(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の冷凍装置では、上述したような手順で組み立てられるため、電装品モジュールをケーシング内の所定の位置に配置する工程の前に、温度検知部を冷媒ジャケットに予め取り付けておくことができない。仮に、電装品モジュールを配置する工程の前に温度検知部を冷媒ジャケットに取り付けると、次のような理由から装置の組み立て作業を効率よく行うことができない。
【0006】
すなわち、サーミスタなどの温度検知部には、検知した信号を電装品モジュールのプリント回路板に送るための細長い配線の一端が接続されている。電装品モジュールを配置する工程の前に冷媒ジャケットに温度検知部を予め取り付ける場合には、この温度検知部から延びる配線の他端は、電装品モジュールがケーシング内の所定の位置に配置された後、その電装品モジュールのプリント回路板に接続される。
【0007】
したがって、電装品モジュールを例えばケーシングの上方から下方に向かって挿入してケーシング内の所定の位置に配置する際に、冷媒ジャケットに取り付けられた温度検知部から延びる細長い配線が邪魔になることがある。具体的に、例えば、電装品モジュールをケーシング内の所定の位置に配置する際に、温度検知部から延びる配線が電装品モジュールとケーシング内の他の部品との間に挟み込まれるなどの不具合が生じることがあるため、組み立て作業時の作業効率が低下する。
【0008】
また、通常、パワーデバイスには温度検知部を取り付けるためのねじ孔などは設けられていないので、温度検知部をパワーデバイスに直接取り付けることはできない。
【0009】
したがって、特許文献1などの従来の室外機の電装品モジュールには、パワーデバイス全体をカバーするような比較的大きな伝熱板がパワーデバイスに接した状態で設けられ(特許文献1の
図9参照)、この伝熱板に温度検知部が取り付けられる。そして、このような伝熱板を備えた電装品モジュールがケーシング内の所定の位置に配置された後、冷媒ジャケットが伝熱板に取り付けられる。
【0010】
本発明の目的は、装置の組み立て時の作業効率の低下を抑制しつつ、温度検知部を取り付けるための伝熱板を省略することができる冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明は、冷媒回路(4)を有する冷凍装置に関するものである。前記冷凍装置は、プリント回路板(91)と、前記冷媒回路(4)の冷媒が流れる冷媒配管(10)と、冷媒ジャケット(40)と、温度検知部(T)と、を備える。前記プリント回路板(91)は、パワーデバイス(20)と、前記パワーデバイス(20)が取り付けられたプリント配線板(90)とを含む。前記冷媒ジャケット(40)は、前記パワーデバイス(20)に接するとともに前記プリント配線板(90)に対向する対向面(52)と、前記対向面(52)の反対側において前記冷媒配管(10)のうちの一部である冷却部(10A)を着脱可能な着脱面(51)とを有する。前記冷媒ジャケット(40)は、前記プリント回路板(91)と一体化され、かつ前記着脱面(51)に前記冷却部(10A)が取り付けられた状態で前記冷却部(10A)を流れる冷媒によって前記パワーデバイス(20)を冷却する。前記温度検知部(T)は、前記冷媒ジャケット(40)の前記対向面(52)に取り付けられる。
【0012】
本発明の冷凍装置は、冷媒ジャケット(40)に対して冷媒配管(10)の冷却部(10A)を着脱可能な構成を採用している。したがって、冷媒ジャケット(40)、温度検知部(T)及びプリント回路板(91)が一体化されたモジュール(電装品モジュール100)を予め組み立てておき、組み立てられた電装品モジュール(100)をケーシング内の所定の位置に配置した後、冷媒ジャケット(40)の着脱面(51)に冷媒配管(10)の冷却部(10A)を取り付けるという組み立て手順を採用することができる。
【0013】
すなわち、この構成では、温度検知部(T)を冷媒ジャケット(40)に直接取り付けることができるので、従来の冷凍装置に設けられていた伝熱板を省略することができる。しかも、この構成では、電装品モジュール(100)をケーシング内の所定の位置に配置する工程の前に、冷媒ジャケット(40)、温度検知部(T)及びプリント回路板(91)が予め一体化された電装品モジュール(100)を組み立てておくことができる。すなわち、この電装品モジュール(100)を組み立てる工程において温度検知部(T)から延びる配線(W)をプリント回路板(91)に接続しておくことが可能になるので、電装品モジュール(100)をケーシング内の所定の位置に配置する際に、温度検知部(T)から延びる配線(W)が邪魔になるという不具合が生じず、作業効率の低下を抑制できる。
【0014】
また、この構成では、冷媒ジャケット(40)の着脱面(51)に対して冷媒配管(10)の冷却部(10A)を着脱可能な構成を採用しているので、例えばプリント回路板(91)などの点検、修理などのサービス時には、冷媒配管(10)の冷却部(10A)を冷媒ジャケット(40)の着脱面(51)から取り外すことにより、電装品モジュール(100)をケーシング内から取り出すことができる。
【0015】
さらに、この構成では、冷媒ジャケット(40)の対向面(52)に温度検知部(T)が取り付けられているので、パワーデバイス(20)の温度を精度よく検知することができる。すなわち、冷媒ジャケット(40)の対向面(52)は、温度検知部(T)が取り付けられる面であるとともに、パワーデバイス(20)に接する面でもある。しかも、温度検知部(T)とパワーデバイス(20)は、冷媒ジャケット(40)の対向面(52)とプリント配線板(90)との間の同じ空間に設けられる。したがって、温度検知部(T)は、パワーデバイス(20)の温度を精度よく検知することができる。また、冷媒ジャケット(40)の対向面(52)とプリント配線板(90)との間の空間は空気の流れが少ないため、温度検知部(T)による検知温度は、周囲の状況(外乱)によって影響を受けにくい。
【0016】
(2) 前記冷凍装置において、前記パワーデバイス(20)は、インバータ(21)とコンバータ(23)とを含み、前記温度検知部(T)は、前記コンバータ(23)よりも前記インバータ(21)に近い位置に配置されてい
る。
【0017】
この構成では、温度検知部(T)は、コンバータ(23)よりもインバータ(21)に近い位置、すなわちコンバータ(23)に比べて発熱しやすいインバータ(21)の温度をより精度よく検知できる位置に設けられている。したがって、仮にインバータ(21)の温度が予め定められた上限温度に達した場合であっても、冷凍装置の運転を停止するなどの適切な動作をより迅速に実行することができる。
【0018】
(3) 前記冷凍装置において、前記パワーデバイス(20)は、第2インバータ(22)をさらに含み、前記温度検知部(T)は、前記インバータ(21)と前記第2インバータ(22)との間に配置されているのが好ましい。
【0019】
この構成では、温度検知部(T)がコンバータ(23)に比べて発熱しやすい2つのインバータ(21,22)の間の位置に設けられている。この位置は、プリント回路板(91)において特に発熱しやすい部位又はその近傍であるので、2つのインバータ(21,22)の両方又は一方の発熱時において上記したような適切な動作をさらに迅速に実行することができる。
【0020】
(4) 前記冷凍装置において、前記冷媒ジャケット(40)は、一方向に長い形状を有し、前記冷媒ジャケット(40)の前記着脱面(51)には、前記一方向に延びる溝(51L,51R)が設けられており、前記冷媒配管(10)の前記冷却部(10A)は、前記溝(51L,51R)内において前記一方向に延びており、前記インバータ(21)と前記コンバータ(23)は、前記冷媒ジャケット(40)を介して前記冷却部(10A)に対向する位置において前記一方向に配列された状態で前記冷媒ジャケット(40)の前記対向面(52)に接しているのが好ましい。
【0021】
この構成では、一方向に長い形状を有し、一方向に延びる溝(51L,51R)が設けられた冷媒ジャケット(40)は、例えば押出成形によって効率よく成形することができる。そして、溝(51L,51R)の延びる方向と、インバータ(21)とコンバータ(23)の配列方向とを一致させることにより、冷媒配管(10)の冷却部(10A)による冷却可能な領域にインバータ(21)とコンバータ(23)を対応させることができる。
【0022】
本発明の他の冷凍装置は、
冷媒回路(4)を有する冷凍装置であって、パワーデバイス(20)と前記パワーデバイス(20)が取り付けられたプリント配線板(90)とを含むプリント回路板(91)と、前記冷媒回路(4)の冷媒が流れる冷媒配管(10)と、前記パワーデバイス(20)に接するとともに前記プリント配線板(90)に対向する対向面(52)と、前記対向面(52)の反対側において前記冷媒配管(10)のうちの一部である冷却部(10A)を着脱可能な着脱面(51)とを有し、前記プリント回路板(91)と一体化され、かつ前記着脱面(51)に前記冷却部(10A)が取り付けられた状態で前記冷却部(10A)を流れる冷媒によって前記パワーデバイス(20)を冷却する冷媒ジャケット(40)と、前記冷媒ジャケット(40)の前記対向面(52)に取り付けられた温度検知部(T)と、前記冷媒ジャケット(40)における前記着脱面(51)側に取り付けられる押さえ板(70)
と、を備え、前記押さえ板(70)は、前記冷媒ジャケット(40)と前記押さえ板(70)との間に前記冷媒配管(10)の前記冷却部(10A)を挟んだ状態で前記冷却部(10A)を前記着脱面(51)側に押さえる閉状態と、前記冷却部(10A)を前記着脱面(51)に対して着脱可能な開状態とを取り得る構成であ
る。
【0023】
この構成では、押さえ板(70)が閉状態のときには、冷却部(10A)が着脱面(51)側に押さえられるので、冷却部(10A)と着脱面(51)との間の良好な熱伝導性を確保できる。また、冷凍装置の組立時、サービス時などには、押さえ板(70)を開状態にすることによって冷却部(10A)を着脱面(51)に対して着脱することができる。
【0024】
本発明のさらに他の冷凍装置
は、
冷媒回路(4)を有する冷凍装置であって、パワーデバイス(20)と前記パワーデバイス(20)が取り付けられたプリント配線板(90)とを含むプリント回路板(91)と、前記冷媒回路(4)の冷媒が流れる冷媒配管(10)と、前記パワーデバイス(20)に接するとともに前記プリント配線板(90)に対向する対向面(52)と、前記対向面(52)の反対側において前記冷媒配管(10)のうちの一部である冷却部(10A)を着脱可能な着脱面(51)とを有し、前記プリント回路板(91)と一体化され、かつ前記着脱面(51)に前記冷却部(10A)が取り付けられた状態で前記冷却部(10A)を流れる冷媒によって前記パワーデバイス(20)を冷却する冷媒ジャケット(40)と、前記冷媒ジャケット(40)の前記対向面(52)に取り付けられた温度検知部(T)と、を備え、前記温度検知部(T)は、第1ねじ(81)が挿通されるねじ孔(T3)を有するねじ止め部(T1)と、前記ねじ止め部(T1)から前記対向面(52)に沿って延びる延出部(T2)と、を含み、前記パワーデバイス(20)は、前記冷媒ジャケット(40)に対して第2ねじ(82)により固定されており、前記第2ねじ(82)は、前記延出部(T2)が前記第2ねじ(82)に当接することによって前記温度検知部(T)が前記ねじ孔(T3)を中心にして回転するのを規制する位置に設けられてい
る。
【0025】
この構成では、第2ねじ(82)は、パワーデバイス(20)を冷媒ジャケット(40)に対して固定する機能と、温度検知部(T)の回転を規制する機能とを兼ね備えている。したがって、温度検知部(T)を冷媒ジャケット(40)の着脱面(51)に取り付ける工程において、ねじ止め部(T1)のねじ孔(T3)に挿通された第1ねじ(81)を工具によって回転させ、第1ねじ(81)を冷媒ジャケット(40)に螺合するときに、延出部(T2)が第2ねじ(82)に当接することによって温度検知部(T)がねじ孔(T3)を中心にして回転するのが規制される。よって、この構成では、温度検知部(T)の回転を規制するための部材を別途設けなくても、温度検知部(T)の延出部(T2)を適正な位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、装置の組み立て時の作業効率の低下を抑制しつつ、温度検知部を取り付けるための伝熱板を省略することができる冷凍装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る冷凍装置について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、冷凍装置が空気調和装置1である場合を例に挙げて説明する。
【0029】
<空気調和装置>
図1に示すように、空気調和装置1は、室外に設置される室外機2と、室内に設置される室内機3とを備えている。室外機2と室内機3とは、連絡配管によって互いに接続されている。空気調和装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路4を備えている。冷媒回路4には、主として、室内熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、室外熱交換器14、膨張機構である膨張弁15、アキュムレータ16、四方切換弁17が設けられており、これらが冷媒回路4の冷媒が流れる冷媒配管10によって接続されている。
【0030】
室内熱交換器11は、冷媒を室内空気と熱交換させるための熱交換器であり、室内機3に設けられている。室内熱交換器11としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用することできる。室内熱交換器11の近傍には、室内空気を室内熱交換器11へ送風するための室内ファン(図示省略)が設けられている。
【0031】
圧縮機12、油分離器13、室外熱交換器14、膨張弁15、アキュムレータ16及び四方切換弁17は、室外機2に設けられている。これらは、何れもケーシング5(
図2参照)内に収容されている。
【0032】
圧縮機12は、吸入ポート、圧縮機構及び吐出ポートを有し、吸入ポートから吸入した冷媒を圧縮機構で圧縮して、吐出ポートから吐出する。圧縮機12としては、例えば、スクロール圧縮機等の種々の圧縮機を採用することができる。
【0033】
油分離器13は、圧縮機12から吐出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離するためのものである。分離された冷媒は四方切換弁17へ送られ、潤滑油は圧縮機12に戻される。
【0034】
室外熱交換器14は、冷媒を室外空気と熱交換させるためのものであり、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用できる。室外熱交換器14の近傍には、室外空気を室外熱交換器14へ送風するための室外ファンが設けられている。
【0035】
膨張弁15は、冷媒回路4において室外熱交換器14と室内熱交換器11との間に配設され、流入した冷媒を膨張させて、所定の圧力に減圧させる。膨張弁15として、例えば開度可変の電子膨張弁15を採用することができる。
【0036】
アキュムレータ16は、流入した冷媒を気液分離するものであり、冷媒回路4において圧縮機12の吸入ポートと四方切換弁17との間に配設されている。アキュムレータ16で分離されたガス冷媒は、圧縮機12に吸入される。
【0037】
四方切換弁17には、第1〜第4の4つのポートが設けられている。四方切換弁17は、第1ポートと第3ポートとを連通すると同時に第2ポートと第4ポートとを連通する第1状態(
図1において実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとを連通すると同時に第2ポートと第3ポートとを連通する第2状態(
図1において破線で示す状態)とに切換可能である。第1ポートは、油分離器13を介して圧縮機12の吐出ポートに接続され、また第2ポートは、アキュムレータ16を介して圧縮機12の吸入ポートに接続され、また第3ポートは、室外熱交換器14に接続され、また第4ポートは、連絡配管を介して室内熱交換器11に接続されている。空気調和装置1が冷房運転を行うときには、四方切換弁17は第1状態に切り換えられ、暖房運転を行うときには、四方切換弁17は第2状態に切り換えられる。
【0038】
冷媒回路4の冷媒配管10の一部(冷却部10A)は、後述するプリント回路板91のパワーデバイス20を冷却するための冷媒ジャケット40に取り付けられる。本実施形態では、冷却能力を考慮して、
図1に示すように冷媒配管10のうちの液側配管が冷媒ジャケット40に取り付けられている。本実施形態では、冷媒ジャケット40に取り付けられる液側配管は、冷媒回路4における室外熱交換器14と膨張弁15との間の液側配管であるが、これに限られない。
【0039】
冷媒ジャケット40に取り付けられる液側配管には、冷房運転時には、室外熱交換器14で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には、室内熱交換器11で凝縮し、膨張弁15で減圧された冷媒が流れる。これらの冷媒の温度は、運転条件等によって異なるが、例えば冷房運転時で40〜45℃程度である。
【0040】
<室外機>
図2に示すように、室外機2は、ケーシング5を備えている。ケーシング5内には、上述した圧縮機12、油分離器13、室外熱交換器14、膨張弁15、アキュムレータ16、四方切換弁17などが収容されている。
【0041】
ケーシング5は、底板6と、この底板6の周縁部に立設された側板7と、側板7の上端部間に架設される天板8とを有し、全体として略直方体形状の外観を呈している。室外機2には、ケーシング5内の空間を2つの空間に区切る仕切り板9が設けられている。この仕切り板9は、ケーシング5内の空間の下端部から上端部にわたる大きさを有していて、ケーシング5の底板6に立設されるように設けられている。この仕切り板9により、ケーシング5内の空間は、室外熱交換器14及び室外ファンが収容される熱交換室5Aと、圧縮機12、電装品モジュール100等が収容される機械室5Bとに仕切られている。ケーシング5の前面には、熱交換室5Aの空気をケーシング5外に吹き出すための吹出し口が開口している。
【0042】
機械室5Bは、ケーシング5内の空間の側部(ケーシング5を正面から見て右側部)において、前後方向の全体を占めるように形成されている。機械室5Bを覆うケーシング5の一部を取り外すことにより現れる開口側に電装品モジュール100が配置されている。本実施形態では、
図2に示すように、ケーシング5の前面側板の一部を取り外すことによりケーシング5の前面の一部が開口する。そして、機械室5B内における前側に電装品モジュール100が配置されている。
【0043】
電装品モジュール100は、冷媒回路4の動作制御を行うための電装品組立体である。電装品モジュール100は、その前面がケーシング5の前側の前面側板におよそ平行になる姿勢で、前面側板の近傍に設置されている。したがって、サービス時などにおいてケーシング5の前面側板を取り外すと、
図2に示すように電装品モジュール100の前面が前側に露出する。
【0044】
電装品モジュール100は、機械室5Bにおいて高さ方向の中間部に配置されていて、電装品モジュールの上方及び下方は空間となっている。電装品モジュール100は、例えば仕切り板9やケーシング5の側板に支持(固定)されている。電装品モジュール100は、プリント回路板91と、冷媒ジャケット40と、温度検知部Tとを含む。本実施形態では、電装品モジュール100は、プリント回路板91の背面側に設けられてプリント回路板91を支持する支持部材93と、押さえ板70とをさらに含む。
【0045】
温度検知部Tは、冷媒ジャケット40に固定されており、冷媒ジャケット40は、プリント回路板91に固定されており、プリント回路板91は、支持部材93に支持されており、支持部材93は、ケーシング5に支持されている。これにより、電装品モジュール100は、ケーシング5に支持されている。
【0046】
<パワーデバイスの冷却構造>
次に、パワーデバイス20の冷却構造について説明する。本実施形態における冷却構造では、冷却器30がプリント回路板91のパワーデバイス20を冷却する。冷却器30は、冷媒ジャケット40と、冷媒配管10の一部である冷却部10Aとを含む。本実施形態では、冷却器30は、冷媒ジャケット40に取り付けられる押さえ板70をさらに含む。冷却器30については後述する。
【0047】
(プリント回路板)
まず、プリント回路板91のおおまかな構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、プリント回路板91は、種々の電子部品と、これらの電子部品を実装するプリント配線板90とを含む。プリント配線板90は、ケーシング5の一部(本実施形態では、前面側板)を取り外すことにより現れる開口側に向いた主面(前面)90aを有する。プリント配線板90は、起立した姿勢で支持部材93に支持されている。本実施形態では、プリント配線板90は、上下方向に平行な姿勢で配置されているが、これに限定されず、上下方向に対して多少傾斜した姿勢で配置されていてもよい。
【0048】
前記電子部品は、強電部品群と、弱電部品群98とを含む。強電部品群は、パワーデバイス20、電解コンデンサなどのコンデンサ94、リアクタ端子95、図略の電源の入力線部96及びインバータ出力線部97を含む。パワーデバイス20は、インバータと、コンバータとを含む。本実施形態では、パワーデバイス20は、圧縮機制御用の第1インバータ21、ファンモータ制御用の第2インバータ22,第1コンバータ23、第2コンバータ24を含む。前記電源から入力線部96に入力される電力は、コンバータ23,24、リアクタ端子95、図略のリアクタ、コンデンサ94、インバータ21,22、出力線部97の順に流れる。プリント配線板90の主面90aには、上述の電子部品の他、マイコン99、図略のノイズフィルタ、設定スイッチ、制御動作状況を表示可能な表示部などの種々の電子部品が実装されている。リアクタ端子95と前記リアクタは、図略のリアクタ線によって接続されている。
【0049】
プリント配線板90の主面90aにおいて、強電部品群は、プリント配線板90の下部の領域(強電領域)に配置されており、弱電部品群98は、前記強電領域よりも上部に位置する領域(弱電領域)に配置されている。
【0050】
入力線部96は、パワーデバイス20の一方のサイド(
図3ではパワーデバイス20の左側)に配置され、出力線部97は、パワーデバイス20の他方のサイド(
図3ではパワーデバイス20の右側)に配置されている。このように電源の入力線部96とインバータ出力線部97とを分離することによってノイズ低減効果を高めることができる。
【0051】
インバータ21,22及びコンバータ23,24は、プリント配線板90の主面90aにおいて、一方向に沿って一列に並んでいる。本実施形態では、第1インバータ21、第2インバータ22、第1コンバータ23及び第2コンバータ24は、上下方向に一列に並んでおり、上からこの順番に並んでいる。
【0052】
図4に示すように、第1インバータ21は、デバイス本体200と、第1リード部201と、第2リード部202とを有する。デバイス本体200は、第1リード部201側に位置する信号部20Sと、第2リード部202側に位置し、信号部20Sよりも発熱しやすい強電部20Pとを有する。信号部20Sには第1リード部201が接続されており、強電部20Pには第2リード部202が接続されている。信号部20Sと強電部20Pとのおおよその境界は、
図4において破線で示されている。
【0053】
同様に、第2インバータ22は、デバイス本体200と、第1リード部201と、第2リード部202とを有する。デバイス本体200は、第1リード部201側に位置する信号部20Sと、第2リード部202側に位置し、信号部20Sよりも発熱しやすい強電部20Pとを有する。信号部20Sには第1リード部201が接続されており、強電部20Pには第2リード部202が接続されている。信号部20Sと強電部20Pとのおおよその境界は、
図4において破線で示されている。
【0054】
第1インバータ21及び第2インバータ22の第1リード部201は、デバイス本体200の一方のサイドからプリント配線板90に向かって延び、プリント配線板90に接続される。第1インバータ21及び第2インバータ22の第2リード部202は、デバイス本体200の他方のサイドからプリント配線板90に向かって延び、プリント配線板90に接続される。
【0055】
第1コンバータ23は、デバイス本体200と、リード部202とを有する。同様に、第2コンバータ24は、デバイス本体200と、リード部202とを有する。第1コンバータ23及び第2コンバータ24のデバイス本体200のほぼ全体は、発熱しやすい強電部(20P)により構成されている。
【0056】
(冷却器)
次に、冷却器30について説明する。上述したように、本実施形態の冷却器30は、冷媒ジャケット40と、冷媒配管10の冷却部10Aと、冷媒ジャケット40に取り付けられる押さえ板70とを含む。
【0057】
冷却部10Aは、冷媒配管10のうち、パワーデバイス20を冷却可能な温度の冷媒が流れる冷媒配管10の一部である。本実施形態では、
図1に示すように、冷却部10Aは、室外熱交換器14と膨張弁15との間に位置する液配管の一部である。本実施形態では、前記液配管の一部は、
図2に示すようにU字状に折り曲げられた形状を有し、このU字状部分(冷媒ジャケット40の外に位置する屈曲部の端部を除く)が冷却部10Aとして機能する。また、本実施形態では、前記液配管の一部は、ケーシング5内においてU字状部分における屈曲部の端部が最上部に位置するように配置されている。
【0058】
図2及び
図5に示すように、冷却部10Aは、互いに平行な姿勢で上下方向に延びる第1冷却部A1と第2冷却部A2とを有する。第1冷却部A1と第2冷却部A2は、屈曲部を介して接続されている。冷却部10Aの上流側(第1冷却部A1の上流側)につながる冷媒配管10の上流側部は、ケーシング5内において、プリント回路板91のパワーデバイス20に向かって上方に延びており、冷却部10Aの下流側(第2冷却部A2の下流側)につながる冷媒配管10の下流側部は、ケーシング5内において、プリント回路板91のパワーデバイス20から下方に延びている。冷却部10Aは、冷媒ジャケット40に沿って上方に延びている。
【0059】
次に、冷媒ジャケット40及び押さえ板70について説明する。冷媒ジャケット40は、
図3において二点鎖線で示す領域に配置される。冷媒ジャケット40は、プリント回路板91と一体化され、かつ冷却部10Aが取り付けられた状態で冷却部10Aを流れる冷媒によってパワーデバイス20を冷却する。本実施形態では、冷媒ジャケット40は、一方向(上下方向)に長い形状を呈し、プリント配線板90の下端部に対向する位置から上方に延びている。
【0060】
図6に示すように、冷媒ジャケット40は、冷媒配管10の冷却部10Aとパワーデバイス20との間に介在して双方に接触されるジャケット本体50と、このジャケット本体50をプリント配線板90に取り付けるための支持脚60a,60bとを有する。
【0061】
ジャケット本体50は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料からなる。このジャケット本体50は、押し出し成形により成形され、一方向に長い形状を有する。ジャケット本体50は、着脱面51と、対向面52とを有する。対向面52は、パワーデバイス20に接するとともにプリント配線板90に対向している。着脱面51は、対向面52の反対側において冷媒配管10の冷却部10Aを着脱可能である。本実施形態では、ジャケット本体50は、厚さの薄い扁平状に形成されている。着脱面51は、ジャケット本体50の厚さ方向の一方の主面に設けられ、対向面52は、ジャケット本体50の厚さ方向の他方の主面に設けられている。
【0062】
図6に示すように、着脱面51には、前記一方向に延びる一対の溝(配管配置溝)51L,51Rが設けられている。これらの溝51L,51Rは、互いに平行な姿勢で一方向に延びている。一方の溝51Rには、冷却部10Aの第1冷却部A1及び第2冷却部A2のうちの一方が配置され、他方の溝51Lには、第1冷却部A1及び第2冷却部A2のうちの他方が配置される。
【0063】
各溝の内面は、半円弧状に湾曲した湾曲面となっている(
図5参照)。この湾曲した内面の径は、断面が円形の冷却部10Aの径とほぼ同じか若干大きい。これにより、各溝の内面と冷却部10Aの外面との接触面積を大きくすることができる。また、各溝の内面の径が冷却部10Aの径とほぼ同じか若干大きいことにより、冷却部10Aを着脱面51の溝51L,51Rに取り付けやすく、かつ取り外しやすい。
【0064】
図5及び
図7に示すように、対向面52は、パワーデバイス20のデバイス本体200に接する接触部520と、第1凹部521、第2凹部522とを有する。接触部520は、熱伝導性の高いグリス等の塗布剤を介してデバイス本体200と接していてもよい。デバイス本体200の表面が平面である場合には、接触部520は、平坦な面であるのが好ましい。
【0065】
図7に示すように、接触部520には、パワーデバイス20を接触部520に固定するための複数のねじ孔85,88と、温度検知部Tを接触部520に固定するためのねじ孔87と、支持脚60a,60bをジャケット本体50に固定するためのねじ孔86,86とが形成されている。
【0066】
図4、
図5及び
図7に示すように、第1凹部521は、第1リード部201に対向するとともに接触部520よりもパワーデバイス20から離れる方向に位置することにより第1リード部201との絶縁距離を確保する。第2凹部522は、第2リード部202に対向するとともに接触部520よりもパワーデバイス20から離れる方向に位置することにより第2リード部202との絶縁距離を確保する。接触部520、第1凹部521及び前記第2凹部522のそれぞれは、前記一方向(本実施形態では上下方向)に延びている。
【0067】
図4に示すように、接触部520は、ジャケット本体50における短手方向の中心を通る中心線Cを含む領域に設けられている。第1凹部521は、接触部520に対して前記短手方向の一方のサイドに設けられており、第2凹部522は、接触部520に対して前記短手方向の他方のサイドに設けられている。
【0068】
本実施形態では、第2凹部522は、第1凹部521よりも中心線Cに近い位置に設けられている。そして、ジャケット本体50を背面視したときに、第2凹部522における前記短手方向の長さL2が第1凹部521における前記短手方向の長さL1よりも大きくなるように、第1凹部521及び第2凹部522が設けられている。これにより、第1インバータ21の強電部20Pに接続されている第2リード部202、及び第2インバータ22の強電部20Pに接続されている第2リード部202と、第2凹部522との絶縁距離をより確実に確保することができる。
【0069】
接触部520における前記短手方向の長さL0は、長さL1よりも大きく、長さL2よりも大きい。これにより、パワーデバイス20との接触面積を大きくして冷却効率を高めることができる。
【0070】
図5に示すように、第1凹部521における接触部520側の端部52Kは、第1リード部201から離れる方向に向かうにつれて接触部520から離れる傾斜面である。第2凹部522における接触部520側の端部52Kは、第2リード部202から離れる方向に向かうにつれて接触部520から離れる傾斜面である。したがって、端部52Kが傾斜面でなく接触部520に直交する平面である場合に比べて、ジャケット本体50がパワーデバイス20の熱を冷却部10Aに伝達する能力を高めることができる。なお、これらの傾斜面は、平面であってもよく凸曲面や凹曲面などのであってもよい。
【0071】
図8に示すように、支持脚60a,60bは、ジャケット本体50をプリント配線板90に取り付けるためのものである。
図9及び
図6に示すように、第1支持脚60aは、ジャケット本体50の長手方向の一端側においてねじ孔86に螺合されるねじ84(
図9参照)によって固定され、第2支持脚60bは、他端側においてねじ孔86に螺合されるねじ84(
図9参照)によって固定される。
【0072】
第1支持脚60aは、プリント配線板90に取り付けるための取付部62と、押さえ板70と係合し、押さえ板70が開閉する際の回動部としての役割を果たす係合部64と、押さえ板70を閉状態に維持する係合部65とを含む。同様に、第2支持脚60bは、プリント配線板90に取り付けるための取付部62と、押さえ板70と係合し、押さえ板70が開閉する際の回動部としての役割を果たす係合部64と、押さえ板70を閉状態に維持する係合部65とを含む。係合部64は、押さえ板70の短手方向の一方の側部に設けられており、係合部65は、係合部64に対して押さえ板70の短手方向の反対側の側部に設けられている。
【0073】
各取付部62は、プリント配線板90の表面と接触部520との間にパワーデバイス20を配置するための空間を確保可能な寸法に設定される。各取付部62の先端部は、プリント配線板90に固定される(
図8参照)。
図6に示すように、各係合部64は、後述する押さえ板70の係合部75Lが挿入される挿入孔64aを有する。各係合部65は、後述する押さえ板70の係合部75Rが挿入される挿入孔65aを有する。
【0074】
押さえ板70は、冷媒ジャケット40との間で冷媒配管10の冷却部10Aを挟み込むためのものである。押さえ板70は、冷媒ジャケット40における着脱面51側に取り付けられる。押さえ板70は、冷媒ジャケット40と押さえ板70との間に冷媒配管10の冷却部10Aを挟んだ状態で冷却部10Aを着脱面51側に押さえる閉状態と(
図5,
図10参照)、冷却部10Aを着脱面51に対して着脱可能な開状態と(
図6参照)を取り得る。
【0075】
押さえ板70は、冷媒ジャケット40と同方向に長い形状を有する。本実施形態では、押さえ板70は、一枚の板金により形成されているが、これに限定されない。押さえ板70は、固定具80により冷媒ジャケット40に向けて押し付けられるともに、冷却部10Aを覆う板本体71と、上述した係合部75L,75Rとを有する。係合部75L,75Rは、押さえ板70の短手方向に延びる部位と長手方向に延びる部位とを有する。すなわち、係合部75L,75Rは、L字形状の部位を有する。
【0076】
この押さえ板70は、板本体71が固定具80により冷媒ジャケット40に向けて押し付けられた際に、冷媒配管10の冷却部10Aのうねりを矯正可能な剛性を有する。板本体71は、固定具80の軸部を挿通するための挿通孔71aを有する。そして、挿通孔71aに挿通された固定具80の軸部がジャケット本体50の固定具取付部53aに固定されることにより、当該板本体71は、冷却部10Aに向けて押し付けられる。
【0077】
押さえ板70を冷媒ジャケット40に取り付ける手順は次の通りである。まず、
図6に示すように、押さえ板70の各係合部75Lを冷媒ジャケット40の対応する係合部64の挿入孔64aに挿入し、これらを互いに係合させる(開状態)。ついで、係合部64と係合部75Lとの係合部分を中心に押さえ板70を回動させる。これにより、
図10に示すように、押さえ板70が冷媒ジャケット40の着脱面51に対面する(閉状態)。
図10には、冷媒配管10の冷却部10Aを描いていないが、
図5に示すように冷媒ジャケット40と押さえ板70との間に冷却部10Aを介在させ、閉状態とすることによって冷却部10Aが冷媒ジャケット40の着脱面51に押し付けられ、着脱面51と面接触する。
【0078】
なお、閉状態では、押さえ板70の各係合部65は、対応する係合部65の挿入孔65aに挿入される。このとき、押さえ板70をその長手方向にスライド移動させることによって、係合部75L,75RのL字形状の部位が対応する挿入孔により強固に係合する。
【0079】
温度検知部Tは、パワーデバイス20の温度を検知するためのものである。本実施形態では、温度検知部Tはサーミスタ(フィンサーミスタ)であるが、パワーデバイス20の温度を検知できるものであればよく、サーミスタに限定されない。
【0080】
図4及び
図8に示すように、温度検知部Tは、冷媒ジャケット40の対向面52に取り付けられている。特に、本実施形態では、温度検知部Tは、対向面52の接触部520に取り付けられている。また、温度検知部Tは、コンバータ23,24よりもインバータ21,22に近い位置に配置されている。温度検知部Tは、第1インバータ21と第2インバータ22との間に配置されている。第1インバータ21と第2インバータ22は、温度検知部Tが丁度配置できるような間隔をおいて配置されている。
【0081】
温度検知部Tは、第1ねじ81が挿通されるねじ孔T3を有するねじ止め部T1と、ねじ止め部T1から対向面52に沿って延びる延出部T2とを含む。温度検知部Tは、一方向に長い形状を呈しており、接触部520に沿って延びるように配置されている。温度検知部Tは、ジャケット本体50の接触部520に形成されたねじ孔87に螺合される第1ねじ81によってジャケット本体50に固定される。
図4に示すように、温度検知部Tには、検知した信号をプリント回路板91に送るための細長い配線Wが接続されている。この温度検知部Tの配線Wの端部は、電装品モジュール100のプリント回路板91に接続される。
【0082】
ここで、
図4、
図9、
図8及び
図7に示すように、第1インバータ21のデバイス本体200は、ジャケット本体50の接触部520に形成されたねじ孔85,85に螺合されるねじ83,83によってジャケット本体50に固定される。第1コンバータ23のデバイス本体200は、接触部520に形成されたねじ孔85に螺合されるねじ83によってジャケット本体50に固定される。第2コンバータ24のデバイス本体200は、接触部520に形成されたねじ孔85に螺合されるねじ83によってジャケット本体50に固定される。
【0083】
第2インバータ22のデバイス本体200は、ジャケット本体50の接触部520に形成されたねじ孔85に螺合されるねじ83と、ねじ孔88に螺合される第2ねじ82とによってジャケット本体50に固定される。この第2ねじ82は、
図4及び
図11に示すように、温度検知部Tの延出部T2が第2ねじ82に当接することによって温度検知部Tがねじ孔T3を中心にして回転するのを規制する位置に設けられている。
【0084】
すなわち、第2ねじ82は、第2インバータ22をジャケット本体50に対して固定する機能と、温度検知部Tの回転を規制する機能とを兼ね備えている。したがって、温度検知部Tを着脱面51に取り付ける工程において、ねじ止め部T1のねじ孔T3に挿通された第1ねじ81を工具によって回転させ、第1ねじ81をねじ孔87に螺合するときに、
図11において破線T2で示すように延出部T2が第2ねじ82に当接することによって温度検知部Tがねじ孔T3を中心にしてそれ以上回転するのが規制される。
【0085】
上記のような空気調和装置1では、冷凍サイクルが実行されると、パワーデバイス20が駆動してその発熱部が発熱するが、パワーデバイス20は、冷却器30によって冷却される。すわなち、パワーデバイス20は、冷媒ジャケット40及び冷媒配管10の冷却部10Aを介して冷却部10Aを流れる液冷媒との間で熱交換することによって冷却される。しかも、冷媒ジャケット40の対向面52の接触部520に温度検知部Tが取り付けられているので、パワーデバイス20の温度を精度よく検知することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、冷媒ジャケット40に対して冷媒配管10の冷却部10Aを着脱可能な構成を採用している。したがって、冷媒ジャケット40、温度検知部T及びプリント回路板91が一体化された電装品モジュール100を予め組み立てておき、組み立てられた電装品モジュール100をケーシング5内の所定の位置に配置した後、冷媒ジャケット40の着脱面51に冷媒配管10の冷却部10Aを取り付けるという組み立て手順を採用することができる。
【0087】
すなわち、本実施形態では、温度検知部Tを冷媒ジャケット40に直接取り付けることができるので、従来の冷凍装置に設けられていた伝熱板を省略することができる。しかも、本実施形態では、電装品モジュール100をケーシング5内の所定の位置に配置する工程の前に、冷媒ジャケット40、温度検知部T及びプリント回路板91が予め一体化された電装品モジュール100を組み立てておくことができる。すなわち、この電装品モジュール100を組み立てる工程において温度検知部Tから延びる配線Wをプリント回路板91に接続しておくことが可能になるので、電装品モジュール100をケーシング5内の所定の位置に配置する際に、温度検知部Tから延びる配線Wが邪魔になるという不具合が生じず、作業効率の低下を抑制できる。
【0088】
また、従来のように、電装品モジュールを配置する工程の前に、冷媒ジャケットに温度検知部が予め取り付けられる場合には、温度検知部の配線の端部をプリント回路板に接続する作業は、電装品モジュールをケーシング内の所定の配置した後に行う必要がある。すなわち、従来、温度検知部を冷媒ジャケットに取り付ける作業と、温度検知部の配線の端部をプリント回路板に接続する作業とは、全く別の工程で行う必要があるので、作業効率が必ずしもよいとは言えない。一方、本実施形態では、温度検知部Tの配線の端部をプリント回路板91に接続する作業と、温度検知部Tを冷媒ジャケット40に取り付ける作業とを同じ工程で行うことも可能になるので、温度検知部Tの取り付け作業と、温度検知部Tの配線をプリント回路板91に接続する作業とを含む温度検知部Tに関する作業効率を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、冷媒ジャケット40に対して冷媒配管10の冷却部10Aを着脱可能な構成を採用しているので、例えばプリント回路板91などの点検、修理などのサービス時には、冷媒配管10の冷却部10Aを冷媒ジャケット40から取り外すことにより、電装品モジュール100をケーシング内から取り出すことができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、冷媒ジャケット40の対向面52に温度検知部Tが取り付けられているので、パワーデバイス20の温度を精度よく検知することができる。すなわち、冷媒ジャケット40の対向面52は、温度検知部Tが取り付けられる面であるとともに、パワーデバイス20に接する面でもある。しかも、温度検知部Tとパワーデバイス20は、冷媒ジャケット40の対向面52とプリント配線板90との間の同じ空間に設けられる。したがって、温度検知部Tは、パワーデバイス20の温度を精度よく検知することができる。また、冷媒ジャケット40の対向面52とプリント配線板90との間の空間は空気の流れが少ないため、温度検知部Tによる検知温度は、周囲の状況(外乱)によって影響を受けにくい。
【0091】
また、本実施形態では、温度検知部Tは、コンバータ23,24よりもインバータ21,22に近い位置、すなわちコンバータ23,24に比べて発熱しやすいインバータ21,22の温度をより精度よく検知できる位置に設けられている。したがって、仮にインバータ21,22の温度が予め定められた上限温度に達した場合であっても、冷媒配管10の冷却部10Aを流れる冷媒量を増加させる、冷凍装置の運転を停止するなどの適切な動作をより迅速に実行することができる。
【0092】
また、本実施形態では、温度検知部Tがコンバータ23,24に比べて発熱しやすい2つのインバータ21,22の間の位置に設けられている。この位置は、プリント回路板91において特に発熱しやすい部位又はその近傍であるので、2つのインバータ21,22の両方又は一方の発熱時において上記したような適切な動作をさらに迅速に実行することができる。
【0093】
また、本実施形態では、冷媒配管10の冷却部10Aが冷媒ジャケット40の着脱面51において一方向に延びる溝51L,51R内に配置される一方で、インバータ21,22とコンバータ23,24が一方向に配列された状態で冷媒ジャケット40の対向面52に接しているので、冷媒配管10の冷却部10Aを流れる冷媒によってインバータ21,22とコンバータ23,24を効果的に冷却することができる。また、一方向に長い形状を有し、一方向に延びる溝51L,51Rが設けられた冷媒ジャケット40は、例えば押出成形によって効率よく成形することができる。
【0094】
また、本実施形態では、押さえ板70は、冷媒ジャケット40と押さえ板70との間に冷媒配管10の冷却部10Aを挟んだ状態で冷却部10Aを着脱面51側に押さえる閉状態と、冷却部10Aを着脱面51に対して着脱可能な開状態とを取り得る。したがって、押さえ板70が閉状態のときには、冷却部10Aが着脱面51側に押さえられるので、冷却部10Aと着脱面51との間の良好な熱伝導性を確保できる。また、冷凍装置1の組立時、サービス時などには、押さえ板70を開状態にすることによって冷却部10Aを着脱面51に対して着脱することができる。
【0095】
また、本実施形態では、第2ねじ82は、パワーデバイス20を冷媒ジャケット40に対して固定する機能と、温度検知部Tの回転を規制する機能とを兼ね備えている。したがって、温度検知部Tを冷媒ジャケット40の着脱面51に取り付ける工程において、ねじ止め部T1のねじ孔T3に挿通された第1ねじ81を工具によって回転させ、第1ねじ81を冷媒ジャケット40に螺合するときに、延出部T2が第2ねじ82に当接することによって温度検知部Tがねじ孔T3を中心にして回転するのが規制される。よって、温度検知部Tの回転を規制するための部材を別途設けなくても、温度検知部Tの延出部T2を適正な位置に配置することができる。
【0096】
<他の実施形態>
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0097】
前記実施形態では、パワーデバイス20が2つのインバータ21,22と、2つのコンバータ23,24とを含む場合を例示したが、これに限定されない。例えばパワーデバイス20が1つのインバータと1つのコンバータとからなる場合であってもよい。また、パワーデバイス20が3つ以上のインバータや3つ以上のコンバータを含んでいてもよい。
【0098】
前記実施形態では、温度検知部Tが2つのインバータ21,22の間に配置されている場合を例示したが、これに限定されない。
【0099】
前記実施形態では、冷媒配管10の冷却部10Aが冷媒ジャケット40の溝に配置される場合を例示したが、これに限定されない。冷却部10Aと冷媒ジャケット40との接触面積を多くすることができれば、冷媒ジャケット40は、必ずしも溝を備えていなくてもよい。
【0100】
前記実施形態では、押さえ板70がジャケット本体50のほぼ全体を覆うことができる大きさを有している場合を例示したが、これに限定されない。押さえ板70は、冷媒配管10の冷却部10Aを着脱面51側に押さえつけることができればよいので、ジャケット本体50よりも小さくてもよい。
【0101】
前記実施形態では、冷却器30が押さえ板70を含む場合を例示したが、これに限定されない。冷凍装置1の運転時において冷却部10Aが着脱面51に接する状態を維持でき、サービス時などにおいて冷却部10Aを着脱面51から取り外すことができる構造であれば、押さえ板70を省略してもよく、また、押さえ板70に代えて他の支持部材を採用することもできる。押さえ板70を省略する手段としては、例えば冷却部10Aを着脱可能でかつ冷却部10Aを保持できる程度に、冷媒ジャケット40の溝51L,51Rの内径を冷却部10Aの外形とほぼ同じにする方法が挙げられる。
【0102】
前記実施形態では、第2ねじ82がパワーデバイス20を冷媒ジャケット40に対して固定する機能と、温度検知部Tの回転を規制する機能とを兼ね備えている場合を例示したが、これに限定されない。温度検知部Tの回転止め対策を施す必要がない場合には、第2ねじ82に上記のような2つの機能を持たせる必要はない。
【0103】
前記実施形態では、パワーデバイス20を対向面52に取り付けるための手段としてねじをねじ孔に螺合する場合を例示したが、これに限定されず、他の固定手段を用いることもできる。
【0104】
前記実施形態では、冷媒ジャケット40がジャケット本体50と支持脚60a,60bを含み、ジャケット本体50と支持脚60a,60bとが別体である場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ジャケット本体50と支持脚60a,60bとは一体成形されたものであってもよい。
【0105】
前記実施形態では、冷凍装置が空気調和装置である場合を例示したが、これに限定されない。冷凍装置は、例えば、空冷式の室内熱交換器11の代わりに水冷式の熱交換器を備えた給湯装置や冷却装置などであってもよい。