(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣り合う一対の前記連結部は、1つの前記ピンに対し、同ピンの長さ方向についての異なる箇所に回動可能に係合されており、前記ピンを介して屈曲可能に連結されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の空調用レジスタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1のように、操作ノブのスライド操作を上流側フィンに伝達するために、ラック及びピニオンを用いたものでは、圧力損失の増大や騒音の発生を招く問題がある。これは、次の理由による。
【0008】
(1)ラックを用いた場合には、ラックの歯幅方向(下流側フィンの厚み方向)についての寸法が大きくなる。操作ノブの操作を通じて下流側フィンを厚み方向へ傾動させる際に、その下流側フィンの傾きに拘わらず、ラックをピニオンに噛み合わせるためである。この点は、上流側フィンによる通風路の閉鎖の有無に関係なく共通する。
【0009】
(2)上流側フィンによって通風路を閉鎖するタイプの空調用レジスタでは、閉鎖しないタイプの空調用レジスタよりも上流側フィンが大きく傾動されることで通風路が閉鎖される。そのため、ラックの歯の並び方向(下流側フィンの長さ方向)についての寸法が大きくなる。
【0010】
このように、歯幅方向にも、歯の並び方向にもラックの寸法が大きくなることから、ラックによる通風抵抗が大きくなり、圧力損失が増大したり騒音が生じたりする。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作ノブのスライド操作を上流側フィンに伝達するための部位に起因する圧力損失及び騒音発生を抑制することのできる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成する空調用レジスタは、空調用空気の通風路を有するケースと、支軸により前記ケースに傾動可能に支持された板状の下流側フィンと、前記下流側フィンよりも上流側で同下流側フィンに対し直交した状態で配置され、かつ支軸により前記ケースに傾動可能に支持された複数の通常上流側フィンと、前記下流側フィンよりも上流側で同下流側フィンに対し直交した状態で配置され、かつ支軸により前記ケースに傾動可能に支持され、前記支軸に沿う方向へ延びる軸部を有する特定上流側フィンと、前記下流側フィン上にスライド可能に設けられ、かつ前記特定上流側フィンの前記軸部を挟み込むフォーク部を有する操作ノブと、前記通常上流側フィン及び前記特定上流側フィンを連結するリンク機構とを備え、前記リンク機構が、前記上流側フィン毎の前記支軸から同支軸に直交する方向へ延び、かつ同支軸から偏倚した箇所にピンを有するアームと、全ての前記ピンを連結する連結ロッドとを備え、前記通常上流側フィン及び前記特定上流側フィンが、前記空調用空気の通風方向を調整するとともに、前記通風路を閉鎖するものである空調用レジスタであって、前記特定上流側フィンの前記アームにおける前記支軸と前記ピンとの距離が、前記通常上流側フィンの前記アームにおける前記支軸と前記ピンとの距離よりも長く設定され、前記連結ロッドが、隣り合う前記アームの前記ピンを連結する複数の連結部を備え、隣り合う前記連結部が屈曲可能に連結されている。
【0012】
上記の構成を有する空調用レジスタでは、操作ノブが下流側フィンに沿ってスライド操作されると、その操作ノブと一緒にフォーク部が同方向へ移動する。特定上流側フィンの軸部に対し、移動方向後側のフォーク部が接触し、軸部が同フォーク部によって押される。フォーク部の上記移動に伴い、特定上流側フィンが支軸を支点として傾動させられる。
【0013】
また、特定上流側フィンの上記傾動に伴い、アームが支軸を支点として傾動し、ピンが支軸の周りを旋回する。特定上流側フィンの上記ピンの動きは、連結部を介して隣の通常上流側フィンのピンに伝達される。上記通常上流側フィンの隣に別の通常上流側フィンが配設されている場合には、特定上流側フィンに近い側の通常上流側フィンのピンの動きが、隣り合う通常上流側フィン間の連結部を介して、特定上流側フィンから遠い側の通常上流側フィンのピンに伝達される。このように、特定上流側フィンのピンの動きが、全ての通常上流側フィンのピンに伝達され、同ピンが支軸の周りを旋回する。その結果、特定上流側フィンに連動して、全ての通常上流側フィンが支軸を支点として傾動させられる。
【0014】
上記スライド操作により、通常上流側フィンが通風路に対し略直交した状態にされると、通風路が通常上流側フィンによって閉鎖され、空調用空気のケースからの吹き出しが遮断される。
【0015】
ここで、仮に、特定上流側フィンのアームにおける支軸とピンとの距離が、通常上流側フィンのアームにおける支軸とピンとの距離と同一に設定、又は短く設定されると、通風路を上流側フィンによって閉鎖する際、通常上流側フィンと同様、特定上流側フィンを大きく傾動させる必要がある。この場合、支軸の周りで軸部を旋回させようとする力よりも、軸部を支軸側へ押付けようとする力が強くなる。そのため、操作ノブを大きな操作荷重でスライド操作しなければならなくなる。
【0016】
この点、特定上流側フィンのアームにおける支軸とピンとの距離が、通常上流側フィンのアームにおける支軸とピンとの距離よりも長く設定されている上記空調用レジスタでは、特定上流側フィン及びアームが、通常上流側フィン及びアームよりも小さな角度傾動する。従って、特定上流側フィン及びアームを小さな角度だけ傾動させることで、通常上流側フィン及びアームを大きな角度傾動させ、通風路を閉鎖させることが可能となる。その結果、操作ノブをスライド操作する際の操作荷重を小さくすることが可能となる。
【0017】
なお、上記のようにアームにおける支軸とピンとの距離が、特定上流側フィンと通常上流側フィンとで異なることから、これらの上流側フィンを傾動させるためには、隣り合う連結部について、それらの互いになす角度が変化することが必要である。この点、上記空調用レジスタでは、隣り合う連結部が屈曲可能に連結されているため、隣り合う連結部は屈曲して、互いになす角度を変化させることで、上記距離の異なる特定上流側フィン及び通常上流側フィンの傾動を可能にする。
【0018】
ところで、上記フォーク部は、軸部を挟み込むだけのものであるため、下流側フィンの長さ方向についても厚み方向についても、ラックよりも小さくてすむ。従って、空調用空気が通風路を通過する際のフォーク部による抵抗(通風抵抗)はラックの場合よりも小さく、圧力損失の増大や騒音の発生が抑制される。
【0019】
上記空調用レジスタにおいて、前記特定上流側フィンの主要部は、その最上流部に同特定上流側フィンの前記支軸を有していることが好ましい。
特定上流側フィンの主要部は、操作ノブがスライド操作された場合、上述したように、通常上流側フィンよりも小さな角度傾動する。仮に、上記主要部に空調用空気の当たる部位があると、同空調用空気が同部位に沿って流れ、通常上流側フィンに沿って流れる空調用空気と干渉して乱れるおそれがある。
【0020】
しかし、上記空調用レジスタの特定上流側フィンでは、支軸が最上流部に位置していて、同特定上流側フィンは支軸よりも下流側のみに位置する。特定上流側フィンにおいて、空調用空気の流れ方向を左右する部分が少ない。そのため、空調用空気は、特定上流側フィンの近くを流れる際に、通常上流側フィンの近くを流れる空調用空気とは異なる方向へ流れ方向を変えられにくい。その結果、特定上流側フィンの近くを流れる空調用空気が、通常上流側フィンに沿って流れる空調用空気と干渉して乱れる現象が抑制される。
【0021】
上記空調用レジスタにおいて、前記特定上流側フィンの主要部は、前記支軸と前記軸部との間に空洞部を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、特定上流側フィンでは、最上流部に位置する軸部と、それよりも下流側に位置する支軸との間が空洞部となっている。特定上流側フィンにおいて、空調用空気の流れ方向を左右する部分が、空洞部の分、さらに少なくなる。そのため、空調用空気が特定上流側フィンの近くを流れる際に、通常上流側フィンの近くを流れる空調用空気とは異なる方向へ流れ方向を変えられることが一層起こりにくくなる。
【0022】
上記空調用レジスタにおいて、前記特定上流側フィンは、一対の前記通常上流側フィン間に配置されており、前記両通常上流側フィンの一方には、前記特定上流側フィンの前記支軸よりも上流側で、同通常上流側フィンと一緒に傾動する補助フィンが一体に設けられていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、特定上流側フィンの両隣の通常上流側フィンが傾動する際には、その一方に一体に設けられた補助フィンが同通常上流側フィンと一緒に傾動する。特定上流側フィンの近くを流れる空調用空気は、この補助フィンに沿って流れることで、流れ方向を変えられる。そして、この流れ方向を変えられた空調用空気は、特定上流側フィンを通過する。そのため、特定上流側フィンの近くでの空調用空気の流れ方向を、通常上流側フィンの近くでの空調用空気の流れ方向に合わせることが可能となる。
【0024】
上記空調用レジスタにおいて、隣り合う一対の前記連結部は、1つの前記ピンに対し、同ピンの長さ方向についての異なる箇所に回動可能に係合されており、前記ピンを介して屈曲可能に連結されていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、隣り合う一対の連結部は、それぞれ共通のピンに対し回動することが可能である。この回動により、両連結部はピンにおいて屈曲して、互いになす角度を変化させることで、特定上流側フィン及び通常上流側フィンの傾動を可能にする。
【0026】
上記空調用レジスタにおいて、前記連結ロッドは、隣り合う前記連結部が、前記ピンに対する係合部分において薄肉状のヒンジ部を介して一体に形成されることにより構成されており、隣り合う前記連結部は、前記ヒンジ部において屈曲可能に連結されていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、隣り合う一対の連結部は、ヒンジ部において屈曲して、互いになす角度を変化させることで、特定上流側フィン及び通常上流側フィンの傾動を可能にする。
【発明の効果】
【0028】
上記空調用レジスタによれば、操作ノブのスライド操作を上流側フィンに伝達するための部位に起因する圧力損失及び騒音発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、空調用レジスタの一実施形態について、
図1〜
図16を参照して説明する。この空調用レジスタは車両に用いられるものであり、横方向の寸法が縦方向の寸法よりも小さな薄型の形状をなしている。
【0031】
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0032】
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その車幅方向についての中央部、両側部等には本実施形態の空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、一般的な非薄型の空調用レジスタと同様、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向きを調整すること、空調用空気の吹き出しを遮断すること等である。
【0033】
図1及び
図2に示すように、空調用レジスタは、ケース10、下流側フィン群、上流側フィン群、操作ノブ60及びリンク機構70を備えている。次に、空調用レジスタを構成する各部の構成について説明する。
【0034】
<ケース10>
ケース10は、空調装置の通風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、上流側リテーナ11、下流側リテーナ12及びベゼル13を備えている。ケース10は、両端が開放され、かつ横方向の寸法が縦方向の寸法よりも小さな四角筒状をなしている。このケース10の内部空間は、空調用空気Aの流路(以下「通風路20」という)とされている。
【0035】
ここで、上記通風路20での空調用空気Aの通風方向に直交する面上において、互いに直交する2方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とする。本実施形態では、上下方向を第1方向とし、車幅方向(左右方向)を第2方向としている。なお、本明細書では、「通風方向」は、下流側フィン群及び上流側フィン群によって向きを変えられる前に空調用空気Aが流れる方向をいうものとする。また、空調用レジスタの各部の位置関係を説明するに当たり、通風路20に近づく側を「内側」、「内方」等といい、通風路20から遠ざかる側を「外側」、「外方」等というものとする。
【0036】
上流側リテーナ11は、ケース10の最上流側部分を構成する部材である。下流側リテーナ12は、上流側リテーナ11の下流側に配置されており、自身の上流側端部において上流側リテーナ11の下流側端部に連結されている。
【0037】
ベゼル13は、空調用レジスタの意匠面を構成する部材であり、ケース10の最下流部に位置し、下流側リテーナ12に下流側から連結されている。ベゼル13は縦長の四角枠状をなしており、空調用空気Aの吹出口14を有している。
【0038】
上記通風路20は、ケース10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、互いに平行な状態で第2方向(車幅方向)に相対向する一対の第1壁部21と、互いに平行な状態で第1方向(上下方向)に相対向する一対の第2壁部22とからなる。
【0039】
上側の第2壁部22の下流端は、下側の第2壁部22の下流端よりも上流側に位置している。従って、ベゼル13及び吹出口14は、下側ほど下流側に位置するように両第2壁部22に対し傾斜していることとなる。
【0040】
なお、
図8に示すように、上流側リテーナ11の下流端における両第1壁部21の間隔D11は、下流側リテーナ12の上流端における両第1壁部21の間隔D12よりも小さく設定されている(D11<D12)。この設定により、各第1壁部21は、上流側リテーナ11と下流側リテーナ12との境界部分に段差部23を有している。
【0041】
図2及び
図6に示すように、上側の第2壁部22において、吹出口14から上流側へ僅かに離れた箇所には下流側軸受部24が設けられている。また、下側の第2壁部22において、吹出口14から上流側へ僅かに離れた2箇所には、下流側軸受部25がそれぞれ設けられている。両下流側軸受部25は、第2方向(左右方向)については、中央部と、一方(
図1の右方)の第1壁部21の近傍とに設けられている。
【0042】
各第1壁部21の複数箇所には上流側軸受部26が設けられている。第1壁部21毎の複数の上流側軸受部26は、通風方向については、上流側リテーナ11と下流側リテーナ12との境界部分に位置し、第1方向(上下方向)については、互いに略等間隔で離れた箇所に位置している。
【0043】
<下流側フィン群>
図2及び
図8に示すように、下流側フィン群は、第1方向(上下方向)及び通風方向にそれぞれ延びる2つの下流側フィン31,32からなる。各下流側フィン31,32は、通風方向よりも第1方向(上下方向)に細長い板状をなしている。各下流側フィン31,32は、第1方向(上下方向)についての両方の端面から外方へ向けて突出する支軸33を有している。下流側フィン31,32毎の両支軸33は、上記下流側軸受部24,25により両第2壁部22に対し、第2方向(車幅方向)への傾動可能に支持されている。
【0044】
図2及び
図6に示すように、各下流側フィン31,32の上部において、上記支軸33から上流側へ偏倚した箇所には、上方へ延びる連結軸34が設けられている。下流側フィン31,32毎の連結軸34は、第2方向(車幅方向)に延びる長尺状の下流側連結ロッド35によって連結されている。そして、これらの下流側フィン31,32、支軸33、連結軸34、下流側連結ロッド35等により、下流側フィン31を下流側フィン32に同期した状態で傾動させる平行リンク機構が構成されている。
【0045】
下流側フィン32において、第1方向(上下方向)についての中央部にはゴム状弾性体36が取付けられている。ゴム状弾性体36は、後述する操作ノブ60に接触することにより、同操作ノブ60のスライド操作時に操作荷重を付与するためのものである。
【0046】
<上流側フィン群>
上流側フィン群は、1つの特定上流側フィン41と、複数(4つ)の通常上流側フィン42,43,44,45とからなる。これらの特定上流側フィン41及び通常上流側フィン42〜45は、上記両下流側フィン31,32よりも上流側において、第1方向(上下方向)に配列されている。特定上流側フィン41は、通風路20において第1方向(上下方向)についての中央部に配置されている。なお、特定上流側フィン41及び通常上流側フィン42〜45を特に区別する必要がない場合には、これらを単に「上流側フィン41〜45」と記載するものとする。
【0047】
各通常上流側フィン42〜45は、基本構造として、第2方向(左右方向)及び通風方向にそれぞれ延びる板状部46を有している。各板状部46は、第2方向(左右方向)にも通風方向にも同程度の寸法を有している。
【0048】
各板状部46の第2方向(左右方向)についての両方の端面からは、支軸47がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。各支軸47は、通風方向については、各板状部46の中央部に位置している。
図7に示すように、各板状部46の第2方向(車幅方向)についての寸法は、支軸47よりも下流側において、上流側よりも大きく設定されている。そこで、各板状部46において、支軸47よりも下流側部分を幅広部48といい、同支軸47よりも上流側部分を幅狭部49というものとする。幅広部48の第2方向(左右方向)の幅W12は、上記上流側リテーナ11の下流端での間隔D11よりも大きく設定されている。これに対し、幅狭部49の第2方向(左右方向)の幅W11は、上記間隔D11よりも小さく設定されている。こうした設定により、通風路20を閉鎖する位置まで通常上流側フィン42〜45が傾動された場合、幅広部48が段差部23に対し下流側から重なる(
図11参照)。各通常上流側フィン42〜45の両支軸47は、上記上流側軸受部26により両第1壁部21に対し、第1方向(上下方向)への傾動可能に支持されている。
【0049】
図6及び
図9に示すように、特定上流側フィン41は、第1方向(上下方向)についての中央部分に位置する一対の通常上流側フィン43,44間に配置されている。特定上流側フィン41の主要部51は、通常上流側フィン42〜45の板状部46(
図7参照)から、支軸47よりも上流側部分(幅狭部49)を切除したような外形形状を有している。特定上流側フィン41の主要部51は、その最上流部に支軸52を有している。上記主要部51は、その最下流部に、第2方向(左右方向)に延びる軸部53を有している。上記主要部51は、支軸52と軸部53との間に空洞部54を有している。さらに、
図2及び
図11に示すように、特定上流側フィン41は、上記主要部51の第2方向(左右方向)についての両側部にそれぞれ閉鎖板部55を備えている。各閉鎖板部55は、主要部51に対し傾斜した状態で支軸52から下流側へ延びている。両閉鎖板部55は、通常上流側フィン42〜45が通風路20を閉鎖する位置まで傾動された場合、傾動方向前側の通常上流側フィン44の幅狭部49の下流側に位置し、同幅狭部49と段差部23との隙間を塞ぐようにしている。
【0050】
図2及び
図6に示すように、上記特定上流側フィン41の両隣の一対の通常上流側フィン43,44の一方(本実施形態では上隣の通常上流側フィン43)には、特定上流側フィン41の支軸52よりも上流側で、同通常上流側フィン43と一緒に傾動する補助フィン56が一体に設けられている。補助フィン56は、通常上流側フィン43の幅狭部49の下方において、同幅狭部49に対し略平行に形成されている。補助フィン56は、幅狭部49に対し、一対の連結板部57によって連結されている(
図2参照)。
【0051】
<操作ノブ60>
操作ノブ60は、吹出口14からの空調用空気Aの吹き出し方向を調整する際に乗員によって操作される部材であり、上記下流側フィン32上に、第1方向(上下方向)へのスライド可能に外嵌されている。操作ノブ60は、下流側フィン32と一緒に、支軸33を支点として第2方向(左右方向)へ傾動(旋回)可能であり、また、下流側フィン32上をスライドすることで、第1方向(上下方向)へ変位可能である。
【0052】
操作ノブ60の上流端には、上流側へ向けて延びる一対のフォーク部61が一体形成されている。両フォーク部61は、第1方向(上下方向)へ互いに離れている。両フォーク部61の間隔は、上記特定上流側フィン41の軸部53の直径よりも僅かに大きく設定されている。両フォーク部61は、操作ノブ60の第1方向(上下方向)への動き(スライド)を特定上流側フィン41に伝達するためのものであり、同特定上流側フィン41の軸部53を同第1方向(上下方向)についての両側から挟み込んでいる。
【0053】
両フォーク部61の第1方向(上下方向)についての寸法は、軸部53の直径よりも大きいが操作ノブ60よりも小さい。両フォーク部61の第2方向(左右方向)についての寸法は、操作ノブ60と同程度である。両フォーク部61の通風方向についての寸法は、通風路20が通常上流側フィン42〜45によって閉鎖されたときにも軸部53を挟み込むのに必要な大きさ(軸部53から外れない大きさ)に設定されている。
【0054】
操作ノブ60は、通常可動領域R1と特定可動領域R2とにおいてスライド操作可能である。通常可動領域R1は、上流側フィン41〜45を傾動させて空調用空気Aの流れ方向を調整する際に操作ノブ60がスライド操作される領域である。特定可動領域R2は、上流側フィン41〜45によって通風路20を閉鎖する際に操作ノブ60がスライド操作される領域である。
【0055】
<リンク機構70>
図1及び
図2に示すように、リンク機構70は、通常上流側フィン42〜45を特定上流側フィン41に動力伝達可能に連結し、特定上流側フィン41に連動して全ての通常上流側フィン42〜45を傾動させるための機構である。
【0056】
特定上流側フィン41の一方(
図1の右方)の支軸52と、各通常上流側フィン42〜45の一方(
図1の右方)の支軸47とは、それぞれ第1壁部21から第2方向(車幅方向)についての外方へ突出している。各支軸52,47の外端部には、同支軸52,47を起点として、同支軸52,47に直交する方向へ延びる長尺状のアームが形成されている。ここで、上流側フィン41〜45毎のアームを区別するために、特定上流側フィン41に対応するものを「アーム71」という。また、特定上流側フィン41よりも上側の通常上流側フィン42,43に対応するものを「アーム72」といい、特定上流側フィン41よりも下側の通常上流側フィン44,45に対応するものを「アーム73」というものとする。
【0057】
図3及び
図4に示すように、各アーム71〜73は、各通常上流側フィン42〜45が略水平状態にされたとき、いずれも下流側ほど高くなるように傾斜する。ここで、各アーム71〜73が、吹出口14に直交する線L1に対しなす角度をそれぞれθ1,θ2,θ3とすると、各アーム71〜73は、角度θ2,θ3が略同一となり、角度θ1が角度θ2,θ3よりも小さくなるように設定されている。
【0058】
また、アーム73はアーム72よりも短く形成され、アーム71はアーム72よりも長く形成されている。
図2及び
図5に示すように、各アーム71〜73の下流端からは、ピン74が第2方向(車幅方向)についての外方へ突出している。アーム71における支軸52からピン74までの距離をD1とし、アーム72における支軸47からピン74までの距離をD2とし、アーム73における支軸47からピン74までの距離をD3とすると、本実施形態では、D1>D2>D3が成り立つように、各距離D1〜D3が設定されている。
【0059】
複数(5つ)のアーム71〜73のうち隣り合うもののピン74同士は、長尺板状をなす連結部75によって連結されている。隣り合う一対の連結部75は、1つのピン74に対し、同ピン74の長さ方向についての異なる箇所に回動可能に係合されている(
図8参照)。上記複数の連結部75により、全てのピン74を連結する連結ロッド76が構成されている。この連結ロッド76では、隣り合う一対の連結部75が、共通のピン74を介して屈曲可能に連結されている。
【0060】
前記のようにして本実施形態の空調用レジスタが構成されている。次に、この空調用レジスタの作用について説明する。
この空調用レジスタでは、
図1及び
図6に示すように、空調用空気Aは、通常上流側フィン42〜45及び両下流側フィン31,32に沿うことで流れ方向を変えられた後、ケース10の吹出口14から吹き出す。
【0061】
ここで、一般に、空調用レジスタでは、ケース10内に配置された部品は、吹出口14の実開口面積を小さくする要因となり得る。実開口面積は、吹出口14での空調用空気Aの通風方向に直交する面において、上記各部品が投影されていない箇所の面積である。操作ノブ60の動きを特定上流側フィン41に伝達する部位も、実開口面積を小さくする要因の1つとなり得る。そして、実開口面積が小さくなるに従い通風抵抗が増し、圧力損失が増大したり、騒音が発生したりする。従って、こうした圧力損失や騒音を抑制するうえでは、吹出口14での空調用空気Aの通風方向に直交する面において、ケース10内の部品が投影される面(投影面)を小さくすることが重要である。
【0062】
この点、本実施形態の空調用レジスタでは、軸部53を挟み込む一対のフォーク部61によって操作ノブ60の第1方向(上下方向)の動きが特定上流側フィン41に伝達される。両フォーク部61は、軸部53を挟み込むだけのものであり、下流側フィン32の長さ方向(第1方向)についても厚み方向(第2方向)についても、特許文献1に記載されたラックよりも小さい。従って、フォーク部61の投影面は、特許文献1に記載されたラックの投影面よりも小さくなり、フォーク部61による実開口面積の減少が少なくなる。空調用空気Aが通風路20を通過する際のフォーク部61による抵抗(通風抵抗)が小さくなる。
【0063】
上記操作ノブ60の下流端に対し、下流側フィン32の厚み方向(第2方向)へ向かう力が加えられると、同下流側フィン32が支軸33を支点として同方向へ傾動させられる。この下流側フィン32の傾動は、連結軸34及び下流側連結ロッド35を介して下流側フィン31の連結軸34に伝達される。この伝達により、下流側フィン31が上記下流側フィン32に連動して同方向へ傾動させられる。
【0064】
この際、両フォーク部61が特定上流側フィン41の軸部53を挟み込んだ状態で、同軸部53に沿って移動する。そのため、両フォーク部61の動きは軸部53に伝達されない。従って、特定上流側フィン41はもちろんのこと、全ての通常上流側フィン42〜45も傾動させられない。空調用空気Aは、傾動させられた下流側フィン31,32に沿うことで第2方向(左右方向)についての流れ方向を変えられる。
【0065】
次に、操作ノブ60が下流側フィン32に沿って、同下流側フィン32の長さ方向(第1方向)へスライド操作された場合の作用について、(i)操作ノブ60が通常可動領域R1でスライド操作された場合と、(ii)操作ノブ60が特定可動領域R2でスライド操作された場合とに分けて説明する。
【0066】
(i)操作ノブ60が通常可動領域R1でスライド操作された場合
図3及び
図6は、操作ノブ60が通常可動領域R1の中央部に位置しているときの空調用レジスタの状態を示している。このときの操作ノブ60の位置を「基準位置」というものとする。操作ノブ60が基準位置にあるときには、各通常上流側フィン42〜45がいずれも略水平な状態(両第2壁部22に略平行な状態)となっている。このときの各通常上流側フィン42〜45の位置を「中立位置」というものとする。補助フィン56は、特定上流側フィン41の支軸52から上流側へ離れた箇所において略水平状態となっている。そのため、空調用空気Aは、これらの通常上流側フィン42〜45、補助フィン56及び両第2壁部22に沿って略水平方向に流れる。
【0067】
また、このときには、上流側フィン41〜45毎のアーム71〜73が下流側ほど高くなる傾斜状態となっている。ただし、通常上流側フィン42〜45に対応するアーム72,73は、特定上流側フィン41に対応するアーム71よりも大きく傾いている。
【0068】
図12(A),(B)は、上記基準位置から操作ノブ60が上方へスライド操作された場合の空調用レジスタの状態を示している。
操作ノブ60の上記スライド操作に伴い、両フォーク部61が上方へ移動(上動)させられる。特定上流側フィン41の軸部53に対し、移動方向後側(下側)のフォーク部61が接触し、同軸部53が下側のフォーク部61によって上方へ押される。フォーク部61の上記上動に伴い、軸部53のフォーク部61との接触箇所が通風方向へ変化し、特定上流側フィン41が、支軸52を支点として上方へ傾動させられる。このように、操作ノブ60の上方への直線運動が、特定上流側フィン41の支軸52を支点とした上方への傾動運動(回転運動)に変換される。
【0069】
また、特定上流側フィン41の上記傾動は、リンク機構70を介して全ての通常上流側フィン42〜45に伝達される。すなわち、特定上流側フィン41の上方への上記傾動に伴い、アーム71が支軸52を支点として上方へ傾動し、ピン74が支軸52の周りを上方へ旋回する。アーム71を挟んで隣り合う一対の連結部75は、それぞれアーム71のピン74に対し回動することで屈曲して、互いになす角度を変化させることが可能である。そのため、特定上流側フィン41(アーム71)の上記ピン74の動き(支軸52周りでの上方への旋回)は、連結部75を介して隣の通常上流側フィン43,44(アーム72,73)の各ピン74に伝達される。本実施形態では、上記通常上流側フィン43,44の隣に別の通常上流側フィン42,45が配列されていることから、特定上流側フィン41に近い側の通常上流側フィン43,44のピン74の上記動きが、連結部75を介して、同特定上流側フィン41から遠い側の通常上流側フィン42,45(アーム72,73)のピン74に伝達される。
【0070】
このように、特定上流側フィン41(アーム71)のピン74の動きが、連結部75を介して全ての通常上流側フィン42〜45(アーム72,73)のピン74に伝達される。通常上流側フィン42〜45(アーム72,73)毎のピン74が支軸47の周りを上方へ旋回する。この旋回により、各アーム71〜73の傾きが急峻となる。各アーム71〜73が線L1に対しなす角度θ1,θ2,θ3は、上記操作ノブ60が基準位置(通常上流側フィン42〜45が中立位置)にあるとき(
図4参照)よりも大きくなる。
【0071】
その結果、特定上流側フィン41に連動して、全ての通常上流側フィン42〜45が支軸47を支点として上方へ傾動させられ、下流側ほど高くなる傾斜状態となる。補助フィン56は、支軸52に上流側から接近した箇所で、下流側ほど高くなる傾斜状態となる。そのため、空調用空気Aは、上記通常上流側フィン42〜45及び補助フィン56に沿って流れることで、流れ方向を斜め上方へ変えられる。
【0072】
ここで、
図5に示すように、各アーム71〜73における支軸52,47からピン74までの距離D1,D2,D3には、D1>D2>D3の関係がある。特定上流側フィン41の傾動に伴う各連結部75の移動量は一定である。このことから、いずれの通常上流側フィン42〜45も、特定上流側フィン41よりも多く傾動する。また、上記の関係から特定上流側フィン41よりも下側の通常上流側フィン44,45は、上側の通常上流側フィン42,43よりも多く傾動する。
図12(B)に示すように、アーム71の角度θ1はアーム72の角度θ2よりも小さくなり(θ1<θ2)、アーム72の角度θ2は、アーム73の角度θ3よりも小さくなる(θ2<θ3)。
【0073】
そのため、
図12(A)に示すように、特定上流側フィン41よりも下側の通常上流側フィン44,45に沿って流れ方向を変えられた空調用空気Aは、特定上流側フィン41よりも上側の通常上流側フィン42,43に沿って流れ方向を変えられた空調用空気Aに近づけられる。両空調用空気Aが収束させられることで、空調用空気Aの指向性が向上する。
【0074】
一方、
図13(A),(B)は、上記
図12(A),(B)とは逆に、上記基準位置(
図6参照)から操作ノブ60が下方へスライド操作された場合の空調用レジスタの状態を示している。
【0075】
操作ノブ60の上記スライド操作に伴い、両フォーク部61が下方へ移動(下動)させられる。特定上流側フィン41の軸部53が、移動方向後側(上側)のフォーク部61によって下方へ押される。フォーク部61の上記下動に伴い、軸部53のフォーク部61との接触箇所が通風方向へ変化し、特定上流側フィン41が、支軸52を支点として下方へ傾動させられる。
【0076】
また、特定上流側フィン41の上記傾動に伴い、アーム71が支軸52を支点として下方へ傾動し、ピン74が支軸52の周りを下方へ旋回する。アーム71を挟んで隣り合う一対の連結部75は、それぞれアーム71のピン74に対し回動することで屈曲して、互いになす角度を変化させる。そのため、特定上流側フィン41(アーム71)の上記ピン74の動き(支軸52周りでの下方への旋回)は、連結部75を介して隣の通常上流側フィン43,44(アーム72,73)の各ピン74に伝達される。特定上流側フィン41に近い側の通常上流側フィン43,44のピン74の動きが、連結部75を介して、同特定上流側フィン41から遠い側の通常上流側フィン42,45(アーム72,73)のピン74に伝達される。
【0077】
このように、特定上流側フィン41(アーム71)のピン74の動きが、複数の連結部75を介して全ての通常上流側フィン42〜45(アーム72,73)のピン74に伝達される。通常上流側フィン42〜45(アーム72,73)毎のピン74が支軸47の周りを下方へ旋回し、各アーム71〜73の傾きが緩やかとなる。各アーム71〜73が線L1に対しなす角度θ1,θ2,θ3は、上記操作ノブ60が基準位置(通常上流側フィン42〜45が中立位置)にあるとき(
図4参照)よりも小さくなる。
【0078】
その結果、特定上流側フィン41に連動して、全ての通常上流側フィン42〜45が支軸47を支点として下方へ傾動させられ、下流側ほど低くなる傾斜状態となる。補助フィン56は、支軸52から上流側へ離間した箇所で、下流側ほど低くなる傾斜状態となる。そのため、空調用空気Aは、上記通常上流側フィン42〜45及び補助フィン56に沿って流れることで、流れ方向を斜め下方へ変えられる。
【0079】
ここで、上述したように、支軸52,47からピン74までの距離D1,D2,D3には、D1>D2>D3の関係がある一方で、特定上流側フィン41の傾動に伴う各連結部75の移動量が一定であることから、いずれの通常上流側フィン42〜45も、特定上流側フィン41よりも多く傾動する。また、特定上流側フィン41よりも下側の通常上流側フィン44,45は、上側の通常上流側フィン42,43よりも多く傾動する。
図13(B)に示すように、アーム71の角度θ1はアーム72の角度θ2よりも小さくなり(θ1<θ2)、アーム72の角度θ2は、アーム73の角度θ3よりも小さくなる(θ2<θ3)。
【0080】
なお、
図15(B)は、操作ノブ60が通常可動領域R1で上記のようにスライド操作された場合のアーム71〜73の傾動範囲を示している。また、
図15(A)は、操作ノブ60が通常可動領域R1でスライド操作された場合の通常上流側フィン42〜45の傾動範囲を示している。特定上流側フィン41及びアーム71の上記傾動範囲での傾動角度をθ11とする。通常上流側フィン42,43及びアーム72の上記傾動範囲での傾動角度をθ12とし、通常上流側フィン44,45及びアーム73の上記傾動範囲での傾動角度をθ13とする。すると、傾動角度θ11〜θ13の間には、θ11<θ12<θ13の関係が成立する。
【0081】
ところで、操作ノブ60が
図12(A)及び
図13(A)に示すように、通常可動領域R1でスライド操作されて上流側フィン41〜45が傾動させられる際に、仮に、特定上流側フィン41に空調用空気Aの当たる部位があると、空調用空気Aが同部位に沿って流れる。特定上流側フィン41の角度θ1は、通常上流側フィン42,43の角度θ2、及び通常上流側フィン44,45の角度θ3よりも小さい。そのため、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aは、同通常上流側フィン42〜45に沿って流れる空調用空気Aと干渉し、乱れるおそれがある。
【0082】
しかし、特定上流側フィン41では、支軸52が最上流部に位置していて、同特定上流側フィン41の主要部51は支軸52よりも下流側のみに位置する。特定上流側フィン41において、空調用空気Aの流れ方向を左右する部分が少ない。そのため、空調用空気Aが特定上流側フィン41の近くを流れる際に、通常上流側フィン42〜45の近くを流れる空調用空気Aとは異なる方向へ流れ方向を変えられることが起こりにくい。
【0083】
また、特定上流側フィン41の主要部51では、最上流部に位置する支軸52と、それよりも下流側に位置する軸部53との間が空洞部54となっている。主要部51において、空調用空気Aの流れ方向を左右する部分が、空洞部54の分、さらに少ない。そのため、空調用空気Aが特定上流側フィン41の近くを流れる際に、通常上流側フィン42〜45の近くを流れる空調用空気Aとは異なる方向へ流れ方向を変えられることが一層起こりにくい。
【0084】
また、特定上流側フィン41には、上記のように空調用空気Aの流れ方向を積極的に変更する機能が備わっていない。そのため、特定上流側フィン41のみによっては、その近傍を通過する空調用空気Aの流れ方向を適切に変更することが難しい。そればかりか、特定上流側フィン41の両隣の通常上流側フィン43,44間を通過した空調用空気Aが、流れ方向を変えられることなく吹出口14から真っ直ぐ下流側へ吹き出すおそれがある。
【0085】
しかし、通常上流側フィン43は、補助フィン56を伴って傾動する。補助フィン56によって流れ方向を変えられた空調用空気Aは、特定上流側フィン41を通過する。そのため、特定上流側フィン41の近くを流れる空調用空気Aは、通常上流側フィン42〜45の近くを流れる空調用空気Aと略同じ方向へ流れ方向を変えられる。
【0086】
(ii)操作ノブ60が特定可動領域R2でスライド操作された場合
この場合にも、基本的には、上述した操作ノブ60が通常可動領域R1でスライド操作された場合と同様に、リンク機構70が作動する。なお、
図16(B)は、操作ノブ60が特定可動領域R2でスライド操作された場合のアーム71〜73の傾動範囲を、また
図16(A)は、通常上流側フィン42〜45の傾動範囲をそれぞれ示している。
【0087】
操作ノブ60が特定可動領域R2の下端までスライド操作されると、空調用レジスタは、
図10及び
図14(A),(B)に示す状態になる。この状態では、上流側フィン41〜45が通風方向に対し略直交した状態にされる。
【0088】
傾動方向後側の通常上流側フィン42の幅広部48が、傾動方向前側の通常上流側フィン43の幅狭部49に下流側から重ね合わされる。また、傾動方向後側の通常上流側フィン44の幅広部48が、傾動方向前側の通常上流側フィン45の幅狭部49に下流側から重ね合わされる。このように、幅広部48が幅狭部49に重ね合わされることで、通風路20が全ての通常上流側フィン42〜45によって略閉鎖された状態となり、空調用空気Aの吹出口14からの吹き出しが大きく規制される。
【0089】
ここで、仮に、アーム71における支軸52とピン74との距離D1が、アーム72,73における支軸47とピン74との距離D2,D3と同一に設定、又は短く設定されたとする。この場合、操作ノブ60を特定可動領域R2でスライド操作する際、通常上流側フィン42〜45と同様、特定上流側フィン41を大きく傾動させる必要がある。ただし、この場合には、特定上流側フィン41が、通風路20を閉鎖する側へ傾動するに従い、フォーク部61の直線運動を特定上流側フィン41の傾動運動に変換する効率が低下する。すなわち、支軸52の周りで軸部53を旋回させようとする力よりも、軸部53を支軸52側へ押付けようとする力が強くなる。その結果、両フォーク部61を通じて軸部53に大きな力を加えなければ、特定上流側フィン41が傾動しなくなる。そのため、操作ノブ60を大きな操作荷重でスライド操作しなければならなくなる。
【0090】
しかし、
図5に示すように、距離D1が距離D2,D3よりも長く設定されている本実施形態では、
図16(A),(B)に示すように、特定上流側フィン41及びアーム71が、通常上流側フィン42〜45及びアーム72,73よりも小さな角度傾動する。より詳しくは、傾動角度θ11〜θ13の間には、θ11<θ12<θ13の関係が成立する。従って、特定上流側フィン41及びアーム71を小さな傾動角度θ11だけ傾動させられることで、通常上流側フィン42〜45及びアーム72,73が大きな角度傾動させられ、通風路20が閉鎖される。その結果、操作ノブ60を特定可動領域R2でスライド操作する際の操作荷重が小さくなる。また、操作ノブ60を通常可動領域R1でスライド移動させる場合と、特定可動領域R2でスライド操作させる場合とで操作荷重の差が小さくなる。
【0091】
また、各通常上流側フィン42〜45が通風方向に対し略直交した状態では、
図11に示すように、各板状部46の幅広部48が段差部23に対し下流側から重なり、同段差部23と板状部46との隙間が小さい。そのため、空調用空気Aは、幅広部48と段差部23との間を通過しにくい。
【0092】
これに対し、各板状部46の幅狭部49と段差部23との間には隙間が生ずる。しかし、傾動方向後側の通常上流側フィン42〜45の幅広部48が、傾動方向前側の通常上流側フィン42〜45の幅狭部49に重ね合わされる。そのため、空調用空気Aは上記隙間を通って下流側へ流れにくい。
【0093】
ただし、特定上流側フィン41には、通常上流側フィン42〜45における幅広部48に相当する部分がない。そのため、通常上流側フィン44においては、板状部46の幅狭部49と段差部23との間の隙間を空調用空気Aが通過するおそれがある。
【0094】
しかし、本実施形態では、特定上流側フィン41の主要部51の第2方向(左右方向)についての両側部にそれぞれ閉鎖板部55が設けられている。両閉鎖板部55は、通常上流側フィン42〜45が通風路20を閉鎖する位置まで傾動された場合、傾動方向前側の通常上流側フィン44の幅狭部49の下流側に位置し、同幅狭部49と段差部23との上記隙間を塞ぐ。そのため、空調用空気Aは、上記隙間を通過しにくい。
【0095】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)空調用レジスタとして、ケース10、下流側フィン31,32、通常上流側フィン42〜45、特定上流側フィン41、操作ノブ60及びリンク機構70を備えるものを用いる。リンク機構70として、上流側フィン41〜45毎の支軸52,47から同支軸52,47に直交する方向へ延び、かつ同支軸52,47から偏倚した箇所にピン74を有するアーム71〜73と、全てのピン74を連結する連結ロッド76とを備えるものを用いる。操作ノブ60として、下流側フィン32上にスライド可能に設けられ、特定上流側フィン41の軸部53を挟み込む一対のフォーク部61を有するものを用いるようにしている(
図1、
図2)。
【0096】
そのため、操作ノブ60のスライド操作を特定上流側フィン41に伝達するための部位(フォーク部61)を小さくし、同部位に起因する圧力損失及び騒音発生を抑制することができる。
【0097】
(2)特定上流側フィン41のアーム71における支軸52とピン74との距離D1を、通常上流側フィン42〜45のアーム72,73における支軸47とピン74との距離D2,D3よりも長く設定している(
図4、
図5)。
【0098】
そのため、特定上流側フィン41及びアーム71の傾動角度θ11を、通常上流側フィン42〜45(アーム72,73)の傾動角度θ12,θ13よりも小さくし(
図16(A),(B))、操作ノブ60を特定可動領域R2でスライド操作する際の操作荷重を小さくすることができる。
【0099】
(3)アーム71〜73における距離D1〜D3が、特定上流側フィン41と通常上流側フィン42〜45とで異なることから、特定上流側フィン41及び通常上流側フィン42〜45を傾動させるためには、隣り合う連結部75について、それらの互いになす角度が変化することが必要である。
【0100】
この点、本実施形態では、連結ロッド76として、隣り合う連結部75が屈曲可能に連結されたものを用いている(
図4、
図5)。
そのため、隣り合うアーム71〜73を屈曲させて、互いになる角度を変化させることで、特定上流側フィン41及び通常上流側フィン42〜45を傾動させることができる。
【0101】
(4)特定上流側フィン41の支軸52を、主要部51の最上流部に配置している(
図6、
図9)。
そのため、特定上流側フィン41の主要部51において、空調用空気Aの流れ方向を左右する部分を少なくすることができる。特定上流側フィン41の近くを流れる空調用空気Aが、通常上流側フィン42〜45の近くを流れる空調用空気Aと干渉して乱れるのを抑制することができる。
【0102】
(5)特定上流側フィン41の主要部51において、支軸52と軸部53との間に空洞部54を設けている(
図9)。
そのため、操作ノブ60をスライド操作する際にフォーク部61が主要部51と干渉するのを抑制することができる。
【0103】
また、特定上流側フィン41において、空調用空気Aの流れ方向を左右する部分をさらに少なくすることができ、上記(4)の効果をより大きなものとすることができる。
(6)特定上流側フィン41の両隣に位置する通常上流側フィン43,44の一方(上隣の通常上流側フィン43)に、特定上流側フィン41の支軸52よりも上流側で、同通常上流側フィン43と一緒に傾動する補助フィン56を一体に設けている(
図6)。
【0104】
そのため、特定上流側フィン41の近くを流れる空調用空気Aを補助フィン56に沿って流れさせることで、同空調用空気Aの流れ方向を、通常上流側フィン42〜45の近くを流れる空調用空気Aと同じ方向へ変えることができる。
【0105】
(7)隣り合う一対の連結部75を、1つのピン74に対し、同ピン74の長さ方向についての異なる箇所に回動可能に係合することで、同ピン74を介して屈曲可能に連結している(
図4、
図8)。
【0106】
そのため、隣り合う一対の連結部75を、それぞれ共通のピン74に対し回動させることで、両連結部75を屈曲させて、互いになす角度を変化させ、距離D1〜D3の異なる上流側フィン41〜45を傾動させることができる。
【0107】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<下流側フィン群について>
・下流側フィン群は、1つ又は3つ以上の下流側フィンによって構成されてもよい。
【0108】
<通常上流側フィン42〜45について>
・通常上流側フィン42〜45は、複数であることを条件に、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。
【0109】
<補助フィン56について>
・補助フィン56は、特定上流側フィン41の両隣の通常上流側フィン43,44のうち、上記実施形態とは異なるもの(通常上流側フィン44)に設けられてもよい。
【0110】
<アーム71〜73について>
・アーム71〜73は、支軸52,47に対し直交する方向へ延びることを条件に、上記実施形態とは異なる方向へ延びるものであってもよい。
【0111】
・複数の通常上流側フィン42〜45のアーム72,73における支軸47とピン74との距離D2,D3は、全ての通常上流側フィン42〜45について同一の値に設定されてもよいし、通常上流側フィン42〜45毎に異なる値に設定されてもよい。また、上記距離D2,D3は、上記実施形態とは異なるグループに分けられて設定されてもよい。この場合、同一のグループ内では距離は同一に設定される。
【0112】
ただし、上記いずれの場合も、距離D2,D3は、特定上流側フィン41のアーム71における支軸52とピン74との距離D1よりも短く設定される。
<連結ロッド76について>
・
図17及び
図18に示すように、連結ロッド76として、隣り合う連結部75が、ピン74に対する係合部分において、同連結部75の他の部分よりも薄肉状のヒンジ部81を介して一体に形成されたものが用いられてもよい。こうした連結ロッド76は、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)等の軟質樹脂を用いて形成することができる。
【0113】
この場合、隣り合う一対の連結部75が、ヒンジ部81において屈曲可能に連結される。そのため、隣り合う一対の連結部75は、ヒンジ部81において屈曲することで、互いになす角度を変化させて、上流側フィン41〜45を傾動させることができる。
【0114】
なお、
図17及び
図18において、上記実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号が付されている。
<適用箇所について>
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所、例えばダッシュボードに設けられる空調用レジスタにも適用可能である。
【0115】
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきて室内に吹き出す空調用空気の向きを変更したり、吹き出しを遮断したりすることのできるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
【0116】
<その他>
・上記空調用レジスタは、吹出口14が横長となるように配置される薄型の空調用レジスタにも適用可能である。この場合、車幅方向(左右方向)が第1方向となり、上下方向が第2方向となる。