特許第5772696号(P5772696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772696
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】両開き収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-92987(P2012-92987)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-220709(P2013-220709A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−235123(JP,A)
【文献】 特開2010−070132(JP,A)
【文献】 米国特許第06250729(US,B1)
【文献】 特開2011−088620(JP,A)
【文献】 米国特許第04934750(US,A)
【文献】 特開平05−338496(JP,A)
【文献】 特開平06−055977(JP,A)
【文献】 特開平07−172452(JP,A)
【文献】 特開2009−138407(JP,A)
【文献】 実開昭58−129682(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を設けたボックス本体と、
前記収容部を覆う基部及び前記基部を覆う可動部を有し、揺動によって前記収容部の第一方向の一端側又は他端側から開閉可能な蓋体と、
前記蓋体を前記一方向の一端側又は他端側から開方向に向かって付勢する付勢部材と、
前記基部の前記第一方向の両端部に設けられ、それぞれ前記ボックス本体に対して前記蓋体を前記第一方向の一端側又は他端側へ択一に揺動させるリンク機構と、を有する両開き収納ボックスであって、
前記リンク機構は、前記基部に設けられた押しボタン式の揺動用スイッチと、前記揺動用スイッチと係合し前記第一方向とは異なる第二方向に延びる前ロックピン及び後ロックピンとからなり、
前記前ロックピンと前記後ロックピンはそれぞれ前記ボックス本体に形成されたロック孔に係合され、前記揺動用スイッチの押圧によって前記前ロックピンと前記後ロックピンが前記第二方向へ互いに近接するように移動することで、前記前ロックピン及び前記後ロックピンとそれぞれの前記ロック孔との係合が解除され、
前記前ロックピン及び前記後ロックピンとそれぞれの前記ロック孔との係合が解除されたときに、前記付勢部材の付勢力によって前記蓋体が開き、
前記可動部は、前記基部に対して前記第二方向へスライド移動可能に支持されており、
前記基部及び前記可動部の少なくとも一方には、前記第一方向の両端部にそれぞれ設けられている規制手段を有し、
前記可動部は、スライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態で前記規制手段を押圧するベースを有し、
前記規制手段は、前記可動部がスライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態で、前記ベースからの押圧で前記前ロックピン及び/又は前記後ロックピンに係合することにより、前記リンク機構の作動を規制することを特徴とする両開き収納ボックス。
【請求項2】
前記規制手段は、前記前ロックピン又は前記後ロックピンに形成された孔部に進入するスライドロックピンである請求項1に記載の両開き収納ボックス。
【請求項3】
前記規制手段はさらに、前記基部の前記第二方向の一端部であって前記第一方向の両端部にそれぞれ設けられている係止部材を含み、
前記可動部がスライド移動した状態において、前記係止部材は前記ベースに押圧されることにより前記後ロックピンと係合して前記リンク機構の作動を規制する請求項2に記載の両開き収納ボックス。
【請求項4】
前記基部の前記第二方向の一端部と前記ボックス本体の前記第二方向の一端部には、前記蓋体が閉じる方向への揺動の移動速度を緩和する緩和手段が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の両開き収納ボックス。
【請求項5】
前記緩和手段は、前記基部の前記第二方向の一端部の略中央に一端が回動自在に保持されたアームと、前記ボックス本体の前記第二方向の一端部の略中央に回動自在に保持され前記アームの他端を収容するアームケースと、前記アームケースに配置され前記アームと係合して前記アームの移動速度を緩和するダンパと、からなる請求項4に記載の両開き収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンソールボックスなどの蓋体付き収納ボックスに関し、詳しくは蓋体を左右又は前後の両方から開閉できる両開き収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両開き収納ボックスとしては、リンク機構を用いて左右両側から蓋体を開閉するものがある。例えば特許3292038号公報には、蓋体の左右方向両端に前後方向に延びる一対のヒンジピンを設け、ヒンジピンの両端がボックス本体に形成されたピン孔に係合した収納ボックスが記載されている。この収納ボックスでは、各ヒンジピンをそれぞれ二つに分割し、その分割部分に左右一対の揺動用スイッチを配置している。左右一対の揺動用スイッチは、ヒンジピンの延びる方向と直交する橋状の部材によって連結されている。
【0003】
上記収納ボックスでは、例えば左側の揺動用スイッチを押すと、その揺動用スイッチと係合する左側の分割されたヒンジピンは、分割部で互いに近接する方向へ移動し、左側のピン孔との係合が解除される結果、蓋体は右側のヒンジピンを中心にして揺動し左側から収納ボックスを開く。右側の揺動用スイッチを押した場合は、その揺動用スイッチと係合する右側の分割されたヒンジピンが分割部で互いに近接する方向へ移動し、右側のピン孔との係合が解除される結果、蓋体は左側のヒンジピンを中心にして揺動し右側から収納ボックスを開く。このような両開き収納ボックスは、例えば、車両のセンターコンソールに装着されている。
【0004】
上記したような収納ボックスにおいては、蓋体が右方向又は左方向へ揺動した状態から蓋体を閉じる際に、蓋体の閉じる速度を減速することが望ましい。閉じる速度が大きいと、蓋体がボックス本体と衝突した際の騒音が大きくなるからである。蓋体が左右の一方のみに開く構造であれば、揺動軸回りに歯車機構及びダンパなどを利用した減速手段を採用することができる。しかし上記したような両開き構造では、左右の回動軸回りにそれぞれ減速手段を設けなければならず、スペース面及び強度面で不具合があった。
【0005】
ところで近年、蓋体を左右両側から開閉するだけでなく、前後方向に蓋体をスライド移動させて、ボックス本体の収容部の前側又は後側を開口させたいという要望がある。特に車両のコンソールボックスの場合には、蓋体を後側へスライド移動させてボックス本体の収容部の前側を開口させることが望まれる。また上記した揺動用スイッチは、蓋体の前側に設けられるのが一般的である。ところが上記公報に記載された収納ボックスにスライド移動可能な蓋体を設けようとすると、左右一対の揺動用スイッチを連結する橋状の部材が存在するために、前側に開口を設けることが困難であった。
【0006】
そこで特開2010−235123号公報には、左右一対の揺動用スイッチを連結する橋状の部材を設けずに、リンク機構の工夫によって蓋体を左右両側に開閉可能とした両開き収納ボックスが提案されている。この両開き収納ボックスによれば、蓋体をスライド移動させたときに前側に開口を形成することができ、使い勝手がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3292038号公報
【特許文献2】特開2010−235123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが特許文献2に記載された両開き収納ボックスにおいては、蓋体をスライド移動させる途中の状態、あるいはスライド移動させて開口が表出した状態においても、誤って揺動用スイッチに触れると蓋体のロックが解除され、蓋体が左側又は右側に開く場合があった。このように、スライド移動した状態で蓋体が左側又は右側に揺動して開くと、蓋体の裏面側から内部の構造が視認されるため見栄えが悪い。そのため目隠し用のカバーが必要となり部品点数が増大してしまう。またスライド移動した蓋体には、通常とは異なる方向から荷重が作用する場合があり、破損の懸念もある。
【0009】
また特許文献2に記載された蓋体スライド構造をもつ両開き収納ボックスにおいては、蓋体の構造が複雑となるため蓋体の内部に減速手段を配置することが困難となり、また蓋体の重量が増大するため蓋体閉時の減速には不利となっている。
【0010】
ところで特許文献2に記載のコンソールボックスは、蓋体は収容部を覆う基部と基部を覆う可動部とを有し、可動部が基部に対してスライド移動する。可動部の前端面には、スライド移動を可能とするスライドボタンが設けられている。そしてスライドボタンを手指で押圧することで可動部と基部とのロックを解除し、可動部を後方へスライド移動させることで基部に形成された開口を介して収容部を開く。
【0011】
このような両開き収納ボックスにおいては、車両の加減速による可動部の移動を規制するために、スライド移動した位置においても可動部を基部にロックすることが望ましい。そこで特許文献2には、スライドボタンと係合するロックピンを形成し、スライド移動した位置でスライドボタンの押圧を解除することでロックピンが基部と係合するロック構造が記載されている。そして再びスライドボタンを押圧してロックを解除すれば、可動部に配置されたコンストンバネによって可動部は自動的にスライド移動して開口を閉じる。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、蓋体をスライド移動可能とするとともに、蓋体がスライド移動した状態あるいはスライド移動途中の状態では、蓋体が左側又は右側の一方に揺動して開くのを確実に規制することを解決すべき課題とする。
【0014】
また本発明のもう一つの目的は、両開き収納ボックスにおいて蓋体閉時の速度を緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明の両開き収納ボックスの特徴は、収容部を設けたボックス本体と、収容部を覆う基部及び基部を覆う可動部を有し、揺動によって収容部の第一方向の一端側又は他端側から開閉可能な蓋体と、蓋体を一方向の一端側又は他端側から開方向に向かって付勢する付勢部材と、基部の第一方向の両端部に設けられ、それぞれボックス本体に対して蓋体を第一方向の一端側又は他端側へ択一に揺動させるリンク機構と、を有する両開き収納ボックスであって、リンク機構は、基部に設けられた押しボタン式の揺動用スイッチと、揺動用スイッチと係合し第一方向とは異なる第二方向に延びる前ロックピン及び後ロックピンとからなり、前ロックピンと後ロックピンはそれぞれボックス本体に形成されたロック孔に係合され、揺動用スイッチの押圧によって前ロックピンと後ロックピンが第二方向へ互いに近接するように移動することで、前ロックピン及び後ロックピンとそれぞれのロック孔との係合が解除され、前ロックピン及び後ロックピンとそれぞれのロック孔との係合が解除されたときに、付勢部材の付勢力によって蓋体が開き、可動部は、基部に対して第二方向へスライド移動可能に支持されており、基部及び可動部の少なくとも一方は、第一方向の両端部にそれぞれ設けられている規制手段を有し、可動部は、スライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態で規制手段を押圧するベースを有し、規制手段は、可動部がスライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態で、ベースからの押圧で前ロックピン及び/又は後ロックピンに係合することにより、リンク機構の作動を規制することにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の両開き収納ボックスによれば、可動部がスライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態において、規制手段によってリンク機構の作動が規制されている。したがって、可動部がスライド移動した状態、あるいはスライド移動途中の状態では、蓋体を第一方向へ揺動させるのが防止されているので、蓋体の裏面側から内部の構造が視認されるような不具合がなく、目隠し用のカバーなどが不要となり部品点数を低減できる。またスライド移動した蓋体に、通常とは異なる方向から荷重が作用することもない。
【0018】
本発明の両開き収納ボックスは、蓋体の第二方向の一端部とボックス本体の第二方向の一端部に、蓋体が閉じる方向への揺動の移動速度を緩和する緩和手段を設けることが望ましい。このようにすることで、揺動した蓋体を閉じる際にボックス本体との衝突による異音が緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係るコンソールボックスを非使用状態で示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係るコンソールボックスを蓋体が右側へ揺動した状態で示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係るコンソールボックスを蓋体が左側へ揺動した状態で示す斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係るコンソールボックスを蓋体が後方へスライド移動した状態で示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの基部のロアを非使用状態で示す平面図である。
図6】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの基部のロアを蓋体が左側へ揺動した状態で示す平面図である。
図7】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの基部のロアを蓋体が右側へ揺動した状態で示す平面図である。
図8】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの基部のアッパを示す平面図である。
図9】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの基部のアッパとロアを積層した状態で示す平面図である。
図10】本発明の一実施例に係るコンソールボックスの可動部を示す平面図である。
図11】本発明の一実施例に係るコンソールボックスのスライドロック部分を示す要部断面図である。
図12】本発明の一実施例に係るコンソールボックスのスライドボタン部分を示す要部斜視図である。
図13】本発明の一実施例に係るコンソールボックスのスライドロック部分を示す要部断面図である。
図14】本発明の一実施例に係るコンソールボックスにおける第一の規制手段を透視して示す要部平面図である。
図15】本発明の一実施例に係るコンソールボックスにおける第二の規制手段を透視して示す要部平面図である。
図16】本発明の一実施例に係るコンソールボックスにおける第二の規制手段の作動を説明する要部断面図である。
図17】本発明の一実施例に係るコンソールボックスにおける第二の規制手段の作動を説明する要部断面図である。
図18】本発明の第二の実施例に係るコンソールボックスにおける緩和手段を示す要部側面図である。
図19】本発明の第二の実施例に係るコンソールボックスにおける緩和手段の作動を説明する要部断面図である。
図20】本発明の第二の実施例に係るコンソールボックスにおける緩和手段の作動を示す要部側面図である。
図21】本発明の第二の実施例に係るコンソールボックスにおける緩和手段の作動を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の両開き収納ボックスは、ボックス本体と蓋体とからなる。蓋体は、ボックス本体の収容部を覆う基部と、基部を覆う可動部とを有している。蓋体は、収容部の第一方向の一端側又は他端側から揺動によって開閉可能にボックス本体に設置されている。ここで第一方向とは蓋体の揺動方向をいい、左右両側に開閉する収納ボックスであれば左右方向を、前後両側に開閉する収納ボックスであれば前後方向をいう。
【0023】
基部の第一方向とは異なる第二方向の両端部とボックス本体の第二方向の両端部との間には、それぞれボックス本体に対して蓋体を第一方向の一端側又は他端側へ揺動させるリンク機構が設けられている。ここで第二方向とは第一方向とは異なる方向をいうが、一般には第一方向と直交する方向であり、第一方向が左右方向であれば第二方向は前後方向とすることができ、第一方向が前後方向であれば第二方向は左右方向とすることができる。したがって第一方向が左右方向である場合には、基部の前後方向(第二方向)の両端部と、ボックス本体の前後方向(第二方向)の両端部との間には、それぞれボックス本体に対して蓋体を左右方向(第一方向)の一端側又は他端側へ択一に(択一的に)揺動させるリンク機構が設けられている。
【0024】
このリンク機構は公知の種々の構成を採用できるが、基部に設けられた押しボタン式の揺動用スイッチと、揺動用スイッチと係合し第二方向に延びる前ロックピン及び後ロックピンとから構成することが好ましい。この場合は、前ロックピンと後ロックピンがそれぞれボックス本体に形成されたロック孔に係合され、揺動用スイッチの押圧によって前ロックピンと後ロックピンが第二方向へ互いに近接するように移動することで、前ロックピン及び後ロックピンとロック孔との係合が解除され、蓋体を第一方向へ揺動させることができる。
【0025】
このリンク機構は、第一方向の両端部にそれぞれ形成することで、蓋体が第一方向の一端側と他端側へ択一的に揺動するように構成される。そして上記したロックピン構造とすることで、リンク機構をボックス本体の第二方向の縁部に沿うように配置でき、収容部の開口面積を大きくすることができる。
【0026】
リンク機構は、蓋体が第一方向の一端側と他端側へ択一的に揺動するように揺動方向を切り替える切り替え手段を有することが望ましい。切り替え手段を有することで、蓋体がボックス本体から分離するのを回避することができる。この切り替え手段としては、例えば第一方向の一端部の前ロックピン及び後ロックピンとロック孔との係合が解除された際には、第一方向の他端部の前ロックピン及び後ロックピンとロック孔との係合が維持される機構とすることができる。例えば後述の実施例に示すような、一端部のロックピンと他端部のロックピンとに係合する連結ロッドを配置することができる。
【0027】
また蓋体は、可動部が基部に対して第二方向へスライド移動可能に支持されている。このようにすることで、例えば基部に収容部に連通する開口を形成しておけば、可動部をスライド移動させることで開口を表出させることができ、蓋体を揺動させることなく収容部を利用することができる。収納ボックスがコンソールボックスであれば、運転席又は助手席の乗員が使用するためには、可動部を車両後方へスライド移動させてボックス本体前方に開口を表出させるのが好ましい。
【0028】
押しボタン式の揺動用スイッチは、運転席又は助手席の乗員の操作性を考慮すると、コンソールボックスの車両前方に配置されるのが望ましい。しかしそうすると、揺動用スイッチに連結されたリンク機構が邪魔になり、ボックス本体前方に開口を表出させることが困難となる場合がある。
【0029】
そこで上記したように、リンク機構の一部として、揺動用スイッチと係合し第二方向に延びる前ロックピン及び後ロックピンを用いることが望ましい。このようにすれば、前ロックピンと後ロックピンとの分断部を後方とすることで連結ロッドを揺動用スイッチより後方に配置することができ、開口を前方に形成することが可能となる。
【0030】
基部又は可動部の一方には、可動部がスライド移動した状態及び/又はスライド移動途中の状態でリンク機構の作動を規制する規制手段が設けられている。この規制手段によって、可動部がスライド移動した状態、あるいは可動部がスライド移動途中の状態において、蓋体が第一方向へ揺動して収容部を開くのが防止される。
【0031】
リンク機構が上記したロックピンを有する場合には、規制手段は可動部との係合によってロックピンの移動を規制する構造とすることができる。例えば規制手段は、可動部からの押圧によってロックピンに形成された孔部に進入するスライドロックピンなどとすることができる。なお規制手段の作動の安定性を高めるには、規制手段は、基部の第一方向の両端部にそれぞれ設けられていることが望ましい。
【0032】
本発明の両開き収納ボックスは、蓋体の第二方向の一端部とボックス本体の第二方向の一端部に蓋体が閉じる方向への揺動の移動速度を緩和する緩和手段を設けることが望ましい。この緩和手段としては、ダンパ付の歯車構造などとすることもできるが、揺動軸への荷重が過大となる場合がある。そこで蓋体の第二方向の一端部の略中央に一端が回動自在に保持されたアームと、ボックス本体の第二方向の一端部の略中央に回動自在に保持されアームの他端を収容するアームケースと、アームケースに配置されアームと係合してアームの移動速度を緩和するダンパと、からなるものとすることが望ましい。
【0033】
このようにすれば、蓋体の荷重がアームの両端で受けられるため荷重が分散する。したがって重量が大きな蓋体であっても閉時の移動速度を緩和することができ、異音を低減することができる。また蓋体が基部と可動部とからなるスライド構造の場合には、基部とボックス本体との間にアームを配置すれば、可動部のスライド移動の支障になることなく緩和手段を設けることができる。
【0034】
アームケースとアームの一方には凸部が形成され、アームがアームケース内を移動する際にアームケースとアームの他方が凸部を乗り越える構造とすることも好ましい。例えば蓋体の全開直前に凸部を乗り越える構造とすれば、乗り越え時のクリック感が得られると共に、蓋体のバタツキが防止されるので耐久性が向上する。
【0035】
またダンパは中間ギヤを介してアームに形成されたラックと歯合し、中間ギヤには蓋体の閉方向への移動時に付勢力が蓄えられるバネを配置することも好ましい。このようにすれば、バネの付勢によって蓋体を自動的に揺動させたり、バネの付勢力によって蓋体の揺動をアシストすることも可能となる。
【0036】
可動部は収容部を覆ったスライド閉位置と、収容部の一部を開口させたスライド開位置と、において基部と係合してスライド移動を規制するスライドロックを有し、可動部はスライドロックによるロックを解除するスライドボタンをさらに備え、スライド開位置においてスライドボタンを押圧することでスライドロックによるロックを解除し、次いでスライドボタンの押圧を解除したときに、スライドロックが再び基部と係合するのを回避する回避手段を備えることが望ましい。
【0039】
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
【実施例1】
【0040】
図1〜4に、本実施例に係るコンソールボックスを示す。このコンソールボックスは車両のセンターコンソールに配置され、ボックス本体1と蓋体2とからなる。ボックス本体1は内部に収容部10が設けられ、収容部10の車両前方側にはトレイ11が着脱可能に配置されている。
【0041】
蓋体2は、図4に示すように、収容部10を覆う基部3と、基部3を覆う可動部4とからなる。可動部4は、図示されないレールを介して前後方向にスライド移動可能に基部3に保持されている。基部3は、左右側端部がそれぞれ揺動可能にボックス本体1に保持され、図2,3に示すように蓋体2は左右へ択一的に揺動して収容部10を開く。また蓋体2が揺動せず収容部10を閉じた状態で、可動部4が後方へスライド移動することで、基部3に形成された開口100が表出し、開口100を通して収容部10又はトレイ11を利用することができる。なお各図に示す前後方向は車両の前後方向と一致し、左右方向は車両の左右方向(幅方向)と一致し、上下方向は車両の上下方向と一致している。
【0042】
以下、このコンソールボックスの構造を詳細に説明する。
【0043】
基部3は、ロア30とアッパ31との二層構造をなし、ロア30とアッパ31とは一体に固定されている。またロア30とアッパ31には、前側に互いに連通する貫通孔の開口100が形成されている。図5〜7には、ロア30を上方から見た平面図を示している。ロア30の左右両端部には、それぞれ互いに対称なリンク機構5が設けられている。リンク機構5は、押しボタン式の揺動用スイッチ50R,50Lと、揺動用スイッチ50R,50Lとそれぞれ係合して前後方向に延びる前ロックピン51R,51Lと、前端が前ロックピン51R,51Lの後端と間接的に係合して前後方向に延びる後ロックピン52R,52Lと、から主として構成されている。
【0044】
揺動用スイッチ50R,50Lにはコイルスプリング53R,53Lが配置され、揺動用スイッチ50Rを右方向へ、揺動用スイッチ50Lを左方向へ付勢している。揺動用スイッチ50R,50Lには、前後方向及び左右方向に対して傾斜して延びる長孔54R,54Lがそれぞれ形成されている。
【0045】
前ロックピン51R,51Lは揺動用スイッチ50R,50Lの上方に位置し、前ロックピン51R,51Lには揺動用スイッチ50R,50Lに向かって突出する円柱形状の係合凸部55R,55Lが形成されている。この係合凸部55R,55Lはそれぞれ長孔54R,54Lに係合している。前ロックピン51R,51Lの後端にはそれぞれ前ラック56R,56Lが形成され、前ラック56R,56Lはピニオンギヤ57R,57Lとそれぞれ歯合している。ピニオンギヤ57R,57Lは、後ロックピン52R,52Lの前端に形成された後ラック58R,58Lともそれぞれ歯合している。前ロックピン51R,51Lと後ロックピン52R,52Lは、それぞれ同軸上に位置している。またピニオンギヤ57R,57Lには図示されないコイルバネが内蔵され、ピニオンギヤ57Rは図5の時計回りに、ピニオンギヤ57Lは図5の反時計回りに付勢されている。
【0046】
そして蓋体2がボックス本体1を閉じた状態においては、図5に示すように、ピニオンギヤ57R,57Lの付勢によって前ロックピン51R,51Lの前端はボックス本体1の前端に形成された前ロック孔12R,12Lにそれぞれ係合している。また後ロックピン52R,52Lの後端は、ボックス本体1の後端に形成された後ロック孔13R,13Lにそれぞれ係合している。
【0047】
上記したリンク機構5を有する本実施例のコンソールボックスは、以下のように作動する。先ず運転席側から蓋体2を開く場合には、図6に示すように、操作者は揺動用スイッチ50Rを押す。すると係合凸部55Rが長孔54Rに案内されることにより、前ロックピン51Rは後方へ移動する。すると前ラック56Rによってピニオンギヤ57Rが反時計回りに回動し、それに伴って後ラック57R及び後ロックピン52Rが前方へ移動する。これにより前ロックピン51Rの前端と前ロック孔12Rとの係合が外れ、後ロックピン52Rの後端と後ロック孔13Rとの係合が外れる結果、基部3は可動部4と共に、前ロックピン51Lと後ロックピン52Lを軸中心として左方向へ揺動可能となり、図3に示すように蓋体2が開く。
【0048】
蓋体2の揺動途中あるいは揺動後に揺動用スイッチ50Rの押圧を解除すると、コイルスプリング53R及びピニオンギヤ57Rの付勢によって前ロックピン51Rは前方へ移動し、後ロックピン52Rは後方へ移動して初期状態へ戻る。そして蓋体2を閉じる場合には、ボックス本体1との係合によって前ロックピン51Rは後方へ押圧されるとともに後ロックピン52Rが前方へ押圧され、前ロック孔12R及び後ロック孔13Rの位置で係合が解除されて、コイルスプリング53R及びピニオンギヤ57Rの付勢によって、前ロックピン51Rと後ロックピン52Rが前ロック孔12R及び後ロック孔13Rとそれぞれ係合する。
【0049】
助手席側から蓋体2を開く場合には、図7に示すように、操作者は揺動用スイッチ50Lを押す。すると係合凸部55Lが長孔54Lに案内されることにより、前ロックピン51Lは後方へ移動する。すると前ラック56Lによってピニオンギヤ57Lが時計回りに回動し、それに伴って後ラック57L及び後ロックピン52Lが前方へ移動する。これにより前ロックピン51Lの前端と前ロック孔12Lとの係合が外れ、後ロックピン52Lの後端と後ロック孔13Lとの係合が外れる結果、基部3は可動部4と共に、前ロックピン51Rと後ロックピン52Rを軸中心として左方向へ揺動可能となり、図2に示すように蓋体2が開く。
【0050】
蓋体2の揺動途中あるいは揺動後に揺動用スイッチ50Lの押圧を解除すると、コイルスプリング53L及びピニオンギヤ57Lの付勢によって前ロックピン51Lは前方へ移動し、後ロックピン52Lは後方へ移動して初期状態へ戻る。そして蓋体2を閉じる場合には、ボックス本体1との係合によって前ロックピン51Lは後方へ押圧されるとともに後ロックピン52Lが前方へ押圧され、前ロック孔12L及び後ロック孔13Lの位置で係合が解除されて、コイルスプリング53L及びピニオンギヤ57Lの付勢によって、前ロックピン51Lと後ロックピン52Lが前ロック孔12L及び後ロック孔13Lとそれぞれ係合する。
【0051】
しかし上記したリンク機構5のみでは、揺動用スイッチ50R、50Lの両方を押した場合に蓋体2がボックス本体1から外れるという不具合がある。そこで本実施例のコンソールボックスは、蓋体が右側又は左側へ択一的に揺動するように揺動方向を切り替える切り替え手段6を備えている。
【0052】
この切り替え手段6は、図5〜7に示したように、後ロックピン52Rと後ロックピン52Lとを橋状に連結する連結ロッド60と、連結ロッド60の中央部と係合するセンタリング部材61とからなる。連結ロッド60の左右両端には、前後方向及び左右方向に対して傾斜して延びるガイド長孔62R、62Lが形成され、後ロックピン52R、52Lから突出する係合凸部63R、63Lがそれぞれガイド長孔62R、62Lに係合している。また連結ロッド60には、ガイド長孔62R、62Lの後端部に連続して左右方向に延びる逃がし長孔64R、64Lが形成されている。連結ロッド60の中央部の前端には、凹形状のカム凹部65が形成されている。
【0053】
センタリング部材61は、カム凹部65と対向して係合する頭部66と、軸部67とからなり、軸部67に巻回されたコイルスプリング68によって頭部66がカム凹部65に押圧されている。
【0054】
上記のように構成された切り替え手段6は、以下のように作動する。先ず図6に示すように、揺動用スイッチ50Rが押されて後ロックピン52Rが前方へ移動すると係合凸部63Rがガイド長孔62Rに係合しながら前方へ移動することで、連結ロッド60は右方向へ移動する。連結ロッド60の左端部では、逃がし長孔64Lに係合凸部63Lが案内される。またセンタリング部材61は、カム凹部65の移動によって頭部66が前方へ押圧され、コイルスプリング68に付勢力が蓄えられる。
【0055】
この状態では、係合凸部63Lが逃がし長孔64Lに係合しているため後ロックピン52Lの移動が規制され、揺動用スイッチ50Lを押すことはできず前ロックピン51Lと後ロックピン52Lは移動しない。したがって蓋体2は、前ロックピン51L及び後ロックピン52Lがボックス本体1と確実に係合し、ボックス本体1から外れることがない。
【0056】
そして蓋体2を閉じると、前ロックピン51Rが前方へ移動し後ロックピン52Rが後方へ移動し、コイルスプリング68の付勢によってセンタリング部材61がカム凹部65に入り込むため、連結ロッド60は左方向へ移動して図5のニュートラル位置へ戻る。
【0057】
また図7に示すように、揺動用スイッチ50Lが押されて後ロックピン52Lが前方へ移動すると、係合凸部63Lがガイド長孔62Lに係合しながら前方へ移動することで、連結ロッド60は左方向へ移動する。連結ロッド60の右端部では、逃がし長孔64Rに係合凸部63Rが案内される。またセンタリング部材61は、カム凹部65の移動によって頭部66が前方へ押圧され、コイルスプリング68に付勢力が蓄えられる。
【0058】
この状態では、係合凸部63Rが逃がし長孔64Rに係合しているため後ロックピン52Rの移動が規制され、揺動用スイッチ50Rを押すことはできず前ロックピン51Rと後ロックピン52Rは移動しない。したがって蓋体2は、前ロックピン51R及び後ロックピン52Rがボックス本体1と確実に係合し、ボックス本体1から外れることがない。
【0059】
そして蓋体2を閉じると、前ロックピン51Lが前方へ移動し後ロックピン52Lが後方へ移動し、コイルスプリング68の付勢によってセンタリング部材61がカム凹部65に入り込むため、連結ロッド60は右方向へ移動して図5のニュートラル位置へ戻る。
【0060】
次に、可動部4のスライド機構について説明する。
【0061】
図8には基部3のアッパ31を上方から見た概略平面図を、図9にはロア30とアッパ31とを積層しロア30が透視された状態の平面図を示している。開口100の前部には第一係止孔37が形成され、開口100の後部には第二係止孔32が形成されている。アッパ31の後端部にはボビン33が回動自在に固定され、ボビン33にはコンストンバネ34の内端が固定されている。コンストンバネ34の外端は、可動部4の底部の後端部に結合される。またアッパ31の後端部にはダンパ35が配置されている。さらにアッパ31の裏面側後端部には、左右一対の係止部材36R,36Lが配置され、係止部材36R,36Lにラップする一対の開口101R,101Lが形成されている。開口101R,101Lには、後述するフランジ47R,47Lが表出している。
【0062】
図10に可動部4を上方から見た平面図を示す。可動部4の裏面側には、ベース40が固定され、ベース40にはスライドボタン41が保持されている。また可動部4の裏面側には、アッパ31に設けられたダンパ35と歯合するラック42が前後方向に延びて設けられている。
【0063】
可動部4はアッパ31の上部に配置され、図示しないレールによってアッパ31に対してスライド移動可能となっている。可動部4が後方へスライド移動する際には、コンストンバネ34に付勢力が蓄えられる。逆に可動部4が前方へスライド移動する際には、コンストンバネ34の付勢によって自動的に移動するものの、ラック42がダンパ35に歯合しているため、可動部4は減速された状態で前方へスライド移動することになる。
【0064】
図11に示すように、可動部4の裏面側前端部にはベース40が固定され、ベース40の前端部にはスライドボタン41が入出可能に保持されている。またベース40には、スライドロック43が上下方向に移動可能に保持されている。図12に示すように、スライドボタン41にはスライドロック43と係合するテーパ面44が形成され、スライドボタン41を押すことでスライドロック43が上昇するように構成されている。またスライドロック43は、スプリング45によって下方へ付勢されている。
【0065】
可動部4がスライド移動していない状態では、スライドロック43がアッパ31の前端に設けられた第一係止孔37と係合し、可動部4はスライド移動ができない。その状態から可動部4をスライド移動させるには、先ずスライドボタン41を後方へ押す。するとスライドロック43が上昇することで第一係止孔37との係合が解除され、スライド移動可能となる。そしてコンストンバネ34の付勢力とダンパ35の抵抗力に抗して可動部4を後方へスライド移動させると、スライドロック43がアッパ31の後方に設けられた第二係止孔32に係合することでスライド移動が規制される(図13参照)。この状態では基部3の開口100が表出し、開口100から収容部10又はトレイ11を利用することができる。
【0066】
可動部4を閉じるには、再びスライドボタン41を後方へ押す。するとスライドロック43が上昇して第二係止孔32から離脱するので、スライドボタン41の押圧を解除すれば、コンストンバネ34の付勢によって可動部4は自動的に前進し、スライドロック43が第一係止孔37に係合することでスライド移動が停止する。
【0067】
ところで可動部4のスライド移動中、あるいはスライド移動した状態において、揺動用スイッチ50R,50Lの一方が押されると、基部3が揺動する場合がある。そうなると可動部4の裏面側が視認されるため見栄えが悪い。そのため目隠し用のカバーなどが必要となり部品点数が増大してしまう。またスライド移動した可動部4には、通常とは異なる方向から荷重が作用する場合があり、破損の懸念もある。
【0068】
そこで本実施例のコンソールボックスでは、可動部4がスライド移動途中の状態及びスライド移動した状態でリンク機構5の作動を規制する規制手段を有している。この規制手段について、以下に説明する。
【0069】
ロア30には、図5に示すように、開口100の後端に近接した位置に左右一対のスライドロックピン38R、38Lが保持されている。スライドロックピン38R、38Lの先端は曲面形状をなしている。スライドロックピン38Rはスプリング39Rによって図の左方向へ付勢され、スライドロックピン38Lはスプリング39Lによって図の右方向へ付勢されている。スライドロックピン38Rの先端とスライドロックピン38Lの先端との距離は、ベース40の左右方向の長さより若干短くされている。
【0070】
スライドボタン41が押され、可動部4が後方へスライド移動始めると、図14に示すように、ベース40の後端部がスライドロックピン38R,38Lと干渉し、スライドロックピン38Rは右方向へ移動してその軸部が前ロックピン51Rに形成されたロック孔59Rと係合するとともに、スライドロックピン38Lは左方向へ移動してその軸部が前ロックピン51Lに形成されたロック孔59Lと係合する。これにより前ロックピン51R,51Lの移動が規制され、揺動用スイッチ50R,50Lの移動が規制されるため、基部3が左右に揺動することがない。
【0071】
しかし可動部4が後方へスライド移動して開口100の全体が表出した状態では、図15に示すように、ベース40とスライドロックピン38R,38Lとの係合が解除され、スライドロックピン38R,38Lと前ロックピン51R,51Lとの係合が解除される場合がある。そこで図8,9及び図16に示すように、アッパ31には左右一対の係止部材36R,36Lが上下方向に揺動可能に保持されている。この係止部材36R,36Lは、コイルバネ46R,46Lによって前端が上方へ向かうように付勢されている。また係止部材36R,36Lの前端は、後ロックピン52R,52Lに形成され内側に向かって左右方向に突出するフランジ47R,47Lに、開口101R,101Lを介して対向する位置となっている。
【0072】
可動部4が後方へスライド移動して開口100の全体が表出し、図16の状態を経由して図17の状態になると、ベース40の後端はフランジ47R,47Lに対向する位置となり、係止部材36R,36Lの前端部と干渉する。すると係止部材36R,36Lは前端部が下方へ押圧され、アッパ31に形成された開口101R,101Lを通過してフランジ47R,47Lと係合する。これにより後ロックピン52R,52Lの移動が規制され、揺動用スイッチ50R,50Lの押圧が規制されるため、基部3が左右に揺動することがない。
【実施例2】
【0073】
実施例1に係るコンソールボックスにおいては、蓋体2が右方向又は左方向へ揺動して収容部10を開いた状態から蓋体2を閉じる際に、蓋体2の閉じる速度を減速することが望ましい。閉じる速度が大きいと、蓋体2がボックス本体1と衝突した際の騒音が大きくなるからである。
【0074】
蓋体が左右の一方のみに開く構造であれば、揺動軸回りに歯車機構及びダンパなどを利用した減速手段を採用することができる。しかし実施例1のような両開き構造では、左右の回動軸回りにそれぞれ減速手段を設けなければならず、スペース面及び強度面で不具合があった。
【0075】
そこで本実施例では、図18に示すように、基部3の後端部とボックス本体1とを連結するアーム7を設けている。その他の構成は実施例1と全く同様であるので、実施例1と同じ符号を用いながら実施例1と異なる部位のみ説明する。
【0076】
ボックス本体1の後壁には、アームケース70が回動自在に取り付けられている。アームケース70は筒形状をなし、その周壁には一直線上に位置する一対の貫通孔71,72が形成されている。またアームケース70には、周囲にピニオンギヤをもつダンパ73が固定されている。アーム7の一側面にはラック74が形成されている。アーム7は一端が基部3に回動自在に保持され、他端側が貫通孔71から貫通孔72の順に挿通されている。そしてラック74がダンパ73のピニオンギヤに歯合している。
【0077】
アームケース70には、図19に示すように、底面から後方へ突出する突起75が形成されている。またアーム7の他端側には、前後に弾性変形可能な爪部76と、爪部76の下方のストッパ77とが形成されている。
【0078】
上記のように構成された本実施例のコンソールボックスは、図20に示すように蓋体2(基部3と可動部4)が左方向へ揺動して収容部10を開くと、アーム7は基部3の後端部に取り付けられた一端を中心として回動する。それに伴ってアームケース70が左方向へ回動し、アーム7はアームケース70内を斜め左上方に移動する。そして揺動限界に近づくと、図19に示すように爪部76が突起75を乗り越えるので、操作者はクリック感を知覚できる。爪部76が突起75を乗り越えた後に、ストッパ77が突起75に当接することでアーム7の移動が規制され、蓋体2の揺動が停止する。
【0079】
蓋体2を閉じる際には、アーム7が斜め右下方に移動し、爪部76が突起75を乗り越えるので操作者はクリック感を知覚できる。そしてラック74がダンパ73に歯合することで閉速度が減速され、蓋体2はゆっくりとボックス本体1に近づくので、衝突音の発生を防止することができる。
【0080】
図21のように蓋体2が右方向へ揺動して収容部10を開く場合も、上記と同様の作動であるので、説明を省略する。なお、図18に示す閉状態では、アーム7はスライド移動しない下側の基部3に取り付けられているので、上側の可動部4のスライド移動の支障になることはない。
【0081】
また本実施例のコンソールボックスによれば、爪部76が突起75を乗り越える際の抵抗によって、蓋体2の揺動時におけるバタつきを抑制でき、耐久性が向上する。またラック74またはダンパ73と歯合するギヤを設け、そのギヤに巻きバネを設けておけば、巻きバネの付勢によって蓋体2を自動的に揺動させることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:ボックス本体 2:蓋体 3:基部 4:可動部 5:リンク機構
10:収容部 12R,12L:前ロック孔 13R,13L:後ロック孔
30:ロア 31:アッパ 34:コンストンバネ 35:ダンパ
38R,38L:スライドロックピン 39:壁部
40:ベース 41:スライドボタン
42:ラック 43:スライドロック 47R,47L:フランジ
50R,50L:揺動用スイッチ 51R,51L :前ロックピン 52R,52L:後ロックピン
59R,59L:ロック孔 60:連結ロッド 61:センタリング部材
65:カム凹部 7:アーム 70:アームケース 73:ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21