(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
駆動部(44)で駆動されて昇降作動する昇降機構(U)にて植付具(11)を昇降させて圃場に苗を植付ける苗移植機において、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第一の変速装置と、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第二の変速装置と、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第三の変速装置とを設け、第一の変速装置から第二の変速装置を介して第三の変速装置へ伝動し、第三の変速装置からの伝動により昇降機構(U)を作動させる構成とし、第二の変速装置のギヤ対の従動側ギヤと第三の変速装置のギヤ対の駆動側ギヤを各々兼用し、前端部(12a)を中心に上下に揺動する昇降アーム(12)と、昇降アーム(12)の下方に並行し前端部(13a)を中心に上下に揺動する副リンク(13)と、昇降アーム(12)の前端部(12a)と副リンク(13)の前端部(13a)とを連結する連結リンク(R)と、連結リンク(R)に連結され該連結リンク(R)を前後に移動させる揺動アーム(14)と、昇降アーム(12)の中間部分の連結点(12b)に連結され該昇降アーム(12)を上下に揺動させるクランクアーム(15)と、副リンク(13)の中間部分の連結点(19b)に連結され該副リンク(13)を上下に揺動させる副クランクアーム(19)とを備えて昇降機構(U)を構成したことを特徴とする苗移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の苗移植機の植付装置は、植付具が下動する際にはその自重による慣性力が作用して早く作動する傾向となり、逆に、植付具が上動する際にはその自重によって作動が遅れ気味になる傾向となり、植付具の1行程の植付け作動が円滑に行い難いと謂う課題がある。また、植付具を上昇位置で停止する際には、植付具停止用のためだけのブレーキ装置が必要となる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、植付具の植付け作動が円滑に行えて安定した適正な苗の移植作業が行える苗移植機を提供することにある。また、
植付ける苗の種類や植付株間に対する適応性が拡大し、汎用性のある苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、駆動部(44)で駆動されて昇降作動する昇降機構(U)にて植付具(11)を昇降させて圃場に苗を植付ける苗移植機において、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第一の変速装置と、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第二の変速装置と、複数のギヤ対から伝動するギヤ対を選択的に切り替えて変速する第三の変速装置とを設け、第一の変速装置から第二の変速装置を介して第三の変速装置へ伝動し、第三の変速装置からの伝動により昇降機構(U)を作動させる構成とし、第二の変速装置のギヤ対の従動側ギヤと第三の変速装置のギヤ対の駆動側ギヤを各々兼用し
、前端部(12a)を中心に上下に揺動する昇降アーム(12)と、昇降アーム(12)の下方に並行し前端部(13a)を中心に上下に揺動する副リンク(13)と、昇降アーム(12)の前端部(12a)と副リンク(13)の前端部(13a)とを連結する連結リンク(R)と、連結リンク(R)に連結され該連結リンク(R)を前後に移動させる揺動アーム(14)と、昇降アーム(12)の中間部分の連結点(12b)に連結され該昇降アーム(12)を上下に揺動させるクランクアーム(15)と、副リンク(13)の中間部分の連結点(19b)に連結され該副リンク(13)を上下に揺動させる副クランクアーム(19)とを備えて昇降機構(U)を構成したことを特徴とする苗移植機とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によると、植付ける苗の種類や植付株間に対する適応性が拡大し、汎用性が得られる。
更に、連結リンクRにより昇降リンク12及び副リンク13の姿勢が該リンクの回動部の遊びで崩れるのを防止し、昇降リンク12及び副リンク13の姿勢を適正に維持して植付具11を所定の軌跡で作動させ、適正な苗の移植作業が行える。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の具体的に構成された実施の一形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、発明適用構成例を示す野菜苗移植機の側面図である。
移植機1は、前部にエンジン2及びミッションケース3と走行車輪としての前側の左右の前輪4,4及び後側の左右の駆動後輪5,5と、ミッションケース3のケース後部から延びるハンドルフレーム3aに植付装置6および苗供給装置7による植付部、覆土鎮圧輪8,8及び操縦ハンドル9等を備えて構成される。
【0011】
詳細には、ミッションケース3には、機体高さと左右高さを調整するために、その両側にアーム状の左右の伝動ケース5a,5aを回動可能に備え、この左右の伝動ケース5a,5aを介して左右の駆動後輪5,5を支持するとともに、後述の植付具11を昇降可能に備えた植付装置6と周回テーブル型の苗供給装置7とからなる植付部を走行系と同期して駆動する。
【0012】
植付部の苗供給装置7は、投入苗株を受けうる受容体として苗受カップ7c…を等ピッチで配置し、伝動軸7aを介して走行系と連動して周回動作する円テーブル形式に構成し、植付具11の上昇端位置を通る円形の軌道を周回動作可能に構成する。個々の苗受カップ7c…により、植付具11と対応するタイミングで植付装置6内に苗株を搬送して投下する。
【0013】
植付装置6は、要部拡大側面図を
図2に示すように、上部に形成した開口11aから苗株を受けて左右に開閉可能な嘴状の植付具11と、この植付具11を昇降駆動する植付伝動部3cに前端側を連結する昇降アーム12と、この昇降アーム12の下方に並行して昇降動作しつつ植付具11のホルダ11bと連結してその姿勢を保持する副リンク13とから構成される。また、昇降アーム12と副リンク13の前端部12a・13aは連結リンクRにより連結されており、前後に揺動可能に上端14aを支軸に軸支した揺動アーム14を介して前後移動可能に連結するとともに、昇降アーム12の中間部分の連結点12bを回転駆動するクランクアーム15を設ける。
【0014】
副リンク13と植付具11との連結部13cは、ホルダ11bの後部に配置してコンパクト化を図り、また、植付具11の開閉動作のための開閉レバー16を昇降アーム12との支点12cに軸支する。開閉レバー16には連結ロッド17を介して並行動作が可能な開閉アーム18を設けてクランクアーム15の連結点12bに軸支するとともに、このクランクアーム15の回転動作と同期して回転動作して副リンク13の中途部を連結点19bで支持する副クランクアーム19を設け、この副クランクアーム19と一体に開閉カム20を設け、ローラ18aを介して開閉アーム18を所定のタイミング(植付具11が畝の土中に入って苗を植付けるタイミング)で作用し、植付具11が左右に開いて畝に苗を植付ける。
【0015】
昇降アーム12と副リンク13は、各々の中途部がクランクアーム15と副クランクアーム19により駆動されて上下動する平行リンクとなっており、各々の後端側が植付具11に連結されて、植付具11を所定の軌跡で上下動させる構成であるが、各々の前端側が連結リンクRにより連結されているので、該連結リンクRにより昇降アーム12と副リンク13が回動部の遊びにより平行リンクの姿勢が崩れるのを防止し、昇降アーム12と副リンク13は平行リンクの姿勢を適正に維持して作動し、植付具11を所定の軌跡で上下動させて適正な苗の移植作業が行える。尚、連結リンクRに植付伝動部3c側に固定したガイドピンに嵌る作動規制用の長穴を設けて、連結リンクRが適正な所定の作動をするように構成すれば、更に、昇降アーム12と副リンク13は平行リンクの姿勢を適正に維持して作動し、植付具11を所定の軌跡で上下動させて適正な苗の移植作業が行える。
【0016】
上記構成の植付装置6は、クランクアーム15及び副クランクアーム19の回転によって上下に揺動される昇降アーム12と副リンク13により、植付具11が昇降動作と連動して左右に開閉して苗株の植付けを行う。詳細には、リンク構成線図である
図3に示すように、クランクアーム15及び副クランクアーム19が回転すると、昇降アーム12及び副クランクアーム19の前端部12a・13aが揺動アーム14により前後移動しつつ上下に揺動され、後端位置の植付具11の下端が縦長の長円状軌跡Aを描いて作動する。尚、昇降アーム12と副リンク13、連結リンクR、クランクアーム15及び副クランクアーム19及び揺動アーム14にて植付具11の昇降機構Uが構成されている。
【0017】
植付具11の開閉動作については、昇降アーム12の支軸12cに軸支した開閉レバー16が、連結ロッド17を介して開閉アーム18と並行動作し、この開閉アーム18は、クランクアーム15と同一位相で回転動作する副クランクアーム19と一体の開閉カム20によって動作制御される。したがって、簡易な形状のカムによって開閉タイミングと開閉量の高精度の制御が可能となる。
【0018】
次に、伝動機構について説明すると、エンジンと一体構成のミッションケース3は、その要部展開図を
図4に示すように、入力ギヤ31からエンジン動力を主クラッチ32Kを介して受ける入力軸32、該入力軸32と一体回転する駆動ギヤ32bと噛合している従動ギヤ33aと一体回転するカウンタ軸33、シフトギヤ34を備える変速軸35、機体走行用の駆動後輪5,5を各々駆動する左右の駆動軸36,36を備え、変速軸35は、シフトギヤ34のシフト位置により、入力軸32の高速ギヤ32aの選択による移動速、低速ギヤ32bの選択による植付速、カウンタ軸33の後進ギヤ33Rの選択による後進速に変速される。
【0019】
また、低速ギヤ32bの選択による植付速にした場合、植付変速レバー33Sにて操作されるシフトキー33Kにて前記カウンタ軸33と一体回転する大駆動ギヤ33b,中駆動ギヤ33c,小駆動ギヤ33dが設けられており、一方、入力軸32には遊転自在に設けられた前記低速ギヤ32bと一体回転する小従動ギヤ32c,中従動ギヤ32d,大従動ギヤ33eが設けられており、大駆動ギヤ33b,中駆動ギヤ33c,小駆動ギヤ33dと小従動ギヤ32c,中従動ギヤ32d,大従動ギヤ33eは各々常時噛合している。従って、植付速は、植付変速レバー33Sにて3段階に変速できる構成となっている。
【0020】
また、カウンタ軸33によりベベルギヤ機構37aを介して植付軸37を一定速度で駆動する一方で、植付速は植付変速レバー33Sにて3段階に変速して株間距離を変更するべく植付速度を変えて植付けが行える。
【0021】
植付伝動部3cは、要部拡大側面図およびその伝動系統展開図を
図6に示すように、植付装置6の伝動軸44と苗供給装置7の伝動軸45を配置する。すなわち、ミッションケース3からの動力を植付軸37を介して受ける入力軸41aから株間変速装置41を経由して植付クラッチ45aを介して苗供給装置7の伝動軸45を変速駆動するとともに、この変速動力を間欠クラッチ44aの制御側に入力する。従って、株間変速装置41によって変速された動力が間欠的に苗供給装置7のテーブル駆動に合わせて植付装置6の伝動軸44に伝動され、前記クランクアーム15及び副クランクアーム19を駆動する。
【0022】
前記株間変速装置41は、駆動側の小ギヤ41a,中ギヤ41b,大ギヤ41cと従動側の小ギヤ41d,中ギヤ41e,大ギヤ41fとが各々カウンタギヤを介して噛合しており、且つ、駆動側の小ギヤ41a,中ギヤ41b,大ギヤ41cの何れかを駆動側軸42aと一体回転させる株間変速第1レバー43a及び従動側の小ギヤ41d,中ギヤ41e,大ギヤ41fの何れかを駆動側軸42aと一体回転させる株間変速第2レバー43bが設けられている。従って、駆動側の3つのギヤの選択と従動側の3つのギヤの選択との組合せで、株間は9段に変速できる構成となっている。
【0023】
従って、この株間変速装置41の9段の変速と前記機体の進行速度の変速である植付速の3段の変速とで、株間は27段に変更でき、植付ける苗の種類に対する適応性や地域独特の植付株間に対する適応性が拡大し、汎用性のある苗移植機を得ることができる。
【0024】
また、この植付装置6の伝動軸44には、伝動トルクを変更するカム機構46が設けられている。即ち、伝動軸44に固定されたカム46aと該カム46aに引張りバネ47aにて圧接する押圧ローラ47bと該押圧ローラ47bを揺動自在に支持するローラ支持揺動アーム47cとによって構成されている。また、カム46aは、植付具11の上昇位置での停止位置T1直前から伝動軸44にブレーキをかけて、その後、植付具11が下降する際に植付具11の自重による下動慣性力を抑える為にブレーキ力を徐々に増大しながらブレーキをかけ続け、植付具11の最下降位置T2の直前で伝動軸44に対するブレーキをかけるのを中止し、その後、植付具11が上昇する過程では回転をアシストする形状となっている。従って、植付具11を軌跡Aにて上下作動させる伝動軸44の伝動トルクが植付具11の上下動に合わせて変更され(植付具11が下降する際に植付具11の自重による下動慣性力を抑える為にブレーキ力をかけ、植付具11が上昇する過程では回転をアシストする)、植付具11は所定の適正な作動速度を維持して円滑に作動し、適切な苗の移植作業が行える。また、このカム機構46にて植付具11の上昇位置での停止位置T1直前から伝動軸44にブレーキをかけるので、植付具11は植付クラッチ45aによる間欠駆動の停止位置で適正に停止し、別途植付具11を停止させるブレーキ装置を設ける必要がなく、簡潔な構成で安価に構成できる。
【0025】
50は植付具11内部に付着した泥土を掻き落とすスクレープ装置であって、植付伝動部3cに回動自在に軸支された揺動支持アーム51と該揺動支持アーム51の下端部にボルト52にて着脱自在に固定したスクレープ部53と揺動支持アーム51の上端部に設けた作動従動カムローラ54とによって構成されている。一方、クランクアーム15の駆動軸15aに作動駆動カム55を設けて、該作動駆動カム55の回転により作動従動カムローラ54を作動させて、揺動支持アーム51が所定のタイミングで揺動作動し、即ち、植付具11の機体左右方向に開く左右植付片11L,11Rが左右に開いて内部に保持していた苗を圃場に植付けて開いたまま上昇する過程で、スクレープ部53が植付具11の左右植付片11L,11R内部に嵌り込んで内部の泥土を掻き落とすように作動する。
【0026】
図8に示すように、スクレープ部53には、平板状のゴム材より構成されるスクレーパ53aが装着されている。該スクレーパ53aは、平面視で後退角Mを持った三角形状で、背面視で下方傾斜角Nを持った形状に構成されている。このような形状にスクレーパ53aを構成することによって、スクレープ部53が植付具11の左右植付片11L,11R内部に嵌り込み易く、また、左右植付片11L,11R内部に付着した泥土の掻き落とし性能も良くて、適切に植付具11の左右植付片11L,11R内部を清掃し、植付具11の苗植付け性能を適正に維持できて、良好な苗の移植作業が行える。
【0027】
一方、植付具11の左右植付片11L,11Rには、その前面側(スクレープ部53が嵌り込んでくる側)にスクレープ装置のスクレープ部53のスクレーパ53aが左右植付片11L,11Rの側端部に接当して破損しないようにガイド板60,60が各々溶接して設けられている。
図10の断面図に示すように、ガイド板60は、スクレーパ53aが接当しても破損しないように曲面60aを形成した形状になっている。従って、スクレープ部53のスクレーパ53aは、このガイド板60の曲面60aに案内されて円滑に左右植付片11L,11R内に嵌り込む。よって、ゴム材にて形成されたスクレーパ53aの破損が防止できて、長期に亘り適切な植付具11の左右植付片11L,11R内部の清掃作用が維持できて、良好な苗の移植作業が行える。
【0028】
尚、上記の板上のガイド板60に替えてステンレス製の丸棒を左右植付片11L,11R(左右植付片11L,11Rもステンレスを成型したものである)の側壁部に各々溶接固定しても、該丸棒の外周曲面がスクレーパ53aを案内するので同様の効果があり、且つ、左右植付片11L,11Rの側壁部を補強する効果もある。更に、他の部材を設けないで、左右植付片11L,11Rの側壁部を内側に向けて曲面を設けて折り曲げて構成しても良い。また、スクレーパ53aに滑り抵抗の少ない樹脂シートを貼り付けて、スクレーパ53aが左右植付片11L,11R内に滑って嵌り込み易くすれば、更に、破損防止効果がある。
【0029】
更に、スクレーパ53aの上面又は下面にスクレーパ53aの左右幅からはみ出るビニールパイプ等の接当防止材を固定して、スクレーパ53aが直接左右植付片11L,11Rの側壁部に接当しないようにしてもスクレーパ53aの破損防止効果がある。
【0030】
また、左右植付片11L,11Rの側壁部間に隙間70が構成されているので、左右植付片11L,11Rが閉じる際に発生する音を軽減させる効果もある。尚、閉じる際の音を軽減させる為に、左右植付片11L,11Rの下端部接当面に樹脂板を貼り付けても良い。
【0031】
図11は他の実施例を示し、上記植付装置6の植付具11の後端部にアーム80の基部を溶接し、その後端は後方に向けて設けている。そして、該アーム80と機体であるハンドルフレーム3aとの間に引張バネ81を設けている。即ち、引張バネ81は、植付具11を機体後方で斜め上方に向けて引き上げるように作用する構成となっている。このように引張バネ81にて植付具11を機体後方で斜め上方に向けて引き上げるように構成すると、植付具11が下降する行程では植付具11が前方下方に移動するので、強い引き上げ力で植付具11を上方に引き上げるように作用し、植付具11が上動する行程では植付具11が後方上方に移動するので、比較的に弱い引き上げ力で植付具11を上方に引き上げるように作用する。従って、植付具11が下降する際に植付具11の自重による下動慣性力を抑える強い引き上げ力で作用し、植付具11が上昇する過程では上動を比較的に弱い力でアシストすることとなり、上記のカム機構46の作用に加えて更に植付具11は所定の適正な作動速度を維持して円滑に作動し、適切な苗の移植作業が行える。