(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772664
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】間仕切装置におけるアジャスター装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20150813BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
E04B2/74 531T
E04B2/82 511U
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-46951(P2012-46951)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-181348(P2013-181348A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆博
【審査官】
土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−317551(JP,A)
【文献】
特開平07−331775(JP,A)
【文献】
実開平02−085713(JP,U)
【文献】
特開2002−070217(JP,A)
【文献】
特開平10−183827(JP,A)
【文献】
米国特許第04716699(US,A)
【文献】
米国特許第04914878(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地レール内に配置したアジャスターに下端部を装着した支柱を天レールとの間に立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両支柱の表裏両面にパネル板を取付可能な間仕切装置において、前記アジャスターは、前記支柱の下端部に装着する受け部材と、該受け部材に螺合して前記地レール内に載置するアジャスターボルトとからなり、前記受け部材は内部が中空の四角筒状で下部に前記アジャスターボルトを鉛直に螺合する底面板を有するとともに、前記地レールに沿った方向と直交する二側面のうち、一側面にパネル板の下端を載支するパネル支持体や他の縦枠部材を支持する係止片を一体的に突設し、他側面には前記係止片と同じ高さに同じ機能の係止金具を着脱自在に設け、更に四側面のうち何れか一側面に回転工具を挿入する縦長開口を形成し、前記アジャスターボルトの上端には回転工具を係合する係合部を形成し、前記支柱の下端部を前記受け部材に装着した状態で前記縦長開口が露出することを特徴とする間仕切装置におけるアジャスター装置。
【請求項2】
前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の上方の側面に前記縦長開口を形成したものであり、前記支柱は、断面略C字形の杆体で一側面に縦方向に開口を有するものであり、該支柱の下端部を前記受け部材に外嵌した際に、前記開口から前記縦長開口が露出してなる請求項1記載の間仕切装置におけるアジャスター装置。
【請求項3】
前記アジャスターの受け部材は、スチール板を折曲形成したものであり、前記底面板の両側から断面略コ字形の側面部を直角に折曲して両側面部で上端が開放した四角筒状の本体部を形成し、一方の前記側面部の中央面に前記係止片を切り起こし形成するとともに、前記縦長開口を形成してなる請求項1又は2記載の間仕切装置におけるアジャスター装置。
【請求項4】
前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の両側に、上端が該係止片の上面と同じ高さで前記支柱の下端部を当止する突片を切り起こし形成してなる請求項3記載の間仕切装置におけるアジャスター装置。
【請求項5】
前記アジャスターの受け部材は、前記係止片を突設した側面とは反対側の側面に、横長のスリット孔とその上方に螺孔若しくは下穴を形成してなり、前記係止金具は、水平な係止板と垂直な取付板とを有するL字形部材で、該取付板の下端に前記係止板と反対側に係合片を折曲形成するとともに、前記取付板に通孔を形成してなり、前記係止金具の係合片を前記受け部材のスリット孔に係合し、前記取付板を側面に接合し、前記通孔から挿入したネジ若しくはタッピンネジを前記螺孔若しくは下穴に螺合して、前記係止金具を受け部材に取付けてなる請求項1〜4何れか1項に記載の間仕切装置におけるアジャスター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切装置におけるアジャスター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天レールと地レールの間に下端にアジャスターを嵌着した支柱を、間隔を隔てて複数立設するとともに、該支柱の表裏両面にパネル板を取付けてフロアを区画してなる間仕切装置は各種提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
更に詳しくは、前記支柱は、スチール板を折曲形成した中空杆体であり、一側面に上下方向に開口した間隙を有するものである。前記アジャスターは、前記支柱の下端部に嵌入する受け部材と、該受け部材の下面に螺合したアジャスターボルトからなっている。前記受け部材は、スチール板を角パイプ状に折曲して形成した筒体であり、上端部は内方へ先細となるように折曲して支柱への嵌入を案内する傾斜部を形成し、側面の上下中間部に全て上端を同一高さとした複数のダボを突設するとともに、該受け部材の両側面に一対の係止片を切起し形成したものである。また、アジャスターを地レールに設置したまま高さ調節できるように、前記アジャスターボルトの上端にはドライバーを差し込むための係合溝を形成している。
【0004】
ここで、前記アジャスターの受け部材に突設した係止片が、間仕切装置の表裏両面に位置する向きにアジャスターを設定し、前記支柱の下端を当止するとともに、パネル板の下端部を係止する機能を持たせている。しかし、間仕切装置のパネル面に面する表裏両面に係止片を突設したので、パネル板の端面板には側方へ突出した固定縁を設けるとともに、該固定縁に前記係止片に係止するための切欠段部を形成する必要があり、特殊なパネル板の構造となる。
【0005】
また、特許文献2には、アジャスターボルトを螺合したベース体を地レール内に配置し、該ベース体に外嵌し且つアジャスターボルトで支持される脚体の左右両側に支持金具を着脱自在に取付け、該脚体には支柱の下端部を外挿して立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両脚体の対向する一対の支持金具にパネル支持体の両端部を連結し、隣接する両支柱の表裏両面に係止具を用いてパネル板の両側縁を係止するとともに、パネル板の下端を前記パネル支持体に載支する構造の間仕切装置における支持装置が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2に記載のものは、必要な箇所にのみ支持金具を取付けることができるという利点はあるものの、部品点数が多くコスト高であるとともに、ベース体に脚体を載支した状態では、アジャスターボルトを回して高さを調節することができず、作業性に問題があった。特に、パネル建て込み施工後に、支柱高さの微調整をする場合、パネル板を外し、支柱からアジャスターを外さないとアジャスターボルトを回せず、施工作業のロスが多かった。
【0007】
因みに、特許文献3には、アジャスターボルトを螺合したベース体を地レール内に配置し、該アジャスターボルトに載支した下部ブラケットに支柱の下端部を嵌合して支持し、前記下部ブラケットにはパネル板を係止するための係止片やパネル板の下端を載支するための支承片が両側に一体形成され、前記アジャスターボルトの上端を下部ブラケットの支持面に形成した挿通孔から支柱内部に臨ませ、支柱の下端部の側面に形成した開口からレンチを挿入して前記アジャスターボルトを回転させて高さ調節することができる構造が開示されている。しかし、パネル板を設けずに、支柱の一側面にドア枠を取付けてドアパネルを開閉可能に設ける場合、ドア枠側に突出する係止片や支承片が邪魔になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2817630号公報
【特許文献2】実公平6−3050号公報
【特許文献3】特開平4−169635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、従来の構造の間仕切装置にそのまま適用でき、部品点数が少なく、また施工性にも優れ、コスト低減化が可能な間仕切装置におけるアジャスター装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題解決のために、地レール内に配置したアジャスターに下端部を装着した支柱を天レールとの間に立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両支柱の表裏両面にパネル板を取付可能な間仕切装置において、前記アジャスターは、前記支柱の下端部に装着する受け部材と、該受け部材に螺合して前記地レール内に載置するアジャスターボルトとからなり、前記受け部材は内部が中空の四角筒状で下部に前記アジャスターボルトを鉛直に螺合する底面板を有するとともに、前記地レールに沿った方向と直交する二側面のうち、一側面にパネル板の下端を載支するパネル支持体や他の縦枠部材を支持する係止片を一体的に突設し、他側面には前記係止片と同じ高さに同じ機能の係止金具を着脱自在に設け、更に四側面のうち何れか一側面に回転工具を挿入する縦長開口を形成し、前記アジャスターボルトの上端には回転工具を係合する係合部を形成し、前記支柱の下端部を前記受け部材に装着した状態で前記縦長開口が露出することを特徴とする間仕切装置におけるアジャスター装置を構成した(請求項1)。
【0011】
ここで、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の上方の側面に前記縦長開口を形成したものであり、前記支柱は、断面略C字形の杆体で一側面に縦方向に開口を有するものであり、該支柱の下端部を前記受け部材に外嵌した際に、前記開口から前記縦長開口が露出してなることが好ましい(請求項2)。
【0012】
更に、前記アジャスターの受け部材は、スチール板を折曲形成したものであり、前記底面板の両側から断面略コ字形の側面部を直角に折曲して両側面部で上端が開放した四角筒状の本体部を形成し、一方の前記側面部の中央面に前記係止片を切り起こし形成するとともに、前記縦長開口を形成してなることがより好ましい(請求項3)。
【0013】
また、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の両側に、上端が該係止片の上面と同じ高さで前記支柱の下端部を当止する突片を切り起こし形成してなることも好ましい(請求項4)。
【0014】
そして、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片を突設した側面とは反対側の側面に、横長のスリット孔とその上方に螺孔若しくは下穴を形成してなり、前記係止金具は、水平な係止板と垂直な取付板とを有するL字形部材で、該取付板の下端に前記係止板と反対側に係合片を折曲形成するとともに、前記取付板に通孔を形成してなり、前記係止金具の係合片を前記受け部材のスリット孔に係合し、前記取付板を側面に接合し、前記通孔から挿入したネジ若しくはタッピンネジを前記螺孔若しくは下穴に螺合して、前記係止金具を受け部材に取付けてなるのである(請求項5)。
【発明の効果】
【0015】
以上にしてなる請求項1に係る発明の間仕切装置におけるアジャスター装置は、地レール内に配置したアジャスターに下端部を装着した支柱を天レールとの間に立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両支柱の表裏両面にパネル板を取付可能な間仕切装置において、前記アジャスターは、前記支柱の下端部に装着する受け部材と、該受け部材に螺合して前記地レール内に載置するアジャスターボルトとからなり、前記受け部材は内部が中空の四角筒状で下部に前記アジャスターボルトを鉛直に螺合する底面板を有するとともに、前記地レールに沿った方向と直交する二側面のうち、一側面にパネル板の下端を載支するパネル支持体や他の縦枠部材を支持する係止片を一体的に突設し、他側面には前記係止片と同じ高さに同じ機能の係止金具を着脱自在に設けているので、地レール内に配置したアジャスターに下端部を装着した支柱を天レールとの間に立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両支柱の表裏両面にパネル板を取付ける場合に、受け部材の両側に係止片と係止金具を突設すると、対向する係止片と係止金具間に、あるいは係止片と係止片間に、あるいは係止金具と係止金具間に、従来のものと同様にパネル支持体の両端部を連結し、隣接する両支柱の表裏両面に係止具等を用いてパネル板の両側縁を係止するとともに、パネル板の下端を前記パネル支持体に載支することができ、同様に隣接する支柱間にガラスパネルを装着する場合には、前記係止片と係止金具を用いてガラス枠体を取付けることができる。そして、支柱の一側面側にパネル板以外の他の構成部材、例えば壁面に固定する壁面レールや戸当り枠材等が位置する場合で、アジャスター装置の側面に突起部があると干渉するような場合には、その側に前記係止金具を取付けてない側面を向けることにより、干渉を防ぐことができる。更に、受け部材の四側面のうち何れか一側面に回転工具を挿入する縦長開口を形成し、前記アジャスターボルトの上端には回転工具を係合する係合部を形成し、前記支柱の下端部を前記受け部材に装着した状態で前記縦長開口が露出するので、支柱の下端部をアジャスターの受け部材に装着して立起状態としたまま、更には支柱にパネル板を取付けたまま、パネル板を取付けてない側に露出している前記縦長開口から挿入した回転工具を前記アジャスターボルトの上端の係合部に係合して、該アジャスターボルトを回転させて高さを微調節することができ、施工が容易になる。
【0016】
請求項2によれば、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の上方の側面に前記縦長開口を形成したものであり、前記支柱は、断面略C字形の杆体で一側面に縦方向に開口を有するものであり、該支柱の下端部を前記受け部材に外嵌した際に、前記開口から前記縦長開口が露出してなるので、従来からある断面略C字形の通常の支柱を用いて、その開口を前記アジャスターの受け部材の前記縦長開口が形成された面に対応するように、支柱の下端部を前記受け部材に装着するだけで、前記開口から前記縦長開口が露出するので、施工中の高さ調節が簡単である。
【0017】
請求項3によれば、前記アジャスターの受け部材は、スチール板を折曲形成したものであり、前記底面板の両側から断面略コ字形の側面部を直角に折曲して両側面部で上端が開放した四角筒状の本体部を形成し、一方の前記側面部の中央面に前記係止片を切り起こし形成するとともに、前記縦長開口を形成してなるので、溶接することなく板金可能で簡単に製造することができ、底面板に対して両側面部が内外に弾性変形することにより、前記支柱の下端部内に嵌合した際に、ガタツキなく装着することができる。また、前記縦長開口を形成すると同時に、前記係止片を切り起こし形成することができ、材料の節約が図れる。
【0018】
請求項4によれば、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片の両側に、上端が該係止片の上面と同じ高さで前記支柱の下端部を当止する突片を切り起こし形成してなるので、前記受け部材に支柱の下端部を嵌挿した際に突片に当接させて位置決めすることができるとともに、支柱にパネル板を取付けた際の重量を安定に支持することができる。
【0019】
請求項5によれば、前記アジャスターの受け部材は、前記係止片を突設した側面とは反対側の側面に、横長のスリット孔とその上方に螺孔若しくは下穴を形成してなり、前記係止金具は、水平な係止板と垂直な取付板とを有するL字形部材で、該取付板の下端に前記係止板と反対側に係合片を折曲形成するとともに、前記取付板に通孔を形成してなり、前記係止金具の係合片を前記受け部材のスリット孔に係合し、前記取付板を側面に接合し、前記通孔から挿入したネジ若しくはタッピンネジを前記螺孔若しくは下穴に螺合して、前記係止金具を受け部材に取付けてなるので、受け部材に係止金具を簡単且つ確実に取付けることができ、上下方向の支持強度も高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るアジャスターを用いた間仕切装置の分解斜視図である。
【
図2】パネル板を取付ける前の間仕切装置の下部構造を示す部分正面図である。
【
図3】同じく間仕切装置の上部構造を示す部分断面図である。
【
図5】間仕切装置の下部構造を示す縦断側面図である。
【
図7】同じくアジャスターを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は平面図である。
【
図8】アジャスターによる高さ調節の様子を示す部分縦断正面図である。
【
図9】隣接する支柱間にドア枠を取付ける場合の施工途中の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
図1は間仕切装置の分解斜視図、
図2〜
図5はその各部の詳細を示し、
図6〜
図8はアジャスターを示し、図中符号1は地レール、2は天レール、3は支柱、4はアジャスター、5は天支持金具、6はパネル板、7はパネル支持体、8はドア枠をそれぞれ示している。
【0022】
本実施形態の間仕切装置は、上方開放した断面略コ字形の地レール1の内部に、支柱3の下端部に装着したアジャスター4を配置するとともに、該支柱3の上端部に上下方向に調節可能に設けられた天支持金具5を、下方開放した断面略コ字形の天レール2の内部に嵌合して、該支柱3を立起状態に支持するとともに、間隔を隔てた両支柱3,3の表裏両面にパネル板6,6を取付けるものである。ここで、前記アジャスター4,4間に、従来のものと同様にパネル支持体7の両端部を連結し、隣接する両支柱3,3の表裏両面に係止具9,…等を用いてパネル板6の両側縁を係止するとともに、パネル板6の下端を前記パネル支持体7に載支する。また、適宜隣接する両支柱3.3にドア枠8を連結して図示しないドアパネルを取付け、あるいはガラス枠体を取付けてガラスパネルを支持することもある。
【0023】
前記アジャスター4は、
図1〜
図8に示すように、前記支柱3の下端部に装着する受け部材10と、該受け部材10に螺合して前記地レール1内に載置するアジャスターボルト11とからなり、前記受け部材10は内部が中空の四角筒状で下部に前記アジャスターボルト11を鉛直に螺合する底面板12を有するとともに、前記地レール1に沿った方向と直交する二側面のうち、一側面にパネル板6の下端を載支するパネル支持体7や他の縦枠部材を支持する係止片13を一体的に突設し、他側面には前記係止片13と同じ高さに同じ機能の係止金具14を着脱自在に設け、更に四側面のうち何れか一側面に回転工具Dを挿入する縦長開口15を形成し、前記アジャスターボルト11の上端には回転工具Dを係合する係合部16を形成し、前記支柱3の下端部を前記受け部材10に装着した状態で前記縦長開口15が露出するようになっている。
【0024】
ここで、前記アジャスター4の受け部材10は、前記係止片13の上方の側面に前記縦長開口15を形成したものであり、前記支柱3は、
図1、
図3及び
図4に示すように、断面略C字形の杆体で一側面に縦方向に開口17を有するものであり、該支柱3の下端部を前記受け部材10に外嵌した際に、前記開口17から前記縦長開口15が露出するようにしている。
【0025】
更に詳しくは、前記アジャスター4の受け部材10は、
図6及び
図7に示すように、スチール板を折曲形成したものであり、前記底面板12の両側から断面略コ字形の側面部18,19を直角に折曲して両側面部18,19で上端が開放した四角筒状の本体部を形成し、一方の前記側面部18の中央面に前記係止片13を切り起こし形成するとともに、該係止片13を切り起こした穴を利用して前記縦長開口15を形成している。また、前記アジャスター4の受け部材10は、前記係止片13の両側に、上端が該係止片13の上面と同じ高さで前記支柱3の下端部を当止する突片20,20を切り起こし形成している。
【0026】
前記底面板12の中央部には、上方へ向けてバーリング加工して前記アジャスターボルト11を螺合する螺孔21を形成し、前記係止片13は平面視略T字形であり、先端部の中央に孔22を形成し、前記縦長開口15の下部は前記係止片13を切り起こし形成したことにより横幅の広い部分を有し、この拡幅部23から受け部材10の内部を覗き込むことができ、該縦長開口15に傾斜状態で挿入したドライバー等の回転工具Dを、前記アジャスターボルト11の上端部の係合部16に係合させる作業が容易になる。また、前記両側面部18,19で、前後面に対応する上部にそれぞれ二つずつ半球状のダボ24,…を突設し、前記支柱3の下端部を外嵌した際に、支柱3の内面に圧接するようになっている。
【0027】
そして、前記アジャスター4の受け部材10は、前記係止片13を突設した側面とは反対側の側面に、横長のスリット孔25とその上方に螺孔若しくは下穴26を形成してなり、前記係止金具14は、水平な係止板27と垂直な取付板28とを有するL字形部材で、該取付板28の下端に前記係止板27と反対側に係合片29を折曲形成するとともに、前記取付板28に通孔30を形成してなり、前記係止金具14の係合片29を前記受け部材10のスリット孔25に係合し、前記取付板28を側面に接合し、前記通孔30から挿入したネジ若しくはタッピンネジ31を前記螺孔若しくは下穴26に螺合して、前記係止金具14を受け部材10に取付ける。ここで、前記係止板27は、平面視略T字形であり、先端部の中央に孔32を形成するとともに、前記取付板28の上端両側に、該取付板28の上面と面一になるように当止片33,33を上向き突設している。
【0028】
前記支柱3は、断面略コ字形の本体杆34の開口縁の両側から対向する方向に補強片35,35を折曲形成した断面略C字形であり、前記補強片35,35の上下端部を切欠するとともに、反対側の本体杆34の側面板36の上下端部を切欠し、切欠縁が統一高さとなっている。そして、この支柱3の下端部を前記受け部材10に外挿すると、前記補強片35,35の下端が前記受け部材10の突片20,20に当接するとともに、前記側面板36の下端が前記係止金具14の当止片33,33に当接する。ここで、前記支柱3に対して左右逆に前記受け部材10を嵌着した場合には、前記補強片35,35の下端が前記係止金具14の当止片33,33に当接するとともに、前記側面板36の下端が前記受け部材10の突片20,20に当接する。従って、前記係止金具14を前記受け部材10に取付けない場合でも、前記突片20,20に支柱3の補強片35,35の下端か、あるいは側面板36の下端が当接するので、該支柱3に掛かる荷重を確実にアジャスター4で支持することができる。
【0029】
前記受け部材10は、前記底面板12の両側から断面略コ字形の側面部18,19を直角に折曲して四角筒状の本体部を形成したものであるが、両側面部18,19を直角に折曲しても弾性復元によって完全に接合することはできない。つまり、両側面部18,19の上端部は若干開いた状態となり、必然的に内外への弾力性を備えている。そのため、前記支柱3の下端部を前記受け部材10の上部に外挿する際に、前記側面部18,19を接近する方向に変形させながら弾性的に嵌合するので、前記ダボ24,…の存在と相俟ってガタツキのない連結ができる。
【0030】
前記パネル支持体7は、
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、断面略ハット形であり、即ち下方開放した断面略コ字形の杆体37の前後両側に水平に受板38,38を外向きに形成したものであり、前記杆体37の両端部を前記アジャスター4の係止片13と、アジャスター4に取付けた係止金具14の係止板27に載置するとともに、タッピンネジ39,39を杆体37の通孔40,40に通してそれぞれ係止片13の孔22と係止板27の孔32に螺合する。
【0031】
間仕切装置を施工する場合、前記支柱3の下端部に前記アジャスター4を装着した状態で、未施工側に前記支柱3の開口17とアジャスター4の縦長開口15を向けて前記地レール1と天レール2間に立設し、隣接する一方のアジャスター4の係止片13と他方のアジャスター4に取付けた係止金具14の係止板27に、前述のように前記パネル支持体7の両端部を連結する。前記パネル支持体7を隣接するアジャスター4,4間にわたって連結することにより、支柱3,3の間隔は正確に規定される。そして、両支柱3,3の表裏両面に前記係止具9,…を用いて前記パネル板6の裏面両側部を係止するとともに、該パネル板6の下端を前記パネル支持体7の受板38に載支する。ここで、前記パネル板6を支柱3,3に取付ける前、あるいは取付けた後に、支柱3の高さを調節する必要がある場合には、前記アジャスター4の縦長開口15から回転工具Dを挿入し、前記アジャスターボルト11の上端の係合部16に係合させて、該アジャスターボルト11を回転させて高さを微調節することができる。この支柱3の立設と、パネル支持体7の連結と、パネル板6の取付作業を、前記地レール1と天レール2に沿って順次行うのである。尚、前記パネル板6の支柱3への取付けは、全ての支柱3,…を、その間隔と高さを正確に調節して立設した後に、最後に行ってもよい。
【0032】
図9及び
図10は、隣接する支柱3,3間にドア枠8を設ける場合を示している。前記ドア枠8は、縦枠41と上横枠42とからなっている。前記ドア枠8を設ける位置の両支柱3,3は、前記側面板36を設けた側が間口に面するように地レール1と天レール2間に立設する。ここで、前記地レール1は、ドア枠8を設ける空間には設けずに、床面のままとする。そして、間口左側(
図9の左側)の支柱3に対しては、前記縦枠41の一側部を前記支柱3に外嵌した状態で、間口側から該縦枠41を貫通させた固定ネジ43,…を支柱3の側面板36に螺合して取付ける。一方、間口右側(
図9の右側)の支柱3に対しては、前記縦枠41の一側部を前記支柱3に外嵌した状態で、前記支柱3の開口17から側面板36を貫通させた短い固定ネジ44,…を前記縦枠41の内部補強45,…に螺合して取付ける。ここで、左側の縦枠41も内部補強46,…が存在する位置で前記固定ネジ43を貫通させて支柱3にネジ止めする。そして、両縦枠41,41の上端間に上横枠42を上方から嵌合して、連結ネジ47,47で前記縦枠41,41に連結して、ドア枠8を形成する。一方の縦枠41の下端部とその直上の上横枠42の下面には、ヒンジ部材48,49を設け、図示しないドアパネルを開閉可能に支持できるようになっている。
【0033】
この場合、前記支柱3の前記ドア枠8を設ける間口に面する側には、前記縦枠41を該支柱3に取付けるのに邪魔であれば、前記アジャスター4に係止金具14を取付けず、また前記係止金具14を積極的に利用して前記縦枠41を支持する構造の場合には前記アジャスター4に係止金具14を取付けて置けば良く、施工性や縦枠41の構造に応じて選択することができる。本実施形態では、前記係止金具14をアジャスター4に取付けていても、前記縦枠41に干渉しないので、該係止金具14を取付けたまま使用している。このような施工性における自由度は、前記アジャスター4の受け部材10の一側面に、前記係止金具14を着脱可能としたことによる。
【0034】
前記支柱3の一側面側に前記パネル板6を支持するパネル支持体7以外の他の構成部材、例えば壁面に固定する壁面レールや戸当り枠材、二重ガラスの枠体等が位置する場合で、アジャスター4の受け部材10の側面に突起部があると干渉するような場合には、その側に前記係止金具14を取付けてない側面を向けることにより、干渉を防ぐことができる。そのような場合、従来は係止片13を切り落としたり、曲げたりして対処していたが、本発明では前記係止金具14を着脱自在としたことで、アジャスター4の設置位置に応じて係止金具14の要否を選択し、またアジャスター4の向きを変えることで容易に対応できるのである。
【符号の説明】
【0035】
1 地レール、 2 天レール、
3 支柱、 4 アジャスター、
5 天支持金具、 6 パネル板、
7 パネル支持体、 8 ドア枠、
9 係止具、 10 受け部材、
11 アジャスターボルト、12 底面板、
13 係止片、 14 係止金具、
15 縦長開口、 16 係合部、
17 開口、 18 側面部、
19 側面部、 20 突片、
21 螺孔、 22 孔、
23 拡幅部、 24 ダボ、
25 スリット孔、 26 下穴、
27 係止板、 28 取付板、
29 係合片、 30 通孔、
31 タッピンネジ、 32 孔、
33 当止片、 34 本体杆、
35 補強片、 36 側面板、
37 杆体、 38 受板、
39 タッピンネジ、 40 通孔、
41 縦枠、 42 上横枠、
43 固定ネジ、 44 固定ネジ、
45 内部補強、 46 内部補強、
47 連結ネジ、 48 ヒンジ部材、
49 ヒンジ部材、
D 回転工具。