特許第5772891号(P5772891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5772891
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】含フッ素重合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 214/18 20060101AFI20150813BHJP
   C08F 216/06 20060101ALI20150813BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20150813BHJP
   C08F 216/14 20060101ALI20150813BHJP
   C08F 8/14 20060101ALI20150813BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   C08F214/18
   C08F216/06
   C08L27/12
   C08F216/14
   C08F8/14
   C08F8/30
【請求項の数】5
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-140047(P2013-140047)
(22)【出願日】2013年7月3日
(62)【分割の表示】特願2013-15747(P2013-15747)の分割
【原出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-189653(P2013-189653A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2013年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2012-19268(P2012-19268)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剣吾
(72)【発明者】
【氏名】三木 淳
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−328341(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/153002(WO,A1)
【文献】 特開昭59−117504(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/093776(WO,A1)
【文献】 特開昭62−025104(JP,A)
【文献】 特開2012−247681(JP,A)
【文献】 特開2012−116978(JP,A)
【文献】 特開平08−092323(JP,A)
【文献】 特開2002−275211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08C 19/00 − 19/44
C08F 6/00 − 246/00
C08F 301/00
C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素単量体に基づく重合単位、
ビニルアルコールに基づく重合単位、及び、
一般式(1):−CH−CH(−O−(L)−R)−
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基であり、Lは2価の有機基であり、lは1である。)で表される重合単位、
を含み、
は、一般式(2):
【化1】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)で表される基であり、
Lは、一般式(4):
−(C=O)−(N−H)
(式中、sは1であり、pは1である。)で表される有機基であることを特徴とする含フッ素重合体。
【請求項2】
含フッ素単量体に基づく重合単位、ビニルアルコールに基づく重合単位及び一般式(1)で表される重合単位のモル比が(30〜70)/(1〜69)/(1〜69)である請求項記載の含フッ素重合体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の含フッ素重合体を含む硬化性組成物。
【請求項4】
請求項記載の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
【請求項5】
請求項記載の硬化性組成物を硬化して得られる反射防止膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体は、親水性を示し、酸素、窒素等のガスを透過させにくく、燃料バリア性にも優れるという特性を有している。
【0003】
特許文献1では、耐水性に優れる共重合体膜として、テトラフルオロエチレンと酢酸ビニルとの共重合体又は上記共重合体に含まれるアセテート基の少なくとも一部をケン化した共重合体からなり、上記共重合体中に含まれるテトラフルオロエチレン含有率が1〜70モル%である含フッ素共重合体膜が提案されている。
【0004】
特許文献2では、特許文献1で提案されている共重合体が生産性及び耐熱性に劣り、着色による品質低下が生じることが指摘されており、その解決手段として、含フッ素オレフィンとビニルアルコールの水酸基の水素原子が脱保護可能な保護基で置換されているビニルエーテルとを共重合させた後、保護基を脱保護反応により水素原子に置換して、水酸基を生じさせることによって、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−261256号公報
【特許文献2】国際公開第2011/126056号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体は、硬化反応に適した硬化部位が存在せず、容易に硬化させることができなかった。
【0007】
本発明は、透明性、低屈折率性、耐溶剤性及び耐熱性を有しつつ、容易に硬化させることができる新規な含フッ素重合体を提供する。
【0008】
本発明は、また、透明性、低屈折率性、耐溶剤性及び耐熱性を有しつつ、容易に硬化させることができる重合体を簡便に製造することができ、得られる重合体が有する硬化部位の量を容易に調整することができる新規な含フッ素重合体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、含フッ素単量体に基づく重合単位、
任意の重合単位としてビニルアルコールに基づく重合単位、及び、
一般式(1):−CH−CH(−O−(L)−R)−
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基であり、Lは2価の有機基であり、lは0又は1である。)で表される重合単位、
を含むことを特徴とする含フッ素重合体である。
【0010】
は、一般式(2):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)で表される基、及び、一般式(3):
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、RはH、Cl、F、CH又はCFである。)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基であることが好ましい。
【0015】
Lは、一般式(4):
−(C=O)−(N−H)
(式中、sは0又は1であり、pは0又は1である。)で表される有機基であることが好ましい。
【0016】
含フッ素単量体に基づく重合単位、ビニルアルコールに基づく重合単位及び一般式(1)で表される重合単位のモル比が(30〜70)/(0〜69)/(1〜70)であることが好ましい。
【0017】
本発明は、上述の含フッ素重合体を製造するための製造方法であって、含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(5):
O=C=N−R
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含むことを特徴とする製造方法でもある。
【0018】
本発明は、上述の含フッ素重合体を製造するための製造方法であって、含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7):
−C(=O)−R
(式中、XはHO−、R10O−、F−又はCl−であり、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含むことを特徴とする製造方法でもある。
【0019】
本発明は、上述の含フッ素重合体を製造するための製造方法であって、含フッ素単量体と一般式(9):
CH=CH−OR
(式中、Rは脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基である。)で表されるビニルエーテル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(5):
O=C=N−R
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含むことを特徴とする製造方法でもある。
【0020】
一般式(5)で表される化合物は、一般式(6):
【0021】
【化3】
【0022】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)で表される化合物であることが好ましい。
【0023】
本発明は、上述の含フッ素重合体を製造するための製造方法であって、含フッ素単量体と一般式(9):
CH=CH−OR
(式中、Rは脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基である。)で表されるビニルエーテル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7):
−C(=O)−R
(式中、XはHO−、R10O−、F−又はCl−であり、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含むことを特徴とする製造方法でもある。
【0024】
一般式(7)で表される化合物は、一般式(8):
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、RはH、Cl、F、CH又はCFであり、XはHO−、R10O−、F−又はCl−であり、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基である。)で表される化合物であることが好ましい。
【0027】
本発明は、上述の含フッ素重合体を含む硬化性組成物でもある。
【0028】
本発明は、上述の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物でもある。
【0029】
本発明は、上述の硬化性組成物を硬化して得られる反射防止膜でもある。
【発明の効果】
【0030】
本発明の含フッ素重合体は、硬化させることが容易である。本発明の含フッ素重合体を硬化させることにより得られる硬化物は、透明性、低屈折率性、耐溶剤性及び耐熱性を有する。
本発明の製造方法は、透明性、低屈折率性、耐溶剤性及び耐熱性を有し、容易に硬化させることができる含フッ素重合体を簡便に製造することができ、得られる共重合体が有する硬化部位の量を調整することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】合成例13で得られたポリマー(A1−96)のIRチャートである。
図2】実施例1で得られたポリマー(A1−96−AOI)のIRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0033】
本発明の含フッ素重合体は、含フッ素単量体に基づく重合単位、任意の重合単位としてビニルアルコールに基づく重合単位、及び、一般式(1)で表される重合単位を含むことを特徴とする。
【0034】
上記含フッ素単量体は、フッ素原子を有する単量体である。
【0035】
上記含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、CH=CZ(CFn1(式中、ZはH、F又はCl、ZはH、F又はCl、n1は1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素単量体が好ましい。
【0036】
CH=CZ(CFn1で示される単量体としては、CH=CFCF、CH=CHCF、CH=CFCHF、CH=CClCF等が挙げられる。
【0037】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE又はPPVEがより好ましい。
【0038】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0039】
上記含フッ素単量体としては、TFE及びCTFE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFEが更に好ましい。
【0040】
本発明の含フッ素重合体は、一般式(1):−CH−CH(−O−(L)−R)−
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基であり、Lは2価の有機基であり、lは0又は1である。)で表される重合単位を含む。本発明の含フッ素重合体は、硬化部位として二重結合を有する重合体であり、硬化部位の数は含フッ素重合体を製造する際に容易に調整することができる。
また、一般式(1)で表される重合単位は、一般式:
CH=CH−O−(L)−R
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基であり、Lは2価の有機基であり、lは0又は1である。)で表される単量体に基づく重合単位である。
【0041】
の具体例としては、一般式(2):
【0042】
【化5】
【0043】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)
で表される基が挙げられる。
【0044】
を表す一般式において、jは1〜10の整数であることが好ましく、1〜6の整数であることがより好ましい。kは1〜6の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましい。
【0045】
はこれらの置換基の中でも、一般式:
【0046】
【化6】
【0047】
(式中、j、k及び2j+1−kは上記に同じ。)
で表される基が反応性の点から好ましい。
【0048】
また、Rの具体例としては、一般式(3):
【0049】
【化7】
【0050】
(式中、RはH、CH、F、CF又はClである。)
で表される基も挙げられる。
【0051】
これらの中でも、下記式:
【0052】
【化8】
【0053】
で表される基が好ましい。
【0054】
としては、上記に例示した基のなかでも、特に、一般式(2):
【化9】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)で表される基、及び、一般式(3):
【化10】
(式中、RはH、Cl、F、CH又はCFである)
で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基であることが好ましい。
【0055】
Lは、一般式(4):
−(C=O)−(N−H)
(式中、sは0又は1であり、pは0又は1である。)で表される有機基であることが好ましい。s及びpがいずれも1の場合、Rはウレタン結合を介して含フッ素重合体の主鎖と結合することになり、sが1でpが0の場合、Rはエステル結合を介して含フッ素重合体の主鎖と結合することになり、s及びpがいずれも0の場合、Lは単結合を表し、Rはエーテル結合を介して含フッ素重合体の主鎖と結合することになる。
【0056】
本発明の含フッ素重合体は、含フッ素単量体に基づく重合単位、ビニルアルコールに基づく重合単位及び一般式(1)で表される重合単位のモル比である(含フッ素単量体に基づく重合単位)/(ビニルアルコールに基づく重合単位)/(一般式(1)で表される重合単位)が(30〜70)/(0〜69)/(1〜70)であることが好ましい。より好ましくは、(30〜70)/(1〜69)/(1〜69)である。
【0057】
本発明の含フッ素重合体は、上記3つの重合単位に加えて、ビニルエステル単量体又はビニルエーテル単量体に基づく重合単位を含むものであってもよい。本発明の含フッ素重合体は、含フッ素単量体に基づく重合単位、ビニルアルコールに基づく重合単位、一般式(1)で表される重合単位、及びビニルエステル単量体又はビニルエーテル単量体に基づく重合単位のモル比である(含フッ素単量体に基づく重合単位)/(ビニルアルコールに基づく重合単位)/(一般式(1)で表される重合単位)/(ビニルエステル単量体又はビニルエーテル単量体に基づく重合単位)が(30〜70)/(0〜69)/(1〜70)/(0〜69)であることが好ましく、(30〜70)/(0〜65)/(5〜70)/(0〜65)であることがより好ましい。更に好ましくは、(30〜70)/(1〜65)/(5〜69)/(0〜65)である。
【0058】
ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル単量体としては酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルが好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルである。
【0059】
ビニルエーテル単量体としては、t−ブチルビニルエーテル、1,1−ジメチルプロピルビニルエーテル、メトキシメチルビニルエーテル、テトラヒドロフリルビニルエーテル、テトラヒドロピラニルビニルエーテル、ビニロキシトリメチルシラン、またはビニロキシジメチルフェニルシラン等が挙げられる。ビニルエーテル単量体としては、t−ブチルビニルエーテルが好ましい。
これらビニルエーテル単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
本発明の含フッ素重合体は、含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体に基づく重合単位を含むものであってもよい。上記他の単量体に基づく重合単位は、フッ素原子を含まない単量体に基づく重合単位(但し、ビニルアルコールに基づく重合単位、一般式(1)で表される重合単位及びビニルエステル単量体に基づく重合単位を除く)である。
【0061】
上記他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、水酸基含有ビニルエーテル単量体、及び、不飽和カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有エチレン性単量体が好ましい。水酸基含有ビニルエーテル単量体としては、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0062】
本発明の含フッ素重合体は、重量平均分子量が1000〜300万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましく、10000〜60万であることが更に好ましい。
【0063】
第一の製造方法
本発明の含フッ素重合体は、含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(5):
O=C=N−R
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含む製造方法により好適に製造することができる。この製造方法を本発明の第一の製造方法ということがある。
【0064】
含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させる方法、及び、含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解する方法は、従来からよく知られており、従来公知の方法を本発明でも行うことができる。含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解することによって、アセテート基が水酸基に変換され、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が得られる。
【0065】
含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させて得られる含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体は、含フッ素単量体とビニルエステル単量体とのモル比である(含フッ素単量体)/(ビニルエステル単量体)が(30〜70)/(70〜30)であることが好ましく、(40〜60)/(60〜40)であることがより好ましい。モル比が上記範囲内にあって、かつ、ケン化度が後述の範囲内にあることにより、各重合単位のモル比が上述した範囲にある含フッ素重合体を製造することができる。
【0066】
含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解は、ケン化度が1〜100%になるように行うことが好ましく、30〜100%になるように行うことがより好ましい。
【0067】
上記ケン化度は、H−NMRにより、ケン化前後での2.1ppm付近のアセチル基(CHC(=O)−)由来のプロトンの積分値と、2.2〜2.7ppmの主鎖メチレン基(−CH−CH−)由来のプロトンの積分値を定量することにより測定できる。
H−NMR:Varian社製のGEMINI−300
【0068】
ビニルエステル単量体はフッ素原子を含まない。ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル単量体としては酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルが好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルである。
【0069】
含フッ素重合体を得る工程において使用する一般式(5)で表される化合物としては、一般式(6):
【0070】
【化11】
【0071】
(式中、MはH、Cl、F又はCHであり、jは1〜20の整数であり、kは1〜10の整数であり、2j+1−kは0以上の整数である。)
で表される化合物が好ましい。
【0072】
一般式(6)において、jは1〜10の整数であることが好ましく、1〜6の整数であることがより好ましい。kは1〜6の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましい。Mは、H又はCHであることが好ましい。
【0073】
本発明の第一の製造方法において、一般式(5)で表される化合物の使用量は、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する分子内の水酸基の数によって異なり、例えば、水酸基1つに対して一般式(5)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。
【0074】
一般式(5)で表される化合物の使用量は、通常、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する分子内の水酸基1モルに対して0.5〜100モル使用すればよく、好ましくは0.67〜10モル、より好ましくは0.83〜2モル使用すればよい。
【0075】
本発明の第一の製造方法においては、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する分子内の水酸基と一般式(5)で表される化合物が有するイソシアネート基とがウレタン化反応(付加反応)してウレタン結合を形成する。一方、一般式(5)で表される化合物中に存在する末端二重結合は、実質的に反応せずに、本発明の含フッ素重合体の硬化部位となる。
【0076】
本発明の第一の製造方法によって得られる含フッ素重合体中に未反応のOH基が存在する場合、上記未反応のOH基は、本発明の含フッ素重合体の相溶性及び溶解性向上部位として作用する。
【0077】
上記ウレタン化反応は、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(5)で表される化合物とを混合又は混合物を加熱することによって容易に進行する。
【0078】
上記ウレタン化反応の加熱温度(反応温度)は、通常5〜90℃程度、好ましくは10〜90℃程度、より好ましくは20〜80℃程度である。
【0079】
本発明の第一の製造方法においては、触媒の存在下に、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体及び一般式(5)で表される化合物を反応させてもよい。上記触媒としては、特に限定されず、ウレタン化反応に使用される従来公知のものを使用すればよく、市販品が容易に入手可能である。
【0080】
上記触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ系化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ等のハロゲン系第一スズ等が挙げられる。
【0081】
上記触媒としては、また、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチレンジアミン、シクロヘキシルアミン等のアミン系触媒も挙げられる。
【0082】
本発明の第一の製造方法においては、触媒を使用することにより、より短時間でウレタン化反応が進行し、目的とする含フッ素重合体が得られる。
【0083】
ウレタン化反応に使用する触媒の使用量は、特に限定されず、適宜調整すればよいが、例えば、一般式(5)で表される化合物100質量部に対して、通常0.00001〜3質量部程度、好ましくは0.0001〜1質量部程度である。
【0084】
本発明の第一の製造方法においては、さらに溶媒を使用してもよい。溶媒としては、ウレタン化反応の進行を妨げない溶媒であって、一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。
【0085】
溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒;HCFC225(CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物)等のフッ素系の溶媒等を使用すればよい。OH基を有するアルコール系の溶媒は、ウレタン化反応の進行を妨げるため好ましくない。また、系内に水があってもウレタン化反応の進行が妨げられるため、各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい。
【0086】
第二の製造方法
本発明の含フッ素重合体は、また、含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7):
−C(=O)−R
(式中、XはHO−、R10O−、F−又はCl−であり、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含む製造方法により製造することもできる。この製造方法を本発明の第二の製造方法ということがある。
【0087】
含フッ素単量体とビニルエステル単量体とを共重合させる方法、及び、含フッ素単量体/ビニルエステル共重合体を加水分解する方法は、第一の製造方法において詳述した方法が使用できる。
【0088】
ビニルエステル単量体はフッ素原子を含まない。ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル単量体としては酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルが好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルである。
【0089】
一般式(7)において、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基である。上記アルキル基としては、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。上記含フッ素アルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。例えば、−CF、−CHCF、CHCFCF、−CFCFCF等が挙げられる。
【0090】
一般式(7)において、Rは上記一般式(1)と同じ「少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基」である。
【0091】
一般式(7)で表される化合物としては、一般式(8):
【0092】
【化12】
【0093】
(式中、RはH、CH、F、CF又はClであり、Xは上記に同じ。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0094】
これらの中でも、α,β−不飽和カルボン酸ハライドである一般式:
【0095】
【化13】
【0096】
(式中、Rは上記に同じ。)
で表される化合物がより好ましい。
【0097】
さらに、これらの中でも、下記式:
【0098】
【化14】
【0099】
で表される化合物が更に好ましい。
【0100】
本発明の第二の製造方法において、一般式(7)で表される化合物の使用量は、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する分子内の水酸基の数によって異なり、例えば、水酸基1つに対して一般式(7)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。
【0101】
一般式(7)で表される化合物の使用量は、通常、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する分子内の水酸基1モルに対して0.5〜100モル使用すればよく、好ましくは0.67〜10モル、より好ましくは0.83〜2モル使用すればよい。
【0102】
本発明の第二の製造方法においては、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が有する水酸基と一般式(7)で表される化合物のX−C(=O)−基とがエステル化反応してエステル結合を形成する。一方、一般式(7)で表される化合物中に存在する末端二重結合は、実質的に反応せずに、本発明の含フッ素重合体の硬化部位となる。
【0103】
本発明の第二の製造方法によって得られる含フッ素重合体中に未反応のOH基が存在する場合、上記未反応のOH基は、本発明の含フッ素重合体の相溶性及び溶解性向上部位として作用する。
【0104】
上記エステル化反応は、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7)で表される化合物とを混合又は混合物を加熱することによって容易に進行する。上記エステル化反応の反応温度は、通常−20〜40℃程度である。
【0105】
本発明の第二の製造方法においては、反応によってHClやHFが副生するが、これらを捕捉する目的で適当な塩基を加えることが望ましい。塩基としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、テトラメチル尿素、トリエチルアミン等の3級アミン、金属マグネシウム等が挙げられる。
【0106】
また、反応の際に原料である一般式(7)で表される化合物や反応により得られる含フッ素重合体の炭素−炭素二重結合が重合反応を起こすことを禁止するための禁止剤を共存させてもよい。上記禁止剤としては、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0107】
本発明の第二の製造方法においては、さらに溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒としては、エステル化反応の進行を妨げない一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。
【0108】
溶媒としては、例えば、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、CHCClF(HCFC−141b)、CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどの含フッ素溶剤、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶媒などがあげられる。OH基を有するアルコール系の溶媒は、エステル化反応の進行を妨げるため好ましくない。また、系内に水があってもエステル化反応の進行が妨げられるため、各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい。
【0109】
第三の製造方法
本発明の含フッ素重合体は、また、含フッ素単量体と一般式(9):
CH=CH−OR
(式中、Rは脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基である。)で表されるビニルエーテル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(5):
O=C=N−R
(式中、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含む製造方法により好適に製造することができる。この製造方法を本発明の第三の製造方法ということがある。
【0110】
含フッ素単量体とビニルエーテル単量体とを共重合させる方法、及び、含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護する方法は、従来からよく知られており、従来公知の方法を本発明でも行うことができる。含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護反応させることによって、−ORが水酸基に変換され、含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体が得られる。
【0111】
含フッ素単量体とビニルエーテル単量体とを共重合させて得られる含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体は、含フッ素単量体とビニルエーテル単量体とのモル比である(含フッ素単量体)/(ビニルエーテル単量体)が(40〜60)/(60〜40)であることが好ましく、(45〜55)/(55〜45)であることがより好ましい。モル比が上記範囲内にあって、かつ、脱保護度が後述の範囲内にあることにより、各重合単位のモル比が上述した範囲にある含フッ素重合体を製造することができる。
【0112】
含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護は、脱保護度が1〜100%になるように行うことが好ましく、30〜100%になるように行うことがより好ましい。
【0113】
上記脱保護度は、H−NMRにより、脱保護反応前後での1.0〜1.3ppm付近のターシャルブチル基(−C(C)由来のプロトンの積分値と、2.2〜2.7ppmの主鎖メチレン基(−C−CH−)由来のプロトンの積分値を定量することにより測定できる。
H−NMR:Varian社製のGEMINI−300
【0114】
一般式(9)におけるRとしては、脱保護されるものであれば特に制限はないが、−CR(R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。)、炭素数1〜6のアルコキシメチル基、テトラヒドルフリル基、テトラヒドルピラニル基、またはトリアルキルシリル基(−Si(R、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である。)が好ましく、−CRがより好ましい。ビニルエーテル単量体としては、入手の容易さから、ターシャルブチルビニルエーテル(t−ブチルビニルエーテル)が好ましい。
【0115】
一般式(5)で表される化合物の好ましい種類、好ましい添加量等は、第一の製造方法において詳述した内容が適用できる。
【0116】
第四の製造方法
本発明の含フッ素重合体は、また、含フッ素単量体と一般式(9):
CH=CH−OR
(式中、Rは脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基である。)で表されるビニルエーテル単量体とを共重合させて含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を得る工程、上記含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7):
−C(=O)−R
(式中、XはHO−、R10O−、F−又はCl−であり、R10はアルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの末端二重結合を有する有機基である。)で表される化合物とを反応させることにより含フッ素重合体を得る工程、を含む製造方法により製造することもできる。この製造方法を本発明の第四の製造方法ということがある。
【0117】
含フッ素単量体とビニルエーテル単量体とを共重合させる方法、及び、含フッ素単量体/ビニルエーテル共重合体を脱保護する方法は、第三の製造方法において詳述した方法が使用できる。含フッ素単量体/ビニルアルコール共重合体と一般式(7)で表される化合物とを反応させる方法は、第二の製造方法において詳述した方法が使用できる。
【0118】
一般式(7)で表される化合物の好ましい種類、好ましい添加量等は、第二の製造方法において詳述した内容が適用できる。一般式(9)で表されるビニルエーテル単量体の好ましい種類、好ましい添加量等は、第三の製造方法において詳述した内容が適用できる。
【0119】
硬化性組成物及び硬化物
本発明の含フッ素重合体(a)を含む硬化性組成物も本発明の1つである。
【0120】
本発明の硬化性組成物の態様としては、例えば、溶剤を使用する態様が挙げられる。本発明の硬化性組成物を溶剤に溶解又は分散させることによって種々の基材にコーティングし、塗膜を形成することができ、塗膜形成後、活性エネルギー線等の照射によって効率よく硬化でき、硬化被膜が得られる点で好ましい。
【0121】
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化開始剤(b)を含むことが好ましい。
【0122】
活性エネルギー線硬化開始剤(b)は、例えば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線等が照射されることによって初めてラジカルやカチオン等を発生し、含フッ素重合体の炭素−炭素二重結合を硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外光線でラジカルやカチオンを発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。例えばつぎのものが例示できる。
【0123】
アセトフェノン系:アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、ヒドロキシプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンプロパン−1−オン等。
【0124】
ベンゾイン系:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等。
【0125】
ベンゾフェノン系:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等。
【0126】
チオオキサンソン類:チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソン等。
【0127】
その他:ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノン等。
【0128】
本発明の硬化性組成物は、溶剤(c)を含むことが好ましい。溶剤(c)は、含フッ素重合体(a)、活性エネルギー線硬化開始剤(b)及び必要に応じて添加する硬化剤、レベリング剤、光安定剤等の添加剤が均一に溶解又は分散するものであれば特に制限はないが、特に含フッ素重合体(a)を均一に溶解するものが好ましい。この溶剤を使用する態様は特に反射防止膜用途等薄層被膜(0.1μm前後)が要求される分野で透明性が高く、均質な被膜を生産性よく得られる点で好ましい。
【0129】
かかる溶剤(c)としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
【0130】
またさらに、含フッ素重合体(a)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。フッ素系の溶剤としては、例えばCHCClF(HCFC−141b)、CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン等のほか、H−(CFCFn2−(CHn3−OH(式中、n2は1〜3の整数であり、n3は1〜6の整数である)で示される化合物、F−(CFn2−(CHn3−OH(式中、n2は1〜5の整数であり、n3は1〜6の整数である)で示される化合物、(CF−CH−OHで示される化合物等のフッ素系アルコール類、ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCFCFClCFCFCl等が挙げられる。
【0131】
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。これらのなかでもケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤等が、塗装性、塗布の生産性等の面で好ましいものである。また、含フッ素重合体を溶解させる際、これら汎用溶剤とともに含フッ素アルコール系溶剤を混合してもよい。添加する含フッ素系アルコールとしては、沸点が50℃以上、好ましくは80℃以上のもので、含フッ素重合体を溶解させるものであればよい。例えば、H−(CFCFn2−(CHn3−OH(式中、n2は1〜3の整数であり、n3は1〜6の整数である)で示される化合物、F−(CFn2−(CHn3−OH(式中、n2は1〜5の整数であり、n3は1〜6の整数である)で示される化合物、(CF−CH−OHで示される化合物等が好ましい具体例である。
【0132】
含フッ素系アルコールは、それのみで溶剤として用いてもよいが、前述のケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、非フッ素系アルコール溶剤、芳香族系溶剤等の汎用溶剤に加えて用いても効果的である。混合して用いる場合の添加量は、溶剤全体に対して1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、特に10〜30重量%添加するのが好ましい。
【0133】
本発明の硬化性組成物は、さらに必要に応じて硬化剤を含むものであってもよい。硬化剤としては、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカル又は酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系単量体等のラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系単量体等のカチオン重合性の単量体が挙げられる。これら単量体は、炭素−炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素−炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。好ましくは多官能の単量体である。
【0134】
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の組成物中の活性エネルギー線硬化開始剤(b)と光等の活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の組成物中の含フッ素重合体(a)の側鎖の炭素−炭素二重結合と共重合によって架橋することができるものである。
【0135】
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α−フルオロアクリル酸、α−フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が例示される。なかでも硬化物の屈折率を低く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、例えば一般式:
【0136】
【化15】
【0137】
(式中、XはH、CH又はFであり、Rfは炭素数2〜40の含フッ素アルキル基、又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基である。)
で表わされる化合物が好ましい。具体的には、一般式:
【0138】
【化16】
【0139】
(式中、Xは上記に同じ。)
で表される化合物等が挙げられる。
【0140】
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオール等の多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α−フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物が挙げられる。また、含フッ素アルキル基、エーテル結合を含む含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基又はエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、特に硬化物の屈折率を低く維持できる点で好ましい。具体例としては、
【0141】
【化17】
【0142】
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基である。)
【0143】
【化18】
【0144】
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、RはH又は炭素数1〜3のアルキル基である。)
【0145】
【化19】
【0146】
(式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Rは上記に同じである。)等の一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基又はα−フルオロアクリレート基に置き 換えた構造のものが好ましく挙げられる。また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の組成物に用いる場合、なかでも特にα−フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
【0147】
本発明の硬化性組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤(b)の添加量は、含フッ素重合体(a)中の炭素−炭素二重結合の含有量、上記硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間等)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、含フッ素重合体(a)100質量部に対して0.01〜30質量部、さらには0.05〜20質量部、最も好ましくは、0.1〜10質量部である。詳しくは、含フッ素重合体(a)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
【0148】
硬化剤を使用する場合、硬化剤の使用量は目的とする硬度や屈折率、硬化剤の種類、使用する含フッ素重合体の硬化性基の含有量等によって適宜選択され、望ましくは含フッ素重合体に対して、1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜90量%である。硬化剤の添加量が多すぎると屈折率が高くなる傾向にあり、好ましくない。
【0149】
本発明の硬化性組成物における溶剤(c)の含有量としては、溶解させる固形分の種類、硬化剤の使用の有無や使用割合、塗布する基材の種類や目標とする膜厚等によって適宜選択されるが、組成物中の全固形分濃度が0.5〜70重量%、好ましくは1〜50重量%となるように配合するのが好ましい。また、用途によっては溶媒をまったく含まないものも好ましい。
【0150】
本発明の硬化性組成物は、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
【0151】
そうした添加剤としては、例えばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤等が挙げられる。また、本発明の硬化性組成物は、硬化物の硬度を高める目的で無機化合物の微粒子を配合することもできる。無機化合物微粒子としては特に限定されないが、屈折率が1.5以下の化合物が好ましい。具体的にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)、酸化珪素(屈折率1.46)、フッ化アルミニウム(屈折率1.33〜1.39)、フッ化カルシウム(屈折率1.44)、フッ化リチウム(屈折率1.36〜1.37)、フッ化ナトリウム(屈折率1.32〜1.34)、フッ化トリウム(屈折率1.45〜1.50)等の微粒子が望ましい。微粒子の粒径については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には100nm以下、特に50nm以下が好ましい。
【0152】
無機化合物微粒子を使用する際は、硬化性組成物中での分散安定性、低屈折率材料中での密着性等を低下させないために、予め有機分散媒中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、該組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性、低屈折率材料中での密着性等を向上させるために、予め無機化合物微粒子の表面を各種カップリング剤等を用いて修飾することができる。各種カップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン又はこれらの混合物等の金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物等が挙げられる。
【0153】
本発明の硬化性組成物は、溶剤(c)に対して含フッ素重合体(a)又は添加物がディスパージョン状のものでも、溶液状のものでもよいが、均一な薄膜を形成するため、また比較的低温で成膜が可能となる点で、均一な溶液状であることが好ましい。塗装法としては、膜厚をコントロールできるのであれば公知の塗装法を採用することができる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法等が採用でき、基材の種類、形状、生産性、膜厚のコントロール性等を考慮して選択できる。
【0154】
本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物も本発明の1つである。例えば、本発明の硬化性組成物を基材に塗布したのち乾燥により得られる被膜は、紫外線、電子線又は放射線等の活性エネルギー線を照射することによって光硬化させることができる。光硬化すると本発明の含フッ素重合体(a)中の炭素−炭素二重結合が分子間で重合し、含フッ素重合体(a)中の炭素−炭素二重結合が減少又は消失する。その結果、樹脂硬度が高くなり、機械的強度が向上したり、耐摩耗性、耐擦傷性が向上したり、さらには硬化前には溶解していた溶剤に対して不溶となるだけでなく、他の数多くの種類の溶剤に対して不溶となる。
【0155】
本発明の硬化性組成物は、膜形成に用いてもよいが、各種成形品の成形材料として特に有用である。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、トランスファー成形、光造形、ナノインプリント、真空成形などが採用できる。
【0156】
本発明の硬化性組成物の用途としては、例えば、封止部材、光学部材、光電子撮像管、各種センサー、反射防止膜の材料として用いることができる。また、本発明の硬化性組成物から得られる硬化物は透明性に優れるため、光学部材を形成する光学材料として好適に利用できる。そのほか、電子半導体用の封止部材用材料、耐水耐湿性接着剤、光学部品や素子用の接着剤としても使用できる。
【0157】
本発明の硬化物の使用形態としては、例えば発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子などの発光素子やCCDやCMOS、PDのような受光素子などの光機能素子のパッケージ(封入)、実装などが例示できる。また、深紫外線顕微鏡のレンズなどの光学部材用封止部材(または充填材)なども挙げられる。
【0158】
本発明の硬化物は、透明性に優れるため、光学素子用の封止材料として好適に利用できる。封止された光学素子は種々の場所に使用される。光学素子としては、特に限定されないが、例えば、発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子などの発光素子や、CCDやCMOS、PDのような受光素子等の他、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源などの発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子などが挙げられる。
【0159】
本発明の硬化性組成物は、光学部材を形成する材料として好適である。本発明の硬化性組成物は、フッ素を含有しているため、得られる硬化物が低屈折率の光学部材になり、例えば光伝送用媒体として有用である。本発明の硬化性組成物は、特に、コア材が石英もしくは光学ガラスであるプラスチッククラッド材料、光学ファイバーのクラッド材料、コア材がプラスチックである全プラスチック光学ファイバーのクラッド材料、反射防止コーティング材料、レンズ材料、光導波路材料、プリズム材料、光学窓材料、光記憶ディスク材料、非線形型光素子材料、ホログラム材料、フォトリソグラティブ材料、発光素子の封止材料などに用いることができる。
【0160】
また、光デバイス用の材料としても使用できる。光デバイスとしては、光導波路、OADM、光スイッチ、光フィルター、光コネクター、合分波器などの機能素子および光配線などの光実装が知られており、これらのデバイスを形成するのに有用な材料である。さらに種々の機能性化合物(非線形光学材料、蛍光発光性の機能性色素、フォトリフラクティブ材料など)を含有させて、モジュレータ、波長変換素子、光増幅器などの光デバイス用の機能素子に用いるのにも適している。センサー用途としては、特に光学センサーや圧力センサーなどの感度向上や撥水撥油特性によるセンサーの保護などの効果があり有用である。
【0161】
特に、本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物が非常に低い屈折率を有することから、本発明の硬化性組成物は、反射防止膜の材料として好適である。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる反射防止膜も本発明の1つである。
【0162】
本発明の反射防止膜の形成は、上述の硬化性組成物を基材に直接塗布し、光照射し、0.1μm程度の厚さの硬化被膜としてもよく、また、基材との間に1つまたは複数の層をアンダーコートとして形成し、その上にトップコートとして反射防止膜を形成してもよい。
【0163】
本発明の反射防止膜の屈折率は、1.49以下であることが好ましく、1.45以下であることがより好ましく、1.40以下であることが更に好ましく、1.38以下であることが特に好ましく、1.22以上であることがより好ましい。
【0164】
本発明の反射防止膜の好ましい膜厚は、膜の屈折率や下地の屈折率によって異なるが、0.03μm以上、好ましくは0.07μm以上、より好ましくは0.08μm以上で、0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.12μm以下である。膜厚が低すぎると可視光における光干渉による反射率の低減化が不充分となり、高すぎると反射率はほぼ空気と膜の界面の反射のみに依存するようになるので、可視光における光干渉による反射率の低減化が不充分となる傾向がある。なかでも適切な膜厚は、反射防止膜を施したのちの物品の反射率の最小値を示す波長が通常420nm以上、好ましくは520nm以上で、720nm以下、好ましくは620nm以下となるように膜厚を設定するのが好ましい。
【0165】
本発明の反射防止膜を施す物品、すなわち基材の種類は特に限定されない。たとえば、ガラス、石材、コンクリート、タイルなどの無機材料;塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂;鉄、アルミ、銅などの金属;木、紙、印刷物、印画紙、絵画などをあげることができる。また、物品の特定部分以外の部分に反射防止膜を施し、その特定部分の形状を反射光によって浮かび上がらせることにより、物品の装飾性を向上することもできる。
【0166】
基材の中でもアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン樹脂などの透明樹脂基材に好ましく施され、効果的に反射防止効果を発揮できる。
【実施例】
【0167】
つぎに本発明を合成例及び実施例をあげて説明するが、本発明はかかる合成例及び実施例のみに限定されるものではない。
【0168】
本明細書で採用している測定法について、以下にまとめる。
【0169】
(1)フッ素含有量
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求める(質量%)。
【0170】
(2)19F−NMR測定
NMR測定装置:VARIAN社GEMINI−300
19F−NMR測定条件:376MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
【0171】
(3)H−NMR測定
NMR測定装置:VARIAN社製GEMINI−300
H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
【0172】
(4)分子量及び分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を算出する。
【0173】
(5)ガラス転移温度(Tg)
DSC(示差走査熱量計:SEIKO社製、RTG220)を用いて、−50℃から200℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)−降温−昇温(セカンドラン)させ、セカンドランにおける吸熱曲線の中間点をTg(℃)とした。
【0174】
(6)融点(Tm)
DSC(示差走査熱量計:SEIKO社製、RTG220)を用いて、10℃/分の条件で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度をTm(℃)とした。
【0175】
(7)IR分析
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定する。
【0176】
合成例1
3Lステンレス製オートクレーブ中に溶媒として酢酸ブチル1200gとビニルエステル単量体として酢酸ビニル140gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)7.2gを加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、フッ素オレフィンガスとしてテトラフルオロエチレンを封入し、60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、6時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了した。
【0177】
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーA1を得た。
【0178】
ポリマーA1の組成をフッ素の元素分析から求め、フッ素オレフィンとビニルエステルとの交互率をH−NMRから計算し、重量平均分子量および分子量分布(Mw/Mn)をGPCから求めた。またガラス転移温度をDSCから測定した。結果を表2に示す。
【0179】
合成例2
モノマーの仕込み比、スケール、反応時間等を変える以外は合成例1と同様にしてポリマーA2を得た。反応条件を表1に、得られたポリマーの物性を表2にまとめる。
【0180】
合成例3
3Lステンレス製オートクレーブに純水1000g、酢酸ビニル23.2g、ネオコールP(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの76.4質量%イソプロピルアルコール溶液:第一工業製薬(株)製)を入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン37gを加え、槽内を80℃まで昇温した。その後、テトラフルオロエチレンを30g加えた。このとき槽内の圧力は0.809MPaとなった。これに撹拌下、過硫酸アンモニウム(APS)の1質量%水溶液22gを加え、反応を開始した。反応開始時に酢酸ビニルの追加を開始し、6時間かけて283gの酢酸ビニルを追加した。反応中は酢酸ビニル/テトラフルオロエチレンの比率が一定になるように、電磁弁を用いてテトラフルオロエチレンを連続供給した。撹拌速度は500rpmであった。
【0181】
具体的には、テトラフルオロエチレンが消費されて槽内が0.800MPaになると自動的に電磁弁を開いてテトラフルオロエチレンを供給し、0.775MPaになると自動的に電磁弁を閉じてテトラフルオロエチレンの供給を停止するサイクルでテトラフルオロエチレンの供給と圧力を制御しながら、テトラフルオロエチレンの消費量に合わせて酢酸ビニルを追加した。
【0182】
反応開始から6時間後にテトラフルオロエチレンと酢酸ビニルの供給を停止した。その後1時間反応させた後に、槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体のエマルション1661g(固形分濃度38.5質量%)を得た。
【0183】
得られた酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体のガラス転移温度は40℃であり、粒子径は116nmであった。
【0184】
合成例4
300mLステンレス製オートクレーブ中に酢酸ブチル溶媒50gとステアリン酸ビニルモノマー10gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)を0.4g加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、フッ素オレフィンガスとして、8.0gのテトラフルオロエチレンを封入し、引き続いて2.6gのヘキサフルオロプロピレンを封入し60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、15時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了した。
【0185】
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーA4を得た。
【0186】
ガラス転移温度の代わりに融点を測定した以外は合成例1と同様の分析をおこなった。結果を表2に示す。
【0187】
合成例5〜7
モノマーの種類および仕込み比、スケール、反応時間等を変える以外は合成例1と同様にしてポリマーA5,B1,B2を得た。反応条件を表1に、得られたポリマーの物性を表2にまとめる。
【0188】
合成例8
300mlステンレス製オートクレーブ中にt−ブタノール150.0gとt−ブチルビニルエーテル26.7g、炭酸カリウム0.48gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPVの70%イソオクタン溶液0.46gを加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、フッ素オレフィンガスとして、テトラフルオロエチレンを26.7g封入し、60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、3時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了した。
【0189】
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーC1を得た。
反応条件を表1に、得られたポリマーの物性を表2にまとめる。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
合成例9(ケン化 不均一系)
合成例2で得られたTFE/酢酸ビニルポリマーA2を4g、136gのMeOH溶媒中に入れて撹拌し、触媒量のNaOH粒(約0.4g)を加えて徐々に反応させ、ポリマーが均一溶解するまで撹拌を続けた。反応とともに溶液が黄色く着色し、3日間常温で撹拌したところでポリマーが均一に溶解したので反応を終了した。反応液をエバポレーターで濃縮し、水中に滴下することでポリマーを再沈殿させて精製した。1NのHClで洗浄後、イオン交換水でよく洗浄し、再沈したポリマーを吸引ろ過し、乾燥機で80℃2hr乾燥させた。IRにより観測された、カルボニルピークの相対強度より、加水分解率(ケン化度)を計算した結果、ほぼ100%であるTFE/ビニルアルコールポリマー A2−100を得た。
【0193】
合成例10(ケン化 均一系)
合成例1で得られたTFE/酢酸ビニルポリマーA1を10gTHF溶媒中に濃度が10質量%になるように均一溶解させた。その後、0.6NのNaOH溶液をポリマー中の酢酸ビニル当量になるように添加し、30分後にポリマーを大量の水中に再沈させた。1NのHClで洗浄後、イオン交換水でよく洗浄し、再沈したポリマーを吸引ろ過し、乾燥機で80℃2hr乾燥させた。IRにより観測された、カルボニルピークの相対強度より、加水分解率(ケン化度)を計算した結果、34%である、TFE/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマー A1−34を得た。
【0194】
合成例11〜13(ケン化 均一系)
合成例10のケン化時間を変えることにより、TFE/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマーであるA1−45、A1−86、A1−96を得た。結果を表3にまとめる。
【0195】
合成例14〜18(ケン化 均一系)
合成例10のケン化時間を1日とし、合成例3〜7で得られたポリマーを用いる以外は合成例10と同様にして、ケン化ポリマーを得た。結果を表3にまとめる。
【0196】
合成例19(脱保護工程)
100mlナスフラスコに、合成例8で得られたTFE/t−ブチルビニルエーテルポリマーC1(TFE/t−ブチルビニルエーテル=48/52(モル比))2.63g、1,4−ジオキサン1.2ml、4N HCl水溶液50mlを入れ、80℃で加熱撹拌した。2時間後、加熱を止め放冷し、析出したポリマーを純水で3回洗浄した。ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、エタノール/水(50/50体積%)の溶液に再沈殿し、真空乾燥させた。H−NMRにより、脱保護反応前後での1.0〜1.3ppm付近のターシャルブチル基(−C(C)由来のプロトンの積分値と、2.2〜2.7ppmの主鎖メチレン基(−C−CH−)由来のプロトンの積分値を定量することにより、脱保護度を計算した結果、97%であるTFE/ビニルアルコール/t−ブチルビニルエーテルポリマー C1−97を得た。結果を表3にまとめる。
【0197】
【表3】
【0198】
実施例1
2.1gのポリマーA1−96を20gのDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶媒に均一溶解させた。昭和電工社製カレンズAOI(CH=CHCOOCHCHNCO)を2.3g、および、触媒としてジブチルスズジラウレートを89μL添加後、室温で24時間、攪拌した。
【0199】
反応後のDMF溶液を分液漏斗に入れ、イオン交換水と酢酸ブチルを加えポリマーを抽出し、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0200】
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、ポリマーを3.7g得た。
【0201】
IRの分析結果を図1及び2に示す。明らかにポリマーのOH基が大幅に減少し、新たにウレタン結合(N−HとC=O)および、炭素−炭素二重結合のピークが観測された。このポリマーをA1−96−AOIと称する。
【0202】
実施例2〜11
表4に記載したポリマーを使用する以外は実施例1と同様にして、カレンズAOIと反応させた。配合比を表4にまとめる。これらのポリマーのIR分析をおこなったところ、いずれも、ポリマーのOH基が大幅に減少し、あらたにウレタン結合(N−HとC=O)および、炭素−炭素二重結合のピークが観測された。各ポリマーの略称も表4に示す。
【0203】
実施例12、13
カレンズAOIのかわりに昭和電工社製カレンズMOI(CH=CCHCOOCHCHNCO)、昭和電工社製カレンズBEIを用いる以外は実施例1と同様にして反応させた。配合比を表4にまとめる。カレンズBEIは以下の化学式で表される。
【0204】
【化20】
【0205】
得られたポリマーのIR分析をおこなったところ、いずれも、ポリマーのOH基が大幅に減少し、あらたにウレタン結合(N−HとC=O)および、炭素−炭素二重結合のピークが観測された。各ポリマーの略称も表4に示す。
【0206】
【表4】
【0207】
実験例14
ポリマーA1−96を2.2g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、トリエチルアミンを1.9g加えた後、滴下ロートより、2−フルオロアクリル酸フロライド(CH=CFCOF)を1.6g、氷浴下で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。2時間攪拌後、室温にもどした。さらに4時間撹拌を継続した。
【0208】
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0209】
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを2.2g得た。
【0210】
これらの後処理操作をすべて60℃を超えないようにして行った。以降の実施例に関してもすべて同様である。
【0211】
このポリマーを19F−NMR、H−NMR分析、IR分析により調べたところ、下記式(10):
【0212】
【化21】
【0213】
において、m:n=10:90のポリマーであった。このポリマーをA1−96−F−100と称する。
【0214】
実験例15
実験例14において、ポリマー(A1−96)を2.1g、トリエチルアミンの量を0.92g、2−フルオロアクリル酸フロライドの量を0.77gとした以外は同様にして反応を行い、式(10)においてm:n=55:45の不飽和基含有ポリマーを1.8g得た。このポリマーをA1−96−F−50と称する。
【0215】
実験例16
ポリマー(A1−96)を2.1g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、撹拌装置、温度計を備えた200mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、トリエチルアミンを0.92g加えた後、滴下ロートより、メタリル酸クロライド(CH=C(CH)COCl)を0.87g、氷浴下で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。2時間攪拌後、室温にもどした。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4時間撹拌を継続した。
【0216】
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0217】
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを1.5g得た。このポリマーを19F−NMR、H−NMR分析、IR分析により調べたところ、下記式(11):
【0218】
【化22】
【0219】
において、m:n=53:47のポリマーであった。このポリマーをA1−96−M−50と称する。
【0220】
実験例17
実験例16において、メタリル酸クロライドに代えてアクリル酸クロライドを0.75g用いた以外は同様にして反応を行い、下記式(12):
【0221】
【化23】
【0222】
に示す不飽和基含有ポリマー(m:n=56:44)を1.5g得た。このポリマーをA1−96−A−50と称する。
【0223】
実験例18
実験例14において、ポリマー(C1−97)を2.2g、トリエチルアミンの量を0.95g、2−フルオロアクリル酸フロライドの量を0.78gとした以外は同様にして反応を行い、式(10)においてm:n=54:46の不飽和基含有ポリマーを1.5g得た。このポリマーをC1−97−F−50と称する。
【0224】
実験例14〜18の結果を表5にまとめる。
【0225】
【表5】
【0226】
実施例19(硬化性組成物の作製)
以下の配合に従って硬化性組成物を調製した。表6に各組成の配合量を示す。
ポリマー(A1−96−AOI) 50質量部
4FA(CH=CHCOOCHH) 30質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPA) 20質量部
ダロキュアMBF(チバスペシャリティケミカルズ社製) 4質量部
MIBK 200質量部
【0227】
ついで、調製した硬化前の組成物の25℃における液状組成物の外観を目視で評価した。結果を表7に示す。評価基準は以下のとおりである。
【0228】
○:透明でかつ均一である。
△:一部に白濁(ゲル状物)が認められる。
×:不透明、白濁。
【0229】
ついで、つぎの要領で硬化させて作製した硬化フィルムの外観、屈折率(n)、耐溶剤性(酢酸ブチル)および耐熱性(150℃)を調べた。結果を表7に示す。
【0230】
(硬化フィルムの作製)
シリコンウェハー上に硬化性組成物をスピンコートし、膜厚が約0.1μmになるように塗布し、風乾後、200℃の送風式乾燥機にて10分間、乾燥後、ベルトコンベア式のUV露光機にて、上部より、1500mJ/cmUの強度で紫外線を照射して硬化させた。
【0231】
外観、耐溶剤性および耐熱性の評価基準を以下に示す。
【0232】
(外観)
UV硬化させた硬化物を目視で評価した。
○:透明でかつ均一である。
△:一部に白濁(にごり)が認められる。
×:不透明、白濁。
【0233】
(耐溶剤性)
室温で、UV硬化後のサンプルの表面に酢酸ブチルを数滴おとし、1分後にキムワイプで拭き取り、目視で観察した。
○:目視で膨潤が見られない。
△:目視で膨潤が見られる。
×:溶解する。
【0234】
(耐熱性)
耐熱性は150℃において各サンプルを1時間保持し、外観の変化を目視で観察した。
○:目視で変化が見られない。
△:目視でわずかな変色、濁りがみられる。
×:目視で明らかな変色、白濁、変形等が見られる。
【0235】
屈折率は分光エリプソメータにより550nmでの屈折率の値を算出した。
【0236】
実施例20〜22、25及び実験例23、24、26
表6に示す配合に従って硬化性組成物を調製し、実施例19と同様に各種物性を測定した。結果を表7に示す。
【0237】
比較例1
ポリマーとして、末端二重結合を有さないA1を用いた以外は実施例19と同様に硬化性組成物を調製し、実施例19と同様に各種物性を測定した。結果を表7に示す。
【0238】
比較例2
ポリマーとして、末端二重結合を有さないA1−96を用いた以外は実施例19と同様に硬化性組成物を調製し、実施例19と同様に各種物性を測定した。結果を表7に示す。
【0239】
【表6】
【0240】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明の含フッ素重合体は、容易に硬化させることができることから、反射防止膜等の光学材料、塗料の原料、太陽電池の封止材料、防汚剤、撥剤等として好適に利用できる。
図1
図2