(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イグニッションがオフであるときに、前記第1および第2の電池パックの電圧が均等でない場合に、前記抵抗を介して前記第1および第2の電池パック間に電流を流すことにより前記第1および第2の電池パックの電圧を均等化し、
イグニッションをオンするときに、前記第1または第2の電池パックの出力を前記抵抗を介して前記一外部出力端子に接続し、
該接続から所定時間が経過した後に、前記第1または第2の電池パックの出力を前記抵抗を介さずに前記一外部出力端子に接続する、
ように前記第1、第2、第3、または第4の切替えスイッチを制御することを特徴とする請求項3に記載の組電池。
イグニッションがオフで前記メイン切替えスイッチがオフのときに、前記第1および第2の電池パックの各出力電圧が均等でない場合に、前記第1および第3の切替えスイッチをオンするとともに前記第2および第4の切替えスイッチをオフすることにより、または前記第2および第4の切替えスイッチをオンするとともに前記第1および第3の切替えスイッチをオフすることにより、前記抵抗を介して前記第1および第2の電池パック間に電流を流して前記第1および第2の電池パックの各出力電圧を均等化する、
ことを特徴とする請求項4に記載の組電池。
前記イグニッションがオフで前記メイン切替えスイッチがオフのときに、前記第1および第2の電池パックの各出力電圧が均等でない場合に、前記第1の切替えスイッチの切替回数が前記第4の切替えスイッチの切替回数よりも小さい場合には、前記第1および第3の切替えスイッチをオンするとともに前記第2および第4の切替えスイッチをオフし、前記第1の切替えスイッチの切替回数が前記第4の切替えスイッチの切替回数以上である場合には、前記第2および第4の切替えスイッチをオンするとともに前記第1および第3の切替えスイッチをオフする、
ことを特徴とする請求項5に記載の組電池。
イグニッションがオフであるときに、前記第1、第2、または第3の電池パックの電圧が均等でない場合に、前記抵抗を介して前記第1、第2、または第3の電池パック間に電流を流すことにより前記第1、第2、または第3の電池パックの電圧を均等化し、
イグニッションをオンするときに、前記第1、第2、または第3の電池パックの出力を前記抵抗を介して前記一外部出力端子に接続し、
該接続から所定時間が経過した後に、前記第1、第2、または第3の電池パックの出力を前記抵抗を介さずに前記一外部出力端子に接続する、
ように前記第1、第2、第3、第4、第5、または第6の切替えスイッチを制御することを特徴とする請求項8に記載の組電池。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態によるバッテリシステム100の構成図である。
図1において、バッテリシステム100は、電池セルを複数(例えば数十から数百個)直列に接続して構成される電池パック101を複数(
図1の例では#1と#2の2組)並列に接続して構成される車両用組電池である。
【0012】
各電池パック101(#1と#2)のプラス極側には、電圧測定部103(#1と#2)が接続される。各電圧測定部103(#1と#2)は、各電池パック101(#1と#2)の各出力電圧を測定し、制御線群108を介して、バッテリECU(ElectrIc Control UnIt)104に通知する。バッテリECU104は、例えばマイクロプロセッサである。バッテリECU104は、通信端子CAを介して、車両全体を制御する特には図示しないECUからイグニッションのオンまたはオフの情報を受信等することにより、バッテリシステム100の動作を制御する。
【0013】
各電圧測定部103(#1と#2)は、バランス部102に接続される。バランス部102は、制御線群109を介してバッテリECU104によって制御され、プラス側電力線106からプラス電極端子EB+に接続される。バランス部102は、各電池パック101(#1と#2)間の還流電流を防止するとともに、プラス電極端子EB+に接続される負荷(例えば車両の走行用モータ)に対する突入電流を防止しながら、その負荷に各電池パック101(#1と#2)が発生する電力を供給する。
【0014】
各電池パック101(#1と#2)のマイナス極側には、メイン切替えスイッチであるメインリレー105が接続される。メインリレー105は、制御線110を介して接続されるバッテリECU104の制御によって、バッテリシステム100全体のオン/オフを制御する。メインリレー105は、マイナス側電力線107を介してマイナス電極端子EB−に接続される。
【0015】
図2は、
図1の構成を有するバッテリシステムの第1の実施形態におけるバランス部102の構成図である。
第1の切替えスイッチであるリレーAの第1の端子は、第1の電池パックである
図1の#1の電池パック101の一出力端子に、#1の電圧測定部103を介して接続される。また、リレーAの第2の端子は、バッテリシステム100の一外部出力端子である
図1のプラス電極端子EB+に、プラス側電力線106を介して接続される。
【0016】
第2の切替えスイッチであるリレーCの第1の端子は、第1の電池パックである#1の電池パック101の一出力端子に、#1の電圧測定部103を介して接続される。
抵抗Rの第1の端子は、第2の切替えスイッチであるリレーCの第2の端子に接続される。抵抗Rの第2の端子は、バッテリシステム100の一外部出力端子であるプラス電極端子EB+に、プラス側電力線106を介して接続される。
【0017】
第3の切替えスイッチであるリレーDの第1の端子は、第2の切替えスイッチであるリレーCの第2の端子に接続される。リレーDの第2の端子は、第2の電池パックである
図1の#2の電池パック101の一出力端子に、#2の電圧測定部103を介して接続される。
【0018】
第4の切替えスイッチであるリレーBの第1の端子は、第2の電池パックである#2の電池パック101の一出力端子に、#2の電圧測定部103を介して接続される。リレーBの第2の端子は、バッテリシステム100の一外部出力端子であるプラス電極端子EB+に、プラス側電力線106を介して接続される。
【0019】
図2に示される回路構成を有するバランス部102を備える
図1のバッテリシステム100において、バッテリECU104は、制御線群109を介してバランス部102内のリレーA、B、C、Dを制御することにより、次の制御動作を実行する。バッテリECU104は、イグニッションがオフであるときに、#1および#2の電池パック101の電圧が均等でない場合に、バランス部102内の抵抗R(
図2)を介して#1および#2の電池パック101間に電流を流すことにより、#1および#2の電池パック101の電圧を均等化する。また、バッテリECU104は、イグニッションをオンするときに、#1および#2の電池パック101の出力を、バランス部102内の抵抗Rを介してプラス電極端子EB+に接続する。さらに、バッテリECU104は、その接続から所定時間が経過した後に、#1および#2の電池パック101の出力を、バランス部102内で抵抗Rを介さずにプラス電極端子EB+に直接接続する。
【0020】
上述の第1の実施形態の制御動作について、以下に詳細に説明する。
図3は、上述の第1の実施形態の動作説明図、
図4は、第1の実施形態の制御動作を示すタイミングチャートである。
【0021】
イグニッションオフ時の初期状態は、
図3(a)に示される状態Iである。この状態Iでは、リレーA、B、C、DとメインリレーE(
図1の105)が全てオフ(OFF)の状態である。
【0022】
この状態で、
図1のバッテリECU104は、
図1の各電圧測定部103(#1および#2)から、制御線群108を介して、各電池パック101(#1および#2)の各電圧V1およびV2を取得する。ここで、V1とV2が均等でない場合、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびDをオン(ON)するとともにリレーCおよびBをオフすることにより、
図3(b)または
図4の状態IIに遷移させる。なお
図4において、各リレーA、B、C、D、Eに対応するラインのハイレベルの状態がリレーオン、ローレベルの状態がリレーオフを示している。この結果、
図3(b)の状態IIにおいて、例えばV1>V2であれば、太破線に示されるように、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して、#1の電池パック101から#2の電池パック101に向けて電流が流れる。これにより、#1と#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2が等しくなるように均等化される。この場合、抵抗Rによって、2つの電池パック101間に大電流が流れることが抑制されて、突入電流を回避することが可能となる。ここで、リレーA、Bの切替え回数を考慮して、バッテリECU104は、
図3(b)に示される状態IIではなく、
図3(c)に示される状態IIIに遷移させてもよい。すなわち、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーCおよびBをオンするとともにリレーAおよびDをオフすることにより、
図3(c)の状態IIIに遷移させる。
図3(c)の状態IIIにおいて、例えばV1<V2であれば、太破線に示されるように、抵抗Rを介して#2の電池パック101から#1の電池パック101に向けて電流が流れる。これにより、#1と#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2が等しくなるように均等化される。この場合も、抵抗Rによって、2つの電池パック101間に大電流が流れることが抑制されて、突入電流を回避することが可能となる。リレーA、Bの切替え回数を考慮して
図3(b)の状態IIと
図3(c)の状態IIIが切り替えられることにより、リレーA、B、C、Dの寿命が偏って短縮してしまうことを回避することが可能となる。
【0023】
上述の制御動作によって例えば状態IIでV1=V2に均等化された後(
図4参照)、車両の運転手がイグニッションをオンしたときには、バッテリECU104は、イグニッションのオン(
図4のIG−ON)を検出した後、以下の制御動作を実行する。バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオフし、リレーCおよびDをオンし、メインリレーE(
図1の105)をオンすることで、
図3(d)または
図4の状態IVに遷移する。この状態IVでは、#1および#2の電池パック101の各出力が、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して、プラス電極端子EB+に接続される。この結果、抵抗Rによって、プラス電極端子EB+に接続される負荷(車両の走行用モータ等)に対する突入電流が抑制され、負荷の故障を回避することが可能となる。
【0024】
状態IVによる接続から所定時間が経過して負荷が有する容量への蓄電が完了すると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオンし、リレーCおよびDをオフすることにより、
図3(e)または
図4に示される状態Vに遷移する。この状態Vでは、#1および#2の電池パック101の各出力は、
図1のバランス部102内において、
図2の抵抗Rを介さずにリレーAおよびBを介して直接プラス電極端子EB+に接続され、負荷が直接駆動される。
【0025】
車両の走行が終了してイグニッションがオフ(
図4のIG−OFF)された後は、分極が解消することにより、再び
図3(a)の状態Iから
図3(b)の状態IIに遷移する。
図5から
図9は、上述の制御動作のさらに詳細な動作を実現するための、
図1のバッテリECU104によって実行される制御動作を示すフローチャートである。この制御動作は例えば、バッテリECU104内の特には図示しないプロセッサが、特には図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行する動作として実現される。
【0026】
まず、車両起動前には、バッテリECU104は、
図5のフローチャートで示される制御動作を実行する。
始めは、バッテリECU104は、
図3(a)の状態Iを維持している(
図5のステップS1)。
【0027】
次に、バッテリECU104は、
図1の制御線群108を介して#1および#2の電圧測定部103が測定する#1および#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2を取得し、V1=V2であるか否かを判定する(
図5のステップS2)。
【0028】
V1=V2でステップS2の判定がYESならば、バッテリECU104は、状態Iを継続する(
図5のステップS3)。
V1=V2ではなくステップS2の判定がNOならば、バッテリECU104は、
図1のバランス部102内のリレーAの切替回数がリレーBの切替回数以上であるか否かを判定する(
図5のステップS4)。バッテリECU104は、リレーAおよびリレーBの切替えを行うごとに、バッテリECU104内のメモリ等に保持したリレーAの切替回数とリレーBの切替回数を示す値をインクリメントし、それらをステップS4の処理で参照する。
【0029】
リレーAの切替回数がリレーBの切替回数よりも小さくステップS4の判定がNOならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびDをオンするとともにリレーCおよびBをオフすることにより、
図3(b)または
図4の状態IIに遷移させる(
図5のステップS5)。
【0030】
一方、リレーAの切替回数がリレーBの切替回数以上であってステップS4の判定がYESならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーCおよびBをオンするとともにリレーAおよびDをオフすることにより、
図3(c)の状態IIIに遷移させる(
図5のステップS6)。
【0031】
以上のステップS5またはS6の処理により、#1と#2の電池パック101間で
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して電流が流れ、#1と#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2が等しくなるように均等化の制御が実施される。
【0032】
バッテリECU104は、#1と#2の各電池パック101の出力電圧V1とV2が均等になったか否かを判定する(
図5のステップS7)。
V1=V2になりステップS7の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の全てのリレーA、B、C、Dをオフして、
図3(a)の状態Iに遷移する(
図5のステップS8)。
【0033】
まだV1=V2になっておらずステップS7の判定がNOならば、バッテリECU104は、イグニッションのオンによる起動信号を受信したか否かを判定する(
図5のステップS9)。起動信号を受信しておらずステップS9の判定がNOならば、バッテリECU104は、ステップS5の状態IIまたはステップS6の状態IIIを継続して、均等化の処理が続行される。起動信号を受信しステップS9の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の全てのリレーA、B、C、Dをオフして、
図3(a)の状態Iに遷移する(
図5のステップS10)。
【0034】
以上の状態Iにおいて、バッテリECU104は、車両のイグニッションがオンされて
図1の通信端子CAを介して起動信号を受信すると、
図6から
図8のフローチャートで示される制御動作を実行開始する。
【0035】
まず、バッテリECU104は、
図1の制御線110を介してメインリレー105(メインリレーE)をONする(
図6のステップS11)。
次に、バッテリECU104は、
図1の制御線群108を介して#1および#2の電圧測定部103が測定する#1および#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2を取得し、V1=V2であるか否かを判定する(
図6のステップS12)。
【0036】
V1=V2でステップS12の判定がYESならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオフし、リレーCおよびDをオンすることで、
図3(d)の状態IVに遷移する(
図6のステップS13)。この結果、#1および#2の電池パック101の各出力が、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して、プラス電極端子EB+に接続される。そして、抵抗Rによって、プラス電極端子EB+に接続される負荷(車両の走行用モータ等)に対する突入電流が抑制されながら、負荷への電力供給が開始される。
【0037】
バッテリECU104は、状態IVによる接続から所定時間が経過したか否かを判定する(
図6のステップS14)。
所定時間が経過しておらずステップS14の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の状態IVを継続し(
図6のステップS15)、ステップS14の判定を繰り返し実行する。
【0038】
状IVによる接続から所定時間が経過して負荷が有する容量への蓄電が完了してステップS14の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオンし、リレーCおよびDをオフする。これにより、
図3(e)の状態Vに遷移する(
図6のステップS16)。
【0039】
イグニッションオン時にV1=V2ではなくステップS12の判定がNOならば、バッテリECU104は、V1>V2であるか否かを判定する(
図7のステップS17)。
V1>V2であってステップS17の判定がYESならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーCをオンする(リレーA、B、Dはオフのままである)(
図7のステップ18)。この結果、
図1の#1の電池パック101の出力のみが、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介してプラス電極端子EB+に接続される。このように、電圧が高い#1の電池パック101からのみ負荷への電力供給が行われ、結果的に、#1の電池パック101の出力電圧V1が#2の電池パック101の出力電圧V2に近づいて均等化されてゆく。
【0040】
バッテリECU104は、一定時間が経過したか否かを判定する(
図7のステップS19)。
一定時間が経過しておらずステップS19の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の接続状態を継続し(
図7のステップS20)、ステップS19の判定を繰り返し実行する。
【0041】
一定時間が経過しステップS19の判定がYESになると、バッテリECU104は、V1=V2になったか否かを判定する(
図7のステップS21)。
V1=V2になってステップS21の判定がYESならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオフし、リレーCおよびDをオンすることで、
図3(d)の状態IVに遷移する(
図7のステップS22)。この結果、#1および#2の電池パック101の各出力が、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して、プラス電極端子EB+に接続される。そして、抵抗Rによって、プラス電極端子EB+に接続される負荷(車両の走行用モータ等)に対する突入電流が抑制されながら、負荷への電力供給が開始される。
【0042】
バッテリECU104は、状態IVによる接続から所定時間が経過したか否かを判定する(
図7のステップS23)。
所定時間が経過しておらずステップS23の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の状態IVを継続し(
図7のステップS24)、ステップS23の判定を繰り返し実行する。
【0043】
状態IVによる接続から所定時間が経過して負荷が有する容量への蓄電が完了してステップS23の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオンし、リレーCおよびDをオフする。これにより、
図3(e)の状態Vに遷移する(
図6のステップS16)。
【0044】
一定時間が経過しステップS19の判定がYESになってもV1=V2になっておらずステップS21の判定がNOならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびDをオンするとともにリレーCおよびBをオフすることにより、
図3(b)の状態IIに遷移させる(
図7のステップS25)。これにより、#1と#2の電池パック101間で
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して電流が流れ、#1と#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2が等しくなるように均等化の制御が強制的に実施される。
【0045】
イグニッションオン時にV1=V2ではなく
図6のステップS12の判定がNOとなった後、V1≦V2であって
図7のステップS17の判定がNOとなると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーDをオンする(リレーA、B、Cはオフのままである)(
図8のステップS26)。この結果、
図1の#2の電池パック101の出力のみが
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介してプラス電極端子EB+に接続する。このように、電圧が高い#2の電池パック101からのみ負荷への電力供給が行われ、結果的に、#2の電池パック101の出力電圧V2が#1の電池パック101の出力電圧V1に近づいて均等化されてゆく。
【0046】
バッテリECU104は、一定時間が経過したか否かを判定する(
図8のステップS27)。
一定時間が経過しておらずステップS27の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の接続状態を継続し(
図8のステップS28)、ステップS27の判定を繰り返し実行する。
【0047】
一定時間が経過しステップS27の判定がYESになると、バッテリECU104は、V1=V2になったか否かを判定する(
図8のステップS29)。
V1=V2になってステップS29の判定がYESならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオフし、リレーCおよびDをオンすることで、
図3(d)の状態IVに遷移する(
図8のステップS30)。この結果、#1および#2の電池パック101の各出力が、
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して、プラス電極端子EB+に接続される。そして、抵抗Rによって、プラス電極端子EB+に接続される負荷(車両の走行用モータ等)に対する突入電流が抑制されながら、負荷への電力供給が開始される。
【0048】
バッテリECU104は、状態IVによる接続から所定時間が経過したか否かを判定する(
図8のステップS31)。
所定時間が経過しておらずステップS31の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の状態IVを継続し(
図8のステップS32)、ステップS31の判定を繰り返し実行する。
【0049】
状態IVによる接続から所定時間が経過して負荷が有する容量への蓄電が完了してステップS31の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオンし、リレーCおよびDをオフする(
図6のステップS16)。これにより、
図3(e)の状態Vに遷移する。
【0050】
一定時間が経過しステップS27の判定がYESになってもV1=V2になっておらずステップS29の判定がNOならば、バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図1のバランス部102内の
図2のリレーBおよびCをオンするとともにリレーAおよびDをオフすることにより、
図3(c)の状態IIIに遷移させる(
図8のステップS33)。これにより、#1と#2の電池パック101間で
図1のバランス部102内の
図2の抵抗Rを介して電流が流れ、#1と#2の電池パック101の各出力電圧V1およびV2が等しくなるように均等化の制御が強制的に実施される。
【0051】
図9は、
図6から
図8の車起動時の制御動作から走行中、さらに走行終了に移行するときのバッテリECU104の制御動作を示すフローチャートである。
図9のステップS16、S25、およびS33はそれぞれ、
図6、
図7、および
図8の同じ番号のステップと同じ処理である。
【0052】
ステップS16で状態Vに移行すると、そのまま車両の走行状態に入る(
図9のステップS34)。
ステップS25またはS33で状態IIまたはIIIに遷移した後、バッテリECU104は、#1と#2の各電池パック101の出力電圧V1とV2が均等になったか否かを判定する(
図9のステップS35)。
【0053】
V1=V2ではなくステップS35の判定がNOならば、バッテリECU104は、現在の状態IIまたはIIIを継続し(
図9のステップS36)、ステップS35の判定を繰り返し実行する。
【0054】
V1=V2になりステップS35の判定がYESになると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の
図2のリレーAおよびBをオンし、リレーCおよびDをオフする。これにより、
図3(e)の状態Vに遷移し、車両の走行状態に入る(
図9のステップS34)。
【0055】
車両の走行が終了すると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図1のバランス部102内の全てのリレーA、B、C、Dをオフして、
図3(a)の状態Iに戻る。その後、バッテリECU104は、
図1のメインリレー105(メインリレーE)をオフし、
図5のステップS1の処理に戻る(
図9のステップS37)。
【0056】
以上のように、
図1および
図2に示される構成を有する第1の実施形態によるバッテリシステム100では、#1と#2の2つの電池パック101の間で、適切に電圧の均等化が行われ、かつ各電池パック101および負荷への突入電流の発生が回避されながら、効率的な電力供給を行うことが可能となる。この結果、還流電流および突入電流を緩和してバッテリシステム100の品質を向上させるとともに、安全性を向上させ、長寿命化を図ることが可能となる。また、第1の実施形態では、
図1のバランス部102の回路規模は
図2に示されるように小さい回路規模で済み、バッテリシステム100のコストを低く抑えることが可能となる。
【0057】
図10は、第2の実施形態によるバッテリシステムの構成図である。
図1のバッテリシステム100が#1と#2の2つの電池パック101から構成されていたのに対して、
図10のバッテリシステム100′は#1、#2、および#3の3つの電池パック101から構成される。これに応じて、
図10のバランス部102′の構成が、
図1のバランス部102の構成と異なる。その他の
図10の構成は、
図1と同じである。
【0058】
図11は、
図10の構成を有するバッテリシステムの第2の実施形態におけるバランス部102′の構成図である。
図11において、リレーA、B、C、Dと抵抗Rの接続構成は、
図2の第1の実施形態の場合と同様である。
【0059】
図11においてはさらに、第5の切替えスイッチであるリレーFの第1の端子は、第2の切替えスイッチであるリレーCの第2の端子に接続される。リレーFの第2の端子は、第3の電池パックである
図10の#3の電池パック101の一出力端子に、#3の電圧測定部103を介して接続される。
【0060】
第6の切替えスイッチであるリレーGの第1の端子は、第3の電池パックである#3の電池パック101の一出力端子に、#3の電圧測定部103を介して接続される。リレーGの第2の端子は、バッテリシステム100の一外部出力端子であるプラス電極端子EB+に、プラス側電力線106を介して接続される。
【0061】
図11に示される回路構成を有するバランス部102′を備える
図10のバッテリシステム100′において、バッテリECU104は、制御線群109を介してバランス部102内のリレーA、B、C、D、F、Gを制御することにより、次の制御動作を実行する。バッテリECU104は、イグニッションがオフであるときに、#1、#2、または#3の電池パック101の電圧が均等でない場合に、バランス部102内の抵抗R(
図11)を介して#1、#2、または#3の電池パック101間に電流を流すことにより、#1、#2、または#3の電池パック101の電圧を均等化する。また、バッテリECU104は、イグニッションをオンするときに、#1、#2、または#3の電池パック101の出力を、バランス部102内の抵抗Rを介してプラス電極端子EB+に接続する。さらに、バッテリECU104は、その接続から所定時間が経過した後に、#1、#2、または#3の電池パック101の出力を、バランス部102内で抵抗Rを介さずにプラス電極端子EB+に直接接続する。
【0062】
上述の第2の実施形態の制御動作について、以下に詳細に説明する。
図12は、上述の第2の実施形態の動作説明図、
図13は、第2の実施形態の制御動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
図10のバッテリECU104は、
図10の各電圧測定部103(#1、#2、および#3)から、制御線群108を介して、各電池パック101(#1、#2、および#3)の各電圧V1、V2,およびV3を取得する。ここで、V1、V2、またはV3が均等でない場合、バッテリECU104は、制御線群109を介して例えば、
図10のバランス部102′内の
図11のリレーAおよびFをオンするとともにリレーC、D、G、およびBをオフすることにより、
図12(a)または
図13の状態Iに遷移させる。なお
図13において、各リレーA、B、C、D、E、F、Gに対応するラインのハイレベルの状態がリレーオン、ローレベルの状態がリレーオフを示している。この結果、
図12(a)の状態Iにおいて、例えばV1>V3であれば、太破線に示されるように、
図10のバランス部102′内の
図11の抵抗Rを介して、#1の電池パック101から#3の電池パック101に向けて電流が流れる。これにより、#1と#3の電池パック101の各出力電圧V1およびV3が等しくなるように均等化される。この場合、抵抗Rによって、2つの電池パック101間に大電流が流れることが抑制されて、突入電流を回避することが可能となる。
【0064】
上述の制御動作によって例えば状態IでV1=V3に均等化された後(
図13参照)、バッテリECU104は、制御線群109を介して例えば、
図10のバランス部102′内の
図11のリレーCをオンしてから、リレーAをオフし、さらにリレーBをオンすることにより(リレーFはオンのまま)、
図12(b)または
図13の状態IIに遷移させる。この結果、
図12(b)の状態IIにおいて、例えばV1=V3>V2であれば、太破線に示されるように、
図10のバランス部102′内の
図11の抵抗Rを介して、#1および#3の電池パック101から#2の電池パック101に向けて電流が流れる。これにより、#1および#3と#2の電池パック101の各出力電圧V1、V3およびV2が等しくなるように均等化される。この場合、抵抗Rによって、3つの電池パック101間に大電流が流れることが抑制されて、突入電流を回避することが可能となる。
【0065】
上述の制御動作によって例えば状態IIでV1=V3=V2に均等化された後(
図13参照)、車両の運転手がイグニッションをオンしたときには、バッテリECU104は、イグニッションのオン(
図13のIG−ON)を検出した後、以下の制御動作を実行する。バッテリECU104は、制御線群109を介して、
図10のバランス部102′内の
図11のリレーDをオンしてから、リレーBをオフし、メインリレーE(
図10の105)をオンすることで(リレーC、Fはオンのまま)、
図12(c)または
図13の状態IIIに遷移する。この状態IIIでは、#1、#2、および#3の電池パック101の各出力が、
図10のバランス部102′内の
図11の抵抗Rを介して、プラス電極端子EB+に接続される。この結果、抵抗Rによって、プラス電極端子EB+に接続される負荷(車両の走行用モータ等)に対する突入電流が抑制され、負荷の故障を回避することが可能となる。
【0066】
状態IIIによる接続から所定時間が経過して負荷が有する容量への蓄電が完了すると、バッテリECU104は、制御線群109を介して
図10のバランス部102′内の
図11のリレーA、B、およびGをオンし、リレーC、D、およびFをオフすることにより、
図12(d)または
図13に示される状態IVに遷移する。この状態IVでは、#1、#2、および#3の電池パック101の各出力は、
図10のバランス部102′内において、
図11の抵抗Rを介さずにリレーA、B、およびGを介して直接プラス電極端子EB+に接続され、負荷が直接駆動される。
【0067】
車両の走行が終了してイグニッションがオフ(
図13のIG−OFF)された後は、分極が解消することにより、再び
図12(a)の状態IIに遷移する。
以上のようにして、第2の実施形態では、電池パック101が#1、#2、#3の3組ある場合においても、第1の実施形態の場合と同様に、#1、#2、および#3の3つの電池パック101の間で、適切に電圧の均等化が行われ、かつ各電池パック101および負荷への突入電流の発生が回避されながら、効率的な電力供給を行うことが可能となる。
【0068】
以上第1の実施形態では2つ、第2の実施形態では3つの電池パックが並列接続されたバッテリシステムについて、組電池の動作時の還流電流を防止する構成について開示したが、電池パックが4つ以上並列の場合も、同様の考えで、回路規模の小さいなバランス部を構成することが可能である。