特許第5772842号(P5772842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772842
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/76 20060101AFI20150813BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01L29/78 652R
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 657F
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 652P
   H01L21/76 L
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-17147(P2013-17147)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-150126(P2014-150126A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 友生
(72)【発明者】
【氏名】水野 祥司
(72)【発明者】
【氏名】竹内 有一
(72)【発明者】
【氏名】添野 明高
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 行彦
【審査官】 須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/137167(WO,A1)
【文献】 特開2010−192565(JP,A)
【文献】 特開平10−326897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76
H01L 27/04
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側が高濃度不純物層(1)とされていると共に表面側が前記高濃度不純物層よりも低不純物濃度とされたドリフト層(2)とされ、第1導電型の炭化珪素にて構成された半導体基板(1、2)と、
前記ドリフト層(2)の上に形成された第2導電型の炭化珪素からなるベース領域(3)と、
前記ベース領域の上層部に形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度の第1導電型の炭化珪素で構成されたソース領域(4)と、
前記ベース領域のうち前記ソース領域と前記ドリフト層との間に位置する部分の表層部もしくは表面上に構成されるチャネル領域の表面に形成されたゲート絶縁膜(7)と、
前記ゲート絶縁膜の表面に形成されたゲート電極(8)と、
前記ソース領域に電気的に接続されるソース電極(10)と、
前記半導体基板の裏面側における前記高濃度不純物層と電気的に接続されるドレイン電極(12)とを有するMOSFETをメインセル領域(Rm)およびセンスセル領域(Rs)にそれぞれ備え、
さらに、前記メインセル領域と前記センスセル領域との間において、前記ベース領域の表面から該ベース領域よりも深くまで形成され、前記メインセル領域側と前記センスセル領域側とに分離する素子分離層(14)と、
前記ベース領域の底部から前記素子分離層よりも深い位置まで形成された第2導電型の電界緩和層(15)とを有し、
前記電界緩和層は、前記メインセル領域側と前記センスセル領域側とに分離されており、該電界緩和層の分離部分の内側に前記素子分離層の少なくとも一部が配置されていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板における前記高濃度不純物層は、オフ角を有するオフ基板であり、
前記ドリフト層および前記ベース領域は、前記高濃度不純物層の表面側に順にエピタキシャル成長させられることで前記オフ角を受け継いで形成されており、
前記素子分離層の幅をWi、前記電界緩和層の分離部分の幅をWp、前記ベース領域の厚みをTe、前記オフ角をθとして、前記素子分離層の幅Wiおよび前記電界緩和層の分離部分の幅Wpが、
(数1)
Wi>2Te/tanθ−Wp>0
の関係を満たす寸法とされていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記素子分離層の幅が前記電界緩和層の幅よりも大きく、前記素子分離層の幅内において前記電界緩和層の分離部分が配置され、該電界緩和層の分離部分の全域が前記素子分離層に架橋された構造となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記素子分離層の底部の一部が前記電界緩和層の分離部分の内側に配置され、前記素子分離層の一方の角部が前記電界緩和層に囲まれた構造となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記素子分離層は、絶縁膜によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記ソース領域の表面から前記ベース領域よりも深くまでトレンチ(6)が形成されており、該トレンチの内壁面に前記ゲート絶縁膜が形成されていると共に、該トレンチ内において前記ゲート絶縁膜の表面に前記ゲート電極が形成されており、
前記素子分離層は、前記トレンチと同じ深さのトレンチ内に前記絶縁膜が形成されることによって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記素子分離層は、前記ベース領域に該ベース領域と異なる導電型の不純物がイオン注入されることで、前記ベース領域が異なる導電型層とされて構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型のMOSFETをメインセルとセンスセルとに分け、メインセルに流れる電流をセンスセルにて検出する炭化珪素(以下、SiCという)半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、半導体素子をメインセルとセンスセルとに分け、メインセルに流れる電流をセンスセルにて検出するようにしたSiC半導体装置が開示されている。このSiC半導体装置では、縦型の電界効果トランジスタが形成されたメインセルと、ヘテロ接合ダイオードが形成されたセンスセルとの間に、n型不純物をイオン注入して形成したn+型パンチスルーストッパ層を形成している。このn+型パンチスルーストッパ層により、メインセルとセンスセルとの間の素子分離を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−093382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、nチャネル型の縦型MOSFETをメインセルとセンスセルとに形成するようなSiC半導体装置を構成する場合、図7Aに示す構造によってメインセルとセンスセルとの素子分離を行うことが考えられる。すなわち、n+型SiC基板J1上のn-型ドリフト層J2の表面もしくは上層部にp型ベース領域J3が形成され、このp型ベース領域を分離するようにp型ベース領域J3よりも深い素子分離層J4を形成することで、素子分離が行う構造が想定される。
【0005】
しかしながら、素子分離層J4の底部において電界集中が発生し、耐圧構造が十分ではないという問題が発生し得る。このため、本発明者らは、図7Bに示すように、p型ベース領域J3の下層にp型電界緩和層J5を形成することで素子分離層J4の底部を覆い、素子分離層J4の底部での電界集中を緩和して、十分な耐圧構造が得られるようにすることを考えた。ところが、素子分離層J4の下方にp型電界緩和層J5を形成すると、p型電界緩和層J5を通じてメインセルとセンスセルが導通してしまい、これらの間の素子分離が行えなくなってしまう。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、メインセルとセンスセルとの間に素子分離層を形成することでこれらの間の素子分離を的確に行いつつ、素子分離層の下方での電界集中を緩和し、かつ、メインセルとセンスセルとが導通してしまわないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1ないし7に記載の発明では、縦型のMOSFETをメインセル領域(Rm)およびセンスセル領域(Rs)にそれぞれ備えたSiC半導体装置であって、メインセル領域とセンスセル領域との間において、ベース領域(3)の表面から該ベース領域よりも深くまで形成され、メインセル領域側とセンスセル領域側とに分離する素子分離層(14)と、ベース領域の底部から素子分離層よりも深い位置まで形成された第2導電型の電界緩和層(15)とを有し、電界緩和層は、メインセル領域側とセンスセル領域側とに分離されており、該電界緩和層の分離部分の内側に素子分離層の少なくとも一部が配置されていることを特徴としている。
【0008】
このように、メインセル領域とセンスセル領域の間を電気的に分離するように素子分離層を備えるようにしている。そして、素子分離層の底部において電界集中が緩和されるように電界緩和層を備えつつ、さらに電界緩和層の分離部分の内側に素子分離層の少なくとも一部が配置されることで、電界緩和層がメインセル領域側とセンスセル領域側とに分離されるようにしている。
【0009】
これにより、素子分離層によってメインセル領域とセンスセル領域の間の素子分離を的確に行いつつ、電界緩和層によって素子分離層の下方での電界集中を緩和できる。さらに、電界緩和層によってメインセル領域とセンスセル領域とが導通しないようにすることも可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、半導体基板における高濃度不純物層は、オフ角を有するオフ基板であり、ドリフト層およびベース領域は、高濃度不純物層の表面側に順にエピタキシャル成長させられることでオフ角を受け継いで形成されており、素子分離層の幅をWi、電界緩和層の分離部分の幅をWp、ベース領域の厚みをTe、オフ角をθとして、素子分離層の幅Wiおよび電界緩和層の分離部分の幅Wpが、
(数1)
Wi>2Te/tanθ−Wp>0
の関係を満たす寸法とされていることを特徴としている。
【0011】
このように、素子分離層の幅Wiおよび電界緩和層の分離部分の幅Wpについて、数式1を満たすように設定することで、素子分離層のうちの少なくとも一部が電界緩和層の分離部分の内側に配置されるようにできる。これにより、オフ基板を用いてSiC半導体装置を形成する場合においても、素子分離層の幅内において確実に電界緩和層がメインセル領域側とセンスセル領域側とに分離されるようにできる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態にかかるSiC半導体装置の断面図である。
図2A図1に示すSiC半導体装置の素子分離層14と電界緩和層15との関係を示した図である。
図2B図1に示すSiC半導体装置の素子分離層14と電界緩和層15との関係を示した図である。
図2C図1に示すSiC半導体装置の素子分離層14と電界緩和層15との関係を示した図である。
図3図1に示すSiC半導体装置における素子分離層14の近傍の製造工程を示した断面図である。
図4】本発明の第2実施形態で説明するn+型基板1をオフ基板にする場合のアライメントずれの様子を示した断面図である。
図5】アライメントマークずれと素子分離層14や電界緩和層15の形成位置との関係を示した断面図である。
図6】本発明の第3実施形態にかかるSiC半導体装置における素子分離層14近傍の製造工程を示した断面図である。
図7A】メインセルとセンスセルとを素子分離した構造の一例を示した半導体装置の断面図である。
図7B】メインセルとセンスセルとを素子分離しつつ、p型電界緩和層J5を備えた場合の半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。ここでは半導体素子として、反転型のトレンチゲート構造のMOSFETが備えられるSiC半導体装置を例に挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態にかかるSiC半導体装置は、メインセルとなる領域(以下、メインセル領域という)Rmおよびセンスセルとなる領域(以下、センスセル領域という)Rsを有した構成とされている。これら各領域Rm、Rsには、同じ構造の反転型のトレンチゲート構造のMOSFETが備えられており、各領域Rm、Rsの間が素子分離されていて電気的に分離されている。
【0017】
具体的には、本実施形態のSiC半導体装置は、SiCからなる高濃度不純物層を構成するn+型基板1の表面側に、n+型基板1よりも低不純物濃度のSiCからなるn-型ドリフト層2が形成された半導体基板を用いて形成されている。n-型ドリフト層2の上層部にはn-型ドリフト層2よりも高不純物濃度のSiCで構成されたp型ベース領域3が形成されている。さらに、p型ベース領域3の上層部分にはn+型ソース領域4およびp+型コンタクト領域5が形成されている。n+型ソース領域4は、後述するトレンチゲート構造の両側に配置されており、p+型コンタクト領域5は、n+型ソース領域4を挟んでトレンチゲート構造と反対側に備えられている。
【0018】
また、p型ベース領域3およびn+型ソース領域4を貫通してn-型ドリフト層2に達するように、紙面垂直方向を長手方向とするトレンチ6が形成されている。このトレンチ6の側面と接するように上述したp型ベース領域3およびn+型ソース領域4が配置されている。
【0019】
さらに、p型ベース領域3のうちn+型ソース領域4とn-型ドリフト層2との間に位置する部分の表層部をチャネル領域として、このチャネル領域を含むトレンチ6の内壁面にはゲート絶縁膜7が形成されている。そして、ゲート絶縁膜7の表面にはドープトPoly−Siにて構成されたゲート電極8が形成されており、これらゲート絶縁膜7およびゲート電極8によってトレンチ6内が埋め尽くされている。
【0020】
このようにして、トレンチゲート構造が構成されている。このトレンチゲート構造は、図1の紙面垂直方向を長手方向として延設されており、複数のトレンチゲート構造が図1中の左右方向に並べられることでストライプ状とされている。また、上述したn+型ソース領域4およびp+型コンタクト領域5もトレンチゲート構造の長手方向に沿って延設された構造とされている。
【0021】
さらに、n-型ドリフト層2のうちp型ベース領域3よりも下方位置に、トレンチゲート構造におけるトレンチ6の間において、トレンチ6の長手方向と平行に並べられたp型ディープ層9が備えられている。p型ディープ層9は、トレンチ6の底部よりも深くなるように形成されており、ボロンもしくはアルミニウム等のp型不純物濃度が例えば1.0×1017/cm3〜1.0×1019/cm3とされている。
【0022】
また、n+型ソース領域4およびp+型コンタクト領域5の表面やゲート電極8の表面には、ソース電極10やゲート配線(図示せず)が形成されている。ソース電極10およびゲート配線は、複数の金属(例えばNi/Al等)にて構成されており、少なくともn型SiC(具体的にはn+型ソース領域4やn型ドープの場合のゲート電極8)と接触する部分はn型SiCとオーミック接触可能な金属で構成され、少なくともp型SiC(具体的にはp+型コンタクト領域5やp型ドープの場合のゲート電極8)と接触する部分はp型SiCとオーミック接触可能な金属で構成されている。なお、これらソース電極10およびゲート配線は、層間絶縁膜11上に形成されることで電気的に絶縁されいる。この層間絶縁膜11に形成されたコンタクトホールを通じて、ソース電極10はn+型ソース領域4およびp+型コンタクト領域5と電気的に接触させられ、ゲート配線はゲート電極8と電気的に接触させられている。
【0023】
そして、n+型基板1の裏面側にはn+型基板1と電気的に接続されたドレイン電極12が形成されている。このような構造により、nチャネルタイプの反転型のトレンチゲート構造のMOSFETが構成されており、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの両方に同じ構造のMOSFETが形成されている。そして、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsに備えられる反転型のMOSFETのセル面積(セル数)が所定比率となるようにしてある。
【0024】
また、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとの間において、p型ベース領域3の表面からp型ベース領域3よりも深い位置まで素子分離層14が形成されている。この素子分離層14は、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとの間を素子分離、つまり電気的に分離するものであり、酸化膜などの絶縁膜もしくはp型ベース領域3と反対の導電型であるn型層によって構成されている。
【0025】
さらに、メインセル領域Rmのうちセンスセル領域Rsの近傍や、センスセル領域Rsのうちメインセル領域Rmの近傍では、MOSFETが形成されていない部分が設けられている。この領域におけるp型ベース領域3の下方には、p型層にて構成された電界緩和層15が形成されている。この電界緩和層15は、素子分離層14よりも深い位置まで形成されており、素子分離層14の底部がp型ベース領域3の底部から電界緩和層15の底部までの間に位置させられている。このため、電界緩和層15によって素子分離層14の底部での電界集中を緩和することが可能となり、十分な耐圧構造が得られるようにしている。
【0026】
また、電界緩和層15は、素子分離層14の底部において分離されている。このため、メインセル領域Rm側の電界緩和層15とセンスセル領域Rs側の電界緩和層15が電気的に分離されており、電界緩和層15を通じてメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとが導通してしまわないようにしてある。
【0027】
なお、この電界緩和層15の深さおよび不純物濃度については任意であるが、電界集中を緩和するためにある程度深くて高不純物濃度である方が好ましく、本実施形態ではp型ディープ層9と同じ深さ同じ不純物濃度にしてある。
【0028】
また、素子分離層14の上には、フィールド酸化膜16を介して層間絶縁膜11が形成されている。そして、例えば素子分離層14の上方において、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsそれぞれのソース電極10が分離されており、それぞれ別々に外部との接続が行えるようになっている。
【0029】
メインセル領域Rmのうちセンスセル領域Rsの近傍や、センスセル領域Rsのうちメインセル領域Rmの近傍において、p型ベース領域3の上層部にp+型コンタクト領域5が形成されている。このp+型コンタクト領域5上において、層間絶縁膜11にはコンタクトホールが形成させられており、このコンタクトホールを通じてp+型コンタクト領域5がソース電極10に接続されている。これにより、p型ベース領域3がソース電位に固定さられるようにしてある。
【0030】
以上のようにして、メインセル領域Rmおよびセンスセル領域Rsに同じ構造の反転型のトレンチゲート構造のMOSFETが備えられるSiC半導体装置が構成されている。このようなSiC半導体装置に備えられる反転型のトレンチゲート構造のMOSFETは、ゲート電極8にゲート電圧を印加すると、p型ベース領域3のうちトレンチ6に接している表面にチャネルが形成される。これにより、ソース電極10から注入された電子がn+型ソース領域4からp型ベース領域3に形成されたチャネルを通った後、n-型ドリフト層2に到達し、ソース電極10とドレイン電極12との間に電流を流すという動作が行われる。
【0031】
そして、このような反転型のMOSFETをメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsそれぞれに形成し、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsに備えられたMOSFETのセル面積(セル数)を所定比率に設定してある。このため、メインセル領域Rmに流れる電流を所定比率で減少させた電流をセンスセル領域Rsに流すことができる。したがって、センスセル領域Rsに流れる電流を外部に出力することで、メインセル領域Rmに流れる電流をセンシングできる。
【0032】
このような構成のSiC半導体装置において、上記したようにメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの間を電気的に分離するように素子分離層14を備えつつ、素子分離層14の底部において電界集中が緩和されるように電界緩和層15を備えている。さらに、電界緩和層15の分離部分の内側に素子分離層14の少なくとも一部が配置され、電界緩和層15がメインセル領域Rm側とセンスセル領域Rs側とに分離されるようにしている。
【0033】
これにより、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの間に素子分離層14を形成することでこれらの間の素子分離を的確に行いつつ、電界緩和層15によって素子分離層14の下方での電界集中を緩和できる。さらに、電界緩和層15によってメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとが導通しないようにすることも可能となる。
【0034】
なお、上記したように、素子分離層14の底部において電界緩和層15が分離された構造としているが、素子分離層14と電界緩和層15とが図2A図2Cに示すいずれの関係であっても構わない。具体的には、図2Aに示すSiC半導体装置は、素子分離層14の幅内において電界緩和層15の分離部分が配置され、電界緩和層15の分離部分の全域が素子分離層14に架橋された構造となっている。このような構成は少なくとも素子分離層14の幅が電界緩和層15の分離部分の幅よりも大きくされていることが必要だが、電界緩和層15の分離部分の全域が素子分離層14に架橋されているため、当該分離部分の全域を分離構造にできて好ましい。図2Bに示すSiC半導体装置は、素子分離層14の底部の一部が電界緩和層15の分離部分の内側に配置され、素子分離層14の一方の角部が電界緩和層15に囲まれた構造となっている。図2Cに示すSiC半導体装置は、素子分離層14が電界緩和層15の分離部分の内側に配置された構造となっている。これらいずれの場合であっても、素子分離層14の底部全域に電界緩和層15が形成された構造ではないため、電界緩和層15を通じてメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとが導通してしまうことはない。このように、電界緩和層15の分離部分の内側に素子分離層14の少なくとも一部が配置された構造であればよいため、図2A図2Cのいずれの形態とされていても良い。
【0035】
続いて、本実施形態に掛かるSiC半導体装置の製造方法について、図3を参照して説明する。ただし、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法のうち、素子分離層14の形成工程以外については従来と同様であるため、ここでは素子分離層14の形成工程を主に説明する。
【0036】
図3(a)に示す工程〕
まず、n+型基板1を用意し、このn+型基板1の表面にSiCからなるn-型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。または、n+型基板1の表面に予めSiCからなるn-型ドリフト層2をエピタキシャル成長させた、いわゆるエピ基板を用意する。このようにして、裏面側がn+型基板1で構成される高濃度不純物層、表面側が高濃度不純物層よりも低不純物濃度とされたn-型ドリフト層2で構成される半導体基板を用意する。
【0037】
図3(b)に示す工程〕
-型ドリフト層2の表面にLTOなどで構成されるマスク20を形成したのち、フォトリソグラフィ工程を経て、p型ディープ層9および電界緩和層15の形成予定領域においてマスク20を開口させる。そして、マスク20上からp型不純物(例えばボロンやアルミニウム)をイオン注入し、その後、熱処理によって活性化を行うことで、p型ディープ層9および電界緩和層15を形成する。その後、マスク20を除去する。
【0038】
図3(c)に示す工程〕
p型ディープ層9および電界緩和層15の表面を含むn-型ドリフト層2の表面に、p型不純物層をエピタキシャル成長させることにより、p型ベース領域3を形成する。そして、図示していないが、p型ベース領域3の上に、例えばLTO等で構成されるマスクを成膜し、フォトリソグラフィ工程を経て、n+型ソース領域4の形成予定領域上においてマスクを開口させる。その後、n型不純物(例えば窒素)をイオン注入する。続いて、先程使用したマスクを除去した後、再びマスクを成膜し、フォトリソグラフィ工程を経て、p+型コンタクト領域5の形成予定領域上においてマスクを開口させる。その後、p型不純物(例えばボロンやアルミニウム)をイオン注入する。そして、マスクを除去したのち、注入されたイオンを活性化することで、n+型ソース領域4やp+型コンタクト領域5を形成する。
【0039】
図3(d)に示す工程〕
+型ソース領域4やp+型コンタクト領域5の表面を含むp型ベース領域3の表面に図示しないエッチングマスクを成膜したのち、素子分離層14の形成予定領域においてエッチングマスクを開口させる。また、図示していないが、これと同時にメインセル領域Rmやセンスセル領域Rs内においてトレンチ6の形成予定領域でもエッチングマスクを開口させる。そして、エッチングマスクを用いた異方性エッチングを行ったのち、必要に応じて等方性エッチングや犠牲酸化工程を行うことで、トレンチ6を形成すると同時に素子分離層14の形成予定位置にもトレンチ21を形成する。この後、エッチングマスクを除去する。
【0040】
図3(e)に示す工程〕
ゲート絶縁膜7の形成工程と素子分離層14の形成工程を同時に行う。具体的には、ウェット雰囲気を用いたパイロジェニック法による熱酸化を行ったのち、トレンチ6、21内を埋め込むようにCVD法によって酸化膜を成膜する。そして、図示しないマスクを配置すると共に、フォトリソグラフィ工程によってマスクのうちトレンチ6と対応する部分を開口させる。その後、マスクを用いて異方性エッチングを行うことで、トレンチ6の内部において酸化膜を部分的に除去する。これにより、トレンチ6の側面および底面に酸化膜が所望膜厚残され、ゲート絶縁膜7が構成される。このとき、マスクによってトレンチ21内に形成された酸化膜は覆われた状態になっていることから、トレンチ6内の酸化膜を部分的に除去した後にもトレンチ21内の酸化膜が残され、この酸化膜によって素子分離層14が構成される。
【0041】
この後の工程については従来と同様であるため図示しないが、次のような工程を行っている。具体的には、ゲート絶縁膜7の表面にn型不純物をドーピングしたポリシリコン層を成膜したのち、エッチバック工程等を行うことにより、トレンチ6内におけるゲート絶縁膜7の表面にゲート電極8を形成する。続いて、フィールド酸化膜16および層間絶縁膜11を成膜したのち、層間絶縁膜11をパターニングしてn+型ソース領域4やp+型コンタクト領域5に繋がるコンタクトホールを形成すると共に、ゲート電極8に繋がるコンタクトホールを別断面に形成する。続いて、コンタクトホール内を埋め込むように電極材料を成膜したのち、これをパターニングすることでソース電極10やゲート配線を形成する。また、n+型基板1の裏面側にドレイン電極12を形成する。これにより、図1に示した反転型のMOSFETを有するSiC半導体装置が完成する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態では、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの間を電気的に分離するように素子分離層14を備えるようにしている。そして、素子分離層14の底部において電界集中が緩和されるように電界緩和層15を備えつつ、さらに電界緩和層15が素子分離層14の間においてメインセル領域Rm側とセンスセル領域Rs側とに分離されるようにしている。
【0043】
これにより、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの間に素子分離層14を形成することでこれらの間の素子分離を的確に行いつつ、電界緩和層15によって素子分離層14の下方での電界集中を緩和できる。さらに、電界緩和層15を通じてメインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとが導通しないようにすることも可能となる。
【0044】
また、上記した製造方法によれば、電界緩和層15の形成工程をp型ディープ層9の形成工程と同時に行い、さらに素子分離層14の形成工程をトレンチ6の形成工程やゲート絶縁膜7の形成工程と同時に行うようにしている。このため、製造工程の簡略化を図ることができると共に、電界緩和層15および素子分離層14の形成工程の両工程を共にMOSFETの形成工程の一部と兼ねることで、これらを形成するためにのみ必要な工程を追加する必要がなくなる。したがって、製造工程の追加なしで、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとの間の素子分離構造を形成することが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してさらにオフ基板を用いる場合の素子分離層14の形成方法を考慮したものであるが、基本構造に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なっている部分に関してのみ説明する。
【0046】
SiC半導体装置では、ステップフロー成長が行われ易いように、オフ基板を用いて素子形成が行われることがある。そして、n+型基板1として主表面が所定角度(例えば4度)のオフ角を有するオフ基板を用いる場合、n+型基板1の上にn-型ドリフト層2やp型ベース領域3をエピタキシャル成長させる際に、表面の状態がオフ角分傾斜して受け継がれる。つまり、n+型基板1のジャスト面に対して垂直方向において表面の状態が受け継がれ、n+型基板1の主表面に対する垂直方向に受け継がれない。このため、イオン注入時などのマスク合わせ用のアライメントマークを例えば凹部などによって構成した場合に、それがエピタキシャル成長と共にずれてしまう。
【0047】
例えば、上記第1実施形態で説明した製造方法によってSiC半導体装置を形成する場合、図4(a)に示すようにp型ディープ層9や電界緩和層15の形成の際に用いたアライメントマークが、図4(b)に示すようにp型ベース領域3を形成する際にずれる。このため、図4(c)に示すように、アライメントマークを基準として素子分離層14を形成する際に、アライメントマークのずれに起因してトレンチ21の形成位置もずれてしまう。このような状態になると、素子分離層14と電界緩和層15の形成位置がずれてしまうため、上記した図2A図2Cの関係を満たさなくなる可能性がある。したがって、本実施形態では、アライメントマークずれが発生したとしても素子分離層14と電界緩和層15の形成位置の関係が図3Aもしくは図3Bの関係を満たすように各部の寸法を設定する。これについて、図5を参照して説明する。
【0048】
図5に示すように、アライメントマークのズレ量をx、p型ベース領域3の厚みをTeとし、オフ角をθとすると、ズレ量xは次式で表される。ただし、0°<θ<90°とする。
【0049】
(数2)
x=Te/tanθ
また、素子分離層14と電界緩和層15の形成位置の関係が図2Aもしくは図2Bの関係を満たすには、ズレ量xが素子分離層14の中心と分離された電界緩和層15の間の中心までの距離の和よりも小さい必要がある。このため、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsの間において分離されている電界緩和層15の間隔をWpとし、素子分離層14の幅をWiとして、次式を満たすことが必要となる。
【0050】
(数3)
Wi/2>x−Wp/2>0
したがって、上記数式2、3より、素子分離層14の幅Wiが次式を満たすようにすれば、素子分離層14と電界緩和層15の形成位置の関係が図2Aもしくは図2Bの関係を満たすようにできる。
【0051】
(数4)
Wi>2Te/tanθ−Wp>0
このように、素子分離層14の幅Wiおよび電界緩和層15の分離部分の幅Wpについて、数式4を満たすように設定することで、素子分離層14のうちの少なくとも一部が電界緩和層15の分離部分の内側に配置されるようにできる。これにより、オフ基板を用いてSiC半導体装置を形成する場合においても、確実に電界緩和層15が素子分離層14の幅内においてメインセル領域Rm側とセンスセル領域Rs側とに分離されるようにでき、第1実施形態に示した効果を得ることができる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して素子分離層14の形成工程を変更したものであり、それ以外の部分については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
図6を参照して、本実施形態にかかるSiC半導体装置の製造方法を説明する。ただし、本実施形態のSiC半導体装置の製造方法のうち、素子分離層14の形成工程以外については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の部分については図3を参照して説明を省略する。
【0054】
まず、図6(a)〜(c)に示す工程において、図3(a)〜(c)と同様の工程を行い、n+型基板1の表面にn-型ドリフト層2を形成したのち、p型ディープ層9および電界緩和層15を形成し、さらにp型ベース領域3を形成する。そして、図6(d)に示す工程において、p型ベース領域3の上に図示しないマスクを配置し、フォトリソグラフィ工程を経て、マスクのうちの素子分離層14の形成予定位置を開口させる。その後、マスクの上からn型不純物を注入する。このとき、n型不純物のドーズ量がp型ベース領域3に含まれるp型不純物を打ち返してイオン注入された領域がi型もしくはn型となるように設定している。これにより、イオン注入された領域が部分的にp型ベース領域3と異なる導電型となり、素子分離層14が構成される。
【0055】
以上説明したように、素子分離層14をイオン注入によって形成することも可能である。このような素子分離層14は、絶縁膜によって構成されたものではないが、p型ベース領域3とは異なる導電型であるi型もしくはn型の半導体層によって構成されることから、メインセル領域Rmとセンスセル領域Rsとの間の分離を行うことは可能である。
【0056】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、反転型のトレンチゲート構造のMOSFETを素子として形成するSiC半導体装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えばプレーナ型のMOSFETであっても良いし、p型ベース領域3のうちn-型ドリフト層2とn+型ソース領域4との間に位置する部分の表面に形成したn型チャネル層にチャネル領域を構成する蓄積型のMOSFETであっても良い。また、p型ベース領域3をn-型ドリフト層2の上にエピタキシャル成長させる場合について説明したが、イオン注入によって形成しても良い。
【0058】
さらに、上記実施形態では、裏面側が高濃度不純物層、表面側がそれよりも低不純物濃度なドリフト層とされた半導体基板として、n+型基板1の表面にn-型ドリフト層2を形成した構造を例に挙げて説明した。しかしながら、これは半導体基板の一例を示したに過ぎず、例えばn-型ドリフト層2にて構成される基板の裏面側にn型不純物をイオン注入すること、もしくはエピタキシャル成長によって高濃度不純物層を構成した半導体基板であっても良い。
【0059】
また、上記各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプのMOSFETを例に挙げて説明したが、各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのMOSFETに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 n+型基板
2 n-型ドリフト層
3 p型ベース領域
4 n+型ソース領域
6 トレンチ
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 p型ディープ層
10 ソース電極
12 ドレイン電極
14 素子分離層
15 電界緩和層
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B