(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の第一の実施形態であるパネル取付治具およびパネル部材の取り付け構造について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態であるパネル取付治具10およびパネル部材の取り付け構造は、
図1に示すように、建物の外側に配設される外装パネル1を、建物の内部に設けられた支持梁部であるチャンネル部材5に固定して取り付けるものである。
【0017】
チャンネル部材5は、
図1に示すように、一方側(
図1において右側)を向く側面5aと、他方側(
図1において左側)を向く側面5bと、を備えている。チャンネル部材5の一方側が建物の内側とされ、他方側が建物の外側とされている。そして、チャンネル部材5の他方側を向く側面5bに、外装パネル1が取り付けられる構成とされている。
【0018】
外装パネル1には、
図1に示すように、その一方の面(
図1において右側を向く面)から他方の面(
図1において左側を向く面)に向けて厚さ方向に貫通した挿通孔2が形成されている。この挿通孔2の孔径は、後述するパネル取付治具10のフック部材11の先端が挿通可能な大きさとされている。
【0019】
この外装パネル1は、本実施形態であるパネル取付治具10を用いてチャンネル部材5に取り付けられている。
本実施形態であるパネル取付治具10は、
図1に示すように、フック部材11と、このフック部材11をチャンネル部材5に固定する固定部材20と、を備えている。
【0020】
フック部材11は、
図2に示すように、ロッド部12と、このロッド部12の先端側においてロッド部12の延在方向に対して屈曲して形成された係止部13と、ロッド部12の後端側において固定部材20に接続される接続部19と、を有している。本実施形態では、フック部材11は、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されている。
また、本実施形態では、
図2に示すように、接続部19は、雄ねじが形成された雄ねじ部とされている。
【0021】
係止部13は、
図2(c)に示すように、ロッド部12の延在方向から見て円弧をなすように曲げられて成形されている。ここで、係止部13は、ロッド部12の延在方向に対して略直交するように曲げられている。本実施形態では、
図2(a)、(b)に示すように、係止部13は、ロッド部12から離間するにしたがい漸次ロッド部12の延在方向後端側(
図2(a)、(b)において右側)に向かうように僅かに傾斜している。すなわち、係止部13は、ロッド部12の延在方向に直交する平面に対して僅かに傾斜した面に沿って延在しているのである。本実施形態では、
図2(a)、(b)に示すロッド部12の延在方向に直交する面と係止部13とが成す角度αが、1°≦α≦5°の範囲内とされている。
【0022】
円弧状をなす係止部13の先端部分には、
図2(a)、(b)に示すように、係止部13よりもロッド部12の延在方向先端側(
図2(a)、(b)において左側)に向けて傾斜した挿入ガイド部17が形成されている。本実施形態では、
図2(a)に示すロッド部12の延在方向に直交する面と挿入ガイド部17の延在方向とがなす角度βが、30°≦β≦50°の範囲内とされている。
【0023】
固定部材20は、
図1に示すように、プレート21と、このプレート21をチャンネル部材5に固定する係合部材22と、フック部材11とプレート21とを接続するワッシャー25及びナット26と、係合部材22とプレート21とを接続するワッシャー27及びナット28と、を備えている。
係合部材22は、その先端がチャンネル部材5の端縁部に係合可能な係合爪23とされており、その後端がプレート21と接続される接続部24とされている。なお、本実施形態では、係合部材22は、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されている。
プレート21には、フック部材11の接続部19が挿通される第一貫通孔と、係合部材22の接続部24が挿通される第二貫通孔と、が設けられている。なお、本実施形態では、プレート21は、厚さ1.0mm〜2.0mmの鋼板を所定サイズに切り出して穴あけ加工を行うことで成形されている。
【0024】
次に、このような構成とされたパネル取付治具10を用いて、外装パネル1を取り付ける方法について説明する。
まず、チャンネル部材5の他方側を向く側面5bに外装パネル1を配置する。
そして、外装パネル1の挿通孔2にフック部材11の係止部13を、外装パネル1の一方の面側(建物の内側)から他方の面側(建物の外側)に向けて挿入する。このとき、まず、挿入ガイド部17を挿通孔2に挿入する。そして、フック部材11を係止部13がなす円弧に沿って回転させると、挿入ガイド部17に続いて、円弧状に形成された係止部13が挿通孔2に挿入され、係止部13が外装パネル1の他方の面側(建物の外側)に配置されることになる。
【0025】
次に、フック部材11の接続部19をプレート21の第一貫通孔に挿通するとともに、プレート21をチャンネル部材5の一方側を向く側面5aに当接させる。
また、係合部材22の係合爪23をチャンネル部材5の端縁部に係合させるとともに、係合部材22の接続部24を、プレート21の第二貫通孔に挿通する。
係合部材22の接続部24に、プレート21の一方側からワッシャー27を嵌めこみ、ナット28を螺着して締め込むことにより、プレート21とチャンネル部材5とを固定する。
【0026】
そして、フック部材11の接続部19に、プレート21の一方側からワッシャー25を嵌めこみ、ナット26を螺着して締め込む。これにより、フック部材11が、チャンネル部材5に固定されるとともに、建物の内側(
図1において右側)に向けて移動することになる。
すると、フック部材11の係止部13が外装パネル1の他方の面を建物の内側に向けて押圧することになり、この係止部11とチャンネル部材5の他方側を向く側面5bとによって、外装パネル1が挟持されて固定される。
このように、建物の内側(外装パネル1の一方側)からの作業のみによって、外装パネル1がチャンネル部材5に固定して取り付けられることになる。
【0027】
以上のような構成とされた本実施形態であるパネル取付治具10およびパネル部材の取り付け構造によれば、上述のように、建物の内側(外装パネル1の一方側)からの作業のみによって、外装パネル1をチャンネル部材5に固定して取り付けることができる。よって、外装パネル1を取り付ける際に、建物の外側に足場を設ける必要がなく、外装パネル1の取り付け作業を簡単に、かつ、低コストで実施することが可能となる。
また、外装パネル1には、フック部材11の係止部13が挿入可能な挿通孔2を形成するのみであることから、外装パネル1の構造を簡単なものとすることができる。よって、大量の外装パネル1を取り付ける場合であっても、その施工コストを抑えることが可能となる。
【0028】
本実施形態では、フック部材11の係止部13が、ロッド部12の延在方向から見て円弧状をなすように曲げられて成形されているので、フック部材11を係止部13の円弧に沿って回転させることで、係止部13を外装パネル1の一方側から他方側へと簡単に挿通することができる。
また、係止部13において外装パネル1の他方の面に当接される面積が確保されるので、外装パネル1を確実に押圧することができ、外装パネル1を係止部13とチャンネル部材5の他方側を向く側面5bとで挟持して固定することができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、係止部13は、ロッド部12から離間するにしたがい漸次ロッド部12の延在方向後端側(
図2(a)、(b)において右側)に向かうように僅かに傾斜しており、ロッド部12の延在方向に直交する面と係止部13とが成す角度αが、1°≦α≦5°の範囲内とされている。ここで、前記角度αがα≧1°とされているので、ナット26を締め付けた際に係止部13に曲げ応力が負荷された場合であっても、係止部13によって外装パネル1を確実に押圧することが可能となる。また、前記角度αがα≦5°とされているので、係止部13によって外装パネル1を損傷することを抑制することができる。
【0030】
また、本実施形態では、円弧状をなす係止部13の先端に、係止部13よりもロッド部12の延在方向先端側に向けて傾斜した挿入ガイド部17が形成されているので、外装パネル1の挿通孔2に、この挿入ガイド部17を挿入し、フック部材11を係止部13の円弧に沿って回転させることで、係止部13を外装パネル1の一方側から他方側へと簡単に挿通することができる。また、フック部材11を回転させて係止部13を挿入する際に、挿入ガイド部17が外装パネル1に衝突することがなく、外装パネル1を保護することができる。
本実施形態では、ロッド部12の延在方向に直交する面と挿入ガイド部17の延在方向とがなす角度βが30°≦β≦50°の範囲内とされているので、上述の作用効果を確実に奏功せしめることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、フック部材11が、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されているので、このパネル取付治具10を低コストで製造することが可能となる。特に、本実施形態では、固定部材20を構成するプレート21及び係合部材22についても、鋼板及び鋼線を加工することによって成形されており、このパネル取付治具10をさらに低コストで製造することが可能となる。
【0032】
以下に、本発明の第二の実施形態であるパネル取付治具およびパネル部材の取り付け構造について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態であるパネル取付治具110およびパネル部材の取り付け構造は、
図3に示すように、建物の外側に配設される外装パネル101を、建物の内部に設けられた支持梁部であるチャンネル部材105に固定して取り付けるものである。
【0033】
チャンネル部材105は、
図3に示すように、一方側(
図3において右側)を向く側面105aと、他方側(
図3において左側)を向く側面105bと、を備えている。チャンネル部材105の一方側が建物の内側とされ、他方側が建物の外側とされている。そして、チャンネル部材105の他方側を向く側面105bに、外装パネル101が取り付けられる構成とされている。
【0034】
外装パネル101には、
図3に示すように、その一方の面(
図3において右側を向く面)から他方の面(
図3において左側を向く面)に向けて厚さ方向に貫通した挿通孔102が形成されている。この挿通孔102の孔径は、後述するパネル取付治具110のフック部材111の先端が挿通可能な大きさとされている。
【0035】
この外装パネル101は、本実施形態であるパネル取付治具110を用いてチャンネル部材105に取り付けられている。
本実施形態であるパネル取付治具110は、
図3に示すように、フック部材111と、このフック部材111をチャンネル部材105に固定する固定部材120と、を備えている。
【0036】
フック部材111は、
図3に示すように、ロッド部112と、このロッド部112の先端側においてロッド部112の延在方向に対して屈曲して形成された係止部113と、ロッド部112の後端側において固定部材120に接続される接続部119と、を有している。本実施形態では、フック部材111は、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されている。
また、本実施形態では、
図3に示すように、接続部119は、雄ねじが形成された雄ねじ部とされている。
【0037】
係止部113は、ロッド部112との接続部分に、ロッド部112の延在方向先端側(
図1において左側)に向けて突出するように形成されたばね部114と、このばね部114に連接してロッド部112の延在方向に対して略直交する方向に延在する押さえ部115と、を備えている。また、係止部113の先端には、ロッド部112の延在方向先端側に向けて前進させられた挿入ガイド部117が形成されている。
ここで、ばね部114の曲率半径(ロッド部112との接続部分の曲率半径)Rは、10mm≦R≦15mmの範囲内とされている。
【0038】
固定部材120は、
図3に示すように、プレート121と、フック部材111とプレート121とを接続するワッシャー125及びナット126と、を備えている。
プレート121には、フック部材111の接続部119が挿通される貫通孔が形成されている。なお、本実施形態では、プレート121は、厚さ1.0mm〜2.0mmの鋼板を所定サイズに切り出して穴あけ加工を行うことで成形されている。
そして、本実施形態においては、
図3に示すように、プレート121は、チャンネル部材105の一方側を向く側面105aに溶接によって接合されている。
【0039】
次に、このような構成とされたパネル取付治具110を用いて、外装パネル101を取り付ける方法について説明する。
まず、チャンネル部材105の他方側を向く側面105bに外装パネル101を配置する。
そして、外装パネル101の挿通孔102にフック部材111の係止部113を、外装パネル101の一方の面側(建物の内側)から他方の面側(建物の外側)に向けて挿入する。このとき、まず、挿入ガイド部117を挿通孔102に挿入する。そして、挿入ガイド部117に続いて係止部113(押さえ部115及びばね部114)を挿通させる。これにより、係止部113が挿通孔102を介して、外装パネル101の他方の面側(建物の外側)に配置されることになる。
【0040】
次に、プレート121の貫通孔にフック部材111の接続部119を挿通する。そして、フック部材111の接続部119に、プレート121の一方側からワッシャー125を嵌めこみ、ナット126を螺着して締め込む。これにより、フック部材111が、チャンネル部材105に固定されるとともに、建物の内側(
図3において右側)に向けて移動することになる。
【0041】
すると、フック部材111の係止部113が外装パネル101の他方の面を建物の内側に向けて押圧することになり、この係止部113とチャンネル部材105の他方側を向く側面105bとによって、外装パネル101が挟持されて固定される。
このように、建物の内側(外装パネル101の一方側)からの作業のみによって、外装パネル101がチャンネル部材105に固定して取り付けられることになる。
【0042】
以上のような構成とされた本実施形態であるパネル取付治具110およびパネル部材の取り付け構造によれば、第一の実施形態と同様に、建物の内側(外装パネル101の一方側)からの作業のみによって、外装パネル101をチャンネル部材105に固定して取り付けることができる。よって、外装パネル101を取り付ける際に、建物の外側に足場を設ける必要がなく、外装パネル101の取り付け作業を簡単に、かつ、低コストで実施することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においては、係止部113が、ロッド部112との接続部分にロッド部112の延在方向先端側に向けて突出するように形成されたばね部114を有しているので、係止部113の剛性が確保されることになる。よって、フック部材111のうち係止部113とロッド部112との接続部分に曲げ応力が負荷された場合であっても、係止部113が曲げ戻されるように容易に変形せず、係止部113の押さえ部115によって外装パネル105を確実に押圧でき、係止部113とチャンネル部材105とで外装パネル101を挟持して固定することが可能となる。
【0044】
さらに、本実施形態においては、ばね部114の曲率半径(ロッド部112との接続部分の曲率半径)Rが、R≧10mmとされているので、外装パネル101に形成される挿通孔102の孔径を小さくしても係止部113を挿通することが可能となる。よって、挿通孔102部分を塞ぐためのコーキング材の使用量を削減することができる。また、ばね部114の曲率半径Rが、R≦15mmとされているので、押さえ部115とロッド部112とが大きく離れてしまうことが抑制され、押さえ部115によって外装パネル101を確実に押圧することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、フック部材111が、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されているので、このパネル取付治具110を低コストで製造することが可能となる。特に、本実施形態では、固定部材120を構成するプレート121についても、鋼板を加工することによって成形されており、このパネル取付治具110をさらに低コストで製造することが可能となる。
【0046】
以下に、本発明の第三の実施形態であるパネル取付治具およびパネル部材の取り付け構造について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態であるパネル取付治具210およびパネル部材の取り付け構造は、
図4に示すように、建物の外側に配設される外装パネル201を、建物の内部に設けられた支持梁部であるL字鋼205に固定して取り付けるものである。
【0047】
L字鋼205は、
図4に示すように、上方を向く上面205aと、建物の外側(
図4において右側)を向く側面205bと、を備えている。そして、L字鋼205の建物の外側を向く側面205bに、外装パネル201が取り付けられる構成とされている。
【0048】
外装パネル201には、
図4に示すように、その一方の面(
図4において右側を向く面)から他方の面(
図4において左側を向く面)に向けて厚さ方向に貫通した挿通孔202が形成されている。この挿通孔202の孔径は、後述するパネル取付治具210のフック部材11の先端が挿通可能な大きさとされている。
【0049】
この外装パネル201は、本実施形態であるパネル取付治具210を用いてL字鋼205に取り付けられている。
本実施形態であるパネル取付治具210は、
図4に示すように、フック部材11と、このフック部材11をL字鋼205に固定する固定部材220と、を備えている。
なお、フック部材11は、第一の実施形態と同じ構成とされているので、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0050】
固定部材220は、
図4及び
図5に示すように、フック部材11の接続部19が挿通される筒部221と、この筒部221をL字鋼205の上面205aに固定する固定プレート222と、L字鋼205に係合される爪部223と、フック部材11の接続部19に螺着されるナット226と、を備えている。
固定プレート222には、厚さ方向に貫通する取付孔224が設けられており、この取付孔224に挿通された固定ねじがL字鋼205に螺着されることにより、固定プレート222がL字鋼205に固定される構造とされている。
筒部221は、内部にフック部材11の接続部19が挿通可能とされ、かつ、ナット226が筒部の端面に当接される大きさとされている。
【0051】
次に、このような構成とされたパネル取付治具210を用いて、外装パネル201を取り付ける方法について説明する。
まず、L字鋼205の外側を向く側面205bに外装パネル201を配置する。
そして、外装パネル201の挿通孔202にフック部材11の係止部13を、外装パネル201の一方の面側(建物の内側)から他方の面側(建物の外側)に向けて挿入する。すると、円弧状に形成された係止部13が挿通孔202を介して、外装パネル201の他方の面側(建物の外側)に配置されることになる。
【0052】
次に、フック部材11の接続部19に固定部材220の筒部221を挿嵌する。固定部材220の爪部223をL字鋼205に係合させるとともに、固定プレート222に設けられた取付孔224に固定ねじを挿通し、固定部材220をL字鋼205に固定する。
そして、筒部221から突出した接続部19にナット226を螺着して締め込む。すると、フック部材11が、L字鋼205に固定されるとともに、建物の内側(
図4において右側)に向けて移動することになる。
【0053】
すると、フック部材11の係止部13が外装パネル201の他方の面を建物の内側に向けて押圧することになり、この係止部13とL字鋼205とによって、外装パネル201が挟持されて固定される。
このように、建物の内側(外装パネル201の一方側)からの作業のみによって、外装パネル201がL字鋼205に固定されて取り付けられることになる。
【0054】
以上のような構成とされた本実施形態であるパネル取付治具210およびパネル部材の取り付け構造によれば、第一、第二の実施形態と同様に、建物の内側(外装パネル201の一方側)からの作業のみによって、外装パネル201を支持梁部であるL字鋼205に固定して取り付けることができる。よって、外装パネル201を取り付ける際に、建物の外側に足場を設ける必要がなく、外装パネル201の取り付け作業を簡単に、かつ、低コストで実施することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態においては、固定部材220が、比較的小型であることから、取扱い性が良く、外装パネル201の取り付け作業を容易に行うことができる。
さらに、支持梁部がL字鋼205であった場合でも、固定部材220とL字鋼205(支持梁部)とを確実に固定することができる。
【0056】
以下に、本発明の第四の実施形態であるパネル取付治具およびパネル部材の取り付け構造について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態であるパネル取付治具310およびパネル部材の取り付け構造は、
図6に示すように、建物の外側に配設される外装パネル301を、建物の内部に設けられた支持梁部であるチャンネル部材305に固定して取り付けるものである。
【0057】
チャンネル部材305は、
図6に示すように、一方側(
図6において右側)を向く側面305aと、他方側(
図6において左側)を向く側面305bと、を備えている。チャンネル部材305の一方側が建物の内側とされ、他方側が建物の外側とされている。そして、チャンネル部材305の他方側を向く側面305bに、外装パネル301が取り付けられる構成とされている。
【0058】
外装パネル301には、
図6に示すように、その一方の面(
図6(a)において右側を向く面)から他方の面(
図6(a)において左側を向く面)に向けて厚さ方向に貫通した挿通孔302が形成されている。この挿通孔302の孔径は、後述するパネル取付治具310のフック部材111の先端及び補助フック部材331の先端が挿通可能な大きさとされている。
【0059】
この外装パネル301は、本実施形態であるパネル取付治具310を用いてチャンネル部材305に取り付けられている。
本実施形態であるパネル取付治具310は、
図6に示すように、フック部材111と、このフック部材111をチャンネル部材305に固定する固定部材320と、フック部材111をサポートする補助フック部材331と、を備えている。
なお、フック部材111は、第二の実施形態と同じ構成とされているので、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0060】
補助フック部材331は、
図6に示すように、ロッド部332と、このロッド部332の先端側においてロッド部332の延在方向に対して屈曲して形成された補助係止部333と、ロッド部332の後端側において固定部材320に接続される接続部339と、を有している。本実施形態では、補助フック部材331は、フック部材111と同様に、直径4.0mm〜7.0mmの鋼線を加工することによって成形されている。また、本実施形態では、
図6に示すように、補助フック部材331の接続部339は、雄ねじが形成された雄ねじ部とされている。
補助係止部333は、フック部材111の係止部113よりも長さが短くされており、フック部材111の係止部113の外側に係合可能な構成とされている。また、この補助係止部333の先端に挿入ガイド部337が形成されている。
【0061】
固定部材320は、
図6に示すように、プレート321と、フック部材111とプレート321とを接続するワッシャー325及びナット326と、補助フック部材331とプレート321とを接続するワッシャー327及びナット328と、を備えている。
プレート321には、フック部材111の接続部119が挿通される第一貫通孔と、補助フック部材331の接続部339が挿通される第二貫通孔と、が形成されている。なお、本実施形態では、プレート321は、厚さ1.0mm〜2.0mmの鋼板を所定サイズに切り出して穴あけ加工を行うことで成形されている。
そして、本実施形態においては、
図6(a)に示すように、プレート321は、チャンネル部材305の一方側を向く側面305aに溶接によって接合されている。ここで、プレート321は、チャンネル部材305の上方に第一貫通孔が位置し、チャンネル部材305の下方に第二貫通孔が位置するように、チャンネル部材305に接合されている。
【0062】
次に、このような構成とされたパネル取付治具310を用いて、外装パネル301を取り付ける方法について説明する。
まず、チャンネル部材305の他方側を向く側面305bに外装パネル301を配置する。
そして、外装パネル301の挿通孔302にフック部材111の係止部113を、外装パネル301の一方の面側(建物の内側)から他方の面側(建物の外側)に向けて挿入する。このとき、まず、挿入ガイド部117を挿通孔302に挿入する。そして、挿入ガイド部117に続いて係止部113(押さえ部115及びばね部114)を挿通させる。これにより、係止部113が挿通孔302を介して、外装パネル301の他方の面側(建物の外側)に配置されることになる。
【0063】
また、外装パネル301の別の挿通孔302に補助フック部材331の補助係止部333を、外装パネル301の一方の面側(建物の内側)から他方の面側(建物の外側)に向けて挿入する。このとき、まず、挿入ガイド部337を挿通孔302に挿入する。そして、挿入ガイド部337に続いて補助係止部333を挿通させる。これにより、補助係止部333が挿通孔302を介して、外装パネル301の他方の面側(建物の外側)に配置されることになる。
【0064】
補助フック部331は、
図6(b)に示すように、外装パネル301側から見て、フック部材111の鉛直方向下方位置からわずかにずれた位置に配置されることになる。このとき、
図6(b)に示すように、補助フック部材331の補助係止部333がフック部材111の係止部113(押さえ部115)に係合されるように、補助フック部331の位置を調整する。
【0065】
次に、プレート321の第一貫通孔にフック部材111の接続部1119を挿通する。そして、フック部材111の接続部119に、プレート321の一方側からワッシャー325を嵌めこみ、ナット326を螺着して締め込む。
同様に、プレート321の第二貫通孔に補助フック部材331の接続部339を挿通する。そして、補助フック部材331の接続部339に、プレート321の一方側からワッシャー327を嵌めこみ、ナット328を螺着して締め込む。
これにより、フック部材111が、チャンネル部材305に固定されるとともに、建物の内側(
図6(a)において右側)に向けて移動することになる。また、補助フック部材331が、チャンネル部材305に固定されるとともに、建物の内側(
図6(a)において右側)に向けて移動することになる。
【0066】
すると、フック部材111の係止部113が外装パネル301の他方の面を建物の内側に向けて押圧することになり、この係止部113とチャンネル部材305の他方側を向く側面305bとによって、外装パネル301が挟持されて固定される。このとき、フック部材111の係止部113が、補助フック部材331の補助係止部333によって押圧され、外装パネル301がより強固に押圧されることになる。
このように、建物の内側(外装パネル301の一方側)からの作業のみによって、外装パネル301がチャンネル部材305に固定して取り付けられることになる。
【0067】
以上のような構成とされた本実施形態であるパネル取付治具310およびパネル部材の取り付け構造によれば、第一、第二、第三の実施形態と同様に、建物の内側(外装パネル301の一方側)からの作業のみによって、外装パネル301をチャンネル部材305に固定して取り付けることができる。よって、外装パネル301を取り付ける際に、建物の外側に足場を設ける必要がなく、外装パネル301の取り付け作業を簡単に、かつ、低コストで実施することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態においては、フック部材111の係止部113に係合する補助フック部材331を備えているので、フック部材111の係止部113とロッド部112との接続部分に曲げ応力が作用した場合であっても、補助フック部材331によって係止部113の変形を抑制することができ、外装パネル301を確実に押圧することができる。
【0069】
以上、本実施形態であるパネル取付治具およびパネル部材の取り付け構造について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、支持梁部が、チャンネル部材またはL字鋼とされた場合について説明したが、これに限定されることはなく、支持梁部の構造に限定はない。
【0070】
また、フック部材の形状は、本実施形態に例示したものに限定されることはなく、他の形状であってもよい。例えば、挿入ガイド部を備えたものとして説明したが、挿入ガイド部を備えていないものであってもよい。
さらに、固定部材の構造についても、本実施形態に限定されることはなく、適宜設計変更することができる。なお、固定部材は、支持梁部の構造に応じて適宜設計変更することが好ましい。