(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、下記の本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本発明の第1実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置10は、冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転可能な空気調和装置である。ただし、空気調和装置10は、冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転可能でなくてもよく、冷房運転又は暖房運転のいずれかだけを実施可能な空気調和装置であってもよい。
【0022】
空気調和装置10は、
図1及び
図2に示すように、主に、室内ユニット20と、室外ユニット30と、制御ユニット40と、を有する。なお、本実施形態では、室内ユニット20は1台であるが、複数台であっても構わない。
【0023】
空気調和装置10は、R32が冷媒として充填された冷媒回路1を有する。冷媒回路1は、室内ユニット20に収容される室内側回路1aと、室外ユニット30に収容される室外側回路1bとを有する。室内側回路1aと室外側回路1bとは、液冷媒連絡配管71とガス冷媒連絡配管72とによって接続される。
【0024】
(2)詳細構成
(2−1)室内ユニット
室内ユニット20は、空気調和の対象である室内に設置される。室内ユニット20は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、室内膨張弁23と、室内熱交温度センサ24と、を有する。
【0025】
室内熱交換器21は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器21は、冷房運転時には、後述する室外膨張弁36及び室内膨張弁23で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、室内空気を冷却する。室内熱交換器21は、暖房運転時には、後述する圧縮機31から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、室内空気を加熱する。室内熱交換器21の液側は液冷媒連絡配管71に接続され、室内熱交換器21のガス側はガス冷媒連絡配管72に接続される。
【0026】
室内ファン22は、ファンモータにより回転され、室内空気を取り込んで室内熱交換器21に送風し、室内熱交換器21を流れる冷媒と、室内空気との熱交換を促進する。
【0027】
室内膨張弁23は、膨張機構の一例であり、室内側回路1a内を流れる冷媒の、圧力や流量の調節を行うために設けられた開度可変の電動膨張弁である。冷房運転時には、室内膨張弁23は、凝縮器として機能する、後述する室外ユニット30の室外熱交換器34から、蒸発器として機能する室内熱交換器21へと流れる冷媒を膨張させる(減圧する)。暖房運転時には、室内膨張弁23は、凝縮器として機能する室内熱交換器21から、蒸発器として機能する室外熱交換器34へと流れる冷媒を膨張させる(減圧する)。
【0028】
室内熱交温度センサ24は、室内熱交換器21の温度を測定するサーミスタである。室内熱交温度センサ24は、室内熱交換器21に取り付けられている。室内熱交温度センサ24は、室内熱交換器21が凝縮器として機能する時には、凝縮温度Tcを検出する凝縮温度検出部として機能する。室内熱交温度センサ24は、室内熱交換器21が蒸発器として機能する時には、蒸発温度Teを検出する蒸発温度検出部として機能する。
【0029】
(2−2)室外ユニット
室外ユニット30は、主に、圧縮機31,四路切換弁33、室外熱交換器34、室外ファン35、室外膨張弁36、室外熱交温度センサ37、及び、吐出温度センサ51を有する。圧縮機31、四路切換弁33、室外熱交換器34、及び、室外膨張弁36は、冷媒配管により接続される。
【0030】
(2−2−1)冷媒配管による構成機器の接続
室外ユニット30の構成機器の冷媒配管による接続について説明する。
【0031】
圧縮機31の吸入口と四路切換弁33とは、吸入管81によって接続される。圧縮機31の吐出口と四路切換弁33とは、吐出管82によって接続される。四路切換弁33と室外熱交換器34のガス側とは、第1ガス冷媒管83によって接続される。室外熱交換器34と液冷媒連絡配管71とは、液冷媒管84によって接続される。液冷媒管84には、室外膨張弁36が設けられる。四路切換弁33とガス冷媒連絡配管72とは、第2ガス冷媒管85によって接続される。
【0032】
(2−2−2)圧縮機
圧縮機31は、モータで圧縮機構を駆動することで、吸入管81から低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮機構で圧縮した高圧のガス冷媒を吐出管82に吐出する。圧縮機31は、ロータリ圧縮機であるが、これに限定されるものではなく、例えばスクロール圧縮機であってもよい。
【0033】
圧縮機31は、回転数N(圧縮機31のモータの回転数)を変更可能なインバータ式の圧縮機である。圧縮機31の動きは、後述する圧縮機制御部41bにより制御されている。圧縮機制御部41bは、空気調和の対象空間の温度(室温)と設定温度との乖離度等に応じて、圧縮機31の回転数Nを制御する。
【0034】
(2−2−3)四路切換弁
四路切換弁33は、空気調和装置10の冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れ方向を切り換える。冷房運転時には吐出管82と第1ガス冷媒管83とを接続するとともに吸入管81と第2ガス冷媒管85とを接続する(
図1の実線参照)。一方、暖房運転時には吐出管82と第2ガス冷媒管85とを接続するとともに吸入管81と第1ガス冷媒管83とを接続する(
図1の破線参照)。
【0035】
(2−2−4)室外熱交換器
室外熱交換器34は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器34は、冷房運転時には、室外空気と冷媒の熱交換を行うことで、圧縮機31から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。室外熱交換器34は、暖房運転時には、室外空気と冷媒の熱交換を行うことで、室内膨張弁23及び室外膨張弁36で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
【0036】
(2−2−5)室外ファン
室外ファン35は、ファンモータにより回転され、室外ユニット30内に室外空気を取り込む。取り込まれた室外空気は、室外熱交換器34を通過し、最終的に室外ユニット30外へ排出される。室外ファン35は、室外熱交換器34内を流れる冷媒と、室外空気との熱交換を促進する。
【0037】
(2−2−6)室外膨張弁
室外膨張弁36は、膨張機構の一例であり、室外側回路1b内を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行うために設けられた開度可変の電動膨張弁である。冷房運転時には、室外膨張弁36は、凝縮器として機能する室外熱交換器34から、蒸発器として機能する室内熱交換器21へと流れる冷媒を膨張させる(減圧する)。暖房運転時には、室外膨張弁36は、凝縮器として機能する室内熱交換器21から、蒸発器として機能する室外熱交換器34へと流れる冷媒を膨張させる(減圧する)。
【0038】
(2−2−7)室外熱交温度センサ
室外熱交温度センサ37は、室外熱交換器34の温度を測定するサーミスタである。室外熱交温度センサ37は、室外熱交換器34に取り付けられている。室外熱交温度センサ37は、室外熱交換器34が凝縮器として機能する時には、凝縮温度Tcを検出する凝縮温度検出部として機能する。室外熱交温度センサ37は、室外熱交換器34が蒸発器として機能する時には、蒸発温度Teを検出する蒸発温度検出部として機能する。
【0039】
(2−2−8)吐出管温度センサ
吐出温度センサ51は、圧縮機31から吐出される冷媒の温度を検出するためのサーミスタである。吐出温度センサ51は、圧縮機31の外部、より具体的には、吐出管82の、圧縮機31の吐出口付近に設けられる。吐出温度センサ51で検出された温度は、圧縮機31の制御(圧縮機31の保護制御を含む)のために利用される。
【0040】
(2−3)制御ユニット
制御ユニット40は、空気調和装置10の動きを制御する。
図2に、制御ユニット40を含む空気調和装置10のブロック図を示す。
【0041】
制御ユニット40は、マイクロコンピュータ等からなる制御部41と、RAMやROM等のメモリから成る記憶部42と、入力部43(リモコン)と、を有する。制御ユニット40は、室内ユニット20及び室外ユニット30の各構成、圧縮機31、四路切替弁33、室外ファン35、室外膨張弁36、室内ファン22、室内膨張弁23、吐出温度センサ51、室外熱交温度センサ37、室内熱交温度センサ24等と電気的に接続されている。
【0042】
制御部41は、記憶部42に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、空気調和装置10の制御を行う。制御部41は、室内ユニット20の操作を行うために、入力部43との間で制御信号のやり取りを行う。そして、制御部41は、入力部43への入力(空気調和装置10の運転/停止、運転モード(冷房モード/暖房モード)、設定温度等)に応じて、空気調和装置10の運転を制御する。制御部41は、運転条件に応じて(例えば、空気調和の対象空間の温度(室温)と設定温度との乖離度等に応じて)、室内ユニット20及び室外ユニット30の各種機器を制御する。
【0043】
なお、制御部41は、機能部として、判定部41a、圧縮機制御部41b、及び下限変更部41cを有する。判定部41a、圧縮機制御部41b、及び下限変更部41cについては、後述する。
【0044】
記憶部42には、制御部41で実行されるためのプログラムや各種情報が記憶される。記憶部42は、温度圧力換算情報を記憶する換算情報記憶領域42aと、圧縮機31の、下限回転数NL及び上限回転数NHを記憶する上下限記憶領域42bと、を有する。換算情報記憶領域42a及び上下限記憶領域42bについては、後述する。
【0045】
(2−3−1)制御部
(2−3−1−1)判定部
判定部41aは、圧縮機から吐出される高圧の冷媒の圧力(吐出圧力Po)と、圧縮機に吸入される低圧の冷媒の圧力(吸入圧力Pi)と、の圧力差が、所定値A(例えば、0.3MPa)以上になるような差圧状態にあるか否かを判定する。判定部41aは、具体的には、凝縮温度Tc(室内熱交温度センサ24の計測値又は室外熱交温度センサ37の計測値)と、蒸発温度Te(室外熱交温度センサ37の計測値又は室内熱交温度センサ24の計測値)と、を用いて、差圧状態にあるか否かを判定する。
【0046】
判定部41aによる差圧状態の判定については後述する。
【0047】
(2−3−1−2)圧縮機制御部
圧縮機制御部41bは、空気調和装置10の運転条件や、各種制御信号等に応じて、圧縮機31の起動/停止と、圧縮機31の回転数N(圧縮機31のモータの回転数)を決定し、制御する。圧縮機制御部41bは、例えば、空気調和装置10の空調対象である空間の温度(室温)と設定温度との乖離度に応じて、圧縮機31のモータの回転数Nを制御する。なお、圧縮機31の回転数Nは、後述する上下限記憶領域42bに記憶される下限回転数NLと上限回転数NHとの間の値で制御される。
【0048】
(2−3−1−3)下限変更部
下限変更部41cは、上下限記憶領域42bに記憶された下限回転数NLの値を書き換えることで、圧縮機31の下限回転数NLを変更する。
【0049】
下限変更部41cは、判定部41aが差圧状態にあると判定した時に、圧縮機の下限回転数NLを、第2下限値N2に変更する(設定する)。下限変更部41cは、判定部41aが差圧状態にないと判定した時に、圧縮機の下限回転数NLを、第1下限値N1に変更する(設定する)。
【0050】
下限変更部41cによる下限回転数NLの変更については後述する。
【0051】
(2−3−2)記憶部
(2−3−2−1)換算情報記憶領域
換算情報記憶領域42aには、冷媒であるR32の凝縮温度(蒸発温度)と、凝縮圧力(蒸発圧力)との関係に関する温度圧力換算情報が記憶されている。換算情報記憶領域42aには、具体的には、温度圧力換算情報として、凝縮温度(蒸発温度)毎に凝縮圧力(蒸発圧力)が記憶されている。
【0052】
ただし、これに限定されるものではなく、例えば、換算情報記憶領域42aには、温度圧力換算情報として、凝縮温度(蒸発温度)と凝縮圧力(蒸発圧力)との関係式が記憶されてもよい。
【0053】
(2−3−2−2)上下限記憶領域
上下限記憶領域42bには、圧縮機31の回転数Nの上限(上限回転数NH)と下限(下限回転数NL)とが記憶されている。
【0054】
判定部41aが差圧状態ではないと判定した時には、上下限記憶領域42bには、下限回転数NLとして第1下限値N1が記憶される。一方、判定部41aが差圧状態であると判定した時には、上下限記憶領域42bには、下限回転数NLとして第2下限値N2が記憶される。第2下限値N2は、第1下限値N1よりも大きい。例えば、第1下限値N1は4rpsで、第2下限値N2は6rpsである。なお、上下限記憶領域42bの下限回転数NLは、下限変更部41cにより変更されることで、第1下限値N1又は第2下限値N2に設定される。
【0055】
(2−3−3)入力部
入力部43は、空気調和装置10のリモコンである。入力部43は、空気調和装置10のユーザから各種入力を受け付ける。入力部43がユーザから受け付ける各種入力には、空気調和装置10の運転/停止命令、空気調和装置10の運転モード(暖房モード/冷房モード)、空気調和装置10の設定温度等が含まれる。
【0056】
(3)差圧状態の判定処理及び圧縮機の下限回転数の変更処理
以下に、差圧状態の判定処理及び圧縮機31の下限回転数NLの変更処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。差圧状態の判定処理及び下限回転数NLの変更処理は、空気調和装置10の運転中、定期的に(例えば、30秒間隔で)実行される。
【0057】
ステップS1では、判定部41aは、室内熱交温度センサ24及び室外熱交温度センサ37の計測値を取得する。空気調和装置10が冷房運転中であれば、室外熱交温度センサ37の計測値が凝縮温度Tcとして、室内熱交温度センサ24の計測値が蒸発温度Teとして取得される。空気調和装置10が暖房運転中であれば、室内熱交温度センサ24の計測値が凝縮温度Tcとして、室外熱交温度センサ37の計測値が蒸発温度Teとして取得される。その後ステップS2に進む。
【0058】
ステップS2では、判定部41aは、換算情報記憶領域42aに記憶された温度圧力換算情報を用いて、ステップS1で得られた凝集温度Tcを凝集圧力Pcに換算し、蒸発温度Teを蒸発圧力Peに換算する。その後ステップS3に進む。
【0059】
ステップS3では、判定部41aは、ステップS2で得られた凝縮圧力Pcと、蒸発圧力Peとの圧力差ΔPを算出する。圧力差ΔPは、凝縮圧力Pcから蒸発圧力Peを差し引くことで算出される。なお、凝縮圧力Pcと蒸発圧力Peとの圧力差ΔPは、圧縮機31の、吐出圧力Poと吸入圧力Piとの圧力差と近似する。その後ステップS4へと進む。
【0060】
ステップS4では、判定部41aは、圧力差ΔPが所定値A以上か否かを判定する。圧力差ΔPが所定値A以上と判定された場合には、差圧状態にある(圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの圧力差が所定値A以上になる)と判定し、ステップS5に進む。圧力差ΔPが所定値Aより小さいと判定された場合には、差圧状態ではないと判定し、ステップS7に進む。
【0061】
ステップS5では、下限変更部41cは、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが第1下限値N1であるか否かを判定する。上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第1下限値N1であると判定された場合には、ステップS6へと進む。一方、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第1下限値N1ではない(第2下限値N2である)と判定された場合には、処理を終了する。
【0062】
ステップS6では、下限変更部41cは、下限回転数NLを第2下限値N2に変更する。その後、処理を終了する。
【0063】
ステップS7では、下限変更部41cは、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが第2下限値N2であるか否かを判定する。上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第2下限値N2であると判定された場合には、ステップS8へと進む。一方、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第2下限値N2ではない(第1下限値N1である)と判定された場合には、処理を終了する。
【0064】
ステップS8では、下限変更部41cは、下限回転数NLを第1下限値N1に変更する。その後、処理を終了する。
【0065】
以上の処理を行うことで、判定部41aが、空気調和装置10が差圧状態にあると判定した場合には、圧縮機31の下限回転数NLが第2下限値N2に設定される(変更される)。一方、判定部41aが、空気調和装置10が差圧状態にないと判定した場合には、圧縮機31の下限回転数NLが第1下限値N1に設定される(変更される)。
【0066】
以上のように、圧縮機31の下限回転数NLを第1下限値N1と第2下限値N2とで可変とし、差圧状態にある時に圧縮機31の下限回転数NLを第1下限値N1より大きな第2下限値N2とすることで、以下の様な効果が得られる。
【0067】
圧縮機31は、1台の圧縮機31で幅広い空調能力に応じるために、できるだけ小さな下限回転数NLで運転可能であることが望ましい。従って、圧縮機31の下限回転数NLは、基本的には小さな値(第1下限値N1)であることが望ましい。
【0068】
ところで、圧縮機31においては、圧縮機構の隙間を通って、高圧側から低圧側に向かって冷媒が漏れることを防止するため、圧縮機構に冷凍機油を供給し、圧縮機構の隙間に油膜を形成している。圧縮機構の隙間とは、例えば、本実施形態のようにロータリ圧縮機であれば、ローラとシリンダとの隙間等である。圧縮機31の圧縮機構への冷凍機油の供給は、モータが回転することで発生する遠心力等を駆動力として用いているため、圧縮機31の回転数Nが小さな領域、特に回転数Nが下限回転数NLとなった状態では、冷凍機油の供給量が減少しやすい。そのため、圧縮機31の回転数Nが下限回転数NLとなると、圧縮機構の隙間から冷媒が漏れやすい状態になる。特に、圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの差が所定値A以上になるような差圧状態では、冷媒が漏れやすい状態となる。また、本実施形態では、R32が冷媒として使用されているため、R410Aを冷媒として使用されている場合に比べ、圧縮機構の隙間から冷媒が漏れやすい。
【0069】
その結果、圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの圧力差が、ある値B(値B≧差圧状態の基準値である所定値A)である時に、圧縮機31の下限回転数NLを第1下限値N1とすると、例えば
図4の左側のグラフのように、消費エネルギー(消費電力)に対して、圧縮機構の隙間から冷媒が漏れるために浪費されるエネルギーの割合が大きくなりやすい。言い換えれば、消費エネルギー(消費電力)に対して、実際に空調に寄与するエネルギー(
図4の斜線部)の割合が小さくなりやすい。
【0070】
これに対し、圧縮機31の回転数Nの下限回転数NLを、第1下限値N1より大きな第2下限値N2に変化させると、下限回転数NLにおける圧縮機31の圧縮機構への給油量が増大する。その結果、圧縮機構の隙間に油膜が形成され、漏れる冷媒の量は減少する。その結果、例えば
図4の右側のグラフのように、圧縮機構の隙間から冷媒が漏れることで浪費されるエネルギーが小さくなる。言い換えれば、下限回転数NLを第1下限値N1から第2下限値N2に変更することで、消費エネルギー(消費電力)に対して、実際に空調に寄与するエネルギー(
図4の斜線部)の割合が大きくなる。つまり、本実施形態の空気調和装置10では、差圧状態で、かつ、圧縮機31が低回転数領域で運転される場合の、圧縮機31の効率を改善することが可能である。その結果、空気調和装置10のCOPが改善され、エネルギーの有効活用を図ることができる。
【0071】
なお、差圧状態にあるか否かの判定は、上記のように圧縮機構の隙間から冷媒が漏れて、空気調和装置10のCOPが過度に悪化することを避けるために行われるものであることから、差圧状態にあるか否かの基準値(所定値A)は、圧縮機31の特性等に応じて適切に決められればよい。
【0072】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の空気調和装置10は、冷媒としてR32を使う冷凍装置である。空気調和装置10は、圧縮機31と、凝縮器(室内熱交換器21又は室外熱交換器34)と、膨張機構としての室内膨張弁23及び室外膨張弁36と、蒸発器(室外熱交換器34又は室内熱交換器21)と、判定部41aと、下限変更部41cと、を備える。圧縮機31は、吸入流路としての吸入管81から低圧の冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する。凝縮器(室内熱交換器21又は室外熱交換器34)は、圧縮機31から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる。室内膨張弁23及び室外膨張弁36は、凝縮器(室内熱交換器21又は室外熱交換器34)を出た高圧冷媒を膨張させる。蒸発器(室外熱交換器34又は室内熱交換器21)は、室内膨張弁23及び室外膨張弁36で膨張した冷媒を蒸発させる。判定部41aは、圧縮機31から吐出される高圧の冷媒の圧力と、圧縮機31に吸入される低圧の冷媒の圧力と、の圧力差が、所定値A以上になるような差圧状態にあるか否かを判定する。下限変更部41cは、判定部41aが、差圧状態にあると判定した時に、圧縮機31の下限回転数NLを、第1下限値N1から、第1下限値N1よりも大きな第2下限値N2に変更する。
【0073】
ここでは、圧縮機31から吐出された高圧の冷媒の圧力と、圧縮機31に吸入される低圧の冷媒の圧力と、の圧力差が所定値A以上になるような差圧状態にある場合に、圧縮機31の下限回転数NLが大きな値(第2下限値N2)に変更される。圧縮機31の下限回転数NLが大きな値に変更されることで、圧縮機31が低回転数域で運転される場合にも、圧縮機31の圧縮機構への冷凍機油の給油量が確保されやすくなり、圧縮機構の隙間を小さく抑制することが可能になる。その結果、冷媒としてR32が使用される場合にも、低回転数域において、圧縮機31の圧縮機構の冷媒の漏れを抑制し、空気調和装置10のCOPを改善させることができる。
【0074】
(4−2)
本実施形態の空気調和装置10では、凝縮温度検出部(室内熱交温度センサ24又は室外熱交温度センサ37)と、蒸発温度検出部(室外熱交温度センサ37又は室内熱交温度センサ24)と、備える。凝縮温度検出部(室内熱交温度センサ24又は室外熱交温度センサ37)は、凝縮器(室内熱交換器21又は室外熱交換器34)の凝縮温度Tcを検出する。蒸発温度検出部(室外熱交温度センサ37又は室内熱交温度センサ24)は、蒸発器(室外熱交換器34又は室内熱交換器21)の蒸発温度Teを検出する。判定部41aは、凝縮温度Tcと、蒸発温度Teとを用いて、差圧状態にあるか否かを判定する。
【0075】
ここでは、凝縮温度Tcと蒸発温度Teとを用いて、圧縮機31から吐出された高圧の冷媒の圧力と、圧縮機に吸入される低圧の冷媒の圧力と、の圧力差が所定値A以上になるような差圧状態にあるか否かが判定される。高圧の冷媒の圧力と、低圧の冷媒の圧力とを計測する圧力センサを用いなくても差圧状態にあるか否かを判定可能であり、空気調和装置10のコストを抑制しながら、圧縮機31が低回転数域で運転される場合に、圧縮機31の圧縮機構の冷媒の漏れを抑制し、空気調和装置10のCOPを改善させることができる。
【0076】
(4−3)
本実施形態の空気調和装置10では、判定部41aは、凝縮温度Tc及び蒸発温度Teを、それぞれ凝縮圧力Pc及び蒸発圧力Peに換算する。判定部41aは、換算された凝縮圧力Pc及び蒸発圧力Peを用いて、差圧状態にあるか否かを判定する。
【0077】
ここでは、凝縮温度Tcを凝縮圧力Pcに、蒸発温度Teを蒸発圧力Peに、それぞれ換算し、凝縮圧力Pcと蒸発圧力Peとを用いることで、差圧状態にあるか否かの判定が行われる。そのため、圧力を計測するための圧力センサを用いずに、空気調和装置10のコストを抑制しながら、圧縮機31が低回転数域で運転される場合に、圧縮機31の圧縮機構の冷媒の漏れを抑制し、空気調和装置10のCOPを改善させることができる。
【0078】
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0079】
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、判定部41aは、凝縮温度Tc及び蒸発温度Teを、それぞれ凝縮圧力Pc及び蒸発圧力Peに換算し、換算された凝縮圧力Pc及び蒸発圧力Peを用いて、差圧状態にあるか否かを判定するが、これに限定されるものではない。
【0080】
例えば、換算情報記憶領域42aに、凝縮温度Tcと蒸発温度Teとの温度差ΔTを、凝縮圧力Pcと蒸発圧力Peとの圧力差ΔPに換算する情報(例えば数式等)を記憶させ、判定部41aは、その情報を利用することで、差圧状態にあるか否かを判定してもよい。
【0081】
この場合には、上記実施形態のフローチャート(
図3参照)と異なり、
図5のフローチャートのように、ステップS2の代わりに、凝縮温度Tcと蒸発温度Teとの温度差ΔTを算出するステップS12が実行され、ステップS3の代わりに、温度差ΔTから凝縮圧力Pcと蒸発圧力Peとの圧力差ΔPを算出するステップS13が実行される。
【0082】
また、例えば、差圧状態になる可能性の高い、すなわち圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの圧力差が所定値A以上になる可能性が高い、凝縮温度Tcと蒸発温度Teとの温度差ΔTの基準値Cを予め記憶部42に記憶させておき、判定部41aは、温度差ΔTが基準値C以上になるか否かで、差圧状態にあるか否かを判定してもよい。
【0083】
この場合には、上記実施形態のフローチャート(
図3参照)と異なり、
図6のフローチャートのように、ステップS2の代わりに、凝縮温度Tcと蒸発温度Teとの温度差ΔTを算出するステップS12が実行され、その後、ステップS14で温度差ΔTが基準値C以上か否かで差圧状態の判定が行われる。
【0084】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、判定部41aは、算出された凝縮圧力Pc及び蒸発圧力PeのΔPが、圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの差と等しいとみなして、ΔPが所定値A以上の時に差圧状態(圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの差が所定値A以上になるような状態)にあると判定しているが、これに限定されるものではない。例えば、ΔPが、所定値Aと所定の係数との積以上の時に差圧状態にあると判定してもよい。
【0085】
(5−3)変形例1C
上記実施形態では、判定部41aは、凝縮温度Tc及び蒸発温度Teを用いて差圧状態にあるか否かを判定しているが、差圧状態の判定方法はこれに限定されるものではない。例えば、室内膨張弁23及び/又は室外膨張弁36の開度と、圧縮機31の回転数Nとを用いて、差圧状態にあるか否かを判定するものであってもよい。また、凝縮温度Tc又は蒸発温度Teに加えて、室温や外気温を用いて、差圧状態にあるか否かを判定するものであってもよい。
【0086】
(5−4)変形例1D
上記実施形態では、圧縮機31から吐出される高圧の冷媒の圧力と、圧縮機31に吸入される低圧の冷媒の圧力と、の圧力差が、所定値A以上になるような1つの差圧状態が判定され、差圧状態であるか否かに応じて、下限回転数NLが、第1下限値N1と第2下限値N2とのいずれかの値に設定されるが、これに限定されるものではない。例えば、所定値を複数設けることで、圧力差が所定値A1以上になる第1差圧状態、圧力差が所定値A2以上になる第2差圧状態、・・等を判定し、どの差圧状態にあるかに応じ、下限回転数NLが複数の値に設定(変更)されてもよい。
【0087】
(5−5)変形例1E
上記実施形態では、室内膨張弁23及び室外膨張弁36が膨張機構として設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、膨張機構は、室外膨張弁36だけであってもよい。
【0088】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置110について説明する。なお、本実施形態の空気調和装置110は、第1実施形態と共通する点も多いため、主に相違点について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ符号を用いる場合があるが、同じ符号を用いた構成は、第1実施形態の構成と同様であることを意味する。
【0089】
(1)全体構成
空気調和装置110は、R32を冷媒として使用する冷凍装置である。空気調和装置110は、
図1に示すように、主に、室内ユニット20と、室外ユニット130と、制御ユニット140と、を有する。第1実施形態の空気調和装置10と、室内ユニット20については同様であるので、ここでは、室外ユニット130及び制御ユニット140についてのみ説明する。
【0090】
(2)詳細構成
(2−1)室外ユニット
室外ユニット130は、主に、圧縮機31,四路切換弁33、室外熱交換器34、室外ファン35、室外膨張弁36、室外熱交温度センサ37、吐出温度センサ51、吐出圧力センサ61、及び、吸入圧力センサ62を有する。室外ユニット130は、吐出圧力センサ61と吸入圧力センサ62とを有する点を除き、第1実施形態の室外ユニット30と同様であるので、ここでは、吐出圧力センサ61及び吸入圧力センサ62についてのみ説明する。
【0091】
(2−1−1)吐出圧力センサ
吐出圧力センサ61は、圧縮機31から吐出される高圧の冷媒の圧力(吐出圧力Po)を検出する吐出圧力検知部の一例である。吐出圧力センサ61は、圧縮機31の外部、より具体的には、吐出管82の、圧縮機31の吐出口付近に設けられる。
【0092】
(2−1−2)吸入圧力センサ
吸入圧力センサ62は、圧縮機31に吸入される低圧の冷媒の圧力(吸入圧力Pi)を検出する吸入圧力検知部の一例である。吸入圧力センサ62は、圧縮機31の外部、より具体的には、吸入管81の、圧縮機31の吸入口付近に設けられる。
【0093】
(2−2)制御ユニット
制御ユニット140は、空気調和装置110を制御する。
図8に、制御ユニット140を含む空気調和装置110のブロック図を示す。
【0094】
制御ユニット140は、第1実施形態に係る制御ユニット40と、吐出圧力センサ61及び吸入圧力センサ62が電気的に接続されている点と、圧力センサ61,62の計測値を用いて判定部141aが差圧状態の判定を行う点が異なる。その他の点は同様であるので、ここでは、判定部141aについてのみ説明する。なお、記憶部42の換算情報記憶領域42aは、判定部141aによる差圧状態の判定には用いられないため、設けられていなくてもよい。
【0095】
(2−2−1)判定部
判定部41aは、圧縮機から吐出される高圧の冷媒の圧力(吐出圧力Po)と、圧縮機に吸入される低圧の冷媒の圧力(吸入圧力Pi)と、の圧力差が、所定値A以上になるような差圧状態にあるか否かを判定する。判定部41aは、具体的には、吐出圧力センサ61により計測された吐出圧力Poと、吸入圧力センサ62により計測された吸入圧力Piと、を用いて、差圧状態にあるか否かを判定する。
【0096】
(3)差圧状態の判定処理及び圧縮機の下限回転数の変更処理
以下に、差圧状態の判定処理及び圧縮機31の下限回転数NLの変更処理について、
図9のフローチャートを用いて説明する。差圧状態の判定処理及び下限回転数NLの変更処理は、空気調和装置110の運転中、定期的に(例えば、30秒間隔で)実行される。
【0097】
ステップS101では、判定部141aは、吐出圧力センサ61及び吸入圧力センサ62の計測値を、吐出圧力Po及び吸入圧力Piとして取得する。その後ステップS102に進む。
【0098】
ステップS102では、判定部141aは、ステップS101で得られた吐出圧力Poと、吸入圧力Piとの圧力差ΔP1を算出する。圧力差ΔP1は、吐出圧力Poから吸入圧力Piを差し引くことで算出される。その後ステップS103へと進む。
【0099】
ステップS103では、判定部141aは、圧力差ΔP1が所定値A以上か否かを判定する。圧力差ΔP1が所定値A以上と判定された場合には、差圧状態にあると判定し、ステップS104に進む。圧力差ΔP1が所定値Aより小さいと判定された場合には、差圧状態ではないと判定し、ステップS106に進む。
【0100】
ステップS104では、下限変更部41cは、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが第1下限値N1であるか否かを判定する。上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第1下限値N1であると判定された場合には、ステップS105へと進む。一方、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第1下限値N1でない(第2下限値N2である)と判定された場合には、処理を終了する。
【0101】
ステップS105では、下限変更部41cは、下限回転数NLを第2下限値N2に変更する。その後、処理を終了する。
【0102】
ステップS106では、下限変更部41cは、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが第2下限値N2であるか否かを判定する。上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第2下限値N2であると判定された場合には、ステップS107へと進む。一方、上下限記憶領域42bに記憶されている下限回転数NLが、第2下限値N2でない(第1下限値N1である)と判定された場合には、処理を終了する。
【0103】
ステップS107では、下限変更部41cは、下限回転数NLを第1下限値N1に変更する。その後、処理を終了する。
【0104】
(4)特徴
第2実施形態の空気調和装置110は、第1実施形態の(4−1)の特徴に加え、以下の特徴を有する。
【0105】
(4−1)
本実施形態の空気調和装置110は、吐出圧力検出部としての吐出圧力センサ61と、吸入圧力検出部としての吸入圧力センサ62と、を備える。吐出圧力センサ61は、圧縮機31から吐出される高圧の冷媒の圧力を検出する。吸入圧力センサ62は、圧縮機31に吸入される低圧の冷媒の圧力を検出する。判定部141aは、吐出圧力センサ61及び吸入圧力センサ62の検出結果を用いて、差圧状態にあるか否かを判定する。
【0106】
ここでは、吐出圧力Po及び吸入圧力Piを実際に計測することで、差圧状態を正確に判定できる。そのため、低回転数域において、圧縮機31の圧縮機構の冷媒の漏れを抑制し、空気調和装置110のCOPを改善させることが容易である。
【0107】
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0108】
(5−1)変形例2A
上記実施形態では、吐出圧力センサ61及び吸入圧力センサ62が設けられているが、これに限定されるものではない。
【0109】
例えば、吐出圧力センサ61又は吸入圧力センサ62の一方だけが設けられていてもよい。そして、圧力センサで検出しない圧力については、第1実施形態のように、凝縮温度Tc又は蒸発温度Teを用いて、凝縮圧力Pc又は蒸発圧力Peを算出し、その値を圧力センサで検出しない圧力として代用してもよい。例えば、吸入圧力センサ62を設けない場合には、室内熱交温度センサ24又は室外熱交温度センサ37により検出した蒸発温度Teを換算することで蒸発圧力Peを算出し、その値を吸入圧力Piとして用いてもよい。
【0110】
(5−2)変形例2B
上記実施形態では、圧縮機31の吐出圧力Poと吸入圧力Piとの圧力差ΔP1が、所定値A以上になるような1つの差圧状態が判定され、差圧状態であるか否かに応じて、下限回転数NLが、第1下限値N1と第2下限値N2とのいずれかの値に設定されるが、これに限定されるものではない。例えば、所定値を複数設けることで、圧力差が所定値A1以上になる第1差圧状態、圧力差が所定値A2以上になる第2差圧状態、・・等を判定し、どの差圧状態にあるかに応じ、下限回転数NLが複数の値に設定(変更)されてもよい。
【0111】
(5−3)変形例2C
上記実施形態では、室内膨張弁23及び室外膨張弁36が膨張機構として設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、膨張機構は、室外膨張弁36だけであってもよい。