固定されている。図4で説明したように、第2のレンズアレイ5と偏光変換素子6とはX方向に正確に位置決めされる必要がある。板ばね203によって偏光変換素子6をハウジング201の内面に押し付けることによって、偏光変換素子6はX方向の所定の位置に位置決めされる。なお、偏光変換素子6はY方向に変位するが、X方向の位置に影響を与えない。
【0029】
図8(A),(B)を用いて、偏光変換素子6のY方向の変位についてさらに説明する。図8(A)は、偏光変換素子6が最も下方に位置している状態の第2のレンズアレイ5と偏光変換素子6との位置関係を示している。この状態で、第2のレンズアレイ5のY方向の中央位置と、偏光変換素子6のY方向の中央位置とはほぼ同じ位置にある。図8(B)は、偏光変換素子6が最も上方に位置している状態の第2のレンズアレイ5と偏光変換素子6との位置関係を示している。図8(B)の偏光変換素子6の位置は図7に示す位置である。偏光変換素子6は偏心カム204によって上方に押し上げられている。
【0030】
偏光変換素子6の位置を変位させる機構として偏心カム204を使用した機構を実施形態として示したが、これに限定されるものではない。偏光変換素子6の位置を変位させる他の機構として例えば、リードスクリューを使用してリードスクリューの回転量に応じて偏光変換素子6の位置が変位するような機構としてもよい。また、次のような機構としてもよい。光源LSの使用時間に伴って、光源LSは徐々に劣化して発光量が減少する。これに伴って偏光変換素子6を通過する光量が減少し、偏光変換素子6周辺の温度が下がる。そこで、温度によって弾性や形状が変化する形状記憶合金やバイメタルで偏光変換素子6を押す板ばねを構成する。板ばねの温度に応じて偏光変換素子6の位置が変位するような機構とする。
【0031】
図8(A)の偏光変換素子6を最も下方に位置させた状態と図8(B)の偏光変換素子6を最も上方に位置させた状態とで、偏光変換素子6を、垂直方向(Y方向)に、第2のレンズアレイ5におけるレンズセル5aの垂直方向のピッチHの1/2だけ変位させることが好ましい。偏光変換素子6の変位方向は、偏光変換素子6における光が照射される面に沿った方向で、図4(B)で説明した偏光分離方向と直交する一の方向である。偏光変換素子6が図8(B)の位置になると、偏光変換素子6の面に照射される光はH/2だけ下方へと変位する。
【0032】
偏光変換素子6が図8(A),(B)に示すように変位すると、輝度集中部6LCは図9に示すような状態となる。偏光変換素子6をH/2だけ変位させることによって、図8(A)における輝度集中部6LCのY方向の位置と図8(B)における輝度集中部6LCのY方向の位置とがずれることになる。図8(B)の輝度集中部6LCはY方向でほぼ図8(A)の輝度集中部6LCの間に位置することになる。従って、輝度集中部6LCが常時同じ位置にならず分散されるので、偏光変換素子6の劣化を抑えることが可能となる。
【0033】
以上の説明では、偏光変換素子6をY方向に図8(A)に示す位置と図8(B)に示す位置とで選択的に変位させるように説明したが、偏心カム204を所定の時間をかけて常時回転させることにより、偏光変換素子6のY方向の位置を図8(A)に示す位置と図8(B)に示す位置との間で連続的に変化させるようにしてもよい。偏光変換素子6のY方向の位置を連続的に変化させると、輝度集中部6LCはY方向につながったような状態となる。
【0034】
また、本実施形態では偏光変換素子6の位置の変位量をH/2としたが、これに限定されるものではない。偏光変換素子6に対して光が常時照射される箇所がなるべく少なくなるように偏光変換素子6を変位させればよい。勿論、光が常時照射される箇所がなくなるように偏光変換素子6を変位させることが望ましい。
【0035】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態では、表示素子として反射型の液晶表示素子17b,17g,17rを用いた構成を例にしたが、透過型の液晶表示素子を用いた構成としてもよい。光源LSとしては、ランプに限定されず、発光ダイオード(LED),レーザ,励起光源等、任意である。
【符号の説明】
【0036】
1 放電灯
2 リフレクタ
3 コールドフィルタ
4 第1のレンズアレイ
4a,5a レンズセル
5 第2のレンズアレイ
6 偏光変換素子
7 重ね合わせレンズ
15r,15g,15b ワイヤグリッド偏光ビームスプリッタ
17r,17g,17b 液晶表示素子
18 クロスダイクロイックプリズム
19 投射レンズ
LS 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9