(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772689
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】空気調和装置用エアフィルターおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20150813BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
B01D46/10 A
F24F1/00 371A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-86198(P2012-86198)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-215641(P2013-215641A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】松木 義孝
【審査官】
長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−086227(JP,U)
【文献】
実開平06−069635(JP,U)
【文献】
特開2002−085925(JP,A)
【文献】
特開平08−229327(JP,A)
【文献】
特開平07−024235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00−46/54
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中のホコリ等を捕集するフィルター材(2)と、その外周部を保持する外枠材(3)とを有する空気調和装置用エアフィルター(1)であって、
上記外枠材(3)には、その長手方向中央部に区画部(4)が設けられるとともに、該区画部(4)を挟んでその両側方に第1外枠体(5)および第2外枠体(6)が配設され、
上記第1,第2外枠体(5),(6)には、フィルター材(2)の外周面が接合される周壁(8)が設けられ、
上記区画部(4)には、フィルター材(2)の外周面が接合される一対の周壁(8),(8)が配設されるとともに、前記フィルター材(2)の厚み方向における該周壁(8),(8)の一方端を一体に連結する連結部(10)が設けられ、
前記区画部(4)は、前記連結部(10)をヒンジ部として第1の状態と第2の状態とに変位可能に構成され、
前記第1の状態は、前記一対の周壁(8),(8)が相対向して前記外枠材(3)が展開された状態であり、
前記第2の状態は、前記一対の周壁(8),(8)が前記連結部(10)を挟むように一列となって前記外枠材(3)が折畳まれた状態である空気調和装置用エアフィルター。
【請求項2】
前記第1,第2外枠体(5),(6)は、一対の周壁(8),(8)を連結部(10)によって連結した構成の外枠用素材(13)において、前記区画部(4)に位置する部分を除いた前記連結部(10)の一部が切断されて遊離状態となった前記一対の周壁(8),(8)をそれぞれ折り曲げることにより形成されている請求項1に記載の空気調和装置用エアフィルター。
【請求項3】
上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)は、上記周壁(8)と一体に連設された側壁(9)を有し、該側壁(9)に上記フィルター材(2)の周縁部表面が接合されたことを特徴とする請求項1また2に記載の空気調和装置用エアフィルター。
【請求項4】
上記側壁(9)には、第1,第2外枠体(5),(6)のコーナ部となる部位にV字状の切欠き(14)が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置用エアフィルター。
【請求項5】
空気中のホコリ等を捕集するフィルター材(2)と、その外周部を保持する外枠材(3)とを有し、該外枠材(3)の長手方向中央部に区画部(4)が設けられるとともに、該区画部(4)を挟んでその左右に第1外枠体(5)および第2外枠体(6)が配設された空気調和装置用エアフィルターの製造方法であって、
上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)を構成する一対の周壁(8),(8)が相対向して設置されるとともに、両周壁(8),(8)の一部を一体に連結する連結部(10)を備えた外枠用素材(13)を成形する外枠用素材成形工程と、
該外枠用素材(13)の連結部(10)を、上記区画部(4)に位置する部分を除いて切断する連結部切断工程と、
該連結部(10)が切断されて遊離状態となった外枠用素材(13)をそれぞれ折り曲げることにより上記区画部(4)を挟んでその両側方に第1,第2外枠体(5),(6)が配設された外枠材(3)を形成する外枠材形成工程と、
上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)の周壁(8)にフィルター材(2)の周面部を接合するフィルター材接合工程とを備えたことを特徴とする空気調和装置用エアフィルターの製造方法。
【請求項6】
外枠用素材成形工程で、上記相対向する周壁(8),(8)の間に切断工具(11)を挿入可能な隙間(12)が設けられた外枠用素材(13)を形成することを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置用エアフィルターの製造方法。
【請求項7】
外枠用素材成形工程で、上記相対向する両周壁(8),(8)の間に先拡がりの隙間(12)が設けられた外枠用素材(13)を形成することを特徴とする請求項6に記載の空気調和装置用エアフィルターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に取り付けられて空気を清浄にする空気調和装置用エアフィルターおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1およびに示されるように、臭気ダクトの側面に設けた開口部から臭気ダクト内に抜き差し自在に挿入されるエアフィルターにおいて、臭気ダクトの上流側から吸い込まれる空気中のホコリを捕集するフィルター材(集塵部)の外周部を外枠体に保持させたものが知られている。上記エアフィルターを製造するには、例えば
図12に示すように、所定の厚みを有する不織布をエアフィルターの設置部に対応した大きさに裁断することによりフィルター材51を形成するとともに、該フィルター材51の外周長に対応した長尺の外枠用素材52を合成樹脂材により形成する。そして、該外枠用素材52を折り曲げてその端部を接着することにより矩形の外枠体を形成した後、該外枠体の内壁面に上記フィルター材51の外周面を接着する等により、適度の保形性を有するエアフィルターを製造することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように長尺の外枠用素材52を矩形に折り曲げることにより外枠体を形成した場合には、
図13に示すように、別体に成形された4本の外枠用素材53〜56の端部を互いに接着することにより外枠材を形成した場合に比べて接着個所を少なくすることができるため、該接着個所が剥離することに起因した破損が生じ難く、エアフィルターの保形性を安定して維持できるという利点がある。その反面、エアフィルターが大型化するのに応じ、その外周部に対応して外枠用素材52が極めて長尺になることが避けられず、その取り扱いが煩雑であるとともに製造コストが高く付く等の問題があった。
【0005】
また、
図14に示すように、外枠材57の横方向寸法Xが縦方向寸法Yに比べて著しく大きく設定された横長のエアフィルターでは、上記外枠材57に対するフィルター材51の接着部が剥離し易く、その保形性を長期間に亘り維持することが困難である。特に、上記のような横長のエアフィルターを容易に取り扱い得るようにするため、例えば
図15に示すように、上記外枠材57の長手方向中央部に位置する周壁58にV字状の切欠き59を形成し、該切欠き59の設置部を基点として外枠材57の側壁60を屈曲変位させるように構成した場合には、上記エアフィルターを折畳んだり、展開したりする操作が繰り返されることにより、上記外枠材57の長手方向中央部に対するフィルター材51の接着部が剥離し易いという問題があった。
【0006】
なお、
図16に示すように、フィルター材51の表面を覆う左右一対の補強プレート61をエアフィルターの長手方向中央部に設置し、あるいは所定幅を有する左右一対のホットメルト接着剤層を形成する等により、エアフィルターの折畳みおよび展開操作を繰り返しても、外枠材57に対するフィルター材51の接着部が剥離しないように構成することも考えられる。しかし、上記フィルター材51および外枠材57によりエアフィルターを形成した後に、上記補強プレート61またはホットメルト接着剤層を設けるように構成した場合には、エアフィルターの構造が複雑になって製造コストがさらに高くなる等の問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で優れた保形性を有する空気調和装置用エアフィルターおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気中のホコリ等を捕集するフィルター材(2)と、その外周部を保持する外枠材(3)とを有する空気調和装置用エアフィルター(1)であって、上記外枠材(3)には、その長手方向中央部に区画部(4)が設けられるとともに、該区画部(4)を挟んでその両側方に第1外枠体(5)および第2外枠体(6)が配設され、上記第1,第2外枠体(5),(6)には、フィルター材(2)の外周面が接合される周壁(8)が設けられ、上記区画部(4)には、フィルター材(2)の外周面が接合される一対の周壁(8),(8)
が配設されるとともに、
前記フィルター材(2)の厚み方向における該周壁(8),(8)の
一方端を一体に連結する連結部(10)が設けられ
、前記区画部(4)は、前記連結部(10)をヒンジ部として第1の状態と第2の状態とに変位可能に構成され、前記第1の状態は、前記一対の周壁(8),(8)が相対向して前記外枠材(3)が展開された状態であり、前記第2の状態は、前記一対の周壁(8),(8)が前記連結部(10)を挟むように一列となって前記外枠材(3)が折畳まれた状態であるものである。
【0009】
上記構成によれば、外枠材(3)の区画部(4)に空気調和装置用エアフィルター(1)の長手方向中央部を補強する機能と、上記フィルター材(2)の外周部を保持する外枠材(3)として機能とを兼ね備えさせることができため、簡単な構成で優れた保形性を有する横長形状の空気調和装置用エアフィルター(1)を形成できるとともに、上記第1,第2外枠体(5),(6)からフィルター材(2)が離脱するのを効果的に防止できるという利点がある。
【0010】
上記空気調和装置用エアフィルター(1)において、上記区画部(4)に設けられた連結部(10)をヒンジ部として第1,第2外枠体(5),(6)を揺動変位させることにより該第1,第2外枠体(5),(6)に保持されたフィルター材(2)を展開状態と折畳み状態とに変位可能に構成することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、上記空気調和装置用エアフィルター(1)の不使用時には、これをコンパクトに折畳んだ状態でその保管および搬送等を容易に行うことができるとともに、上記空気調和装置用エアフィルター(1)の使用時には、これを所定長さに展開した状態で適正に設置できるという利点がある。しかも、上記区画部(4)の周壁部(8),(8)間にヒンジ部となる連結部(10)を設けるとともに、該区画部(4)の周壁(8),(8)にフィルター材(2)の外周面を接合したため、上記連結部(10)をヒンジ部として第1,第2外枠体(5),(6)を揺動変位させることにより空気調和装置用エアフィルター(1)の折畳みおよび展開操作を繰り返しても、上記外枠材(3)に対するフィルター材(2)の接着部が剥離するのを効果的に防止し、その保形性を安定して維持することができる。
【0012】
上記空気調和装置用エアフィルター(1)において、上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)に、上記周壁(8)と一体に連設された側壁(9)を設け、該側壁(9)に上記フィルター材(2)の周縁部表面を接合した構造とすることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)の側壁(9)に上記フィルター材(2)の周縁部表面を接合することにより、上記空気調和装置用エアフィルター(1)の保形性をさらに効果的に安定させることができるとともに、上記外枠材(3)からフィルター材(2)が離脱するのを確実に抑制できるという利点がある。
【0014】
上記空気調和装置用エアフィルター(1)において、上記側壁(9)に、第1,第2外枠体(5),(6)のコーナ部となる部位にV字状の切欠き(14)を形成することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、外枠材(3)を構成する外枠用素材(13)を折り曲げて第1,第2外枠体(5),(6)を形成する際に、上記切欠き(14)を基点として外枠用素材(13)の折り曲げ操作を容易に行うことができるとともに、上記第1,第2外枠体(5),(6)を形成した後、上記切欠き(14)の端面同士を当接させた状態でホットメルト接着剤等によって接合することにより、上記側壁(9)が矩形状に連結された外枠材(3)を容易かつ適正に成形することができる。
【0016】
また、本発明は、空気中のホコリ等を捕集するフィルター材(2)と、その外周部を保持する外枠材(3)とを有し、該外枠材(3)の長手方向中央部に区画部(4)が設けられるとともに、該区画部(4)を挟んでその左右に第1外枠体(5)および第2外枠体(6)が配設された空気調和装置用エアフィルター(1)の製造方法であって、上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)を構成する一対の周壁(8),(8)が相対向して設置されるとともに、両周壁(8),(8)の一部を一体に連結する連結部(10)を備えた外枠用素材(13)を成形する外枠用素材成形工程と、該外枠用素材(13)の連結部(10)を、上記区画部(4)に位置する部分を除いて切断する連結部切断工程と、該連結部(10)が切断されて遊離状態となった外枠用素材(13)をそれぞれ折り曲げることにより上記区画部(4)を挟んでその両側方に第1,第2外枠体(5),(6)が配設された外枠材(3)を形成する外枠材形成工程と、上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)の周壁(8)にフィルター材(2)の周面部を接合するフィルター材接合工程とを備えたものである。
【0017】
上記構成によれば、上記外枠用素材成形工程で外枠用素材(13)を成形する際に、上記区画部(4)および第1,第2外枠体(5),(6)を構成する一対の周壁(8),(8)を一体に形成できるとともに、上記連結部切断工程および外枠材形成工程で外枠用素材(13)に設けられた連結部(10)の一部を切り離して外枠用素材(13)を折り曲げることにより、空気調和装置用エアフィルター(1)の長手方向中央部に位置する区画部(4)に、上記一対の周壁(8),(8)および上記連結部(10)等を備えた補強枠を容易に設置できるという利点がある。したがって、従来例のように別体に成形された4本の外枠用素材の端部を互いに接着することにより外枠材を形成したものや、フィルター材の外周部に対応した長尺の外枠用素材を用いて外枠体を形成するものに比べ、上記外枠用素材(13)の取り扱いを容易に行うことができ、かつ上記区画部(4)に設けられた周壁(8),(8)等からなる補強枠により空気調和装置用エアフィルター(1)を充分に補強して、上記外枠材(3)に対するフィルター材(2)の接着部が剥離するのを効果的に防止できる等の利点がある。
【0018】
上記空気調和装置用エアフィルターの製造方法において、外枠用素材成形工程で、上記相対向する周壁(8),(8)の間に切断工具(11)を挿入可能な隙間(12)が設けられた外枠用素材(13)を形成することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、相対向する周壁(8),(8)の間に形成された隙間(12)を案内部として利用することにより、上記連結部切断工程で、両周壁(8),(8)の間に切断工具(11)を容易かつ適正に挿入することができるとともに、該切断工具(11)を上記隙間(12)に沿ってスライド変位させることにより上記連結部(10)の必要個所を正確に切断することができる。
【0020】
上記空気調和装置用エアフィルターの製造方法において、外枠用素材成形工程で、上記相対向する両周壁(8),(8)の間に先拡がりの隙間(12)が設けられた外枠用素材(13)を形成することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、切断工具(11)により連結部(10)を切断する際に上記隙間(12)を利用することにより、切断工具(11)を適正位置に案内して上記連結部(10)を正確に切断することができるとともに、該連結部(10)の切断個所に不必要なバリ(17)が形成されるのを効果的に防止できるという利点がある。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で優れた保形性を有する空気調和装置用エアフィルターおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る空気調和装置用エアフィルターの実施形態を示す正面図である。
【
図3】空気調和装置用エアフィルターを折畳んだ状態を示す断面図である。
【
図4】空気調和装置にエアフィルターを取り付けた状態を示す説明図である。
【
図5】エアフィルターが取り付けられた空気調和装置の底面を上方に向けた状態を示す斜視図である。
【
図6】外枠用素材の具体的構造を示す斜視図である。
【
図10】外枠用素材の別の変形例を示す説明図である。
【
図11】本発明に係る空気調和装置用エアフィルターの製造方法の別の実施形態を示す説明図である。
【
図12】空気調和装置用エアフィルターの従来例を示す説明図である。
【
図13】空気調和装置用エアフィルターの別の従来例を示す説明図である。
【
図14】従来例に係る空気調和装置用エアフィルターの組立状態を示す説明図である。
【
図15】空気調和装置用エアフィルターのさらに別の従来例を示す説明図である。
【
図16】空気調和装置用エアフィルターのさらに別の従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2は、本発明に係る空気調和装置用エアフィルター1の実施形態を示している。該空気調和装置用エアフィルター1(以下、単にエアフィルター1という)は、空気中のホコリ等を捕集するフィルター材2と、その外周部を保持する外枠材3とを有している。上記外枠材3は、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはナイロン等の合成樹脂材により、横方向(
図1の左右方向)の寸法Xが縦方向(
図1の上下方向)の寸法Yよりも著しく大きな値に設定された横長形状に形成されている。
【0025】
上記外枠材3には、その長手方向中央部に区画部4が設けられるとともに、該区画部4を挟んでその両側方に第1外枠体5および第2外枠体6が配設されている。また、所定の厚みを有する不織布等を該第1,第2外枠体5,6に対応した大きさに裁断することにより形成されたフィルター材2が第1,第2外枠体5,6内にそれぞれ設置され、該フィルター材2の外周部が、区画部4の左右両側面部および第1,第2外枠体5,6の内周部にホットメルト接着剤7で接合されるように構成されている。
【0026】
上記第1,第2外枠体5,6は、
図2に示すように、フィルター材2の外周面が接合される周壁8と、フィルター材2の周縁部表面(周壁8の先端部側の壁面)が接合される側壁9とを有し、該側壁9が上記周壁8の先端部(
図2の上方側部)に連設されることにより断面L字状に形成されている。また、上記外枠材3の長手方向中央部に位置する区画部4には、左右一対の周壁8,8と側壁9,9とが設置されるとともに、両周壁8,8の幅方向の一部、具体的には、
図2の下方側部に位置する周壁8,8の基端部同士を一体に連結する連結部10が設けられている(
図6参照)。そして、該連結部10をヒンジ部として上記第1,第2外枠体5,6を揺動変位させることにより、該第1,第2外枠体5,6に保持されたフィルター材2を、
図1および
図2に示す展開状態から
図3に示す折畳み状態に移行可能に構成されている。
【0027】
上記エアフィルター1は、
図3に示すように折畳まれた状態で保管および搬送が行われるとともに、
図1および
図2に示すように展開された状態で空気調和装置の空気流路に設置されることにより使用されるものである。具体的には、
図4および
図5に示すように、外気吸込口からケース41内に吸引された室外空気OAを給気SAとして室内に供給するとともに、排気吸引口からケース41内に吸引された室内空気RAを排気EAとして室外に排出することにより換気を行うとともに、ケース41内に配設された第1,第2熱交換エレメント42,43により室外空気OAと室内空気RAとの間で熱交換を行う空気調和装置44等において、上記第1熱交換エレメント42の前面および第2熱交換エレメント43の底面を覆うように上記エアフィルター1がそれぞれ設置された状態で使用される。
【0028】
上記エアフィルター1の製造方法を以下に説明する。該エアフィルター1を製造するには、まず外枠用素材成形工程において、
図6に示すように、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6を構成する一対の周壁8,8と、その先端部に連設された側壁9と、相対向する周壁8,8の一部(基端部)を一体に連結する連結部10とを備えるとともに、相対向する周壁8の間に、カッターナイフ等からなる切断工具11を挿入可能な先拡がり(上広がり)の隙間12が設けられた所定長さの外枠用素材13を成形する。
【0029】
次に、連結部切断工程において、
図7および
図8に示すように、上記外枠用素材13の一端部側から上記隙間12に切断工具11を挿入し、該隙間12に沿って切断工具11を外枠用素材13の他端部側にスライド変位させることにより、上記区画部4に位置する部分を除いて外枠用素材13の連結部10を切断して上記相対向する一対の周壁8,8を遊離させる。なお、後述する外枠形成工程で外枠用素材13を折り曲げて第1,第2外枠体5,6を形成する際に該第1,第2外枠体5,6のコーナ部となる部位に位置する側壁9の折り曲げ方向内側部に、上記外枠用素材13の折り曲げ操作を容易化するためのV字状の切欠き14を、連結部切断工程または上記外枠用素材成形工程おいて形成する。
【0030】
そして、上記連結部10が切断されることにより遊離状態となった外枠用素材13の周壁8,8を、外枠材形成工程において左右一対のフィルター材2に対応した形状にそれぞれ折り曲げるとともに、その先端部を外枠用素材13の他端部(当実施形態では
図8の下方に位置する区画部4の下端部)にホットメルト接着剤等で接合する。これにより、上記区画部4を構成する周壁8,8の一端部と、第1,第2外枠体5,6を構成する周壁8の基端部とが連続し、かつ区画部4を構成する周壁8,8の基端部と、第1,第2外枠体5,6を構成する周壁8の先端部とが接着剤で接合された外枠材3が形成される。
【0031】
その後、フィルター材接合工程において、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6の周壁8に、フィルター材2の外周面をホットメルト接着剤7等で接合するとともに、区画部4および第1,第2外枠体5,6の側壁9に、フィルター材2の周縁部表面をホットメルト接着剤7等で接合する。これにより、
図1および
図2に示すように、空気中のホコリ等を捕集するフィルター材2と、その外周部を保持する外枠材3とからなるエアフィルター1が形成されることになる。
【0032】
上記のように空気中のホコリ等を捕集するフィルター材2と、その外周部を保持する外枠材3とを有するエアフィルター1において、上記外枠材3の長手方向中央部に区画部4を設けるとともに、該区画部4を挟んでその両側方に第1外枠体5と第2外枠体6とを配設し、該第1,第2外枠体5,6に、フィルター材2の外周面が接合される周壁8を設け、上記区画部4に、フィルター材2の外周面が接合される一対の周壁8,8を相対向させて設置するとともに、両周壁8,8の一部を一体に連結する連結部10を設けたため、上記外枠材3の横方向寸法Xが縦方向寸法Yよりも著しく大きな値に設定された横長形状に形成されたエアフィルター1であっても、簡単な構成でその保形性を安定して維持することができるという利点がある。
【0033】
すなわち、上記実施形態では、外枠材3の長手方向中央部に、相対向する一対の周壁8,8と該周壁8の先端部に連設された側壁9と両周壁8,8の基端部を一体に連結する連結部10とからなる区画部4を設けたため、該区画部4にエアフィルター1の長手方向中央部を補強する機能と、上記フィルター材2の外周部を保持する外枠材3として機能とを兼ね備えさせることができる。したがって、
図16に示す従来技術のように、フィルター材51を外枠材57に取り付けることによりエアフィルター50を形成した後、フィルター材51の長手方向中央部に別体の補強プレート61を設置し、あるいは所定幅のホットメルト接着剤層を形成する等の手段を講じることなく、優れた保形性を有する横長形状のエアフィルター1を形成できるとともに、上記第1,第2外枠体5,6からフィルター材2が離脱するのを効果的に防止できるという利点がある。
【0034】
また、上記実施形態では、区画部4に設けられた連結部10をヒンジ部として第1,第2外枠体5,6を揺動変位させることにより、該第1,第2外枠体5,6に保持されたフィルター材2を展開状態と折畳み状態とに変位可能に構成したため、上記エアフィルター1の不使用時には、これをコンパクトに折畳んだ状態でその保管および搬送等を容易に行うことができるとともに、上記エアフィルター1の使用時には、これを所定長さに展開した状態で、空気調和装置に対して適正に設置できるという利点がある。しかも、上記区画部4の周壁部8,8間にヒンジ部となる連結部10を設けるとともに、上記区画部4の周壁8および側壁9にフィルター材2の外周面および周縁部表面をそれぞれ接合することにより、エアフィルター1の長手方向中央部におけるフィルター材2の接合強度を充分に維持することができるように構成したため、上記連結部10をヒンジ部としてエアフィルター1の折畳みおよび展開操作を繰り返しても、上記外枠材3に対するフィルター材2の接着部が剥離するのを効果的に防止し、その保形性を安定して維持することができる。
【0035】
なお、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6に設けられた側壁9を省略した構造とすることも可能であるが、上記実施形態に示すように、区画部4および第1,第2外枠体5,6の周壁8に側壁9を一体に連設し、該側壁9に上記フィルター材2の周縁部表面を接合するように構成した場合には、上記エアフィルター1の保形性をより効果的に安定させることができるとともに、上記外枠材3からフィルター材2が離脱するのを確実に抑制できるという利点がある。
【0036】
さらに、上記実施形態では、第1,第2外枠体5,6のコーナ部となる部位に位置する側壁9にV字状の切欠き14を形成したため、上記外枠用素材13を折り曲げて第1,第2外枠体5,6を形成する際に、上記切欠き14を基点として外枠用素材13の折り曲げ操作を容易に行うことができる。さらに、上記第1,第2外枠体5,6を形成した後、上記切欠き14の端面同士を当接させた状態でホットメルト接着剤等によって接合することにより、上記側壁9が矩形状に連結された外枠材3を容易かつ適正に成形することができる。
【0037】
また、本発明に係るエアフィルター1の製造方法は、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6を構成する一対の周壁8,8と該周壁8,8の一部を一体に連結する連結部10とを備えた外枠用素材13を成形する外枠用素材成形工程と、第1,第2外枠体5,6の区画部4に位置する部分を除いて外枠用素材13の連結部10を切断する連結部切断工程と、該連結部10が切断されて遊離状態となった左右の外枠用素材13、つまり一対の周壁8,8等をそれぞれ折り曲げることにより上記区画部4を挟んでその両側方に第1,第2外枠体5,6が配設された外枠材3を形成する外枠材形成工程と、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6の周壁8および側壁9にフィルター材2の周面部を接合するフィルター材接合工程とを備えたものであり、上記外枠用素材成形工程で外枠用素材13を成形する際に、上記区画部4および第1,第2外枠体5,6を構成する一対の周壁8,8を一体に形成することができるとともに、上記連結部切断工程および外枠材形成工程で外枠用素材13に設けられた連結部10の一部を切り離して外枠用素材13を折り曲げることにより、エアフィルター1の長手方向中央部に位置する区画部4に、上記一対の周壁8,8とその先端部に連設された側壁9と両周壁8,8の基端部を一体に連結する連結部10とを備えた補強枠を容易に設置できるという利点がある。
【0038】
したがって、
図13に示す従来例のように、別体に成形された4本の外枠用素材53〜56の端部を互いに接着することにより外枠材を形成したものに比べ、外枠材3の接着個所を少なくして該接着個所が剥離することに起因した破損が生じるのを効果的に防止できるという利点がある。しかも、
図12に示すように、フィルター材51の外周部に対応した長尺の外枠用素材52を用いて外枠体を形成するものに比べ、上記外枠用素材13の全長を略半分に設定して取り扱いを容易化することができ、かつ上記長尺の外枠用素材52等を用いて外枠材57を形成した後、
図16に示すように、該外枠材57の長手方向中央部に補強プレート61あるいは所定幅のホットメルト接着剤層を設ける等の手段を講じることなく、上記外枠用素材13の成形時に形成された区画部4の周壁8,8等からなる補強枠によりエアフィルター1を充分に補強して、上記外枠材3に対するフィルター材2の接着部が剥離するのを効果的に防止できる等の利点がある。
【0039】
なお、上記外枠用素材成形工程で成形される外枠用素材13の側壁9を省略することなく、上記実施形態に示すように周壁8の先端部に側壁9が一体に連設された外枠用素材13を上記外枠用素材成形工程で成形するように構成した場合には、優れた保形性を有する外枠材3を容易に形成できるとともに、該外枠材3にフィルター材2を安定して保持させることができるという利点がある。
【0040】
また、上記実施形態に示すように、外枠用素材成形工程において、第1外枠体5用の周壁8と第2外枠体6用の周壁8との間に切断工具11を挿入可能な隙間12が設けられた外枠用素材13を形成した場合には、該隙間12を案内部として利用することにより、上記連結部切断工程で、両周壁8,8の間に切断工具11を容易かつ適正に挿入し、該切断工具11を上記隙間12に沿ってスライド変位させることにより上記連結部10の必要個所を正確に切断することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、外枠用素材成形工程において、第1外枠体5用の周壁8と第2外枠体6用の周壁8との間に先拡がりの隙間12が設けられた外枠用素材13を形成した例について説明したが、この構成に代え、
図9に示すように、上記第1外枠体5用の周壁8と第2外枠体6用の周壁8との間に均一な幅寸法を有する隙間12aを形成することも可能である。しかし、この構成では、上記連結部10の切断部位、つまり上記第1,第2外枠体5,6を構成する周壁8の基端部に、上記隙間12aの1/2に相当する突出量を有するバリ17が形成されることが避けられず、該バリ17がエアフィルター1の設置作業等を行う際に邪魔になる可能性がある。
【0042】
これに対して上記実施形態に示すように、外枠用素材成形工程において、第1外枠体5用の周壁8と第2外枠体6用の周壁8との間に先拡がりの隙間12が設けられた外枠用素材13(
図6参照)を形成した場合には、切断工具11により連結部10を切断する際に上記隙間12を利用することにより、切断工具11を適正位置に案内して上記連結部10を正確に切断することができるとともに、該連結部10の切断個所に不必要なバリ17が形成されるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0043】
なお、上記実施形態に示すように、外枠用素材成形工程で相対向する一対の周壁8,8を一体に連結する連結部10を備えた外枠用素材13を成形した後、連結部切断工程で上記区画部4に位置する部分を除いて外枠用素材13の連結部10を切断するようにした構成に代え、上記連結部切断工程を省略し、例えば外枠用素材成形工程において上記区画部4に位置する部分のみに連結部10が設けられた外枠用素材を成形するも考えられるが、この構成では、該外枠用素材の成形作業が煩雑になるため、上記連結部切断工程を設けた構成とすることが望ましい。
【0044】
上記外枠材3の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはナイロン等の合成樹脂材に限られず、これに代えて上記外枠材3をアルミニウム合金、銅合金等の金属材を用いることが可能である。しかし、上記区画部4に設けられた連結部10をヒンジ部として利用することにより、簡単な構成で第1,第2外枠体5,6を揺動変位可能とするためには、上記外枠材3を合成樹脂材で形成することが好ましい。
【0045】
また、
図6等に示すように両周壁8,8の基端部同士を一体に連結する連結部10を設けてなる上記実施形態に代え、
図10に示すように、両周壁8,8の先端部(上端部)同士を一体に連結する連結部10aを設け、該連結部10aの下方にカッターナイフ等からなる切断工具11を挿入可能な下広がりの隙間12aを設けた構成としてもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態では、外枠用素材13の一端部側からその他端部側に切断工具11を移動させて外枠用素材13の連結部10を切断することにより、外枠用素材13の基端部側に区画部4を配設した例について説明したが、
図11に示すように、外枠用素材13の一端部側および他端部側に位置する連結部10をそれぞれ切断することにより、外枠用素材の上下に位置する部位13a,13bをそれぞれ遊離状態とし、これらを折り曲げることにより第1,第2外枠体5,6を形成するようにしてもよい。この場合、上記区画部4を構成する周壁8,8の一端部および他端部と、第1,第2外枠体5,6を構成する周壁8の基端部とがそれぞれ連続し、かつ第1,第2外枠体5,6を構成する周壁8の一部がホットメルト接着剤等で接合された外枠材3が形成されることになる。
【0047】
本発明に係るエアフィルター1は、
図4および
図5に示すように、空気調和装置44のケース41内に配設された第1熱交換エレメント42の前面部および第2熱交換エレメント43底面部に限られず、上記空気調和装置44のケース41に接続されるダクト内に設置してもよく、あるいは家屋の天井部に取り付けられる空気調和装置の室外機に設けられた吸い込みグリル等の上に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 空気調和装置用エアフィルター
2 フィルター材
3 外枠材
4 区画部
5 第1外枠体
6 第2外枠体
8 周壁
9 側壁
10 連結部
11 切断用工具
12 隙間
13 外枠用素材
14 切欠き