(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772687
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】電力伝送システム、その送電装置及び受電装置、並びに充電設備及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H02J 17/00 20060101AFI20150813BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
H02J17/00 B
H02J17/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-85326(P2012-85326)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-215066(P2013-215066A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】村山 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】前川 祐司
(72)【発明者】
【氏名】高津 裕二
(72)【発明者】
【氏名】道家 和隆
【審査官】
田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/127449(WO,A2)
【文献】
特開2010−252468(JP,A)
【文献】
特開2004−153879(JP,A)
【文献】
特開2011−120443(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0109263(US,A1)
【文献】
特開2011−066985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00−7/12、7/34−7/36、17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される交流電力或いは直流電力を交流電力に変換して伝送路を介して送電する送電装置と、前記伝送路を介して前記交流電力を受電する受電装置とを備えた電力伝送システムにおいて、
前記受電装置は、
前記伝送路を介して受電した前記交流電力を整流して直流電力に変換する整流器と、
前記整流器から出力される直流電力の直流変換を行う直流変換器と、
前記直流変換器の入力電圧に基づいて前記直流変換器の入力インピーダンスが設定値となる電流指令値を算出し、前記直流変換器の入力電流が前記電流指令値と一致するように前記直流変換器を制御する受電側制御装置と、
を備え、
前記送電装置は、
前記供給される交流電力或いは直流電力を交流電力に変換する交流変換器と、
前記交流変換器による前記交流電力の増幅度を制御する送電側制御装置と、
を備え、
前記受電側制御装置は、前記電流指令値を前記送電側制御装置へ送信し、
前記送電側制御装置は、前記受電側制御装置から受信した前記電流指令値に基づいて、前記直流変換器の入力電力が一定となるように前記交流変換器による前記交流電力の増幅度を制御することを特徴とする電力伝送システム。
【請求項2】
前記送電装置は、前記伝送路として空間伝送路を介して前記交流電力を磁界共鳴方式により無線送電するための送電側共振器を備え、
前記受電装置は、前記空間伝送路を介して前記送電側共振器から前記交流電力を無線受電するための受電側共振器を備えることを特徴とする請求項1に記載の電力伝送システム。
【請求項3】
前記送電装置と前記受電装置との間で双方向の電力伝送が可能な請求項1または2に記載の電力伝送システム。
【請求項4】
所定の電源から供給される電力を制御して交流電力を出力するアンプと、
前記アンプから入力される前記交流電力を、受電装置に伝送する共振器と、
受電装置から送信された電流指令値を受信するアンテナと、
前記アンテナが受信した前記電流指令値に基づいて、前記アンプが出力する前記交流電力の増幅度を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記電流指令値に基づいて、前記受電装置に設けられた直流電力の変換器への入力電力が一定となるように、前記アンプが出力する前記交流電力の増幅度を制御する電力伝送システムの送電装置。
【請求項5】
前記共振器は、磁界共鳴方式により前記受電装置に前記アンプから入力される前記交流電力を伝送することを特徴とする請求項4に記載の電力伝送システムの送電装置。
【請求項6】
請求項4に記載された電力伝送システムの送電装置を含むことを特徴とする駐車場に設置された充電設備。
【請求項7】
送電装置から伝送された交流電力を受ける共振器と、
前記共振器と接続され、交流電力を直流電力に変換する整流器と、
前記直流電力の直流変換を行って出力する変換器と、
前記変換器に入力される入力電圧に基づき前記変換器の入力インピーダンスが所定の値となる電流指令値を算出し、前記電流指令値に基づいて前記変換器を制御する一方、前記電流指令値を前記送電装置に送信する機能を有する制御装置と、
を有する電力伝送システムの受電装置。
【請求項8】
前記制御装置が出力する前記電流指令値を前記送電装置に向けて送信するアンテナをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の電力伝送システムの受電装置。
【請求項9】
前記制御装置は、近距離無線通信規格を用いて前記電流指令値を前記送電装置に送信する機能を有することを特徴とする請求項7に記載の電力伝送システムの受電装置。
【請求項10】
前記共振器は、磁界共鳴方式により前記送電装置から交流電力を受けることを特徴とする請求項7に記載の電力伝送システムの受電装置。
【請求項11】
請求項7に記載の電力伝送システムの受電装置と、
前記変換器と接続されたバッテリと、
を備えることを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力伝送システム
、その送電装置及び受電装置、並びに充電設備及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から非接触給電方式として、電磁誘導方式、電波受信方式、電界結合方式及び磁界共鳴方式等が知られている。これらの方式の内、磁界共鳴方式とは、送電装置側と受電装置側に、コイルとコンデンサからなるLC共振回路を設け、両回路間で磁界を共鳴させてワイヤレスで電力を伝送する技術である(下記特許文献1参照)。
この磁界共鳴方式は、広く実用化されている電磁誘導方式と比べて、弱い磁界で高効率且つ長距離の電力伝送を実現できるという特徴があり、携帯端末や電気自動車等の充電に利用可能な次世代のワイヤレス電力伝送技術として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−147271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電方式の電力伝送システムは、交流電源から供給される交流電力を空間伝送路を介して無線送電する送電装置と、前記空間伝送路を介して交流電力を無線受電する受電装置とから構成され、前記受電装置は、受電した交流電力を整流して直流電力に変換する整流器と、その整流器から出力される直流電力の直流変換を行う充電器(例えばDC/DCコンバータ)とを備える場合がある。
【0005】
上記DC/DCコンバータの出力をバッテリ等の蓄電器の充電に利用する場合、電力伝送効率の観点から充電期間中におけるDC/DCコンバータの入力インピーダンスが一定であることが望ましいが、過渡時(充電開始時及び停止時)における入力電流の変動に伴って入力インピーダンスも変動するため、入力インピーダンスの整合(マッチング)がとれなくなって電力伝送効率が低下するという問題がある。
また、入力インピーダンスのマッチングがとれなくなると、各構成素子に過度の電気的ストレスが発生して破損する可能性がある。また、本来とることができる電力に及ばなくなる。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、電力伝送効率の向上を実現すると共に構成素子の破損を回避可能な電力伝送システム
、その送電装置及び受電装置、並びに充電設備及び電気自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、電力伝送システムに係る第1の解決手段として、供給される交流電力或いは直流電力を交流電力に変換して伝送路を介して送電する送電装置と、前記伝送路を介して前記交流電力を受電する受電装置とを備えた電力伝送システムにおいて、前記受電装置は、前記伝送路を介して受電した前記交流電力を整流して直流電力に変換する整流器と、前記整流器から出力される直流電力の直流変換を行う直流変換器と、前記直流変換器の入力電圧に基づいて前記直流変換器の入力インピーダンスが設定値となる電流指令値を算出し、前記直流変換器の入力電流が前記電流指令値と一致するように前記直流変換器を制御する受電側制御装置とを備える、という手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、電力伝送システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記送電装置は、前記供給される交流電力或いは直流電力を交流電力に変換する交流変換器と、前記増幅器による前記交流電力の増幅度を制御する送電側制御装置とを備え、前記受電側制御装置は、前記電流指令値を前記送電側制御装置へ送信し、前記送電側制御装置は、前記受信側制御装置から受信した前記電流指令値に基づいて、前記直流変換器の入力電力が一定となるように前記増幅器による前記交流電力の増幅度を制御する、という手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、電力伝送システムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記送電装置は、前記伝送路として空間伝送路を介して前記交流電力を磁界共鳴方式により無線送電するための送電側共振器を備え、前記受電装置は、前記空間伝送路を介して前記送電側共振器から前記交流電力を無線受電するための受電側共振器を備える、という手段を採用する。
また、本発明では、電力伝送システムに係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、前記送電装置と前記受電装置との間で双方向の電力伝送が可能である、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受電装置側に設けられた直流変換器の入力インピーダンスが、直流変換器の動作期間中(電力変換器の出力開始時及び停止時の過渡時も含む)に一定に維持されるので、入力インピーダンスのマッチングが常にとれた状態となり、従来と比較して電力伝送効率の向上を実現できると共に構成素子の破損を回避することができる。また、最大の電力ポイントを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る電力伝送システムAの概略構成図である。
【
図2】充電期間中におけるDC/DCコンバータ23の入力電圧、入力電流及び入力インピーダンスのプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る電力伝送システムAの概略構成図である。この図に示すように、本実施形態に係る電力伝送システムAは、例えば駐車場等の所定位置に設置された充電設備100から電気自動車200へ充電用電力(交流電力)を空間伝送路300を介して無線伝送する非接触給電方式の電力伝送システムであり、充電設備100側に搭載された送電装置10と、電気自動車200側に搭載された受電装置20とから構成されている。
【0013】
送電装置10は、同じく充電設備100側に設けられた交流電源30(例えば単相200V、周波数50或いは60Hzの商用電源)から供給される交流電力を空間伝送路300を介して無線送電するものであり、アンプ11及び送電側共振器12を備えている。
【0014】
アンプ11は、交流電源30から供給される交流電力の交流/交流変換を行い、これによって得られた交流電力を送電側共振器12へ出力する交流変換器である。詳細には、このアンプ11は、交流電源30から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路11aと、この整流回路11aから出力される直流電力を所定電圧及び所定周波数を有する交流電力に変換して送電側共振器12へ出力するインバータ11bと、このインバータ11bを構成するMOS−FET等のスイッチング素子を制御する送電側制御装置11cを備えている。
【0015】
送電側制御装置11cは、上記インバータ11bを構成するスイッチング素子を制御することで、上記インバータ11bから出力される交流電力の電圧及び周波数を制御する。つまり、送電側制御装置11cは、上記インバータ11bを構成するスイッチング素子の制御によって、アンプ11による交流電力の増幅度を制御する。また、この送電側制御装置11cは、アンテナ11dを備えており、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格を用いて後述の受電側制御装置23cと無線通信を行う機能を有している。
【0016】
送電側共振器12は、アンプ11から入力される交流電力を空間伝送路300を介して磁界共鳴方式により無線送電するための螺旋状に巻かれたコイルとコンデンサとからなるLC共振回路である。なお、送電側共振器12を構成するためのコンデンサとして、コイルの寄生容量を利用しても良いし、或いはコンデンサ素子を別に設けても良い。
【0017】
受電装置20は、空間伝送路200を介して送電装置10から無線送電された交流電力を無線受電し、その受電した交流電力を充電用の直流電力に変換して電気自動車200側に搭載された例えばリチウムイオン電池等のバッテリ40へ供給するものであり、受電側共振器21、整流器22及びDC/DCコンバータ23を備えている。
【0018】
受電側共振器21は、空間伝送路300を介して送電側共振器12から交流電力を無線受電するための螺旋状に巻かれたコイルとコンデンサとからなるLC共振回路である。送電装置10と受電装置20の両方の共振器12、21の共振周波数が等しくなるように回路定数を設定すれば、送電側共振器12と受電側共振器21との間に磁界共鳴を発生させることができる。
【0019】
磁界共鳴が発生すると、アンプ11から出力される交流電力は送電側共振器12によって磁気エネルギーに変換されて無線送電され、その磁気エネルギーは受電側共振器21によって交流電力に再変換される。受電側共振器21から得られた交流電力は、後段に設けられた整流器22へ出力される。整流器22は、受電側共振器21から入力される交流電力を整流して直流電力に変換し、その得られた直流電力をDC/DCコンバータ23へ出力する。
【0020】
DC/DCコンバータ23は、整流器22から入力される直流電力の直流変換(DC/DC変換)を行い、その直流変換によって得られる直流電力を充電用直流電力としてバッテリ40へ出力する。詳細には、このDC/DCコンバータ23は、整流器22から入力される直流電力をMOS−FET等のスイッチング素子のオンオフ動作によって降圧するスイッチング回路23aと、上記スイッチング素子をオンオフさせるためのゲート信号を生成するゲート駆動回路23bと、ゲート駆動回路23bを介してスイッチング回路23aのスイッチング素子を制御する受電側制御装置23cとを備えている。
【0021】
受電側制御装置23cは、DC/DCコンバータ23の入力電圧をモニタし、その入力電圧に基づいてDC/DCコンバータ23の入力インピーダンスが設定値となる電流指令値を算出し、DC/DCコンバータ23の入力電流が上記電流指令値と一致するように、スイッチング回路23aのスイッチング素子を制御する。また、この受電側制御装置23cは、アンテナ23dを備えており、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格を用いて上記の送電側制御装置11cと無線通信を行う機能を有している。
【0022】
受電側制御装置23cは、上記のように算出した電流指令値をアンテナ23dを介して送電側制御装置11cへ送信する機能を有し、送電側制御装置11cは、アンテナ11dを介して受信側制御装置23cから受信した上記電流指令値に基づいて、DC/DCコンバータ23の入力電力が一定となるように、アンプ11による交流電力の増幅度を制御する機能を有している。
【0023】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る電力伝送システムAの動作について詳細に説明する。
まず、充電設備100の設置位置の近くに電気自動車200が停車すると、送電装置10の送電側制御装置11cは、インバータ11bを構成するスイッチング素子の制御を開始し、上記インバータ11bから出力される交流電力の電圧及び周波数を所定の値に制御する。ここで、送電側制御装置11cは、送電側共振器12の共振周波数と一致する周波数の交流電力がインバータ11bから出力されるように制御を行う。
【0024】
これにより、送電装置10側において、磁界共鳴方式による電力伝送に適した電圧及び周波数の交流電力がアンプ11(インバータ11b)から送電側共振器12に出力され、送電側共振器12と受電側共振器21との間で磁界共鳴が発生する。磁界共鳴が発生すると、アンプ11から出力された交流電力は送電側共振器12から受電側共振器21へ伝送(無線送電)される。そして、受電装置20側において、受電側共振器21にて受電された交流電力は、整流器22によって直流電力に変換されてDC/DCコンバータ23へ入力される。
【0025】
受電装置20の受電側制御装置23cは、DC/DCコンバータ23の入力電圧(スイッチング回路23aの入力電圧)をモニタし、その入力電圧に基づいてDC/DCコンバータ23の入力インピーダンスが設定値となる電流指令値を算出する。例えば、DC/DCコンバータ23の入力電圧をV、入力インピーダンスの設定値をZ(例えば45Ω)、電流指令値をIとすると、電流指令値Iは下記(1)式にて算出できる。
I = V/Z ・・・(1)
【0026】
そして、受電側制御装置23cは、DC/DCコンバータ23の入力電流(スイッチング回路23aの入力電流)が上記電流指令値Iと一致するように、スイッチング回路23aのスイッチング素子の制御を開始する。なお、DC/DCコンバータ23の入力電流をモニタし、この入力電流が電流指令値Iと一致するように、スイッチング回路23aのスイッチング素子をフィードバック制御することが望ましい。
【0027】
これにより、DC/DCコンバータ23が動作を開始し、電流指令値Iと一致する入力電流が流れ、DC/DCコンバータ23の入力インピーダンスは設定値Zに保持されると共に、DC/DCコンバータ23から出力される直流電力によってバッテリ40が充電され始める。
【0028】
以降、受電側制御装置23cは、バッテリ40の充電が完了するまで、一定の制御周期でDC/DCコンバータ23の入力電圧Vをモニタし、その都度、入力電圧Vに基づいてDC/DCコンバータ23の入力インピーダンスが設定値Zとなる電流指令値Iを算出し、DC/DCコンバータ23の入力電流が上記電流指令値Iと一致するように、スイッチング回路23aを制御する。
【0029】
図2(a)は、バッテリ40の充電期間中、つまりDC/DCコンバータ23の動作期間中におけるDC/DCコンバータ23の入力電圧、入力電流及び入力インピーダンスのプロファイルを示す模式図である。
図2(b)は、従来技術におけるDC/DCコンバータの入力電圧、入力電流及び入力インピーダンスのプロファイルを示す模式図である。
【0030】
これらの図に示すように、従来技術では、充電期間中におけるDC/DCコンバータの入力インピーダンスが変動するのに対し、本実施形態では、充電期間中(充電開始時及び停止時の過渡時も含む)に、DC/DCコンバータ23の入力インピーダンスが一定(設定値Z)に維持されて、入力インピーダンスのマッチングが常にとれた状態となることがわかる。
【0031】
また、DC/DCコンバータ23の入力電力Wは、入力電圧V×入力電流I(=電流指令値)で表されるが、電流指令値Iの値によっては、この入力電力Wが必ずしもDC/DCコンバータ23の規格値に一致するとは限らない。DC/DCコンバータ23における電力変換効率を良好に維持するためにも、DC/DCコンバータ23の入力電力Wは可能な限り規格値に近づけることが望ましい。
【0032】
そこで、本実施形態において、送電側制御装置11cは、DC/DCコンバータ23の入力電力Wが一定(規格値)となるように、アンプ11による交流電力の増幅度を制御する。つまり、送電側制御装置11cは、DC/DCコンバータ23の入力電力Wが規格値となるようにインバータ11bから出力される交流電力の電圧を制御する。これにより、DC/DCコンバータ23の入力電圧Vが変化して、DC/DCコンバータ23の入力電力Wが規格値と一致する。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、バッテリ40の充電期間中、つまりDC/DCコンバータ23の動作期間中(出力開始時(充電開始時)及び出力停止時(充電停止時)の過渡時も含む)において、受電装置20側に設けられたDC/DCコンバータ23の入力インピーダンスが一定に維持されるので、入力インピーダンスのマッチングが常にとれた状態となり、従来技術と比較して電力伝送効率の向上を実現できると共に構成素子の破損を回避することができる。なお、本実施形態によれば、定常時の温度変化によるLC回路の定数変化が生じた場合でも、DC/DCコンバータ23の入力インピーダンスを一定に維持することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態では、充電設備100から電気自動車200へ充電用電力(交流電力)を空間伝送路300を介して無線伝送する非接触給電方式の電力伝送システムAを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、携帯端末に対し非接触給電方式で電力伝送して、携帯端末のバッテリを充電するような電力伝送システムにも本発明を適用することができる。
【0035】
(2)上記実施形態では、磁界共鳴方式を利用して送電装置10と受電装置20との間で電力伝送を行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、磁界共鳴方式以外の非接触給電方式(例えば電磁誘導方式など)を利用しても良い。
【0036】
(3)上記実施形態では、送電装置10と受電装置20との間で空間伝送路300を介して交流電力を無線伝送する非接触給電方式の電力伝送システムAを例示したが、本発明はこれに限定されず、送電装置と受電装置との間で有線伝送路を介して交流電力を有線伝送する電力伝送システムにも本発明を適用することができる。
【0037】
(4)アンプ11には必要に応じてPFCを設けても良い。また、上記実施形態では、充電設備100側に設けられた電源が交流電源30である場合を例示したが、この電源が直流電源である場合、つまり電源から送電装置10に直流電力が供給される場合には、アンプ11から整流回路11aを削除すれば良い。また、電源以外から交流電力或いは直流電力が供給されるシステム構成としても良い。また、送電装置10と受電装置20との間で双方向の電力伝送が可能な構成としても良い。
【符号の説明】
【0038】
A…電力伝送システム、10…送電装置、11…アンプ(交流変換器)、11c…送電側制御装置、12…送電側共振器、20…受電装置、21…受電側共振器、22…整流器、23…DC/DCコンバータ(直流変換器)、23c…受電側制御装置、30…交流電源、40…バッテリ、100…充電設備、200…電気自動車、300…空間伝送路