特許第5772795号(P5772795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5772795-作業装置 図000002
  • 特許5772795-作業装置 図000003
  • 特許5772795-作業装置 図000004
  • 特許5772795-作業装置 図000005
  • 特許5772795-作業装置 図000006
  • 特許5772795-作業装置 図000007
  • 特許5772795-作業装置 図000008
  • 特許5772795-作業装置 図000009
  • 特許5772795-作業装置 図000010
  • 特許5772795-作業装置 図000011
  • 特許5772795-作業装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772795
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/74 20060101AFI20150813BHJP
   E02F 9/18 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B66C23/74 E
   E02F9/18
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-254386(P2012-254386)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-101191(P2014-101191A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 勉
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−177118(JP,A)
【文献】 特開平08−188383(JP,A)
【文献】 特開2003−261286(JP,A)
【文献】 実公昭56−029699(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/74
E02F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体に搭載された機械本体と、
前記機械本体の前部に揺動可能に設けられた作業装置と、
前記機械本体の後部に設けられた分解可能なカウンターウエイトと、
を備えた作業機械であって、
前記カウンターウエイトは、
上面に開口を有するウエイトケースと、
前記開口を通じて出し入れされ、前記ウエイトケースの内部で積み重ねられる複数のブロックと、
前記ウエイトケースの内部に配置され、前記ブロックを検出する検出装置と、
を有し、
最も下側に位置する前記ブロックの下方に、前記ウエイトケースの外からアクセス可能な設置スペースが設けられ、
前記検出装置が、前記設置スペースに設置され、前記ウエイトケースの底壁部に、当該設置スペースに通じる開口部が形成されている作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記機械本体の下部に、左右に離れて前後方向に延びる一対の縦板が設けられ、
前記底壁部の上側に、前記縦板が取り付けられるとともに前記ブロックが載置される一対の縦板受部が突出し、
前記一対の縦板受部の間に、前記設置スペース及び前記開口部が配置されている作業機械。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の作業機械において、
前記検出装置は、
リミットスイッチが取り付けられた支持プレートと、
前記リミットスイッチと前記ブロックとの間に介在する直動部材と、
を有し、
前記直動部材が、
前記支持プレートに取り付けられた基部と、
前記基部にスライド自在に支持された軸部と、
を有し、
前記軸部の一端が前記リミットスイッチに接触した状態で、当該軸部の他端が前記ブロック側に押し出し付勢されている作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械において、
前記支持プレートが、前記ウエイトケースに高さ調整可能に取り付けられている作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解輸送が可能な積層式のカウンターウエイトを備えた大型の作業機械に関し、特にカウンターウエイトの装着状態を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の検出装置に関する先行技術としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、複数のブロックを積み上げて構成されるカウンターウエイト装置を備えたクローラクレーンが開示されている。ブロックは、吊り上げの荷重に応じて搭載数が増減される。
【0004】
各ブロックを検出するために、ブロックごとに接触式のリミットスイッチが設けられている。リミットスイッチの棒状の検出部がカウンターウエイトの各ブロックの側面に接触するか否かで、ブロックの有無を検出している。
【0005】
搭載されたブロックやリミットスイッチの周囲には、カバー等は設置されていないため、これらブロック等は剥き出しの状態となっている。
【0006】
これと同様の検出装置は、特許文献2にも認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−188383号公報
【特許文献2】特開平8−217382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような作業機械の中には、積層するブロックがケースに収容される機種がある。
【0009】
これら機種では、検出装置を用いて各ブロックの有無を検出する場合、それらの周囲がブロックやケースによって囲まれているため、検出装置の初期調整やメンテナンスの作業が困難になる。
【0010】
すなわち、検出部位を適正な位置に取り付けるために、高重量のブロックをケースから何度も出し入れする必要があり、多大な手間と費用を要する。
【0011】
そこで、本発明の目的は、積層されるブロックがケースに収容される機種において、検出装置の初期調整等が容易にできる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る作業機械は、下部走行体に搭載された機械本体と、前記機械本体の前部に揺動可能に設けられた作業装置と、前記機械本体の後部に設けられた分解可能なカウンターウエイトとを備えた作業機械である。前記カウンターウエイトは、上面に開口を有するウエイトケースと、前記開口を通じて出し入れされ、前記ウエイトケースの内部で積み重ねられる複数のブロックと、前記ウエイトケースの内部に配置され、前記ブロックを検出する検出装置とを有している。
【0013】
そして、前記ウエイトケースと前記ブロックとの間に、当該ウエイトケースの外からアクセス可能な設置スペースが設けられ、前記検出装置が、前記設置スペースに設置されている。
【0014】
すなわち、この作業機械は、カウンターウエイトが分解可能な機種であり、カウンターウエイトのブロックは、外部にむき出した状態で設置されるのではなく、ウエイトケースに収容されている。
【0015】
ウエイトケースの内部には、ブロックを検出するために検出装置が配置されており、その検出装置は、ウエイトケースの外からアクセス可能な設置スペースに設置されている。
【0016】
従って、ウエイトケースにブロックを収容したままでも、ウエイトケースの外から検出装置を直接取り扱うことができるため、高重量のブロックをケースから何度も出し入れすることなく、検出装置の検出部位を適正な位置に取り付けることができる。
【0017】
例えば、最も下側に位置する前記ブロックの下方に前記設置スペースを設け、前記ウエイトケースの底壁部に、前記設置スペースに通じる開口部を形成することができる。
【0018】
そうすれば、開口部を通じてウエイトケースの外から最下位のブロックの下方の設置スペースにアクセスすることができるので、設置スペースに最下位のブロックを検出する検出装置を設置することで、最下位のブロックを安定して検出でき、容易に初期調整等ができる。
【0019】
また、前記機械本体の下部に、左右に離れて前後方向に延びる一対の縦板が設けられ、前記底壁部の上側に、前記縦板が取り付けられるとともに前記ブロックが載置される一対の縦板受部が突出している場合には、前記一対の縦板受部の間に、前記設置スペース及び前記開口部を配置するのが好ましい。
【0020】
そうすれば、ブロックを安定して支持しながら、ウエイトケースの内部に設置スペースを容易に形成することができる。
【0021】
例えば、前記検出装置は、支持プレートにリミットスイッチ等を予め組み付けて構成することができる。すなわち、検出装置は、リミットスイッチが取り付けられた支持プレートと、前記リミットスイッチと前記ブロックとの間に介在する直動部材とを有している。前記直動部材が、前記支持プレートに取り付けられた基部と、前記基部にスライド自在に支持された軸部とを有し、前記軸部の一端が前記リミットスイッチに接触した状態で、当該軸部の他端が前記ブロック側に押し出し付勢されているようにする。
【0022】
そうすれば、リミットスイッチ等の組み付け作業や交換作業が容易にできる。リミットスイッチは、直動部材を介してブロックに接するため、検出が容易になり、より安定した検出ができるし、リミットスイッチの破損を防げる点でも有利である。
【0023】
特にこの場合、前記支持プレートが、前記ウエイトケースに高さ調整可能に取り付けられているようにするとよい。
【0024】
そうすれば、メンテナンス等の際、支持プレート自体で高さ調整ができるため、直動部材とリミットスイッチとの位置関係を適正に保持したままで高さ調整ができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、カウンターウエイトのブロックをケースから出し入れすることなく、ケース内に設置された検出装置の調整等ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の作業機械を示す概略図である。
図2】本実施形態の作業機械を示す概略図である。
図3図2の矢印Xの方向から見た概略斜視図である。
図4】カウンターウエイトの構造を分解して示す概略斜視図である。
図5】カウンターウエイトの部分を斜め下方から見た概略斜視図である。
図6図5におけるY−Y線での概略断面図である。
図7】上側の検出装置を示す概略図である。
図8】ウエイトケースの内部から開口部の部分を見た概略斜視図である。
図9】カウンターウエイトの後部の要部を示す概略断面図である。
図10】検出装置の調整等を説明するための概略図である。
図11】作業機械の変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0028】
図1及び図2に、本発明を適用した解体機1(作業機械の一例)を示す。この解体機1は、高層ビルの解体作業向けに設計された大型機種である。解体機1は、そのままでは輸送できないため、分解して輸送され、作業現場で組み立てて使用される。
【0029】
解体機1は、クローラ型の下部走行体2と、その上に旋回自在に搭載された機械本体3とで構成されている。なお、特に言及しない限り、前後左右等の方向は、機械本体3に対するものとする。
【0030】
機械本体3には、下部走行体2に旋回自在に支持されたフレーム4や、フレーム4に設置されたアタッチメント5、キャブ6、機械収容部7、カウンターウエイト20などが備えられている。
【0031】
アタッチメント5は、圧砕機5aやアーム5b、屈曲可能なロングブーム5cなどで構成されており、機械本体3の前部中央に起伏自在に支持されている。詳しくは、機械本体3の下部に位置するフレーム4の上には、左右に離れて前後方向に延びる一対の縦板4a,4aが立設されており、ロングブーム5cは、その縦板4aの前部に支持されている。それにより、ロングブーム5cは、前後乃至上下の方向に揺動可能となっている。
【0032】
アタッチメント5は、分解可能な複数のパーツで構成されており、個々のパーツに分解して輸送される。圧砕機5a等、アタッチメント5を構成しているパーツは、その作業内容に応じて適宜変更することができる。
【0033】
キャブ6は、箱形の運転室であり、アタッチメント5に隣接して、機械本体3の左前部に設置されている。
【0034】
機械収容部7の内部には、エンジンや油圧ポンプなどの駆動機器、燃料タンク等が収容されており、その周囲はガードで覆われている。ガードやカウンターウエイト20の上部には、縁に沿って安全柵8が着脱可能に取り付けられている。
【0035】
図3に示すように、カウンターウエイト20は、アタッチメント5と前後のバランスを保つために機械本体3の後部に設置されている。
【0036】
図4に示すように、カウンターウエイト20は、高重量であるため、輸送時には分解して輸送できるように構成されている。具体的には、カウンターウエイト20には、複数のブロック40と、これらブロック40を収容するウエイトケース22とが備えられている。この解体機1では、上側ブロック40H及び下側ブロック40Lの2つのブロック40が備えられている。
【0037】
なお、アタッチメント5の変更に伴って前後のバランスが変化する場合、ブロック40の個数の調整によってカウンターウエイト20の重量が変更されることがある。
【0038】
上側ブロック40H及び下側ブロック40Lは、いずれも、1t以上の高重量からなる厚みの大きな板状体からなり、上方から見て略同一の形状及び寸法に形成されている。
【0039】
下側ブロック40Lの下面には、嵌合凸部27が嵌り込む嵌合凹部41が4箇所形成されている。各嵌合凹部41は、嵌合凸部27が容易に嵌め込めるように、嵌合凸部27よりも十分大きく形成されている。
【0040】
従って、嵌合凹部41に嵌合凸部27が嵌り込むことにより、一定の遊びを有しながらウエイトケース22の内部での下側ブロック40Lの水平方向の移動が規制される。上側ブロック40Hの下面にも、下側ブロック40Lと同様に4つの嵌合凹部41が形成されている。
【0041】
各ブロック40は、クレーンで吊り上げられた状態で、開口21を通じてウエイトケース22から出し入れされ、ウエイトケース22の内部で積み重ねられる。
【0042】
クレーンで吊り上げるために、各ブロック40の上面には、ワイヤが係合可能な4つの係合凸部42が前後左右に離れて設けられている。下側ブロック40Lの係合凸部42は、上側ブロック40Hの移動規制手段を兼ねており、嵌合凸部27と同様に、上側ブロック40Hの嵌合凹部41に嵌り込むように構成されている。
【0043】
各ブロック40の前部左隅には、ウエイトケース22に設けられた昇降用のラダー28を避ける切欠部43が設けられている。また、各ブロック40の後端には、筒壁部24を後方から受け入れるガイド溝44が上下方向に延びるように形成されている。
【0044】
ウエイトケース22は、上面が開口した略矩形の箱形状をしており、左右一対の側壁部22a,22aや、機械収容部7に隣接する前壁部22b、後方に面する後壁部22c、底壁部22dなどで構成されている。
【0045】
嵌合凸部27等と嵌合凹部41との間の遊びによって各ブロック40の位置ずれが許容されており、また、各ブロック40の出し入れを容易にするためにも、ウエイトケース22は、各ブロック40よりも十分大きく形成されている。
【0046】
ウエイトケース22の後壁部22cの上端における左右方向の中央部位には、前方に向かって凹む凹部23が設けられている。この凹部23は、カウンターウエイト20から突き出ることなく、後方視認用の後方カメラ9やライト等を設置するために設けられている。この解体機1では、後方カメラ9が凹部23に設置されている。
【0047】
後壁部22cの内側には、上述した筒壁部24が設けられている。筒壁部24は、後壁部22cの内面に沿って形成された矩形筒状の構造体であり、凹部23に連なって下方に延びている。各ブロック40をウエイトケース22の内部に設置する際には、ガイド溝44に筒壁部24が嵌り込むことにより、各ブロック40は大まかに所定位置へと誘導される。
【0048】
図5にも示すように、底壁部22dには、左右に離れて前後方向に平行に延びる断面矩形の縦板受部26が一対設けられている。これら縦板受部26は、底壁部22dの2箇所が上向きに凹んでウエイトケース22の内部に突き出すことによって形成されている。
【0049】
図6に示すように、これら縦板受部26に一対の縦板4a,4aを下方から受け入れることにより、ウエイトケース22はフレーム4に取り付けられている。嵌合凸部27は、各縦板受部26の上部に、前後に離れて2つずつ設けられている。
【0050】
下側ブロック40Lは、嵌合凸部27が嵌合凹部41に嵌り込み、一対の縦板受部26,26に跨った状態でウエイトケース22の底壁部22dに載置される。上側ブロック40Hは、嵌合凹部41に下側ブロック40の係合凸部42が嵌り込み、積み重ねられた状態で下側ブロック40Lに載置される。これらブロック40の有無を検出するために、ウエイトケース22に検出装置が設置されている。
【0051】
(検出装置)
この解体機1では、検出装置に接触型のリミットスイッチが用いられている。従って、検出装置は、検出対象とされるブロック40の近傍に設置する必要があり、また、組み付け時やメンテナンスの際には、リミットスイッチを適正に位置決めする必要がある。
【0052】
図7に、上側ブロック40を検出する検出装置50(上側検出装置50Hともいう)を示す。上側検出装置50Hは、凹部23に設置されている。上側ブロック40Hの上面に、凹部23に突出する接触金具51が取り付けられており、この接触金具51が、リミットスイッチ52に接触することで上側ブロック40Hが検出される。
【0053】
上側検出装置50Hの場合、ウエイトケース22の外側に配置されているため、上側ブロック40Hをウエイトケース22に収容した状態でもリミットスイッチ52の初期調整やメンテナンスの作業は容易にできる。
【0054】
ところが、下側ブロック40Lを検出する検出装置50(下側検出装置50Lともいう)の場合、下側ブロック40Lの周囲はウエイトケース22によって囲まれているため、リミットスイッチの初期調整等の作業が難しいという問題がある。
【0055】
すなわち、下側ブロック40Lがウエイトケース22に収容してあると、下側検出装置50Lにアクセスできないため、リミットスイッチの調整ができない。その一方で、下側ブロック40Lをウエイトケース22に収容しないと、リミットスイッチの位置決めができない。そのため、位置調整をしながら高重量のブロック40を何度も出し入れせざるを得ず、多大な手間と費用を要する。
【0056】
そこで、この解体機1では、下側ブロック40Lを収容したままでも、下側検出装置50Lの調整作業が容易にできるように構成されている。
【0057】
まず、図6に示したように、この解体機1では、下側ブロック40Lがウエイトケース22に収容された時に、下側ブロック40Lの下側における一対の縦板受部26,26の間の部分に、下部空間54(設置スペースの一例)が形成されるように構成されている。一対の縦板受部26,26の間であれば、ブロック40を安定して支持しながら下部空間54を容易に設けることができる。そして、この下部空間54に、下側ブロック40Lを検出する下側検出装置50Lが設置されている。
【0058】
更に、図4図5にも示したように、底壁部22dにおける一対の縦板受部26,26の間の部分であって、後壁部22cに寄った部分に、下部空間54に通じる矩形の開口部55が形成されている。従って、下部空間54は、この開口部55を通じてウエイトケース22の外からアクセス可能であり、下側ブロック40Lがウエイトケース22に収容された状態でも、開口部55を通じて、下側検出装置50Lの初期調整等を行うことができる。
【0059】
図8に、下部空間54の内側から開口部55の部分を見た概略図を示す。この解体機1では、下部空間54に、中継装置56と下側検出装置50Lとが設置されている。
【0060】
詳しくは、前後方向に延びる開口部55の縁に沿って中継装置56が設置され、左右方向に延びる後側の開口部55の縁に沿って下側検出装置50Lが設置されている。
【0061】
中継装置56は、主に、後方カメラ9や上側検出装置50Hから機械収容部7に向かって延びるケーブルを中継するために設けられている。
【0062】
具体的には、図9にも示すように、中継装置56には、底壁部22dの上面に沿って機械収容部7から配策されたケーブルC1と、凹部23に設置された後方カメラ9や上側検出装置50Hから筒壁部24の内部を通って配策されたケーブルC2とが接続されている。
【0063】
従って、中継装置56への各ケーブルC1,C2の接続作業やメンテナンス作業についても、下側ブロック40Lをウエイトケース22に収容したままで行うことができる。
【0064】
下側検出装置50Lは、支持プレート61やリミットスイッチ62、直動部材63などで構成されている。
【0065】
支持プレート61は、板状の部材であり、開口部55の縁に沿って底壁部22dに立設されたブラケット68に着脱可能に取り付けられている。リミットスイッチ62や直動部材63は、支持プレート61に所定の配置で予め組み付けられている。下側検出装置50Lは、支持プレート61ごと、開口部55を通じてウエイトケース22の外に取り出すことができる。
【0066】
リミットスイッチ62は、スイッチ本体62aと、スイッチ本体62aに揺動可能に支持された検出アーム62bとを有している。スイッチ本体62aは、ケーブルC3により、中継装置56に接続されている。検出アーム62bは、例えば、スイッチがオンになる検出位置と、スイッチがオフになる非検出位置との間で揺動可能に構成されており、非検出位置に向けて常時付勢されている。
【0067】
直動部材63は、円筒状の基部63aや軸部63bなどで構成されている。基部63aは、ブラケット68に取り付けられた支持プレート61に対し、その中心軸が鉛直方向に向くように支持プレート61に配置されている。軸部63bは、その両端部を基部63aから突出させた状態で、基部63aにスライド自在に支持されている。軸部63bの上端には円板状の接触部63cが設けられている。
【0068】
基部63aの内部に配置されたバネの弾性力により、軸部63bは、常時上方に向かって押し出し付勢されている。軸部63bの下端側には、軸部63bに調整ナット64が締結されており、調整ナット64の締結位置によって軸部63bの突出量が調整できるように構成されている。軸部63bの下端は、リミットスイッチ62の検出アーム62bに常時接触するように、支持プレート61に直動部材63及びリミットスイッチ62が配置されている。
【0069】
図10に示すように、下側ブロック40Lがウエイトケース22に収容されていない状態では、軸部63bは、調整ナット64に規制された状態で基部63aから大きく突出し、検出アーム62bは非検出位置にある。そして、下側ブロック40Lがウエイトケース22に収容されると、下側ブロック40Lの下面が接触部63cに突き当たり、軸部63bを下方に押し付ける。それに伴って検出アーム62bが揺動し、検出位置に至ることで、下側ブロック40Lの有無が検出される。
【0070】
各ブロック40は、ウエイトケース22の内部で水平方向に位置ずれするため、ウエイトケース22の側面と下側ブロック40Lの側面との間の距離は一定しない。しかし、各ブロック40は、上下方向には位置ずれしないため、ウエイトケース22のの上面と下側ブロック40Lの下面との間の距離は安定している。そのため、下方から下側ブロック40を検出することで、リミットスイッチ62でも安定して検出できる。
【0071】
但し、そのためには、下側検出装置50Lを、下側ブロック40Lに対して一定の高さに設定しておく必要がある。製作誤差など、実機では設計値に対してばらつきが存在するため、初期設定時やメンテナンスの際には下側検出装置50Lの高さ調整作業が行われる。その際、支持プレート61により、簡単に高さ調整ができるようになっている。
【0072】
すなわち、支持プレート61は、ボルト及びナットなどの締結具65を複数用いてブラケット68に取り付けられている。支持プレート61及びブラケット68の少なくともいずれか一方には、締結具65の雄ネジ部分65aが通される貫通孔66が形成されている。そして、その貫通孔66が上下方向に延びる長孔とされ、支持プレート61は、ブラケット68に対して上下方向に変位可能となっている。
【0073】
従って、締結具65で支持プレート61をブラケット68に仮止めし、その状態で、支持プレート61をブラケット68に対して上下に動かしながら適正な位置で締結具を強固に固定する。そうすることで、直動部材63とリミットスイッチ62との位置関係を保持したまま、高さ調整ができる。従って、高さ調整作業が容易にできる。
【0074】
なお、本発明にかかる作業機械は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0075】
例えば、図11に示すように、開口部55は、下部空間54とともに、一対の縦板受部26,26の間ではなく、一対の縦板受部26,26の外側に形成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 解体機(作業機械)
2 下部走行体
3 機械本体
4a 縦板
5 アタッチメント
20 カウンターウエイト
21 開口
22 ウエイトケース
26 縦板受部
40 ブロック
40H 上側ブロック
40L 下側ブロック
50 検出装置
50H 上側検出装置
50L 下側検出装置
54 下部空間(設置スペース)
55 開口部
61 支持プレート
62 リミットスイッチ
63 直動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11