(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ネットワークに接続された複数の機器間におけるテキストデータの送受信により、ネットユーザ間の情報交換を実現するネットワークコミュニケーションサービスを提供するサーバ装置に、通信ネットワークを介してデータ送受信可能に接続する接続手段と、
前記接続したサーバ装置から他の機器が送信した一連のテキストデータを受信する受信手段であって、テキスト形式の設定制御データと、該設定制御データを利用可能な機器を判別するためのテキスト形式の識別データとを少なくとも含んでなる前記一連のテキストデータを受信する前記受信手段と、
前記受信した一連のテキストデータ毎にそのデータ内容を時系列でテキスト表示する表示手段と、
前記表示手段にテキスト表示された個々のテキストデータのデータ内容を表す文字列を選択する選択手段と、
前記受信した一連のテキストデータに含まれるテキスト形式の設定制御データを、電子機器の設定を行うためのデータであって、特定の形式に従って生成されるバイナリ形式の設定制御データに逆変換するデータ逆変換手段であって、前記選択された文字列によりテキストデータを特定し、該特定したテキストデータに含まれるテキスト形式の設定制御データをバイナリ形式の設定制御データに逆変換するものと、
前記逆変換により得られたバイナリ形式の設定制御データを反映するデータ反映手段と
を備える電子装置。
通信ネットワークに接続された複数の機器間におけるテキストデータの送受信により、ネットユーザ間の情報交換を実現するネットワークコミュニケーションサービスを提供するサーバ装置に、通信ネットワークを介してデータ送受信可能に接続する接続手段と、
電子機器の設定を行うためのデータであって、特定の形式に従って生成されるバイナリ形式の設定制御データを取得する取得手段と、
前記取得したバイナリ形式の設定制御データをテキスト形式の設定制御データに変換するデータ変換手段と、
前記変換後のテキスト形式の設定制御データと、該設定制御データを利用可能な機器を判別するためのテキスト形式の識別データとを少なくとも含んでなる、前記情報交換のための一連のテキストデータを生成する生成手段と、
前記接続したサーバ装置に前記生成した一連のテキストデータを送信する送信手段と、
前記接続したサーバ装置から、他の機器が送信した一連のテキストデータのうち前記識別データと同一の識別データが含まれるものを受信する受信手段と、
前記受信した一連のテキストデータ毎にそのデータ内容を時系列でテキスト表示する表示手段と、
前記表示手段にテキスト表示された個々のテキストデータのデータ内容を表す文字列を選択する選択手段と、
前記受信した一連のテキストデータに含まれるテキスト形式の設定制御データを、電子機器の設定を行うためのデータであって、特定の形式に従って生成されるバイナリ形式の設定制御データに逆変換するデータ逆変換手段であって、前記選択された文字列によりテキストデータを特定し、該特定したテキストデータに含まれるテキスト形式の設定制御データをバイナリ形式の設定制御データに逆変換するものと、
前記逆変換により得られたバイナリ形式の設定制御データを反映するデータ反映手段と
を備える電子装置。
前記一連のテキストデータに含まれる前記テキスト形式の設定制御データは暗号化されており、さらに前記一連のテキストデータにはデータ内容を説明する暗号化されていないテキスト情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る電子装置を適用した情報共有システムの一実施例を示すシステムブロック図である。
図2は、本発明に係る電子装置の一実施例を示す機能ブロック図である。本実施形態に示す情報共有システムでは、不特定多数のユーザがアクセスするインターネットなどの通信ネットワークXにおいて、関心や興味の一致する人々が情報交換のために集まるコミュニケーションの場を提供するネットワークコミュニケーションサービスを通じて、複数の機器間で設定データを共有することのできるようにしている。
【0018】
図1に示す情報共有システムは、個々のエンドユーザによって使用される多数の端末装置Aと、ネットワークコミュニケーションサービスを提供するサーバ装置Bとが、公衆電話回線網やインターネットあるいはLANなどの既存の通信ネットワークXを介して双方向通信可能に接続されている。これら両機器を接続する通信ネットワークXは有線回線に限られず、携帯電話回線や衛星通信回線等の無線回線を含んでいてよい。また、情報共有システムは図示した以外のハードウェアを有する場合もあるが、ここでは必要最小限の資源を用いた場合について説明する。すなわち、図示したよりも多くの端末装置Aやサーバ装置Bが通信ネットワークXに接続されていてよい。
【0019】
端末装置Aは、携帯電話、PDA等の携帯通信端末、パソコン、電子楽器などの電子装置である。端末装置A(A´)は通信ネットワークX上に接続されており、URLなどのネットワークアドレスで特定される所定のサーバ装置Bに対してアクセスすることができる(通信機能)。例えば、端末装置A(A´)はユーザにより入力された情報を基に、アクセスしたサーバ装置Bからアプリケーションプログラムなどをダウンロードすることができる。そして、端末装置Aの中には、少なくともMIDIデータや機器固有の特定形式の設定データを扱うことの可能な端末装置A´(例えば電子音楽装置)が含まれており、この端末装置A´においては、当該機器を使用中のユーザ自身が演奏テンポや拍子あるいは当該装置のクリック音の音量などを演奏環境として設定することができるようになっている(演奏環境設定機能)。
【0020】
また、端末装置A´は、他の機器と共有する自機の設定データをサーバ装置Bに登録することができる一方で、設定データが同一の特定形式である他の端末装置A´により登録された設定データをサーバ装置Bから受信し、該受信した設定データを用いて自機の演奏環境を設定することができるようになっている(共有機能)。例えば、設定データがMIDIデータである場合には、MIDIメッセージに従ってそのメッセージ内容に基づき自機の演奏環境を設定する。ただし、設定データはテキストデータ化されて他のテキストデータと組み合わせられた一連のテキストデータとして、サーバ装置Bと端末装置A´間で送受信される。詳しくは後述する。
【0021】
ここで、本明細書における一連のテキストデータとは、ネットワークコミュニケーションサービスを通じたユーザ間の情報交換を実現するために各機器間で送受信されるデータであって、テキストデータを純粋な文字だけで構成したプレーンテキストデータに限らず、各種タグを含んだマークアップ言語データ(例えばHTMLやXML等)、書式情報などを含んだリッチテキストデータあるいはワープロデータなども含む概念である。要は、文字コードでは表せないデータを含むバイナリデータとは異なり、データの内容すべてを人間が読んで理解できる表現形式のデータつまりは文字コードで表されるデータのみからなるものであり、そうしたものであればどのようなデータ形式であってもよい。
【0022】
端末装置A´はさらに、ユーザによる演奏環境の設定操作に伴って生成した設定データやサーバ装置Bから取得した設定データを、MIDIインタフェース7を介して接続された外部のMIDI機器Cに対し送信することができる。すなわち、端末装置A´は自機だけでなく自機に直接接続されたMIDI機器Cの演奏環境を設定することもできる。
【0023】
他方、サーバ装置Bはサーバコンピュータであって、通信ネットワークに接続された複数の機器間における一連のテキストデータの送受信により、ネットユーザ間の情報交換を実現するネットワークコミュニケーションサービスを提供する。このネットワークコミュニケーションサービスはWebサイトを通じて提供されるものであり、例えばブログサービス、マイクロブログサービス、ソーシャルネットワーキングサービス、ウェブ掲示板サービスなどがある。このネットワークコミュニケーションサービスでは、通信ネットワークを介してアクセスしてきた端末機器ごとの管理を、ログイン入力されたユーザIDなどに従ってサーバ装置Bが行う。本実施形態における端末装置A´間の設定データの共有は、このネットワークコミュニケーションサービスの仕組みを利用する。
【0024】
サーバ装置Bは、各端末装置A(A´)から送信された一連のテキストデータを記憶する。このとき、サーバ装置Bは受信日時及び時間(便宜的に登録時間と呼ぶ)を一連のテキストデータとともに記憶する。そして、サーバ装置Bは、通信ネットワークXを介して接続を開始した端末装置A´に対し、後述するタグ情報に基づき設定データが同一の特定形式である他の端末装置A´により現時点までに登録された設定データを検索して、該当する設定データを一連のテキストデータのままで配信する。また、サーバ装置Bは、ある端末装置A´から設定データの登録が行われると、通信ネットワークXを介して既に接続済みである端末装置のうち設定データが同一の特定形式である他の端末装置A´に対し、登録された設定データを一連のテキストデータのままで配信する。
【0025】
情報共有システムを構成する端末装置A(A´)は、
図2に示すように、各々が制御部1、操作部2、記憶部3、表示部4、音声/楽音出力部5、通信インタフェース6、MIDIインタフェース7等を含む独立したコンピュータにより構成されてなり、上記したように各々の端末装置Aは有線若しくは無線などの通信ネットワークX及びサーバ装置Bを介して、互いの装置間において一連のテキストデータを送受信することのできるようになっている。なお、サーバ装置Bは端末装置Aとほぼ同様の構成であってよいことから、ここでは説明を省略する。
【0026】
本実施例に示す端末装置Aは、マイクロプロセッサユニット(CPU)などからなる制御部1によって全体の動作が制御される。制御部1は、操作部2から演奏環境設定アプリケーション(プログラム)を実行する旨の入力を受け付けると、記憶部3に記憶されている演奏環境設定アプリケーションを実行する。この演奏環境設定アプリケーションの実行により、端末装置Aに自機の演奏環境の設定を行う機能やネットワークコミュニケーションサービスを通じて設定データを共有する機能などが提供されて(後述する
図4〜
図7参照)、端末装置Aは上記した端末装置A´(電子音楽装置)として動作可能となる。この場合、端末装置A´は演奏環境設定アプリケーションで用いる設定データ(バイナリデータ)のみを共有する。
【0027】
操作部2は、演奏環境設定アプリケーションの実行を指示する実行ボタン、ソング名やコメントなどの文字や数値などのテキストデータを入力するためのテンキーやキーボード、表示部4上に表示されるカーソルを上下左右方向に移動する各方向指示ボタン、あるいはカーソルが重ね合わされた画面上の表示内容に応じた処理を確定する確定ボタンなどである。なお、操作部2は本体パネル上に物理的に設けられた操作子に限らず、表示部4上に表示される仮想操作子であってもよい。本実施例の端末装置A´はタッチパネルを採用しているため、タッチパネル上の仮想操作子が操作部2となる。
【0028】
記憶部3はROM 、RAM、メモリカードなどで構成されており、制御部1により実行あるいは参照される演奏環境設定アプリケーションなどの各種プログラムや、装置固有の機器IDなどの各種データ等を格納したり、自機で生成した設定データやサーバ装置Bから送信された他機の設定データを含む一連のテキストデータなどの各種情報や各種データ、若しくは制御部1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶したりする。記憶部3はハードディスク等の外部記憶装置であってもよいし、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、DVD(Digital Versatile Diskの略)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であってもよい。若しくは、半導体メモリなどであってもよい。
【0029】
表示部4は、後述する「演奏環境設定画面」(
図3参照)等の各種画面を表示する、例えば液晶(LCD)や有機ELあるいは電子ペーパー等で構成されたタッチパネル式のディスプレイである。音声/楽音出力部5は、通信ネットワークXを介して送受信されるユーザ音声を出力する出力機器、楽曲データ(MIDIデータ)に基づき楽音を発生する音源、アンプ及びスピーカ等からなる再生機器である。音源は、MIDIデータに含まれるMIDIメッセージを受信してそのメッセージ内容に従って楽音を制御する。
【0030】
通信インタフェース6は、例えばLANやインターネット、電話回線等の通信ネットワークXに接続されており、該通信ネットワークXを介して所定のサーバ装置Bと接続され、当該サーバ装置Bに対して自機の設定データを送信したり、当該サーバ装置Bから他機の設定データや各種処理を実行するアプリケーションプログラムなどを受信したりするための通信インタフェースである。この通信インタフェース6は、有線のものに限らず無線のものであってもよい。また、双方を具えていてもよい。
【0031】
MIDIインタフェース7は外部のMIDI機器Cと接続され、外部のMIDI機器Cから設定データや楽曲データなどのMIDIデータを取得したり、あるいは外部のMIDI機器へMIDIデータを出力したりするためのMIDIデータ通信インタフェースである。
【0032】
なお、端末装置Aは操作部2や記憶部3等を1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、所定のインタフェースを用いて前記各機器を接続するように構成されたものにも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0033】
次に、端末装置Aでの演奏環境設定アプリケーションの実行に伴い、端末装置Aの表示部4に表示される「演奏環境設定画面」の画面構成及びその画面操作の概要について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、演奏環境設定画面は、ユーザが自機の演奏環境の設定を行うための演奏環境設定領域と、ユーザがネットワークコミュニケーションサービスを通じて他の機器と共有する設定データの登録/取得を行うための設定データ送受信領域とに大きく分けることができる。
【0034】
図3において画面の左半分を占める演奏環境設定領域には、例えば電子メトロノームを擬似的に模した演奏環境設定操作子10が表示される。ユーザはこの演奏環境設定操作子10を使って、楽音の再生テンポや拍子などの演奏環境の設定を行うことができる。演奏環境設定操作子10の中央部には、現在設定されているテンポ(図示の例では120)と拍子(図示の例では4分の4拍子)が表示される。これらの表示の下方には、「スタート」ボタン10aが設けられる。ユーザが「スタート」ボタン10aにタッチ操作するたびに、表示中のテンポ及び拍子でのメトロノーム再生の開始又は停止が行われる。図中において斜線を施した演奏環境設定操作子10の外周はダイアルを模した操作子10bとなっており、ユーザはこの操作子10bを円周方向のどちらかにスワイプ操作やドラッグ操作することで、テンポを速くしたり遅くしたりするテンポ調整を行うことができる。
【0035】
記憶部3に記憶される個々の設定データには任意の名前(ソング名)が付されており、ソング名入力/表示欄11には個々の設定データに付されたソング名が表示される。そして、ユーザはソング名入力/表示欄11に既に記憶部3に記憶済みの設定データを一覧表示させることができ、その中から任意の設定データを指定して読み出すことができる。この場合、読み出した設定データに基づき演奏環境の設定は変更されるので、演奏環境設定操作子10に表示されるテンポや拍子の値もそれにあわせて変更される。
【0036】
「編集」ボタン12は、設定データにソング名を付すあるいはソング名を変更するなどのソング名の編集を行うためのものである。ユーザにより「編集」ボタン12が操作されて編集オンに設定されると、ソング名入力/表示欄11が入力可能状態となって、ユーザはソング名入力/表示欄11から新規の設定データに付すソング名を入力することができる。また、ユーザはソング名入力/表示欄11から読み出した任意の設定データに付されているソング名を変更することもできる。そして、ユーザにより「編集」ボタン12が操作され編集オフに設定されると、ソング名入力/表示欄11に表示されているソング名が付されて現在の演奏環境を反映した設定データが記憶部3に記憶される。
【0037】
設定データは特定の形式に従ってバイト単位で記述されたコンピュータ等で演奏が可能なバイナリ形式のデータであり、例えばMIDI形式のデータ(あるいは演奏環境設定アプリケーションに固有の特定形式のデータ)などとして記憶部3に記憶される。一般的に、MIDI形式のデータ(より詳しくはMIDIメッセージ)や前記固有データは、MIDI形式に対応した電子楽器や前記固有データに対応したアプリケーションがインストールされた機器のみで使用可能である。この設定データは、後述する演奏環境設定アプリケーションプログラム(
図4参照)やミュージックシーケンサのような専門ソフトで作成・編集することができるだけでなく、例えば16進法のバイナリデータを編集するためのバイナリエディタなどによっても作成・編集することが可能なデータであるが、テキストエディタでは作成・編集することが難しいデータである。
【0038】
「設定」ボタンは各種設定を行うためのボタンであって、例えば「設定1」ボタン13は図示しないタップテンポ画面を表示する。「設定2」ボタン14は、図示しない拍子設定画面を表示する。「設定3」ボタン15は、図示しないクリック音の音量設定画面を表示する。これらの画面が表示されている場合には、ユーザによる各画面への適宜の操作に従ってテンポ、拍子、クリック音の音量の設定が行われる。なお、上記した以外にも、演奏環境設定領域に表示される仮想操作子の形状や大きさを変更して、たとえばテンポ設定をテンキーやスライダーで行なえるようにするなど、さまざまな設定項目が設けられていてもよい。
【0039】
図3において画面の右半分を占める設定データ送受信領域には、コメント入力欄20、「接続」ボタン21、「送信」ボタン22、タイムライン表示エリア23が設けられる。コメント入力欄20は、ユーザが共有する設定データに関して任意のコメントを入力するためのエリアである。例えばユーザがコメント入力欄20にタッチ操作すると、画面上に文字入力用のキーボード(図示せず)が別途表示されて、ユーザはこれを利用してコメント入力欄20にコメントを入力することができる。
【0040】
「接続」ボタン21は、通信ネットワークXを介したサーバ装置Bへの接続状態を表示および設定するためのものである。サーバ装置Bへの接続中は、「接続」ボタン21に設けられるインジケータ部21aが点灯表示される。無線接続の場合、電波の状況に応じてインジケータ部21aの表示態様を異ならせてもよい。また、「接続」ボタン21を押すと、接続設定に関する種々のメニュー(図示なし)が表示され、一時的に通信ネットワークXへの接続を切断したり、接続先のサーバ装置Bを変更したりするなどの設定が行える。
【0041】
「送信」ボタン22は、自機の設定データを通信ネットワークXを介してサーバ装置Bに登録するためのものである。「送信」ボタン22が押されると、現時点において自機に設定されている演奏環境に対応する設定データを記憶部3から取得して、これがテキストデータに変換されてサーバ装置Bへと送信される。その際には、サーバ装置Bに予め登録済みの固有のユーザID(あるいは機器ID)、ソング名入力/表示欄11に表示されているソング名(つまりは設定データに付されたソング名)、コメント入力欄20に入力されたコメント、設定データが同一の特定形式である機器を特定する情報であるタグ情報(識別データ)などの、文字列からなるこれらのテキストデータが組み合わされた一連のテキストデータとしてサーバ装置Bに送信される(後述する送信処理参照)。上記タグ情報は、起動した演奏環境設定アプリケーションに予め対応付けられているものが自動的に付与される。
【0042】
タイムライン表示エリア23は、ネットワークコミュニケーションサービスを通じて送受信される一連のテキストデータを表示する。本実施形態においては、設定データが同一の特定形式である他の機器と共有する設定データが、文字列で登録順に時系列に表示される(登録した自機の設定データも表示されてよい)。登録された時間が新しいものほど、表示エリア23の上方に表示される。サーバ装置Bに接続中である場合、表示エリア23には設定データが同一の特定形式である他の機器から設定データがサーバ装置Bに登録されるたびに、登録された設定データが追加表示される。設定データが同一の特定形式である他の機器からサーバ装置Bに登録された設定データであることは、各機器からサーバ装置Bに設定データを登録する際に自動的に付加されるタグ情報によって識別される。言い換えるならば、タグ情報は、ネットワークコミュニケーションサービスを通じたデータ転送を行う対象の機器を判別するための情報である。
【0043】
また、表示エリア23には設定データ以外にも、ユーザID、登録時間に基づく表示、ソング名、タグ情報さらにはコメントなどが文字列により表示される。
図3に示した表示エリア23内の最上段の表示例では、文字列「ID123456」がユーザID、文字列「5分前」が登録時間に基づく表示、文字列「Ave Maria」がソング名、図中において点線枠で囲んだ文字列「qwerty%&」がテキストデータ化された設定データ(ただし暗号化もされている)、文字列「#YMetronome」がタグ情報に相当する。なお、これに限らず、表示エリア23にテキストデータ化された設定データやタグ情報を表示させなくてもよい。本実施形態においては、他のユーザにより投稿される一連のテキストデータに、人が解読できないテキストデータ化された設定データ以外にも人が解読できる情報(ソング名やコメントなど)を含ませることによって、ユーザはそれらの情報に基づく表示エリア23の表示からテキストデータ化された設定データの内容を判断することが容易にできるようにしている。
【0044】
表示エリア23に表示されたうちの何れかの表示段の文字列がユーザによりタッチ操作された場合、タッチ操作された文字列表示の元である一連のテキストデータに含まれるテキストデータ化された設定データに基づいて、テンポや拍子などが本機器に設定される。このとき、テキストデータ化されたままではテンポや拍子などを設定することができないので、テキストデータ化された設定データをMIDIデータ又は演奏環境設定アプリケーションに固有の特定形式のデータなどのバイナリデータに逆変換することが行われる(後述する選択処理参照)。逆変換により得られたバイナリデータにより本機器にテンポや拍子が設定される。そして、演奏環境設定操作子10の中央部にはその設定されたテンポと拍子の値が表示され、ソング名入力/表示欄11には一連のテキストデータに含まれるソング名が表示される。
【0045】
この実施形態では、サーバ装置Bによって提供されるネットワークコミュニケーションサービスを利用して、設定データが同一の特定形式である機器間での演奏環境設定制御データの共有を実現する。そこで、端末装置Aが実行する「演奏環境設定処理」について
図4を用いて説明する。
図4は、端末装置Aが実行する「演奏環境設定処理」の一実施例を示すフローチャートである。この処理は
図1に示した端末装置Aにおいて適宜起動される演奏環境設定アプリケーションプログラムであって、起動後は常に所定の待機状態にあり、ユーザ操作に基づいて各種処理を実行する。
【0046】
ステップS1は、初期化処理を実行する。初期化処理としては、表示部4に「演奏環境設定画面」(
図3参照)を表示する、記憶部3のワーキングメモリをクリアするなどの処理がある。ステップS2は、通信ネットワークXを介して接続されているネットワークコミュニケーションサービスを提供するサーバ装置Bから送信される一連のテキストデータを受信したか否かを判定する。
【0047】
端末装置A´がサーバ装置Bに接続されると、又は端末装置A上で演奏環境設定アプリケーションが起動されることによりサーバ装置Bが端末装置Aを端末装置A´として認識すると、サーバ装置Bは設定データが同一の特定形式である他の機器が今回接続時までに登録した過去の全ての設定データ(一連のテキストデータ)を端末装置A´に送信する。この場合、端末装置A´は、接続を契機にサーバ装置Bに対して識別データであるタグ情報を検索条件として送信する。サーバ装置Bでは端末装置A´から送信されたタグ情報をもとに、既に登録済みの全ての設定データの中から、設定データが同一の特定形式である他の機器のユーザが今回接続時までに登録した過去の全ての設定データ(一連のテキストデータ)を検索して抽出し、接続された端末装置A´に該抽出した設定データを送信する。すなわち、サーバ装置Bとの接続開始時においては、端末装置A´からのデータ取得要求に応じてサーバ装置Bが該当の設定データを送信する。
【0048】
また、サーバ装置Bは既にネットワーク接続中である端末装置A´からの定期的なデータ取得要求を受け付け、設定データが同一の特定形式である他の機器(端末装置A´)から設定データが新たに登録されていれば、該登録された設定データのみをデータ取得要求を受け付けた各端末装置A´に対して送信する。端末装置A´では、これらの一連のテキストデータを受信したか否かを判定する。
【0049】
サーバ装置Bから一連のテキストデータを受信していないと判定した場合には(ステップS2のNO)、ステップS4の処理へジャンプする。一方、サーバ装置Bから一連のテキストデータを受信したと判定した場合には(ステップS2のYES)、「受信処理」を実行する。詳しい処理については後述するが(
図5参照)、この受信処理の実行によって「演奏環境設定画面」上の表示エリア23にサーバ装置Bに登録された一連のテキストデータが登録順に表示される。
【0050】
ステップS4は、「演奏環境設定画面」(
図3参照)に関する何らかのユーザ操作を検出したか否かを判定する。ユーザ操作を検出していないと判定した場合には(ステップS4のNO)、ステップS2の処理に戻る。ユーザ操作を検出したと判定した場合には(ステップS4のYES)、検出したユーザ操作が当該画面を閉じるなどの本処理を終了するための操作であるか否かを判定する(ステップS5)。検出したユーザ操作が終了操作であると判定した場合には(ステップS5のYES)、本処理を終了して演奏環境設定画面の表示を終了する。
【0051】
他方、検出したユーザ操作が終了操作でないと判定した場合には(ステップS5のNO)、ユーザによる演奏環境設定画面への操作内容を判断して、判断したユーザの操作内容毎に処理を振り分ける(ステップS6)。ユーザ操作が「送信」ボタン22の操作であった場合には、「送信処理」を実行する(ステップS7)。ユーザ操作が表示エリア23に表示されたうちの何れかの表示段の文字列へのタッチ操作であった場合には、「選択処理」を実行する(ステップS8)。ユーザ操作がそれら以外の操作であった場合には、各操作毎に対応付けられた「その他処理」を実行する(ステップS9)。
【0052】
「その他処理」としては、例えばユーザ操作が「スタート」ボタン10aの操作であれば表示中のテンポ及び拍子でのメトロノームの再生の開始又は停止を行う処理であり、「編集」ボタン12の操作であればソング名の編集を可能にする処理であり、各種「設定」ボタン13〜15の操作であればテンポ設定、拍子設定、音量設定などの処理である。また、コメント入力欄20の操作であれば書込み受付処理であり、「接続」ボタン21の操作であれば接続設定メニューを画面上に表示する処理である。ステップS7〜S9のいずれかの処理を実行した後はステップS2の処理へ戻り、上記したステップS2〜S9までの各処理をユーザにより終了操作が行われるまで繰り返す。
【0053】
次に、受信処理(
図4のステップS3参照)について説明する。
図5は、受信処理の一実施例を示すフローチャートである。ステップS21は、受信した一連のテキストデータが現時点からどれくらい前にサーバ装置Bに登録されたものであるかを登録情報に基づき求める。ステップS22は、表示エリア23に新規行を表示するための表示領域を追加する。ステップS23は、追加した表示領域に前記確定した登録がどれくらい前かの表示に加えて、一連のテキストデータに含まれるユーザID(発信者ID),ソング名,テキストデータ化された設定情報,タグ情報を表示する。こうして表示エリア23には新規行が追加表示される。
【0054】
送信処理(
図4のステップS7参照)について説明する。
図6は、送信処理の一実施例を示すフローチャートである。ステップS31は、ユーザ操作により「演奏環境設定画面」(
図3参照)から入力されたソング名,コメント及び設定データを記憶部3から取得する。ステップS32は、ステップS31で取得したデータのうち設定データをテキストデータに変換する。これ以降、バイナリ形式の設定データは、例えば「Tempo120.34,Beat4-4,Mix10,8,5,5」のような文字列からなるテキスト形式の設定データ(テキストデータ化された設定データ)として扱われる。
【0055】
ステップS33は、テキストデータ化された設定データを暗号化する。テキストデータ化された設定データは文字列として表示されることから、バイナリ形式の設定データに比べると内容の改変が容易である。つまり、テキストデータ化された設定データはユーザが読めばすぐ解る書式であるために、共有の過程で設定データの内容が書換えられたりして、本来の意図とは違う目的で不正利用される恐れが大きい。そこで、これを防止するために、テキストデータ化された設定データを暗号化する。暗号化及び後述の復号化の仕組みは公知のどのようなものであってもよいことから、ここでは説明を省略する。なお、設定データを先に暗号化してからテキストデータへ変換するようにしてもよい。また、設定データを圧縮してから暗号化及びテキストデータ化を行うようにしてもよい。
【0056】
ステップS34は、テキストデータ化さらには暗号化された設定データの他に、暗号化されていないソング名,コメントさらにはタグ情報を含んでなる一連のテキストデータ(送信用のテキストデータ)を生成する。ステップS35は、生成した一連のテキストデータをサーバ装置Bに送信して登録する。この一連のテキストデータの登録にあわせて、設定データが同一の特定形式である他の機器に対しては、サーバ装置Bから該登録した一連のテキストデータが送信され、これに基づき「演奏環境設定画面」(
図3参照)のタイムライン表示エリア23に新規行が追加表示されることになる(ステップS2及びS3参照)。
【0057】
選択処理(
図4のステップS8参照)について説明する。
図7は、選択処理の一実施例を示すフローチャートである。ステップS41は、サーバ装置Bから受信した一連のテキストデータ(送信用のテキストデータ)のうちユーザタッチ操作された文字列に対応するデータ内容の一連のテキストデータを選択し、該選択した一連のテキストデータから暗号化及びテキストデータ化された設定データを抽出する。ステップS42は、抽出した暗号化及びテキストデータ化された設定データを復号する。ステップS43は、復号したテキストデータ化された設定データをバイナリ形式の設定データに逆変換処理によって戻す。ステップS44は、バイナリ形式の設定データに基づき機器設定を行う。ステップS45は、一連のテキストデータに含まれるソング名を「演奏環境設定画面」(
図3参照)のソング名入力/表示欄11に表示する。ステップS46は、機器設定を行ったバイナリ形式の設定データを記憶部3に記憶する。
【0058】
以上のように、通信ネットワークXに接続される複数の端末装置A´間において、楽音制御のための特定の形式に従って生成されるバイナリ形式の設定データをテキスト形式に変換し、このテキストデータ化された設定データを含んでなる一連のテキストデータをネットワークコミュニケーションサービスを通じて送受信するようにした。通信ネットワークX上には、ネットユーザ間の情報交換を実現するネットワークコミュニケーションサービスが形成されており、このネットワークコミュニケーションサービスはサーバ装置Bによる通信ネットワークに接続された複数の機器間における一連のテキストデータの送受信により提供される。サーバ装置Bは、ある機器から送信された一連のテキストデータを、設定データが同一の特定形式である他の機器に転送する。
【0059】
そこで、端末装置A´は前記サーバ装置Bにデータ送受信可能に接続して、バイナリ形式の設定データをテキストデータに変換したテキスト化された設定データを含む一連のテキストデータを生成してこれを送信する。一方、サーバ装置Bから設定データが同一の特定形式である他の機器が送信した一連のテキストデータを転送された端末装置A´では、一連のテキストデータを受信すると、該一連のテキストデータに含まれるテキスト化された設定データをバイナリ形式の設定データに逆変換して元の形式に戻す。バイナリ形式に戻すことによって、この設定データにより楽音を制御するための演奏環境の設定を行える。
【0060】
このようにして、本実施形態によれば、特定のデータ形式(規格)に従って生成されたバイナリ形式の設定制御データをテキスト形式の設定制御データに変換し、これに識別データを付すことで、ネットワーク上において多数の機器間でテキストベースのネットワークコミュニケーションサービスを通じてデータ送受信を行うようにしたことから、個々のユーザが目的に応じた設定データを共有することが簡単な構成でできるようになる。また、従来のように設定データの登録/取得のたびにユーザ自らがサーバ装置Bへのアクセス操作を行う必要がなく、またアクセスしたサーバ装置Bに登録された多数の中から所望の設定データを検索して探す必要がない。つまり、共有した設定データを容易に反映させることができるようになる。さらに、一連のテキストデータに含ませるテキストデータ化された設定データを暗号化しておくことによって、データの改変を防ぐこともできるし、例えば製品ユーザでない第三者による不正なデータ使用などを防ぐこともできる。すなわち、テキストデータ化された設定データを暗号化することで、端末装置A上で上述した演奏環境設定アプリケーションプログラムを起動し、該アプリケーションプログラムによって復号しなくては設定データを使えないことから、同じ演奏環境設定アプリケーションプログラムの所有者しか使えないように限定することが容易となる。
【0061】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、サーバ装置Bにより提供されるネットワークコミュニケーションサービスは上記したものに限らない。一例として、通信ネットワーク上に予め登録済みのユーザのみが参加できる情報共有のための場としてネットワーク上のコミュニティを形成しておき、同じコミュニティに属するユーザにより登録された設定データ(上記一連のテキストデータ)が同じコミュニティに属する他のユーザ(詳しくは当該ユーザがログインしている機器)に対して転送されるサービス、あるいは特定のユーザにより登録された設定データがその特定のユーザに関心ある他のユーザ(同じコミュニティに属するか他のコミュニティに属するかは問わない)に対して転送されるサービスなどであってもよい。この場合、ユーザがタグ情報の入力によって参加するコミュニティあるいは特定のユーザを指定できるようになっていてもよいし、各ユーザが予めサーバ装置に参加するコミュニティや関心ある特定のユーザなどの情報を登録しておくことができるようになっていてもよい。
【0062】
なお、表示エリア23の表示は、受信した一連のテキストデータに含まれるソング名などを用いて記憶部3に記憶済みの楽曲データを検索し、該当する楽曲データがあるか否かに応じて文字列の表示態様を変えるとよい(例えば明暗をつける、表示色を変えるなど)。また、ソング名と同じ曲名が付された楽曲データが記憶部3に記憶されていない場合には、その設定データを選択不可としてよい。さらに、ソング名と同じ曲名が付された楽曲データが記憶されている場合には、設定データの選択に応じて機器設定を行うとともに該当する楽曲データを読み出して自動的に再生を開始させてもよい。
なお、楽音再生中に表示エリア23から設定データの選択が行われた場合には、選択された設定データを再生中の楽曲にすぐに反映できるようにしてよいのは勿論である。
【0063】
なお、設定データは上記したものに限らず、例えば音色やリズムミキサー値(音符毎の音量値)等であってもよい。また、上述した実施例では、MIDI形式の設定データを共有する例を示したがこれに限らない。例えば、MIDI形式の楽曲データのような楽音制御データを共有してもよいし、MIDI形式以外のバイナリ形式からなる楽音制御データを共有してもよい。さらには、そうした電子音楽装置の設定に限らず、エクササイズ用装置におけるエクササイズ設定、映像装置(例えばカメラなどの撮像装置や再生装置、ビデオミキサー装置など)における明るさや色合いの設定、映像効果設定、ゲーム装置の各種設定など、各種電子機器の設定に適用することもできる。
【0064】
なお、サーバ装置Bに送信される一連のテキストデータに含まれるタグ情報(識別データ)は、例えば共有するデータの作成者や使用者に関する情報、共有するデータを使用可能な電子機器の情報、共有する機器設定が使用される環境に関する情報(例えば、音楽、音響、エクササイズ、映像、映像効果、ゲーム等)などであってもよい。これらのタグ情報は、ユーザが例えばコメント入力欄20などから上記情報に対応するタグ情報を入力することのできるようにしてよい。
なお、表示部4はタッチパネル式でなくともよい。